JP6220809B2 - 旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法と装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生物処理設備より発生する余剰汚泥処分コストの削減を図る技術に関するものである。
例えば、下水を活性汚泥と呼ばれる細菌や微生物を用いて浄化する際、増殖した細菌・微生物はタンパク質を含む有機物で構成されている。汚泥中の約80%を占める前記有機物を生物処理設備より分解・除去を行い、固形物量を減少させる処理を汚泥減容という。
生物処理設備を有する施設としては下水、し尿、食品排水等有機性排水に対する多くの処理方法として活性汚泥と呼ばれる細菌・微生物を用いて水を浄化する施設が挙げられる。
また、汚泥をアルカリ条件下において連続加温処理する方法が知られているが、汚泥減容率が30〜50%以上となるようにするためには、加温コストが大きく、また加温時に臭気が生じる問題がある。また、この方法で、バッチ処理を行うために汚泥の分解に長時間を要し、設備が大きくなるだけでなく、過剰のアルカリ処理は微生物増殖を阻害し、生物処理能力を阻害するトラブルを生じる場合がある。
また、汚泥の液化を進めた後に過酸化水素等の酸化剤などにより汚泥の酸化、分解処理を行うと汚泥減容率30〜50%以上になるが、酸化剤の薬品コストまたはオゾン装置等のコストが大きい。
さらに微生物製剤(有機物分解酵素剤)を用いることで生物処理における負荷を低減させることができるが、この方法によると、微生物は低栄養状態となり、生物増殖速は低減するので、微生物製剤コストが大きい欠点がある。
本出願人は先に、特開2013−103156号公報記載の「生物汚泥減容化方法と装置」なる特許出願をしており、当該特許出願発明は、有機性排水を生物処理して得られる汚泥からなる被処理液にアルカリ剤を添加して加温処理して汚泥の液化を進めた後に強酸化剤(過酸化水素等薬剤)を用いて汚泥中の有機物の分解・除去を行い、汚泥減容化する方法とその装置に係わるものである。
上記汚泥減容化処理の間に生物汚泥が抱えていた有害な重金属及びセシウム等の放射能物質は液中に溶解されるので既知の各吸着材によって液中から選択的に除去することが出来る。前記有害物質の除去作業に用いられる既知の吸着材としてはゼオライト、イオン交換樹脂、キレート樹脂及び活性炭等が挙げられる。
特許4667909号公報には、有機性廃棄物の処理方法及び処理設備が開示されており、メタン発酵により発生する消化汚泥を脱水した際の脱水ケーキの水分を電気分解して発生する水素は燃料電池等に活用し、酸素・塩素ガスは脱水ろ液等の有機性廃液の酸化・分解に用いることが開示されている。
また、特許第4599955号公報には、返送汚泥を塩素酸ソーダに硫酸と過酸化水素を反応させて生成する二酸化水素ガスを用いて酸化、分解する方法が開示されている。
また、特許3828429号公報には、余剰汚泥に過酸化水素と酢酸又は過酢酸等を加えて、酸性条件下で分解をした後、中性にして残存過酸化水素を分解、除去する余剰汚泥の減容方法に関する技術が開示されている。
特許3796416号公報には、返送汚泥に塩化物を添加し、電解処理することで有機性汚水を浄化する方法が開示されている。
また、特許3389902号公報には、余剰汚泥に交流の電気分解と過酸化水素を作用させて汚泥減容化する方法が開示されている。
特許3273189号公報には、水の電気分解により生成する水素ガス・下水汚泥メタン発酵によるメタンガスを利用するエネルギー供給に対する技術が開示されている。
特許3776091号公報には、有機性汚泥の分解・減容化を目的に電解とオゾンガスを併用する方法が開示されており、「電解−汚泥減容」に関わる技術である。
