JP6222067B2 - 陽極の再生方法、水酸化インジウム粉の製造方法、酸化インジウム粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

陽極の再生方法、水酸化インジウム粉の製造方法、酸化インジウム粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電解に用いるインジウムの陽極の再生方法、及び再生した陽極を用いて電解により水酸化インジウム粉を作製する水酸化インジウム粉の製造方法に関する。また、本発明は、得られた水酸化インジウム粉から酸化インジウム粉を製造する酸化インジウム粉の製造方法、及びその酸化インジウム粉を用いてスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法
に関する。
最近、太陽電池用途やタッチパネル用途として透明導電膜の利用が増えてきており、それに伴って、スパッタリングターゲット等の透明導電膜形成用材料の需要が増加している。これらの透明導電膜形成用材料には酸化インジウム系焼結材料が主に使用されており、その主原料として酸化インジウム粉が使用されている。
酸化インジウム粉の製造方法の一つとして、特許文献1に、金属インジウムを電解処理することで水酸化インジウムの沈殿を生じさせ、これを仮焼して酸化インジウム粉を製造する方法、いわゆる電解法が提案されている。
この方法では、高純度のインジウムからなる陽極板と、カーボン・チタン・ステンレス・インジウム等からなる陰極板を、電解液中で並行になるように浸漬し、電解することによって、陽極が溶けて水酸化インジウム粉が生成される。
電解によって溶けた陽極は、膜厚が徐々に薄くなることによって、電極面積が小さくなってくる。このため、定期的に新しい陽極に交換することが必要となる。インジウムは高価であるため使用後の陽極も再利用することが求められる。
特許文献2では、陽極を初期重量の20〜80%になった段階で、溶解し、新しいインジウムインゴットで消費分を追加して溶解したのち、型に流して再鋳造する方法が提案されている。
特開平6−171937号公報 特開2013−023761号公報
しかしながら、電解法で使用した後の陽極の表面は、電極の表面酸化反応による水酸化インジウムや酸化インジウムのスラッジが発生し付着している。また、スラッジは、陽極中に微量に残留していた不純物成分がスラッジ中に残留し、濃縮され、高濃度化してしまう。このため、陽極を再鋳造する場合に、インジウムメタル以外の不純物成分を一緒に溶解し、再鋳造を繰り返してしまうと、徐々に陽極の純度が低下してしまい、場合によっては、再鋳造した陽極が脆くなってしまうという問題が生じる。
陽極を再生する場合には、使用後の陽極を溶解する前に、付着しているスラッジを洗浄することで、不純物の混入を抑制することができる。しかしながら、洗浄したスラッジは、非常に微細なものであるため、洗浄液の中から回収することは困難である。
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電解で使用したインジウムの陽極を高純度なインジウムの陽極に再生できる陽極の再生方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この陽極の再生方法により得られた陽極を用いて電解により水酸化インジウム粉を作製する水酸化インジウム粉の製造方法、得られた水酸化インジウム粉により酸化インジウム粉を製造する酸化インジウム粉の製造方法、酸化インジウム粉よりスパッタリングターゲットを得るスパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る陽極の再生方法は、電解で使用したインジウムの陽極の再生方法において、使用後の陽極、及び電解により消費した減量分に相当する量の、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインジウムが溶解した溶融インジウムと、使用後の陽極量に対して1質量%以上、3質量%以下の固体塩化剤とを混合して、溶融インジウムから不純物を除去し、不純物を除去した溶融インジウムを型に流し込み、ガス成分を除いた純度99.995%以上の陽極を鋳造することを特徴とする。
