JP6221298B2 - 光硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents
光硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6221298B2 JP6221298B2 JP2013068272A JP2013068272A JP6221298B2 JP 6221298 B2 JP6221298 B2 JP 6221298B2 JP 2013068272 A JP2013068272 A JP 2013068272A JP 2013068272 A JP2013068272 A JP 2013068272A JP 6221298 B2 JP6221298 B2 JP 6221298B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meth
- acrylate
- ink composition
- photocurable
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
〔1〕
重合性官能基を有する化合物の光硬化型エマルションと、
光ラジカル重合開始剤と、
85℃以上のガラス転移点を有する非光重合性樹脂、又は85℃以上のガラス転移点を有するホモポリマーを形成する水溶性モノマーの少なくともいずれかと、
水と、
を含む、
光硬化型インクジェット用インク組成物。
〔2〕
前記非光重合性樹脂又は前記水溶性モノマーの少なくともいずれかを、前記重合性官能基を有する化合物の含有量に対し、質量基準で0.1倍以上1.0倍以下含む、前項〔1〕に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
〔3〕
前記非光重合性樹脂および前記ホモポリマーは、200℃以上のガラス転移点を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
〔4〕
前記重合性官能基を有する化合物が重合性官能基を有する両親媒性化合物を含み、
前記光硬化型エマルションが自己乳化型エマルションである、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
〔5〕
前記重合性官能基を有する化合物を、1〜30質量%含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
〔6〕
前記水溶性モノマーが、(メタ)アクリレートモノマーを含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
〔7〕
前記重合性官能基を有する化合物が、下記一般式(1)で表される重量平均分子量1000〜10000であるウレタン(メタ)アクリレート、又は該ウレタン(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有する架橋ウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも何れかを含む、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
R1−O−(CONH−R2−NHCOO−R3−O)n−CONH−R2−NH−COO−R4 …(1)
(一般式(1)中、nは1〜30の自然数を表し、R1はヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの残基を表し、R2はジイソシアネートの残基を表し、R3は炭素数6〜20である非環式炭化水素基又は環式炭化水素基を有するジオールの残基を表し、R4はポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルの残基を表す。)
〔8〕
前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物を、被記録媒体に付着させる工程を有する、インクジェット記録方法。
〔9〕
前記光硬化型インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を40℃以上に加熱する工程を有する、前項〔8〕に記載のインクジェット記録方法。
〔10〕
前記被記録媒体に付着した前記光硬化型インクジェット用インク組成物に対して、350〜450nmにピーク波長を有するLEDを用いて光を照射する工程を有する、前項〔8〕又は〔9〕に記載のインクジェット記録方法。
本実施形態に係る光硬化型インクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、重合性官能基を有する化合物の光硬化型エマルションと、光ラジカル重合開始剤と、85℃以上のガラス転移点を有する非光重合性樹脂、又は85℃以上のガラス転移点を有するホモポリマーを形成する水溶性モノマーの少なくともいずれかと、水と、を含む。
(重合性官能基を有する化合物)
光硬化型インクジェット用インク組成物は、重合性官能基を有する化合物の光硬化型エマルションを含む。重合性官能基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に親水基と疎水基を有する両親媒性化合物(以下、単に「両親媒性化合物」ともいう。)、分子中に親水基をもたない疎水性化合物が挙げられる。両親媒性化合物を含むことにより、水への乳化性や塗膜の密着性により優れる傾向にある。
R1−O−(CONH−R2−NHCOO−R3−O)n−CONH−R2−NH−COO−R4 …(1)
(一般式(1)中、nは1〜30の自然数を表し、R1はヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの残基を表し、R2はジイソシアネートの残基を表し、R3は炭素数6〜20である非環式炭化水素基又は環式炭化水素基を有するジオールの残基を表し、R4はポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルの残基を表す。)