特許4063688号公報には、遠心分離機並びに圧力タンクを用いて電気分解を行い、圧力の高い箇所での酸化分解を促進、圧力の低い箇所には陰極の水素ガス回収ゾーンとした構造を有する水素回収型汚水汚泥処理装置が開示されている。
特開2013−103156号公報 特許4667909号公報 特許4599955号公報 特許3828429号公報 特許3796416号公報 特許3389902号公報 特許3273189号公報 特許3776091号公報 特許4063688号公報
特開2013−103156号公報(特許文献1)記載の方法における余剰汚泥をアルカリ条件下において連続加温処理する方法では、苛性ソーダ、過酸化水素等の危険な薬品を用いる操作性の問題があり、蒸気ボイラ等による加温処理に係るコストが嵩むこと、及びアルカリ加温条件下における前処理時に臭気が発生する問題がある。さらに、汚泥減容化処理時間が過酸化水素添加量に依存し、酸化分解反応に時間を要することと発泡が著しく、煩雑な消泡管理が必要であることも問題点として挙げられる。
特許文献1記載の方法で汚泥減容率が30〜50%以上となるようにするためには、加温コストが大きく、また加温時に臭気が生じる問題があるだけでなく、この方法で、バッチ処理を行うために汚泥の分解に長時間を要し、設備が大きくなるだけでなく、過剰のアルカリ処理は微生物増殖を阻害し、生物処理能力を阻害するトラブルを生じる場合がある。
特許4667909号公報(特許文献2)には、有機性廃棄物の処理方法及び処理設備が開示されているが、汚泥減容化については触れられていない。)
また、特許第4599955号公報(特許文献3)には、返送汚泥を塩素酸ソーダに硫酸と過酸化水素を反応させて生成する二酸化水素ガスを用いて酸化、分解する方法が開示されているが、汚泥減容化については触れられていない。
特許3828429号公報(特許文献4)には、余剰汚泥を過酸化水素と酢酸、又は過酢酸等で分解することは開示されているが、「電解−汚泥減容」に関する技術の記載がない。
特許3796416号公報(特許文献5)には、電解処理を含む汚泥減容化方法が開示されているが、電解条件は以下に述べる本発明とは大きく異なる。又、汚泥減容率は示されていない。さらに、臭気・発泡問題等の解決策は示されていない。また、特許文献5記載の発明の電解条件は、MLSS4,000mg/l、余剰汚泥2Lに対して殺傷率100%(生物の酸素消費量が無くなる条件としている)としているが、生物の殺傷率100%で生物の酸素消費量が無くなるが、生物量(重さ、体積)が減少する汚泥減容とは異なる。
また、電解で発生した次亜塩素イオンで生物を殺傷しても汚泥減容とはならない。さらに、特許文献5では攪拌機を有する循環タンクとは別に電解槽を設け、循環ポンプを用いて電極間の液に一定流速の上向流を与えるようにしているが、電解槽内の液の流速が遅いと電極間で発生するガスの気泡は電極表面に留まり、電解電流移動の妨げとなる。電解で発生するガス気泡は非常に小さく、液の浮上速度だけでは電極表面に気泡が残り易くなるので、電極間の液流速が重要であり、上昇流速だけで強制的にガス気泡を電極より離すことは難しい。
特許3389902号公報(特許文献6)には、余剰汚泥に交流の電気分解と過酸化水素を作用させて汚泥減容化する方法が開示されている。
但し、この発明の「交流の電気分解」については不明であり、その実用化が可能であるのかどうかわからない。具体的には、下水汚泥50mlの処理に3%過酸化水素水10mlを添加することは、非常にコストが高く、又、発泡問題は示されていない。また、処理後の有機炭素量の増加が示されているが、生物処理への負荷増大を伴い、逆に生物処理への不安定化、生物増殖率の増加、生物処理必要空気量の増加を伴う点で当技術の実用性が疑わしい。