上述した目的を達成する本発明に係る水酸化インジウム粉の製造方法は、陽極を用いて電解法により作製する水酸化インジウム粉の製造方法において、使用後の陽極、及び電解により消費した減量分に相当する量の、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインジウムが溶解した溶融インジウムと、使用後の陽極量に対して1質量%以上、3質量%以下の固体塩化剤とを混合して、溶融インジウムから不純物を除去し、不純物を除去した溶融インジウムを型に流し込み、ガス成分を除いた純度99.995%以上の陽極を鋳造し、得られた陽極を用いることを特徴とする。
上述した目的を達成する本発明に係る酸化インジウム粉の製造方法は、上記水酸化インジウム粉の製造方法によって得られた水酸化インジウム粉を用いて、酸化インジウム粉を製造することを特徴とする。
上述した目的を達成する本発明に係るスパッタリングターゲットの製造方法は、上記酸化インジウム粉の製造方法によって得られた酸化インジウム粉を用いて、スパッタリングターゲットを製造することを特徴とする。
本発明では、高純度の陽極を再生することが可能である。これにより、本発明では、得られた陽極を用いて電解することにより、高純度な水酸化インジウム粉及び酸化インジウム粉、更には高純度のスパッタリングターゲットを得ることができる。
本発明を適用した酸化インジウム粉の製造方法を示すフローチャートである。
以下に、本発明を適用した陽極の再生方法、水酸化インジウム粉の製造方法、酸化インジウム粉の製造方法及びスパッタリングターゲットの製造方法について説明する。なお、本発明は、特に限定がない限り、以下の詳細な説明に限定されるものではない。
1.陽極の再生方法
2.酸化インジウム粉の製造方法
2−1.水酸化インジウム粉の生成工程
2−2.水酸化インジウム粉の回収工程
2−3.水酸化インジウム粉の乾燥工程
2−4.酸化インジウム粉の生成工程
3.スパッタリングターゲットの製造方法
<1.陽極の再生方法>
陽極の再生方法は、電解法で用いられた電解後の陽極(以下、陽極板ともいう。)から不純物を除去し、除去後の陽極を再利用して新しい陽極を再生する方法である。
再利用する陽極は、初期陽極の60質量%以上、80質量%以下の範囲まで使用した後の陽極を用いることが好ましい。初期陽極の60質量%未満の陽極を利用してしまうと、電解効率が低下してしまう。また、初期陽極の80質量%を超えた陽極を利用してしまうと、陽極が細ることにより、陽極電流密度が上昇し、生成する水酸化インジウム粉の品質が変動する。したがって、電解効率が高く、均一な品質の水酸化インジウム粉を得るためにも、初期陽極の60質量%以上、80質量%以下の範囲まで使用することが好ましい。
また、電解で使用した陽極の表面は、真っ黒なスラッジで覆われている。スラッジの成分は、酸化インジウム、水酸化インジウムが主に含まれており、その他に、Si、Ca、Cu等の成分が微量含まれている。これらの成分は、陽極中にもともと含まれているものである。電解中は、陽極からインジウム成分のみが溶解し、不純物成分が陽極板の表面に濃縮する。
陽極の再生方法では、先ず、電解で使用した陽極の表面に付着しているスラッジを除去せず、そのまま例えばるつぼに入れて溶解を行う。そして、陽極の再生方法では、電解により消費された減量分に相当する量のインジウムをるつぼに追加して、追加したインジウムも溶解して溶融インジウムを得る。ここで、追加するインジウムとしては、水酸化インジウム粉や酸化インジウム粉への不純物の混入を抑制できる点で、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインジウムを用いる。追加するインジウムは、形状は限定されず、例えばインゴット、板状、ボール状のものを用いることができる。
溶解に用いるるつぼの材質は、特に限定されず、カーボン、ステンレス、セラミック等を用いることができる。
次に、溶融インジウムから不純物を除去する。不純物の除去方法は、使用後の陽極量に対して1質量%以上、3質量%以下の量の固体塩化剤を溶融インジウムに添加する。溶融インジウムに固体塩化剤を添加すると、熱分解により発生した塩化水素と溶解中の不純物とが反応して塩化物が形成され、不純物の塩化物がスラグとして液面に浮遊してくる。そして、不純物の除去方法は、溶解したインジウムの液面に浮遊してきた不純物の塩化物をスラグとして取り除いて除去する。
