一般に、電動パワーステアリング用の電子制御ユニットは、小型であることが望ましい。しかしながら、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニットを設計することは、当業者にとって困難である。
本発明の1つの目的は、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニットを提供することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び好ましい実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
本発明に従う第1の態様は、
電動モータと一体に形成される電動パワーステアリング用の電子制御ユニットであって、
前記電動モータに駆動信号を供給するスイッチング回路と前記駆動信号の元となる電源電圧を平滑する少なくとも1つの電解コンデンサとを有する第1の基板と、
前記スイッチング回路を制御する制御回路を有する第2の基板と、
前記電源電圧を入力する第1の入力端子と孔部とを有する中継部材と、
前記第1の基板を格納するユニットカバーと、
を備え、
前記孔部に、前記制御回路から前記スイッチング回路に送られる制御信号を運ぶ信号線と前記駆動信号を出力する出力端子とが挿入され、
前記ユニットカバーの開口部は、前記電動モータを格納するモータカバーによって閉じられ、
前記第1の基板、前記第2の基板、前記中継部材及び前記ユニットカバーは、前記電動モータのモータ軸の方向に、前記第2の基板、前記中継部材、前記第1の基板及び前記ユニットカバーの順で配置されることを特徴とする電動パワーステアリング用の電子制御ユニットに関係する。
ユニットカバーの開口部は、電動モータを格納するモータカバーによって閉じられているので、電子制御ユニットは、独立した部品である蓋(例えば特許文献1の図1の金属筐体240)を備える必要がない。電子制御ユニットを構成する部品の数を減少することにより、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニットを提供することができる。
さらに、第1の基板、第2の基板、中継部材及びユニットカバーは、電動モータのモータ軸の方向に、第2の基板、中継部材、第1の基板及びユニットカバーの順で配置される。これにより、電子制御ユニットは、電動モータの上部又は下部に、言い換えれば、電動モータの例えば背面に、電動モータと一体に形成することができ、電子制御ユニットの出っ張りを抑制し、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニットを提供することができる。従って、電子制御ユニット及び電動モータを電動パワーステアリング装置に組み込む際、配置又は設計の自由度が高い。
なお、特許文献1の図2において、モータ制御装置200(電子制御ユニット)は、モータ100の側部に、モータ100と一体に形成され、モータ制御装置200自身が全体として出っ張りを形成する。従って、モータ制御装置200及びモータ100を電動パワーステアリング装置に組み込む際、配置又は設計の自由度が制限されてしまう。
本発明に従う第2の態様は、第1の態様において、
前記スイッチング回路は、複数のスイッチングトランジスタを有してもよく、
前記少なくとも1つの電解コンデンサは、第1の面に実装された複数の電解コンデンサで構成されてもよく、
前記複数のスイッチングトランジスタ及び前記複数の電解コンデンサは、前記第1の面と異なる前記第1の基板の面に実装されてもよい。
複数のスイッチングトランジスタ及び複数の電解コンデンサが第1の基板の面に実装される時に、複数の電解コンデンサは、第1の基板の面と異なる第1の面に実装されている。言い換えれば、複数の電解コンデンサは、第1の面に立体的に配置することができる。これにより、電子制御ユニットの出っ張りを抑制し、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニットを提供することができる。また、複数のスイッチングトランジスタ及び複数の電解コンデンサは、第1の基板の面に一括して実装され得るので、電動パワーステアリング用の電子制御ユニットの製造工程を簡略化することが可能となる。
なお、特許文献1の図1、図5及び図11において、DCモジュール230又は電解コンデンサC2,C3は、パワーモジュール210に対して左又は右に配置されているので、言い換えれば、DCモジュール230及びパワーモジュール210は、平面的に配置されているので、モータ制御装置200の出っ張り又は大型化を招いてしまう。また、特許文献1の図14において、電解コンデンサC3の負極側の端子C3NTは、バスバ230BNNと溶接で接続され(特許文献1の段落[0045])、且つ特許文献1の図4において、バスバ230BNNは、パワーリードフレーム230BNと溶接で接続されるので(特許文献1の段落[0028])、モータ制御装置200(電子制御ユニット)の製造工程が複雑又は煩雑となってしまう。
本発明に従う第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記第1の基板は、前記電源電圧を規定する直流電源の正極の電位を示す第1の正極端子と前記直流電源の負極の電位を示す第1の負極端子とを更に有してもよく、
