JP6222348B2 - 高強度エラストマー - Google Patents

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Description

本発明は、高強度のエラストマーに関する。さらに詳しくは、(セミ)相互侵入網目構造を有する高強度のエラストマーに関する。
エラストマー材料は、良好な成形性及び耐油性等を与えることからシール材やパッキン材等を初めとして幅広い分野で用いられている。中でも、アクリル酸エステルを主成分とするアクリルエラストマーは、透明性、耐熱性及び耐候性にも優れることから自動車部品のシール、ガスケット、粘着製品材料及び家電製品の筐体等にも使用されている。さらに、自動車用タイヤ、建築材料及び医療材料等の各種工業用材料として使用した際には、信頼性及び耐久性を向上するためにより高強度のエラストマー材料が要求されるため、エラストマーの強度向上に関する各種検討がなされている。
特許文献1には、特定の熱可塑性樹脂及びアクリルエラストマーたるアクリルゴムを含む混合物を、架橋剤存在下に動的に熱処理されてなる熱可塑性エラストマーが開示されている。また、特許文献2には、メタクリル酸エステル系重合体ブロックとアクリル酸エステル系重合体ブロックとを含有するブロック共重合体、並びに、アクリルエラストマーたるアクリル系重合体ゴムを含有する組成物が開示されている。しかしながら、これらは、アクリルエラストマー及び他の成分を含む混合物からなるため、相溶性の問題等から十分な透明性を確保し難く、場合によってはブリードの問題が生じることがあった。上記の通り、アクリルエラストマーの強度向上に関する検討は他の重合体や充填材等との混合によるものが多く、アクリルエラストマーを構成する重合体自身によりその強度を高める検討は少ない。
一方、適度な伸びを有し、かつ、強度の高い材料として、(セミ)相互侵入網目構造(DN構造)を有するハイドロゲル又はオルガノゲルが開示されている(特許文献3〜5)。また、特定の4級塩構造を含むイオン性モノマーと非イオン性モノマー等から第1のネットワークを得た後、第2のネットワークを形成してなるDN構造を有するエラストマーも提案されている(非特許文献1)。
特開2006−124538号公報 国際公開第2002/081561号 国際公開第2003/093337号 特開2010−111821号公報 特開2012−1596号公報
"高分子討論会 予稿集",62,No.2,3157-3158(2013)
しかし、特許文献3〜5に記載のハイドロゲル又はオルガノゲルは、水又は有機溶媒等の媒体を含むものであるため、それら媒体の含有量が異なることにより強度等の特性が安定しないという問題があった。また、媒体の揮発やブリード等により、経時的にその性能が変化することが懸念されるものでもあった。また、非特許文献1に記載のエラストマーは、媒体を含まないものであり良好な強度を示すものの、引張応力等を加えた場合に大きなヒステリシスロスを生じるものであった。このため、応力の負荷と解放が繰り返されるような用途に用いた場合には、材料としての耐久性が課題とされるものであった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、他の重合体や充填材等との混合によらずとも極めて高い強度を示すエラストマーであって、引張応力等を加えた場合にもヒステリシスロスを生じることのないアクリルエラストマーを提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成による(セミ)相互侵入網目構造を有するエラストマーが高い強度を示し、かつ、引張応力を加えた場合のヒステリシスロスも抑制されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、第一の発明は、第一の単量体成分を重合及び架橋することにより第一の網目構造を形成した後、該第一の網目構造中に第二の単量体成分を導入し、重合、又は重合及び架橋することにより得られる(セミ)相互侵入網目構造を有するエラストマーであって、
前記第一の単量体成分が、非イオン性ビニル系単量体のみからなり、
前記第二の単量体成分から得られる重合体のガラス転移温度(Tg)が−80〜20℃であり、
前記第一の単量体成分及び前記第二の単量体成分の質量比が、1/0.1〜1/30であるエラストマーである。
第二の発明は、前記第一の単量体成分において、架橋性単量体を除く単量体成分の総量に対して架橋性単量体を0.01〜2mol%使用する第一の発明に記載のエラストマーである。
第三の発明は、前記第二の単量体成分において、架橋性単量体を除く単量体成分の総量に対して架橋性単量体を0〜2mol%使用する第一の発明又は第二の発明に記載のエラストマーである。
第四の発明は、前記第二の単量体成分が、以下の一般式(1)で表される化合物を80mol%以上含む第一の発明〜第三の発明のいずれかに記載のエラストマーである。
Figure 0006222348
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表す。〕
本発明のアクリルエラストマーは、非常に高い強度を示す。また、引張等の応力によるヒステリシスロスを生じることがなく、耐久性に優れた材料である。さらに、他の重合体や充填材等を混合する必要がないため、これらの成分との相溶性やブリード等に由来する問題を回避することができる。加えて、水や有機溶媒等の媒体を含むものではないため、経時的に安定な性能を発揮することが可能なものとなる。
実施例4において得られたエラストマーについて行った繰返し引張試験の結果を示したグラフである。 実施例9において得られたエラストマーについて行った繰返し引張試験の結果を示したグラフである。 比較例5において得られたエラストマーについて行った繰返し引張試験の結果を示したグラフである。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
本発明のエラストマーは、第一の重合体を架橋及び重合することにより第一の網目構造を形成する工程(以下、「第一工程」という)、及び第一の網目構造に第二の単量体成分を導入し、重合、又は重合及び架橋する工程(以下、「第二工程」という)を経て製造されることにより(セミ)相互侵入網目構造を有する。