また、陽極の再生方法では、使用後の陽極と、新たに追加するインジウムとが溶解した溶融インジウムと、固体塩化剤とを混合できればよいため、溶解させる前に、使用後の陽極と追加するインジウムと固体塩化剤とを混合した後、加熱して溶解してもよい。
固体塩化剤は、金属成分が含まれていない無機物が好ましく、塩化カルシウムや塩化ナトリウム等の塩化物を用いることができる。中でも、スラッジに含まれているSi、Ca、Cu等の不純物を効率良く除去するため、これらの不純物と効率よく塩化物を形成する塩化アンモニウムを使用することが好ましい。塩化カルシウムや塩化ナトリウム等の固体塩化剤は、ハンドリングは容易であるが、1000℃以上の高温での反応が必要となり、大量のエネルギーを消費するとともに,1000℃以上の高温では反応の選択性が低下してしまう。また、ClやHCl等の高反応性ガスの塩化剤は、有毒でハンドリングが困難である。
固体塩化剤の添加量は、使用後の陽極量に対して1質量%以上、3質量%以下が好ましい。固体塩化剤の添加量が1質量%未満では、十分に不純物を塩化物としてスラグ化できない。固体塩化剤の添加量が3質量%を超える場合には、不純物以外にインジウムも塩化物になってしまい、ロスが発生する。
液面に浮遊した不純物の塩化物は、例えばスキマーにより除去、回収を行う。なお、不純物の除去方法は、スキマーに限らず、液面に浮遊した塩化物を除去することができればどのような方法であってもよい。
ここで、使用後の陽極を溶解する前に、陽極に付着しているスラッジを洗浄により除去して、溶解したインジウムに不純物が混入することを抑制してもよいが、スラッジは、非常に微細なものであるため、洗浄液の中から回収することは困難である。スラッジを洗浄した場合には、酸排液が発生し、環境負荷が高いことに加え、濃縮プロセスが低効率となる。したがって、上述したように溶融インジウムに固体塩化剤を添加して浮遊してきた不純物の塩化物を掬い取って除去する方法の方が、容易でかつ環境への負荷が少ないため好ましい。
次に、スラッジを除去した後の溶融インジウムを陽極板の型に流し込んで鋳造を行い、陽極を製造して再生する。鋳造方法は、一般的な陽極板の鋳造方法及び鋳造条件で行うことができる。
以上のような陽極の再生方法では、使用後の陽極からスラッジを除去し、ガス成分を除いた純度が99.995%以上のインジウムを追加して行うことから、高純度のもの、即ちガス成分を除いた純度99.995%以上の陽極を再生することができる。
再生された陽極の純度が99.995%未満の場合には、後述する水酸化インジウム粉に不純物が混入し、更には酸化インジウム粉にも不純物が混入してしまう。そのため、このような酸化インジウム粉を用いて得られたスパッタリングターゲット及びこのスパッタリングターゲットで成膜されたコーティング膜は特性が低下してしまう。また、再生された陽極の純度が99.995%未満の場合には、機械的特性、特に伸び率が低下する。そのため、電気的接続のため、再生した陽極板にリボン状の金属吊り手を2カ所に取り付けて給電用の金属棒に吊り下げ、金属棒と給電部とを電気的に接続する方法において、陽極の自重と衝撃により、機械的な接続部で、破断が発生してしまう。これにより、通電の信頼性が低下するとともに、最悪、陽極が脱落してしまう。したがって、上述した陽極の再生方法では、純度が99.995%以上の陽極を再生できるため、高純度で強度の高い陽極を再生することができる。
なお、回収したスラグは、その他のインジウム化合物等と混ぜ合わせて、インジウムを分離製錬することができる。
<2.酸化インジウム粉の製造方法>
酸化インジウム粉の製造方法は、図1に示すように、電解法により水酸化インジウム粉を生成する水酸化インジウム粉の生成工程S1と、生成された水酸化インジウム粉を回収する回収工程S2と、回収した水酸化インジウム粉を乾燥する乾燥工程S3と、乾燥した水酸化インジウム粉を仮焼して酸化インジウム粉を得る酸化インジウム粉の生成工程S4とを有する。