前記中継部材の前記第1の入力端子は、前記正極の前記電位を示す第2の正極端子と前記負極の前記電位を示す第2の負極端子とで構成されてもよく、
前記第1の正極端子は、前記第2の基板の面で前記第2の正極端子と対向してもよく、
前記第1の負極端子は、前記第2の基板の前記面で前記第2の負極端子と対向してもよく、
前記中継部材は、外部信号を入力する第2の入力端子を更に有してもよく、
前記第2の入力端子、前記第1の正極端子、前記第2の正極端子、前記第1の負極端子及び前記第2の負極端子は、前記第2の基板の前記面に実装されてもよい。
第1の正極端子、第2の正極端子、第1の負極端子及び第2の負極端子は、一括して実装され得るので、電動パワーステアリング用の電子制御ユニットの製造工程を簡略化することが可能となる。加えて、第2の入力端子を第2の基板の面に実装する時に、第1の正極端子と第2の正極端子との接続だけでなく、第1の負極端子と第2の負極端子との接続も、第2の基板の面で実行することができる。
なお、特許文献1の図4、図5において、バッテリBAの電位を表すバスバ230Bは、電解コンデンサC2、C3、リレーRY1等の電気部品と溶接で接続されるので(特許文献1の段落[0040])、モータ制御装置200(電子制御ユニット)の製造工程が複雑又は煩雑となってしまう。加えて、特許文献1の図4において、制御モジュール220へのトルクセンサTSの接続と、バスバ230Bへの電解コンデンサC2、C3、リレーRY1等の電気部品の接続とは、別々に実行する必要がある。
本発明に従う第4の態様は、第1乃至第3の何れかの態様において、
前記第1の基板は、金属基板で構成されてもよく、
前記ユニットカバーは、金属で構成されてもよく、
前記第1の基板と前記ユニットカバーとの間に熱伝導部材を介在させてもよい。
第1の基板が金属基板で構成される場合、第1の基板のスイッチング回路で発生する熱は、第1の基板(金属基板)に伝わり易くなり、また、その第1の基板(金属基板)に伝わった熱は、熱伝導部材を介してユニットカバーに伝わり易くなる。この時、ユニットカバーが金属で構成される場合、ユニットカバー(金属)に伝わった熱は、ユニットカバー(金属)の外部に放出され易くなる。言い換えれば、例えば放熱板等の放熱器として機能するユニットカバー(金属)だけを準備すればよいので、(放熱器として機能しない)ユニットカバーと(ユニットカバーとして機能しない)放熱器との双方を準備する必要がない。
本発明に従う第5の態様は、第1乃至第4の何れかの態様において、
前記中継部材及び前記第1の基板は、第1の雄ネジ部及び第1の雌ネジ部で共締めされてもよく、
前記第1の雌ネジ部は、前記ユニットカバーに設けられてもよく、
前記第1の雄ネジ部は、前記第1の基板を位置決めする管を貫通して前記第1の雌ネジ部と連結してもよい。
第1の雄ネジ部及びユニットカバーは、中継部材及び第1の基板を挟み込むことができ、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニットを提供することができる。仮に、中継部材及び第1の基板だけを独立して固定し、さらに、第1の基板及びユニットカバーだけを独立して固定すると、これらの固定に必要な部品の数が増加してしまう。
本発明に従う第6の態様は、第1乃至第5の何れかの態様において、
前記信号線は、複数の信号線であってもよく、
前記中継部材の前記孔部は、複数の孔を含んでもよく、
前記第2の基板は、複数の接合部を更に有してもよく、
前記複数の信号線の各々は、前記中継部材の前記複数の孔のうちの1つの対応する孔を介して、前記第2の基板の前記複数の接合部のうちの1つの対応する接合部にガイドされてもよい。
制御回路からスイッチング回路に送られる制御信号を運ぶ信号線が複数の信号線である場合、複数の信号線の各々は、制御回路を有する第2の基板に接合又は実装される必要がある。この時、複数の信号線の各々が、中継部材の複数の孔のうちの1つの対応する孔を介して、第2の基板の複数の接合部のうちの1つの対応する接合部にガイドされるので、複数の信号線の各々は、第2の基板に接合又は実装され易い。
本発明に従う第7の態様は、第1乃至第6の何れかの態様は、
前記ユニットカバーと前記中継部材と間に設けられる第1のシール部材を
更に備えてもよく、
前記中継部材は、前記第1のシール部材を固定する第1の固定部と前記モータカバーと前記中継部材と間に設けられる第2のシール部材を固定する第2の固定部とを更に有してもよい。
電動パワーステアリング用の電子制御ユニットは、第1のシール部材を備えるので、ユニットカバーと中継部材と間に防水構造を形成することができる。また、中継部材は、第1のシール部材を固定する第1の固定部だけでなく、モータカバーと中継部材と間に設けられる第2のシール部材を固定する第2の固定部も有するので、モータカバーと中継部材と間に形成される防水構造で、電子制御ユニットを保護することができる。
本発明に従う第8の態様は、第1乃至第7の何れかの態様において、
前記中継部材の前記孔部に、前記駆動信号を入力する第3の入力端子が挿入されてもよく、
前記第1の基板の前記出力端子及び前記電動モータの前記第3の入力端子は、第2の雄ネジ部及び第2の雌ネジ部で共締めされてもよく、
前記第2の雌ネジ部は、前記中継部材に設けられてもよく、
前記第2の雄ネジ部は、前記出力端子及び前記第3の入力端子を接続して前記第2の雌ネジ部と連結してもよい。
