JP6220132B2 - 銅箔、銅張積層体、フレキシブル配線板及び立体成型体 - Google Patents

銅箔、銅張積層体、フレキシブル配線板及び立体成型体 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波シールド材、FPC、放熱材、照明機器リフレクタ等の立体成型される基板として好適な銅箔、銅張積層体、フレキシブル配線板及び立体成型体に関する。
銅箔と樹脂層とを積層してなる銅張積層体は、FPC(フレキシブルプリント基板、フレキシブル配線板)、電磁波シールド材、RF-ID(無線ICタグ)、面状発熱体、放熱体などに応用されている。例えば、FPCの場合、ベース樹脂層の上に銅箔の回路が形成され、回路を保護するカバーレイフィルムが回路を覆っており、樹脂層/銅箔/樹脂層の積層構造となっている。FPCは、柔らかくて折り曲げることができるため、スペースの限られた電子機器の筐体内に折り曲げながら実装することができる。又、銅張積層体は、電磁波シールド材、照明機器のリフレクタなどに応用されている。
そして、折り曲げ性や屈曲性に優れる銅箔複合体が提案されている(例えば、特許文献1、2)。一方、ポリイミドフィルム単体を立体成型する技術が報告されており(例えば、特許文献3)、一般に樹脂フィルムはそのガラス転移温度以上の温度で成型される(例えば、特許文献4)。また、導電性ペーストを用いたFPCを立体成型する技術が報告されている(例えば、特許文献5)
特開2010−100887号公報 特開2011−136357号公報 特許第4251343号公報 特開2008−291099号公報 特開2008−262981号公報
しかしながら、FPCを曲げて電子機器の筐体内に装入すると撓んで形状が安定せず、筐体内にコンパクトに収容することが難しい。そこで、FPCを予め立体成型して電子機器の筐体内に収容すれば、形状が安定するので全体の省スペース化が図られるが、FPCは1軸曲げ等の平面加工はできるものの、立体成型が難しい。
一方、上記特許文献3に記載されているように、FPCを構成するポリイミドフィルム単体を予め立体成型しておき、その表面に蒸着等によって銅箔を成膜することも可能であるが、コストが上昇する。また、上記特許文献5に記載されているように導電性ペーストを使用したFPCで立体成型することも可能であるが、成型能が低いため成型形状が限られており、導電性ペーストを使用するので回路形状も限定した回路しかできない上にコストが上昇する。
又、FPCとして銅箔を用いる場合であっても、FPCの成型温度での銅箔の物性は室温と異なるため、室温での銅箔の物性を制御しても立体成型の際に割れることがある。さらに、成型する形状に応じて、FPCの位置により変形量、ひいては変形速度(ひずみ速度)及び成型能も著しく異なる。ここで、一般にひずみ速度が低い場合、又は成型温度が高い場合には、原子の熱振動が促進され、すべりが生じやすくなって応力は低くなる。一方、ひずみ速度が高い場合、又は成型温度が低い場合には、原子の熱振動をすべりに利用し難くなるため、応力は高くなる。
ところが、生産性を向上させるためには成型時間を短くする、つまりひずみ速度を高くすることが好ましいが、その結果として成型時の銅箔の応力が高くなり、樹脂の変形に銅箔が追従し難くなり、FPCが割れやすくなる。
従って、本発明の目的は、樹樹脂層と積層して立体成型を良好に行える銅箔、銅張積層体、フレキシブル配線板及び立体成型体を提供することにある。
上述のように、銅箔の成型能は、成型時の変形速度(ひずみ速度)や温度によって大きく変化し、ひずみ速度や温度が高くなるほど銅箔の応力(強度)が高くなり、銅箔を樹脂層と積層した場合の成型性が向上しないことが判明した。
そして、本発明者は、ひずみ速度を変えたときに銅箔の応力(強度)の差が小さく、ひずみ速度が大きくなっても銅箔の強度が上昇し難いほど、樹脂層と積層した場合の成型性が良好になることを見出した。
すなわち、本発明の銅箔は、99.9質量%以上のCuと、Ag、Au、Pr、Sn、In、Zr、B、Mn及びCrの群から選ばれる1種又は2種以上の添加元素を、質量率で合計10〜500ppmを含み、ひずみ速度をそれぞれa、b(s-1)とし、真ひずみεのときの真応力をそれぞれσa(ε)、σb(ε)(MPa)としたとき、150〜250℃において、かつa/b=100、a=1×10-1(s-1)において、8 MPa<Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|<30MPaを満たす。
150〜250℃において、かつa/b=1000、a=1×10-1(s-1)において、Δσ<30MPaを満たすことが好ましい。
150〜250℃において、かつa/b=100、a=1×10-1(s-1)において、Δσ<15 MPaを満たすことが好ましい
150〜250℃において、ひずみ速度がそれぞれa、b(s-1)のときの加工硬化指数をそれぞれna、nbとしたとき、150〜250℃において、かつa/b=100、a=1×10-1(s-1)において、na/nb≦1.3を満たすことが好ましい。