特許3273189号公報(特許文献7)には、水の電気分解により生成する水素ガス・下水汚泥メタン発酵によるメタンガスを利用するエネルギー供給に対する技術が開示されているが、本発明と比較して「電解−汚泥減容」に関する類似性が無い。
特許3776091号公報(特許文献8)の有機性汚泥を電解とオゾンガスを併用して汚泥減容を図る技術であるが、電解条件・汚泥減容率は示されていないだけでなく、臭気・発泡問題等の解決も示されていない。
特許4063688号公報(特許文献9)には、遠心分離機並びに圧力タンクを用いて電気分解を行い、圧力の高い箇所での酸化分解を促進、圧力の低い箇所には陰極の水素ガスの回収を行う水素回収型汚水汚泥処理装置が開示されているが、電解条件・汚泥減容率は示されていないだけでなく、臭気・発泡問題等の解決も示されていない。
本発明の課題は、上記従来技術の余剰汚泥に対して強酸化剤を用いることなく、また加温しないで電気分解を利用して有機物の分解を促進させ、さらに電気分解で発生する水素を回収することができる電解処理を用いた汚泥減容化方法と装置を提供することである。
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、下水を生物処理して得られる汚泥を塩化ナトリウム又は塩化カリウム及び塩化ナトリウム又は塩化カリウムの溶解液と共に円筒状のタンクに溜めた状態で、前記タンクの円筒の中央に攪拌機を配置し且つ攪拌機よりも円筒の径方向の外側に電極を配置して、前記攪拌機で水平方向に攪拌して一対以上の電極の間に旋廻流として流しながら、前記電極間を通過する液に対して電気分解が可能且つ電気分解時の発熱で液を加温可能な予め設定された電力を電極に供給して、電気分解することを特徴とする旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法である。
請求項2記載の発明は、一対以上の電極の間の旋廻流を、流速1〜3m/sとすることを特徴とする請求項1記載の旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法である。
請求項3記載の発明は、一対以上の電極の電流密度が0.1〜0.3A/cmであることを特徴とする請求項1又は2記載の旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法である。
請求項4記載の発明は、下水を生物処理して得られる汚泥を塩化ナトリウム又は塩化カリウム及び塩化ナトリウム又は塩化カリウムの溶解液と共に溜めた円筒状のタンクを有する汚泥電解装置と、該汚泥電解装置内の円筒の径方向の外側に配置され且つ前記電極間を通過する液に対して電気分解が可能且つ電気分解時の発熱で液を加温可能な予め設定された電力が供給される一対以上の電極と、前記汚泥電解装置内のタンクの中央に配置されて前記汚泥電解装置内の液を水平方向に攪拌して前記一対以上の電極の間に旋廻流として流すための攪拌機を備えたことを特徴とする旋廻流式の電解処理による汚泥減容化装置である。
請求項5記載の発明は、電流密度が0.1〜0.3A/cmである一対以上の電極を配置したことを特徴とする請求項4記載の旋廻流式の電解処理による汚泥減容化装置である