電動モータに供給される駆動信号を出力する第1の基板側の出力端子は、駆動信号を入力する電動モータ側の第3の入力端子と接続される必要がある。言い換えれば、第1の基板は、駆動信号を電動モータに伝え、電動モータは、駆動信号によって駆動される必要がある。従って、出力端子と第3の入力端子とが第2の雄ネジ部及び第2の雌ネジ部で共締めされる時に、第1の基板と出力端子との間の接合部材に応力が発生してしまう。このような場合において第2の雌ネジ部が中継部材に設けられることによって、その応力を低減させることができ、第1の基板と出力端子との間の接続信頼性を高めることができる。
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
以下に説明する好ましい実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
図1は、電動パワーステアリング装置10の概略構成例を示す。図1の例において、電動パワーステアリング装置10は、電動パワーステアリング用の電子制御ユニット(制御部とも言う。)42を備える。具体的には、電動パワーステアリング装置10は、車両のステアリングハンドル(例えばステアリングホイール)21から車両の操舵車輪(例えば前輪)29,29に至るステアリング系20に補助トルク(付加トルクとも言う。)を与える補助トルク機構40を備えている。
図1の例において、ステアリング系20は、ステアリングハンドル21にステアリングシャフト22(ステアリングコラムとも言う。)及び自在軸継手23,23を介して回転軸24(ピニオン軸、入力軸とも言う。)を連結し、回転軸24にラックアンドピニオン機構25を介してラック軸26を連結し、ラック軸26の両端に左右のボールジョイント52,52、タイロッド27,27及びナックル28,28を介して左右の操舵車輪29,29を連結したものである。ラックアンドピニオン機構25は、回転軸24に有したピニオン31と、ラック軸26に有したラック32とを備える。
ステアリング系20によれば、運転者がステアリングハンドル21を操舵することで、その操舵トルクによりラックアンドピニオン機構25を介して、操舵車輪29,29を操舵することができる。
図1の例において、補助トルク機構40は、ステアリングハンドル21に加えたステアリング系20の操舵トルクを操舵トルクセンサ41で検出し、この検出信号(トルク信号とも言う。)に基づき電子制御ユニット42で駆動信号を発生し、この駆動信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルク(付加トルク)を電動モータ43で発生し、補助トルクを減速機構44(例えばウォームギヤ機構)を介して回転軸24に伝達し、さらに、補助トルクを回転軸24からステアリング系20のラックアンドピニオン機構25に伝達するようにした機構である。
補助トルクがステアリング系20に与えられる箇所によって、電動パワーステアリング装置10は、ピニオンアシスト型、ラックアシスト型、コラムアシスト型等に分類することができる。図1の電動パワーステアリング装置10は、ピニオンアシスト型を示しているが、電動パワーステアリング装置10は、ラックアシスト型、コラムアシスト型等に適用してもよい。
電動モータ43は、例えばブラシレスモータであり、ブラシレスモータにおけるロータの回転角又は電動モータ43の回転角(回転信号とも言う。)は、電子制御ユニット42によって検出される。ロータは、例えば永久磁石で構成され、電子制御ユニット42は、永久磁石(N極及びS極)の動きを磁気センサで検出することができる。
電子制御ユニット42は、例えば、電源回路、モータ電流(実電流)を検出する電流センサ、マイクロプロセッサ、FETブリッジ回路、磁気センサ等によって構成される。電子制御ユニット42は、トルク信号だけでなく、例えば車速信号も、外部信号として入力することができる。外部機器60は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車内ネットワークで通信可能な他の電子制御ユニットであるが、例えば車速信号に相当する車速パルスを出力可能な車速センサでもよい。ここで、外部信号は、トルク信号等のシステム側の信号と車速信号等の車体側の信号(車体信号)とを含み、車体信号は、車速信号、エンジン回転数等の通信信号だけでなく、イグニッションスイッチのON/OFF信号を含むことができる。電子制御ユニット42のマイクロプロセッサは、例えばトルク信号、車速信号等に基づいて、電動モータ43をベクトル制御することができる。マイクロプロセッサによって制御されるFETブリッジ回路は、例えば、電動モータ43(ブラシレスモータ)に駆動電流(3相交流電流)を通電するスイッチング回路110,FET1,FET2,FET3,FET4,FET5,FET6(図4参照)によって構成される。磁気センサは、例えばホールIC310(図3参照)によって構成される。
このような電子制御ユニット42は、少なくとも操舵トルク(トルク信号)に基づいて目標電流を設定し、好ましくは、車速センサによって検出された車速(車速信号、車速パルス)及び磁気センサによって検出されたロータの回転角(回転信号)も考慮して、目標電流を設定する。電子制御ユニット42は、電流センサによって検出されたモータ電流(実電流)が目標電流に一致するように、電動モータ43の駆動電流(駆動信号)を制御することができる。
