(第1の実施形態)
図1〜図3を参照して本発明をパーキングロック装置に適用した第1の実施形態について説明する。図1に示すように、パーキングロック装置1は、パーキングギア2及び該パーキングギア2と係脱するロックポール3を有している。パーキングギア2及びロックポール3は、車両に備えられた変速装置のハウジングケース(図示略)内に設けられている。
パーキングギア2は、変速装置のハウジングケース内に貫挿されたエンジンのクランク軸(図示略)に固着され、該クランク軸と一体回転するようになっている。そして、パーキングギア2は、その歯2aにロックポール3の係止爪3aが噛合することによって、その回転が係止される。
ロックポール3は、パーキングギア2に隣接配置され、変速装置のハウジングケース内に固設された図示しない中間プレートに揺動可能に支持されている。ロックポール3は、その基端部が中間プレートに設けた支軸4に対して回動可能に支持され、該支軸4の中心軸線C1を回転中心として回動可能になっている。
ロックポール3のパーキングギア2側の中間部には、係止爪3aが形成されている。ロックポール3は、パーキングギア2側に回動して係止爪3aが、パーキングギア2の歯2aと噛合する位置(以下、ロック位置という)に案内される。そして、ロックポール3は、係止爪3aがロック位置に案内されることでパーキングギア2の回転を不能にさせるようになっている。
反対に、ロックポール3は、パーキングギア2の歯2aから離間する方向に回動して係止爪3aが、図1に示すように、パーキングギア2の歯2aとの噛合を解除する位置(以下、アンロック位置という)に案内される。そして、ロックポール3は、係止爪3aが、アンロック位置に案内されることでパーキングギア2の回転を可能にさせるようになっている。
位置決め板5は、その基端部に連結アーム5bを延出形成し、その連結アーム5bには、パークロッド9が回動可能に連結固定されている。パークロッド9は、基端部がL字状に屈曲しその屈曲した先端部からさらにL字状に屈曲して形成されたロッド部9aを有している。ロッド部9aは、ロックポール3の反パーキングギア2側まで延出形成されている。そして、パークロッド9は、位置決め板5の往復回動に伴いロッド部9aがロックポール3と交差する方向に往復移動する。
パークロッド9のロッド部9aには、コイルスプリング7が貫挿されている。コイルスプリング7は、その基端部がロッド部9aに形成したストッパ片9bに係合され、先端部がロッド部9aに摺動可能に貫挿された制御カム10と係合されている。
制御カム10は、コイルスプリング7にて、常にロッド部9aの先端側に弾圧されている。そして、制御カム10は、そのテーパコーン状のカム面10aがロックポール3の反パーキングギア2側の面に摺接するようになっている。従って、パークロッド9のロッド部9aが位置決め板5の往復回動に伴い往復移動すると、制御カム10は、ロックポール3の反パーキングギア2側の面を摺接しながら往復移動する。その結果、制御カム10の摺動に基づいて、ロックポール3は、支軸4の中心軸線C1を回転中心として回動する。つまり、ロックポール3は、位置決め板5の回動によって、ロック位置とアンロック位置との間を回動することになる。
詳述すると、ロックポール3が図1に示すアンロック位置にあるときに、位置決め板5が反時計回り方向に回ると、パークロッド9及び制御カム10がロックポール3側に移動する。制御カム10の移動に伴いロックポール3はパーキングギア2側に回動する。これによって、ロックポール3は、アンロック位置からロック位置に案内される。
反対に、ロックポール3がロック位置にある状態から、位置決め板5が時計回り方向に回ると、パークロッド9及び制御カム10が反ロックポール3側に後退移動する。制御カム10の後退移動に伴いロックポール3は反パーキングギア2側に回動する。これによって、ロックポール3は、ロック位置からアンロック位置に案内される。
なお、本実施形態では、ロックポール3は、図示しない弾性部材にて、図1において、反時計回り方向に弾性力が与えられていて、常時、制御カム10を弾圧している。
位置決め板5は、その円弧状の周面5aに、一対の嵌合凹部としてのロック保持凹部11及びアンロック保持凹部12が凹設されている。ロック保持凹部11は位置決め板5の周面5aの一側(図1において時計回り方向側)に形成されている。一方、アンロック保持凹部12は位置決め板5の周面5aの他側(図1において反時計回り方向側)に形成されている。
そして、ロック保持凹部11及びアンロック保持凹部12の間の周面5aの形状は山形形状であって、最も高い最頂点がロック保持凹部11側に偏倚した非対称の山形形状ある。つまり、最頂点を境にロック保持凹部11側の周面5aは急な傾斜に形成され、アンロック保持凹部12側の周面5aは緩やかな傾斜に形成されている。
図2に示すように、位置決め板5の周面5aには、位置決めスプリング16の先端部に設けた嵌合部としてのローラ16aが弾圧されている。位置決めスプリング16は、板ばねからなり、その基端部が図示しない中間プレートに固定され、先端部に設けたローラ16aを位置決め板5の周面5aに対して常に押圧している。
そして、位置決め板5がロックポール3のアンロック位置に相当する図1に示す回動位置(以下、「アンロック回動位置」ともいう)にあるとき、位置決めスプリング16は、ローラ16aがアンロック保持凹部12に嵌合することで、当該回動位置に位置決め板5を付勢保持する。反対に、位置決め板5がロックポール3のロック位置に相当する回動位置(以下、「ロック回動位置」ともいう)にあるとき、位置決めスプリング16は、ローラ16aがロック保持凹部11に嵌合することで、当該回動位置に位置決め板5を付勢保持する。