150〜250℃において、かつa/b=1000、a=1×10-1(s-1)において、na/nb≦1.3を満たすことが好ましい。
50〜250℃において、na/nb≦1.3を満たすことが好ましい。
Li、Be、C、F、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K及びCaの群から選ばれる1種又は2種以上の不純物元素を、質量率で合計15ppm以下含有することが好ましい。
本発明の銅箔は立体成型するための銅張積層体に用いられることが好ましい。


本発明の銅張積層体は、前記銅箔と、樹脂層とを積層してなる。
本発明のフレキシブル配線板は、前記銅張積層体の前記銅箔に回路を形成してなる。
本発明の立体成型体は、前記銅張積層体、又は前記フレキシブル配線板を用いて成型してなる。
本発明の面状発光体は、前記立体成体を用いてなる。
本発明の有機ELディスプレイ、前記立体成体を用いてなる。
本発明の電子機器は、前記立体成体を用いてなる。
本発明の放熱板は、前記立体成体を用いてなる。


本発明によれば、樹脂層と積層して立体成型を良好に行える銅箔、銅張積層体、フレキシブル配線板及び立体成型体を得ることができる。
250℃での銅箔の真応力σ,真ひずみεの両対数グラフを模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係る銅箔複合体の構成を示す図である。 加工性の評価を行うカップ試験装置の構成を示す図である。
<銅箔>
本発明の実施形態に係る銅箔は、99.9質量%以上のCuを含み、ひずみ速度をそれぞれa、b(s-1)とし、真ひずみεのときの真応力をそれぞれσa(ε)、σb(ε)(MPa)としたとき、
a/b=100、a=1×10-1(s-1)において、Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|<30MPaを満たす。
銅箔は、99.90質量%以上のCuを含み、例えば、JIS-H3100(C1020)に規格される無酸素銅、又はJIS-H3100(C1100)に規格されるタフピッチ銅とすると好ましい。
さらに、銅箔がAg、Au、Pr、Sn、In、Zr、B、Mn及びCrの群から選ばれる1種又は2種以上の添加元素を、質量率で合計10〜500ppm含有してもよい。
一般には銅箔の純度が高い方が、ひずみ速度による応力の影響(つまり、ひずみ速度を変えたときの銅箔の応力(強度)の差(Δσ))は小さくなると考えられるが、上記添加元素を添加すると、純銅に比べてΔσが小さくなる。上記添加元素の合計量(質量率)が10ppm未満であると、Δσの低減効果が少ない。上記添加元素の合計量(質量率)が500ppmを超えると、Δσが大きくなり、銅箔の成型性が低下する場合がある。
銅箔がLi、Be、C、F、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K及びCaの群から選ばれる1種又は2種以上の不純物元素を、質量率で合計15ppm以下含有すると好ましい。これらの不純物元素(軽元素)が銅箔中に含有されると、Δσが大きくなる。この理由は明確ではないが、これら不純物元素は銅原子と原子半径が大きく異なることから、転位周辺に濃化し易くなって転位の移動を妨げ、ひずみ速度によって転位の移動に必要な力(応力)が大きく変わるためと考えられる。従って、これら不純物元素の含有量を質量率で合計15ppm以下と規定する。
銅箔の厚みを9〜70μmとすると好ましい。銅箔の厚みが9μm未満のものは、銅張積層体やFPCに加工した後に成型すると、銅箔の厚みが減少して割れ易い。銅箔の厚みが70μmを超えると、銅張積層体やFPCに加工した後のフレキシブル性に難がある。なお、銅箔は、加工性に優れる圧延銅箔が好ましい。
又、樹脂層の密着性や、耐熱性、耐食性の観点から、銅箔に粗化処理等の表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、例えば、特開2002-217507号公報、特開2005-15861号公報、特開2005-4826号公報、特公平7-32307号公報などに記載されているものを採用することができる。
銅箔は、電磁波シールド材用途の他、FPC用、放熱を要する基板に用いることができる。なお、放熱を要する基板は、FPCの銅箔に回路を設けず、被放熱体に銅箔を密着させて使用されるものである。
<ひずみ速度による応力の影響(Δσ)>
ひずみ速度を変えたときの銅箔の応力(強度)の差(Δσ)が小さいと、成型時の位置により変形量(ひずみ速度)に差があっても銅箔の応力が高くなり難く、樹脂の変形に銅箔が追従し易くなるので、樹脂層と積層した場合の成型性が良好になる。
図1は、温度を一定とし、ひずみ速度をそれぞれa、bとしたとき、真ひずみεと真応力σとの関係を模式的に示す。なお、真ひずみεは、引張試験における真ひずみである。また、真応力σa(ε)、σb(ε)は、それぞれひずみ速度a、bにおける真応力である。
