JP6218541B2 - アンテナ装置及びアンテナ励振方法 - Google Patents
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Description
移相器として、ディジタル移相器を使用する場合、各移相器の移相状態を移相器制御装置によって容易に制御することができるため、電子的にアンテナ放射パターンを制御することが可能であり、衛星通信システムやレーダシステム等のアンテナとして広く利用されている。
ただし、半導体素子は、個体毎に異なる動作特性を有するため、ディジタル移相器の通過特性は、移相状態毎に異なる特性となる。
この移相状態毎の通過特性のばらつき(以下、「通過移相誤差」と称する)と、挿入損(通過振幅)のばらつき(以下、「通過振幅誤差」と称する)によってアンテナ放射パターンが所望の特性と異なるものとなり、特性劣化を生じることがある。
即ち、特許文献1には、所望の特性を実現する理想的なアナログ値の移相値を微小量ずつオフセットさせながら、通過振幅誤差を考慮して、その移相値を量子化することで決まる移相状態のアンテナ利得低下量を算出し、そのアンテナ利得低下量が最小となる移相状態をアンテナ励振位相に決定する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、移相器の移相状態毎の通過振幅誤差と通過移相誤差を同時に考慮して、アンテナ利得劣化やヌルの深さ等を改善して、所望のフェーズドアレーアンテナの放射パターンを高精度に実現するアンテナ励振位相の算出手法が開示されている。
一方、フェーズドアレーアンテナにおいて、振幅位相制御を実現する技術として、時間ウエイトの概念を利用する時間変調アレーアンテナが以下の非特許文献2,3に開示されている。
これは、複数の励振位相でそれぞれ受信された信号、あるいは、送信された信号を時間平均(時間積分)することにより、等価的に所定の振幅分布を与えた状態と同じ効果(放射特性)を得るものである。
一方、非特許文献2,3の場合、フェーズドアレーアンテナの性能を高めることができるが、励振振幅あるいは励振位相の誤差に対する対策は開示されておらず、励振振幅や励振位相の誤差を低減することができない課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
図1において、フェーズドアレーアンテナ1はK本の素子アンテナ2−k(k=1,2,3,・・・,K)から構成されており、素子アンテナ2−kには移相器3−k(k=1,2,3,・・・,K)が接続されている。
移相器3−kは移相器制御装置6から出力された移相器制御信号が示す励振位相にしたがって素子アンテナ2−kから入射された高周波信号(電波)の位相を変化させる処理を実施する。
合成器4は移相器3−1〜3−Kから出力された高周波信号を合成し、合成後の高周波信号を受信機5に出力する処理を実施する。
移相器制御装置6は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、移相器3−kの移相状態を制御することで、所望のフェーズドアレーアンテナ1の放射パターンを実現する装置である。
位相オフセット量設定部8は例えばマンマシンインタフェースで構成されており、ユーザの操作の下で、励振位相設定部7により設定された励振位相に加える位相オフセット量を設定する処理を実施する。
位相オフセット回数設定部9は例えばマンマシンインタフェースで構成されており、ユーザの操作の下で、位相オフセット量設定部8により設定された位相オフセット量を加える回数である位相オフセット回数を設定する処理を実施する。
なお、位相オフセット量設定部8及び位相オフセット回数設定部9からオフセット設定手段が構成されている。
ここでは、励振位相設定部7、位相オフセット量設定部8及び位相オフセット回数設定部9がマンマシンインタフェースで構成されている例を示しているが、これに限るものではなく、例えば、外部から送信された設定値を示す情報を受信する通信機器などから構成されて、その情報にしたがって励振位相等を設定するものであってもよい。
移相器制御信号出力部11は位相オフセット部10により位相オフセット量が励振位相に加えられる毎に、その励振位相を示す移相器制御信号を移相器3−1〜3−Kに出力する処理を実施する。なお、移相器制御信号出力部11は移相状態制御手段を構成している。