B+は、例えば車両に直流電源として設けられるバッテリ61の正極の電位を示し、B−は、そのバッテリ61の負極の電位を示し、負極の電位B−は、車両の車体に接地することができる。なお、電子制御ユニット42は、例えば外部コネクタ部440(図2参照)に入力端子B+,B−(第1の入力端子、バッテリ端子)を備え、外部コネクタ部440は、バッテリ61からの電力を電子制御ユニット42に供給することができ、電源電圧(正極の電位B+と負極の電位B−との差)は、電動モータ43の駆動信号の元となる。
電動パワーステアリング装置10によれば、運転者の操舵トルクに電動モータ43の補助トルク(付加トルク)を加えた複合トルクにより、ラック軸26で操舵車輪29,29を操舵することができる。
図2は、本発明に従う電動パワーステアリング用の電子制御ユニットの外観例を示す。図2の例において、ユニットカバー420は、図1の電子制御ユニット42のカバーであり、モータカバー430は、図1の電動モータ43のカバーである。電動モータ43のモータ軸450の方向にユニットカバー420が配置されるように、電子制御ユニット42は、電動モータ430と一体に形成される。図2の例において、方向DR1が電動モータ43の上を指す場合、電子制御ユニット42は、電動モータ43の上部に電動モータ43と一体に形成することができる。なお、外部コネクタ部440は、モータ軸450の側部に位置し、外部のバッテリ61の正極の電位を入力する入力端子B+及び外部のバッテリ61の負極の電位を入力する入力端子B−を有するとともに、操舵トルクセンサ41等と電子制御ユニット42とを接続する少なくとも1つの端子460(第2の入力端子、信号端子)を有している(図3参照)。
図3は、図2のユニットカバー420を含む電子制御ユニット42の分解斜視図の1例を示す。図3の例において、電動パワーステアリング用の電子制御ユニット42は、第1の基板100、第2の基板300、中継部材150及びユニットカバー420を備える。第1の基板100は、電動モータ43に駆動信号を供給するスイッチング回路110と、駆動信号の元となる電源電圧を平滑する少なくとも1つの電解コンデンサ210とを有する。第2の基板300は、スイッチング回路110を制御する制御回路(図6参照)を有する。中継部材150は、電源電圧を入力する入力端子B+,B−と孔部155とを有し、孔部155(151,152,153)に、制御回路からスイッチング回路110に送られる制御信号を運ぶ信号線160と、駆動信号を出力する出力端子U,V,W(モータ端子)と、第1のコンポーネント101(図5(A)参照)とが挿入される。ユニットカバー420は、第1の基板100を格納することができる。ユニットカバー420の頂部の開口部425は、モータカバー430によって閉じられている(図2参照)。なお、中継部材150の凸部423及び外部コネクタ部440は、それぞれ、ユニットカバー420の側部の凹部421,422に嵌まることができ、中継部材150の側部の板状の蓋428は、開口部426を閉じることができる。
ユニットカバー420の開口部425は、モータカバー430によって閉じられているので、電子制御ユニット42は、独立した部品である蓋(例えば特許文献1の図1の金属筐体240)を備える必要がない。電子制御ユニット42を構成する部品の数を減少することにより、小型の電動パワーステアリング用の電子制御ユニット42を提供することができる。なお、ユニットカバー420の開口部426は、例えば特許文献1の図1のカバー250Mに対応する。
さらに、電子制御ユニット42を示す図3及びモータカバー430を示す図2を参照すれば、第1の基板100、第2の基板200、中継部材150及びモータカバー430は、電動モータ43のモータ軸450の方向(方向DR1)に、第2の基板300、中継部材150、第1の基板100及びモータカバー430の順で配置される。これにより、電子制御ユニット42は、電動モータ43の上部又は下部に、言い換えれば、電動モータ43の例えば背面に、電動モータ43と一体に形成することができ、電子制御ユニット42の出っ張りを抑制し、小型の電子制御ユニット42を提供することができる。従って、電子制御ユニット42及び電動モータ43を電動パワーステアリング装置10又は減速機構44に組み込む際、配置又は設計の自由度が高い。
なお、特許文献1の図2において、モータ制御装置200(電子制御ユニット)は、モータ100の側部に、モータ100と一体に形成され、モータ制御装置200自身が全体として出っ張りを形成する。従って、モータ制御装置200及びモータ100を電動パワーステアリング装置に組み込む際、配置又は設計の自由度が制限されてしまう。
図4は、図3の第1の基板100を表す回路構成図の1例を示す。図4の例において、B+は、図1のバッテリ61の正極の電位を入力する入力端子であり、B−は、バッテリ61の負極の電位を入力する入力端子であり、第1の基板100は、図2の電動モータ43の駆動信号をスイッチング回路110で生成し、駆動信号を出力する3つの出力端子U,V,Wを有する。ここで、駆動信号は、例えば図3の中継部材150の2つの入力端子B+,B−(第1の入力端子、バッテリ端子)から入力された電源電圧(正極の電位B+と負極の電位B−との差)に基づき生成される。なお、図3の中継部材150の外部コネクタ部440の入力端子の電位B+は、図3の第1の基板100又は図5(B)の第1の基板100の第1のコンポーネント101の接続端子H1,H2,H3の電位と同一であり、図3の中継部材150の外部コネクタ部440の入力端子の電位B−は、図3の第1の基板100又は図5(B)の第1の基板100の第1のコンポーネント101の接続端子L1の電位と同一である。