水酸化インジウム粉は、後述するようにインジウムを含む陽極と陰極とを電解液の硝酸アンモニウム水溶液等に浸漬させ、電解液のpHを2.5〜4.0、液温を20〜60℃の範囲となるように制御して電解により生成することができる。
(2−1)水酸化インジウム粉の生成工程
水酸化インジウム生成工程S1では、インジウムを含む陽極と、陰極とを電解液に浸漬させ、電解反応により水酸化インジウム粉を生成する。
陽極には、上述した陽極の再生方法により得られた陽極を用いることができる。上述した陽極の再生方法で得られた陽極は、ガス成分を除いた純度99.995%以上であるため、再生したものであっても高純度の陽極を用いることができる。
陰極には、導電性の金属やカーボン電極等が用いられ、例えば不溶性のチタンを白金でコーティングしたもの等を用いることができる。
電解液には、水溶性の硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩等の一般的な電解質塩の水溶液を用いることができる。その中でも硝酸アンモニウム水溶液を用いた場合には、硝酸イオン、アンモニウムイオンが酸化インジウム粉の生成工程S4における仮焼によって窒素化合物として除去されるため、不純物成分の混入を防止することができる。一方、電解液に塩化アンモニウムや硫酸アンモニウムを用いた場合には、塩化物イオンや硫酸イオン等の不純物成分が混入してしまう。したがって、電解液には、硝酸アンモニウム水溶液を用いることが好ましい。
電解液の濃度は、0.1〜2.0mol/Lの範囲とすることが好ましい。電解液の濃度が0.1mol/Lよりも低いと、電解液の電気伝導度が低下し、電解電圧が上昇するため、通電部が発熱したり、電力コストが高くなったりする等の問題が生じるため好ましくない。一方、電解液の濃度が2.0mol/Lより高いと、電解によって生成される水酸化インジイウム粉が粗大化する上、粒径のばらつきが大きくなるため好ましくない。したがって、電解液の濃度は、0.1〜2.0mol/Lの範囲とすることが好ましい。
電解液のpHは、pH2.5〜4.0の範囲とすることが好ましい。pHが4.0よりも高くなると、生成する水酸化インジウム粉は、結晶性に乱れが生じ、一次粒子径が微細化し、凝集性を有する粉末になり、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。また、pHが2.5よりも低いと、陰極にメタルのインジウムが析出してしまい、水酸化インジウム粉の生産効率が低下する。したがって、電解液のpHは、pH2.5〜4.0の範囲とすることが好ましい。
電解液の液温は、20〜60℃の範囲が好ましい。電解液の温度が20℃よりも低い場合は、水酸化インジウム粉の結晶性に乱れが生じ、一次粒子径が微細化し、凝集性を有する粉末になり、結果として粒度分布の幅が広くなってしまう。また、60℃よりも高い場合は、粒成長が促進されるために、一次粒子径が大きくなる。粒子径の違いは、凝集の度合いに影響を与えるため、結果として、異なる粒子径の水酸化インジウム粉を含むようになり、粒度分布の幅が広くなってしまう。したがって、電解液の液温は、20〜60℃の範囲とすることが好ましい。
電解条件は、特に限定されないが、電流密度を3〜15A/dmで行うことが好ましい。電流密度が3A/dmよりも低いと、水酸化インジウム粉の生産効率が低下してしまう。電流密度が15A/dmよりも高いと、電解電圧が上昇することで液温上昇が生じやすくなること、金属インジウムの表面が不動態化し電解し難くなる等の問題が生じてしまう。したがって、電流密度を3〜15A/dmとすることが好ましい。
(2−2)水酸化インジウム粉の回収工程
水酸化インジウム粉の回収工程S2は、水酸化インジウム粉の生成工程S1で生成された水酸化インジウム粉を電解液から固液分離し、分離した水酸化インジウム粉を純水で洗浄して再び固液分離して回収する。固液分離方法は、例えばロータリーフィルタ、遠心分離、フィルタープレス、加圧濾過、減圧濾過等による濾過を挙げることができる。なお、洗浄回数は特に限定されず、必要に応じて複数回行う。
(2−3)水酸化インジウム粉の乾燥工程