図1に示すように、真ひずみεが大きくなるほど真応力σも高くなり、破断ひずみまで達すると破断する。そして、ひずみ速度が高い方(図1の破線a)が、同じ真ひずみεであっても真応力σも高い。従って、同じ真ひずみεにおけるσa(ε)とσb(ε)の差を、Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|と規定する。なお、ひずみ速度が低い方(図1の実線b)が破断ひずみSの値が小さいため、ひずみ速度が低い方が破断ひずみSに達するまでの領域RにおけるΔσの最大値を採用する。一般的には、真ひずみεが大きくなるほどΔσが大きくなるので、破断ひずみSの直前の真ひずみεにおけるΔσの値が最も大きい。
以上のことから、a/b=100、a=1×10-1(s-1)において、Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|<30Mpaとすると、ひずみ速度が変化しても銅箔の応力が高くなり難く、樹脂の変形に銅箔が追従し易くなるので、樹脂層と積層した場合の成型性が良好になる。なお、(σa(ε)-σb(ε))<0になることは金属材料学的には考え難いが、応力波の伝播という観点から(σa(ε)-σb(ε))<0になることもありうる。そこで、Δσを絶対値としている。
a/b=100、a=1×10-1(s-1)において、Δσ<15 MPaを満たすことが好ましい。
又、a/b=1000、a=1×10-1(s-1)において、Δσ<30MPaを満たすと、ひずみ速度の差がより大きくなっても銅箔の応力が高くなり難いので好ましい。
又、150〜250℃においてΔσ<30MPaを満たすと、幅広い温度で銅箔の応力が高くなり難く、樹脂層と積層した場合の成型性が良好になるので好ましい。特に、成型温度は樹脂層の種類に応じて変化し、さらに成型は温度を高くして行うことが多い。
<銅箔の加工硬化係数na、nb>
ひずみ速度がそれぞれa、b(s-1)のときの加工硬化指数をそれぞれna、nbとしたとき、a/b=100、a=1×10-1(s-1)において、na/nb≦1.3を満たすことが好ましい。
ひずみ速度が高くなると、銅箔の応力だけでなく、加工硬化指数(ひずみ硬化係数)も高くなり、銅箔を樹脂層と積層した場合の成型性が向上しない。従って、同じ真ひずみεにおける加工硬化指数na、nbの比na/nbを小さくすると、成型性が向上する。
なお、加工硬化指数は応力波の伝播速度に影響を及ぼすため、na/nbが小さいほど、ひずみ速度による応力の変化も小さくなる。
a/b=1000、a=1×10-1(s-1)において、na/nb≦1.3を満たすと、ひずみ速度の差がより大きくなっても銅箔の加工硬化指数が高くなり難いので好ましい。
又、50〜250℃において、na/nb≦1.3を満たすと、幅広い温度で銅箔の応力が高くなり難く、樹脂層と積層した場合の成型性が良好になるので好ましい。
<銅箔の製造>
銅箔は、上記組成のインゴットを熱間圧延した後、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、さらに最終冷間圧延を行った後、最終焼鈍して製造することができる。最終焼鈍は、再結晶が部分的に存在する条件で行う。最終焼鈍後の銅箔に部分的に再結晶が存在すると、この銅箔を樹脂と張り合わせる際の加熱により、結晶粒が成長して銅箔全面が再結晶組織となる。これにより、Δσが上記範囲となる理由は明確ではないが、最終焼鈍後に部分的に再結晶が存在する場合には、最終焼鈍後に全面が再結晶となる場合に比べ、結晶方位、粒界の性質、粒径などが異なるためと考えられる。
又、最終冷間圧延の直前の焼鈍はテンションアニーリングとする。そして、T1=(最終冷間圧延前の焼鈍において、銅箔に掛かる単位断面積当りのテンション(Pa)とし、T2=(最終焼鈍後の銅箔の、当該最終焼鈍温度における引張強度(Pa))としたとき、テンション率(T1/T2)=0.05〜0.3とするとよい。テンション率を上記範囲とすると、最終冷間圧延でひずみが溜まりやすくなり、最終焼鈍時に部分的に再結晶を形成しやすいと考える。
テンション率が0.3を超えると、T1が高くなりすぎ、最終冷間圧延前の焼鈍で2次再結晶が部分的に生じ、最終冷間圧延後の組織を制御することが難しくなることがある。テンション率が0.05未満であると、T1が低くなりすぎ、最終焼鈍時に部分的に再結晶を形成し難い。最終冷間圧延前の焼鈍温度は300〜800℃とするとよい。
なお、最終焼鈍は最終冷間圧延後すぐに行ってもよいし、最終冷間圧延後に別の処理(銅箔の表面処理)を行った後でもよい。又、最終冷間圧延後の銅箔を出荷し、出荷先の工程で銅箔を樹脂と張り合わせる直前に最終焼鈍を行ってもよい。
又、表1における「最終冷間圧延後の引張強度」は、最終冷間圧延後で、かつ最終焼鈍前の引張強度であり、「最終焼鈍後の引張強度」は、最終冷間圧延及び最終焼鈍を行った後の引張強度である。そして、表1の各比較例の圧延銅箔は、最終冷間圧延を行ったが、その後に最終焼鈍をしなかったものである。
又、最終冷間圧延(最終圧延)の加工度は92%〜99.5%とするとよい。
なお、熱間圧延終了後の、銅箔の厚み方向の平均結晶粒径を10〜30μmとするとよい。熱間圧延終了後の銅箔の平均結晶粒径を10μm未満にするのは工業的に難しく、平均結晶粒径が30μmを超えると部分的に粗大な粒が生じ、その後の工程でΔσを上記範囲に制御することが困難となる。ここで、厚み方向の結晶粒径は、JIS-H0501の切断法に準じ測定し、圧延平行方向に沿う断面について、厚み方向に沿う線分を用いて測定した値である。
