JP6222448B2 - バー状部品の製造方法 - Google Patents
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Description
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、炭素繊維強化樹脂製のパイプと金属部品とを締結することでバー状部品を構成する場合において、炭素繊維の切断を防止して、パイプと金属部品との連結部における強度の向上を図ることができるバー状部品の製造方法を提供することを目的とする。
また、プリプレグシートと金属円環の外周面との間に熱接着フィルムを介在させることによって、金属円環の外周面とパイプとが、プリプレグシートの樹脂だけでなく熱接着フィルムによっても接着される。そのため、金属円環とパイプとをより強固に固定することができる。
請求項2記載の発明のように、金属部品と金属円環の内周面とのねじ締結に関し、金属部品に設けられた雄ねじ部が、金属円環の内周面に形成された雌ねじ部にねじ締結される。雌ねじ部を金属円環の内周面に形成する工程は、金属円環がマンドレルに外嵌される前に行われてもよいし、マンドレルがパイプから引き抜かれた後に行われてもよい。
図1は、本発明の一実施形態におけるバー状部品22を備えるステアリング装置1の概略正面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、自在継手4と、中間軸5と、自在継手6と、ピニオンバー7と、ラックバー8と、ハウジング9とを主に含んでいる。
ラックバー8の外周面の周上1箇所には、ピニオン歯14と噛み合うラック歯15が形成されている。ピニオンバー7のピニオン歯14およびラックバー8のラック歯15は、互いに噛み合うことでラックアンドピニオン式の転舵機構Aを構成している。
パイプ10は、炭素繊維強化樹脂製であり、軸方向Xに延びる略円筒状である。パイプ10は、たとえばラックバー8においてラック歯15よりも一端部8A側に設けられており、軸方向Xにおいて第1金属部品17と第2金属部品18との間に配置されている。パイプ10の一端部(図1における軸方向Xの左側の端部)に、符号「10A」を付し、他端部(図1における軸方向Xの右側の端部)に符号「10B」を付し、パイプ10の内周面に、符号「10C」を付すことにする。
図2は、バー状部品22の製造工程を示す模式的な断面図である。図2における各部材の姿勢は、図1と一致している(後述する図3〜図7においても同様)。
図2を参照して、バー状部品22の製造の初期段階として、芯材23が準備される。芯材23は、円筒状のパイプ10を形成するために必要な部材である。芯材23は、マンドレル24と、前述した金属円環16とを含んでいる。マンドレル24は、金属製であり、軸方向Xに延びる円柱状である。金属円環16の外周面16Aには、事前に粗面加工が施されている。そのため、外周面16Aは、多数の凹凸部27を有している。ここでの粗面加工としては、たとえば、アヤメローレット加工、キー溝加工、スプライン加工、ショットブラスト加工、酸によるエッチング、レーザーエッチング等が挙げられるが、加工コストを考慮するとアヤメローレット加工が望ましい。
図3は、図2の次の工程を示す模式的な断面図である。
次に、芯材23のうちマンドレル24だけをパイプ10から引き抜く。このとき、マンドレル24を、円滑に引き抜くために、冷却によって収縮させてもよい。その場合、マンドレル24をパイプ10から引き抜く際に必要な力が低減される。
図4を参照して、次に、金属円環16の内周面16Bに雌ねじ部19を形成する。雌ねじ部19は、内周面16Bの全域に亘って形成されている。
本実施形態とは異なり、金属円環16を用いない比較例の場合、雌ねじ部19は、パイプ10の内周面10Cに形成される。比較例の場合においてプリプレグシート26をヘリカル巻きによって芯材23に巻き付けると、ねじ形成の際にプリプレグシート26内の炭素繊維が切断される虞がある。炭素繊維が切断されると、パイプ10の強度が著しく低下する。比較例において炭素繊維の切断を防止するためには、少なくとも最内層(最も芯材23側)のプリプレグシート26は、芯材23の周方向に炭素繊維が延びるような巻き方(いわゆるフープ巻)で芯材23に巻き付けられる必要がある。