水酸化インジウム粉の乾燥工程S3では、回収した水酸化インジウム粉の乾燥を行う。乾燥方法は、特に限定されないが、例えばスプレードライヤ、空気対流型乾燥炉、赤外線乾燥炉等の乾燥機で行う。乾燥条件は、水酸化インジウム粉の水分を除去できれば特に限定されないが、例えば乾燥温度は80〜150℃の範囲が好ましい。乾燥温度が80℃よりも低いと、乾燥が不十分となりやすい。150℃よりも高いと、水酸化インジウムから酸化インジウムに変化してしまい、次工程での酸化インジウム粉の粒度分布の調整において不都合となる場合がある。また、乾燥時間は、温度により異なるが、約10〜24時間とすることが好ましい。
以上のような水酸化インジウム粉の製造方法では、陽極に再生した陽極を用いているものの、陽極を再生する際に使用後の陽極に付着しているスラッジを除去し、追加するインジウムにガス成分を除いた純度99.995%以上の高純度のインジウムを用いているため、再生された陽極の純度も高く、電解により生成された水酸化インジウム粉に不純物が混入することを抑制できている。したがって、水酸化インジウム粉の製造方法では、高純度な水酸化インジウム粉を生成することができる。
(2−4)酸化インジウム粉の生成工程
酸化インジウム粉の生成工程S4では、乾燥工程S3による乾燥後の水酸化インジウム粉を仮焼して酸化インジウム粉を生成する。仮焼条件は、適宜決定するが、例えば仮焼温度600〜800℃、仮焼時間1〜10時間で行うことが好ましい。
仮焼温度が600℃よりも低いと、凝集性を有する酸化インジウムの粉末となってしまう。そのため、得られた酸化インジウム粉では、高密度の焼結材料、例えば酸化インジウム錫(ITO)焼結材料を得ることができない。また、凝集により一次粒子径が大きくなり、粒子間に生じる空孔も大きくなるため、焼結性が低下する。これにより、得られた酸化インジウム粉では、高密度の焼結材料を得ることができない。したがって、高密度の焼結材料を得るためには、仮焼温度を600℃〜800℃の範囲とすることが好ましい。
得られた酸化インジウム粉は、高純度で、比表面積が制御されており、分散性が良く、凝集が少ないため、高密度の焼結材料を生成することができる。
なお、酸化インジウム粉の生成工程S4では、水酸化インジウム粉をより所望の粒径とするため必要に応じて解砕又は粉砕を行ってもよい。また、この酸化インジウム粉の生成工程S4では、水酸化インジウム粉の電解の際に電解液に硝酸アンモニウムを用いた場合、硝酸アンモニウムの分解が生じ、酸化インジウム粉へも不純物が混入することを防止できる。
以上のように、水酸化インジウム粉の製造方法では、再生された陽極を用いた場合であっても、再生された陽極の純度が高いため、高純度の水酸化インジウムが得られる。また、水酸化インジウム粉の製造方法では、インジウムを含む陽極を用いた電解反応により水酸化インジウム粉を得る際に、電解液として例えば硝酸アンモニウム水溶液を用い、電解液のpHを2.5〜4.0、液温を20〜60℃の範囲となるように制御することで、結晶性の高い水酸化インジウム粉を得ることができる。得られた水酸化インジウム粉は、高純度で、凝集が抑制され、粒度分布の狭いものである。
そして、酸化インジウム粉の製造方法では、得られた水酸化インジウム粉を仮焼することで、高純度で分散性が良く、粒度分布の狭い酸化インジウム粉を得ることができる。
<3.スパッタリングターゲットの製造方法>
スパッタリングターゲットの製造方法は、先ず、上述した酸化インジウム粉の製造方法により得られた酸化インジウム粉を酸化すず粉等のターゲットの他の原料と所定の割合で混合し造粒粉を作製する。次に、造粒粉を用いて例えばコールドプレス法により成型体を作製する。次に、成型体に対して、大気圧下で例えば1300〜1600℃の温度範囲内で焼結を行う。次に、必要に応じて、焼結体の平面や側面を研磨する等の加工を行う。そして、焼結体をCu製のバッキングプレートにボンディングすることにより、酸化インジウム錫スパッタリングターゲット(ITOスパッタリングターゲット)を得ることができる。