上記一般式(1)におけるR1は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの残基である。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートは、上記一般式(1)への重合性基の導入のために用いられる。具体的にいえば、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有し、かつ、ヒドロキシル基を1個有する化合物であって、このヒドロキシル基が後に詳述するジイソシアネートのうちの一個のイソシアネート基とウレタン化反応することによって(メタ)アクリロイル基がウレタン(メタ)アクリレートの主鎖の片末端に導入される。このように、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基の導入によって光重合(光硬化)が可能な化合物となる。さらに、2個以上の(メタ)アクリロイル基の導入によって光重合速度が高まるとともに、硬化物の硬度が高まるという有利な効果が得られる。
上記一般式(1)におけるR2は、上記のジイソシアネートの残基である。当該ジイソシアネートは、イソシアネート基を2個有する。
上記一般式(1)におけるR3は、炭素数6〜20である非環式炭化水素基又は環式炭化水素基を有するジオールの残基である。当該ジオールは、上記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートの疎水部の疎水性の度合いを調整するために導入される。上記ジオールは良好な疎水性を得られるものが選択される。具体例としては、一分子内に2個のヒドロキシル基を有する脂肪族、脂環族、及び芳香族のジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオールが好ましく用いられ、中でも良好な疎水性を示すジオールがより好ましい。
上記一般式(1)におけるR4は、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルの残基である。ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、ポリオキシアルキレングリコールの1つのヒドロキシル基がアルキル基で封鎖された化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される。
HO−(CH2CH2O)m−R …(2)
(上記一般式(2)中、Rはアルキル基であり、mは9〜90の自然数を表す。)
本実施形態のインク組成物は、上記一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートとともに、又はこれに代えて、当該ウレタン(メタ)アクリレートを構成単位として有する架橋ウレタン(メタ)アクリレート(以下、単に「架橋ウレタン(メタ)アクリレート」ともいう。)を含み得る。架橋ウレタン(メタ)アクリレートを含むことにより、硬化性により優れ、かつ、エマルションの保存安定性により優れるインク組成物となる傾向にある。
上記の架橋ウレタン(メタ)アクリレートは、上述の一般式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートと2官能以上の架橋剤とを反応させることにより得ることができる。架橋剤を用いることにより、ウレタン(メタ)アクリレートを高分子量化することができる。これにより、硬化性により優れ、かつ、エマルションの保存安定性により優れるインク組成物となる傾向にある。
上記重合性官能基を有する化合物は、光硬化型エマルションを形成する。「光硬化型エマルション」とは、重合性官能基を有する化合物を含むエマルションであって、光を照射することにより硬化しうるものをいう。インク組成物が光硬化型エマルションを含むことにより、溶媒(特に水や水溶性有機溶剤)存在下での紫外線照射による硬化性により優れ、かつ、臭いを効果的に抑制することができる。光硬化型エマルションは、重合性官能基を有する化合物を含み、必要に応じて、他の重合性化合物及び後述する光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。また、光硬化型エマルションは自己乳化型エマルションであることが好ましい。ここで「自己乳化型」とは、界面化学的エネルギーのみで自己的に乳化作用を発揮することをいう。自己乳化型エマルションであることにより、光硬化性と密着性により優れる傾向にある。
本実施形態のインク組成物は、光ラジカル重合開始剤を含む。当該光ラジカル重合開始剤は、紫外線が照射されることにより受け取る光(紫外線)のエネルギーによって、活性種であるラジカルを生成し、上記重合性官能基を有する化合物の光重合を開始させるものである。これにより、被記録媒体の表面に存在するインクが硬化して、画像(印字を含む。以下同じ。)を形成することができる。その際、紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。
光ラジカル重合開始剤は、上記光硬化型エマルションとは別にインク組成物中に含まれてもよく、上記光硬化型エマルションに内包された状態でインク組成物中に含まれていてもよい。これにより、吐出安定性がより良好になる傾向にある。
本実施形態に係るインク組成物は、85℃以上のガラス転移点を有する非光重合性樹脂を含みうる。非光重合性樹脂は、インク組成物中において、85℃以上のガラス転移点を有することにより、塗膜の硬度を上げる働きをし、これによりインク組成物は、耐擦性に優れる。なお、「非光重合性樹脂」とは、光重合性官能基を有さない樹脂をいう。
本実施形態に係るインク組成物は、ホモポリマーのガラス転移点が85℃以上である水溶性モノマーを含みうる。水溶性モノマーは、インク組成物中において、光硬化後の塗膜を硬くするという働きをし、これによりインク組成物は、耐擦性に優れる。なお、「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解量が1g以上であることをいう。