図4の例において、スイッチング回路110は、6つのFET1〜FET6から構成される3相FETブリッジ回路FET1〜FET6であり、正極の入力端子の電位B+のライン及び負極の入力端子の電位B−のラインに対して、少なくとも1つの電解コンデンサ210と並列に接続されている。スイッチング回路110は、FET以外の複数のスイッチングトランジスタ(例えばIGBT)で構成してもよい。なお、少なくとも1つの電解コンデンサ210は、例えば4つの電解コンデンサから構成される(図5(B)参照)。
FET1及びFET2は、正極の電位B+のラインと負極の電位B−のラインとの間に直列に接続され、電動モータ43の例えばU巻線を流れるU相電流を生成することができる。U相電流を検出するための電流センサとして例えばシャント抵抗R1をFET2と負極の電位B−のラインとの間に設けることができ、U相電流を遮断可能な半導体リレーとして例えばFET7をFET1とFET2との接続ノードと電動モータ43への出力端子Uとの間に設けることができる。
FET3及びFET4は、正極の電位B+のラインと負極の電位B−のラインとの間に直列に接続され、電動モータ43の例えばV巻線を流れるV相電流を生成することができる。V相電流を検出するための電流センサとして例えばシャント抵抗R2をFET4と負極の電位B−のラインとの間に設けることができ、V相電流を遮断可能な半導体リレーとして例えばFET8をFET3とFET4との接続ノードと電動モータ43への出力端子Vとの間に設けることができる。
FET5及びFET6は、正極の電位B+のラインと負極の電位B−のラインとの間に直列に接続され、電動モータ43の例えばW巻線を流れるW相電流を生成することができる。W相電流を検出するための電流センサとして例えばシャント抵抗R3をFET6と負極の電位B−のラインとの間に設けることができ、W相電流を遮断可能な半導体リレーとして例えばFET9をFET5とFET6との接続ノードと電動モータ43への出力端子Wとの間に設けることができる。
図4の例において、スイッチング回路110は、駆動信号としてU相電流、V相電流及びW相電流を電動モータ43に供給することができ、少なくとも1つの電解コンデンサ210は、駆動信号の元となる電源電圧(正極の電位B+と負極の電位B−との差)を平滑することができる。FET1、FET3及びFET5は、バッテリ61からの電力を遮断可能な半導体リレーとして例えばFET10及びFET11、並びにノイズフィルタとして例えばコイル220を介して、正極の電位B+のラインに接続されている。FET1〜FET11の各々は、図3の複数の信号線160のうちの対応する1つの信号線と接続される図示せぬゲートを有し、オン又はオフされる。
なお、図4で省略され、図3で示される複数の信号線160のうちの対応する例えば3つの信号線は、図4のFET2とシャント抵抗R1との接続ノード、FET4とシャント抵抗R2との接続ノード及びFET6とシャント抵抗R3との接続ノードに接続され、これらの接続ノードの電位からU相電流、V相電流及びW相電流を求めることができる。
図4のFET1〜FET11及びシャント抵抗R1〜シャント抵抗R3は、図3の第1の基板100に設けられ(図5(A)参照)、図4の少なくとも1つの電解コンデンサ210及びコイル220は、第1のコンポーネント101(図5(A)参照)として図3の第1の基板100に設けられ、図4の出力端子U,V,W及び図4で省略される複数の信号線160は、第2のコンポーネント102(図5(A)参照)として図3の第1の基板100に設けられる。
図3の例において、第1の基板100は、例えば金属基板で構成され、ユニットカバー420は、例えば金属で構成され、第1の基板100とユニットカバー420との間に例えばグリス等の熱伝導部材424を介在させ、第1の基板100(パワー基板)の放熱性を高めることができる。具体的には、図4のスイッチング回路110(FET1〜FET6)で発生する熱は、図3の第1の基板100(金属基板)に伝わり易くなり、また、その第1の基板100(金属基板)に伝わった熱は、熱伝導部材424を介してユニットカバー420に伝わり易くなる。この時、ユニットカバー420(金属)に伝わった熱は、ユニットカバー420(金属)の外部に放出され易くなる。
なお、例えば放熱板等の放熱器として機能するユニットカバー420(金属)だけを準備すればよいので、(放熱器として機能しない)ユニットカバーと(ユニットカバーとして機能しない)放熱器との双方を準備する必要がない。また、図4の例において、第1の基板100は、FET7〜FET11で半導体リレーを採用したことで、第1の基板100の全体の高さを低くし(図3参照)、小型の電子制御ユニット42を提供することができる。
図5(A)は、図3の第1の基板100の分解斜視図の1例を示し、図5(B)は、図5(A)の第1のコンポーネント101の主構造の斜視図の1例を示す。図5(A)の例において、第1の基板100は、FET1〜FET11及びシャント抵抗R1〜シャント抵抗R3と、第1のコンポーネント101及び第2のコンポーネント102とを有している。また、図5(B)の例において、4つの電解コンデンサ210と1つのコイル220と接続端子H1,H2,H3,L1とで第1のコンポーネント101の主構造を形成している。図5(A)のフレーム103は、接続端子H1,H2,H3,L1を例えば樹脂でモールドして形成され、フレーム103の底面(第1の面)に4つの電解コンデンサ210と1つのコイル220とが設けられる。ここで、4つの電解コンデンサ210と1つのコイル220とは、フレーム103の底面(第1の面)に例えば半田等の接合部材で固定することができる。同様に、複数の信号線160と3つの3つの出力端子U,V,Wとで第2のコンポーネント102の主構造を形成することができ、図5(A)のフレーム104は、複数の信号線160と3つの3つの出力端子U,V,Wとを例えば樹脂でモールドして形成される。