スパッタリングターゲットの製造方法では、高純度で分散性が良く、粒度分布の狭い酸化インジウム粉を用いているため、高密度の焼結体を得ることができ、スパッタリングターゲットの密度を高くすることができる。これにより、スパッタリングターゲットは、加工中に割れ欠けが生じず、スパッタの際に異常放電が発生することも抑制できる。また、このスパッタリングターゲットは、不純物の混入が抑えられているため、不純物による膜特性の低下が抑えられる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、硝酸アンモニウム水溶液(pH3.8、液温40℃)の電解液に、電極面積20cm×35cm、厚さ5mmの陽極(純度99.99%、質量2555g)とステンレス製の陰極を並行に設置して、電流密度10A/dmで10時間の電解を行った。陽極に使用したインジウムの不純物成分を固体発光分光分析によって測定した結果、インジウム以外の成分は未検出であった。
次に、陽極を交換して同条件で再度電解を実施して、合計で2枚の使用済み陽極を作製した。使用した陽極の平均の重量は1555gであり、すべての電極の表面は真っ黒なスラッジに覆われていた。スラッジを成分分析したところ、酸化インジウム、水酸化インジウムが主成分であり、そのほかにSi、Ca、Cu等の成分が数ppm検出された。これらの成分は陽極中にもともと含まれているものであるが、その濃度は0.001〜0.9ppm程度である。このことから、陽極を使用している間に、インジウム成分のみが溶解し、不純物成分が表面に濃縮したものと考えられる。
次に、この使用済み陽極2枚をスラッジを除去せずにカーボン製るつぼに入れ、更に電解により消費した減量分に相当する2000gのインジウムインゴット(ガス成分を除いた純度99.995%)を追加し、固体塩化物として塩化アンモニウムを使用済み陽極の重量の2質量%を添加してから、250℃で溶解した。溶解してしばらくすると溶融インジウムの表面に不純物のスラグが生じたのでスキマーで回収し、その他の溶融インジウムを型に流し込んで陽極板を作製した。得られた陽極の不純物分析を行ったところ、表1のようにインジウム以外の成分は0.001質量%未満であり、不純物が非常に少なく含有成分に問題はなかった。また、得られた陽極の純度も99.995%以上であり高純度のものが得られた。
Figure 0006222067
そして、得られた陽極の再生と使用を繰り返した時の脆化を確認した。再生を1、2、10、20回繰り返した後の陽極の折り曲げ性を調べた。折り曲げ性評価は、再生した陽極から、幅1cm×長さ5cm×厚み0.5cmの板を切りだしたあと、手で90度折り曲げ、再び元に戻すといったことを20回行い、クラック発生の有無を確認した。この結果、20回折り曲げを行ったあともクラックの発生は見られなかった。したがって、この結果から本発明を適用した陽極の再生方法で陽極を再生することで、不純物の混入が抑制され、強度の高い陽極を再生できることがわかる。
次に、再生回数が20回の陽極を用いて上述した同条件で電解を行って得られた水酸化インジウム粉を700℃で5時間仮焼を行い、酸化インジウム粉を得た。
酸化インジウム粉の品位を固体発光分光分析により分析し、粒度分布をレーザ回折式粒度分布計により測定した。得られた酸化インジウムの品位と粒度分布とも良好な結果が得られた。
その後、得られた酸化インジウム粉967gに酸化スズ粉33gを混合したのち、コールドプレス法により成形体を得て大気圧下、1400℃、30時間で、焼結し、酸化インジウム錫の焼結体を作製した。焼結体の品位を固体発光分光分析により分析し、相対密度をアルキメデス法により測定した。得られた酸化インジウム錫の焼結体の品位と相対密度とも良好な結果が得られた。
<比較例1>
比較例1では、固体塩化剤として塩化アンモニウムを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして陽極の再生を行った。再生した陽極の不純物分析を行ったところ、インジウム以外の成分は表2のとおりであった。
Figure 0006222067
この結果から、固体塩化剤を使用しないで再生を行うと、再生した陽極中の不純物が徐々に増加することがわかる。10回再生した後の折り曲げ性は、折り曲げ13回でクラックの発生が確認された。この結果から、1回再生を行っただけでも不純物が0.001質量%も含まれてしまい、実施例のような高純度の陽極が得られないことがわかる。
<比較例2>