相互侵入網目構造とは、第一工程により得られた第一の重合体における網目構造と、第二工程により得られた第二の重合体における網目構造とが全体として相互に絡み合った構造を意味する。第二工程において第二の単量体成分を重合及び架橋した場合には、相互侵入網目構造を有する重合体を得ることができる。
セミ相互侵入網目構造とは、第一工程により得られた第一の重合体における網目構造と、第二工程により得られた直鎖状の重合体とが全体として相互に絡み合った構造を意味する。第二工程において架橋を生じないように第二の単量体成分を重合した場合には、セミ相互侵入網目構造を有する重合体を得ることができる。
本発明では「相互侵入網目構造」及び/又は「セミ相互侵入網目構造」を「(セミ)相互侵入網目構造」と記載する。また、「相互侵入網目構造」及び「セミ相互侵入網目構造」は、第一工程及び第二工程のみならず、第三工程以降の工程を経て得られた重合体にも適用される概念である。
以下、各工程に沿って本発明を詳細に説明する。
<第一工程>
第一工程では、まず、非イオン性ビニル系単量体のみからなる第一の単量体成分を重合及び架橋することにより、第一の網目構造を有する重合体を製造する。ここで、第一の単量体成分は、実質的に非イオン性のビニル系単量体のみを構成単量体として用いるものであればよく、原料中に不純物としてイオン性の化合物が含まれていてもよい。
非イオン性ビニル系単量体としては、非イオン性の(メタ)アクリル系単量体を好適に用いることができ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物、アミド基含有(メタ)アクリル系単量体、アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体及び末端アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が使用される。また、上記(メタ)アクリル系単量体以外にも、酢酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びスチレン等のその他のビニル系単量体を用いてもよい。
第一の単量体成分全体に占める(メタ)アクリル系単量体の割合は、透明性及び耐候性等の観点から10〜100mol%の範囲であることが好ましく、30〜100mol%の範囲がより好ましく、50〜100mol%の範囲がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル等の脂環式アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、力学的物性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル化合物がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸エトキシエチル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
アミド基含有(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
末端アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びエトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、第一の単量体成分からなる重合体を架橋するために、架橋性単量体としてラジカル重合性の不飽和基を2個以上有する非イオン性多官能ビニル系単量体及び/又は架橋性官能基を有する非イオン性ビニル系単量体を使用することができる。
非イオン性多官能ビニル系単量体の具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性物のトリ(メタ)アクリレート、などのポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリレート;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアミド類、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、力学的物性の観点から1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
架橋性官能基を有する非イオン性ビニル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピルなどの加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
前記架橋性単量体の使用量は、使用する非イオン性ビニル系単量体の種類、得られるエラストマーの用途などに応じて異なり得るが、架橋性単量体を除く第一の単量体成分の総量に対して0.01〜2mol%であることが好ましく、0.02〜1.5mol%であることがより好ましく、0.05〜1mol%であることがさらに好ましい。架橋性単量体の使用量が0.01mol%以上であれば強度の高いエラストマーを得ることが可能となる。一方、架橋性単量体の量が多過ぎると、後述する第二工程において第一の網目構造への第二の単量体成分の導入が進みにくい場合があり、結果として(セミ)相互侵入網目構造の形成が不十分となり、エラストマーの強度が満足するレベルに至らないことがある。架橋性単量体の使用量が2mol%以下であれば、十分に高強度のエラストマーを得ることができる。
本発明において、第一の網目構造を非イオン性ビニル系単量体のみからなる第一の単量体成分から形成することは非常に重要である。これによって、引張応力等を加えた場合であってもヒステリシスロスを生じることのないエラストマーを得ることが可能となる。
第一の単量体成分にイオン性の単量体を含む場合にはエラストマーの機械的な物性に影響を与える可能性があり、特に引張応力等を与えた場合にヒステリシスロスを生じる場合がある。イオン性の単量体の中でも、4級アンモニウム塩を含有する単量体を含む場合は、上記ヒステリシスロスが顕著に表れるため特に好ましくない。