<銅張積層体及びフレキシブル配線板>
本発明の銅張積層体は、銅箔と樹脂層とを積層してなる。又、本発明のフレキシブル配線板は、銅張積層体の銅箔に回路を形成してなる。
ここで、図2(a)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る銅張積層体10は、銅箔2の片面に接着剤層4を介して樹脂層6が積層されている。
又、図2(b)に示すように、本発明の第2の実施形態に係る銅張積層体20は、厚み方向中央の樹脂層6の両面にそれぞれ接着剤層4を介して銅箔2が積層されている。
なお、図2(c)に示すフレキシブル配線板30は、銅張積層体10の銅箔2面に回路を形成した後、回路面に第2接着剤層7を介してカバーレイフィルム8を積層した構造となっている。
又、図2(d)に示すフレキシブル配線板40は、銅張積層体20の銅箔2面に回路を形成した後、回路面に第2接着剤層8を介してカバーレイフィルム8を積層した構造となっている。
放熱、電磁波シールド、リフレクタ等の機能を持つフレキシブル配線板は、図2(b)の銅張積層体20の一方の銅箔2面に回路を形成した後、この銅箔2面のみに、図2(c)と同様に第2接着層7を介してカバーレイフィルム8を積層した構造となっていることもある。
なお、銅箔の両面にそれぞれ樹脂層を積層した構成が、銅箔が割れにくく、成型性に優れるので好ましい。
<樹脂層>
樹脂層としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、LCP(液晶ポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)が挙げられるがこれに限定されない。また、樹脂層として、これらの樹脂フィルムを用いてもよい。
樹脂層の厚みは10〜50μm程度とすることができる。樹脂層の厚みが10μmより薄いと後述する(F×T)の値が低くなり、(F×T)/(f×t)≧1を満たさず、銅張積層体の(伸び)破断歪が低下する傾向にある。一方、樹脂層の厚みが50μmを超えても銅張積層体の(伸び)フレキシブル性が低下する傾向にある。
樹脂層と銅箔との積層方法としては、銅箔の表面に樹脂層となる材料を塗布して加熱成膜してもよい。又、樹脂層として樹脂フィルムを用い、樹脂フィルムと銅箔との間に以下の接着剤を用いてもよく、接着剤を用いずに樹脂フィルムを銅箔に熱圧着してもよい。但し、樹脂フィルムに余分な熱を加えないという点からは、接着剤を用いることが好ましい。
<接着剤層>
樹脂層としてフィルムを用いた場合、このフィルムを接着剤層を介して銅箔に積層するとよい。この場合、フィルムと同成分の接着剤を用いることが好ましい。例えば、樹脂層としてポリイミドフィルムを用いる場合は、接着剤層もポリイミド系接着剤を用いることが好ましい。尚、ここでいうポリイミド接着剤とはイミド結合を含む接着剤を指し、ポリエーテルイミド等も含む。
なお、立体成型すると材料の厚みが薄くなるため、接着剤層が薄いと成型中に剥がれて割れることがある。このようなことから、接着剤層の厚みを5μm以上とするのが好ましい。接着剤層の厚みの上限は特に限定されないが、厚みが30μmを超えるとコストアップとなるので、厚みを30μm以下とするのが好ましい。
樹脂層と銅箔とが接着剤層を介して積層される場合、(接着剤のガラス転移温度)−30℃の温度において、樹脂層と接着剤層との合計弾性率が、樹脂層の弾性率に対し80〜100%であることが好ましい。
このようにすると、接着剤層の弾性率が樹脂層に近づき、接着剤層が樹脂層の変形挙動を銅箔に伝え、樹脂層と同じように銅箔も変形させることで、銅箔のクビレを抑制し銅張積層体及びフレキシブル配線板の延びが向上する。
なお、樹脂層の成型のためには高温(たとえば150℃〜350℃)である方がよいが、接着剤層は樹脂層より耐熱性が劣るので、接着剤層のガラス転移温度(Tg)未満、例えば25℃〜130℃が好ましい。
なお樹脂層と接着剤層との合計弾性率は、接着剤層と樹脂層をひとつの層とみなして測定でき、又、各層を別個に測定してから複合則を適用して合計弾性率を算出してもよい。
ここで、複合則を用いた場合、合計弾性率=(Ea × ta + Eb × tb)/(ta + tb)で表される。但しEaは樹脂層の弾性率、taは樹脂層の厚み、Ebは接着剤層の弾性率、tbは接着剤層の厚みである。
<(F×T)/(f×t)>
銅箔の厚みt、引張歪4%における銅箔の応力f、樹脂層の厚みT、引張歪4%における樹脂層の応力Fとしたとき、銅張積層体が(F×T)/(f×t)≧1を満たすと、延性が高くなって折り曲げ性が向上するので好ましい。
この理由は明確ではないが、(F×T)及び(f×t)はいずれも単位幅当たりの応力(例えば、(N/mm))を表し、しかも銅箔と樹脂層は積層されて同一の幅を有するから、(F×T)/(f×t)は銅張積層体を構成する銅箔と樹脂層に加わる力の比を表している。従って、この比が1以上であることは、樹脂層側により多くの力が加わることであり、樹脂層側の方が銅箔より強いことになる。このことにより銅箔は樹脂層の影響を受けやすくなり、銅箔が均一に伸びるようになるため、銅張積層体全体の延性も高くなると考えられる。
