JP6219705B2 - 熱伝導部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柱状セラミックス体を金属管で被覆した熱伝導部材の製造方法に関する。
熱交換器では、熱を交換する熱伝導部材によって、温度の高い流体と温度の低い流体との間で熱の受け渡しを行う。気体/液体熱交換器としては、自動車のラジエター、空調室外機などのフィン付チューブ型熱交換器が一般的である。また、エンジンから排出される燃焼排ガスなどの高温気体から、熱交換によって熱エネルギーを冷却水に伝達し、回収した熱エネルギーを再利用することで燃費性能の向上に貢献する熱回収技術がある。
熱回収技術は、化学業界や製薬業界などにおける腐食性流体の加熱、冷却、凝縮にも利用される場合があるが、この場合、酸(臭素酸、硫酸、弗酸、硝酸、塩酸など)、アルカリ(苛性アルカリなど)、ハロゲン化物、食塩水、有機化合物が熱交換の対象となることがある。耐食性が必要とされる場合には、セラミックス製の熱交換体が使用される場合がある。
熱交換体となる柱状セラミックス体は、外側に位置する金属容器に格納される構造となっており、仮に内部でセラミックスが破損しても、流体同士が交じり合わない構造となっているものがある(特許文献1)。金属管により柱状セラミックス体を被覆する場合には、高い信頼性と、安定した熱伝達特性が求められる。また、自動車部品として使用する場合等には、低コストであることも求められる。
柱状セラミックス体を金属管で被覆する方法としては、金属管を加熱し、柱状セラミックス体を挿入した後に冷却し焼き締める、焼ばめ法が知られている(特許文献2)。焼きばめのためには、焼きばめする前の(常温で)金属管の内径≦熱交換体(柱状セラミックス体)の外径である必要があり、Δ=熱交換体の外径−金属管の内径を焼きばめしろ(締めしろ)と呼ぶ。この焼きばめしろ(締めしろ)は、熱伝達特性(熱交換特性)や信頼性に対して最も大きく寄与する要因の一つである。焼きばめしろ(締めしろ)が小さかったり、ばらついてしまうと、締め付け力が得られず、特性がばらつく原因となり、熱伝達特性が落ち、またセラミックス体の耐久性も保つことができなくなる。このため、大きく安定した焼ばめしろ(締めしろ)を得ることが重要となる。
特開平9−327627号公報 国際公開第2012/067156号
しかしながら、部品(金属管、セラミックス製の熱交換体)の精度(円筒度、真円度)、材質等の問題で大きな焼ばめしろ(締めしろ)を得ることが難しい場面が多く発生する。温間〜熱間にて焼きばめ処理を実施する場合、金属管として溶接パイプを用いたり、熱交換体として焼き上げたままのセラミックスを用いたりすると、形状精度(真円度等)が悪いため、大きく安定的な焼きばめしろ(締めしろ)が得られない。この場合、焼きばめ挿入しようとする際に形状精度の良くない部分が干渉して挿入できないという不具合が起こりうる。良好な精度の部品を作ると、金属管の追加工やセラミックスに対する加工が必要となるため、大変な高コストにつながる。また、金属の材質によっては(Ni合金、フェライト組織の鉄鋼材料等)、熱膨張係数が小さいために、大きな焼きばめしろ(締めしろ)をより得にくくなる場合がある。
焼ばめ以外の手法として、特許文献2に、外周面にグラファイトシートを巻き付けたハニカム構造体(セラミックス製の熱交換体)を金属管の内部に設置し、金属管のハニカム構造体が設置されている領域を高周波加熱装置等を用いて400〜1100℃程度まで昇温させ、金属管の両端を長手方向に引っ張ることで、金属管を縮径させ一体化して熱伝導部材を形成する方法が明記されている。
この方法では、高温ゆえに加工硬化が起こりにくく、それゆえ均一な縮径を得ることができず、局所的な伸びおよび縮径が進んでしまうという問題があった。この場合、伸びが小さい箇所との差により破断(クラック)がおきやすく、それゆえ大きな縮径を得ることが難しくなる。例えば、安価な金属管の選択(オーステナイト系SUSの代わりにフェライト系SUS、シームレスパイプの代わりに溶接パイプ)や、焼き上げたままのセラミックスを用いた場合などは、上記の様な不具合が起こり易く、結果として十分な締め付けが得られず、熱伝達特性(熱交換特性)および耐久性が十分な製品が得られない。
本発明の課題は、金属管に柱状セラミックス体を挿入し、加熱および引っ張り荷重により金属管を均一的に縮径させてこれらを一体化する熱伝導部材の製造方法を提供することである。特に、部品(金属管、熱交換体である柱状セラミックス体)の精度(円筒度、真円度)、材質等によらず、金属管が柱状セラミックス体を十分に締め付けることにより、安定的に優れた特性が得られる熱伝導部材の製造方法を提供する。
本発明者らは、金属管に間隙を有した状態で柱状セラミックス体を金属管に挿入し、金属管の軸方向における温度差を100℃以上に保ちつつ、金属管を引っ張って縮径させて金属管と柱状セラミックス体とを一体化して熱伝導部材とすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の熱伝導部材の製造方法が提供される。
[1] 一方の第一の端面から他方の第二の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する柱状セラミックス体を、金属管に間隙を有した状態で挿入し、前記柱状セラミックス体が、前記金属管に挿入された状態で、前記金属管を加熱して軸方向外側に前記金属管を1.1×10 −3 /s以上のひずみ速度で引っ張ることにより、前記金属管を縮径させて前記金属管と前記柱状セラミックス体と接触させ、前記金属管の軸方向における、前記金属管の前記柱状セラミックス体と接触した接触部と、前記金属管の前記接触部以外の、その他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保ちつつ、さらに前記金属管を引っ張って、前記柱状セラミックス体の外周面に前記金属管が嵌合した熱伝導部材を形成する熱伝導部材の製造方法。