励振時間制御部13は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、移相器3−kにおける移相状態の制御周期と、時間平均処理部12における時間平均周期との同期を図るために、移相器3−kの更新タイミングを示す制御信号を位相オフセット部10に出力するとともに、受信機5から出力されたディジタル受信データの蓄積タイミングを示す制御信号を時間平均処理部12に出力する処理を実施する。
例えば、アンテナ装置の一部として、移相器制御装置6、時間平均処理部12及び励振時間制御部13がコンピュータで構成されている場合、移相器制御装置6、時間平均処理部12及び励振時間制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1によるアンテナ装置の処理内容(アンテナ励振方法)を示すフローチャートである。
例えば、観測対象である目標物から到来する高周波信号(電波)は、フェーズドアレーアンテナ1を構成する素子アンテナ2−kから入射されて、移相器3−1〜3−Kに入力される。
移相器3−1〜3−Kは、素子アンテナ2−kから入射された高周波信号を入力すると、後述する移相器制御装置6から出力された移相器制御信号が示す励振位相にしたがって当該高周波信号の位相を変化させ、位相変化後の高周波信号を合成器4に出力する。
受信機5は、合成器4から合成後の高周波信号を受けると、その高周波信号を検波し、その高周波信号を例えばベースバンドのディジタル信号であるディジタル受信データに変換する。例えば、受信機5がディジタル受信機であれば、A/D変換後のディジタル信号を出力する。
以下、移相器制御装置6の処理内容を具体的に説明する。
位相オフセット量設定部8は、励振位相設定部7により設定された励振位相βkに加える位相オフセット量φを設定する(ステップST2)。
また、位相オフセット回数設定部9は、位相オフセット量設定部8により設定された位相オフセット量φを励振位相βkに加える回数である位相オフセット回数Mを設定する(ステップST2)。
この位相オフセット回数Mは、移相器3−1〜3−Kの移相状態を変化させる回数に相当する。
例えば、移相器3−1〜3−Kが、Nbビットのディジタル移相器である場合、ディジタル移相器は、2Nb個の量子化移相状態を有するので、位相を変えることが可能な位相範囲が2π[rad]であれば、位相オフセット量φは、2π/2Nbとなる。
また、励振時間制御部13は、高周波信号の蓄積数が位相オフセット回数Mに至ると、時間平均の算出指令を時間平均処理部12に出力する。
なお、位相オフセット部10は、位相オフセット量φの加算処理の実施回数m(m=1,2,・・・,M)が、位相オフセット回数設定部9により設定された位相オフセット回数Mに至るまで、移相器3−kの更新タイミングを示す制御信号を受ける毎に、位相オフセット量φの加算処理を実施する。
これにより、移相器3−1〜3−Kが、移相器制御装置6から出力された移相器制御信号が示す励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって、素子アンテナ2−kから入射された高周波信号の位相を変化させるが、励振位相βkは、上述したように、素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値であり、また、位相オフセット量φも素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値である。このため、励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって高周波信号の位相を変化させても、素子アンテナ2−1〜2−Kの間(移相器3−1〜3−Kの間)の相対位相差は不変である。
したがって、移相器3−kの移相状態を変化させても、フェーズドアレーアンテナ1の放射パターンの振幅特性(包絡線)は不変であり、アンテナ利得は原理的に一定である。
各移相状態で生じる通過振幅誤差をΔak,m、通過移相誤差をΔθk,mとすると、移相器3−kにおける実際の励振移相θ’k,mは、下記の式(2)のようになる。
合成後の高周波信号は受信機5に入力され、上述したように、受信機5で合成後の高周波信号が検波されて、その高周波信号が例えばベースバンドのディジタル信号であるディジタル受信データに変換される。
即ち、時間平均処理部12は、ディジタル受信データの蓄積数が位相オフセット回数Mに至るまで、受信機5から出力されたディジタル受信データを蓄積する。