詳述すると、位置決め板5が図1に示すアンロック回動位置ある状態から、位置決め板5が反時計回り方向に回動すると、位置決めスプリング16のローラ16aはアンロック保持凹部12から外れてロック保持凹部11に向かって周面5aを摺接する。そして、ローラ16aがアンロック保持凹部12から周面5aの最頂点を越えてロック保持凹部11に達すると、周面5aに押し付けられているローラ16aがロック保持凹部11に嵌合するようになっている。このとき、位置決め板5は、位置決めスプリング16によりロック回動位置に付勢保持される。
反対に、位置決め板5がロック回動位置ある状態から、位置決め板5が時計回り方向に回動すると、位置決めスプリング16のローラ16aはロック保持凹部11から外れてアンロック保持凹部12に向かって周面5aを摺接する。そして、ローラ16aがロック保持凹部11から周面5aの最頂点を越えてアンロック保持凹部12に達すると、周面5aに押し付けられているローラ16aがアンロック保持凹部12に嵌合するようになっている。このとき、位置決め板5は、位置決めスプリング16によりアンロック回動位置に付勢保持される。
次に、位置決め板5を回動駆動する駆動装置20について説明する。
図2に示すように、駆動装置20は、変速装置に隣接されたハウジングケース22にケーシングされている。このハウジングケース22は、その内部から回転軸21を回転可能にかつ軸線方向に移動不能に突出させている。なお、回転軸21は、変速装置のハウジングケース外から該ハウジングケース内に貫挿されて、前記位置決め板5の基端部に固着されている。従って、回転軸21は、位置決め板5と一体で第2の回転軸Ax2を中心に回動するようになっている。
ハウジングケース22内の回転軸21には、該回転軸21(第2の回転軸Ax2)を中心とする径方向に延在する板体からなる従動側回転体としての従動レバー23が連結固定されている。従って、従動レバー23は、回転軸21に固着された位置決め板5と一体で第2の回転軸Ax2を中心に回動する。従動レバー23は、基端部がL字状に屈曲するとともに、その屈曲した先端部からさらにL字状に屈曲している。そして、従動レバー23の屈曲した先端部には、第2の回転軸Ax2を中心とする径方向先端に開口部24aを有して当該径方向に延在するカム凹部としてのカム溝24が形成されている。つまり、従動レバー23は、いわゆる音叉形状を呈している。なお、カム溝24の開口部24aには、第2の回転軸Ax2から離れる側が拡開されるように略円弧状に曲成された一対のガイド部24bが形成されている。
また、ハウジングケース22には、モータとしてのブラシモータ25が固着されている。ブラシモータ25のハウジングケース22内に突出する回転軸(図示略)には、図3に示すように、ウォーム26が一体回転するように固着されている。そして、ウォーム26には、ハウジングケース22によりその内部で第2の回転軸Ax2と平行な第1の回転軸Ax1を中心に回動自在に支持された駆動側回転体としてのウォームホイール27が噛合する。ウォーム26及びウォームホイール27はウォームギヤを構成する。従って、ブラシモータ25を回転させると、ウォームギヤを介して十分に減速されてウォームホイール27が第1の回転軸Ax1を中心に回動する。
ウォームホイール27には、第1の回転軸Ax1を中心とする径方向に変位した略円柱状の摺動体28が第1の回転軸Ax1と平行に突設されている。この摺動体28は、従動レバー23のカム溝24を貫通可能なように延設されており、位置決め板5がアンロック回動位置又はロック回動位置にあるときに、ウォームホイール27の回動に伴ってカム溝24に進入可能に配置されている。また、位置決め板5がアンロック回動位置及びロック回動位置に配置される状態では、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sを挟んでその互いに相反する側に配置されている。
そして、例えば位置決め板5がロック回動位置にある状態のときに、ブラシモータ25の駆動に伴い、ウォームホイール27が図示時計回り方向に回動すると、カム溝24から抜けていた摺動体28はガイド部24bに案内されつつ開口部24aからカム溝24内に進入する。そして、ウォームホイール27が図示時計回り方向に更に回動すると、従動レバー23は、カム溝24の内壁面が摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示反時計回り方向に回動する。これに伴い、従動レバー23と一体回動する位置決め板5は、前述の態様でアンロック回動位置にある状態へと切り替わる。このとき、摺動体28は、第2の回転軸Ax2に近付くようにカム溝24を摺動した後に、第2の回転軸Ax2から離れるようにカム溝24を摺動する。従って、位置決め板5がアンロック回動位置に達した直後の状態では、摺動体28はカム溝24の開口部24aに配置されている。
本実施形態では、位置決め板5がアンロック回動位置又はロック回動位置に達したことを検出するための適宜の検出手段(例えばホール素子を搭載した回転センサ、リミットスイッチなど:図示略)が設けられており、該検出手段により位置決め板5がアンロック回動位置に達したことが検出されることで、ブラシモータ25の駆動が停止されるようになっている。ただし、位置決め板5がアンロック回動位置に達した後も、ブラシモータ25の惰性回転等でウォームホイール27が回動し続けるため、摺動体28はカム溝24と干渉することなくその開口部24aから抜けていく。