本実施形態にかかるインク組成物は、水を含む。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、水の含有量は特に制限されることなく、必要に応じて適宜決定すればよい。水を含むことで、有機溶剤を少なくすることにより環境に配慮したインク組成物とすることができる点や、上記重合性化合物の分散性が向上する点で好ましい。
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。この顔料としては、インクジェット用水性顔料インクに通常用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。
インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記光硬化型インクジェット用インク組成物を、被記録媒体に付着させる工程を有する。上記光硬化型インクジェット用インク組成物を用いることにより、耐擦性に優れた記録物が得られる。本実施形態のインクジェット記録方法は、インク組成物が付着した被記録媒体を加熱する加熱工程を有することが好ましく、また、被記録媒体に付着したインク組成物に対して、光を照射する照射工程を有することが好ましい。
加熱工程においては、光硬化型インクジェット用インク組成物が付着した上記被記録媒体を40℃以上に加熱することが好ましい。加熱温度は、45℃以上がより好ましく、50℃以上がより好ましい。上記加熱を行なうことにより、インクの水などの揮発成分を乾燥させることができ、硬化性により優れる傾向にある。一方で、一般的にこのような加熱手段を設けると、記録中にノズル表面のインクが乾燥することで吐出不良が増大する傾向がある。しかしながら、本実施形態のインク組成物に含まれる光硬化型エマルションは安定であるため、吐出安定性が良好となる。このような加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、セラミックヒーター、ハロゲンヒーター、石英管ヒーター等が挙げられる。加熱工程を行うタイミングは、特に限定されないが、例えば、光硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体に付着させる前、付着中、付着後等が挙げられるが、付着前、付着中、付着後のすべての過程において加熱を行い続けることがより好ましい。加熱温度は被記録媒体の記録面の表面温度である。加熱温度の上限は限られるものではないが例えば120℃以下とすることが好ましい。
照射工程においては、放射線の照射によって、重合性化合物の重合反応が開始する。また、インク組成物に含まれる光ラジカル重合開始剤が放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進される。このとき、インク組成物において光ラジカル重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光ラジカル重合開始剤と接触することによって光ラジカル重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
下記の実施例、比較例、及び参考例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
顔料:ピグメントイエロー155(以下、「PY155」と表記する。)
〔光硬化型エマルション〕
下記製造例1で製造されたd−2
下記製造例2で製造されたd−6
下記製造例3で製造されたe−6
〔非光重合性樹脂〕
タケラックW605(三井化学社製製品名)
タケラックW5030(三井化学社製製品名)
タケラックWS5000(三井化学社製製品名)
タケラックW6061(三井化学社製製品名)
〔水溶性モノマー〕
ペンタエリスリトールトリアクリレート:V#300(大阪有機化学社製製品名)
ヒドロキシエチルクリルアミド:HEAA(興人フイルム&ケミカルズ社製製品名)
ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート:EBECRYL150(ダイセル・サイテック社製製品名)
PEG600#ジアクリレート:ライトアクリレート14EG−A(共栄社化学社製製品名)
〔ウレタンアクリレートの合成材料〕
・重量平均分子量が400のポリプロピレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAP400〔商品名〕、日油社製)(以下、「PPGアクリレート」という。)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(アロニックスM−403〔商品名〕、東亞合成社製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとして50〜60質量%)
・イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」という。)
・1,12−ドデカンジオール
・重量平均分子量が400のポリプロピレングリコール(ユニオールD−400[商品名]、日油社製)
・重量平均分子量が1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メトキシPEG1000〔商品名〕、東邦化学工業社製)(以下、「メトキシPEG1000」という。)
・重量平均分子量が2000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(ユニオックスM−2000〔商品名〕、日油社製)(以下、「メトキシPEG2000」ともいう。)
〔架橋ウレタンアクリレートの合成材料〕
上記に加えて、さらに架橋剤として、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート(架橋チオール、以下「PEMP」ともいう。)を用いた。