ここで、F及びfは、塑性変形が起きた後の同じ歪量での応力であればよいが、銅箔の破断歪と、樹脂層(例えばPETフィルム)の塑性変形が始まる歪とを考慮して引張歪4%の応力としている。又、Fの測定は、銅張積層体から樹脂層を溶剤等で除去して残った銅箔の引張試験により行うことができる。同様に、fの測定は、銅張積層体から銅箔を酸等で除去して残った樹脂層の引張試験により行うことができる。銅箔と樹脂層とが接着剤を介して積層されている場合は、F及びfの測定の際、接着剤層を溶剤等で除去すると、銅箔と樹脂層とが剥離し、銅箔と樹脂層とを別個に引張試験に用いることができる。T及びtは、銅張積層体の断面を各種顕微鏡(光学顕微鏡等)で観察して測定することができる。
又、銅張積層体を製造する前の銅箔と樹脂層のF及びfの値が既知の場合であって、銅張積層体を製造する際に銅箔及び樹脂層の特性が大きく変化するような熱処理を行わない場合は、銅張積層体を製造する前の上記既知のF及びf値を採用してもよい。
以上のように、銅張積層体の(F×T)/(f×t)≧1を満たすことにより、銅張積層体の延性が高くなって破断歪も向上する。
ここで、銅張積層体の破断歪の値は、引張試験によって銅箔と樹脂層が同時に破断する場合はその歪を採用し、銅箔のみに先に亀裂が生じた場合は銅箔に亀裂が入ったときの歪を採用する。
なお、F、f、及び後述するF1、f1は、全てMD(Machine Direction)の値とする。
なお、樹脂層と接着剤層とを区別でき、これらを分離可能な場合は、本発明の「樹脂層」のF及びTは接着剤層を除いた樹脂層の値をいう。但し、樹脂層と接着剤層との区別ができない場合には、銅張積層体から銅箔のみを溶かし、接着剤層も含めて「樹脂層」として測定してもよい。これは、通常、樹脂層は接着剤層より硬く、接着剤層を樹脂層に含めても、樹脂層のみの場合と比べてFやTの値が大きく違わないこともあるからである。
FPCの場合、カバーレイフィルムを付けて銅箔の両面が樹脂層となる場合があるが、この場合、樹脂層のF、Tはカバーレイ分の強度、厚みを加えたものとする。
又、銅箔と樹脂層とを積層する銅張積層体の組み合わせとしては、銅箔/(樹脂層と接着剤層を含む合計層)の2層構造や、(樹脂層と接着剤層を含む合計層)/銅箔/(樹脂層と接着剤層を含む合計層)、又は銅箔/(樹脂層と接着剤層を含む合計層)/銅箔の3層構造が挙げられる。銅箔の両側に樹脂層と接着剤層を含む合計層が存在する((樹脂層と接着剤層を含む合計層)/銅箔/(樹脂層と接着剤層を含む合計層))場合、全体の(F×T)の値は、銅箔の両側の合計層のそれぞれについて計算した各(F×T)の値を加算したものとする。樹脂層の両側に銅箔が存在する((銅箔/(樹脂層と接着剤層を含む合計層)/銅箔))場合、全体の(f×t)の値は、2つの銅箔のそれぞれについて計算した各(f×t)の値を加算したものとする。
<f/(F×T)>
銅箔と樹脂層との180°剥離接着強度をf(N/mm)、銅張積層体の引張歪30%における応力をF(MPa)、銅張積層体の厚みをT(mm)としたとき、
1≦33f/(F×T)を満たすことが好ましい。
銅箔はその厚みが薄いことから厚み方向にくびれを生じやすい。くびれが生じると銅箔は破断するため、延性は低下する。一方、樹脂層は、引張り時にくびれが生じ難い特徴を持つ(均一歪の領域が広い)。そのため、銅箔と樹脂層との複合体においては、樹脂層の変形挙動を銅箔に伝え、樹脂と同じように銅箔も変形させることで、銅箔にくびれが生じ難くなり、延性が向上する。このとき、銅箔と樹脂層との接着強度が低いと、銅箔に樹脂層の変形挙動を伝えることができず、延性は向上しない(剥離して銅が割れる)。
そこで、接着強度を高くすることが必要となる。接着強度としては、せん断接着力が直接的な指標と考えられるが、接着強度を高くし、せん断接着力を銅張積層体の強度と同等レベルにすると、接着面以外の場所が破断するため測定が難しくなる。
このようなことから、180°剥離接着強度fの値を用いる。せん断接着強度と180°剥離接着強度とは絶対値がまったく異なるが、加工性や引張伸度と、180°剥離接着強度との間に相関が見られたため、180°剥離接着強度を接着強度の指標とした。
ここで、実際には、「破断したときの強度=せん断密着力」になっていると考えられ、例えば30%以上の引張歪を必要とするような場合、「30%の流動応力≦せん断密着力」となり、50%以上の引張歪を必要とするような場合、「50%の流動応力≦せん断密着力」になると考えられる。そして、本発明者らの実験によると、引張歪が30%以上になると加工性が良好になったため、後述するように銅張積層体の強度Fとして、引張歪30%における強度を採用することとしている。