第一の単量体成分の重合は、公知のラジカル重合法により行うことが可能であり、例えば溶液重合法、懸濁重合法、分散重合法及びバルク重合等を用いることができる。重合時に溶媒を用いる場合は、重合方法に応じて水及び各種有機溶剤等から選択される溶媒を使用することができる。有機溶剤としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、重合は熱重合及び光重合又はこれらの併用等いずれの態様であってもよい。これらの内でも、重合反応が速やかに進行しやすいことから光重合法が好ましい。
第一の単量体成分に上記非イオン性多官能ビニル系単量体を含む場合、第一の単量体成分を重合することにより並行して重合体の架橋も進行し、第一の網目構造が形成される。架橋性単量体として上記架橋性官能基を有する非イオン性ビニル系単量体を使用する場合は、重合中又は重合後に必要に応じて架橋性官能基による架橋反応を行うことにより第一の網目構造を形成することができる。
熱重合による場合、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等の公知の重合開始剤を用いることができるが、特に限定されるものではない。公知の酸化剤及び還元剤からなるレドックス型重合開始剤を用いても良い。
上記アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2−(tert−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
上記有機過酸化物としては、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日油社製、商品名「パーテトラA」)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(同「パーヘキサHC」)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(同「パーヘキサC」)、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート(同「パーヘキサV」)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(同「パーヘキサ22」)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(同「パーブチルH」)、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(同「パーオクタH」)、t−ブチルクミルパーオキサイド(同「パーブチルC」)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(同「パーブチルD」)、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(同「パーヘキシルD」)、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(同「パーロイル355」)、ジラウロイルパーオキサイド(同「パーロイルL」)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(同「パーロイルTCP」)、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(同「パーロイルOPP」)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(同「パーロイルSBP」)、クミルパーオキシネオデカノエート(同「パークミルND」)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(同「パーオクタND」)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(同「パーヘキシルND」)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(同「パーブチルND」)、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(同「パーブチルNHP」)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(同「パーヘキシルPV」)、t−ブチルパーオキシピバレート(同「パーブチルPV」)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)ヘキサン(同「パーヘキサ250」)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(同「パーオクタO」)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(同「パーヘキシルO」)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(同「パーブチルO」)、t−ブチルパーオキシラウレート(同「パーブチルL」)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(同「パーブチル355」)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(同「パーヘキシルI」)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(同「パーブチルI」)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(同「パーブチルE」)、t−ブチルパーオキシアセテート(同「パーブチルA」)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(同「パーヘキシルZ」)及びt−ブチルパーオキシベンゾエート(同「パーブチルZ」)等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