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(アロニックスM−403〔商品名〕、東亞合成社製;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとして50〜60質量%)
・ポリペンタエリスリトールポリアクリレート(ビスコート802〔商品名〕、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL IND.,LTD.)製)
・定着用ウレタンアクリレート(製造方法は後述の合成例3を参照)
〔光重合開始剤〕
・アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(DAROCUR TPO〔商品名〕、BASF社製、以下、「TPO」ともいう。)
・チオキサントン系光ラジカル重合開始剤(Speedcure DETX〔商品名〕、LAMBSON社製)(以下、単に「DETX」という。)
〔蛍光増白剤〕
・1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレン)(HOSTALUX KCB〔商品名〕、クラリアントジャパン社(Clariant (Japan) K.K.)製)(以下、単に「KCB」という。)
〔界面活性剤〕
ポリエーテル変性オルガノシロキサン:BYK348(ビックケミージャパン社製製品名)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン:BYK333(ビックケミージャパン社製製品名)
〔有機溶媒〕
プロピレングリコール
1.2−ヘキサンジオール
(合成例1:両親媒性ウレタンアクリレート(d)の合成)
撹拌装置、冷却間、滴下ロート、及び空気導入管を備えた反応容器に、444.6質量部のIPDI及び202.3質量部の1,12−ドデカンジオールを仕込み、攪拌を行いながら、0.26質量部のオクチル酸スズを加え、反応容器内の温度を90℃まで昇温し、1.5時間反応させた。その後、700.0質量部のメトキシPEG1000及び0.54質量部のオクチル酸スズを加え、さらに1.5時間反応させた。次いで、当該反応容器に、1300.0質量部のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、1.32質量部のメトキノン、及び1.06質量部のオクチル酸スズを仕込み、混合し、空気のバブリング下で反応容器内の温度を85℃まで昇温し、3時間反応させた後、冷却して、一般式(1)で表される両親媒性ウレタンアクリレート(d)を得た。このウレタンアクリレート(d)の重量平均分子量は5,600であった。
合成例1と同様の反応容器に、444.6質量部のIPDI(2モル)と400.0質量部の重量平均分子量が400のポリプロピレングリコールを仕込み、攪拌を行いながら、0.34質量部のオクチル酸スズを加え、反応容器内の温度を90℃まで昇温し、1.5時間反応させた後、1400.0質量部のメトキシPEG2000及び0.90質量部のオクチル酸スズを加え、さらに1.5時間反応させた。次いで、当該反応容器に、1300質量部のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、1.77質量部のメトキノン及び2.13質量部のオクチル酸スズを仕込み、混合し、空気のバブリング下で反応容器内の温度を85℃まで昇温し、3時間反応させた後、冷却して、一般式(1)で表される両親媒性ウレタンアクリレート(e)を得た。このウレタンアクリレート(e)の重量平均分子量は9,000であった。
合成例1と同様の反応容器に、444.6質量部のIPDI(2モル)と900.0質量部の芳香族ポリエステルジオール(重量平均分子量900、1モル、YG−108[商品名]、ADEKA社製)を仕込み、攪拌を行いながら、0.27質量部のオクチル酸スズを加え、反応容器内の温度を85℃まで昇温し、2時間反応させた後、当該反応容器に、232.3質量部の2−ヒドロキシエチルアクリレート(2モル)、0.79質量部のメトキノン及び0.63質量部のオクチル酸スズを仕込み、混合し、空気のバブリング下で反応容器内の温度を85℃まで昇温し、2時間反応させた後、冷却して、定着用ウレタンアクリレートを得た。この定着用ウレタンアクリレートの重量平均分子量は5,000であった。
光硬化型水性エマルションの製造方法を以下に示す。
合成例1と同様の反応容器に、上記で得られた両親媒性ウレタンアクリレート(d)27.5質量部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート9.2質量部、及び光ラジカル重合開始剤(TPO)3.3質量部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら60質量部の脱イオン水を加え、40℃で1時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(d)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、及び光ラジカル重合開始剤(TPO))が40%の光硬化型水性エマルション(d−2)を得た。d−2は上記一般式(1)で示される両親媒性化合物であった。また、d−2は自己乳化型エマルションであった。