請求項1、4記載の発明によれば、薬品は電解補助剤として使用する「塩」のみであり、その他の薬剤を用いないので低コストで汚泥処理ができ、また電解反応時の発熱を利用することで、加温処理が不要となるので、加熱エネルギーコストがかからない。また、汚泥の分解(液化)の際に発生する臭気も同時に分解されるために、臭気が発生しないので作業環境を良好に保てる利点は、非常に大きい。また、有機物の分解過程で生ずる発泡が少ないので、連続した汚泥の電解処理中の消泡管理は薬品処理と比較して制御し易い。さらに、攪拌機により生じる汚泥電解装置内の液の旋廻流に沿ってタンクの中心で攪拌機で攪拌し、タンクの外側に電極を配置したことにより、一対以上の電極間で汚泥電解装置内の液の旋廻流の流速をより高めることが容易となる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、一対以上の電極の間の旋廻流が流速1m/s以上であることで、電極で発生する気泡が上昇するよりも水平方向に移動するような液の流速を確保することができ、また、発生するガスを電極板から引き離すことができて発泡が少なくなり、汚泥減容率も高くなる。ただし、前記流速が3m/s以上であると、液が飛散するおそれがある。
すなわち、電極間流速を1〜3m/sとすることで次のような利点がある。
(1)電解電流低下が防止(電極間ガス気泡溜まりの防止)できる。
(2)喫水面からのガス放出を抑制する。
(3)汚泥電解装置内の液の水平流速を作ることでガス気泡の上昇速度を抑制することができ、酸化性ガスが液中へ溶解するための時間を長く確保することができる。
請求項3、記載の発明によれば、請求項1、2記載の発明又は請求項4記載の発明の効果に加えて、一対以上の電極の電流密度が0.1〜0.3A/cmであることで、発熱により液温を上昇させることができ、液中の有機物の分解性がより増大する。また、一般に電流密度を高くする程、電極面積は小さくて良いので、その点でも上記電流密度には利点がある。
本発明の一実施例の装置の構成図である。 図1の汚泥電解装置を丸型タンクとしたときの平面図(図2(A))と側面図(図2(B))である。 本発明の一実施例の汚泥原液と種々の電解条件を変化させた後の電解処理汚泥の様子を示す図である。 本発明の一実施例の汚泥の減容化に必要な電解電流値と必要分解時間の関係を示すグラフである。 本発明の一実施例の電解装置内での攪拌機の攪拌速度と汚泥減容率の関係を示すグラフである。
図1に本発明の一実施例の装置の構成図を示す。
円筒状の汚泥電解装置3に汚泥貯槽2から余剰汚泥をポンプ3で供給する。余剰汚泥が供給された汚泥電解装置3の一つの内璧側に電極4を片寄って配置する。該電極4は一対の陽極と陰極の組を複数個並列に配置する。陽極材料にはチタン+白金(メッキを表面に施す)を使用し、陰極材料にはチタンを使用した。
電極4の電解電流値を高くするために電解補助剤として塩化ナトリウム又は塩化カリウムを添加する。該塩化ナトリウム又は塩化カリウムは、産業廃棄物処理時又はごみ浸出処理時に製造される工業用塩を使用することができる。また電極4の電解電流密度を0.1〜0.3(A /cm)にすることで汚泥電解装置3内の液の発熱により、最終水温を50℃以上にすることができる。
円筒状の汚泥電解装置3の中央には汚泥電解装置3内の液を攪拌するための攪拌機5を配置した。攪拌機5の液中の攪拌羽根は「3枚プロペラ型」、喫水面の上部で気泡層厚さを保つ第二の攪拌羽根は「ピッチドパドル型」を使用することが望ましい。液中の3枚プロペラ型攪拌羽根は液水位の1/2付近、喫水面の上部のピッチドパドル型の攪拌羽根は、羽根替えの下部と喫水面間に気泡層を形成するための間隙を設ける。円筒形の分解タンクの断面積により、気泡層厚さを決定する。例えば、直径1,000mmのタンクに対しては約10〜50mm程度の初期気泡層を形成させる間隙を設ける。
また、一対の陽極と陰極間の電解電流密度が高いほど、発生するガスの電極板からの引き離しを目的として汚泥電解装置中の液の電極間流速は1m/s〜3m/sとすることが望ましい。汚泥電解装置中の液の流速が1m/s以上であることで、電極で発生する気泡が上昇するよりも水平方向に移動するような液の流速を確保することができ、また、発生するガスを電極板から引き離すことができて発泡が少なくなり、汚泥減容率も高くなる。ただし、前記流速を3m/s以上にすると、液が飛散し易くなる。すなわち、電極間流速を1〜3m/sとすることで次のような利点がある。
(1)電解電流低下が防止(電極間ガス気泡溜まりの防止)できる。
(2)喫水面からのガス放出を抑制する。
(3)汚泥電解装置内の液の水平流速を作ることでガス気泡の上昇速度を抑制することができ、酸化性ガスが液中へ溶解するための時間を長く確保することができる。
図1に本発明の汚泥の電解処理システムの全体図を示すように下水又は工場排水は生物処理槽1内で処理された後、沈殿槽2に送られ上澄み液と沈殿物に分離される。前記上澄み液は処理水として利用され、前記沈殿物は生物処理槽1へ返送される返送汚泥と旋廻式電解装置3に送られる余剰汚泥に分けられる。
図2には前記旋廻式電解装置3の一例を示す。図2(A)の平面図と図2(B)の側面図に示すように旋廻式電解装置3は丸型タンクとし、その中央に攪拌機5を設け、汚泥の旋廻式電解装置3の壁際に並行して複数の一対の電極4の組を設けることで旋廻流を利用して電極4間に高流速を与えるのが重要である。
円筒状の電解装置3の中央に配置した攪拌機5を回転させて、旋廻式電解装置に高速旋廻流を発生させる。汚泥を高速旋廻流とすることで電極4間における気泡溜まりを防止して電流移動を促進させて有機物の分解が効果的に行われる。
電解補助する「塩」の使用量低減のために電極間隙を小さくしている。また、電極間に溜まる気泡は電解電流を妨げるために、発生したガス気泡を高速旋廻流で電極より引き離すことで電解電流移動を促進させている。そのために図2(A)に示すように電解装置3は円筒状とし、また攪拌機5は図2(B)に示すように液中攪拌羽根5aと液面上の攪拌羽根5bを有する攪拌機5が望ましい。
汚泥から発生する酸化性ガスの放出抑制のためには液中での滞留時間を長くすることが重要であり、旋廻式電解装置3中の汚泥を含む液の旋廻流の作用により発生した気泡は上昇速度が抑制された分だけ長く、液中に滞留する。液中への酸化性ガス溶解量が増加するために汚泥の分解が促進される効果もある。
また、旋廻式電解装置3の液面上に形成される気泡層(図示せず)の厚さの制御(発生ガスの放出抑制)のために、前記液面より上方に10〜50mm程度気泡層を形成させる。こうして形成された気泡層により発生ガスの放出を抑制し、液中での発生ガスの滞留時間を長くする。
また、気泡層厚さの制御は重要であり、気泡層の制御方法として、旋廻式電解装置3の液攪拌(高速旋廻流)のための液中の攪拌羽根5aの他に、液面と液面上の攪拌羽根5bの間隔を10〜50mmにすることで発生した気泡の層を形成させる。この層は発生ガスの放出を抑制することが出来るが、泡と共に有機性固形物も一緒に付着するので汚泥減容時間の最終5〜15分間は完全消泡を行うことで有機性固形物の大部分を分解させることが出来る。
某食肉加工センタの余剰汚泥0.5L(固形物量(SS)11,800ppm含有)を図1に示す装置で電解処理した。電解処理条件は、次の通りである。
DC10V 定電圧処理;
塩化ナトリウム 20,000ppm添加;
初期電解電流4.7A〜1h処理; 最終電解電流8.1A;
初期電解電流4.7Aで電解処理を開始し、汚泥分解に伴い、液中に溶出する成分の
増加と共に導電率も上昇する。1h処理後の最終電解電流値は8.1Aまで上昇して
いた。
初期水温35℃〜最終水温72℃(水温上昇)
初期pH6.5〜最終pH7.2(アルカリ上昇)
図3には汚泥原液と種々の電解条件を変化させた後の電解処理汚泥の様子とそれぞれの汚泥減容率を示す。
図3は左より、それぞれ原液、電解(1.7A/30分)、電解(4.7A/30分)、電解(4.7A/60分)後の汚泥の様子を示す写真であり、表1には図3に対応する原液、各種電解後の汚泥の固形物(SS)濃度及び汚泥減容率を示す。
Figure 0006220809
上記結果から図4に示す汚泥の減容化に必要な電解電流値と必要分解時間の関係が得られる。
図4の横軸は電解入力(A・h/gDS)であり、乾燥汚泥(DS)1.0gに対する電解電流値(A)を1時間作用させた。また、縦軸は電解で分解・除去した乾燥固形物(gDS)量である。
図4のグラフより、目的とする除去SS(gDS)に対する必要な電解電流値と分解時間を決定することが可能である。
但し、初期MLSS(生物槽混合液中に浮遊する固形物=生物量)が12,000ppmを大きく超えている場合は除去SS量は上記計画値より低くなる。これは、分解した微生物細胞膜の可溶化から溶解する有機物の分解に消費される分は過剰の電解電流値又は分解時間を必要とすることを意味する。逆に、初期MLSS値が低い程、電解入力は少ない条件で良い。これは可溶化した有機物の分解まで連続して同時に分解が可能なことから臭気成分も分解されている物と考えられる。
次に、発生する「発泡」に対しては酸化性ガスも含まれ、可能な限り液中で有機物分解に寄与させる目的と共に一対の陽極と陰極の電極間距離6〜10mmの狭い中で発生するガスは電極間に溜まると電解電流移動の妨げとなるので高流速を与えて電極からガス気泡の剥離を行うのが良い。
図1に示す電解装置3内に設置する電極は丸型電解装置3の中央に設けた攪拌力を最も受け易い周速に沿った電解装置3内壁と並行した形で設置し、電極間の液の流速を約1〜3m/sとする。
電解装置3中の液の流速が1m/s以上であることで、電極で発生する気泡が上昇するよりも水平方向に移動するような液の流速を確保することができ、また、発生するガスを電極板から引き離すことができて発泡が少なくなり、汚泥減容率も高くなる。ただし、前記流速を3m/s以上にすると、液が飛散し易くなる。すなわち、電極間流速を1〜3m/sとすることで次のような利点がある。
(1)電解電流低下が防止(電極間ガス気泡溜まりの防止)できる。
(2)喫水面からのガス放出を抑制する。
(3)汚泥電解装置内の液の水平流速を作ることでガス気泡の上昇速度を抑制することができ、酸化性ガスが液中へ溶解するための時間を長く確保することができる。
次に汚泥電解装置内での攪拌機の攪拌速度と汚泥減容率の関係を示すグラフを図5に示す。
円筒形の汚泥電解装置寸法に対して攪拌機の攪拌速度は高いほど周速も高く(電極間流速1.0m/s以上)、汚泥減容率も高くなり、同時に、発泡も少ない。電極4より発生する気泡が、上昇するよりも液の流速に同伴されて真横に移動する程度に液を攪拌して液の流速を維持することが必要である。
本実施例を実施する際の処理コストを電解処理をしない場合のコストと比較した結果は次の通りであった。なお、某食肉加工センタの排水処理設備における排水量が1,000m/日であり、余剰汚泥(SS1%濃度)が50m/日である場合を考える。
A.電解処理無し
発生する汚泥量: 脱水汚泥(含水率85%) 3.3t/日
汚泥処分費: 脱水処理費 51,000円/日
脱水汚泥処分費 50,000円/日
合計 101,000円/日
B.電解処理有り
発生する汚泥量 : 脱水汚泥(含水率85%)0.3t/日
汚泥処分費 : 電解処理費 14,750円/日
汚泥処分費 : 脱水処理費 5,000円/日
脱水汚泥処分費 5,000円/日
合計 24,750円/日

コストメリット(A−B)は76,250円/日(2,783万円/年)である。
このように、電解処理による汚泥減容化で得られるコストメリットは非常に大きい。
また、水素ガス発生量を計算すると次の通りである。
排水量 1,000m/日
余剰汚泥(SS1%濃度) 50m/日
電解電圧 DC10V/電解電流値 4,600A
電解時間 18h/日
2HO→O+ 2Hなる反応で水素が発生するが、上記の反応式から水素発生量は
4,600×60/96500×2=1.43モル/分=1.43×22.4NL
=32NL/分
となり、一日当たりの水素発生量は
32NL/分×60分×18h/日=34,560NL
となり、水素価格が80円/Nmとして年間約100万円となる。
水素エンジン自動車の水素ガス消費量を750Nm/年とした場合に前記汚泥処理場の余剰汚泥を電解処理すると、12,614/750=16.8(台)分の水素ガスが得られる。
次に電解装置3の液面上に形成される気泡層の制御による効果を調べた。
(1)気泡層管理を行わない場合には泡と共に有機性固形物が浮いてしまう。
(2)気泡層を消泡剤で無くした場合には、発生したガスは液中から放出し易くなる。
(3)気泡層制御を行った場合には、気泡層を数mm厚ほど残してガスの放出を抑制させ、最終分解時間10分間は気泡層を無くして電解を行う。
某食肉加工センタの余剰汚泥0.5L(固形物量(SS)10,600mg/L含有)を図1に示す装置にガス気泡層を設けながら、適時消泡剤を用いて調整し、電解処理した。
電解処理条件は、次の通りである。
DC10V 定電圧処理;
塩化ナトリウム 20,000ppm添加;
電解時間 1時間
初期電解電流4.5〜4.6A; 最終電解電流5.2〜8.4A;
初期電解電流4.5〜4.6Aで電解処理を開始し、汚泥分解に伴い、液中に溶出する成分の増加と共に導電率も上昇する。1h処理後の最終電解電流値は5.2〜8.4Aまで上昇していた。
初期水温32℃〜最終水温75℃(水温上昇)
初期pH6.7〜最終pH7.7(アルカリ上昇)
試験結果を表2に示す。
Figure 0006220809
1 生物処理槽
2 沈殿槽
3 旋廻流式電解装置
4 電極
5 攪拌機

Claims (5)

  1. 下水を生物処理して得られる汚泥を塩化ナトリウム又は塩化カリウム及び塩化ナトリウム又は塩化カリウムの溶解液と共に円筒状のタンクに溜めた状態で、前記タンクの円筒の中央に攪拌機を配置し且つ攪拌機よりも円筒の径方向の外側に電極を配置して、前記攪拌機で水平方向に攪拌して一対以上の電極の間に旋廻流として流しながら、前記電極間を通過する液に対して電気分解が可能且つ電気分解時の発熱で液を加温可能な予め設定された電力を電極に供給して、電気分解することを特徴とする旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法。
  2. 一対以上の電極の間の旋廻流を、流速1〜3m/sとすることを特徴とする請求項1記載の旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法。
  3. 一対以上の電極の電流密度が0.1〜0.3A/cmであることを特徴とする請求項1又は2記載の旋廻流式の電解処理による汚泥減容化方法。
  4. 下水を生物処理して得られる汚泥を塩化ナトリウム又は塩化カリウム及び塩化ナトリウム又は塩化カリウムの溶解液と共に溜めた円筒状のタンクを有する汚泥電解装置と、該汚泥電解装置内の円筒の径方向の外側に配置され且つ前記電極間を通過する液に対して電気分解が可能且つ電気分解時の発熱で液を加温可能な予め設定された電力が供給される一対以上の電極と、前記汚泥電解装置内のタンクの中央に配置されて前記汚泥電解装置内の液を水平方向に攪拌して前記一対以上の電極の間に旋廻流として流すための攪拌機を備えたことを特徴とする旋廻流式の電解処理による汚泥減容化装置。
  5. 電流密度が0.1〜0.3A/cmである一対以上の電極を配置したことを特徴とする請求項4記載の旋廻流式の電解処理による汚泥減容化装置。
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