図5を参照して、第1金属部品17の小径部21の外周面には、雄ねじ部20が設けられている。第1金属部品17の雄ねじ部20には、図5における軸方向Xの左側(パイプ10の一端部10A側)の金属円環16の雌ねじ部19がねじ締結される。これにより、第1金属部品17は、この金属円環16の内周面16Bとねじ締結され、この金属円環16を介してパイプ10の一端部10Aに締結された状態になる。
完成したバー状部品22において、金属円環16の一部は、前述したように、パイプ10から軸方向Xにおける外側へはみ出している。そのため、パイプ10が第1金属部品17および第2金属部品18に対して曲がろうとしたときに、第1金属部品17および第2金属部品18は、パイプ10ではなく金属円環16に接触することになるので、パイプ10の端部10Aおよび10Bのそれぞれが第1金属部品17および第2金属部品18において対応する方に接触することを防止できる。これにより、第1金属部品17および第2金属部品18との接触によるパイプ10の破損を防止することができる。
図6を参照して、完成したバー状部品22において、パイプ10の内周面10Cと金属円環16の外周面16Aとの間には、プリプレグシート26から染み出た樹脂28が介在されている。樹脂28は、前述した芯材23へのプリプレグシート26の巻き付け工程およびその後の焼成硬化の工程において(図3参照)、外周面16Aに形成れた凹凸部27における各凹部29に進入して硬化する。樹脂28が凹部29に進入して硬化した状態では、凹凸部27の凸部35は、パイプ10の内周面10Cに対して噛み合うように密着しているものの、プリプレグシート26内の炭素繊維には接触していない。よって、パイプ10の端部10Aおよび10Bは、内部の炭素繊維が切断されていない状態で、対応する金属円環16の外周面16Aに対して、外嵌固定(抜け止め)されている。なお、この状態の金属円環16は、パイプ10の端部10Aおよび10Bに対して軸方向Xにずれないし、周方向にもずれないように位置決めされている。
次に、本発明の第1変形例について説明する。
図7は、図6に第1変形例を適用した図である。また、図7において、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
たとえば、本実施形態では、第1金属部品17および第2金属部品18に設けられた雄ねじ部20にねじ締結される雌ねじ部19を金属円環16の内周面16Bに設ける工程は、マンドレル24からパイプ10が引き抜かれた後に行われているが、当該工程は、金属円環16がマンドレル24に外嵌される前に行われてもよい。
また、前述した実施形態のバー状部品22は、ラックバー8であったが、ラックバー8以外のバー状部品(たとえば各種シャフト、ロッド、パイプ状部品)として構成してもよい。
Claims (2)
- 炭素繊維強化樹脂製のパイプと、前記パイプの軸方向における端部に締結される金属部品とを含むバー状部品の製造方法であって、
前記軸方向に延びる金属製のマンドレルに対して、粗面加工が施された外周面を有する金属円環を外嵌することによって、前記マンドレルと前記金属円環とを含む芯材を準備する工程と、
炭素繊維に樹脂を含浸させたプリプレグシートを、前記芯材の外周面に巻き付ける工程と、
前記芯材の外周面に巻き付けられたプリプレグシートを焼成硬化させることによって、前記金属円環の外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、
前記芯材のうち前記マンドレルだけを前記パイプから引き抜く工程と、
前記金属部品と前記金属円環の内周面とをねじ締結させる工程と、を含み、
前記プリプレグシートを前記芯材の外周面に巻き付ける工程は、前記プリプレグシートと前記金属円環の外周面との間に、熱接着フィルムを、前記金属円環の外周面に設けられた粗面部に沿うように介在させる工程を含むことを特徴とする、バー状部品の製造方法。 - 前記金属部品に設けられた雄ねじ部にねじ締結される雌ねじ部を、前記金属円環の内周面に形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載のバー状部品の製造方法。
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