JP6145001B2 - 熱伝導部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、筒状セラミックス体を金属管で被覆した熱伝導部材、およびその製造方法に関する。
高温の流体から低温の流体へ熱交換することにより、熱を有効利用することができる。例えば、エンジンなどの燃焼排ガスなどの高温気体からの熱を回収する熱回収技術がある。気体/液体熱交換器としては、自動車のラジエター、空調室外機などのフィン付チューブ型熱交換器が一般的である。
化学業界や製薬業界などにおける腐食性流体の加熱、冷却、凝縮にも利用される場合があるが、この場合、酸(臭素酸、硫酸、弗酸、硝酸、塩酸など)、アルカリ(苛性アルカリなど)、ハロゲン化物、食塩水、有機化合物が熱交換の対象となることがある。熱交換器は、具体的には、例えば、水素製造(硫酸蒸発器)用熱交換部品、自動車排気部品などに用いられ、高温かつ耐食性が必要な箇所に使用される場合もある。耐食性が必要とされる場合には、セラミックス製の熱交換体が使用される場合がある。
熱交換体となる筒状セラミックス体は、外側に位置する金属容器に格納される構造となっており、仮に内部でセラミックスが破損しても、流体同士が交じり合わない構造となっているものがある(特許文献1)。金属により筒状セラミックス体を被覆する場合には、高い信頼性と、安定した熱伝達特性が求められる。また、自動車部品等として使用する場合に、低コストも求められる。
国際公開第2012/067156号
代表的な被覆の手法としては、金属管を加熱し、筒状セラミックス体を挿入した後に冷却する(焼き締める)焼ばめ法や、筒状セラミックス体に強い圧力を加えて筒状セラミックス体を金属管内に押し込む圧入法などの機械的締結(嵌合)法が知られている。嵌合状態を得るためには、金属管の内径≦筒状セラミックス体の外径である必要があり、Δ=(筒状セラミックス体の外径)−(金属管の内径)を締めしろと呼ぶ。この締めしろは、熱伝達特性や信頼性に対して最も大きく寄与する因子の一つであり、製造時に最も気をつけなくてはならないパラメータである。締めしろが小さかったり、ばらついてしまうと、締め付け力がばらつく原因となるため、熱伝達特性が落ち、被覆の信頼性を保つことができない。
本発明の課題は、伝熱効率のよい、筒状セラミックス体を金属管で被覆した熱伝導部材、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、筒状セラミックス体に嵌合した際に、塑性変形するような径の金属管を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の熱伝導部材、およびその製造方法が提供される。
] 一方の端面から他方の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する筒状セラミックス体の外周側に、前記筒状セラミックス体の外径よりも内径が小さい金属管を、前記金属管が前記筒状セラミックス体と接する部分において少なくとも一部が塑性変形するように嵌合させる、熱伝導部材の製造方法。
] 塑性変形するように嵌合させる際に、前記金属管に与えるひずみが、下記式1の範囲である前記筒状セラミックス体と前記金属管とを一体化する前記[]に記載の熱伝導部材の製造方法。
(式1) 1/3×(0.2%耐力/ヤング率)≦ひずみ範囲≦熱膨張率
(0.2%耐力、ヤング率、ひずみ、熱膨張率は、金属管についての値。また、熱膨張率は、金属管を室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率。)
] (筒状セラミックス体の外径)−(金属管の内径)で定義される締めしろが、下記式2の範囲である前記筒状セラミックス体と前記金属管とを一体化する前記[]に記載の熱伝導部材の製造方法。
(式2) 1/3×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径≦締めしろ範囲≦熱膨張率×金属管の内径
(0.2%耐力、ヤング率、熱膨張率は、金属管についての値。また、熱膨張率は、金属管を室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率。)
] 前記筒状セラミックス体の外周側に、少なくとも一部がヤング率150GPa以下である材質からなる中間材を備えた後に、前記金属管を前記筒状セラミックス体に嵌合させる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記筒状セラミックス体が、SiCを主成分とする前記[]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
] 前記筒状セラミックス体が、前記隔壁によって、流体の流路となる多数のセルが区画形成されたハニカム構造体である前記[]〜[]のいずれかに記載の熱伝導部材の製造方法。
金属管が筒状セラミックス体と接する部分において少なくとも一部が塑性変形するようにして金属管と筒状セラミックス体を一体化する。塑性変形を起こさせることにより、降伏後の応力上昇が小さく、締め付け荷重が一定となる効果が得られる。一般的には、焼ばめは弾性域で行われるが、塑性変形域とすることにより、締め付け荷重が一定になり、製品の性能のばらつきが小さくなる。また、伝熱効率を向上させることができる。
本発明の熱伝導部材を示す軸方向の一方の端面から見た模式図である。 本発明の熱伝導部材を示す斜視図である。 本発明の熱伝導部材の実施形態を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。 締めしろについて説明する模式図である。 塑性変形域を説明するための応力−ひずみ線図である。 リングを備える熱伝導部材の実施形態1を示す軸方向の一方の端面から見た模式図である。 リングを備える熱伝導部材の実施形態1を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。 リングを備える熱伝導部材の実施形態2を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。 リングを備える熱伝導部材の実施形態3を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。 リングを備える熱伝導部材の実施形態4を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。 本発明の熱伝導部材を含む熱交換器を示す模式図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
(熱伝導部材)
図1に、本発明の熱伝導部材10を軸方向の一方の端面から見た図、図2に、熱伝導部材10の斜視図を示す。図3は、本発明の熱伝導部材の実施形態を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。本発明の熱伝導部材10は、筒状セラミックス体11と、筒状セラミックス体11の外周側に金属管12と、を備える。筒状セラミックス体11は、一方の端面2から他方の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する。
金属管12は、筒状セラミックス体11と接する部分において少なくとも一部が塑性変形している。図3の断面図の拡大図に示すように、金属管12は、径の外側方向に延びることにより、塑性変形し、塑性変形部12bが形成されている。塑性変形部12bが形成されていることにより、金属管12と筒状セラミックス体11との密着性が向上し、安定した伝熱効率が得られる様になる。
熱伝導部材10は、筒状セラミックス体11の内部に第一の流体を、金属管12の外周面12h側に第二の流体を流通させ、第一の流体と第二の流体との熱交換を行うことができる。熱伝導部材10は、筒状セラミックス体11の外周側に金属管12を備えるため、第一の流体と第二の流体とは、完全に分離されており、これらの流体は混じり合わない。また、熱伝導部材10は、金属管12を備えるため、設置場所や設置方法により加工することが容易であり、自由度が高い。熱伝導部材10は、金属管12によって筒状セラミックス体11を保護することができ外部からの衝撃にも強い。
筒状セラミックス体11は、熱伝導率が100W/(m・K)以上であることが好ましい。より好ましくは、120〜300W/(m・K)、さらに好ましくは、150〜300W/(m・K)である。この範囲とすることにより、熱伝導性が良好となり、効率的に筒状セラミックス体11内の熱を金属管12の外側に排出できる。
なお、筒状セラミックス体11とは、セラミックスで筒状に形成され、軸方向の一方の端面2から他方の端面2まで貫通する流体の流路を有するものである。筒状とは、円筒状(円柱状)に限らず、軸(長手)方向に垂直な断面が楕円形状、円弧が複合されたオーバル形状、四角形、またはその他の多角形の、角柱状であってもよい。筒状セラミックス体11は、隔壁4を有し、隔壁4によって、流体の流路となる多数のセル3が区画形成されたハニカム構造体1であることが好ましい。隔壁4を有することにより、筒状セラミックス体11の内部を流通する流体からの熱を効率よく集熱し、外部に伝達することができる。図1〜図3は、多数のセル3が形成されたハニカム構造体1を筒状セラミックス体11として用いた実施形態を示す。
筒状セラミックス体11は、耐熱性に優れるセラミックスを用いることが好ましく、特に伝熱性を考慮すると、熱伝導性が高いSiC(炭化珪素)が主成分であることが好ましい。なお、主成分とは、筒状セラミックス体11の50質量%以上が炭化珪素であることを意味する。
但し、必ずしも筒状セラミックス体11の全体がSiC(炭化珪素)で構成されている必要はなく、SiC(炭化珪素)が本体中に含まれていれば良い。即ち、筒状セラミックス体11は、SiC(炭化珪素)を含むセラミックスからなるものであることが好ましい。
なお、SiC(炭化珪素)であっても多孔体の場合は高い熱伝導率が得られないため、筒状セラミックス体11の作製過程で緻密体構造とすることが好ましい。緻密体構造にすることで高い熱伝導率が得られる。例えば、SiC(炭化珪素)の多孔体の場合、20W/(m・K)程度であるが、緻密体とすることにより、150W/(m・K)程度とすることができる。
筒状セラミックス体11として、Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC、金属複合SiC、再結晶SiC、Si、及び反応焼結SiC等を採用することができるが、高い熱交換率を得るための緻密体構造とするためにSi含浸SiC、(Si+Al)含浸SiCを採用することができる。Si含浸SiCは、SiC粒子表面を金属珪素融体の凝固物が取り囲むとともに、金属珪素を介してSiCが一体に接合した構造を有するため、炭化珪素が酸素を含む雰囲気から遮断され、酸化から防止される。さらに、SiCは、熱伝導率が高く、放熱しやすいという特徴を有するが、Siを含浸するSiCは、高い熱伝導率や耐熱性を示しつつ、緻密に形成され、伝熱部材として十分な強度を示す。つまり、Si−SiC系(Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC)材料からなる筒状セラミックス体11は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性をはじめ、酸やアルカリなどに対する耐蝕性に優れた特性を示すとともに、高熱伝導率を示す。
筒状セラミックス体11を、隔壁4によって流路となる複数のセル3が区画形成されたハニカム構造体1として形成する場合、セル形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、その他の多角形等の中から所望の形状を適宜選択すればよい。
ハニカム構造体1のセル密度(即ち、単位断面積当たりのセルの数)については特に制限はなく、目的に応じて適宜設計すればよいが、25〜2000セル/平方インチ(4〜320セル/cm)の範囲であることが好ましい。セル密度を25セル/平方インチより大きくすると、隔壁4の強度、ひいてはハニカム構造体1自体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)を十分なものとすることができる。一方、セル密度を2000セル/平方インチ以下とすると、熱媒体が流れる際の圧力損失を小さくすることができる。
また、ハニカム構造体1の1つ当たりのセル数は、1〜10,000が望ましく、200〜2,000が特に望ましい。セル数が多すぎるとハニカム自体が大きくなるため第一の流体側から第二の流体側までの熱伝導距離が長くなり、熱伝導ロスが大きくなり熱流束が小さくなる。またセル数が少ない時には第一の流体側の熱伝達面積が小さくなり第一の流体側の熱抵抗を下げることが出来ず熱流束が小さくなる。
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の厚さ(壁厚)についても、目的に応じて適宜設計すればよく、特に制限はない。壁厚を50μm〜2mmとすることが好ましく、60〜600μmとすることが更に好ましい。壁厚を50μm以上とすると、機械的強度が向上して衝撃や熱応力による破損を防止できる。一方、2mm以下とすると、ハニカム構造体側に占めるセル容積の割合が大きくなることにより流体の圧力損失が小さくなり、熱交換率を向上させることができる。
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の密度は、0.5〜5g/cmであることが好ましい。0.5g/cm以上の場合、隔壁4の強度が十分であり、第一の流体が流路内を通り抜ける際に圧力により隔壁4が破損することを防止できる。また、5g/cm以下であると、ハニカム構造体1自体が重くなりすぎず、軽量化することができる。上記の範囲の密度とすることにより、ハニカム構造体1を強固なものとすることができる。また、熱伝導率を向上させる効果も得られる。
熱交換器30(図8参照)に流通させる第一の流体(高温側)が排ガスの場合、第一の流体が通過するハニカム構造体1のセル3内部の壁面には、触媒が担持されていることが好ましい。これは、排ガス浄化の役割に加えて、排ガス浄化の際に発生する反応熱(発熱反応)も熱交換することが可能になるためである。貴金属(白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、及び金)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス及びバリウムからなる群から選択された元素を少なくとも一種を含有すると良い。これらは金属、酸化物、及びそれ以外の化合物であっても良い。
第一の流体が通過するハニカム構造体1の第一流体流通部5のセル3の隔壁4に担持される触媒(触媒金属+担持体)の担持量としては、10〜400g/Lであることが好ましく、貴金属であれば0.1〜5g/Lであることが更に好ましい。触媒(触媒金属+担持体)の担持量を10g/L以上とすると、触媒作用が十分に発現する。一方、400g/L以下とすると、圧力損失が大きくなりすぎず、製造コストの上昇も抑えることができる。
図3に示すように、金属管12は、ハニカム構造体1の軸方向の長さよりも長くすることが好ましい形態の一つである。このように構成すると、熱伝導部材10の設置場所や用途に応じて、金属管12の端部12aを加工しやすい。ただし、図3の実施形態に限られるものではなく、金属管12は、ハニカム構造体1の軸方向の長さと同じでもよく、短くても良い。
金属管12としては、耐熱性、耐蝕性のあるものが好ましく、例えば、SUS管、チタン管、銅管、真鍮管、Ni合金管、アルミ合金管等を用いることができる。金属管12の外周面12h上を流通する第二の流体の温度のために、金属管12と筒状セラミックス体11との熱膨張率の差により、筒状セラミックス体11と金属管12との間の圧力が抜けてしまわないようにする必要がある。
このため、室温時において、筒状セラミックス体11の外径よりも内径の小さい金属管12を用いて、これを嵌合させる。さらに、金属管は、筒状セラミックス体11と接する部分において少なくとも一部が塑性変形するような締めしろのものを利用する。締めしろとは、図4に示すように、(筒状セラミックス体の外径)−(金属管の内径)である。
図5に応力−ひずみ線図を示す。図5は、オーステナイト系ステンレス鋼およびフェライト系ステンレス鋼の応力−ひずみ線図の例である。図の左端では、ひずみに対して応力が直線的に上昇する。ひずみが弾性限度を越えると、前記直線から離れ、ひずみが進行しても応力が上昇しにくくなる。つまり、ひずみが弾性限度より左側の領域が弾性域、右側の領域が塑性変形域である。
本発明の熱伝導部材10は、金属管12が塑性変形域のひずみとなるように、締めしろを決定し、その締めしろとなるように、筒状セラミックス体11の外径と金属管12の内径とを決定して、これらを嵌合させる。
具体的に説明すると、塑性変形するように嵌合させる際に、金属管12に与えるひずみが、下記式1の範囲であることが好ましい(中間材13を挟む場合でも挟まない場合でも適用可)。
(式1) 1/3×(0.2%耐力/ヤング率)≦ひずみ範囲≦熱膨張率
上記式1において、0.2%耐力、ヤング率、ひずみ、熱膨張率は、金属管についての値である。また、熱膨張率は、金属管を室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率である。
締めしろ((筒状セラミックス体の外径)−(金属管の内径))範囲は、下記式2を満たすことが好ましい(中間材13を挟まない場合のみ適用可)。
(式2) 1/3×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径≦締めしろ範囲≦熱膨張率×金属管の内径
上記式2において、0.2%耐力、ヤング率、熱膨張率は、金属管12についての値である。また、熱膨張率は、金属管12を室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率である。
締めしろを、「1/3×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径」以上とすることで、塑性変形域のひずみを得ることが出来る様になるため、好ましい。2/3×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径以上であることがより好ましく、3/4×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径以上であることがさらに好ましい。より大きな塑性変形を得るほど、より安定的な製品を得ることが可能になる。
さらに具体的には、図5で例示した応力−ひずみ線図をもつ材料の場合、0.2%耐力が475MPa、ヤング率が200GPaのオーステナイト系ステンレス鋼を金属管12として用いる場合には、ひずみが0.08%以上となるように、締めしろを決定する。また、0.2%耐力が330MPa、ヤング率が205GPaのフェライト系ステンレス鋼を金属管12として用いる場合には、ひずみが0.05%以上となるように締めしろを決定する。そして、その締めしろとなるように、筒状セラミックス体11の外径と金属管12の内径とを決定する。
熱伝導部材10は、筒状セラミックス体11と金属管12との間に挟み込まれた少なくとも一部がヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を備えることも好ましい様態の一つである。なお、中間材13を挟み込む場合は、中間材13の厚みや圧縮量を考慮して、締めしろを決定する。また、中間材13を挟んだ場合は、金属管12が筒状セラミックス体11と中間材13を介して間接的に接している部分が塑性変形していてもよい。つまり、金属管12が筒状セラミックス体11と接する部分において少なくとも一部が塑性変形しているとは、間接的に接する部分でもよい。
筒状セラミックス体11とその外周側の金属管12との間にヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を備えることにより、密着性が向上する。このため熱伝導性が良好となり、効率的に筒状セラミックス体11内の熱を金属管12の外側に排出できる。
熱伝導部材10にヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を用いることにより、金属管12と筒状セラミックス体11との密着性を高めて、熱伝導性を向上させることができる。この場合、中間材13が、金属管12と筒状セラミックス体11との少なくとも一部に接触していることが、熱伝導部材10の熱伝導性を良好とするために好ましい。
さらに、中間材13は、少なくとも一部の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることが好ましい。中間材13の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることにより、熱伝導部材10の熱伝導性を向上させることができる。
中間材13としては、グラファイトシート、金属シート、ゲルシート、弾塑性流体等が挙げられる。金属シートを構成する金属としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。弾塑性流体とは、小さな力であれば、塑性変形せずに固体として振るまい(弾性率を有する)、大きな力を加えると自由に変形して流体のような変形をする材料であり、グリース等が例として挙げられる。中間材13として、密着性や熱伝導性等を考慮すると、グラファイトシートを用いることが好ましい。
本明細書におけるグラファイトシートとは、膨張黒鉛を主成分とするグラファイトを圧延しシート状に加工したものや、高分子フィルムを熱分解して得られるシート状のものであり、黒鉛シート、カーボンシートと称されるものも含む。グラファイトシートは、厚み方向のヤング率が1GPa以下、厚み方向の熱伝導率が1W/(m・K)以上であることが好ましい。厚み方向の熱伝導率について、より好ましくは、3〜10W/(m・K)である。また、面内方向の熱伝導率は、5〜1600W/(m・K)が好ましく、100〜400W/(m・K)がより好ましい。
また、グラファイトシートのヤング率は、1MPa〜1GPaであることが好ましい。より好ましくは、5MPa〜500MPa、さらに好ましくは、10〜200MPaである。ヤング率が1MPa以上であればグラファイトの密度が十分であり熱伝導性が良い。一方、500MPa以下である場合、薄いグラファイトシートでも嵌合時に十分弾性変形し、密着性や金属管12の応力緩和効果が得られる。
グラファイトシートの厚みは、25μm〜1mmであることが好ましく、25〜500μmであることがより好ましく、50〜250μmであることがさらに好ましい。グラファイトシートは、薄くなるほど高価になる。また厚くなると、熱抵抗を生じる。この範囲のグラファイトシートを使用することにより、熱伝導性が良好となり、効率的に筒状セラミックス体11内の熱を金属管12の外側に排出できる。
図6A、および図6Bに、ハニカム構造体1の両端面2に、リング17を備える実施形態1を示す。リング17としては、例えば、金属を用いることができる。リング17は、ハニカム構造体1の外周壁7に沿うように、ハニカム構造体1の端面2に接触して備えられている。ハニカム構造体1を嵌合させる際に、リング17を両端面2に備えた状態で嵌合して製造することができる。このようにすると、ハニカム構造体1が金属管12に対して、より強固に固定されやすい。図6Bの実施形態1では、図3の拡大図と同様に、金属管12は、径の外側方向に延びることにより、塑性変形し、塑性変形部12bが形成されている。また、図6Bに示す実施形態1では、軸方向におけるリング17の端面17sと金属管12の端面12sが同一面上にある。
図7A〜図7Cに、リングを備える熱伝導部材10の実施形態2〜4を示す軸方向に平行な面で切断した断面図である。図7A〜図7Cのいずれの実施形態も、金属管12の、ハニカム構造体1の端面2の近傍から端部12aまで、段部12dが筒状に形成されている。金属管12は、段部12d以外の部分が、径の外側方向に延びることにより、塑性変形し、塑性変形部12bとされている。ハニカム構造体1とリング17は、金属管12が塑性変形することにより、また段部12dにより固定されている。
図7Aに示す実施形態2では、中間材13は、ハニカム構造体1の外周面にのみ備えられている。リング17は、金属管12に直接接触している。図7Bに示す実施形態3では、中間材13は、ハニカム構造体1の外周面とリング17の外周面に備えられており、リング17も中間材13を挟んで金属管12と嵌合している。図7Cに示す実施形態4では、3つのハニカム構造体1が直列に金属管12内に配置され、ハニカム構造体1間にもリング17が配置されている。ハニカム構造体1間に、リング17を配置することにより、セル3内を流通する第一の流体が、リング17において混合され、流れの状態が乱流化する。これにより第一の流体から隔壁4および外周壁7への熱伝達が促進され、伝熱効率が向上する。
(熱伝導部材の製造方法)
本発明の熱伝導部材の製造方法は、一方の端面2から他方の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する筒状セラミックス体11の外周側に、筒状セラミックス体11の外径よりも内径が小さい金属管12を、金属管12が筒状セラミックス体11と接する部分において少なくとも一部が塑性変形するように嵌合させる。なお、嵌合させる方法としては、金属管12を加熱し、筒状セラミックス体11を挿入した後に冷却する(焼き締める)焼ばめ法が挙げられる。また、筒状セラミックス体11に強い圧力を加えて筒状セラミックス体11を金属管12内に押し込む圧入法などの機械的締結(嵌合)法でもよい。
以下、具体的に、SiC製ハニカム構造体1(筒状セラミックス体11)の製造方法を例に説明し、次に、金属管12とハニカム構造体1との嵌合について、焼きばめ法を例に説明する。
まず、平均粒径の異なるSiCセラミックス粉末を混ぜ合わせて、SiCセラミックス粉末の混合物を調製する。このSiC粉末の混合物に、バインダー、水を混ぜ合わせ、ニーダーを用いて混練することにより、混練物を得る。この混練物を真空土練機に投入し、円柱状の坏土を作製する。
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。押出成形では、適当な形態の口金や治具を選択することにより、外周壁7の形状や厚さ、隔壁4の厚さ、セル3の形状、セル密度などを所望のものにすることができる。口金は、特に限定しないが、摩耗し難い超硬合金で作られたものを用いることが好ましい。
次に、押出成形により得たハニカム成形体の乾燥を行なう。特に限定するものではないが、電磁波加熱方式、外部加熱方式、熱風送風方式等で乾燥を行ない、乾燥前のハニカム成形体に含まれる全水分量の97%以上に相当する水分をハニカム成形体から除去する。
次に、乾燥後のハニカム成形体に対して、必要に応じて適宜外形(外径、L寸(軸方向の長さ))の加工を実施した後に、脱脂を行なう。さらに、こうした脱脂により得られたハニカム構造体1の上に金属Siの塊を載せ、真空中または減圧の不活性ガス中で、焼成をする。この焼成中に、ハニカム構造体1の上に載せた金属Siの塊を融解させ、外周壁7や隔壁4に金属Siを含浸させる。例えば、外周壁7や隔壁4の熱伝導率を100W/(m・K)にする場合には、ハニカム構造体100質量部に対して70質量部の金属Siの塊を使用する。また、外周壁7や隔壁4の熱伝導率を150W/(m・K)にする場合には、ハニカム構造体100質量部に対して80質量部の金属Siの塊を使用する。
次に、上記のようにして製造したハニカム構造体1、及び金属管12を一体化させるために、金属管12を高周波加熱機等で100〜1200℃程度まで昇温させる。なお、このとき用いる金属管12の内径は、ハニカム構造体1の外径との間に前述の式2を満たすようなものを用いるとよい。
加熱温度は、締めしろの大きさおよび金属管12の熱膨張係数によって決定し、締めしろ以上の熱膨張が得られる加熱温度を設定する。また、加熱温度は金属の融点Tm(K)以下である必要があり、0.85×融点Tm(K)以下であることが好ましく、0.8×融点Tm(K)以下であることがより好ましい。すなわち、締めしろについても、0.85×融点Tm(K)で得られる熱膨張率×金属管内径よりも小さいことが好ましく、0.8×融点Tm(K)で得られる熱膨張率×金属管内径よりも小さいことがより好ましい。0.85×融点Tm(K)以下の温度とすると、金属の特性を劣化させにくい。また、0.85×融点Tm(K)以下の方が均一な温度分布を得やすく、加熱装置の価格を抑制することができ、安定的な製品を安価に得ることができる。昇温させた金属管12に、ハニカム構造体1を挿入した後に、冷却して嵌合することにより一体化し、熱伝導部材10を形成することができる。
なお、筒状セラミックス体11の外周側に、少なくとも一部がヤング率150GPa以下である材質からなる中間材13を備えた後に、金属管12を筒状セラミックス体11に嵌合させることも好ましい様態の一つである。
中間材13を備える場合には、中間材13として用いるグラファイトシート等をハニカム構造体1の外周壁7の外周面7hに巻き付ける。このとき、接着剤を用いて貼り付けてもよい。接着剤を用いることにより、一様にグラファイトシートを貼り付けることができる。接着剤は、十分に薄く良伝熱性であることが望ましい。また、嵌合後は締まりばめ状態となるため、接着は、全面接着でも部分接着でもよい。続いて金属管12を高周波加熱機等で所望の温度まで昇温させる。そして、ハニカム構造体1を金属管12に挿入して嵌合により一体化し、熱伝導部材10を形成することができる。
本発明の熱伝導部材10は、筒状セラミックス体11とその外周側の金属管12との間に、低ヤング率のグラファイトシート等からなる中間材13を備えることにより、密着性が向上する。また、金属管12が筒状セラミックス体11と接する部分において少なくとも一部が塑性変形していることから、伝熱効率がよい。なお、中間材13を備えない場合は、抜け荷重が大きい。
図6A〜図7Cに示す、リング17を備える熱伝導部材10の実施形態1〜4の場合、リング17は、ハニカム構造体1を嵌合させる際に一緒に(連続的に)挿入しても良いし、別々に挿入してもかまわない。連続的に挿入する際には、筒状セラミックス体11や軟質な中間材13を保護する役目を果たすため、好ましい。
(熱交換器)
図8に本発明の熱伝導部材10を含む熱交換器30の斜視図を示す。図8に示すように、熱交換器30は、熱伝導部材10(ハニカム構造体1+中間材13+金属管12)と、熱伝導部材10を内部に含むケーシング21とによって形成されている。筒状セラミックス体11のハニカム構造体1のセル3が第一の流体が流通する第一流体流通部5となる。また、ケーシング21に第二の流体の入口22及び出口23が形成されており、第二の流体は、熱伝導部材10の金属管12の外周面12h上を流通する。
つまり、ケーシング21の内側面24と金属管12の外周面12hとによって第二流体流通部6が形成されている。第二流体流通部6は、ケーシング21と金属管12の外周面12hとによって形成された第二の流体の流通部である。熱交換器30は、第一の流体と第二の流体の熱交換を効率よく行うことができる。
以上のような構成の本発明の熱交換器30に流通させる第一の流体は、気体、液体等、特に限定されない。例えば、気体であれば自動車の排ガス等が挙げられる。また、第二の流体も、媒体としては、気体、液体等、特に限定されない。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ハニカム構造体)
(実施例1〜4、比較例1〜4)
所望の平均粒径を持つSiC粉末を水・バインダーとともに混ぜ合わせて、混合・混練・真空土練を実施し、円柱状の坏土を作製した。次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成し、所望の形状に押し出した。その後、ハニカム成形体を乾燥し、必要に応じて適宜外形(外径、L寸(軸方向の長さ))の加工を実施した後に、脱脂、Si含浸焼成することによって、材質が炭化珪素、本体サイズが種々の直径を持ち、長さ12mmの円柱状(筒状)のハニカム構造体1を製造した。すなわち、筒状セラミックス体11として、ハニカム構造体1を用いた。ハニカム構造体1のセル密度は7.8セル/cm、隔壁の厚さ(壁厚)は0.5mm、ハニカム構造体の熱伝導率は150W/(m・K)、熱膨張係数は4.2×10−6/℃(RT(20℃)〜800℃)であった。
(実施例5〜9、比較例5〜7)
本体サイズが種々の直径を持ち、長さ100mmの円柱状(筒状)のハニカム構造体1を製造した。ハニカム構造体のセル密度は23.3セル/cm、隔壁の厚さ(壁厚)は0.3mmであること以外は、実施例1〜4と同様の条件にて、ハニカム構造体を製造した。
(中間材)
次に、実施例5〜9、比較例5〜7については、ハニカム構造体1の外周面7hにアクリル系粘着材付きグラファイトシート(大塚電機 HT−710A)を貼り付けた。グラファイトシートは、厚みが0.25mm、熱伝導率が厚み方向で6W/(m・K)、ヤング率が0.1GPaのものを用いた。今回は粘着材付きグラファイトシートを用いたが、別途伝熱性接着剤を用いて接着しても良い。
(金属管)
(実施例1〜4、比較例1〜4)
実施例1〜4、比較例1〜4では、金属管12として、肉厚1.0mm、内径55.2mm×40mmLのSUS管(フェライト系SUS:熱膨張係数13.2×10−6/℃:RT(20℃)〜1050℃)を作製した。塑性ひずみが0.2%になるときの応力(0.2%耐力)が330MPaであるフェライト系ステンレス鋼を用いた。この金属管の円筒度は、0.3であった。円筒度は、3次元測定器にて測定した。
この金属管12について、式1の(1/3×(0.2%耐力/ヤング率))は、1/3×(330×10/205×10)=0.00537=0.054%、式2の(1/3×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径)は、1/3×(330×10/205×10)×55.2=0.030mmであった。
この金属管12について、室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率は、次のようにして求めた。フェライト系SUSの融点は1743Kであり、1743K×0.85=1482Kまで昇温させた場合の熱膨張率は、(1482K−室温293K)×熱膨張係数13.2×10−6=0.0157=1.57%である。
したがって、この金属管12について、式2の(熱膨張率×金属管の内径)は、0.0157×55.2=0.867であった。
(実施例5〜9、比較例5〜7)
実施例5〜9、比較例5〜7では、金属管12として、肉厚0.4mm、内径47.0mm×120mmLのSUS管(オーステナイト系SUS:熱膨張係数17.8×10−6/℃:RT(20℃)〜1050℃)を作製した。塑性ひずみが0.2%になるときの応力(0.2%耐力)が475MPaであるオーステナイト系ステンレス鋼を用いた。この金属管の円筒度は、0.3であった。円筒度は、3次元測定器にて測定した。
この金属管12について、式1の(1/3×(0.2%耐力/ヤング率))は、1/3×(475×10/200×10)=0.00079=0.08%であった。
この金属管12について、室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率は、次のようにして求めた。オーステナイト系SUSの融点は1650Kであり、1650K×0.85=1403Kまで昇温させた場合の熱膨張率は、(1403K−室温293K)×熱膨張係数17.8×10−6=0.0197=1.97%である。
以上のような金属管12を高周波加熱機で1000〜1100℃まで昇温させ、ハニカム構造体1を金属管12に挿入して、嵌合させた(焼きばめた)。用いた金属管12とハニカム構造体1を表1に示す。また、金属管12とハニカム構造体1との締めしろを表2,3に示す。また、締めしろからひずみを計算し、表2,3に示す。
Figure 0006145001
(伝熱効率試験)
実施例1〜9、比較例1〜7の試料について、300℃に加熱した第一の流体を熱伝導部材10のハニカム構造体1のセル3中を通過させたときの第二の流体への伝熱効率を測定した。具体的には、以下のように行った。ハニカム構造体1の第一流体流通部5に窒素ガスを流し、ケーシング21内の第二流体流通部6に(冷却)水を流した(図8参照)。第一の流体、第二の流体のハニカム構造体1への入口温度、流量は全て同一条件とした。第一の流体の、300℃の窒素ガス(N)を、ハニカム構造体1に対する流量を7.6L/sとして流した。また、第二の流体の(冷却)水を、ハニカム構造体1に対する流量を10L/minとして流した。
(試験結果)
表2,3に伝熱効率を示す。伝熱効率(%)は、第一の流体(窒素ガス)及び第二の流体(水)のΔT℃(ハニカム構造体1の出口温度−入口温度)からそれぞれエネルギー量を算出し、式3で計算した。
(式3) 伝熱効率(%)=(第一の流体(ガス)の入口温度−第一の流体(ガス)出口温度)/(第一の流体(ガス)の入口温度−第二の流体(冷却水)の入口温度)
(抜け荷重)
金属管12とハニカム構造体1とを嵌合させた後に、抜け荷重を測定した。試料は、図3のようにハニカム構造体1よりも金属管12が長いものであるが、これを立てた状態で、ハニカム構造体1のみを上から押して動いた際の動摩擦荷重を計測することにより、抜け荷重を求めた。
(塑性変形)
抜け荷重の測定後に、ハニカム構造体1から外された金属管12の外径を測定し、嵌合前の外径と比較することにより、塑性変形したかを調べた。0.01mm以上の拡管が検出された場合を塑性変形あり、0.01mm未満の場合をなし、として評価した。
Figure 0006145001
実施例1は、締めしろが式2の範囲内の0.07mmであり、ひずみを計算すると0.13%になった。嵌合後に金属管12を抜くと、0.01mm以上の拡管が検出され、塑性変形していることが確認できた。他の試料についても同様にして調べた。表2に示すように、実施例1〜4は、嵌合させた後、金属管12を外したところ、塑性変形していた。また、実施例1〜4は、抜け荷重が20kN以上で非常に大きくなり、密着性が向上していた。さらに実施例1〜4は、熱的な結合状態も向上し、伝熱効率が大きくなった。
Figure 0006145001
実施例5は、締めしろが0.1mmであり、ひずみを計算すると0.08%になった。なお、このひずみは、グラファイトシートの圧縮分を考慮して算出したひずみである。嵌合後に金属管12を抜くと、塑性変形していることが確認できた。他の試料についても同様にして調べた。表3に示すように、ひずみが0.08%以上の実施例5〜9は、嵌合させた後、金属管12を外したところ、塑性変形していた。また、実施例5〜9は、抜け荷重が5kN以上と大きく、密着性が向上していた。特に、ひずみが0.27%以上(実施例7〜9)では、抜け荷重は、ほぼ一定であった。実施例5〜9は、熱的な結合状態も向上し、伝熱効率が大きかった。
本発明の熱交換器は、加熱体(高温側)と被加熱体(低温側)で熱交換する用途であれば、特に限定されず、自動車分野、化学分野、製薬分野等に利用できる。特に、加熱体または被加熱体の少なくとも一方が液体の場合に好適である。水素製造(硫酸蒸発器)用熱交換部品や自動車排気部品に利用できる。
1:ハニカム構造体、2:(軸方向の)端面、3:セル、4:隔壁、5:第一流体流通部、6:第二流体流通部、7:外周壁、7h:(筒状セラミックス体の)外周面、10:熱伝導部材、11:筒状セラミックス体、12:金属管、12a:端部、12b:塑性変形部、12d:段部、12h:(金属管の)外周面、12s:(金属管の)端面、13:中間材(グラファイトシート)、17:リング、17s:(リングの)端面、21:ケーシング、22:(第二の流体の)入口、23:(第二の流体の)出口、24:(ケーシングの)内側面、30:熱交換器。

Claims (6)

  1. 一方の端面から他方の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路を有する筒状セラミックス体の外周側に、
    前記筒状セラミックス体の外径よりも内径が小さい金属管を、
    前記金属管が前記筒状セラミックス体と接する部分において少なくとも一部が塑性変形するように嵌合させる、熱伝導部材の製造方法。
  2. 塑性変形するように嵌合させる際に、前記金属管に与えるひずみが、下記式1の範囲である前記筒状セラミックス体と前記金属管とを一体化する請求項に記載の熱伝導部材の製造方法。
    (式1) 1/3×(0.2%耐力/ヤング率)≦ひずみ範囲≦熱膨張率
    (0.2%耐力、ヤング率、ひずみ、熱膨張率は、金属管についての値。また、熱膨張率は、金属管を室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率。)
  3. (筒状セラミックス体の外径)−(金属管の内径)で定義される締めしろが、下記式2の範囲である前記筒状セラミックス体と前記金属管とを一体化する請求項に記載の熱伝導部材の製造方法。
    (式2) 1/3×(0.2%耐力/ヤング率)×金属管の内径≦締めしろ範囲≦熱膨張率×金属管の内径
    (0.2%耐力、ヤング率、熱膨張率は、金属管についての値。また、熱膨張率は、金属管を室温から0.85×融点Tm(K)に昇温させた場合における熱膨張率。)
  4. 前記筒状セラミックス体の外周側に、少なくとも一部がヤング率150GPa以下である材質からなる中間材を備えた後に、前記金属管を前記筒状セラミックス体に嵌合させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  5. 前記筒状セラミックス体が、SiCを主成分とする請求項のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
  6. 前記筒状セラミックス体が、前記隔壁によって、流体の流路となる多数のセルが区画形成されたハニカム構造体である請求項のいずれか1項に記載の熱伝導部材の製造方法。
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