合成例1と同様の反応容器に、上記で得られた両親媒性ウレタンアクリレート(d)26.2質量部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート8.7質量部、光ラジカル重合開始剤(TPO)3.3質量部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら1.7質量部の架橋剤(PEMP)を加え、そのまま15分間攪拌を続けた。その後、60質量部の脱イオン水を加え、50℃で1時間保温した後、容器内の温度を80℃に昇温し、6時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(d)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、光ラジカル重合開始剤(TPO)、及び架橋剤(PEMP))40%の光硬化型水性エマルション(d−6)を得た。このエマルションをGPC測定したところ、重量平均分子量8,500の架橋ウレタン(メタ)アクリレートが確認された。d−6は上記一般式(1)で示される両親媒性化合物であった。また、d−6は自己乳化型エマルションであった。
合成例1と同様の反応容器に、上記で得られた両親媒性ウレタンアクリレート(e)21.6質量部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート7.7質量部、定着用ウレタンアクリレート1.5質量部、光ラジカル重合開始剤(TPO)5.0質量部、光ラジカル重合開始剤(DETX)1.7質量部、蛍光増白剤(KCB)0.06質量部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら2.5質量部の架橋剤(PEMP)を加え、そのまま15分間攪拌を続けた。その後、60質量部の脱イオン水を加え、50℃で1時間保温した後、容器内の温度を80℃に昇温し、6時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(e)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、定着用ウレタンアクリレート、光ラジカル重合開始剤(TPO、DETX)、蛍光増白剤(KCB)、及び架橋剤(PEMP))40%の光硬化型水性エマルション(e−6)を得た。このエマルションをGPC測定したところ、重量平均分子量18,000の架橋ウレタン(メタ)アクリレートが確認された。e−6は上記一般式(1)で示される両親媒性化合物であった。また、e−6は自己乳化型エマルションであった。
各材料を下記の表1に示す組成(質量%)で混合し、十分に撹拌し、実施例及び比較例のインク組成物を得た。表中、光硬化型EMは、エマルションに含まれる重合性官能基を有する可能物の質量であり、非光重合性樹脂は、樹脂の質量である。
〔耐擦性〕
PVCフィルムにバーコーターNo.6を用いて、上記で調製したインク組成物をそれぞれ塗布し、50℃で3分間乾燥した後に200mJ/cm2の照射エネルギーで紫外線照射した。紫外線ランプとしては395nmにピーク波長を有するLEDを用いた。
(評価基準)
AA:金巾擦り後、塗膜剥離が認められなかったか、塗膜剥離が認められても、下地は見えなかった。
A :金巾擦り後、塗膜剥離により、下地が1/4未満露出していた。
B :金巾擦り後、塗膜剥離により、下地が1/4以上、1/2未満露出していた。
C :金巾擦り後、塗膜剥離により、下地が1/2以上露出していた。
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製商品名)にそれぞれの上述したインク組成物を充填し、全ノズルよりインク組成物が吐出していることを確認した後、インクカートリッジがない状態で、且つホームポジション外の位置(ヘッドがプリンターに備えたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態)で40℃の環境下に1週間放置した。放置後、再び全ノズルよりインク組成物が吐出し、初期と同等の印刷が可能となるまでに必要とされたクリーニングの回数を計測し、結果を以下の基準に基づいて判定した。
A ;3回以下のクリーニングで初期と同等の印刷が得られた。
B ;4回以上6回以下のクリーニングで初期と同等の印刷が得られた。
C ;7回以上10回以下のクリーニングで初期と同等の印刷が得られた。
D ;11回以上のクリーニングによっても初期と同等の印刷が不可能であった。
インク組成物をサンプル瓶に入れ、50℃で1週間放置し、放置前後の粘度を山一電機社製デジタル粘度計VM−100を用いて測定した。放置前の粘度に対して放置後の粘度がどの程度変化したか(粘度変化)により、保存安定性を評価した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
A :粘度変化が10%未満であった。
B :粘度変化が10%以上20%未満であった。
C :粘度変化が20%以上であった。
PVCフィルムにバーコーターNo.6を用いて、上記で調製したインク組成物をそれぞれ塗布し、50℃で3分間乾燥した後に紫外線照射した。その際、紫外線照射ランプとしてLEDを用いた。その後、塗膜表面を綿棒で擦り、綿棒に着色があるか否かを目視にて確認した。かかる操作を照射エネルギーを50mJ/cm2ずつ増やしながら繰り返し、綿棒に着色のない最低の照射エネルギーを硬化エネルギーとして評価した。評価基準は以下のとおりである。硬化エネルギーが低いほど硬化性に優れていることを示すものである。
AA:硬化エネルギーが200mJ/cm2以下であった。
A :硬化エネルギーが200mJ/cm2超過300以下であった。
B :硬化エネルギーが300mJ/cm2超過400以下であった。
C :硬化エネルギーが400mJ/cm2超過500以下であった。
D :硬化エネルギーが500mJ/cm2超過であった。
Claims (9)
- 重合性官能基を有する化合物の光硬化型エマルションと、
光ラジカル重合開始剤と、
85℃以上のガラス転移点を有する非光重合性ウレタン系樹脂、又は85℃以上のガラス転移点を有するホモポリマーを形成する水溶性(メタ)アクリレート、又はヒドロキシエチルアクリルアミドの少なくともいずれかと、
水と、