なお、上記した1≦33f/(F×T)の係数1/33は実験的に求めた。つまり、各種の銅張積層体を製造してfと(F×T)の値をプロットする。F×Tは引張歪30%で銅張積層体に加わる力であり、これを加工性を向上するために必要な、最低限のせん断接着強度とみなすと、fとF×Tの絶対値が同じであれば、両者は傾き1で相関が見られることになる。但し、実際には、すべてのデータのfと(F×T)が同じ相関とはならず、加工性の劣る比較例は、(F×T)に対するfの相関係数(つまり、原点を通り、(F×T)に対するfの傾き)が小さく、それだけ180°剥離接着強度が劣っている。一方、加工性の良好な実施例の傾きは各比較例の傾きより大きいが、もっとも傾きの小さい実施例(ちょうど歪30%で破断したもの)の傾きが1/33であったため、この値を加工性を向上するために必要な、最低限のせん断接着強度と180°剥離接着強度との間の相関係数とみなした。すなわち、せん断接着力を、180°剥離接着強度fの33倍とみなした。
このように、加工性を向上するために必要な、最低限の銅箔と樹脂層との接着強度を直接示すせん断接着力は、180°剥離接着強度fの約33倍であるから、33fは銅箔と樹脂層との加工性を向上するために必要な、最低限の接着強度を表している。一方、(F×T)は銅張積層体に加わる力であるから、式1は、銅箔と樹脂層との接着強度と、銅張積層体の引張抵抗力との比になる。そして、銅張積層体が引張られると、銅箔と樹脂層の界面で、局所変形をしようとする銅箔と引張均一歪をしようとする樹脂とによりせん断応力が掛かる。従って、このせん断応力より接着強度が低いと銅と樹脂層が剥離してしまい、銅箔に樹脂層の変形挙動を伝えることができなくなり、銅箔の延性が向上しない。
つまり、式1の比が1未満であると、接着強度が銅張積層体に加わる力より弱くなって銅箔と樹脂が剥離し易くなり、銅箔がプレス成形等の加工によって破断する。
式1の比が1以上であれば、銅と樹脂層とが剥離せずに樹脂層の変形挙動を銅箔に伝えることができ、銅箔の延性が向上する。なお、式2の比は高いほど好ましいが、15以上の値を実現することは通常は困難であるため、式1の上限を15とするとよい。
なお、180°剥離接着強度は、単位幅あたりの力(N/mm)である。
銅張積層体が3層構造であって接着面が複数存在するときは、各接着面のうち、180°剥離接着強度が最も低い値を用いる。これは、最も弱い接着面が剥離するためである。又、銅箔は通常S面、M面を有するが、S面は密着性が劣るため、銅箔のS面と樹脂との密着性が弱くなる。そのため、銅箔のS面の180°剥離接着強度を採用することが多い。
又、銅箔と樹脂層との接着強度を高くする方法としては、銅箔表面(樹脂層側の面)にクロメート処理等によってCr酸化物層を設けたり、銅箔表面に粗化処理を施したり、銅箔表面にNi被覆した後にCr酸化物層を設けることが挙げられる。
Cr酸化物層の厚みは、Cr重量で5〜100μg/dmとするとよい。この厚みは、湿式分析によるクロム含有量から算出する。又、Cr酸化物層の存在は、X線光電子分光(XPS)でCrが検出できるか否かで判定することができる(Crのピークが酸化によりシフトする)。
Ni被覆量は、90〜5000μg/dmとするとよい。Ni被覆の付着量が5000μg/dm(Ni厚み56nmに相当)を超えると、銅箔(及び銅張積層体)の延性が低下することがある。
また、銅箔と樹脂層とを積層複合させるときの圧力や温度条件を変えて接着強度を高くすることができる。樹脂層が損傷しない範囲で、積層時の圧力、温度をともに大きくした方がよい。
なお、銅箔のうち樹脂層の形成面と反対面に、耐食性(耐塩害性)を向上させるため、接触抵抗を低下させるためや銅箔層間の導通のため、Sn、Ni、Au、Ag、Co及びCuの群から選ばれる1種以上を含む、0.001μm〜5μm厚程度のめっき層、及び/又はクロメート層(亜鉛クロメート層を含む)、及び/又はシランカップリング層を形成してもよい。これらのめっき層、クロメート層、シランカップリング層は、それぞれ複数の層であってもよい。
<成型>
銅張積層体、又はフレキシブル配線板を立体成型する方法は限定されず、例えば、張り出し成型、絞り成型、曲げ成型、エンボス成型、又はこれらの組み合わせによる成型が挙げられる。成型後に樹脂層のスプリングバックが生じることを考慮し、成型は温間(例えば150〜350℃)で行うことが好ましい。銅張積層体、又はフレキシブル配線板が接着剤層を有する場合は、接着剤層のガラス転移温度未満で成型を行うのが好ましい。
<銅箔製造>
電気銅を真空中で溶解し、表1に示す添加元素を加えて大気中(銅箔2〜8、21、23)又はAr雰囲気(上記以外の銅箔、但し、銅箔19は電解銅箔なので鋳造せず)でインゴットを鋳造した。大気中で作製したインゴットはJIS-H3100(C1100)を満たし、Ar雰囲気で鋳造したインゴットはJIS-H3100(C1020)を満たした。このインゴットを850℃×10時間均質化焼鈍した後、熱間圧延、面削、冷間圧延、焼鈍、最終冷間圧延、最終焼鈍をこの順で行い、表1に示す厚みの銅箔を得た。なお、熱間圧延後に直ちに水冷して面削した。又、最終冷間圧延の直前の焼鈍として、650℃×10秒間のテンションアニーリングを行い、その際、テンション率(T1/T2)が表1の値となるようにした。又、最終冷間圧延の加工度は92%〜99.5%とした。
比較例(銅箔19)として、市販の電解銅箔を用いたこと以外は各実施例と同様にして銅箔を製造した。