上記無機過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
重合開始剤の好ましい使用量は、第一の単量体の総量を100重量部としたときに、0.001〜1重量部であり、より好ましくは0.01〜1重量部である。また、熱重合による場合、使用する単量体の種類、濃度等の条件にもよるが、重合温度は20〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。重合時間は0.5〜20時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
光重合による場合も一般的な光重合開始剤を使用することができる。具体的な例としては2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン系化合物;メチルベンゾイルフォルメート、オキシフェニル酢酸の2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル及びオキシフェニル酢酸の2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のα−ケトエステル系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チタノセン系化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフィニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド系光開始剤;2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−〔4−(フェニルチオ)〕−1,2−オクタンジオン等のオキシムエステル系光重合開始剤;並びにカンファーキノン等が挙げられる。また、ベンゾフェノン等の光増感剤を併用することもできる
光重合開始剤の好ましい使用量は、第一の単量体の総量を100重量部としたときに、0.001〜1重量部であり、より好ましくは0.005〜0.1重量部である
また、光重合による場合、照射する活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、可視光線及びX線等が挙げられるが、安価な装置を使用することができるため、紫外線が好ましい。
紫外線照射装置は特に限定されるものではなく、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
照射強度は適宜調整されるものであるが、0.01〜100mW/cm2が適当である。照射強度のより好ましい範囲は0.01〜30mW/cm2であり、さらに好ましい範囲は0.01〜5mW/cm2である。また、照射強度は重合反応中一定であってもよいし、段階的に若しくは連続的に変更してもよい。重合反応の状況によっては、反応途中で一時的に照射を停止してもよい。
本発明では、第一工程において溶媒を用いなかった場合、得られた第一の網目構造を有する重合体は、必要に応じて適当な形状に裁断若しくは粉砕され、又は適当な溶剤に溶解若しくは分散した状態で第二工程へ供される。第一工程において溶媒を用いた場合、得られた第一の網目構造を有する重合体は、そのままの状態で、又は必要に応じて適当な溶剤を追加若しくは留去した後に第二工程へ供される。
<第二工程>
第二工程では、第一工程で得られた重合体に第二の単量体成分を加え、第一の網目構造中に第二の単量体成分を導入した後に重合、又は重合及び架橋することにより(セミ)相互侵入網目構造を有する重合体(エラストマー)を製造する。
第二の単量体成分には、ラジカル重合性を有する種々のビニル系不飽和化合物を使用することができるが、弾性及び柔軟性を備えたエラストマーに適した重合体が得られる点から以下の一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006222348
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表す。〕
一般式(1)で表される具体的な化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物;(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル及び(メタ)アクリル酸ブトキシブチル等の炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第二の単量体成分の総量に占める一般式(1)で表される化合物の割合は、50mol%以上であることが好ましく、80mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることがさらに好ましい。
第二の単量体成分としては、一般式(1)で表される化合物以外にも、これと共重合可能な他の単量体を使用することができる。共重合可能な単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数9以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族系単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂肪族環系ビニル単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びポリエチレン−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
また、第二の単量体成分は架橋性単量体を含んでいてもよい。架橋性単量体としては、上記第一工程において記載したものと同様の単量体を使用することができる。上記の通り、第二工程において架橋性単量体を使用した場合には、相互侵入網目構造を有するエラストマーを得ることができ、架橋性単量体を使用しなかった場合には、セミ相互侵入網目構造を有するエラストマーが得られる。いずれの形態であっても本発明の効果を奏するものである。