なお、図3の第1の基板100の面(表面)に、FET1〜FET11及びシャント抵抗R1〜シャント抵抗R3と、第1のコンポーネント101及び第2のコンポーネント102とを例えばリフロー半田付けで一括して実装することができる。言い換えれば、FET1〜FET11及びシャント抵抗R1〜シャント抵抗R3と、第1のコンポーネント101及び第2のコンポーネント102とは、第1の基板100に面実装することができる。具体的には、図5(A)の例において、第1の基板100の面(表面)とFET1〜FET11、シャント抵抗R1〜シャント抵抗R3等の部品との間には例えばクリーム半田(図示せず)等の接合部材が予め印刷され、そのクリーム半田の上に、FET1〜FET11、シャント抵抗R1〜シャント抵抗R3等の部品が取り付けられている。同様に、第1の基板100の面(表面)の接続領域105,162,163にも例えばクリーム半田(図示せず)等の接合部材が予め印刷され、そのクリーム半田の上に、第1のコンポーネント101及び第2のコンポーネント102を取り付けることができる。次に、これらのクリーム半田を加熱して、FET1〜FET11及びシャント抵抗R1〜シャント抵抗R3と、第1のコンポーネント101及び第2のコンポーネント102とが、第1の基板100の面(表面)に接続する。
このようにして形成される図3の第1の基板100では、例えば6つのFET1〜FET6及び4つの電解コンデンサ210が第1の基板100の面(表面)に実装される時に、4つの電解コンデンサ210は、第1の基板100の面(表面)と異なる(具体的には、直交する)第1の面(フレーム103の底面)に実装されている。言い換えれば、4つの電解コンデンサ210は、第1の基板100の面(表面)に立体的に配置することができる。特に、スイッチング回路110(例えばFET5,6)の上及び下に、それぞれ、少なくとも1つの電解コンデンサ210(例えば2つの電解コンデンサ210)及び第1の基板100が配置され(図5(A)参照)、これにより、電子制御ユニット42の出っ張りを抑制し、小型の電子制御ユニット42を提供することができる。また、なお、特許文献1の図1、図5及び図11において、DCモジュール230(ノーマルフィルタNF)及びパワーモジュール210は、平面的に配置されている。さらに、例えば6つのFET1〜FET6及び4つの電解コンデンサ210は、第1の基板100の面(表面)に一括して実装され得るので、電子制御ユニット42の製造工程を簡略化することが可能となる。
なお、特許文献1の図1、図5及び図11において、DCモジュール230又は電解コンデンサC2,C3は、パワーモジュール210に対して左又は右に配置されているので、言い換えれば、DCモジュール230及びパワーモジュール210は、平面的に配置されているので、モータ制御装置200の出っ張り又は大型化を招いてしまう。また、特許文献1の図1、図5及び図11において、DCモジュール230(ノーマルフィルタNF)及びパワーモジュール210は、平面的に配置されている。さらに、特許文献1の図14において、電解コンデンサC3の負極側の端子C3NTは、バスバ230BNNと溶接で接続され(特許文献1の段落[0045])、且つ特許文献1の図4において、バスバ230BNNは、パワーリードフレーム230BNと溶接で接続されるので(特許文献1の段落[0028])、モータ制御装置200(電子制御ユニット)の製造工程が複雑又は煩雑となってしまう。
図6は、図3の第2の基板300の機能ブロック図の1例を示す。図3において、制御回路、入力回路及び電源回路は、図示されず、省略されている一方、図6の例において、第2の基板300は、ホールIC310だけでなく、制御回路、入力回路及び電源回路も有することができる。また、図6の例において、第2の基板300の制御回路は、例えばマイクロプロセッサ及び駆動回路で構成されている。
図6の制御回路は、少なくとも図4のスイッチング回路110(FET1〜FET6)を制御し、制御回路のマイクロプロセッサは、目標電流を設定することができる。目標電流は、入力回路を介して取り込まれるトルク信号及びモータ電流(実電流)、並びにホールIC310を介して取り込まれる回転信号等によって設定される。制御回路の駆動回路は、目標電流に基づいて、FET1〜FET6に対応する6つの制御信号(ゲート信号)を生成する。FET1〜FET6は、6つの制御信号(ゲート信号)によってオン又はオフされ、これにより、電動モータ43に駆動信号(駆動電流)が供給される。
制御回路は、半導体リレー(FET7〜FET11)を制御することもできる。この場合、制御回路のマイクロプロセッサは、FET7〜FET11の各々のオン又はオフを決定し、制御回路の駆動回路は、これらの決定に基づいて、FET7〜FET11に対応する5つの制御信号(ゲート信号)を生成することができる。図3の第1の基板100の複数の信号線160は、FET1〜FET11に対応する例えばゲート信号を運ぶだけでなく、シャント抵抗R1〜シャント抵抗R3の電位を示す信号も運ぶことができ、図4の回路構成図と図6の機能ブロック図とを電気的に接続することができる。