比較例(銅箔20〜23)として、熱間圧延後に水冷を行わずに空冷し、上記のテンションアニーリングを行わずに650℃×10秒焼鈍したこと以外は各実施例と同様にして銅箔を製造した。
得られた銅箔を脱脂及び酸洗し、銅箔片面につき、処理液(Cu:10〜25g/L、H2SO4:20〜100g/L)を用い、温度20〜40℃、電流密度30〜70A/dm、電解時間1〜5秒で電解処理を行った。その後、この片面につき、Ni−Coめっき液(Coイオン濃度:5〜20g/L、Niイオン濃度:5〜20g/L、pH:1。0〜4。0)を用い、温度25〜60℃、電流密度:0。5〜10A/dmでNi−Coめっきを行い、さらに、クロメート浴(K2Cr2O7:0.5〜5g/L)を用いて電流密度1〜10A/dmでクロメート処理した。
<銅張積層体、フレキシブル配線板の製造>
市販のPI、PET又はPENからなる樹脂フィルムの片面に、表3に記載の組成の接着剤を塗工して乾燥させ、乾燥後の接着剤層を表1の厚みとした。次に、この樹脂フィルムの接着剤層側の面と、銅箔とを加熱プレスで貼り合せて銅張積層体を得た。
この銅張積層体の銅箔部分につき、L/S = 100/100μmの回路をエッチングで形成し、カバーレイフィルムで回路をカバーしてフレキシブル配線板を作製した。
<熱間圧延終了後の銅箔の厚み方向の結晶粒径>
結晶粒径は、JIS-H0501の切断法に準じ、上述のようにして測定した。
<銅箔の引張強度>
最終冷間圧延後の銅箔と、最終冷間圧延後に更に焼鈍(280℃×5秒)を行って部分的に再結晶させた銅箔とについて、それぞれ引張強度を測定した。引張強度は、引張試験機により、JIS−Z2241に従い、銅箔の圧延方向に平行な方向及び垂直な方向について、それぞれ常温で引張試験を行って測定した。そして、銅箔の圧延平行方向及び圧延垂直方向のそれぞれについて求めた引張強度を平均化して、最終的な引張強度を得た。
<σa(ε)、σb(ε)の測定>
銅張積層体の樹脂を市販のエポキシ溶解剤、ポリイミド溶解剤を用いて銅箔から剥がし、引張試験の試験材とした。引張試験機により、JIS−Z2241に従い、銅箔の圧延方向に平行な方向及び垂直な方向について、それぞれ表2に示す温度に保った恒温槽中で引張試験を行い、銅箔が破断するまでの応力-ひずみ曲線を取得した。2つのひずみ速度で測定を行い、ひずみ速度の速い方a=1×10-1(s-1)とし、ひずみ速度の遅い方bについては、a/b=100又はa/b=1000となるように設定した。
銅箔の圧延平行方向及び圧延垂直方向のそれぞれについて求めたσa(ε)、σb(ε)を平均化して、最終的なσa(ε)、σb(ε)を得た。次いで、図1に示すように、ひずみ速度の遅い方bが破断するまでの間で、Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|の最大値を求めた。
<na、nbの測定>
σa(ε)、σb(ε)の測定における上述の引張試験の結果から、真ひずみε:0.02〜0.04、0.04〜0.06の領域のみのデータを取り出し、図1に示す真応力σ−真ひずみεから、σ=σt0・ε の式により、各真ひずみ領域での最小二乗法の近似直線の傾きからn、nを求めた。
なお、銅箔の圧延平行方向及び圧延垂直方向のそれぞれについて求めたn、nを平均化して、最終的なn、nを得た。尚、σa(ε)、σb(ε)na、nbの測定に使用する銅箔は銅張積層体製造直後の銅箔特性と同等な特性を持つ銅箔を用いればよく、たとえば立体成型後の未成型部の銅箔や銅箔積層体を製造するときと同じ熱履歴の処理をした銅箔を用いてもよい。つまり、積層体を作製する工程で接着層を含まない状態で加熱プレスを行えば銅張積層体と同等の銅箔を得ることができ、接着剤層と銅箔を剥離するのが難しい場合の評価に有効である。また、立体成型後の未成型部を用いる場合、成型部と未成型部の見分けは、銅箔の厚みが表1に記載の厚みから0.5μm以内であれば未成型部とするとよい。
<立体成型性>
図3に示す試験装置を用いて、それぞれ銅張積層体、及びフレキシブル配線板を、σa(ε)、σb(ε)の測定時の各温度(表2参照)にて、押し込み速度を0.1 mm/s、又は15mm/sとして、それぞれ張り出し成型した。
まず、半径20mmの半球状の窪み2aを有するダイ2の上に矩形の試験片20を載置し、試験片の外周を板押え6で加圧して保持した(圧下荷重5N/cm2)。なお、ダイ2の窪み2aの最大深さhは20mmとした。次に、試験片20の上から、半径19。8mmの半球状の先端部を有する可動ポンチ10を押し下げ、ダイ2の窪み2aに挿入した。これにより、試験片20が立体成型された。
なお、銅張積層体、及びフレキシブル配線板片面にのみ樹脂層がある場合、樹脂層を上にしてダイに載置する。又、銅張積層体、及びフレキシブル配線板の両面に樹脂層がある場合、M面と接着している樹脂層を上にしてダイに載置する。銅張積層体、及びフレキシブル配線板の両面がCuの場合はどちらが上であってもよい。
成形後の試験片内の銅箔の割れの有無を目視で判定し、以下の基準で立体成型性の評価を行った。
A:すべての温度及び押し込み速度で、銅張積層板、フレキシブル配線板共に成型できたもの