第二の単量体成分における架橋性単量体の使用量は、使用する非イオン性ビニル系単量体の種類、得られるエラストマーの用途などに応じて異なり得るが、架橋性単量体を除く第二の単量体成分の総量に対して0〜2mol%であることが好ましく、0.001〜1.0mol%であることがより好ましく、0.005〜0.5mol%であることがさらに好ましく、0.01〜0.1mol%であることが最も好ましい。架橋性単量体の使用量が2mol%以下であれば柔軟性の良好なエラストマーを得ることができる。
本発明において、第二の単量体から得られる重合体のガラス転移温度は(Tg)は−80〜20℃の範囲であり、好ましくは−70〜10℃の範囲であり、さらに好ましくは−60〜0℃の範囲である。Tgが20℃を超えると得られる重合体が硬くなりすぎるため、エラストマーとしての使用に適さない場合がある。また、原料単量体の制約等から、一般にTgが−80℃を下回ることはない。
本発明では、Tgの値は、第二の単量体から得られる重合体をDSC測定した結果により求められる。この場合、DSCの測定は、窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分の条件にて実施する。
また、上記Tgは架橋性単量体を除く単量体成分の種類及び使用量から、例えば「POLYMER HANDBOOK 第4版」(John Wiley & Sons,Inc.発行)に記載された各単独重合体のTgを元にして、以下の式(1)に示す計算によって求められる値を用いてもよい。
1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg(b)}
+{W(c)/Tg(c)}+・・・ (1)
上記の式中、
Tg:重合体のTg
W(a):重合体における単量体(a)からなる構造単位の重量分率
W(b):重合体における単量体(b)からなる構造単位の重量分率
W(c):重合体における単量体(c)からなる構造単位の重量分率
Tg(a):単量体(a)の単独重合体のガラス転移温度
Tg(b):単量体(b)の単独重合体のガラス転移温度
Tg(c):単量体(c)の単独重合体のガラス転移温度
上記の通り、第二工程では第一工程により得られた重合体及び第二の単量体成分を配合し、第一の網目構造中に第二の単量体成分が導入された後に重合、又は重合及び架橋を行う。第二の単量体成分を重合し、又は重合及び架橋する方法は、第一工程と同様の方法により行うことができる。
また、第二工程では、水又は各種有機溶剤等から選択される溶媒を使用することができるが、第一の網目構造中に第二の単量体成分を効率よく導入できる点で、溶媒を使用しないことが好ましい。この場合、第一工程により得られる重合体は、重合体自身を適当な大きさに裁断又は粉砕して用いることが操作上の点から好ましい。
第二工程では、第二の単量体成分が第一工程により得られた重合体に吸収され、第一の網目構造中に十分に導入された後に重合等を行うことが好ましい。このため、第一工程により得られた重合体と第二の単量体成分を配合した後、必要に応じて加温等の処理を行ってもよい。加温は、例えば30〜80℃程度に昇温し、用いる単量体又は溶媒等の揮発に留意しながら行うことができる。また、第二の単量体を配合した後、第一工程により得られた重合体に十分吸収させるため、静置又は攪拌下で好ましくは1分以上、より好ましくは1時間以上経過した後に第二工程の重合を開始することが好ましい。
本発明では、第一の単量体成分及び第二の単量体成分の質量比が1/0.1〜1/30の範囲であることが必要である。質量比の好ましい範囲は1/1〜1/10であり、より好ましい範囲は1/2〜1/8である。第一の単量体成分に対する第二の単量体成分の使用量の割合が0.1未満であると、エラストマーの柔軟性に劣る場合がある。また、該割合が30を超える場合、第一の網目構造の量が相対的に少ないために十分な(セミ)相互侵入網目構造が形成されず、満足するエラストマーの強度が得られない虞がある。
本発明のエラストマーは、上記第一工程及び第二工程に記載の方法を経て得られるが、必要に応じて可塑剤、オイル、老化防止剤、無機フィラー、顔料、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の公知の添加剤を配合して用いてもよい。また、他のエラストマーを添加混合することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
実施例1
(第一工程)
第一の単量体成分として、アクリル酸エチル(以下、「EA」という)及び1,4−ブタンジオールジアクリレート(以下、「1,4BDA」という)をモル比で100/0.02の割合で混合した。次いで、光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製、商品名「Irgacure651」)をEAに対しモル比で100/0.02の割合で添加混合することにより第一の単量体液を調製した。厚み0.5mmのシリコーンゴムで周囲をシールした厚さ1mmの2枚のガラス板間に第一の単量体液を流し込み、ブラックライトを用いて0.9mW/cm2の照度にて紫外線の照射を開始した。30分後、IRにより重合が完結したことを確認し、第一の網目構造を有する重合体A1を得た。
(第二工程)
EA及びIrgacure651をモル比で100/0.02の割合で混合し、第二の単量体液を調製した。上記重合体A1を30mm×80mm×0.5mmのサイズに裁断し、十分な量の第二の単量体液に浸漬した。この状態のまま常温で4時間静置することにより、重合体A1に第二の単量体成分を十分膨潤させた。第二の単量体成分により十分膨潤した重合体A1を取り出し、重合体の周囲に付着している単量体液を軽く拭き取った後、膨潤前後の重合体A1の重量差を測定することにより第二の単量体液による膨潤倍率を算出したところ、膨潤倍率として8.3倍という値が得られた。