その後、この状態(位置決め板5がアンロック回動位置にあり、摺動体28がカム溝24から抜けた状態)で、ブラシモータ25の駆動に伴い、ウォームホイール27が図示反時計回り方向に回動すると、カム溝24から抜けていた摺動体28はガイド部24bに案内されつつ開口部24aからカム溝24内に進入する。そして、ウォームホイール27が図示反時計回り方向に更に回動すると、従動レバー23は、カム溝24の内壁面が摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示時計回り方向に回動する。これに伴い、従動レバー23と一体回動する位置決め板5は、前述の態様でロック回動位置にある状態へと切り替わる。このとき、摺動体28は、第2の回転軸Ax2に近付くようにカム溝24を摺動した後に、第2の回転軸Ax2から離れるようにカム溝24を摺動する。従って、位置決め板5がロック回動位置に達した直後の状態では、摺動体28はカム溝24の開口部24aに配置されている。
本実施形態では、前記検出手段により位置決め板5がロック回動位置に達したことが検出されることで、ブラシモータ25の駆動が停止されるようになっている。ただし、位置決め板5がロック回動位置に達した後も、ブラシモータ25の惰性回転等でウォームホイール27が回動し続けるため、摺動体28はカム溝24と干渉することなくその開口部24aから抜けていく。
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、ロックポール3がアンロック位置に配置され、位置決め板5がアンロック回動位置に配置されて、パーキングギア2の歯2a及びロックポール3の係止爪3aの噛合が解除される図1に示すアンロック状態にあるものとする。位置決め板5は、そのアンロック保持凹部12に位置決めスプリング16のローラ16aが嵌合することで、アンロック回動位置に付勢保持されていることは既述のとおりである。このとき、図3最下図に示すように、ウォームホイール27の摺動体28は、カム溝24から抜けたその近傍に位置する。
この状態で、シフトレバーをPレンジにシフトすると、ブラシモータ25に電源が供給されて、ブラシモータ25が一方向に回転する。この一方向の回転によって、ウォームホイール27が図3最下図において第1の回転軸Ax1を中心に反時計回り方向に回動する。そして、摺動体28が第1の回転軸Ax1の周囲を回動する。このとき、カム溝24から抜けていた摺動体28はガイド部24bに案内されつつ開口部24aからカム溝24内に進入する。そして、ウォームホイール27が図示反時計回り方向に更に回動すると、従動レバー23は、カム溝24の内壁面が摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示時計回り方向に回動する。従動レバー23と一体での位置決め板5の図示時計回り方向の回動に伴い、アンロック保持凹部12からロック保持凹部11に向かって周面5aを摺接する位置決めスプリング16のローラ16aが周面5aの最頂点を越えてロック保持凹部11に達すると、ローラ16aがロック保持凹部11に嵌合して位置決め板5がロック回動位置に付勢保持される。また、位置決め板5の時計回り方向の回動によって、パークロッド9及び制御カム10がロックポール3側に移動し、ロックポール3がアンロック位置からロック位置に案内される。そして、パーキングギア2の歯2a及びロックポール3の係止爪3aが噛合するロック状態へと切り替わる。
位置決め板5がロック回動位置に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。より厳密には、位置決め板5がロック回動位置直近の所定回動位置(図3上3段及び上2段間の状態に相当する予め決められた回動位置)に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。これは、ブラシモータ25の駆動停止後の惰性回転分を一部利用して、ローラ16aにロック保持凹部11を嵌合させるためである。ただし、ローラ16aにロック保持凹部11を嵌合させた後も、ブラシモータ25の更なる惰性回転等でウォームホイール27が回動し続けるため、図3最上図に示すように、摺動体28はカム溝24と干渉することなくその開口部24aから抜けていく。
本実施形態では、位置決め板5がロック回動位置に切り替わるタイミングでは、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sに対して変位するように配置されている。従って、仮に、摺動体28がカム溝24から抜けていく際に組付けばらつき等の影響でカム溝24と干渉したとしても、例えば平面S上に摺動体28が配置されている場合に比べ、第1の回転軸Ax1におけるウォームホイール27(摺動体28)の回動量に対する第2の回転軸Ax2における従動レバー23の回動量、即ち位置決め板5の回動量を縮小できる。これは、平面S上に摺動体28が配置されている場合、該摺動体28がカム溝24を略摺動することなく、従動レバー23(位置決め板5)に回動伝達することになるためである。
次に、ロック状態で、シフトレバーをPレンジ以外のレンジにシフトすると、ブラシモータ25に電源が供給されて、ブラシモータ25が他方向に回転する。この他方向の回転によって、ウォームホイール27が図3最上図において第1の回転軸Ax1を中心に時計回り方向に回動する。そして、摺動体28が第1の回転軸Ax1の周囲を回動する。このとき、カム溝24から抜けていた摺動体28はガイド部24bに案内されつつ開口部24aからカム溝24内に進入する。そして、ウォームホイール27が図示時計回り方向に更に回動すると、従動レバー23は、カム溝24の内壁面が摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示反時計回り方向に回動する。従動レバー23と一体での位置決め板5の図示反時計回り方向の回動に伴い、ロック保持凹部11からアンロック保持凹部12に向かって周面5aを摺接する位置決めスプリング16のローラ16aが周面5aの最頂点を越えてアンロック保持凹部12に達すると、ローラ16aがアンロック保持凹部12に嵌合して位置決め板5がアンロック回動位置に付勢保持される。また、位置決め板5の反時計回り方向の回動によって、パークロッド9及び制御カム10が反ロックポール3側に移動し、ロックポール3がロック位置からアンロック位置に案内される。そして、パーキングギア2の歯2a及びロックポール3の係止爪3aの噛合が解除されるアンロック状態へと切り替わる。
位置決め板5がアンロック回動位置に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。より厳密には、位置決め板5がアンロック回動位置直近の所定回動位置(図3下3段及び下2段間の状態に相当する予め決められた回動位置)に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。これは、ブラシモータ25の駆動停止後の惰性回転分を一部利用して、ローラ16aにアンロック保持凹部12を嵌合させるためである。ただし、ローラ16aにアンロック保持凹部12を嵌合させた後も、ブラシモータ25の更なる惰性回転等でウォームホイール27が回動し続けるため、図3最下図に示すように、摺動体28はカム溝24と干渉することなくその開口部24aから抜けていく。
本実施形態では、位置決め板5がアンロック回動位置に切り替わるタイミングでは、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sに対して変位するように配置されている。従って、仮に、摺動体28がカム溝24から抜けていく際に組付けばらつき等の影響でカム溝24と干渉したとしても、例えば平面S上に摺動体28が配置されている場合に比べ、第1の回転軸Ax1におけるウォームホイール27(摺動体28)の回動量に対する第2の回転軸Ax2における従動レバー23の回動量、即ち位置決め板5の回動量を縮小できる。これは、平面S上に摺動体28が配置されている場合、該摺動体28がカム溝24を略摺動することなく、従動レバー23(位置決め板5)に回動伝達することになるためである。
なお、ブラシモータ25の駆動回路は、公知の駆動回路であって、例えばパワーMOSトランジスタを4個使用したH型ブリッジ回路が考えられる。そして、前記検出手段による検出結果に基づいて4個のパワーMOSトランジスタを適宜オン・オフ制御して、ブラシモータ25を正逆回転させたり、駆動電源の遮断を行うにすればよい。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ロック保持凹部11及びアンロック保持凹部12間をローラ16aが移動して、ロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12にローラ16aが嵌合するとき、即ちロック回動位置及びアンロック回動位置間で位置決め板5の状態が切り替わるタイミングでは、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sに対して変位するように配置されている。従って、例えば平面S上に摺動体28が配置されている場合に比べ、第1の回転軸Ax1におけるウォームホイール27(摺動体28)の回動量に対する第2の回転軸Ax2における従動レバー23の回動量、即ち位置決め板5の回動量を縮小することができる。つまり、ブラシモータ25の回転に対して従動レバー23及び位置決め板5を回転しにくくできる。従って、高度なモータ制御回路を採用しなくても、ブラシモータ25の停止時の回転位置のばらつきの影響を緩和して位置決め板5を停止させることができ、ローラ16aにロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12をより確実に嵌合させることができる。換言すれば、位置決め板5がアンロック回動位置又はロック回動位置に達したことを前記検出手段により検出してブラシモータ25の電源供給を遮断するだけで、ローラ16aにロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12を嵌合させることができる。
(2)本実施形態では、ブラシモータ25の停止時の回転位置がずれて、カム溝24における摺動体28の位置がずれたとしても、これを両ガイド部24bによる開口幅の増加分で吸収することで、ウォームホイール27(摺動体28)に制約されることなく従動レバー23及び位置決め板5を回動・停止することができる。従って、ローラ16aにロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12をより確実に嵌合させることができる。また、カム溝24における摺動体28の位置がずれたとしても、応力が残ることを抑制できる。
また、ブラシモータ25の停止時の回転位置がずれて、カム溝24における摺動体28の位置がずれたとしても、これを両ガイド部24bによる開口幅の増加分で摺動体28の移動軌跡を開放することで、摺動体28のカム溝24(従動レバー23)との干渉を抑制することができる。また、カム溝24にガイド部24bを形成したことで、例えば外力で従動レバー23の停止位置が動いたとしても、摺動体28及び従動レバー23の動作を同期させることができる。
(3)本実施形態では、ローラ16aがロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12に嵌合する位置決め板5の回動位置の状態では、摺動体28はカム溝24の開口部24aに配置される。従って、例えばウォームホイール27と共に摺動体28が回り過ぎたとしても、カム溝24の開口部24aから抜けて動力伝達が切り離されることで、ウォームホイール27(摺動体28)に制約されることなく従動レバー23及び位置決め板5を回動・停止することができる。このように、カム溝24に開口部24aを形成する極めて簡易な構造で、ローラ16aにロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12をより確実に嵌合させることができる。
(4)本実施形態では、カム溝24の開口部24aに一対のガイド部24bが形成されていることで、カム溝24の開口部24aから抜けた摺動体28を、ガイド部24bにおいてカム溝24内に円滑に案内することができる。
(5)本実施形態では、ロータリーエンコーダ等の高精度で高価なセンサを用いる必要がなく、しかも、PWM制御やPID制御といった高度で複雑なモータ制御を行う必要がない、安価なパーキングロック装置1を提供することができる。
(6)本実施形態では、ブラシモータ25は、その停止位置(位置決め板5のアンロック回動位置又はロック回動位置に相当する回転位置)に達するまで駆動されることで、位置決めスプリング16によるローラ16aの落とし込みがうまく作用しなかったとしても、位置決め板5をアンロック回動位置又はロック回動位置により確実に到達させることができる。
(第2の実施形態)
図4〜図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、主として第1の実施形態の従動レバーの構造を変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
図4及び図5に示すように、本実施形態の従動側回転体としての従動レバー31は、前記回転軸21に連結固定されており、該回転軸21に固着された前記位置決め板5と一体で第2の回転軸Ax2を中心に回動する。この従動レバー31は、回転軸21(第2の回転軸Ax2)を中心とする径方向に延在する略長方形の板体からなり、基端部がL字状に屈曲するとともに、その屈曲した先端部からさらにL字状に屈曲している。そして、従動レバー23の屈曲した先端部には、第2の回転軸Ax2を中心とする径方向に延在する略長方形のカム凹部としてのカム孔32が形成されている。
また、図6に誇張して示したように、カム孔32の長手方向中央部には、第2の回転軸Ax2を中心とする図示時計回り方向側の内壁面32a及び図示反時計回り方向側の内壁面32bを互いに離隔するように略円弧状に凹設した一対の逃げ部32c,32dが形成されている。従って、カム孔32の長手方向中央部は、これら逃げ部32c,32dにより開口幅が漸増されている。そして、カム孔32には、前記摺動体28が挿通されている。位置決め板5がアンロック回動位置又はロック回動位置に配置される状態では、摺動体28はカム孔32の長手方向中央部(逃げ部32c,32d)に配置されるようになっている。また、位置決め板5がアンロック回動位置及びロック回動位置に配置される状態では、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sを挟んでその互いに相反する側に配置されている。特に、位置決め板5がアンロック回動位置に配置される状態では、第1の回転軸Ax1及び摺動体28を結ぶ径方向と、第2の回転軸Ax2及びカム孔32を結ぶ径方向とが略直交するように配置されている。
そして、例えば位置決め板5が図5最上図に示すロック回動位置にある状態のときに、ブラシモータ25の駆動に伴い、ウォームホイール27が図示時計回り方向に回動すると、逃げ部32c,32dに配置されていた摺動体28がカム孔32の内壁面32aを押圧する。従動レバー31は、カム孔32の内壁面32aが摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示反時計回り方向に回動する。これに伴い、従動レバー31と一体回動する位置決め板5は、前述の態様でアンロック回動位置にある状態へと切り替わる。このとき、第1の回転軸Ax1を中心とするウォームホイール27(摺動体28)の回転角度は、概ね0°〜180°となっている。そして、摺動体28は、第2の回転軸Ax2に近付くようにカム孔32(内壁面32a)を摺動した後に、第2の回転軸Ax2から離れるようにカム孔32(内壁面32a)を摺動する。従って、位置決め板5がアンロック回動位置に達した直後の状態では、摺動体28はカム孔32の長手方向中央部に配置されている。
