JP2012255614A - 熱交換部材、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハニカム構造体を用いて、製造コストを低減した熱交換部材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換部材10は、隔壁4により区画形成され、一方の端面2から他方の端面2まで貫通するセル3を有するセル構造部8と、セル構造部8の外周に配設された外周壁7と、を有し、第一の流体が各セル3内を、セル3外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体1と、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合した金属管12と、を含む金属嵌合ハニカム構造体11である。金属管12は、少なくとも一方の端部に、他の金属管12と接続可能な接続手段が設けられている。金属管12同士を接続手段にて接続することにより、ハニカム構造体1を直列に配置することができる。熱交換部材10は、セル3を流通する第一の流体と、金属管12の外側を流通する第二の流体とを熱交換させることができる。
【選択図】図2B
【解決手段】熱交換部材10は、隔壁4により区画形成され、一方の端面2から他方の端面2まで貫通するセル3を有するセル構造部8と、セル構造部8の外周に配設された外周壁7と、を有し、第一の流体が各セル3内を、セル3外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体1と、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合した金属管12と、を含む金属嵌合ハニカム構造体11である。金属管12は、少なくとも一方の端部に、他の金属管12と接続可能な接続手段が設けられている。金属管12同士を接続手段にて接続することにより、ハニカム構造体1を直列に配置することができる。熱交換部材10は、セル3を流通する第一の流体と、金属管12の外側を流通する第二の流体とを熱交換させることができる。
【選択図】図2B
Description
本発明は、第一の流体と第二の流体との熱交換を行う、ハニカム構造体を用いた熱交換部材、及びその製造方法に関する。
自動車の燃費改善のため、エンジンなどの燃焼排ガスなどの高温気体から熱回収して有効利用したり、排ガスをエンジンの吸気側に再循環させる際に排ガスを冷却したりする技術が求められており、排ガスなどの高温気体と冷却水などの液体を熱交換するための、気体/液体熱交換器が求められている。気体/液体熱交換器としては、自動車のラジエター、空調室外機などのフィン付チューブ型熱交換器が一般的である。しかしながら、例えば自動車排ガスのような気体と熱交換を行うには、一般的な金属製熱交換器は耐熱性に乏しく高温での使用が困難である。そこで、耐熱性、耐熱衝撃、耐腐食などを有するステンレス等の耐熱金属やセラミックス材料などが適している。耐熱金属で作製された熱交換器が知られているが、耐熱金属は価格が高い上に加工が難しい、密度が高く重い、熱伝導が低いなどの課題がある。
特許文献1には、セラミックス製の主体の一端面から他端面にわたり加熱体流路を配設するとともに、加熱体流路間に直交する方向に被加熱体流路を形成したセラミックス製熱交換体が開示されている。
特許文献2には、内部に加熱流体流路と非加熱流体流路とが形成されたセラミックス製の熱交換体の複数個を、互いの接合面間に未焼成セラミックス質からなる紐状シール材を介在させてケーシング内に配設したセラミックス製熱交換器が開示されている。
しかし、特許文献1,2は、目封じやスリット加工などの工数が多く生産性が良くないためコストが高くなる。また気体/液体の流路が1列おきに配置されているので、配管構造、流体のシール構造が複雑となる。さらに、液体の熱伝達係数は一般的に気体に比べて10〜100倍以上大きく、これら技術では気体側の伝熱面積が不足し、熱交換器性能を律速する気体の伝熱面積に比例して熱交換器が大きくなってしまう。
特許文献3,4には、ハニカム構造部とチューブ部分を別々に作製し、これらを接合させた熱交換器が開示されている。しかし、これらは、生産性が良くないためコストが高くなる傾向があった。
上記のように、特許文献1〜4の熱交換器は、構造が複雑であるため製造コストが高かった。そこで、ハニカム構造体の加工工程を少なくすることにより、製造コストを低減した熱交換器が求められてきた。
本発明の課題は、構造が複雑でなく、製造コストが低減した熱交換部材、及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、以下の熱交換部材、及びその製造方法が提供される。
[1] SiCを含む隔壁により区画形成され、一方の端面から他方の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路とされるセルを有するセル構造部と、前記セル構造部の外周に配設された外周壁と、を有し、前記第一の流体が各セル内を、前記セル外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の外周面に嵌合した金属管と、を含む金属嵌合ハニカム構造体であり、前記金属管は、少なくとも一方の端部に、他の前記金属管と接続可能な接続手段が設けられており、前記セルを流通する第一の流体と、前記金属管の外側を流通する第二の流体とが混合しない状態で、前記ハニカム構造体の前記外周壁及び前記金属管を介して第一の流体と第二の流体を熱交換させる熱交換部材。
[2] 前記金属管同士を前記接続手段にて接続することにより、前記ハニカム構造体が直列に、かつ、前記ハニカム構造体同士が隙間をあけて配置される前記[1]に記載の熱交換部材。
[3] 前記接続手段は、前記金属管の一方の前記端部の径が、他方の前記端部の径よりも大きく形成され、一方の前記端部に、他の前記金属管の他方の前記端部を挿入させて嵌合させることにより、接続するものである前記[1]または[2]に記載の熱交換部材。
[4] 前記接続手段は、前記金属管の一方の前記端部の径が、他方の前記端部の径よりも大きく形成され、いずれかの前記端部に、径方向に突出した凸部が形成され、前記凸部が形成された前記端部と反対の前記端部に、径方向に凹んだ凹部が形成され、前記凸部と他の前記金属管の前記凹部とが嵌合することにより、接続するものである前記[1]または[2]に記載の熱交換部材。
[5] 前記接続手段は、それぞれの前記端部に軸方向に凹んだ切欠き部が形成され、前記切欠き部に、他の前記金属管の前記切欠き部でない非切欠き部が嵌合することにより、接続するものである前記[1]または[2]に記載の熱交換部材。
[6] 軟金属、合金材料、及び炭素系材料のいずれかからなる熱抵抗低減層を、前記ハニカム構造体と前記金属管の間に備えている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱交換部材。
[7] SiCを含む隔壁により区画形成され、一方の端面から他方の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路とされるセルを有するセル構造部と、前記セル構造部の外周に配設された外周壁と、を有し、前記第一の流体が各セル内を、前記セル外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体の外周面に、端部に他の金属管と接続可能な接続手段が設けられている金属管を嵌合させて金属嵌合ハニカム構造体とし、前記金属嵌合ハニカム構造体の前記金属管同士を前記接続手段にて接続することにより、前記ハニカム構造体を直列に配置し、前記セルを流通する第一の流体と、前記金属管の外側を流通する第二の流体とが混合しない状態で、前記ハニカム構造体の前記外周壁及び前記金属管を介して第一の流体と第二の流体を熱交換させる熱交換部材を製造する熱交換部材の製造方法。
[8] 前記金属管同士を前記接続手段にて接続することにより、前記ハニカム構造体を直列に、かつ、前記ハニカム構造体同士を隙間をあけて配置させる前記[7]に記載の熱交換部材の製造方法。
[9] 隣り合う前記ハニカム構造体の前記セルの角度を互いにずらして接続する前記[7]または[8]に記載の熱交換部材の製造方法。
[10] 前記金属嵌合ハニカム構造体同士の接続を、前記金属管の圧入、機械締め、焼きばめのいずれかの機械締めで行う前記[7]〜[9]のいずれかに記載の熱交換部材の製造方法。
[11] 前記金属嵌合ハニカム構造体同士の接続を、前記金属管の溶接、ろう接のいずれかの化学接合で行う前記[7]〜[9]のいずれかに記載の熱交換部材の製造方法。
金属嵌合ハニカム構造体を1ユニットとし、複数の金属嵌合ハニカム構造体をつなぎ合わせて熱交換部材として使用することができる。金属嵌合ハニカム構造体は、製造が容易であり、金属嵌合ハニカム構造体をつなぎあわせることにより、熱交換効率を向上させることができる。また、隣り合うハニカム構造体1同士に隙間をあける、隙間をなくす、ハニカム構造体のセルの角度を互いに異ならせる等の設計の自由度が増す。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
図1Aに本発明の熱交換部材10の軸方向に平行な断面で切断した断面図を示す。また、図1Bに図1AのA矢視図を示す。熱交換部材10は、SiCを含む隔壁4により区画形成され、一方の端面2から他方の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路とされるセル3を有するセル構造部8と、セル構造部8の外周に配設された外周壁7と、を有し、第一の流体が各セル3内を、セル3外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体1と、ハニカム構造体1の外周面7hに嵌合した金属管12と、を含む金属嵌合ハニカム構造体11である。ハニカム構造体1は、あるセル3内を流れる第一の流体が、隔壁4を通って他のセル3に漏洩することはないように形成されている。金属管12は、少なくとも一方の端部に、他の金属管12と接続可能な接続手段が設けられている。金属管12同士を接続手段にて接続することにより、ハニカム構造体1を直列に配置することができる。熱交換部材10は、セル3を流通する第一の流体と、金属管12の外側を流通する第二の流体とが混合しない状態で、ハニカム構造体1の外周壁7及び金属管12を介して第一の流体と第二の流体を熱交換させることができる。
金属嵌合ハニカム構造体11を1ユニットとし、複数の金属嵌合ハニカム構造体11をつなぎ合わせて熱交換部材10として使用することができる。このため、隣り合うハニカム構造体1同士に隙間をあける、隙間をなくす、ハニカム構造体1のセル3の角度を互いに異ならせる等の設計の自由度が増す。なお、本発明の熱交換部材10は、ハニカム構造体1(金属嵌合ハニカム構造体11)が単体の場合も、複数直列に接続された場合も含む。
金属管12としては、耐熱性、耐蝕性のあるものが好ましく、例えば、ステンレス、チタン、銅、真鍮等を用いることができる。接続部分が金属で形成されているため、圧入、焼きばめ、かしめなどの機械締め、ろう接、溶接などの化学接合を用途や保有設備に応じて自由に選択することができる。
接続手段の一実施形態としては、図1A及び図2Aに示すように、金属管12の一方の端部12aの径が、他方の端部12bの径よりも大きく形成されたものである。すなわち、金属管12の一方の端部12側は、大径、他方の端部12b側は、小径とされている。金属管12の小径は、ちょうどハニカム構造体1が嵌合する径とされている。金属管12の大径は、ハニカム構造体1の外径よりも大きく形成されている。これにより、図2Bに示すように、ある金属管12の一方の端部12aに、他の金属管12の他方の端部12bを挿入させて嵌合させることにより、金属管12同士を接続することができる。
次に本発明の熱交換部材10の製造方法を説明する。図2Aは、ハニカム構造体1と金属管12とを一体として金属嵌合ハニカム構造体11を製造する工程を示す模式図である。まず、図2Aに示すように、SiCを含む隔壁4により区画形成され、一方の端面2から他方の端面2まで貫通し、第一の流体が流通する流路とされるセル3と、セル3の外周に配設された外周壁7と、を有し、第一の流体が各セル3内を、セル3外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体1の外周面7hに、端部に他の金属管12と接続可能な接続手段が設けられている金属管12を嵌合させ、図1A及び図1Bに示すような金属嵌合ハニカム構造体11(熱交換部材10)とする。
そして、図2Bに示すように、金属嵌合ハニカム構造体11(熱交換部材10)の金属管12同士を接続手段にて接続することにより、ハニカム構造体1を直列に配置する。これにより、セル3を流通する第一の流体と、金属管12の外側を流通する第二の流体とが混合しない状態で、ハニカム構造体1の外周壁7及び金属管12を介して第一の流体と第二の流体を熱交換させる熱交換部材10を製造することができる。なお、金属嵌合ハニカム構造体11は、複数をつなぎ合わせて熱交換部材10として用いることもできるし、単体で熱交換部材10として用いることもできる。
金属嵌合ハニカム構造体11同士の接続、すなわち、金属管12同士の接続を、金属管12の圧入、機械締め、焼きばめなどのいずれかの機械締めで行うことができる。
また、金属嵌合ハニカム構造体11同士の接続を、金属管12の溶接、ろう接のいずれかの化学接合で行うことができる。
ハニカム構造体1は、セラミックスで筒状に形成され、軸方向の一方の端面2から他方の端面2まで貫通する流体の流路を有するものである。ハニカム構造体1は、隔壁4を有し、隔壁4によって、流体の流路となる多数のセル3が区画形成されている。隔壁4を有することにより、ハニカム構造体1の内部を流通する流体からの熱を効率よく集熱し、外部に伝達することができる。
ハニカム構造体1の外形は、円筒状(円柱状)に限らず、軸(長手)方向に垂直な断面が四角形、またはその他の多角形の、角柱状であってもよい。
ハニカム構造体1は、耐熱性に優れるセラミックスを用いることが好ましく、特に伝熱性を考慮すると、熱伝導性が高いSiC(炭化珪素)が主成分であることが好ましい。なお、主成分とは、ハニカム構造体1の50質量%以上が炭化珪素であることを意味する。
但し、必ずしもハニカム構造体1の全体がSiC(炭化珪素)で構成されている必要はなく、SiC(炭化珪素)が本体中に含まれていれば良い。即ち、ハニカム構造体1は、SiC(炭化珪素)を含むセラミックスからなるものであることが好ましい。
但し、SiC(炭化珪素)であっても多孔体の場合は高い熱伝導率が得られないため、ハニカム構造体1の作製過程でシリコンを含浸させて緻密体構造とすることが好ましい。緻密体構造にすることで高い熱伝導率が得られる。例えば、SiC(炭化珪素)の多孔体の場合、20W/m・K程度であるが、緻密体とすることにより、150W/m・K程度とすることができる。
ハニカム構造体1として、Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC、金属複合SiC、再結晶SiC、Si3N4、及びSiC等を採用することができるが、高い熱交換率を得るための緻密体構造とするためにSi含浸SiC、(Si+Al)含浸SiCを採用することができる。Si含浸SiCは、SiC粒子表面を金属珪素融体の凝固物が取り囲むとともに、金属珪素を介してSiCが一体に接合した構造を有するため、炭化珪素が酸素を含む雰囲気から遮断され、酸化から防止される。さらに、SiCは、熱伝導率が高く、放熱しやすいという特徴を有するが、Siを含浸するSiCは、高い熱伝導率や耐熱性を示しつつ、緻密に形成され、伝熱部材として十分な強度を示す。つまり、Si−SiC系[Si含浸SiC、(Si+Al)含浸SiC]材料からなるハニカム構造体1は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐酸化性をはじめ、酸やアルカリなどに対する耐蝕性に優れた特性を示すとともに、高熱伝導率を示す。
ハニカム構造体1のセル3の軸方向に垂直な断面のセル形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形等の中から所望の形状を適宜選択すればよい。
ハニカム構造体1のセル密度(即ち、単位断面積当たりのセルの数)については特に制限はなく、目的に応じて適宜設計すればよいが、25〜2000セル/平方インチ(4〜320セル/cm2)の範囲であることが好ましい。セル密度が25セル/平方インチより小さくなると、隔壁4の強度、ひいてはハニカム構造体1自体の強度及び有効GSA(幾何学的表面積)が不足するおそれがある。一方、セル密度が2000セル/平方インチを超えると、熱媒体が流れる際の圧力損失が大きくなるおそれがある。
また、ハニカム構造体1の1つ当たりのセル数は、1〜10,000が望ましく、200〜2,000が特に望ましい。セル数が多すぎるとハニカム自体が大きくなるため第一の流体側から第二の流体側までの熱伝導距離が長くなり、熱伝導ロスが大きくなり熱流束が小さくなる。またセル数が少ない時には第一の流体側の熱伝達面積が小さくなり第一の流体側の熱抵抗を下げることが出来ず熱流束が小さくなる。
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の厚さ(壁厚)についても、目的に応じて適宜設計すればよく、特に制限はない。壁厚を50μm〜2mmとすることが好ましく、60〜500μmとすることが更に好ましい。壁厚を50μm未満とすると、機械的強度が低下して衝撃や熱応力によって破損することがある。一方、2mmを超えると、ハニカム構造体1側に占めるセル容積の割合が低くなったり、流体の圧力損失が大きくなったり、熱媒体が透過する熱交換率が低下するといった不具合が発生するおそれがある。
ハニカム構造体1のセル3の隔壁4の密度は、0.5〜5g/cm3であることが好ましい。0.5g/cm3未満の場合、隔壁4は強度不足となり、第一流体が流路内を通り抜ける際に圧力により隔壁4が破損する可能性がある。また、5g/cm3を超えると、ハニカム構造体1自体が重くなり、軽量化の特徴が損なわれる可能性がある。上記の範囲の密度とすることにより、ハニカム構造体1を強固なものとすることができる。また、熱伝導率を向上させる効果も得られる。
ハニカム構造体1は、熱伝導率が100W/m・K以上であることが好ましい。より好ましくは、120〜300W/m・K、さらに好ましくは、150〜300W/m・Kである。この範囲とすることにより、熱伝導性が良好となり、効率的にハニカム構造体1内の熱を金属管12の外側に排出できる。
熱交換部材10を用いた熱交換器30(図12参照)に流通させる第一の流体(高温側)が排ガスの場合、第一の流体(高温側)が通過するハニカム構造体1のセル3内部の壁面には、触媒が担持されていることが好ましい。これは、排ガス浄化の役割に加えて、排ガス浄化の際に発生する反応熱(発熱反応)も熱交換することが可能になるためである。貴金属(白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、及び金)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、亜鉛、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス及びバリウムからなる群から選択された元素を少なくとも一種を含有すると良い。これらは金属、酸化物、及びそれ以外の化合物であっても良い。
第一の流体(高温側)が通過するハニカム構造体1の第一流体流通部5のセル3の隔壁4に担持される触媒(触媒金属+担持体)の担持量としては、10〜400g/Lであることが好ましく、貴金属であれば0.1〜5g/Lであることが更に好ましい。触媒(触媒金属+担持体)の担持量を10g/L未満とすると、触媒作用が発現し難いおそれがある。一方、400g/Lを超えると、圧損が大きくなる他、製造コストが上昇するおそれがある。
図3A及び図3Bに、大径の部分(大径部12f)が小径部分(小径部12g)とほぼ同じ長さに形成された実施形態を示す。この場合、大径部12fが長いために小径部12gとの嵌合部が長くなり、より強固に金属管12同士を接続させることができる。
図4に、金属管12同士を接続手段にて接続することにより、ハニカム構造体1が直列に、かつ、ハニカム構造体1同士が隙間17をあけて配置されている熱交換部材10の実施形態を示す。ハニカム構造体1同士が隙間17をあけて接続されていることにより、ハニカム構造体1同士に隙間がない場合に比べて、セル3内を流通する第一の流体の圧力損失を低減させることができる。
図5A,図5B、及び図6A,図6Bに、金属管12に凸部12m及び凹部12nが形成された実施形態を示す。図5Aは、金属管12に凸部12m及び凹部12nが形成された実施形態を示す模式図である。また、図5Bは、凸部12m及び凹部12nが形成された金属管12によって接続された熱交換部材10の実施形態を示す模式図である。さらに図6Aは、図5AのB矢視図、図6Bは、図5AのC矢視図である。
図5A,図5B、及び図6A,図6Bに示す実施形態では、接続手段として、金属管12の一方の端部12aの径が、他方の端部12bの径よりも大きく形成されており、さらに、一方の端部12aに、径方向に内側に突出した凸部12mが形成されている。さらに、凸部12mが形成された端部と反対の端部に、径方向に凹んだ凹部12nが形成されている。図6Bに示すように、凹部12nは、溝部として形成されている。これにより、ある金属管12の凸部12mと他の金属管12の凹部12nとが嵌合することにより、金属管12同士が接続することができる。
図7は、凹部12nの他の実施形態を示す模式図である。図7では、有底の溝部として凹部12nが形成されている。
図8Aは、金属管12に凸部12mが形成された他の実施形態を示す模式図である。また、図8Bは、図8Aに示す凸部12mが形成された金属管12によって接続された熱交換部材10の他の実施形態を示す模式図である。小径部12gの他方の端部12bに、径方向に外側に突出した凸部12mが形成されている。さらに、凸部12mが形成された端部と反対側の大径部12fの端部である、一方の端部12aに、径方向に凹んだ凹部12nが形成されている。これにより、ある金属管12の凸部12mと他の金属管12の凹部12nとが嵌合することにより、金属管12同士が接続することができる。
図9は、金属管12に切欠き部12pが形成された実施形態を示す模式図である。すなわち、接続手段として、それぞれの端部に軸方向に凹んだ切欠き部12pが形成されている。また、切欠き部12p以外の残余の部分は、非切欠き部12qとされている。ある金属管12の切欠き部12pに、他の金属管12の切欠き部でない非切欠き部12qが嵌合することにより、金属管12同士を接続することができる。
図10Aに示すように、隣り合うハニカム構造体1のセル3の角度を互いにずらして接続することも好ましい(なお、図10Aでは、金属管12は、簡略化して描かれている)。このようにすることにより、セル3を通過する流体の流路抵抗を増加させる効果が得られる。すなわち、隣り合う少なくとも一組が、略同一のセル構造を有しており、ハニカム構造体1の中心軸に対して回転してセル構造が互いにずれた配置とされていることも好ましい。これにより、流体との熱の授受を増加させることができる。また、隙間17を形成する端面2間おいて、各セル3内を流通する第一の流体が相互に混合する。一方、第一の流体の入口側と出口側のハニカム構造体1の隔壁の厚さが異なるように構成することもできる。
また、図10Bに示すように、隣り合うハニカム構造体1のセルのセル密度が互いに異なるようにして接続することも好ましい(なお、図10Bでは、金属管12は、簡略化して描かれている)。このようにすることにより、セル3を通過する流体の流路抵抗を増加させる効果が得られる。これにより、流体との熱の授受を増加させることができる。
次に、図11に熱抵抗低減層13を、ハニカム構造体1と金属管12の間に備えている熱交換部材10の実施形態を示す。熱抵抗低減層13は、界面の接触熱抵抗を低減し、熱交換効率を向上させる。熱抵抗低減層13の材質としては、アルミニウム、銅、鉛等の軟金属や、はんだ等の合金材料、あるいはグラファイトシート等の炭素系材料が望ましい。次に、この熱交換部材10の製造方法を説明する。熱抵抗低減層13として用いる、例えば、グラファイトシートをハニカム構造体1の外周壁7の外周面7hに巻き付ける。このとき、接着剤を用いて貼り付けてもよい。接着剤を用いることにより、一様にグラファイトシートを貼り付けることができる。接着剤は、良伝熱性であることが望ましい。また、焼きばめ後は締まりばめ状態となるため、接着は、全面接着でも部分接着でもよい。続いて金属管12を高周波加熱機で1000℃程度まで昇温させる。ハニカム構造体1に、グラファイトシートを挟んだ状態で金属管を焼きばめにより嵌合させ、金属管同士を圧入またはろう付けにより嵌合させてつなぎ合わせることにより製造することができる。
本発明の熱伝導部材10は、ハニカム構造体1とその外周面に嵌合する金属管12との間に、低ヤング率のグラファイトシートからなる熱抵抗低減層13を備えることにより、密着性が向上する。このため厚み方向(管の径方向)の熱伝導率を3W/m・K以上とすることができ、熱伝導性が良好である。また、長手(軸)方向の熱伝導率を250W/m・K以上とすることができ、熱伝導性も良好である。グラファイトシートにより、横滑りが可能なため、ハニカム構造体1と金属管12間の熱膨張差による応力が発生しにくい。このため、実用上熱耐久性が十分である。
図12に本発明の熱交換部材10を含む熱交換器30の斜視図を示す。図12に示すように、熱交換器30は、熱交換部材10と、熱交換部材10を内部に含むケーシング21とによって形成されている。ハニカム構造体1のセル3が第一の流体が流通する第一流体流通部5となる。熱交換器30は、ハニカム構造体1のセル3内を、第二の流体よりも高温の第一の流体が流通するように構成されている。また、ケーシング21に第二の流体の入口22及び出口23が形成されており、第二の流体は、熱交換部材10の金属管12の外周面12h上を流通する。
つまり、ケーシング21の内側面24と金属管12の外周面12hとによって第二流体流通部6が形成されている。第二流体流通部6は、ケーシング21と金属管12の外周面12hとによって形成された第二の流体の流通部であり、第一流体流通部5とハニカム構造体1の隔壁4、金属管12によって隔たれて熱伝導可能とされており、第一流体流通部5を流通する第一の流体の熱を隔壁4、金属管12を介して受け取り、流通する第二の流体である被加熱体へ熱を伝達する。第一の流体と第二の流体とは、完全に分離されており、これらの流体は混じり合わないように構成されている。
熱交換器30は、第二の流体よりも高温である第一の流体を流通させ、第一の流体から第二の流体へ熱伝導するようにすることが好ましい。第一の流体として気体を流通させ、第二の流体として液体を流通させると、第一の流体と第二の流体の熱交換を効率よく行うことができる。つまり、本発明の熱交換器30は、気体/液体熱交換器として適用することができる。
以上のような構成の本発明の熱交換器30に流通させる第一の流体である加熱体としては、熱を有する媒体であれば、気体、液体等、特に限定されない。例えば、気体であれば自動車の排ガス等が挙げられる。また、加熱体から熱を奪う(熱交換する)第二の流体である被加熱体は、加熱体よりも低い温度であれば、媒体としては、気体、液体等、特に限定されない。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図13Aに実施例の製造工程、図13Bに比較例の製造工程を示す。従来の製造方法(比較例:図13B)では、金属管の加工前に全体寸法の設計を決定しておく必要があり、焼きばめやろう付け前にハニカム構造体1の組み合わせの設計を決定しておく必要があった。一方、本発明の製造方法(実施例:図13A)では、金属管を加工し、ハニカム構造体1を焼きばめしてから金属嵌合ハニカム構造体11をつなぎ合わせるため、全体寸法、ハニカム構造体1の組み合わせの設計を決定することが可能であった。すなわち、上記製造方法による熱交換部材10は、構造が複雑でなく、製造コストを低減させることができるとともに、設計の自由度が増した。
本発明の熱交換部材は、加熱体(高温側)と被加熱体(低温側)で熱交換する用途であれば、自動車分野、産業分野であっても特に限定されない。特に、加熱体または被加熱体の少なくとも一方が液体の場合に好適である。自動車分野で排ガスから排熱回収用途で使用する場合は、自動車の燃費向上に役立てることができる。
1:ハニカム構造体、2:(軸方向の)端面、3:セル、4:隔壁、5:第一流体流通部、6:第二流体流通部、7:外周壁、7h:(ハニカム構造体の)外周面、8:セル構造部、10:熱交換部材、11:金属嵌合ハニカム構造体、12:金属管、12a:(金属管の一方の)端部、12b:(金属管の他方の)端部、12f:大径部、12g:小径部、12h:(金属管の)外周面、12m:凸部、12n:凹部、12p:切欠き部、12q:非切欠き部、13:熱抵抗低減層、17:隙間、21:ケーシング、22:(第二の流体の)入口、23:(第二の流体の)出口、24:(ケーシングの)内側面、30:熱交換器。
Claims (11)
- SiCを含む隔壁により区画形成され、一方の端面から他方の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路とされるセルを有するセル構造部と、前記セル構造部の外周に配設された外周壁と、を有し、前記第一の流体が各セル内を、前記セル外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の外周面に嵌合した金属管と、を含む金属嵌合ハニカム構造体であり、
前記金属管は、少なくとも一方の端部に、他の前記金属管と接続可能な接続手段が設けられており、
前記セルを流通する第一の流体と、前記金属管の外側を流通する第二の流体とが混合しない状態で、前記ハニカム構造体の前記外周壁及び前記金属管を介して第一の流体と第二の流体を熱交換させる熱交換部材。 - 前記金属管同士を前記接続手段にて接続することにより、前記ハニカム構造体が直列に、かつ、前記ハニカム構造体同士が隙間をあけて配置される請求項1に記載の熱交換部材。
- 前記接続手段は、前記金属管の一方の前記端部の径が、他方の前記端部の径よりも大きく形成され、一方の前記端部に、他の前記金属管の他方の前記端部を挿入させて嵌合させることにより、接続するものである請求項1または2に記載の熱交換部材。
- 前記接続手段は、前記金属管の一方の前記端部の径が、他方の前記端部の径よりも大きく形成され、
いずれかの前記端部に、径方向に突出した凸部が形成され、
前記凸部が形成された前記端部と反対の前記端部に、径方向に凹んだ凹部が形成され、
前記凸部と他の前記金属管の前記凹部とが嵌合することにより、接続するものである請求項1または2に記載の熱交換部材。 - 前記接続手段は、それぞれの前記端部に軸方向に凹んだ切欠き部が形成され、
前記切欠き部に、他の前記金属管の前記切欠き部でない非切欠き部が嵌合することにより、接続するものである請求項1または2に記載の熱交換部材。 - 軟金属、合金材料、及び炭素系材料のいずれかからなる熱抵抗低減層を、前記ハニカム構造体と前記金属管の間に備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換部材。
- SiCを含む隔壁により区画形成され、一方の端面から他方の端面まで貫通し、第一の流体が流通する流路とされるセルを有するセル構造部と、前記セル構造部の外周に配設された外周壁と、を有し、前記第一の流体が各セル内を、前記セル外に漏洩・混合することなく流通するハニカム構造体の外周面に、端部に他の金属管と接続可能な接続手段が設けられている金属管を嵌合させて金属嵌合ハニカム構造体とし、
前記金属嵌合ハニカム構造体の前記金属管同士を前記接続手段にて接続することにより、前記ハニカム構造体を直列に配置し、
前記セルを流通する第一の流体と、前記金属管の外側を流通する第二の流体とが混合しない状態で、前記ハニカム構造体の前記外周壁及び前記金属管を介して第一の流体と第二の流体を熱交換させる熱交換部材を製造する熱交換部材の製造方法。 - 前記金属管同士を前記接続手段にて接続することにより、前記ハニカム構造体を直列に、かつ、前記ハニカム構造体同士を隙間をあけて配置させる請求項7に記載の熱交換部材の製造方法。
- 隣り合う前記ハニカム構造体の前記セルの角度を互いにずらして接続する請求項7または8に記載の熱交換部材の製造方法。
- 前記金属嵌合ハニカム構造体同士の接続を、前記金属管の圧入、機械締め、焼きばめのいずれかの機械締めで行う請求項7〜9のいずれか1項に記載の熱交換部材の製造方法。
- 前記金属嵌合ハニカム構造体同士の接続を、前記金属管の溶接、ろう接のいずれかの化学接合で行う請求項7〜9のいずれか1項に記載の熱交換部材の製造方法。
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JP2011129678A JP2012255614A (ja) | 2011-06-10 | 2011-06-10 | 熱交換部材、及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2012169622A1 (ja) * | 2011-06-10 | 2015-02-23 | 日本碍子株式会社 | 熱交換部材、その製造方法、及び熱交換器 |
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2011
- 2011-06-10 JP JP2011129678A patent/JP2012255614A/ja not_active Withdrawn
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