を含む、光硬化型インクジェット用インク組成物。 - 前記非光重合性ウレタン系樹脂、又は前記水溶性(メタ)アクリレート、又は前記ヒドロキシエチルアクリルアミドの少なくともいずれかを、前記重合性官能基を有する化合物の含有量に対し、質量基準で0.1倍以上1.0倍以下含む、請求項1に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記非光重合性ウレタン系樹脂および前記ホモポリマーは、200℃以上のガラス転移点を有する、請求項1又は2に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記重合性官能基を有する化合物が重合性官能基を有する両親媒性化合物を含み、
前記光硬化型エマルションが自己乳化型エマルションである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。 - 前記重合性官能基を有する化合物を、1〜30質量%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記重合性官能基を有する化合物が、下記一般式(1)で表される重量平均分子量1000〜10000であるウレタン(メタ)アクリレート、又は該ウレタン(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有する架橋ウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも何れかを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物。
R1−O−(CONH−R2−NHCOO−R3−O)n−CONH−R2−NH−COO−R4 …(1)
(一般式(1)中、nは1〜30の自然数を表し、R1はヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの残基を表し、R2はジイソシアネートの残基を表し、R3は炭素数6〜20である非環式炭化水素基又は環式炭化水素基を有するジオールの残基を表し、R4はポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルの残基を表す。) - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化型インクジェット用インク組成物を、被記録媒体に付着させる工程を有する、インクジェット記録方法。
- 前記光硬化型インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を40℃以上に加熱する工程を有する、請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被記録媒体に付着した前記光硬化型インクジェット用インク組成物に対して、350〜450nmにピーク波長を有するLEDを用いて光を照射する工程を有する、請求項7又は8に記載のインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013068272A JP6221298B2 (ja) | 2013-03-28 | 2013-03-28 | 光硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013068272A JP6221298B2 (ja) | 2013-03-28 | 2013-03-28 | 光硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014189715A JP2014189715A (ja) | 2014-10-06 |
JP6221298B2 true JP6221298B2 (ja) | 2017-11-01 |
Family
ID=51836313
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013068272A Active JP6221298B2 (ja) | 2013-03-28 | 2013-03-28 | 光硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6221298B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014237760A (ja) * | 2013-06-07 | 2014-12-18 | 富士ゼロックス株式会社 | 紫外線硬化型水性インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録方法 |
WO2016151904A1 (ja) * | 2015-03-24 | 2016-09-29 | 富士フイルム株式会社 | ゲル粒子の水分散物及びその製造方法、並びに画像形成方法 |
US10933662B2 (en) | 2018-07-31 | 2021-03-02 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming method, image forming apparatus, and image-formed matter |
CN114746518A (zh) * | 2019-11-29 | 2022-07-12 | 三菱化学株式会社 | 喷墨印刷用紫外线固化性水性印墨、喷墨印刷用紫外线固化性水性组合物及印刷物 |
JP2023517268A (ja) * | 2020-01-10 | 2023-04-25 | 花王株式会社 | 水性エネルギー硬化型インクジェットインク |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3040668B2 (ja) * | 1994-08-05 | 2000-05-15 | 帝国インキ製造株式会社 | ラジエーション硬化性インクジェット印刷用インク |
JPH10219158A (ja) * | 1997-01-31 | 1998-08-18 | Teikoku Ink Seizo Kk | 高性能インクジェット印刷用水性インク |