本実施形態では、前記検出手段により位置決め板5がアンロック回動位置に達したことが検出されることで、ブラシモータ25の駆動が停止されるようになっている。ただし、位置決め板5がアンロック回動位置に達した後も、ブラシモータ25の惰性回転等でウォームホイール27(摺動体28)が回動し続ける。このとき、従動レバー31は、逃げ部32c,32dの範囲で摺動体28との干渉を回避又は抑制する。
その後、この状態(位置決め板5がアンロック回動位置にあり、摺動体28が逃げ部32c,32dに配置された状態)で、ブラシモータ25の駆動に伴い、ウォームホイール27が図示時計回り方向に再び回動すると、逃げ部32c,32dに配置されていた摺動体28がカム孔32の内壁面32bを押圧する。従動レバー31は、カム孔32の内壁面32bが摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示時計回り方向に回動する。これに伴い、従動レバー31と一体回動する位置決め板5は、前述の態様でロック回動位置にある状態へと切り替わる。このとき、第1の回転軸Ax1を中心とするウォームホイール27(摺動体28)の回転角度は、概ね180°〜0°となっている。そして、摺動体28は、第2の回転軸Ax2から離隔するようにカム孔32(内壁面32b)を摺動した後に、第2の回転軸Ax2に近付くようにカム孔32(内壁面32b)を摺動する。従って、位置決め板5がロック回動位置に達した直後の状態では、摺動体28はカム孔32の長手方向中央部に配置されている。
本実施形態では、前記検出手段により位置決め板5がロック回動位置に達したことが検出されることで、ブラシモータ25の駆動が停止されるようになっている。ただし、位置決め板5がロック回動位置に達した後も、ブラシモータ25の惰性回転等でウォームホイール27(摺動体28)が回動し続ける。このとき、従動レバー31は、逃げ部32c,32dの範囲で摺動体28との干渉を回避又は抑制する。
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、ロックポール3がアンロック位置に配置され、位置決め板5がアンロック回動位置に配置されて、パーキングギア2の歯2a及びロックポール3の係止爪3aの噛合が解除されるアンロック状態にあるものとする。このとき、図5最下図に示すように、ウォームホイール27の摺動体28は、カム孔32の長手方向中央部(逃げ部32c,32d)に位置する。
この状態で、シフトレバーをPレンジにシフトすると、ブラシモータ25に電源が供給されて、ブラシモータ25が一方向に回転する。この一方向の回転によって、ウォームホイール27が第1の回転軸Ax1を中心に時計回り方向に回動する。そして、摺動体28が第1の回転軸Ax1の周囲を回動する。このとき、従動レバー31は、カム孔32の内壁面32bが摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示時計回り方向に回動する。従動レバー23と一体での位置決め板5の図示時計回り方向の回動に伴い、アンロック保持凹部12からロック保持凹部11に向かって周面5aを摺接する位置決めスプリング16のローラ16aが周面5aの最頂点を越えてロック保持凹部11に達すると、ローラ16aがロック保持凹部11に嵌合して位置決め板5がロック回動位置に付勢保持される。また、位置決め板5の時計回り方向の回動によって、パークロッド9及び制御カム10がロックポール3側に移動し、ロックポール3がアンロック位置からロック位置に案内される。そして、パーキングギア2の歯2a及びロックポール3の係止爪3aが噛合するロック状態へと切り替わる。
位置決め板5がロック回動位置に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。より厳密には、位置決め板5がロック回動位置直近の所定回動位置に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。これは、ブラシモータ25の駆動停止後の惰性回転分を一部利用して、ローラ16aにロック保持凹部11を嵌合させるためである。ただし、ローラ16aにロック保持凹部11を嵌合させた後も、ブラシモータ25の更なる惰性回転等でウォームホイール27が回動し続ける。このため、図6に示すように、従動レバー31は、逃げ部32c,32dの範囲で摺動体28との干渉を回避又は抑制する。
本実施形態では、位置決め板5がロック回動位置に切り替わるタイミングでは、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sに対して変位するように配置されている。従って、仮に、摺動体28が逃げ部32c,32dの範囲を超えてカム孔32と干渉したとしても、例えば平面S上に摺動体28が配置されている場合に比べ、第1の回転軸Ax1におけるウォームホイール27(摺動体28)の回動量に対する第2の回転軸Ax2における従動レバー31の回動量、即ち位置決め板5の回動量を縮小できる。
次に、ロック状態で、シフトレバーをPレンジ以外のレンジにシフトすると、ブラシモータ25に電源が供給されて、ブラシモータ25が更に一方向に回転する。この一方向の回転によって、ウォームホイール27が図5最上図において第1の回転軸Ax1を中心に時計回り方向に回動する。そして、摺動体28が第1の回転軸Ax1の周囲を回動する。このとき、従動レバー31は、カム孔32の内壁面32aが摺動体28に押圧されることで、これに連動して第2の回転軸Ax2を中心に図示反時計回り方向に回動する。従動レバー23と一体での位置決め板5の図示反時計回り方向の回動に伴い、ロック保持凹部11からアンロック保持凹部12に向かって周面5aを摺接する位置決めスプリング16のローラ16aが周面5aの最頂点を越えてアンロック保持凹部12に達すると、ローラ16aがアンロック保持凹部12に嵌合して位置決め板5がアンロック回動位置に付勢保持される。また、位置決め板5の反時計回り方向の回動によって、パークロッド9及び制御カム10が反ロックポール3側に移動し、ロックポール3がロック位置からアンロック位置に案内される。そして、パーキングギア2の歯2a及びロックポール3の係止爪3aの噛合が解除されるアンロック状態へと切り替わる。
位置決め板5がアンロック回動位置に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。より厳密には、位置決め板5がアンロック回動位置直近の所定回動位置に達したことが前記検出手段により検出されることで、ブラシモータ25への電源供給が遮断されて、ブラシモータ25の駆動が停止される。これは、ブラシモータ25の駆動停止後の惰性回転分を一部利用して、ローラ16aにアンロック保持凹部12を嵌合させるためである。ただし、ローラ16aにアンロック保持凹部12を嵌合させた後も、ブラシモータ25の更なる惰性回転等でウォームホイール27が回動し続ける。このため、図6に示すように、従動レバー31は、逃げ部32c,32dの範囲で摺動体28との干渉を回避又は抑制する。
本実施形態では、位置決め板5がアンロック回動位置に切り替わるタイミングでは、摺動体28は、第1及び第2の回転軸Ax1,Ax2を含む平面Sに対して変位するように配置されている。従って、仮に、摺動体28が逃げ部32c,32dの範囲を超えてカム孔32と干渉したとしても、例えば平面S上に摺動体28が配置されている場合に比べ、第1の回転軸Ax1におけるウォームホイール27(摺動体28)の回動量に対する第2の回転軸Ax2における従動レバー31の回動量、即ち位置決め板5の回動量を縮小できる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)、(5)、(6)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ブラシモータ25の停止時の回転位置がずれて、カム孔32における摺動体28の位置がずれたとしても、これを逃げ部32c,32dの範囲で吸収することで、ウォームホイール27(摺動体28)に制約されることなく従動レバー31及び位置決め板5を回動・停止することができる。従って、ローラ16aにロック保持凹部11又はアンロック保持凹部12をより確実に嵌合させることができる。また、カム孔32における摺動体28の位置がずれたとしても、応力が残ることを抑制できる。
(2)本実施形態では、ウォームホイール27の回転方向、即ちブラシモータ25の回転方向を切り替えなくても、ローラ16aがロック保持凹部11及びアンロック保持凹部12の一方に嵌合する位置決め板5の回動位置の状態から、ロック保持凹部11及びアンロック保持凹部12の他方に嵌合する位置決め板5の回動位置の状態へと切り替えることができ、モータ制御回路や部品構成をいっそう簡素化することができる。そして、コストを削減することができる。
(3)本実施形態では、ブラシモータ25の停止時の回転位置がずれて、カム孔32における摺動体28の位置がずれたとしても、逃げ部32c,32dの範囲で摺動体28の移動軌跡を開放することで、摺動体28のカム孔32(従動レバー31)との干渉を抑制することができる。また、カム孔32に逃げ部32c,32dを形成したことで、例えば外力で従動レバー31の停止位置が動いたとしても、摺動体28及び従動レバー31の動作を同期させることができる。
(第3の実施形態)
図7〜図9を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態は、主として第1の実施形態の摺動体及びその支持構造を変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
図7に示すように、ハウジングケース22の開口端を閉塞するハウジングカバー40は、摺動体28に代わる摺動体45の先端部を支持する。
すなわち、図9に示すように、ハウジングカバー40は、ハウジングケース22の開口端に合わせて略平面状に広がるカバー本体41を有しており、該カバー本体41の周縁部においてハウジングケース22の開口端に締結及び固定されている。また、ハウジングカバー40は、ウォームホイール27と同心でカバー本体41からウォームホイール27に向かって突出する円筒状の軸受部42を有する。
図7に示すように、軸受部42には、円盤状の支持部材43が軸支されている。この支持部材43がウォームホイール27と同心に配置されていることはいうまでもない。一方、摺動体45は、第1の回転軸Ax1を中心とする径方向に変位した略円柱状のピン46と、該ピン46の外周部に装着される円筒部材としてのスリーブ47とを備えて構成される。
ピン46は、第1の回転軸Ax1と平行に中心線が延びており、両端部がウォームホイール27及び支持部材43にそれぞれ圧入及び固定されている。つまり、ウォームホイール27及び支持部材43は、ピン46を介して実質的に一体化されて、第1の回転軸Ax1周りに回転する。
スリーブ47は、ウォームホイール27及び支持部材43間の範囲でピン46の外周部に回転可能に装着されている。そして、図8に併せ示すように、摺動体45は、スリーブ47において従動レバー23のカム溝24を貫通している。位置決め板5の配置(アンロック回動位置又はロック回動位置)と、摺動体45の配置との関係は第1の実施形態と同様である。スリーブ47は、ウォームホイール27の回動に伴い、カム溝24を摺動しつつピン46周りを回転する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、摺動体45は、ピン46の外周部に装着されたスリーブ47がカム溝24を摺動しつつ回転可能である。このため、摺動体45及びカム溝24間の摩擦力が転がり摩擦力となって、力の伝達効率を向上させることができる。そして、摺動体45及びカム溝24間に焼き付きが発生する可能性を低減できる。
また、駆動装置20の効率が向上する分、ウォーム26及びウォームホイール27間の減速比を低減することができ、あるいはモータ出力を低減することができ、駆動装置20をより小型化することができる。
さらに、ウォームホイール27の回動時、摺動体45及びカム溝24間に生じる摩擦力を低減できるため、それらの耐久性を向上させることができる。
(2)本実施形態では、ピン46(摺動体45)は、ウォームホイール27及び支持部材43による両持ちで支持されることで、ピン46の支持強度を増加することができる。
また、ピン46の支持強度を増加できる分、該ピン46の剛性を実質的に増加することができ、ひいてはピン46をより小径化することができる。換言すれば、ピン46の小径化に伴う余剰スペースを利用することで、配置スペースの制約を緩和しつつ、スリーブ47を装着することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図10に示すように、ピン51と、該ピン51の外周部に装着される円筒部材としてのボールベアリング52とを備えて構成される摺動体50を採用してもよい。この場合、摺動体50は、ピン51の外周部に装着されたボールベアリング52(アウタレース)がカム溝24を摺動しつつ回転可能である。このため、摺動体50及びカム溝24間の摩擦力が転がり摩擦力となって、力の伝達効率を向上させることができる。特に、スリーブ47と比較しても、力の伝達効率を向上させることができる。
なお、摺動体50のピン51は片持ち支持であってもよいし、両持ち支持であってもよい。
・前記第1の実施形態において、摺動体28は、前記第3の実施形態と同様に、ウォームホイール27及び支持部材43による両持ちで支持されてもよい。
・前記第1及び第2の実施形態において、摺動体28に代えて、摺動体45又は50を採用してもよい。
・前記第1及び第3の実施形態においては、位置決め板5がアンロック回動位置又はロック回動位置に達した後のブラシモータ25の惰性回転等で、摺動体28,45がカム溝24から抜けるように構成したが、摺動体28,45は必ずしもカム溝24から抜ける必要はない。
・前記第1及び第3の実施形態では、従動レバー23の板厚方向に開口するカム溝24を採用したが、例えば半抜き成形などで板厚方向に開口しないカム凹部を採用してもよい。
・前記第1及び第3の実施形態では、ウォームホイール27を回動させるのに、ブラシモータ25を用いたが、正逆回転できるモータであれば、ブラシモータ25以外のモータを用いて実施してもよい。
・前記第1及び第3の実施形態において、両ガイド部24bの少なくとも一方を割愛してもよい。
・前記第2の実施形態では、従動レバー31の板厚方向に開口するカム孔32を採用したが、例えば半抜き成形などで板厚方向に開口しないカム凹部を採用してもよい。
・前記第2の実施形態では、ウォームホイール27を回動させるのに、ブラシモータ25を用いたが、一方向回転できるモータであれば、ブラシモータ25以外のモータを用いて実施してもよい。
・前記第2の実施形態において、逃げ部32c,32dの少なくとも一方を割愛してもよい。
・前記第2の実施形態において、摺動体28は、前記第3の実施形態と同様に、ウォームホイール27及び支持部材43による両持ちで支持されてもよい。また、摺動体28に代えて、摺動体45又は50を採用する場合、ピン46又は51は、ウォームホイール27により片持ちで支持されてもよいし、前記第3の実施形態と同様に、ウォームホイール27及び支持部材43による両持ちで支持されてもよい。
・前記各実施形態では、位置決めスプリング16を板バネで構成したが、例えば、コイルスプリングで実施してもよい。この場合、コイルスプリングの先端部に、ローラ16aを取着し、コイルスプリングの弾性力にてローラ16aを、位置決め板5の周面5aを弾圧させるようにしてもよい。
・前記各実施形態において、位置決めスプリング16に設けたローラ16aに代えて、例えば丸棒状の嵌合部を採用してもよい。
・前記各実施形態では、ブラシモータ25の駆動回路を、一例としてH型ブリッジ回路をあげたが、H型ブリッジ回路に限定されるものではない。また、パワーMOSトランジスタに代えてバイポーラトランジスタを用いたモータ駆動回路で実施してもよい。
・前記各実施形態において、ブラシモータ25及びウォームホイール27(摺動体28,45,50)間の動力伝達機構は任意であり、例えば平歯車群を利用した減速機構や遊星歯車機構などを採用してもよい。あるいは、適宜のリンク機構等を採用してもよい。
・前記各実施形態では、シフトレバーのPレンジ及びそれ以外のレンジ間で状態を切り替えるパーキングロック装置1に本発明を適用した。これに対して、シフトレバーのPレンジ以外の互いに異なる二つのレンジ(「R」「N」「D」等のうちの任意の二つのレンジ)間で状態を切り替えるシフト装置に本発明を適用してもよい。