比較例2では、固体塩化剤を使用せず、スラッジが付いたままの使用済み陽極1枚と新しいインジウム金属1.5kgを一緒に溶解して、陽極の再生を行った。再生した陽極の不純物分析を行ったところ、インジウム以外の成分は表3のとおりであった。比較例1の使用済み陽極のみを使用した場合に比べて不純物の増加は少なくなっているものの、再生回数とともに不純物成分が増加していることがわかる。この結果から、使用後の陽極と、新しいインジウム金属を混合して再生した場合であっても、再生回数が増えるにつれて、スラッジによる不純物が増加し、実施例のような高純度の陽極が得られないことがわかる。
Figure 0006222067
10回再生した後の折り曲げ性は、折り曲げ17回でクラックの発生が確認された。
以上の結果から、陽極を再生する際に、固体塩化剤を使用して使用後の陽極に付着しているスラッジを取り除くことにより、再生した陽極の不純物が増加することもなく、高純度で機械的強度の高い陽極を繰り返しの再生が可能であることがわかる。

Claims (10)

  1. 電解で使用したインジウムの陽極の再生方法において、
    使用後の陽極、及び電解により消費した減量分に相当する量の、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインジウムが溶解した溶融インジウムと、
    上記使用後の陽極量に対して1質量%以上、3質量%以下の固体塩化剤とを混合して、上記溶融インジウムから不純物を除去し、
    上記不純物を除去した溶融インジウムを型に流し込み、ガス成分を除いた純度99.995%以上の陽極を鋳造することを特徴とする陽極の再生方法。
  2. 上記使用後の陽極とは、使用した量が初期陽極の60質量%以上、80質量%以下の範囲まで使用したものであることを特徴とする請求項1に記載の陽極の再生方法。
  3. 上記固体塩化剤は、塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の陽極の再生方法。
  4. 上記追加するインジウムは、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインゴットであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の陽極の再生方法。
  5. 陽極を用いて電解法により作製する水酸化インジウム粉の製造方法において、
    使用後の陽極、及び電解により消費した減量分に相当する量の、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインジウムが溶解した溶融インジウムと、
    上記使用後の陽極量に対して1質量%以上、3質量%以下の固体塩化剤とを混合して、上記溶融インジウムから不純物を除去し、
    上記不純物を除去した溶融インジウムを型に流し込み、ガス成分を除いた純度99.995%以上の陽極を鋳造し、得られた陽極を用いることを特徴とする水酸化インジウム粉の製造方法。
  6. 上記使用後の陽極とは、使用した量が初期陽極の60質量%以上、80質量%以下の範囲まで使用したものであることを特徴とする請求項5に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
  7. 上記固体塩化剤は、塩化アンモニウムであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
  8. 上記追加するインジウムは、ガス成分を除いた純度99.995%以上のインゴットであることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の水酸化インジウム粉の製造方法。
  9. 請求項乃至請求項のいずれか1項に記載された水酸化インジウム粉の製造方法によって得られた水酸化インジウム粉を用いて、酸化インジウム粉を製造することを特徴とする酸化インジウム粉の製造方法。
  10. 請求項に記載された酸化インジウム粉の製造方法によって得られた酸化インジウム粉を用いて、スパッタリングターゲットを製造することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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