図7(A)は、図3の第1の基板100及び中継部材150の組み合わせ構造の斜視図の1例を示し、図7(B)は、図3の第1の基板100、中継部材150及び第2の基板300の組み合わせ構造の斜視図の1例を示す。図7(A)の例において、第1の基板100は、図4の正極の電位B+のライン上のノードとして、接続端子H1(第1の正極端子)を有するとともに、図4の負極の電位B−のライン上のノードとして、接続端子L1(第1の負極端子)を有している。ここで、接続端子H1(第1の正極端子)の一端(2つの突起部)は、中継部材150の外部コネクタ部440の入力端子B+(第2の正極端子)の一端(2つの突起部)と対向し、接続端子L1(第1の負極端子)の一端(2つの突起部)は、外部コネクタ部440の入力端子B−(第2の負極端子)の一端(2つの突起部)と対向している。なお、外部コネクタ部440の入力端子B+(第2の正極端子)の他端(1つの突起部)は、例えば、図1のバッテリ61の正極に接続され、外部コネクタ部440の入力端子B−(第2の負極端子)の他端(1つの突起部)は、バッテリ61の負極に接続される。
図7(B)の例において、接続端子H1(第1の正極端子)の一端(2つの突起部)及び中継部材150の入力端子B+(第2の正極端子)の一端(2つの突起部)は、第2の基板300を貫通し、図3に示される第2の基板300の接続領域106の例えば6つの孔のうちの2つの孔も貫通することができる。また、接続端子L1(第1の負極端子)の一端(2つの突起部)及び中継部材150の入力端子B−(第2の負極端子)の一端(2つの突起部)だけでなく、接続端子L1(第1の負極端子)のもう1つの端(もう1つの突起部)が、第2の基板300の接続領域106の例えば6つの孔のうちの3つの孔を貫通することができる。例えば、これらの5つの孔を貫通する接続端子H1、入力端子B+、接続端子L1、入力端子B−を第2の基板300の面(表面)に例えばフロー半田付けで一括して実装することができる。
接続端子H1の一端(2つの突起部)は、第2の基板300の面(表面)で中継部材150の入力端子B+の一端(2つの突起部)と対向しているので、例えばフロー半田付けによって入力端子B+が接続端子H1と接続され、バッテリ61の正極の電位B+が接続端子H1まで到達する。同様に、入力端子B−が接続端子L1と接続され、バッテリ61の負極の電位B−が接続端子L1まで到達する。なお、接続端子H1は、コイル220を介して接続端子H2と接続され、接続端子H2の一端(1つの突起部)は、第2の基板300の接続領域106の例えば6つの孔のうちの残りの1つの孔を貫通することができ、バッテリ61の正極の電位B+が接続端子H2を介して第2の基板300の電源回路(図6参照)まで到達する。また、バッテリ61の負極の電位B−が接続端子H1のもう1つの端(もう1つの突起部)を介して第2の基板300の電源回路(図6参照)まで到達する。
図6の例において、電源回路は、ホールIC310、入力回路、マイクロプロセッサ及び駆動回路の電源を生成することができる。言い換えれば、電源回路は、バッテリ61の電源電圧(正極の電位B+と負極の電位B−との差)をロジックの電源電圧(電位Vと電位GNDとの差)に変換することができる。
図7(A)の例において、中継部材150は、複数の端子(第2の入力端子、信号端子)460を有し、図7(B)の例において、複数の端子460は、図3に示される第2の基板300の接続領域461の複数の孔を貫通することができる。複数の端子460のうちの少なくとも1つの端子460がトルク信号(外部信号)を入力し、操舵トルクセンサ41で検出されるトルク信号は、少なくとも1つの端子460を介して第2の基板300の入力回路(図6参照)まで到達する。もちろん、入力回路は、外部信号として、トルク信号だけでなく、他の端子460を介して例えば車速信号等も入力することができる。
図7(A)の例において、中継部材150は、複数の信号線160を有し、図7(B)の例において、複数の信号線160は、図3に示される第2の基板300の接続領域161の複数の孔を貫通することができる。複数の信号線160の一部は、例えば、図6の制御回路の駆動回路から図4のスイッチング回路110(FET1〜FET6)に送られる制御信号を運び、これらの制御信号は、図6の制御回路の駆動回路まで到達する。また、複数の信号線160の残部は、例えば図4のシャント抵抗R1〜シャント抵抗R3の電位を示す信号(モータ電流)を運び、これらの信号は、図6の入力回路まで到達する。
図7(B)の例において、接続端子H1(第1の正極端子)、入力端子B+(第2の正極端子)、接続端子L1(第1の負極端子)、入力端子B−(第2の負極端子)は、複数の端子460(第2の入力端子)及び複数の信号線160と一緒に、例えばフロー半田付けによって第2の基板300の面(表面)に面実装されるので、電子制御ユニット42の製造工程を簡略化することが可能となる。加えて、例えばトルク信号を入力する少なくとも1つの端子460(第2の入力端子)を第2の基板300の面(表面)に実装する時に、接続端子H1(第1の正極端子)の一端(2つの突起部)と入力端子B+(第2の正極端子)の一端(2つの突起部)との接続だけでなく、接続端子L1(第1の負極端子)の一端(2つの突起部)と入力端子B−(第2の負極端子)の一端(2つの突起部)との接続も、第2の基板300の面(表面)で実行することができる。