B:押し込み速度を0.1 mm/sに低下させた場合に、すべての温度で、銅張積層板、フレキシブル配線板共に成型できたもの
C:いずれかの温度で、かついずれかの押し込み速度で、銅張積層板、フレキシブル配線板のいずれかに割れが生じたもの
D:押し込み速度が15mm/sでは、いずれかの温度で、銅張積層板、フレキシブル配線板の両方とも割れたが、押し込み速度を0.1 mm/sに低下させた場合に、いずれかの温度で、銅張積層板、フレキシブル配線板のいずれかが成型できたもの
押し込み速度を0.1 mm/sに低下させても、銅張積層板、フレキシブル配線板の両方とも割れたもの
評価がA〜Dであれば実用上問題はなく、Aが最も好ましい。
得られた結果を表1〜表3に示す。なお、表1の添加元素の欄で、「Ag:140, Sn:30」は、Ag:140wtppm及びSn:30wtppmを添加したことを示す。又、不純物元素の合計量は、Li、Be、C、F、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K及びCaの合計含有量を示す。
Figure 0006220132
Figure 0006220132
Figure 0006220132
表1〜表3から明らかなように、Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|<30MPaを満たす銅箔を樹脂層と積層して銅張積層体を構成した各実施例の場合、立体成型性に優れていた
又、不純物元素の合計含有量が15ppmを超えた銅箔9の場合、一部の温度でΔσ≧30MPaとなり、他の実施例に比べて立体成型性がやや劣るが、他の温度ではΔσ<30MPaを満たすので実用上問題はない。


一方、電解銅箔を用いた銅箔19の場合、Δσ≧30MPaとなり、立体成型性が劣化した。
最終冷間圧延の直前の焼鈍でテンションアニーリングを行わなかった銅箔20〜23の場合、熱間圧延終了後の銅箔の結晶粒径が30μmを超え、Δσ≧30MPaとなり、立体成型性が劣化した。これは、熱間圧延直後の結晶粒径が粗大になったため、その後に冷間圧延及び焼鈍を繰り返すと、銅箔が完全に再結晶したためと考えられる。
2 銅箔
2a 銅箔の回路
4 接着剤層
6 樹脂層
8 保護樹脂層

Claims (15)

  1. 99.9質量%以上のCuと、Ag、Au、Pr、Sn、In、Zr、B、Mn及びCrの群から選ばれる1種又は2種以上の添加元素を、質量率で合計10〜500ppm含む銅箔であって、ひずみ速度をそれぞれa、b(s-1)とし、真ひずみεのときの真応力をそれぞれσa(ε)、σb(ε)(MPa)としたとき、
    150〜250℃において、かつa/b=100、a=1×10-1(s-1)において、8 MPa<Δσ=|σa(ε)-σb(ε)|<30MPaを満たす銅箔。
  2. 150〜250℃において、かつa/b=1000、a=1×10-1(s-1)において、Δσ<30MPaを満たす請求項1記載の銅箔。
  3. 150〜250℃において、かつa/b=100、a=1×10-1(s-1)において、Δσ<15 MPaを満たす請求項1又は2記載の銅箔。
  4. 150〜250℃において、ひずみ速度がそれぞれa、b(s-1)のときの加工硬化指数をそれぞれna、nbとしたとき、
    150〜250℃において、かつa/b=100、a=1×10-1(s-1)において、na/nb≦1.3を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の銅箔。
  5. 150〜250℃において、かつa/b=1000、a=1×10-1(s-1)において、na/nb≦1.3を満たす請求項4記載の銅箔。
  6. 50〜250℃において、na/nb≦1.3を満たす請求項4又は5記載の銅箔。
  7. Li、Be、C、F、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K及びCaの群から選ばれる1種又は2種以上の不純物元素を、質量率で合計15ppm以下含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の銅箔。
  8. 立体成型するための銅張積層体に用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の銅箔。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の銅箔と、樹脂層とを積層してなる銅張積層体。
  10. 請求項9に記載の銅張積層体の前記銅箔に回路を形成してなるフレキシブル配線板。
  11. 請求項9に記載の銅張積層体、又は請求項10に記載のフレキシブル配線板を用いて成型した立体成型体。
  12. 請求項11に記載の立体成型体を用いた面状発光体。
  13. 請求項11に記載の立体成型体を用いた有機ELディスプレイ。
  14. 請求項11に記載の立体成型体を用いた電子機器。
  15. 請求項11に記載の立体成型体を用いた放熱板。
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