] 前記金属管を加熱するための加熱手段を移動させつつ、前記金属管の前記接触部と前記金属管のその他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保つ前記[]に記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記柱状セラミックス体を冷却しつつ、前記金属管の前記接触部と前記金属管のその他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保つ前記[]または[]に記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記金属管を加熱する際の昇温速度を25℃/s以上とすることにより、前記金属管の前記接触部と前記金属管のその他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保つ前記[]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記金属管を加熱する加熱手段は、誘導加熱である前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記誘導加熱は、300Hz以上の高周波数を用いる前記[]に記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記金属管を加熱する加熱温度Tは、T≧締めしろΔ/(柱状セラミックス体外径D×金属の熱膨張係数αm)+RT(室温)である前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記柱状セラミックス体は、熱伝導率が100W/(m・K)以上である前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記柱状セラミックス体は、隔壁を有し、前記隔壁によって、流体の流路となる多数のセルが区画形成されたハニカム構造体である前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
10] 前記ハニカム構造体は、主成分が炭化珪素である前記[]に記載の熱伝導部材の製造方法。
金属管に間隙を有した状態で柱状セラミックス体を金属管に挿入し、金属管の軸方向における温度差を100℃以上に保ちつつ、金属管を引っ張ると、金属管が軸方向(長手方向)にわたって均一な縮径を有するようにでき、金属管の必要以上の薄肉化および破断を有効に防止することができる。
金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 図1Aに続く、金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 図1Bに続く、金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 図1Cに続く、金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 金属管とハニカム構造体とを一体化する工程の拡大模式図である。 本発明の熱伝導部材を示す軸方向の一方の端面から見た模式図である。 本発明の熱伝導部材を示す斜視図である。 コイルを移動させつつ金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 図5Aに続く、コイルを移動させつつ金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 図5Bに続く、コイルを移動させつつ金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 図5Cに続く、コイルを移動させつつ金属管とハニカム構造体とを一体化する工程を示す模式図である。 冷却水を流動させるための流路を設けた固定具を用いて一体化する工程を示す模式図である。 熱伝導部材を含む熱交換器の斜視図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
1.概要
図1A〜図1Dは、金属管12と柱状セラミックス体11であるハニカム構造体1とを一体化する工程を示す模式図である。また、図2は、一体化する工程の拡大模式図である。本発明の熱伝導部材10の製造方法は、一方の第一の端面2から他方の第二の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する柱状セラミックス体11を、金属管12に間隙を有した状態で挿入し、金属管12を加熱しつつ軸方向外側に金属管12を引っ張る。金属管12を引っ張る際に、金属管12の軸方向における温度差を100℃以上に保つことが好ましい。具体的には、金属管12の縮径が進んだ部分とそれ以外の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保つことが好ましい。さらに具体的には、金属管12の柱状セラミックス体11と接触した接触部12bと、金属管12の接触部12b以外の、その他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保ちつつ、一体化することが好ましい。これにより、柱状セラミックス体11の外径よりも径が大きい金属管12を縮径させて金属管12と柱状セラミックス体11とを接触させ、これらを一体化させて柱状セラミックス体11の外周面に金属管12が嵌合した熱伝導部材10とする。
この一体化の工程において、金属管12の縮径が進んで温度が低下した部分とそれ以外の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保つと、温度が低い部分の加工が進みにくいため、金属管12の必要以上の薄肉化をより効果的に抑制できる。さらに、接触部12bと、金属管12のその他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保ちつつ、金属管12を引っ張ると、縮径が進んだ接触部12bの温度がその他の加熱部12dの温度より低いため、接触部12bの加工がそれ以上は進みにくい。これにより、さらに効果的に、金属管12が軸方向(長手方向)にわたって均一な縮径を有するようにできる。以上のようにすることにより、金属管12の必要以上の薄肉化を抑制することができ、破断が起こりにくくなり、金属管12が柱状セラミックス体11を十分に締め付けることができるため、熱交換特性が向上した熱伝導部材10を得ることができる。まず、本願の製造方法によって製造される熱伝導部材10について説明し、その後、本願の製造方法について説明する。
2.熱伝導部材
図3に、本発明の熱伝導部材10を軸方向の一方の端面2から見た図、図4に、熱伝導部材10の斜視図を示す。本発明の熱伝導部材10は、柱状セラミックス体11と、柱状セラミックス体11の外周側に金属管12と、を備える。柱状セラミックス体11は、一方の端面2から他方の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する。