JP5945902B2 (ja) * | 2010-12-27 | 2016-07-05 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット用インク組成物 |
JP2013006924A (ja) * | 2011-06-23 | 2013-01-10 | Seiko Epson Corp | インクジェット用インク組成物 |
JP5884320B2 (ja) * | 2011-07-08 | 2016-03-15 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット用インク組成物 |
-
2013
- 2013-03-28 JP JP2013068272A patent/JP6221298B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014189715A (ja) | 2014-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5945902B2 (ja) | インクジェット用インク組成物 | |
US9592680B2 (en) | Ink jet recording method, photocurable ink jet ink composition, and ink jet recording device | |
US9371458B2 (en) | Ink composition for ink jet recording and ink jet recording method | |
JP5949031B2 (ja) | インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 | |
JP5685849B2 (ja) | 紫外線硬化型インクジェットインク組成物およびインクジェット記録方法 | |
JP5685965B2 (ja) | 光硬化インクジェットインク組成物 | |
JP6024112B2 (ja) | 光硬化型インクジェット記録用インク組成物及びこれを用いたインクジェット記録方法 | |
JP2004051881A (ja) | インクジェット用インク組成物および画像形成方法 | |
US8974025B2 (en) | Ink jet recording apparatus | |
JP5544707B2 (ja) | 活性光線硬化型インク組成物、ならびにそれを用いたインクセット、インクジェット印刷装置およびインクジェット記録方法 | |
JP6134090B2 (ja) | 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 | |
JP6221298B2 (ja) | 光硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法 | |
JP2018162375A (ja) | 放射線硬化型インクジェット組成物及びインクジェット記録方法 | |
JP2017149811A (ja) | 放射線硬化型インクジェット組成物およびインクジェット記録方法 | |
JP5884320B2 (ja) | インクジェット用インク組成物 | |
JP6300428B2 (ja) | 光硬化型インクジェット記録用インク組成物及び記録方法 | |
JP2011213934A (ja) | 放射線硬化型インクジェット印刷用インク組成物 | |
JP2013006924A (ja) | インクジェット用インク組成物 | |
JP2010209198A (ja) | 光硬化型インク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクセット、インクカートリッジ、及び記録装置 | |
JP2013155274A (ja) | インクジェット用インク組成物 | |
JP2013237781A (ja) | インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 | |
JP2023164455A (ja) | インク組成物 | |
JP6011600B2 (ja) | 光硬化インクジェットインク組成物 | |
JP6265286B2 (ja) | 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 | |
JP6075429B2 (ja) | 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20150109 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160225 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20160616 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20160624 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20161012 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161108 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20161228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170523 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170711 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170918 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6221298 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |