JP2015501923A - 酸水素ガスの生成および利用を通じた廃液の流体の処理 - Google Patents
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Abstract
廃液処理システムにおいて廃液の流体中の放射性同位元素を削減するための方法およびシステムは、水解離技術を実現する酸水素ガス生成器によって現場で発生させた酸水素の多いガスを廃液の流体中の放射性同位元素と接触させることによる廃液処理システムのユニットプロセスの実施を含む。酸水素ガス生成器は、廃液の流体に沈められる狭い間隔をおいて配置された一連の電極にパルス化電気信号を印加して、廃液の流体の水成分から酸水素の多いガスを生成することに関わる。廃液の流体において酸水素ガス生成器を動作させることにより、特に、酸化、ストリッピング、浮選、殺菌、コンディショニング、安定化、濃縮および脱水などの、廃液処理のための1つ以上のユニットプロセスを達成し得る。
Description
関連出願の相互参照:
本願は、2011年11月21日に提出された米国仮特許出願第61/562,169号の優先権の利益の享受を主張する。本願は、2010年11月2日に提出された米国特許出願連続番号第12/905,350号の一部継続出願である。出願第12/905,350号は、2002年11月19日に提出された米国仮特許出願連続番号第60/427,921号の優先権の利益の享受を主張し現在では米国特許第7,160,472号である、2003年11月19日に提出された米国特許出願連続番号第10/717,951号の一部継続出願であり現在では米国特許第7,837,882号である、2006年11月30日に提出された米国特許出願連続番号第11/565,240号の一部継続出願である。上述の出願はすべて、それら全体が引用によりこの明細書中に援用される。
本願は、2011年11月21日に提出された米国仮特許出願第61/562,169号の優先権の利益の享受を主張する。本願は、2010年11月2日に提出された米国特許出願連続番号第12/905,350号の一部継続出願である。出願第12/905,350号は、2002年11月19日に提出された米国仮特許出願連続番号第60/427,921号の優先権の利益の享受を主張し現在では米国特許第7,160,472号である、2003年11月19日に提出された米国特許出願連続番号第10/717,951号の一部継続出願であり現在では米国特許第7,837,882号である、2006年11月30日に提出された米国特許出願連続番号第11/565,240号の一部継続出願である。上述の出願はすべて、それら全体が引用によりこの明細書中に援用される。
分野:
本願は、産業廃水、都市廃水などの廃液の流体を処理するための方法およびシステムに関する。
本願は、産業廃水、都市廃水などの廃液の流体を処理するための方法およびシステムに関する。
背景:
多くの廃液の流体に見られる有毒な物質は、処理されずに放置されると、環境および/または人間の健康に多大な危険を与える可能性がある。政府規制はしばしば、廃液の流体のさまざまな有機的、無機的、化学的、および微生物成分が、廃液の流体が環境に排出され得る前に処理されるべきことを義務付けている。このような廃液の流体の例としては、産業廃水および都市廃水、化学処理流出物、家畜排泄物、製紙工場の流出物などが含まれる。
多くの廃液の流体に見られる有毒な物質は、処理されずに放置されると、環境および/または人間の健康に多大な危険を与える可能性がある。政府規制はしばしば、廃液の流体のさまざまな有機的、無機的、化学的、および微生物成分が、廃液の流体が環境に排出され得る前に処理されるべきことを義務付けている。このような廃液の流体の例としては、産業廃水および都市廃水、化学処理流出物、家畜排泄物、製紙工場の流出物などが含まれる。
図1は、都市廃水を処理するための先行技術システムを表す処理施設の概略を示す。図1を参照すると、廃水の流入体100は、廃水処理施設の1次浄化槽102に入り、そこで生スラッジ104が、凝集、沈降、および他の1次沈殿手法を介して廃水から分離される。1次浄化槽102からの廃水は次にエアレーション槽106に送られ、エアレーション槽106にポンプで送られる空気110の存在下で好気性微生物108が廃水の処理を助ける。次に、廃水は2次浄化槽112に移され、そこでさらなる沈殿が起こり得る。さらに2次浄化槽でも2次スラッジ114が集められ、処理された廃水116は、水の流出体または他の供給源に(ときには、たとえば殺菌などのいくつかの高度な処理手順を受けた後にのみ)送られる。
2次スラッジ114のうちいくらかは118として再循環されてエアレーション槽106に戻り、好気性生分解プロセスを続行するのを助ける。2次浄化槽112からの残りの2次スラッジ114と1次浄化槽102からの生スラッジ104とは、消化槽送り120を介して嫌気性消化槽122に送られる。嫌気性消化槽122において、嫌気性微生物124がスラッジをさらに分解し、メタン128などの副生成ガス126を生じる。嫌気性消化槽122からの消化スラッジは液体130として運び出され、農地に直接与えられ得るか、または、脱水プロセス132に送られ得る。脱水プロセスからは、典型的には、分離液または液体画分134が処理のために処理プラント100の前工程に戻され、脱水スラッジケーキ136は、焼却、土地での利用、または他の適切な用途に用いられ得る。
バイオソリッドは、水と極めて小さな固形粒子(主に細菌および原虫)との混合体である。粒子は、凝集、すなわち小さな粒子からより大きな複合粒子へのアグロメレーションに対して抵抗する正味の負電荷を有する。水がそれを通って動けるような十分な気孔率を有するマトリックスを生成し、脱水を達成するために、バイオソリッドには、典型的には有機高分子電解質またはポリマーがコンディショニング助剤として加えられる。簡潔に述べると、これらのポリマーは、実質的に長い有機的ストランドまたはリボンであって、正味の正電荷を有する多くの活性部位を伴う。ポリマーはバイオソリッドの負電荷を中和し、ポリマーの各活性部位に粒子を結びつける。ポリマーは互いに粘着する傾向を有し、その正味の効果としてより大きな粒子が作られ、結果的に、脱水プロセスにおいて水がそれを通じて排出できるような多孔性のマトリックスができる。
従来のポリマーコンディショニングは、関連する多くの問題を有する。ポリマーは高価であり、バイオソリッド処理の予算のうち運営コストのかなりの部分を占める可能性がある。バイオソリッドの性質は絶えず変化するので、ポリマーを過量に使用して無駄にすることなく適切な性能の達成を確保するように、所与のいかなる時にも求められるポリマーの正確な量を与えるのは困難である。バイオソリッドのコンディショニングに通常用いられるポリマーは、高分子量、高電荷密度の物質であって、生分解に耐性があり、水生生物に有毒であることが知られている。ポリマーの過度の使用は、魚および他の水生生物に毒性作用を有する余剰分を環境に放出する結果となり得るという懸念がある。保存されるバイオソリッド中のポリマーの分解も、著しい悪臭の生成を伴っていた。
廃液の流体は、焼却によっても処理され得る。焼却は、病原体、ウィルス、および毒性有機物の完全な破壊のために技術的根拠のある解決法を提示する、数少ない技術のうちの1つである。加えて、焼却によれば、高レベルの汚染物質を含み、そのために農業的利用には容認されないバイオソリッドを処理することができる。しかしながら、従来の焼却炉の資本コストが高いことと、バイオソリッドの膨大な前処理(たとえば脱水)とが、このプロセスを非常に高額なものにしている。したがって焼却は、典型的には、量産効果を得ることができる極めて大規模な廃水処理施設においてのみ経済的であった。
先行技術の焼却システムにおける燃焼プロセス中に、法外に高額となるほどの量の移入エネルギを消費することを避けるために、バイオソリッドは、約30%の固形物を有するケーキになるまで脱水されなければならない。この乾燥レベルでは、ケーキは可塑性、粘着性の半固形物質であり、脱水装置から焼却炉へケーキを移すことに関連して著しい作業上の問題があり得る。ケーキの固形内容物の変動およびそれに伴う熱需要の変動も、また燃焼プロセスを非常に制御困難にする可能性がある。
バイオソリッドの安定化は、廃液スラッジの農業的利用のために義務として課せられており、具体的な場所に応じて、連邦、州、または地方政府によって規制され得る。この規制は、バイオソリッドに含まれる病原体に関連する潜在的な危機から人間の健康および環境を保護する。規制機関は、典型的には、容認できる処理プロセス、および/または、処理済みの生成物における特定の病原体の許容できる水準について規定する。従来は、安定化は、有機物の生分解、pHの上昇、湿度の低減、および、特定の時間/温度状況に応じた廃液の取扱いといったプロセスのうち、1つ以上によって起る。これらのプロセスのすべてが比較的高額であって、エネルギ集約型であり、大量の混合物を必要とし、または制御が困難である可能性がある。
従来の廃水処理施設を操業するのに必要な電気は、伝統的には配電網から購買されてきた。現場で電気を生成する誘因がほとんどなかったのは、配電網からの電力が安価で確実であり、発電装置のための資本コストが高く、電力生成のための唯一の安価な燃料源が消化ガスだからである。しかしながら、エネルギ源として消化ガスを利用することには多くの問題がある。消化ガスは高い割合でメタンを含んでいるが、さらに水で飽和しており、かつ、著しい量の硫化水素を含む。これにより消化ガスは極めて腐食性が高く、使用する前に大規模な浄化が必要である。さらに、消化ガスはそれ自体が生産プロセスである場合とは対照的に、廃液処理プロセスの副生成物に過ぎない。生成されるガスの量はバイオソリッド安定化プロセスと相関関係にあり、変動する需要に合わせて変えることはできない。メタンの多いバイオガスの燃焼は、さらに、著しい温室効果ガスの排出をもたらす。
流入する廃水からほとんどの固形物が分離された後、残りの流出体は、典型的には、環境への放出に備えて殺菌される。廃水流出体の殺菌は、歴史的には、塩素化合物の添加によって達成されてきた。塩素化合物を扱うことに関連する健康上および安全上の重大な懸念がある。近年では、塩素は、流出体中の有機物質と結びついて、有毒かつ潜在的に発癌性のある塩素化有機物を生成する可能性があるという懸念が増大してきている。より毒性の少ない塩素化合物に代替するよういくらかの努力がなされてきたが、業界全体の風潮としては、殺菌剤としての塩素の使用を段階的に廃止しようとしている。
廃水処理で採用される他の殺菌技術は、紫外(UV)光またはオゾンを用いた病原体の破壊を含む。これらのプロセスではいずれも、環境に影響するほどの明らかな残余分が処理済み流出体に残ることはない。しかしながら、これらの両方のシステムにおける資本コストおよび運営コストは比較的高い。UVプロセスの場合、資本コストは、流水式機構の建設と、必要となる複数のUVバルブ(ランプ)とを含む。運営コストは、電力、バルブの交換、およびバルブの定期的洗浄を含む。オゾンによる殺菌のための主要なコストは、オゾン生成器と、供給源として用いられる市販の酸素とを含む。供給源として空気が用いられると、オゾン生成器のサイズは約2倍となり、そのため資本コストも2倍とならざるを得ない。
最近では、医薬品、石油化学製品、パーソナルケア製品および金属などの有機成分、無機成分および化学成分の存在がさらに注目されるようになってきた。パーソナルケア製品は、たとえば、処方薬および店頭取引きされる治療薬、動物用医薬品、香水ならびに化粧品を含み得る。廃液の流体からこれらの成分を除去することがますます重要になってきている。
廃液処理施設における水の用途の多くは、浮遊粒子状物質のない比較的高品質の水を必要とするが、飲用水の場合のように、水が塩素処理されているか、または残量塩素が存在している必要はない。最終的な流出体は、浮遊固形物の存在によりこれらの基準を満たさないので、ポリマーを生成するなどの用途に対する代替策としては不適切である。なぜなら、浮遊固形物は補給水自体においてポリマーの需要を引起こすからである。現在のところ、廃液処理プラントは、飲用水を使用する以外には、これらのより高品質な最終用途に対する代替策を有しておらず、その飲用水は都市給水系から購買しなくてはならない。
このため、凝集、焼却、脱水、エネルギ効率、安定化、流出体の殺菌、化学物質の除去および廃水処理プラントにおける高品質な処理水の生成のため、ならびに、他の種類の廃液の流体を処理するための、改善された方法およびシステムが必要とされる。この明細書中において提供される方法およびシステムはまた、廃水から医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品を除去するよう意図されている。
概要:
廃液の流体から放射性同位元素を除去するための方法であって、狭い間隔をおいて配置された2つの電極を廃液の流体中に沈めるステップを含む。廃液の流体は、水成分および放射性同位元素を含み、これら電極は、それらの間に延在する相互作用ゾーンに隣接する。当該方法はさらに、電極のうち少なくとも1つにパルス化電気信号を印加し、これにより、水成分から酸水素の多いガスを生成するステップを含む。酸水素の多いガスは、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を相互作用ゾーンにおいて形成する。気泡のうち少なくともいくつかは、廃液の流体中を上昇する際に放射性同位元素に接触し、これにより、放射性同位元素の少なくとも一部を廃液の流体の表面にまで運ぶ。
廃液の流体から放射性同位元素を除去するための方法であって、狭い間隔をおいて配置された2つの電極を廃液の流体中に沈めるステップを含む。廃液の流体は、水成分および放射性同位元素を含み、これら電極は、それらの間に延在する相互作用ゾーンに隣接する。当該方法はさらに、電極のうち少なくとも1つにパルス化電気信号を印加し、これにより、水成分から酸水素の多いガスを生成するステップを含む。酸水素の多いガスは、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を相互作用ゾーンにおいて形成する。気泡のうち少なくともいくつかは、廃液の流体中を上昇する際に放射性同位元素に接触し、これにより、放射性同位元素の少なくとも一部を廃液の流体の表面にまで運ぶ。
当該方法はさらに、廃液の流体に凝固剤を加えるステップを含み得る。凝固剤はAl2(SO4)3、Fe2(SO4)3またはFeCl3であってもよい。
電極のうち少なくとも1つは、鉄電極、アルミニウム電極または寸法安定性電極であってもよい。
パルス化電気信号は、約20mA/cm2までの電流で印加されてもよい。
パルス化電気信号は、約900クーロンから約3500クーロンの電荷で印加されてもよい。
パルス化電気信号は、約900クーロンから約3500クーロンの電荷で印加されてもよい。
廃液処理システムにおいて廃液の流体中のレドックス活性汚染物質を削減するための方法およびシステムは、廃液の流体中のレドックス活性汚染物質を、水解離技術を実現する酸水素ガス生成器によって発生させた酸水素の多いガスと接触させることによって、廃液処理システムのユニットプロセスを実行するステップを含む。一実施形態においては、酸水素ガス生成器は、廃液の流体に沈められる、狭い間隔をおいて配置された一連の電極にパルス化電気信号を印加して、廃液の流体の水成分から酸水素の多いガスを生成する。廃液の流体中で酸水素ガス生成器を動作させることにより、特に、コンディショニング、安定化、濃縮および脱水などの廃液処理のための1つ以上のユニットプロセスが実現され得る。
酸水素の多いガスのうち少なくとも一部は、たとえば、焼却または発電のために、可燃性燃料源などの廃液処理システムにおいて二次利用するために搬送されてもよい。酸素はまた、廃液処理システムのエアレーション槽で使用するために、または、廃液処理システムの流出体の殺菌の際に利用され得るオゾン発生器に補充するために、酸水素の多いガスから分離されてもよい。酸水素の多いガスの燃焼からの排出物を濃縮させて、処理システム内でさまざまに使用するための水を回収することができる。
この明細書中の一局面に従うと、廃液の流体からレドックス活性汚染物質を除去するための方法が提供される。当該方法は、狭い間隔をおいて配置された2つの電極を廃液の流体中に沈めるステップを含む。廃液の流体は、水成分およびレドックス活性汚染物質を含み、電極はそれらの間に延在する相互作用ゾーンに隣接する。当該方法はさらに、電極のうち少なくとも1つにパルス化電気信号を印加し、これにより、水成分から酸水素の多いガスを生成するステップを含む。酸水素の多いガスは、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を相互作用ゾーンにおいて形成する。気泡のうち少なくともいくつかは、廃液の流体中を上昇する際にレドックス活性汚染物質に接触し、これにより、レドックス活性汚染物質のうち少なくとも一部を廃液の流体の表面にまで運ぶ。
特定の場合においては、狭い間隔をおいて配置された2つの電極は鋼電極であってもよく、当該方法はさらに、狭い間隔をおいて配置された2つのアルミニウム電極を、鋼電極の下流で廃液の流体中に沈めるステップを含む。アルミニウム電極はそれらの間に延在する第2の相互作用ゾーンに隣接する。当該方法はさらに、アルミニウム電極のうち少なくとも1つにパルス化電気信号を印加し、これにより、水成分から酸水素の多いガスを生成するステップを含む。酸水素の多いガスは、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を、第2の相互作用ゾーンにおいて形成する。
この明細書中の別の局面に従うと、廃液の流体からレドックス活性汚染物質を除去するためのシステムが提供される。廃液の流体は水成分を含む。当該システムは、廃液の流体中に沈められる、狭い間隔をおいて配置された2つの電極を含む。これら電極は、それらの間に延在する相互作用ゾーンを規定する。当該システムはさらに、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を相互作用ゾーンにおいて形成することとなる酸水素の多いガスを水成分から生成するために、電極のうち少なくとも1つにパルス化電気信号を印加するための電源と、上昇してくる気泡を収容する反応槽と、廃液の流体の上方で、酸水素の多いガスと廃液の流体のレドックス活性汚染物質との混合物を貯留するためのガス収容蓋部とを含み、当該混合物は、気泡のうちレドックス活性汚染物質の一部と接触してこれを廃液の流体の表面にまで運ぶ気泡によって形成される。当該システムはさらに、混合物をさらなる処理に向けて運ぶための移送システムを含む。
特定の場合、狭い間隔をおいて配置された2つの電極は鋼電極であってもよい。当該システムはさらに、鋼電極の下流おいて廃液の流体に沈められるべき、狭い間隔をおいて配置された2つのアルミニウム電極を含み得る。これら電極は、それらの間に延在する第2の相互作用ゾーンを規定する。電源が、アルミニウム電極のうち少なくとも一方にパルス化電気信号を印加することにより、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を第2の相互作用ゾーンにおいて形成することとなる酸水素の多いガスを水成分から生成する。アルミニウム電極が鋼電極とは別個の領域にあってもよく、かつ、各セットの電極のための滞留時間が異なっていてもよく、廃液の流体に関するさまざまな因子に依存し得ることが理解されるだろう。さらに、パルス化電気信号は、単一の源または複数の源によって印加されてもよく、各セットの電極に対して同じであってもまたは異なっていてもよい。
上述の場合、レドックス活性汚染物質は医薬品、またはより一般的には、パーソナルケア製品であってもよい。医薬品は、ベザフィブラート、カルバマゼピン、フルオキセチン、スルファメトキサゾール、トリメトプリム、イブプロフェン、ナプロキセンまたはジクロフェナクであってもよい。別の特定の場合には、レドックス活性汚染物質はカフェインなどであってもよい。
付加的な局面および利点が、添付の図面に関連付けてなされる実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
詳細な説明:
本明細書全体を通じて、「一実施形態」「ある実施形態」または「いくつかの実施形態」への言及は、説明される特定の特徴、構造、または性質が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体を通じてさまざまな箇所に現われる「一実施形態において」、「ある実施形態において」または「いくつかの実施形態において」という文言は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているのではない。
本明細書全体を通じて、「一実施形態」「ある実施形態」または「いくつかの実施形態」への言及は、説明される特定の特徴、構造、または性質が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体を通じてさまざまな箇所に現われる「一実施形態において」、「ある実施形態において」または「いくつかの実施形態において」という文言は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているのではない。
さらに、説明される特徴、構造、性質および方法は、1つ以上の実施形態において、いずれかの適切な態様で組合わされてもよい。当業者であれば、1つ以上の具体的な詳細なしに、または、他の方法、構成要素、材料などを伴って、多様な実施形態が実施され得ることを認識するであろう。他の場合においては、実施形態の局面を不明瞭にすることを回避するため、周知の構造、材料もしくは動作は示されず、または詳細には説明されない。
上述のとおり、医薬品などの化学成分、石油化学製品、パーソナルケア製品および金属を廃水の流体から除去することへの関心がますます高まってきている。これまで予期されていなかったが、流入廃液の流体を酸水素の多いガスで処理することに付加的な利点があることが、現在、証明されている。廃液の流体中の(生化学的酸素要求量、またはBOD(Biochemical Oxygen Demand)として評価される)アンモニア、リンの懸濁物質、病原体および有機材料を減らすことに加えて、酸水素の多いガスで廃液の流体を処理することにより、(医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品などの)レドックス活性の有機的汚染物質の濃度を低下させることもできることが現在判明している。加えて、酸水素の多いガスを用いた処理のプロセスを改善することにより、レドックス活性の有機的汚染物質の削減または除去が改善されることが判明した。
図2は、第1の実施形態に従った簡略化された廃液処理システム204による廃液の流体202の処理を示す概略図である。図2を参照すると、廃液の流体202は、たとえば、産業廃水または都市廃水(医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品を含み得る生汚水)などの流入する廃液の流体を含み得る。代替的には、廃液の流体202は、より大規模な廃液処理プロセスの状況においては、たとえば、上澄み液またはバイオソリッドなどの中間的な廃液の流体を含み得る。さらに他の実施形態においては、廃液の流体202は、たとえば、化学処理流出物、家畜排泄物、製紙工場の流出物、埋立て浸出液、海洋廃水、雨水流出水、地下水、地表水、処理プロセスの現場流出物、環境汚染改善プロセスの流出物などを含み得る。廃液の流体202は、以下に説明されるように、ユニットプロセス206に入る前に、スクリーニングおよびグリット除去などの予備処理ステップを受けてもよい。スクリーニングおよびグリット除去は、廃液の流体202が生汚水流入体を含む場合に特に重要であり得る。
一実施形態においては、ユニットプロセス206は、廃液処理システム204における入口210と出口212との間の流路208に配置される酸水素ガス生成器207(GG1)を含み、これは、廃液の流体202の水成分から、酸水素の多いガス214を生成する。廃液の流体202から生成される酸水素の多いガス214は、好ましくは泡立ちながら、または他の状態で流路208の少なくとも一部を通り、それにより廃液の流体202の少なくとも一部に接触する。いくつかの実施形態においては、半透膜を使用して、または他の分離技術により廃液の流体207から水成分が分離され、ガス生成器207は分離された水成分に浸漬される。他の実施形態においては、酸水素の多いガスは流路208の外部で生成され、ユニットプロセス206において加えられてもよく、廃液の流体202の少なくとも一部に接触する。たとえば、酸水素ガス生成器207の水源は、水道水、地表水、または廃液の流体から分離された水成分を含み得る。
ユニットプロセス206は、1ステップの廃水処理プロセスとして機能してもよく、生化学的酸素要求量(BOD)、アンモニア、リンの懸濁物質および病原体が例として挙げられる汚染物質の濃度を廃液の流体202中で低下させる。ユニットプロセス206は、付加的には、廃水処理プロセスとして機能してもよく、医薬品、パーソナルケア製品、石油化学製品および金属などの有機汚染物質、無機汚染物質および化学汚染物質の濃度を廃液の流体202中で低下させる。生成された酸水素の多いガス214を用いて廃液の流体202から除去される汚染物質は、一般には、(a)酸水素の多いガス214に含まれるオキシダントとの接触により酸化し得る汚染物質(すなわち、これらは「酸化可能な汚染物質」である)と、(b)酸水素の多いガス214に含まれる水素との接触により削減することのできる汚染物質(すなわち、これらは「削減可能な汚染物質」である)とみなされている。すなわち、生成された酸水素の多いガス214を用いて廃液の流体202から除去される汚染物質は、プロセス206の条件下では還元酸化(「レドックス(redox:reduction-oxidation)」)活性(「レドックス活性汚染物質」)と称されてもよい。汚染物質は、流路208においてガス生成装置を作動させることによって廃液の流体202から除去される。たとえば、廃液の流体202が都市下水を含む場合、医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品などの有機汚染物質は、酸水素の多いガス214に含まれる酸化剤によって酸化されると考えられている。
通常の廃水処理温度でさまざまな程度にまで蒸発する揮発性の汚染物質は、たとえば、アンモニア(無機物)およびアセトン、トルエン、ジクロロメタンおよびジクロロベンゼン(有機物)などであって、酸水素ガス生成器207(GG1)によって生成される酸水素の多いガス214の上昇流を介して、廃水から取除かれる(液相から気相に変化させる)。懸濁物質およびリンなどの固相汚染物質は、酸水素ガス生成器207(GG1)から微小気泡の形で生成される酸水素の多いガス214によって作り出される自然の浮選機構によって除去される。取除かれた揮発性の汚染物質は、酸水素の多いガス214と組合わせてユニットプロセス206の表面において集められ、二次プロセスモジュール222へと運ばれ、そこで、酸水素の多いガス220で燃焼され得るか、または、さらなる処理(図示せず)のために膜などのプロセスによって酸水素の多いガスから分離され得る。固体画分216は、ユニットプロセス206から浮遊層をスキミングすることによってまたは後の沈殿によって、直接、液体流から除去することができる。1ステップの廃水処理プロセスとしてのこの実施形態においては、生物学的プロセスは、ユニットプロセス206の要素として意図されたものではなく、このため、バイオソリッドの生成が起こるよう意図されていない。この実施形態における固体画分は、バイオソリッドとなるよう意図されておらず、むしろ、さらなる処理を行うことなく埋立て地において直接廃棄することのできる不活性の無機固形物216でできている。処理された廃液の流体は、流出体218についての規制基準および業界基準を満たすように、病原体が同時に殺菌される。その後、流出体218は、たとえば川などの地表水の本流に直接放出されてもよく、または、廃液処理システム204で再使用されてもよい。代替的な実施形態においては、流出体218は、ユニットプロセス206の後であって、放出または再利用よりも前に、三次砂ろ過などのさらなる処理(図示せず)を受けてもよい。
廃液の流体202に接触した後、酸水素の多いガス220の流出分は、ユニットプロセス206から、廃液処理システム204のたとえば焼却ユニットなどの二次プロセスモジュール222へ運ばれ得る。図4は、以下に説明されるように、ユニットプロセス206で利用された後の酸水素の多いガス220の、他のさまざまな二次使用を示す。酸水素の多いガス220が用られる二次使用の種類に応じて、使われなかった酸水素の多いガスまたは二次プロセス222の副生成物224は、回収されるか、または回収されなければ1つ以上の他のプロセスモジュール226に運ばれて、廃液処理システム204の三次局面、または外部で使用されてもよい。
酸水素ガス生成器207は、両方がここに引用にて援用され、エクソジェン・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Xogen Technologies Inc.)に発行された、チェンバーズ(Chambers)の米国特許第6,419,815号および第6,126,794号(以下、「エクソジェン特許」とする)に開示されるような種類の水分解離技術を実現し得る。エクソジェン特許の第3〜5欄で説明されるように、実施形態に従ったガス生成装置は、電極「セル」を含み、各セルは、水を含む作動流体に浸漬されるよう適合された、間隔をあけた2つ以上の電極を含む。この明細書中で説明される実施形態においては、作動流体は廃液の流体202を含む。電極は好ましくは同じ材料でできている。一電極材料として、低コストで耐久性があるのでステンレス鋼であってもよいが、他の導電性金属を使用することも可能である。電極はコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。電極は単層または多層でコーティングされてもよい。コーティングは、混合金属酸化物、導電性金属、金属合金またはそれらの組合せからなる1つ以上の層を含み得る。たとえば、コーティングは、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、白金、二酸化チタン、酸化スズまたはこれらのいずれかの組合せからなる1つ以上の層であってもよい。混合金属酸化物、金属または金属合金は他の金属でドープされてもよい。金属でドープされた混合金属酸化物を含む層の一例として、アンチモンでドープされた酸化スズの層が挙げられる。コーティングされた電極の具体例として、Denora S.p.Aから入手可能な、たとえばDSATM電極であって、イリジウム、ルテニウム、白金、ロジウムおよびタンタルなどの貴金属の混合金属酸化物溶液でコーティングされたチタン電極が挙げられる。アノードおよびカソードは同じであっても、または異なっていてもよい。電極間は等間隔に維持され、電極間の間隔は最小にされることが好ましい。しかしながら、電極間にアーク放電が起こり得るので、電極間の間隔はあまりに近く位置決めされてはならない。酸水素の多いガスの生成のためには1ミリメートル以下の間隔が最適な間隔であると決められてきたが、間隔を約5ミリメートルまで増大しても効果的に働き得、電極間の固形物の堆積による汚損を受けにくくなる。5ミリメートル超の間隔も実行可能であるが、酸水素ガスの出力を低減させ、所要電力を増大させる傾向がある。
各セル内に多くの電極の対(たとえば数ダースまたは数百)を含むことが好ましい。電極はほぼいかなる形状でもよいが、好ましくは互いに狭い間隔でかつ平行な平板または網目状板を含む。代替的な実施形態は、同軸に並べられた円筒を含み得る。隣接する電極間に絶縁スペーサが配置されて電極間の等間隔を維持し、そこでの電流の漏れを防ぐ。
エクソジェン特許にさらに記載されるように、高周波のパルス化直流(DC)電気信号が電極に与えられる。パルス化信号は、ほぼいかなる波形であってもよく、電流レベル、電圧レベル、周波数およびマーク−スペース比(すなわち、2つの連続するパルス間の間隔に対する単一パルスの幅の比)が可変であってもよい。電源のための電力源は、110ボルトの本線電源または12ボルトのカーバッテリなどのバッテリを含み得る。たとえば電源は、24ボルトを供給するために直列に配置された2つの12ボルトのバッテリを含み得る。都市廃水処理プラントなどの大型の廃液処理システムにおける大規模なガス生成器GG1に電力供給するためには、要求される大きなセルを駆動するのに十分な出力を有する24ボルトのパルス化DC信号を生成するために、より複雑な電源が必要となる可能性がある。代替的には、複数のより小さな電極セルが、反応槽または他の反応ゾーンの中に間隔をあけて余分に与えられてもよく、その場合、それらのセルはより単純な個別の電源によって駆動され得る。
バッテリまたは他の電源と関連してコントローラが用いられ、方形波、鋸歯状波、または三角波などの多様なパルス化出力波形のうち1つを生成し、それが電極に与えられ得る。現在、方形波を用いると、酸水素の多いガスの生成に最良の結果が得られている。一実施形態においては、パルス化信号のマーク−スペース比は約1対1から10対1であり、パルス周波数は約10kHzから250kHzである。
電源からのパルス化信号の開始後、電極は連続的に、かつほぼ瞬時に、酸水素の多いガスの気泡を相互作用ゾーンの水分子から生成する。相互作用ゾーンは電極間において、電極の端部をわずかに超えて延在する。生成された気泡は電極のまわり、または電極の上で一塊にされずに、反応槽または他の反応ゾーン内で容易に流体の表面に浮遊する。したがって、溶液の伝導を補助するために、または、電極のまわり、もしくは電極の上で気泡が一塊になることを阻止するために、化学的触媒を添加する必要はない。したがって、地表水および通常の水道水などの他の水源と同様、多くの異なる種類の廃液の流体が作動流体として用いられ得る。
図3は、廃液処理システム240を示す概略図であり、酸水素ガス生成器GG2,GG3,GG4,およびGG5が、廃液処理システム240の1つ以上のユニットプロセス242a,242b,242c,および242d(集合的にユニットプロセス242)の実施の際に用いられてもよい。酸水素ガス生成器GG2,GG3,GG4,およびGG5は、たとえば、図2および図5を参照してこの明細書中で説明される装置(装置207および500)と同様の装置を含み得る。図3を参照すると、廃液処理システム240は、都市廃水(医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品を含み得る生汚水)を含む廃液の流体244を処理するための廃水処理プラントとして実現される。しかしながら、他のさまざまな実施形態と同様に、廃液処理システムは、代替的には、たとえば産業廃水、化学処理流出物、家畜排泄物、製紙工場の流出物、埋立て浸出液、海洋廃水、雨水流出水、地下水、地表水、処理プロセスの現場流出物、および、環境汚染改善処理プロセスの流出物などのさまざまな種類の廃液の流体を処理するために配置され、構成されてもよい。廃水の流入体は、1次浄化槽246、エアレーション槽248、および最終浄化槽250の使用によって既知の方法に従って処理されてもよく、そこでバイオソリッド252は、生スラッジ254および廃液活性化スラッジ256の形状で、廃液の流体244から取除かれる。
処理された廃水は、典型的には、流出体258として放出され得る前に、健康に害を与え得る病原体が流入水に入ることを防止するために、殺菌されなければならない。上述のように、従来の殺菌プロセスは、紫外(UV)放射、塩素、またはオゾンを利用する。一実施形態によれば、殺菌プロセス260は、処理された廃液の流体の流路において最終浄化槽250と流出体の流出口258との間に配置された酸水素ガス生成器GG2によって置換されるか、または補充されるかのいずれかである。酸水素ガス生成器GG2に印加されたパルス化電気信号が酸水素の多いガスを生成するよう動作し、その動作によって、処理された廃水を殺菌する。酸水素の多いガス(H2/O2)262の余剰分は、次いで、以下に図4を参照して説明されるように廃液処理システム240内で二次使用されるべく運ばれてもよい。代替的には、殺菌ユニットプロセス242a以外の1つ以上のユニットプロセス242によって生成された酸水素の多いガス(H2/O2)の酸素成分は、殺菌プロセス260のオゾン生成器への供給源として、殺菌ユニット260に運ばれることができ、その結果として、流出体の殺菌のための全体コストの大幅な節減になり得る。典型的には、酸素成分は、オゾン生成器への供給源として使用される前に酸水素の多いガス(H2/O2)から分離される必要があるだろう。酸水素の多いガスから酸素成分を分離するための1つの可能な技術は、圧力スイング吸着法(「PSA:pressure swing adsorption」)として公知であり、そのうちの1種が、カナダ(Canada)、ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州、バーナービー(Burnaby)市のクエストエア・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(QuestAir Technologies Inc.)によって販売されているガス分離装置で入手可能である。酸水素の多いガスから酸素成分を分離するために、他の技術および装置が用いられてもよい。
本明細書の図3および他の箇所においては、「H2/O2」の表記は酸水素の多いガスを表わすのに用いられ、クリーンな酸水素ガス、または二原子水素(H2)と二原子酸素(O2)との純粋なガス状混合体に限定されない。酸水素の多いガスは、典型的には、主に水素と酸素とを含むガス混合体からなるが、少なくともいくらかの酸素および水素を、たとえばヒドロキサイドラジカルなど、二原子酸素(O2)および二原子水素(H2)以外の形状で含んでもよい。酸水素の多いガスは、水素および酸素以外に測定可能な量の成分をさらに含んでいてもよく、それはたとえば、高濃度の汚染物の存在下で酸水素ガス生成器が動作することから生じ得るか、または、生成された酸水素ガスと廃液の流体中の汚染物との反応から生じ得る。たとえば、廃水または水道水から生成される酸水素の多いガスには、少量(たとえばモル分率1%から4%)の二酸化炭素(CO2)ガスがしばしば存在し得る。酸水素の多いガスには、それが特に廃水から生成される場合、微量の窒素が存在することもあり、廃水に存在する窒素化合物の分解を示し得る。さらに、この明細書中で用いられる「H2/O2」という簡単な表記には化学量論比または他のガス成分の表示がないが、実施形態によるガス生成器GG2〜GG5で生成される酸素および水素は、典型的には、化学量論比がそれぞれ約1対2で生成される。
安定化ユニットプロセス242cの前に、廃液活性化スラッジ256の形状のバイオソリッド252は、濃縮ユニットプロセス242bを受けてもよい。一実施形態によれば、たとえば重力帯濾過処理、遠心処理、または起泡分離(DAF:dissolved air floatation)などの従来の濃縮プロセス264は、酸水素ガス生成器GG3によって補充されるか、または置換される。酸水素ガス生成器GG3は、好ましくは、最終浄化槽250と下流にあるバイオソリッド処理プロセス、たとえば安定化242c、コンディショニング242d、脱水266、乾燥268および/または焼却270などとの間の、廃棄活性化スラッジの流れの中に配置される。酸水素ガス生成器GG3が動作して、好ましくはバイオソリッドおよび他の浮遊物質(すなわち廃液の流体の表面の固形物の集まり)の浮遊を引起こし、それが結果として濃縮された浮遊層となって、さらなる処理のために廃液の流体から容易に除去または分離され得る。
一実施形態においては、酸水素ガス生成器GG3は、反応槽に入れられた廃水に沈められ、約60秒から約10分までの期間で動作し、次にガス生成器GG3への電力が停止される。ガス生成器GG3のある期間の動作の後、著しい量の固形物が廃水の表面に集まることが判明した。ガス生成器GG3の動作中は少量の固形物が廃水の表面に集まり得る一方で、ガス生成器GG3の電源を切り、反応槽を通る再循環の流れ(ポンプ526によって与えられる再循環の流れの詳細については以下の図5の説明を参照)を停止した後ほとんど瞬時に、浮遊固形物が驚くほど大量に増加する。ガス生成器GG3の電源を切り再循環の流れを停止することで、結果的に反応槽内で休止状態となり、そのため固形物は妨害されずに浮遊することができる。予備実験によると、約5分間、ガス生成器GG3を動作させ、その後約2分間電源を切り、再循環の流れがない状態では、供給材料中の(すなわちガス生成器GG3の動作前の)濃度0.54%と比べて、浮遊層中の固形物濃度は4.82%であった。これは、もとの供給物質からスラッジ粒子の93.5%を取除いたことを示す。概して従来の技術と匹敵するこの分離効率が、有機ポリマーなどいかなる凝集剤をも添加せずに達成されたことに注意されるべきである。ガス生成器の浮選効果は、「抽出ガス浮選」と称されることもある。抽出ガス浮選ユニットプロセスは1つ以上のサイクルを含み、各サイクルは、(1)ガス生成器GG3を(典型的には高周波のパルス化電気信号を与えることによって)約60秒から約10分の間で動作させるステップと、(2)ガス生成器GG3の電源を切るステップと、(3)固形物が流体の表面に集まるのを(典型的には約30秒から2分の間)待つステップと、(4)表面から(たとえば表面のスキミングによって)固形物を取除くステップとを含む。このサイクルは、所望の固形物量が廃水から取除かれるまで連続的に繰返され得る。
農地に適用されるバイオソリッド252は、典型的には、適用の前に病原体の個数および生存率を低減するよう242cで安定化されなければならない。安定化は従来は好気的に(酸化により)、または嫌気的に(有機物質を酸素がない状態でメタンに変換することにより)達成される。好気的安定化はエネルギ集約型であり、嫌気的安定化は資本集約型であって、両方の手法ともに高額である。一実施形態によれば、酸水素ガス生成器GG4を利用して、廃液の流体中のバイオソリッド252を安定化し、酸水素の多いガス(H2/O2)272を生成する。ガス生成器GG4は反応槽502に沈められてもよく(図3B)、その場合は、廃液の流体は、ガス生成器GG4によって生成される酸水素の多いガス272と直接接触するようになる。安定化のために酸水素ガス生成器GG4を利用すると、有効量の病原体を殺すかまたは無害にするのに必要となり得る滞留時間は、従来の安定化プロセス274で要する時間よりも短くなる可能性がある。結果として、ガス生成器GG4は、バイオソリッドが連続的反応器の処理ゾーンを通って流れる間に処理するために、その反応器内に直接浸漬され得る。ガス生成器GG4のサイズおよび処理ゾーンで要する滞留時間(すなわち連続的反応器を通る流路の長さ)は、規制要件を満たすために要する安定化レベルと相関関係にある。たとえば、米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency)(「U.S.EPA」)の規則503によって規定される基準を満たす「A級(Class A)」のバイオソリッド生成物を生成することが目的である場合、最終生成物は、典型的には、バイオソリッド中の糞便の大腸菌の密度が総固形物1グラム当たり1000最確数(MPN:most probable numbers)未満でなければならず、かつ、揮発性固形内容物中で38%の低減などの「ベクタ誘引低減」を有していなければならない。これを達成するために認められた従来の2つの方法は、バイオソリッドを高温性好気性消化によって10日間(240時間)55℃から60℃の温度で処理するか、または、5日間(120時間)50℃という代替的な時間/温度の状況下で処理するかである。これとは対照的に、酸水素ガス生成器GG4を利用した実験的研究においては、処理温度25℃、およびバッチ滞留時間4時間から6時間で、安定化およびベクタ誘引低減基準が満たされ得ることが示された。
酸水素ガス生成器GG4の動作は、反応槽または流水式処理ゾーン内において、安定化に要する条件と一致する大気を作り出すと考えられている。酸水素の多いガスが遊離する間、反応器または処理ゾーンの内容物の温度は上昇し、その温度は特定のシステムの既知の滞留時間を鑑みて、安定化のために必要な温度要件を達成するように制御することができる。時間/温度状況は規制要件を満たし、かつ病原体の破壊を必要なだけもたらすようカスタマイズされることができる。液体の滞留時間も温度とは独立に制御可能であり、その結果、時間と温度とのいかなる組合せも達成され得る。安定化の後、バイオソリッドは農業的利用のために脱水されるか、または直接に液体注入プログラムに利用されるかのいずれかであり得る。ガス生成器GG4によって遊離された酸素が高度に酸化された環境を作り出し、その結果有機物が酸化されて、それ自体で安定化要件を満たすことができる。これらの2つの安定化手法を1つのステップに組合せると、極めて効率的なプロセスになる可能性が提示される。これらの条件の組合せは、米国環境保護庁の規則503に特定される「病原体をさらに低減するプロセス(Process to Further Reduce Pathogens)」として十分適格であり得、かつこの組合せは、農地に液体の形状で直接与えられ得るA級のバイオソリッドを生成し得る。処理された物質は、その後の取扱いおよび再使用の動作において、生成する悪臭をより少なく、ハエおよび齧歯動物などのベクタ誘引をより少なくできる。これらの利点が、酸水素の多い遊離されたガス272の形状で保存されるエネルギの出力と結合されると、安定化ユニットプロセス242cの全体のコストが従来の安定化プロセスよりも大幅に低くなることが期待される。
いくつかの実施形態においては、別個のコンディショニングステップ242dが、(従来の274、またはガス生成器GG4を介してのいずれかで行なわれる)安定化242cの後、かつ脱水266の前に実施される。従来の化学コンディショニング276は、廃液の流体から固形粒子を取除くための凝集を助けるポリマーまたは有機高分子電解質を添加することを含む。一実施形態と一致するコンディショニングは、酸水素ガス生成器GG5を用いて化学コンディショニング276を補充し、または置換する。ガス生成器GG5は、高度に酸化された、かつ温度が上昇した状況を作り出し、それは、バイオソリッドの周囲の、バイオソリッドの凝集に妨げをもたらす可能性のある多糖体層を破壊する傾向がある。多糖体の減少はバイオソリッドの表面特性を変え、これにより、必要となるポリマーの量を減らし、またはいくつかの場合には、ポリマー添加剤を全く不要とする。したがって、コンディショニングユニットプロセス242dにおいて酸水素ガス生成器を実現することによってコンディショニングのコストを下げ、毒性および悪臭の生成の問題を減らし、同時に、酸水素の多いガス(H2/O2)278をバイオソリッドの廃液の流体252の水成分から遊離する。酸水素の多いガス278は、次に回収され、廃液処理システム240内または他の場所での二次使用のために運ばれ得る。安定化242cと同様に、コンディショニングプロセス242dのガス生成器GG5は反応槽502に浸漬されてもよく(図3A)、または、廃液の流体が流れるのに通る、導管もしくは他の流路の反応ゾーンに配置されてもよい。さらに、図3Bを参照して以下に説明されるように、酸水素ガス生成器の利用により、安定化およびコンディショニングの両方が、安定化/コンディショニングが組合された単一のユニットプロセスにおいて同時に実施されることが可能になり得る。
図3A〜図3Cは、バイオソリッドを含む廃液の流体を処理するための、酸水素ガス生成器500を含む廃水処理施設のさらなる例示的な実施形態を示す。図3A〜図3Cに関して、300番台の参照番号は、上述の対応する図1の中の100番台の番号に相関する。たとえば、図3A〜図3Cにおいて、1次浄化槽は参照番号302で表わされ、それは図1の対応するユニットプロセスの参照番号102と対応する。図3A〜図3Cにおいて500番台の参照番号を付けられた項目は、以下に図5を参照してさらに詳細に説明される。図3Aに関して、ガス生成器500は嫌気性消化槽322と脱水プロセス332との間で動作するよう図示され、コンディショニングユニットプロセスおよび/または凝集ユニットプロセスを実施する。図3Bにおいて、ガス生成器500は、廃液の流体の安定化を目的として嫌気性消化槽(図1の122)の代わりに動作される。図3Bの実施形態においては、ガス生成器500は、反応槽502に入る廃液の流体の性質に応じて、コンディショニングユニットプロセスまたは組合された安定化/コンディショニングユニットプロセスとして機能することもできる。図3Cにおいて、ガス生成器500は、記載された実施形態に一致する組合された脱水および焼却手順の一部として、従来の脱水プロセス(図1の132)の代わりに動作される。
廃水バイオソリッドの処理に適用される実施形態が、より詳細に図5で概略的に示される。図5は、図2の酸水素ガス生成器GG2〜GG5の一実施形態を表し、より具体的には図3A〜図3Cのガス生成器500の実現例についての付加的な詳細を示す。図5を参照して、ガス生成器500は水とバイオソリッドとを含む流体懸濁液504を入れた反応槽502に沈められている。流体懸濁液504は、廃水の流入体と同じく希薄であってもよく、または、活性化廃液スラッジ、生スラッジ、または濃縮スラッジと同じく、より濃縮されていてもよい。流体懸濁液504は、典型的には1.0よりもほんの僅かに大きい凝集した比重を有する生物フロック(バイオソリッド)を大部分に含む。
ガス生成器500は、1組のフロート522から吊り下がるフレーム510に装着されてもよく、それによりガス生成器500の浸水深さが、流体504の表面の下方で所望のレベルに維持される。代替的には、ガス生成器500は、反応槽502内で固定された高さに位置決めされ得るよう、固定蓋部または他の固定支持体に装着され得る。図5に示される実施形態においては、フロート522は反応槽502の上面を封止するようにも機能し得る。フレーム510は調整可能であり、それにより、反応槽502内の流体504の深さとは独立して、ガス生成器500の浸水深さレベルが調整され得る。
他の実施形態においては、ガス生成器500は台座または他の支持体の上に配置され、それにより反応槽502内の流体504の深さの中間より下に位置決めされる。反応槽(または他の反応ゾーン)内の低い位置にガス生成器500を配置することで、酸水素の多いガスの気泡が流体504を通って上昇しなければならない距離が長くなり、したがって、その滞留時間が長くなり、バイオソリッド粒子または他の処理可能な分子に接触する可能性が高まる。好ましくは、ガス生成器500は反応槽502の床部より少なくともわずかに上に位置決めされて、ガス生成器500の電極間に沈降物およびスラッジが堆積するのを回避する。
ガス生成器500は狭い間隔をおいて配置された一連の電極板を含み、これら電極板は一般に縦に配向され、隣り合う板の間の空間が反応器の内容物に対して、板の上端縁および下端縁の両方において開いているように配置される。電源505からのパルス化電気信号は、送電ワイヤ507を介して電極板に与えられる。パルス化電気信号を印加することで、板の間および板の間の開口部をわずかに超えて延在する相互作用ゾーンにおいて流体懸濁液504中の水分子が解離され、それにより、水素および酸素を含む、酸水素の多いガスが形成される。酸水素の多いガスは相互作用ゾーンに集まって、流体懸濁液504を通って上昇する気泡を板の間に形成し、次にガス収容蓋部524の下で流体懸濁液504の表面に集まり得る。流体懸濁液504中の生物フロックの凝集密度(比重)が1.0よりほんの僅かに大きいために、上昇する気泡はフロックを上向きに移動させ、遊離されたガス気泡中の、および/または収容蓋部524の下に集まる大気中の、酸素および水素と接触させることができる。
酸水素の多いガスを生成するプロセスにおいては、ガス生成器500の周囲で熱が生成され、反応槽502内の流体懸濁液504の温度が上昇し得る。反応槽502の内容物の一部は連続的かつ可変的に引出され、送り/再循環ポンプ526を介して熱交換器506を通って再循環させることができ、流体懸濁液504の温度を当該具体的な用途のための所望のレベルに維持し得る。温度制御を行うことに加えて、再循環ループはさらに反応槽502においてある程度の能動的な混合をもたらすことができ、バイオソリッドを懸濁させておき、それにより流体懸濁液504の表面へと上向きに運ばれるような位置に、または、バイオソリッドが酸水素の多いガスに接触する可能性がより大きい別の接触ゾーンに、バイオソリッドを保つことを助ける。サンプルポート508を再循環ラインに設けることができ、それによりバイオソリッドのサンプルが集められ、いずれの時点においてもそれまでにどの程度処理が達成されたかを決定するために、さまざまなパラメータについて分析することが可能になる。
都市廃水または産業廃水処理という状況におけるガス生成器500のユニットプロセスの適用例としては、この明細書中で説明されるように、たとえば殺菌、濃縮、コンディショニング、脱水、および安定化を含み得る。動作パラメータレベルの組合せは、各種類のユニットプロセスに対して最適化可能であり、各用途および廃液の各流体源に対して固有であり得る。個別に変動し得る動作パラメータのうちいくつかは、ガス生成器500の水没深さ、電源505を介してガス生成器500に与えられる電力の大きさ、ガス生成器500の電極へのパルス化電気信号の性質、ならびに反応槽502内の流体懸濁液504の温度および滞留時間を含む。電源505により制御され得るパルス化電気信号の性質には、パルス周波数、振幅、パルス幅、マーク−スペース比、波形(すなわち、方波形、鋸歯状波形など)、接地に対する電圧などが含まれる。他の適用例および対応する動作パラメータも当業者には明白であり得る。
コンディショニングにより、生物フロックの表面に存在して脱水に対する抑止力として作用する天然多糖体層を破壊し、または分解する。酸水素の多いガスの上昇する気泡によってフロックが上向きに引上げられる間、フロックは、高度に酸化された接触ゾーンにおいてガス生成器によって生成された気泡中の水素および/または酸素と直接に接触させられる。多糖体層はフロック粒子の最も外側の境界に相当するので、これらの層は優先的に分解される。この多糖体層の大部分を除去すると、後に続く従来の脱水プロセスにおいて、ポリマーの添加の必要性を減じるかまたは完全になくすという効果が得られる。図3、図3Aおよび図3Bに示されるように、コンディショニングされたバイオソリッドは、従来の脱水装置に直接に移動させることができ、脱水されたケーキは廃棄されるか、または当該技術分野において公知のいずれの従来の態様で利用されてもよい。
実施形態を脱水に適用することは脱水の従来の概念とは異なる。従来の脱水においては、その目的は、バイオソリッドの種類および下流の処理要件に応じて、最小限のケーキ固形物濃度である約20%から30%を達成することである。現在の焼却方法は、バイオソリッドが約20%〜30%の固形物にまで脱水されることを必要とする。なぜなら、これらの濃度においては補助的な燃料を追加することなく液体部分を蒸発させるほど十分なエネルギがケーキにあるからである。図5の実施形態においては、焼却炉512に放出された、バイオソリッドの最終的な固形物濃度は比較的重要ではない。なぜなら、焼却プロセス512は、バイオソリッド粒子の燃焼および残りの自由水の蒸発を含むからである。ガス生成器500に電力が供給されると、反応槽からの水が酸水素の多いガス中に遊離され、脱水の達成される程度が、生成される酸水素ガスの量に正比例することとなる。この手法においては、生成されるガスの量が、反応槽502における最終的な固形物濃度よりもさらに重要となる。ほんの一部の水がガスに変換されるだけで反応器の残りの内容物を焼却するのに十分なエネルギをもたらすことが期待される。
一実施形態においては、ガス生成器500を介して十分な量の酸水素ガスを生成すると、固形物濃度において、対応して10%の上昇、たとえば約3.0%の固形物から約3.3%の固形物にまで上昇することが期待される。他の実施形態においては、固形物濃度は、酸水素ガスを用いた焼却の前に、約10%または20%の固形物濃度にまで上昇され得る。焼却プロセス512のための燃料(すなわち酸水素ガス)が内部で生成され得るので、移入燃料の需要を低減させるか、またはなくすことができる。バイオソリッドは、ケーキの形状ではなく液体懸濁液の形状でも焼却され、これは、予備処理ステップとしての従来の脱水の必要性をなくし、かつ、半固形または可塑性のケーキを焼却炉512へ移すことに伴う物質取扱い上の問題をなくすことができる。液体懸濁液の形状でバイオソリッドを焼却することが可能であることにより、また、従来とは異なる焼却炉技術を用いる可能性をもたらし、その技術が今度はコストを低減することができるので、より小さな施設で焼却を採用することが経済上有利となる。また、焼却は、安定化および従来の脱水の両方に関して必要性とコストとをなくし得るので、液体バイオソリッドの焼却は、他の管理上の代替策に対して経済的に有利になり得る。
特定の実施形態によって実施されるいかなるユニットプロセスにも関わらず、エネルギに富むガスが生成される。図5に示されるように、このガスは、焼却512や発電514のための燃料として、またはオゾン516の生成のための供給源として(ガス混合体から分離された酸素とともに)用いることができる。
図4は、図2、図3A、図3B、図3Cおよび/または図5による酸水素ガス生成器を採用する1つ以上のユニットプロセスによって生成される、酸水素の多いガス(たとえば220,262,272,278)のいくつかの二次使用を示す概略図である。図4に示されるように、酸水素の多いガスが燃料として用いられ得るのは、(A)スラッジまたはバイオソリッドの焼却、(B)発電(およびそれに続くプラント内使用のための熱回収)、および(C)(乾燥または他の熱処理のための)高温ガスの生成である。また、酸水素の多いガスは、1つ以上の二次プロセスまたは二次使用(D)で用いられるよう、その水素成分および酸素成分に分離され得る。たとえば、酸水素の多いガスの酸素成分は殺菌プロセスのオゾン生成器に供給され得るか、または、エアレーション槽にポンプで送られ得る。酸水素の多いガスから酸素が分離されると、水素成分は、たとえば焼却のための燃焼、発電、または乾燥などの異なる二次使用に向けて運ばれ得る。
廃水処理における最も重要なユニットプロセスのうちの1つは、好気性細菌による有機物の酸化からなる。酸素は、エアレーション槽に圧縮空気を注入するコンプレッサによってこれらの細菌に供給される。エアレーション槽に空気をポンプで送るための電力が入手可能であることが必要である。コンプレッサは動作させるのに相当な電力を要する大きなモータを有し、一般に、水処理プラントの液体部分の総エネルギ所要量の20%から30%を占める。したがって、処理プロセスと一体化した電源を有することは著しい利益となる。ガス生成器500によって生成されるようなエネルギに富むガスが入手可能であれば、それを用いて現場で電気を生成することができるため、施設での電力コストの制御が可能となり、また、十分な電力供給が確実に得られるようになる。
本発明の実施形態によって生成されたガスは酸水素の多いガスであって、副生成物としての最小限の温室効果ガスとともに燃焼させることができる。このガスは大規模な浄化を必要とせず、生成されるガスの量は電力需要に一致するよう調整され得る。生成されたガスを利用する、処理プラント内での電力生成は、長期的に電気コストが低減する結果となり、かつ外部の市場状況とは独立して確実な電気の供給を提供する。
酸水素ガスの燃焼による主な生成物は、熱および水蒸気である。酸水素の多いガスが、乾燥、発電、または他の目的のために燃焼されると、熱燃焼排出物は凝縮プロセス518において凝縮させることができ、廃水処理施設内でさまざまな用途に使用できるよう520に保存され得る高品質な水を回収することができる。しかしながら、飲用水を除いては、これらの用途の多くは飲用水品質を必要とするのではなく、二次流出体として入手可能である以上の高い品質を必要とする。これらの用途の例は、トイレおよび小便器のフラッシュ、ポリマー溶液および他の化学溶液を調整するための希釈水を含むだろう。したがって、燃焼排出物からの凝縮水518は、それがなければ都市給水から購買してきたであろう、飲用水が要件ではない用途のための水に置換えることができ、それにより運営コストを低減させる。
廃液の流体から汚染物質を除去するためのシステムおよび方法を用いて廃液の流体中の医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品の濃度を下げることができると判断された。ここで、独立した試験では、当該システムおよび方法により、予想外に高いレベルで、かつ処理済み流出体をプロセスにおいて再使用することができる程度にまで、廃水からのレドックス活性汚染物質の濃度を低下させることができることが確認された。以下の表1は、処理までに都市廃水中にて検出された医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品ならびに他のレドックス活性汚染物質と、廃水の処理後のそれぞれ対応する濃度とを列挙している。医薬品の一般的な用途も記載される。廃液の流体から汚染物質を除去するためのシステムおよび方法により、以下に列挙されていない、フルオキセチン、スルファメタジン、インドメタシン、ゲムフィブロジルおよびエストロンなどの他の医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品も除去され得る。
表1に示される結果をもたらす未処理廃水の処理は、1セットのステンレス鋼電極を備えた反応器を用いて行われた。以下に説明するように、結果として生じる流出体は、任意には、アルミニウム電極を有する付加的な反応器においてさらに処理することができる。アルミニウム電極を備えた反応器からの流出体は、任意には、レドックス活性汚染物質の濃度をさらに下げるために1つ以上の活性炭フィルタによってろ過することができる。
表2および表3は、表1において用いられた廃水とは異なる源からの都市廃水の試験結果を詳述する。表2においては、「ND」は「検出せず」の略語である。各サンプルは、約10分間、ステンレス鋼反応器内での最初の処理にさらされ、次に約2分間、アルミニウム反応器内での第2の処理にさらされ、最後に、流出体が粒状活性炭カラムによって研磨された。
表1および表2において示される結果を得るために用いられる廃水が異なっていたので、(医薬品およびパーソナルケア製品以外の)異なる成分の特徴は、2つの廃水中の有機材料の酸化時の変化に寄与し得たであろう。さらに、表2においては、アルミニウム電極での処理後に示されるカフェインの増加は、例外的なものであり得るか、または化学反応に関連付けることができた。いかなる場合も、差は統計的に関連しているようには見えない。
表3においては、品質保証(QA:quality assurance)サンプルは、前処理および後処理において検出された量に従ったものである。CVSは、キャリブレーションカーブが正確かどうかを判断するために用いられる較正検証基準についての略語である。LCSは実験用対照試料を意味する。LCSは、抽出プロセスおよび検出の効率を確定するために汚染物質でスパイクされる「サンプル」(常に清浄水または固形物)である。MSはマトリックス・スパイクを指しており、LCSとしてスパイクされる実際のサンプルであるが、これは、汚染物質が実際のサンプル中またはMSとはわずかに異なるマトリックス中において抽出および検出可能であることを証明している。R2は、サンプルからの汚染物質の回収を表す。最後に、RLは報告限界を示す。これらの結果は、信頼水準内で検出され得る最低限度を示す。提供される信頼水準は、95%から99.5%までの範囲にわたる。
これらの試験結果から分かるように、当該システムおよび方法によれば、廃液の流体中の医薬品、パーソナルケア製品および石油化学製品などの有機汚染物質の濃度が低下させられる。この特徴は、これらの汚染物質が廃水内に混入する可能性があるが、従来の処理プロセスによってこれら汚染物質が除去されない可能性のある都市廃水の処理に有利であり得る。現在のところ、濃度を低下させるのに鋼電極が有効であるようである。実験においては、1セットのアルミニウム電極を追加することで濃度がさらに低下する。他の金属および/または電極において異なる順序で用いられる金属の組合せは、標的となる汚染物質に応じて同じ結果または改善された結果をもたらし得ることが理解されるだろう。
上述のとおり、廃液の流体から汚染物質を除去するためのシステムおよび方法を用いて、廃液の流体中の金属の濃度を下げることができる。廃液の流体から除去され得る金属の一例として分裂生成物が挙げられる。分裂生成物は放射性同位元素または金属とも称される。廃液の流体中に発見され得る核分裂生成物の例として、137Cs、60Co、65Zn、54Mn、144Ce、226Ra、232Thおよび238Uが含まれる。分裂生成物は、(a)(凝固としても公知である)凝集と(b)懸濁させた放射性金属の浮選および/または沈降との組合せによって廃液の流体から除去される。
上述のとおり、酸水素ガス生成器はアノードおよびカソードを含む。アノード材料は、酸化により電気化学的に腐食し、カソードはパッシベーションにさらされることとなる。消耗型の金属プレート、たとえば鉄またはアルミニウムは、犠牲電極として用いられてもよく、水中に連続的にイオンを放出してもよい。放出されたイオンは、懸濁させた放射性粒子の電荷を中和させ、これにより、凝固を開始させ得る。凝固させた材料は、化学反応もしくは沈殿によって、または凝固させた材料を合着させることによって除去されてもよい。凝固した材料は、浮選または沈殿によって除去されてもよい。
一例においては、放射性金属は、上述のように、酸水素ガス生成器から微小気泡の形で生成される酸水素の多いガスによって作り出される天然の浮選機構によって除去されるか、または、懸濁粒子の凝集によってもたらされる沈殿によって除去される。
ナトリウムイオンは懸濁させた核分裂生成物と共に廃液の流体から除去されてもよい。
CsClの水溶液を準備して、放射性金属汚染水をシミュレートした。溶液(700mL)は250mg/LのNaClを用いて1.0ppmのCsClとして準備された。当該方法のさまざまなパラメータが試験された。
以下の試験では、3つの凝固剤について、さまざまなpH値でのCs+の除去を評価した。
以下の試験では、可溶性を低下させた硫酸複塩または塩化物塩を形成および凝固させて、これにより水溶液からセシウムを沈殿させる電解プロセスの効果を評価した。一般式A2SO4・B2(SO4)3・24H2Oの硫酸複塩は低可溶性塩であることが知られている。ここで、Aはセシウムなどの1価カチオンであり、Bは、アルミニウムまたは鉄(III)などの三価金属イオンである。また、(CsSbCl4およびCsFeCl4などの)アンチモンまたは鉄を含む塩化物複塩は可溶性が低い。
3つの凝固剤を試験するためのパラメータを表4〜表8に示す。記載されるように、CsClおよびNaClの最初の濃度はそれぞれ1mg/Lおよび250mg/Lであった。3つの例示的な凝固剤は、50mg/L、100mg/Lまたは200mg/Lの濃度でそれぞれ試験されたAl2(SO4)3、FeCl3およびFe2(SO4)3であるが、代替的には他の濃度を用いることもできた。約7、約9および約10のpHで試験された。溶液の温度が19°C〜22°Cとなるよう測定された。電流および電荷の値は記載されたとおりであった。溶液は寸法安定性アノード(DSA:dimensionally stable anode)電極、鉄電極またはアルミニウム電極を有する反応器内で試験された。溶液は30分間処理された。
未処理水および処理水は、遊離塩素、塩化物、硫酸塩、金属(Cs+、Al3+、Fe3+)、懸濁物質、スラッジ生成、導電性、pHおよび溶存酸素(DO:dissolved oxygen)について試験された。金属はチョークリバー研究所(Chalk River Laboratories)でICP−MSを用いて試験された。すべてのサンプルは、塩素について分析されたものを除いては、高品質無灰ろ紙を用いてろ過された。試験パラメータおよび結果を表4から表8に示す(除去不確実性:±5%)。
電極に適用された電流、電圧、デューティサイクルおよび周波数を試験する際に、テストセルは、90%のデューティサイクル、10Hz、および20mA/cm2までの電流制御下で動作させた。
主題は構造的特徴および/または方法動作に特有の言語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲において規定される主題が上述の特定の特徴または動作に必ずしも限定されないことが理解されるはずである。むしろ、上述の特定の特徴および動作は請求項を実現する形態例として開示される。
Claims (6)
- 廃液の流体から放射性同位元素を除去するための方法であって、
狭い間隔をおいて配置された2つの電極を廃液の流体に沈めるステップを含み、廃液の流体は、水成分および放射性同位元素を含み、電極はそれらの間に延在する相互作用ゾーンに隣接し、前記方法はさらに、
電極のうち少なくとも1つにパルス化電気信号を印加することにより、水成分から酸水素の多いガスを生成するステップを含み、酸水素の多いガスは、廃液の流体の表面にまで上昇する気泡を相互作用ゾーンにおいて形成し、気泡のうち少なくともいくつかは、前記気泡が廃液の流体中を上昇するときに放射性同位元素に接触し、これにより、放射性同位元素の少なくとも一部を廃液の流体の表面にまで運ぶ、方法。 - 廃液の流体に凝固剤を加えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 凝固剤はAl2(SO4)3、Fe2(SO4)3またはFeCl3である、請求項2に記載の方法。
- 電極のうち少なくとも1つは、鉄電極、アルミニウム電極または寸法安定性電極である、請求項1に記載の方法。
- パルス化電気信号は、約20mA/cm2までの電流で印加される、請求項1に記載の方法。
- パルス化電気信号は、約900クーロンから約3500クーロンの電荷で印加される、請求項1に記載の方法。
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