熱伝導部材10は、柱状セラミックス体11の内部に第一の流体を、金属管12の外周面12h側に第二の流体を流通させ、第一の流体と第二の流体との熱交換を行うことができる。熱伝導部材10は、柱状セラミックス体11の外周側に金属管12を備えるため、第一の流体と第二の流体とは、完全に分離されており、これらの流体は混じり合わない。また、熱伝導部材10は、金属管12を備えるため、設置場所や設置方法により加工することが容易であり、自由度が高い。熱伝導部材10は、金属管12によって柱状セラミックス体11を保護することができ外部からの衝撃にも強い。
柱状セラミックス体11は、熱伝導率が100W/(m・K)以上であることが好ましい。より好ましくは、120〜300W/(m・K)、さらに好ましくは、150〜300W/(m・K)である。この範囲とすることにより、熱伝導性が良好となり、効率的に柱状セラミックス体11内の熱を金属管12の外側に排出できる。熱伝導率は、光交流法などを用いて測定することができる。
また、柱状セラミックス体11の熱伝導率が100W/(m・K)以上であると、柱状セラミックス体11の吸熱特性が優れているとも言える。このような柱状セラミックス体11は、金属管12との一体化の際に、加熱された金属管12が柱状セラミックス体11に接触したとき、金属管12の接触部12bの温度が下がりやすい。このため、接触部12bと接触部以外の金属管12の加熱部12dとの温度差100℃以上をより得やすい。
なお、柱状セラミックス体11とは、セラミックスで柱状に形成され、軸方向の一方の第一の端面2から他方の第二の端面2まで貫通する流体の流路を有するものである。柱状とは、円筒状(円柱状)に限らず、軸(長手)方向に垂直な断面が楕円形状、円弧が複合されたオーバル形状、四角形、またはその他の多角形の、角柱状であってもよい。柱状セラミックス体11は、隔壁4を有し、隔壁4によって、流体の流路となる多数のセル3が区画形成されたハニカム構造体1であることが好ましい。隔壁4を有することにより、柱状セラミックス体11の内部を流通する流体からの熱を効率よく集熱し、外部に伝達することができる。図3〜図4は、多数のセル3が形成されたハニカム構造体1を柱状セラミックス体11として用いた実施形態を示す。
柱状セラミックス体11は、耐熱性に優れるセラミックスを用いることが好ましく、特に伝熱性を考慮すると、熱伝導性が高いSiC(炭化珪素)が主成分であることが好ましい。なお、主成分とは、柱状セラミックス体11の50質量%以上が炭化珪素であることを意味する。
但し、必ずしも柱状セラミックス体11の全体がSiC(炭化珪素)で構成されている必要はなく、SiC(炭化珪素)が本体中に含まれていれば良い。即ち、柱状セラミックス体11は、SiC(炭化珪素)を含むセラミックスからなるものであることが好ましい。
なお、SiC(炭化珪素)であっても多孔体の場合は高い熱伝導率が得られないため、柱状セラミックス体11の作製過程で緻密体構造とすることが好ましい。緻密体構造にすることで高い熱伝導率が得られる。例えば、SiC(炭化珪素)の多孔体の場合、20W/(m・K)程度であるが、緻密体とすることにより、150W/(m・K)以上とすることも可能となる。
柱状セラミックス体11として、Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC、金属複合SiC、再結晶SiC、Si、及び反応焼結SiC等を採用することができるが、中でも高い熱交換率を得るためにSi含浸SiC、(Si+Al)含浸SiCを採用することができる。Si含浸SiCは、SiC粒子表面を金属珪素融体の凝固物が取り囲むとともに、金属珪素を介してSiCが一体に接合した構造を有するため、炭化珪素が酸素を含む雰囲気から遮断され、酸化が防止される。さらに、SiCは、熱伝導率が高く、放熱しやすいという特徴を有するが、Siを含浸するSiCは、高い熱伝導率や耐熱性を示しつつ、緻密に形成され、伝熱部材として十分な強度を示す。つまり、Si−SiC系(Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC)材料からなる柱状セラミックス体11は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性をはじめ、酸やアルカリなどに対する耐蝕性にも優れた特性を示すとともに、高い熱伝導率を示す。
柱状セラミックス体11を、隔壁4によって流路となる複数のセル3が区画形成されたハニカム構造体1として形成する場合、セル形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、その他の多角形等の中から所望の形状を適宜選択すればよい。
ハニカム構造体1のセル密度(即ち、単位断面積当たりのセルの数)については特に制限はなく、目的に応じて適宜設計すればよいが、25〜2000セル/平方インチ(4〜320セル/cm)の範囲であることが好ましい。セル密度を25セル/平方インチより大きくすると、隔壁4の強度、ひいてはハニカム構造体1自体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)を十分なものとすることができる。一方、セル密度を2000セル/平方インチ以下とすると、熱媒体が流れる際の圧力損失を小さくすることができる。
また、ハニカム構造体1の1つ当たりのセル数は、1〜10,000が望ましく、200〜2,000が特に望ましい。セル数が多すぎるとハニカム自体が大きくなるため第一の流体側から第二の流体側までの熱伝導距離が長くなり、熱伝導ロスが大きくなり熱流束が小さくなる。またセル数が少ない時には第一の流体側の熱伝達面積が小さくなり第一の流体側の熱抵抗を下げることが出来ず熱流束が小さくなる。
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の厚さ(壁厚)についても、目的に応じて適宜設計すればよく、特に制限はない。壁厚を50μm〜2mmとすることが好ましく、60〜600μmとすることが更に好ましい。壁厚を50μm以上とすると、機械的強度が向上して衝撃や熱応力による破損を防止できる。一方、2mm以下とすると、ハニカム構造体側に占めるセル容積の割合が大きくなることにより流体の圧力損失が小さくなり、熱交換率を向上させることができる。
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の密度は、0.5〜5g/cmであることが好ましく、2〜4g/cmであることがさらに好ましく、2.5〜3.5g/cmであることがより好ましい。0.5g/cm以上の場合、隔壁4の強度が十分であり、第一の流体が流路内を通り抜ける際に圧力により隔壁4が破損することを防止できる。また、5g/cm以下であると、ハニカム構造体1自体が重くなりすぎず、軽量化することができる。上記の範囲の密度とすることにより、ハニカム構造体1を強固なものとすることができる。また、熱伝導率を向上させる効果も得られる。
熱交換器30(図7参照)に流通させる第一の流体(高温側)が排ガスの場合、第一の流体が通過するハニカム構造体1のセル3内部の壁面には、触媒が担持されていることが好ましい。これは、排ガス浄化の役割に加えて、排ガス浄化の際に発生する反応熱(発熱反応)も熱交換することが可能になるためである。貴金属(白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、及び金)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス及びバリウムからなる群から選択された元素を少なくとも一種を含有すると良い。これらは金属、酸化物、及びそれ以外の化合物であっても良い。
第一の流体が通過するハニカム構造体1の第一流体流通部5のセル3の隔壁4に担持される触媒(触媒金属+担持体)の担持量としては、10〜400g/Lであることが好ましく、貴金属であれば0.1〜5g/Lであることが更に好ましい。触媒(触媒金属+担持体)の担持量を10g/L以上とすると、触媒作用が十分に発現する。一方、400g/L以下とすると、圧力損失が大きくなりすぎず、製造コストの上昇も抑えることができる。
図4に示すように、金属管12は、ハニカム構造体1の軸方向の長さよりも長くすることが好ましい形態の一つである。このように構成すると、熱伝導部材10の設置場所や用途に応じて、金属管12の端部12aを加工しやすい。ただし、図4の実施形態に限られるものではなく、金属管12は、ハニカム構造体1の軸方向の長さと同じでもよく、短くても良い。
金属管12としては、耐熱性、耐蝕性のあるものが好ましく、例えば、SUS管、チタン管、銅管、真鍮管、Ni合金、アルミ合金管等を用いることができる。金属管12の外周面12h上を流通する第二の流体の温度のために、金属管12と柱状セラミックス体11との熱膨張率の差により、柱状セラミックス体11と金属管12との間の締め付け圧力が抜けてしまわないようにする必要がある。このため、金属管12を加熱して軸方向に引っ張って縮径させ、十分な締め付け力で柱状セラミックス体11を締め付けるようにする。
熱伝導部材10は、柱状セラミックス体11と金属管12との間に挟み込まれた少なくとも一部がヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を備えることも好ましい様態の一つである。
柱状セラミックス体11とその外周側の金属管12との間にヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を備えることにより、柱状セラミックス体11及び金属管12の表面粗さが大きい場合でも、両者の密着性が向上する。このため熱伝達性が良好となり、効率的に柱状セラミックス体11内の熱を金属管12の外側に排出できる。
熱伝導部材10にヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を用いることにより、金属管12と柱状セラミックス体11との密着性を高めて、熱伝導性を向上させることができる。この場合、中間材13が、金属管12と柱状セラミックス体11との少なくとも一部に接触していることが、熱伝導部材10の熱伝導性を良好とするために好ましい。
さらに、中間材13は、少なくとも一部の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることが好ましい。中間材13の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることにより、熱伝導部材10の熱伝導性を向上させることができる。
中間材13としては、グラファイトシート、金属シート、ゲルシート、弾塑性流体等が挙げられる。金属シートを構成する金属としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。弾塑性流体とは、小さな力であれば、塑性変形せずに固体として振るまい(弾性率を有する)、大きな力を加えると自由に変形して流体のような変形をする材料であり、グリース等が例として挙げられる。中間材13として、密着性や熱伝導性、耐食性等を考慮すると、グラファイトシートを用いることが好ましい。
本明細書におけるグラファイトシートとは、膨張黒鉛を主成分とするグラファイトを圧延しシート状に加工したものや、高分子フィルムを熱分解して得られるシート状のものであり、黒鉛シート、カーボンシートと称されるものも含む。グラファイトシートは、厚み方向のヤング率が1GPa以下、厚み方向の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることが好ましい。厚み方向の熱伝導率について、より好ましくは、3〜10W/(m・K)である。また、面内方向の熱伝導率は、5〜1600W/(m・K)が好ましく、100〜400W/(m・K)がより好ましい。
また、グラファイトシートのヤング率は、1MPa〜1GPaであることが好ましい。より好ましくは、5MPa〜500MPa、さらに好ましくは、10〜200MPaである。ヤング率が1MPa以上であればグラファイトの密度が十分であり熱伝導性が良い。一方、1GPa以下である場合、薄いグラファイトシートでも嵌合時に十分変形し、密着性や金属管12の応力緩和効果が得られる。
グラファイトシートの厚みは、20μm〜1mmであることが好ましく、25〜500μmであることがより好ましく、50μm〜250μmであることがさらに好ましい。グラファイトシートは、薄くなるほど高価になる。また厚くなると、熱抵抗を生じる。この範囲のグラファイトシートを使用することにより、熱伝導性が良好となり、効率的に柱状セラミックス体11内の熱を金属管12の外側に排出できる。
3.熱伝導部材の製造方法
本発明の熱伝導部材の製造方法は、柱状セラミックス体11を、金属管12に間隙を有した状態で挿入し、金属管12を加熱しつつ軸方向外側に金属管12を引っ張ることにより、金属管12を縮径させて金属管12と柱状セラミックス体11と接触させる。そして、金属管12を引っ張る際に、金属管12の軸方向における温度差を100℃以上に保つことが好ましく、金属管12の縮径が進んだ部分とそれ以外の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保つことがより好ましい。さらに好ましくは、金属管12の柱状セラミックス体11と接触した接触部12bと、金属管12の接触部12b以外の、その他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保つ。
(ハニカム構造体)
まず、柱状セラミックス体11の一例としてハニカム構造体1の製造方法を説明し、次に、金属管12とハニカム構造体1との嵌合について説明する。なお、ハニカム構造体1の製造方法は、下記に限定されるものではない。
まず、平均粒径の異なるSiC粉末を混ぜ合わせて、SiC粉末の混合物を調製する。このSiC粉末の混合物に、バインダー、水を混ぜ合わせ、ニーダーを用いて混練することにより、混練物を得る。この混練物を真空土練機に投入し、円柱状の坏土を作製する。
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。ハニカム成形体については、例えば、外周壁7を円筒形状または四角柱形状とし、外周壁7の内部を隔壁4により四角形、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、その他の多角形等に区分された構造となるように形成することができる。また、これらの隔壁4については、例えば四角形の場合は、互いに直交する方向のそれぞれで等間隔に並行し、かつ、真っすぐに外周壁の内部を横切るように形成することができる。これにより、外周壁7の内部の最外周部以外にあるセル3の断面形状を正方形にすることができる。なお、セル3や隔壁4の構成は、上記に限定されない。
次に、押出成形により得たハニカム成形体の乾燥を行ない、乾燥前のハニカム成形体に含まれる全水分量の97%以上に相当する水分をハニカム成形体から除去する。
次に、ハニカム成形体に対して、所望の寸法に外形(外径、L寸(軸方向の長さ))加工を行い、含浸焼成をし、外周壁7や隔壁4に金属Siを含浸させる。
次に、上記のようにして製造したハニカム構造体1、及び金属管12の一体化の方法について説明する。なお、柱状セラミックス体11の外周側に、少なくとも一部がヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を備えた後に、金属管12を柱状セラミックス体11に嵌合させることが好ましい様態の一つである。
中間材13を備える場合には、中間材13として用いるグラファイトシートをハニカム構造体1の外周壁7の外周面7hに巻き付ける。このとき、接着剤を用いて貼り付けてもよい。接着剤を用いることにより、一様にグラファイトシートを貼り付けることができる。接着剤は、十分に薄く良伝熱性であることが望ましい。また、嵌合後は締まりばめ状態となるため、接着は、全面接着でも部分接着でもよい。
(一体化工程)
続いて、ハニカム構造体1を金属管12に挿入して一体化する一体化工程を行う。一体化工程について、図1A〜図1D、図2を用いて、さらに詳しく説明する。なお、図1A〜図1D、図2には、中間材13は、描かれていない。
まず、金属管12の軸方向を上下方向(鉛直方向)として載置する場合を例示するが、これに限らず金属管12の軸方向を水平方向に載置しても構わない。図1Aのように、一方の第一の端面2から他方の第二の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する柱状セラミックス体11であるハニカム構造体1を、金属管12との間に間隙を有した状態で挿入する。金属管12に挿入されたハニカム構造体1は、金属管12の軸方向の中央となるように配置することが好ましい。金属管12の軸方向の中央にハニカム構造体1が配置されていると、金属管12の両端部12aに適宜必要な加工を施すことができる。ハニカム構造体1を、金属管12の軸方向の中央となるように配置するために、ハニカム構造体1を支えるための固定具17(台座、治具等)をハニカム構造体の下に載置しておくとよい。また、ハニカム構造体1の上側にも固定具16を配置することが好ましい。このように固定具16,17を配置することにより、金属管12を上下から引っ張っている最中に金属管12内でハニカム構造体1が位置ずれすることを防止することができる。
次に、金属管12の周りに配置した加熱手段によって金属管12を加熱する。加熱手段としては、例えば、誘導加熱を用いることができるが、特に限定されない。誘導加熱は、金属の材質によっても異なるが300Hz以上の周波数を用いることが好ましい。より好ましくは、1kHz〜1000kHz、さらに好ましくは、10kHz〜150kHzである。この範囲にすることにより、中のセラミックス(ハニカム構造体1)を加熱することなく、金属管12のみをより急速に加熱することができるため、好ましい。
図1Aでは、金属管12の周りにコイル18を配置し、誘導加熱によって金属管12を加熱する実施形態を示す。図1Aにおいて、コイル18によって加熱された部分を加熱部12cとして示している。加熱手段によって金属管12を加熱しつつ軸方向外側に金属管12を引っ張る。これにより、図1Bに示すように、金属管12を縮径させて金属管12と柱状セラミックス体11と接触させると、相対的に温度が低い柱状セラミックス体11に金属管12の熱が奪われることで、接触部12bは、温度が下がる。金属管12の柱状セラミックス体11と接触した接触部12bと、金属管12の接触部12b以外の、その他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保ちつつ、金属管12を引っ張る。接触部12bは、温度が低いため伸びにくく、それ以外の部分が伸びて縮径する。そして金属管12をさらに引っ張ることにより、図1C、さらに図1Dのように、柱状セラミックス体11の外周面に金属管12を嵌合させ、冷却することで熱伝導部材10とする。
温度は、接触部12b以外のその他の加熱部12dが高く、接触部12bが低いようにすることが好ましい。その他の加熱部12dは、コイル18内で管が加熱される領域で、かつ接触して温度が下がった箇所ではないところである。接触部12bと金属管12のその他の加熱部12dとの温度差は、より好ましくは、200℃以上である。引っ張り加重を与えるために治具にて金属管12をチャックするため、金属管12の端部12aは、加熱しない方が好ましい。すなわち、図2に示すように、金属管12の、柱状セラミックス体11の入っている領域A±αの領域にコイル18を配置し、コイル18の端部とほぼ同じ位置にある金属管12(その他の加熱部12d)の温度と、接触部12bの温度との温度差が100℃以上であるようにして金属管12と柱状セラミックス体11とを一体化するとよい。ここで、αとは、コイル18からは十分に加熱され、中には柱状セラミックス体11が入っていない領域(加熱部)の長さであり、コイル18と金属管12との距離にも依存するが、0mm≦α≦50mmが好ましく、0mm≦α≦25mmがより好ましい。
金属管12を加熱する加熱温度Tは、T≧締めしろΔ/(柱状セラミックス体外径D×金属の熱膨張係数αm)+RT(室温)であることが好ましい。なお、加熱温度Tは、引っ張り荷重を与えている最中に加熱されている部分(接触して温度が低下する前)の金属管12の温度である。また、締めしろΔとは、柱状セラミックス体外径−柱状セラミックス体が中に入っていない状態で引っ張って縮径させて常温まで冷却した際の金属管内径である。ここで、セラミックスの材質にもよるが、締めしろΔは、柱状セラミックス体外径Dの0.05%以上であることが好ましい。締めしろΔは、柱状セラミックス体外径Dの0.08%以上がより好ましく、0.13%以上がさらに好ましい。加熱温度Tを上記の範囲とすることによって締めしろΔをこの範囲とすると、安定した熱伝導部材10を得ることができる。
より具体的には、加熱温度は、100〜(融点(K:ケルビン)×0.9−273)℃であることが好ましく、(融点(K)×0.4−273)〜(融点(K)×0.85−273)℃であることがより好ましく、(融点(K)×0.6−273)〜(融点(K)×0.8−273)℃であることがさらに好ましい。この温度範囲とすることにより、金属管12を容易に縮径させることができるうえに、十分な締め付け力を得ることができる。
金属管12を加熱する際の昇温速度を25℃/s以上とすることにより、金属管12の接触部12bと金属管12のその他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保つこともできる。50℃/s以上がさらに好ましく、100℃/s以上とすることがより好ましい。短時間で金属管12を昇温することで、中の柱状セラミックス体11への伝熱を抑制し、柱状セラミックス体11が低温なまま、金属管12を所望の温度に加熱することができるため、好ましい。
接触部12bと金属管12のその他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保って、柱状セラミックス体11(ハニカム構造体)と金属管12とを一体化させる方法として、図5A〜図5Dに示すように、金属管12を加熱するための加熱手段(コイル18)を移動させながら、一体化を行うことができる。まず、図5Aに示すように、例えば、金属管12の一方の端部(例えば下端部)を固定する。次に、図5B〜図5Dに示すように、柱状セラミックス体11(ハニカム構造体)が入っている領域の下側から上方へ加熱手段(コイル18)を移動させつつ、金属管12の上端部を引っ張り上げる。このとき、縮径が進み柱状セラミックス体11と接触した接触部12bから離れ、非接触部を加熱するように加熱手段を移動させるとよい。これにより、金属管12と柱状セラミックス体11とを一体化することができる。
または、柱状セラミックス体11を冷却しつつ、金属管12の接触部12bと金属管12のその他の加熱部12dとの温度差を100℃以上に保って、柱状セラミックス体11と金属管12とを一体化させることもできる。柱状セラミックス体11を冷却するには、例えば、熱伝導率の高い放熱手段を柱状セラミックス体11に接触させる方法が挙げられる。ハニカム構造体を支えるための固定部16,17(台座、治具等)を熱伝導率の高いもので形成したり、さらに、これらを水冷したりしてもよい。具体的には、例えば、固定具16,17を銅円柱とし、中に冷却水を流動させるための流路を設けても良い。図6は、固定具16,17に冷却水用の流路19を設けた実施形態である。このようにすることにより、より確実にハニカム構造体1および接触部12bを冷却することができる。
また、柱状セラミックス体11の放熱をより良好なものとするために、中間材13と同じものを柱状セラミックス体11と固定部16,17との間に挟むこと、あるいは、上下から固定部16,17で挟む際に多少の負荷をかけることも好ましい。
柱状セラミックス体11と金属管12とを一体化させる際に、金属管12を1.1×10−3/s以上のひずみ速度で引っ張ることが好ましい。より好ましくは、3.3×10−3〜17/s、さらに好ましくは、1.1×10−2〜1.7/sである。ひずみ速度が大きいほど、加工硬化が起こりやすく、溶接部等における破断を抑制することができる。また、低速度で引っ張ると、金属管12の、柱状セラミックス体11と接触して下がった接触部12bの温度が所望の縮径量を均一に得る前に再び上昇し、温度差を100℃以上に保てないため、均一な縮径加工が難しくなる。さらには、ひずみ速度が17/s以上となることは、加工装置のコストアップとなるため、好ましくない。したがって、上記の速度で金属管12を引っ張ることが好ましい。
(熱交換器)
図7に本発明の熱伝導部材10を含む熱交換器30の斜視図を示す。図7に示すように、熱交換器30は、熱伝導部材10(ハニカム構造体1(+中間材13)+金属管12)と、熱伝導部材10を内部に含むケーシング21とによって形成されている。柱状セラミックス体11のハニカム構造体1のセル3が第一の流体が流通する第一流体流通部5となる。また、ケーシング21に第二の流体の入口22及び出口23が形成されており、第二の流体は、熱伝導部材10の金属管12の外周面12h上を流通する。
つまり、ケーシング21の内側面24と金属管12の外周面12hとによって第二流体流通部6が形成されている。第二流体流通部6は、ケーシング21と金属管12の外周面12hとによって形成された第二の流体の流通部である。熱交換器30は、第一の流体と第二の流体の熱交換を効率よく行うことができる。
以上のような構成の本発明の熱交換器30に流通させる第一の流体は、気体、液体等、特に限定されない。例えば、気体であれば自動車の排ガス等が挙げられる。また、第二の流体も、媒体としては、気体、液体等、特に限定されない。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1〜5)
(ハニカム構造体の製造)
SiCや有機バインダ(メチルセルロース)や水など適量混ぜ合わせ、次いで混練して、坏土を作製した。この坏土を押出成形によって円柱状の外観を備えたハニカム形状に成形し、乾燥して成形体を得た。続いて、成形体を必要に応じて所望の寸法(外径、L寸(軸方向の長さ))に加工をした後に、Si含浸焼成することにより、主成分が炭化珪素のハニカム構造体1を製造した。
ハニカム構造体1の長さは、100mm、外径、円筒度は、表1に示す。ハニカム構造体1のセル密度は23.3セル/cm、隔壁4の厚さ(壁厚)は0.3mm、ハニカム構造体1の熱伝導率は130〜150W/(m・K)、熱膨張係数は4.2×10−6/℃(RT(20℃)〜800℃)であった。
なお、ハニカム構造体1の円筒度は、未加工のものは、0.8mm以上であった。押出成形後に形状矯正を行ったものは、0.3mm、乾燥後に外周加工を施したものは、0.1mm未満であった。
次に、ハニカム構造体1の外周面7hに、中間材13として、粘着材付きグラファイトシートを貼り付けた(実施例5を除く)。グラファイトシートは、厚みが0.15mm、熱伝導率が厚み方向で6W/(m・K)、ヤング率が0.1GPaのものを用いた。今回は粘着材付きグラファイトシートを用いたが、別途接着剤を塗布して用いても良い。
続いて、ハニカム構造体1を金属管12に挿入して、金属管12を周波数およそ30kHz、コイル高さ150mmの誘導加熱機で900〜1000℃まで、10〜180秒で昇温させ、金属管12を軸方向外側に引っ張ることにより、金属管12とハニカム構造体1とを接触させ、これらを冷却することで一体化させた。金属管12としては、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L:熱膨張係数19.4×10−6/℃(RT(20℃)〜1050℃))、またはフェライト系ステンレス鋼(SUS444:熱膨張係数12.9×10−6/℃(RT(20℃)〜1050℃))の溶接管を用いた。金属管12は、内径43mm×長さ200mm×厚さ0.4mm、円筒度0.3〜0.4mmであった。金属管12、ハニカム構造体1、中間材の寸法等、また、金属管12の昇温条件、ハニカム構造体の冷却の有無等を表1に示す。
Figure 0006219705
(縮径量)
表1の縮径量は、縮径量=金属管の平均内径−(ハニカム構造体の平均外径+中間材の厚み×2)で求めた計算値であり、この数値が大きいほど、大きな縮径を均一に得なくてはならない。なお、平均内径とは、1周を等分する間隔で4箇所以上で測定した内径の相加平均である。平均外径も同様である。表1に記載の縮径量は、金属管12をどの程度縮径させたら柱状セラミックス体11(またはその周りに巻いているグラファイトシート)と接触するかを示す。この数値が大きいほど、大きな縮径を均一に得なくてはならないので、処理の難易度が高くなる。柱状セラミックス体や金属管の円筒度が良くないものを使用する場合、大きな縮径が必要になり処理が困難となる。
(金属管の昇温速度)
金属管12の温度は、熱電対で測定した。金属管12を誘導加熱機で室温から1000℃まで昇温したとき(一体化前)、昇温時間が10秒の場合、昇温速度は約100℃/s、40秒の場合、約25℃/s、180秒の場合、約5.5℃/sであった。金属管12を900℃まで昇温したとき、昇温時間が160秒の場合、昇温速度は約5.5℃/sであった。なお、昇温速度は、金属管12の長手方向の中央における値である。
ハニカム構造体1の冷却は、冷却されたCu円柱(図6の固定具16,17参照)にハニカム構造体1を接触させて固定することによって行った。冷却しない場合は、アルミナ系断熱材でハニカム構造体1を固定した。
(ひずみ速度)
材料試験機(島津製作所製オートグラフ)によって金属管12を引っ張り、ひずみ速度を求めた。例えば、実施例1では、加熱部12cの長さを150mmとした。これを引張速度10mm/min(=10/60mm/s)で引っ張ったため、ひずみ速度は、(10mm/150mm)/min=1.1×10−3/sであった。
(温度差)
金属管12の接触部12bと、接触部12b以外の、その他の加熱部12dの温度測定は、熱電対および放射温度計を用いたが、200℃以上の温度差については、明らかな色の変化として表れたため、以後は目視による色目で判断した。
(被覆結果)
被覆の結果は、金属管12にクラックが入っているかいないか、ハニカム構造体1が金属管12にゆるみなく締め付けられているかで判断した。金属管12にクラックが入る箇所は、ハニカム構造体1が入っている胴体の溶接ビード部か、ハニカム構造体1の端面2からすぐのくびれ部だった。
(伝熱効率試験)
実施例1〜8、比較例1〜5の試料について、300℃に加熱した第一の流体を熱伝導部材10のハニカム構造体1のセル3中を通過させたときの第二の流体への伝熱効率を測定した。具体的には、以下のように行った。ハニカム構造体1の第一流体流通部5に窒素ガスを流し、ケーシング21内の第二流体流通部6に(冷却)水を流した(図7参照)。第一の流体、第二の流体のハニカム構造体1への入口温度、流量は全て同一条件とした。第一の流体の、300℃の窒素ガス(N)を、ハニカム構造体1に対する流量を7.6L/sとして流した。また、第二の流体の(冷却)水を、ハニカム構造体1に対する流量を10L/minとして流した。
表1に伝熱効率を示す。伝熱効率(%)は、第一の流体(窒素ガス)及び第二の流体(水)のΔT℃(ハニカム構造体1の出口温度−入口温度)からそれぞれエネルギー量を算出し、式1で計算した。
(式1) 伝熱効率(%)=(第一の流体(ガス)の入口温度−第一の流体(ガス)出口温度)/(第一の流体(ガス)の入口温度−第二の流体(冷却水)の入口温度)
グラファイトシートが有りの場合、従来の焼ばめ手法で被覆をおこなった場合、伝熱効率は、平均65%程度であったため、65%以上の伝熱効率を得られた場合は、評価を「○」(良好)とした。グラファイトシートが無しの場合、従来の焼ばめ手法で被覆をおこなった場合、伝熱効率は、平均62%程度なので、62%以上の伝熱効率を得られた場合は、評価を「○」(良好)とした。なお、表1の伝熱効率については、「×」は、一体化をできなかったことを示す。「−」については、一体化することはできたが、SUS管にクラックが入ったため、伝熱効率の測定ができなかった(第2の流体(水)が漏れてしまうため)ことを示す。
(抜け荷重)
金属管12とハニカム構造体1とを嵌合させた後に、抜け荷重を測定した。試料は、図4のようにハニカム構造体1よりも金属管12が長いものであるが、これを立てた状態で、ハニカム構造体1を上から押して動いた際の動摩擦荷重を計測することにより、抜け荷重を求めた。
グラファイトシート有りの焼ばめ製品の抜け荷重は、2〜3kNであるため、それ以上であれば合格と判断した。グラファイトシートが無い場合も同様に、10kN以上を合格とした。
(結果)
実施例1〜3は、温度差が100℃以上であり、金属管12の材質に関わらずハニカム構造体1(柱状セラミックス体11)との嵌合を、良好に行うことができた。
一方、比較例1〜5は、温度差が100℃未満であり、実施例1〜3と同等の小さな縮径量でも、均一な縮径を得ることができず、金属管12にクラックが発生し不良となった。
実施例4〜8においては、ハニカム構造体1の円筒度が悪く、より大きな縮径量であるにも関わらず、温度差を200℃以上に保つことで、均一な縮径を得ることができ、ハニカム構造体1との嵌合を良好に行うことができた。また、金属管12としてよりクラックが生じやすいSUS444製の溶接管を用いた場合でも、溶接部にクラックを生じることなく、良好に嵌合を行うことができた。
このように、従来の製造方法である比較例では、円筒度が0.3以下のハニカム構造体1を用いた場合でも、金属管12にクラックが発生し、良品を得るのが難しかった。一方で、実施例1〜8の製造方法では、円筒度が1.1の未加工の柱状セラミックス体11を用いた場合でも、溶接部の延性が小さいSUS444製の安価な溶接管を用いた場合でも、良好に嵌合を行うことができた。
実施例1〜8の嵌合後の評価では、伝熱効率、抜け荷重ともに、従来の一般的な焼きばめ方で作製した焼ばめ品の平均以上の性能が確認された。実施例1〜8では、部品の精度、材質によらず、金属管12が柱状セラミックス体11を十分に締め付けることができたため、優れた特性が得られた。つまり、実施例1〜8の製造方法によれば、比較的安価なフェライト系SUSの溶接管と未加工の円筒度が悪いセラミックス体を使用しても、高価なオーステナイト系SUSの金属管と加工済みの円筒度が良いセラミックス体を使用した焼ばめ品と同等、もしくはそれ以上の良い性能の熱伝導部材10を安定して製造することができる。
本発明の熱交換器は、高温の加熱流体と低温の被加熱流体との間で熱交換する用途であれば、特に限定されず、自動車分野、化学分野、製薬分野等に利用できる。特に、加熱流体または被加熱流体の少なくとも一方が液体の場合に好適である。水素製造(硫酸蒸発器)用熱交換部品や自動車排気部品に利用できる。
1:ハニカム構造体、2:(軸方向の)端面、3:セル、4:隔壁、5:第一流体流通部、6:第二流体流通部、7:外周壁、7h:(柱状セラミックス体の)外周面、10:熱伝導部材、11:柱状セラミックス体、12:金属管、12a:(金属管の)端部、12b:(金属管の)接触部、12c:(金属管の)加熱部、12d:(金属管の接触部以外の)その他の加熱部、12h:(金属管の)外周面、13:中間材(グラファイトシート)、16,17:固定具、18:コイル(加熱手段)、19:流路、21:ケーシング、22:(第二の流体の)入口、23:(第二の流体の)出口、24:(ケーシングの)内側面、30:熱交換器。

Claims (10)

  1. 一方の第一の端面から他方の第二の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する柱状セラミックス体を、金属管に間隙を有した状態で挿入し、
    前記柱状セラミックス体が、前記金属管に挿入された状態で、前記金属管を加熱して軸方向外側に前記金属管を1.1×10 −3 /s以上のひずみ速度で引っ張ることにより、前記金属管を縮径させて前記金属管と前記柱状セラミックス体と接触させ
    前記金属管の軸方向における、前記金属管の前記柱状セラミックス体と接触した接触部と、前記金属管の前記接触部以外の、その他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保ちつつ、さらに前記金属管を引っ張って、前記柱状セラミックス体の外周面に前記金属管が嵌合した熱伝導部材を形成する熱伝導部材の製造方法。
  2. 前記金属管を加熱するための加熱手段を移動させつつ、前記金属管の前記接触部と前記金属管のその他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保つ請求項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  3. 前記柱状セラミックス体を冷却しつつ、前記金属管の前記接触部と前記金属管のその他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保つ請求項またはに記載の熱伝導部材の製造方法。
  4. 前記金属管を加熱する際の昇温速度を25℃/s以上とすることにより、前記金属管の前記接触部と前記金属管のその他の前記加熱部との温度差を100℃以上に保つ請求項のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  5. 前記金属管を加熱する加熱手段は、誘導加熱である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  6. 前記誘導加熱は、300Hz以上の高周波数を用いる請求項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  7. 前記金属管を加熱する加熱温度Tは、T≧締めしろΔ/(柱状セラミックス体外径D×金属の熱膨張係数αm)+RT(室温)である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  8. 前記柱状セラミックス体は、熱伝導率が100W/(m・K)以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  9. 前記柱状セラミックス体は、隔壁を有し、前記隔壁によって、流体の流路となる多数のセルが区画形成されたハニカム構造体である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  10. 前記ハニカム構造体は、主成分が炭化珪素である請求項に記載の熱伝導部材の製造方法。
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