なお、特許文献1の図4、図5において、バッテリBAの電位を表すバスバ230Bは、電解コンデンサC2、C3、リレーRY1等の電気部品と溶接で接続されるので(特許文献1の段落[0040])、モータ制御装置200(電子制御ユニット)の製造工程が複雑又は煩雑となってしまう。加えて、特許文献1の図4において、制御モジュール220へのトルクセンサTSの接続と、バスバ230Bへの電解コンデンサC2、C3、リレーRY1等の電気部品の接続とは、別々に実行する必要がある。
図7(A)の例において、図3に示される中継部材150の孔部155は、複数の孔152を含み、図7(B)の例において、複数の信号線160の各々は、中継部材150の複数の孔152のうちの1つの対応する孔152を介して、図3に示される第2の基板300の接続領域161の複数の接合部(例えば孔等)にガイドされている。
図6の制御回路から図4のスイッチング回路110に送られる制御信号を運ぶ信号線が複数の信号線160である場合、複数の信号線160の各々は、制御回路を有する第2の基板300に接合又は実装される必要がある。この時、複数の信号線160の各々が、中継部材150の複数の孔152のうちの1つの対応する孔152を介して、第2の基板300の複数の接合部のうちの1つの対応する接合部にガイドされるので、複数の信号線160の各々は、第2の基板300に接合又は実装され易い。
図8(A)は、図3のユニットカバー420、第1の基板100、中継部材150及び第2の基板300の組み合わせ構造の平面図を示し、図8(B)は、図8(A)の組み合わせ構造のA−A線断面図を示し、図8(C)は、図8(A)の組み合わせ構造のB−B線断面図を示す。
図8(B)の例において、中継部材150及び第1の基板100は、少なくとも1つの雄ネジ290等の雄ネジ部(第1の雄ネジ部)及び少なくとも1つの雌ネジ291等の雌ネジ部(第1の雌ネジ部)で共締めされる。少なくとも1つの雌ネジ291は、ユニットカバー420に設けられているので、少なくとも1つの雄ネジ290及びユニットカバー420は、中継部材150及び第1の基板100を挟み込むことができ、小型の電子制御ユニット42を提供することができる。仮に、中継部材150及び第1の基板100だけを独立して固定し、さらに、第1の基板100及びユニットカバー420だけを独立して固定すると、これらの固定に必要な部品の数が増加してしまう。
図8(C)の例において、中継部材150の孔151に、第1の基板100側の出力端子Vからの駆動信号を入力する電動モータ43側の入力端子Vin(第3の入力端子、モータ端子)が挿入されている。出力端子V及び入力端子Vinは、雄ネジ490及び雌ネジ491で共締めされる。なお、雌ネジ491は、中継部材150に設けられるナットに形成されている。同様に、孔151に、出力端子U,Wからの駆動信号を入力する入力端子Uin,Win(第3の入力端子)も挿入され、出力端子U,W及び入力端子Uin,Winは、雄ネジ490等の雄ネジ部(第2の雄ネジ部)及び雌ネジ491等の雌ネジ部(第2の雌ネジ部)で共締めされる。雄ネジ490等の雄ネジ部は、出力端子V等の第1の基板100側のモータ端子及び入力端子Vin等の電動モータ43側のモータ端子を接続して、雌ネジ491等の雄ネジ部又はナットと連結することができる。
電動モータ43に供給される駆動信号を出力する第1の基板100側のモータ端子U,V,Wは、駆動信号を入力する電動モータ43側のモータ端子Uin,Vin,Winと接続される必要がある。言い換えれば、第1の基板100は、駆動信号を電動モータ43に伝え、電動モータ43は、駆動信号によって駆動される必要がある。従って、モータ端子U,V,Wとモータ端子Uin,Vin,Winとが雄ネジ490及び雌ネジ491等で共締めされる時に、第1の基板100とモータ端子U,V,Wとの間の接続領域163の接合部材(加熱融解後のクリーム半田)に応力が発生してしまう。このような場合において雌ネジ491又はナットが中継部材150に設けられることによって、その応力を低減させることができ、第1の基板100とモータ端子Uin,Vin,Winとの間の接続信頼性を高めることができる。
図9は、図7(B)の組み合わせ構造と図3のユニットカバー420及び図2のモータカバー430との間の防水構造の説明図の1例を示す。図9の例において、中継部材150は、第1のシール部材501を固定する第1の固定部511と第2のシール部材502を固定する第2の固定部512とを有している。第1の固定部511及び第2の固定部512のそれぞれは、例えばOリングで構成され、第1の固定部511は、ユニットカバー420と中継部材150と間に設けられ、第2の固定部512は、モータカバー430と中継部材150と間に設けられる。
電子制御ユニット42は、第1のシール部材501を備えるので、ユニットカバー420と中継部材150と間に防水構造を形成することができる。また、モータカバー430と中継部材150と間に形成される防水構造で、電子制御ユニット42を保護することができる。なお、図3の中継部材150の開口部426と蓋428との間にも、同様のシール部材を設け、蓋428と中継部材150と間に防水構造を形成することができる。
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。