第二の単量体液で膨潤した上記重合体A1を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製離型フィルムと厚さ1mmのガラス板で挟み込み、ブラックライトを用いて0.9mW/cm2の照度にて紫外線の照射を開始した。30分後、IRにより重合が完結したことを確認し、セミ相互侵入網目構造を有するエラストマーA1を得た。仕込み量から計算されるエラストマーA1の組成は、EA/1,4BDA=100/0.0024(モル比)の割合であった。
得られたエラストマーA1を6号ダンベルで打ち抜いて試験片を作製し、引張試験に供した。引張試験は、JIS−K6251に準拠して、試験片の引張破断強度、引張破断伸び及び50%モジュラスを測定し、その結果を表2に示した。
実施例2〜7
第一の単量体液において、EA/1,4BDAの仕込み(モル比)を表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様の操作によりセミ相互侵入網目構造を有するエラストマーA2〜A7を得た。これらについて行った引張試験の結果を表2に示した。
比較例1
単量体の仕込み(モル比)をEA/1,4BDA=100/0.0024に変更した以外は実施例1の第一工程と同様の操作を行うことによりエラストマーC1を得た。エラストマーC1は実施例1で得られたエラストマーA1とエラストマー全体としての単量体の仕込み組成が同一であるものの、第一工程のみから得られたエラストマーであるため、(セミ)相互侵入網目構造を有さないものである。エラストマーC1について行った引張試験の結果を表2に示した。
比較例2〜4
単量体の仕込み比を表1に示す通りに変更した以外は、比較例1と同様の操作により(セミ)相互侵入網目構造を有さないエラストマーC2〜C4を得た。これらについて行った引張試験の結果を表2に示した。
比較例5
第一の単量体成分として、EA、式(2)に表される構造のイオン性単量体(以下、「単量体A」という)及び1,4BDAをモル比で80/20/0.20の割合で混合し、次いで、Irgacure651をEA及び単量体Aの総計に対しモル比で100/0.02の割合で添加混合した以外は実施例1と同様の操作によりセミ相互侵入網目構造を有するエラストマーC5を得た。エラストマーC5について行った引張試験の結果を表2に示した。
Figure 0006222348
Figure 0006222348
Figure 0006222348
実施例8〜15
第一の単量体成分及び第二の単量体成分の組成を表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の操作により(セミ)相互侵入網目構造を有するエラストマーB8〜B15を得た。これらについて行った引張試験の結果を表4に示した。
Figure 0006222348
Figure 0006222348
表1及び表3において用いた化合物の詳細を以下に示す。
EA:アクリル酸エチル
BA:アクリル酸ブチル
1,4BDA:1,4−ブタンジオール
(繰返し引張試験)
実施例4、9及び比較例5において得られた各エラストマーについて、上記引張試験と同様の条件下で破断前まで試験片を引張った後、応力を開放する操作を3サイクル繰り返し行った。結果を図1〜3に示した。
実施例1〜15は、いずれも本発明に属するエラストマーである。この内、実施例1〜7、12及び14はセミ相互侵入網目構造を有するエラストマーであり、実施例8〜11、13及び15は相互侵入網目構造を有するエラストマーである。各実施例において得られたエラストマーは、いずれも十分に高い引張破断強度を示すものであった。
また、図1及び2に示す通り、本発明のエラストマーは繰り返し引張試験においてヒステリシスロスがほとんど観察されず、耐久性にも優れるものである結果が示された。
一方、比較例1〜4は、(セミ)相互侵入網目構造を有さないエラストマーである。これらは、エラストマー全体の組成としては実施例1〜4と同一の単量体組成を有するにもかかわらず、その引張破断強度は0.26〜0.43Mpaと低いものであった。比較例5はセミ相互侵入網目構造を有するエラストマーであるが、第一の単量体成分にイオン性単量体を含むものである。その引張破断強度は良好な値を示したが、比較例5について測定した繰り返し引張試験では大きなヒステリシスロスを生じることが確認された(図3)。
本発明のエラストマーは、優れた強度を発揮すると共に、引張応力によるヒステリシスロスをほとんど生じない。このため、シール材やパッキン材等のみならず、自動車用タイヤ素材、並びに、建築材料及び医療材料等といった、高強度かつ高耐久性が要求されるような分野についても適用が期待される。

Claims (3)

  1. 第一の単量体成分を重合及び架橋することにより第一の網目構造を形成した後、該第一の網目構造中に第二の単量体成分を導入し、重合、又は重合及び架橋することにより得られる(セミ)相互侵入網目構造を有するエラストマーであって、
    前記第一の単量体成分が、非イオン性ビニル系単量体のみからなり、
    前記非イオン性ビニル系単量体が、非イオン性の(メタ)アクリル系単量体を50〜100mol%含み、
    前記第一の単量体成分において、架橋性単量体を除く単量体成分の総量に対して架橋性単量体を0.01〜2mol%使用し、
    前記第二の単量体成分が、以下の一般式(1)で表される化合物を80mol%以上含み、
    前記第二の単量体成分から得られる重合体のガラス転移温度(Tg)が−80〜20℃であり、 前記第一の単量体成分及び前記第二の単量体成分の質量比が、1/0.1〜1/30であるエラストマー。
    Figure 0006222348
    〔式中、R 1 は水素原子又はメチル基を表し、R 2 は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表す。〕
  2. 前記非イオン性の(メタ)アクリル系単量体が、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を50〜100mol%含む請求項1に記載のエラストマー。
  3. 前記第二の単量体成分において、架橋性単量体を除く単量体成分の総量に対して架橋性単量体を0〜2mol%使用する請求項1又は2に記載のエラストマー。
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