時間平均処理部12は、ディジタル受信データの蓄積数が位相オフセット回数Mに到達して、励振時間制御部13から時間平均の算出指令を受けると(ステップST6)、蓄積しているM個のディジタル受信データを位相オフセット回数Mで除算することで、そのディジタル受信データの時間平均(時間積分)を算出する(ステップST7)。
図3(a)に示すように、素子アンテナ2−kが同一波形の信号sを繰り返し受信している状況を想定する。
移相器3−kの移相状態の切り替えタイミングは、図3(b)に示すように、受信信号sの周期に同期させている。
以後、受信信号sの周期に同期して、移相状態θk,mを更新すると、受信機5の出力信号としてy_mが得られ、受信機5の出力信号y_mが蓄積される。
最終的には、受信機5のM個の出力信号y_1〜y_Mが蓄積され、M個の出力信号y_1〜y_Mが時間平均処理された出力y_aveが得られる。
図3の例では、受信信号sが間欠的で、かつ、その周期Tと移相状態の保持周期T1を同一としているが、これに限るものではなく、例えば、移相状態毎に受信信号sの同一部分を受信できれば、移相器の更新遅延があってもよく、T1がTより短くてもよい。
なお、M×Lが2のべき乗のサイズであれば、高速フーリエ変換(FFT)を適用することが可能である。
図4はこの発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
送信機21は送信信号である高周波信号を生成し、その高周波信号をフェーズドアレーアンテナ1に出力する処理を実施する。
フェーズドアレーアンテナ1の分配器22は送信機21から出力された高周波信号を移相器3−1〜3−Kに分配する処理を実施する。
図4の例では、受信アンテナ31はフェーズドアレーアンテナ1と異なる場所に設置されているが、フェーズドアレーアンテナ1と同一の場所又は近接している場所に設置されていてもよい。
送信側と受信側が離れた場所にある場合、両者をつなぐ配線を敷設することは現実的ではないため、この実施の形態2では、送信側のフェーズドアレーアンテナ1と別個に受信アンテナ31を配置している。
受信機32は受信アンテナ31から入射された高周波信号を検波し、その高周波信号を例えばベースバンドのディジタル信号であるディジタル受信データに変換する処理を実施する。
なお、受信アンテナ31及び受信機32から信号受信手段が構成されている。
時間平均処理部34は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、励振時間記憶部33に記憶されている移相器3−kの更新タイミング毎に、受信機32から出力されたディジタル受信データを蓄積して、そのディジタル受信データの時間平均を算出する処理を実施する。
なお、励振時間記憶部33及び時間平均処理部34から時間平均手段が構成されている。
例えば、アンテナ装置の一部として、移相器制御装置6及び励振時間制御部13がコンピュータで構成されている場合、移相器制御装置6及び励振時間制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図5はこの発明の実施の形態2によるアンテナ装置の処理内容(アンテナ励振方法)を示すフローチャートである。
この場合、上記実施の形態1と比べて、フェーズドアレーアンテナ1における高周波信号の入出力関係が逆になるが、基本的な動作は変わらない。
このとき、移相器制御装置6及び励振時間制御部13も、上記実施の形態1と同様の動作を行うが、時間平均処理部12が実装されていないため、励振時間制御部13が時間平均処理部12を制御する処理は行われない。
送信機21は、送信信号である高周波信号を生成し、その高周波信号をフェーズドアレーアンテナ1に出力する。
フェーズドアレーアンテナ1の分配器22は、送信機21から高周波信号を受けると、その高周波信号を移相器3−1〜3−Kに分配する。
即ち、移相器制御装置6の励振位相設定部7は、上記実施の形態1と同様に、所望の放射パターンの実現に必要な励振位相βk(k=1,2,・・・,K、Kは素子アンテナの本数)を設定する(図5のステップST11)。この励振位相βkは、素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値である。
位相オフセット量設定部8は、上記実施の形態1と同様に、励振位相設定部7により設定された励振位相βkに加える位相オフセット量φを設定する(ステップST12)。
また、位相オフセット回数設定部9は、上記実施の形態1と同様に、位相オフセット量設定部8により設定された位相オフセット量φを励振位相βkに加える回数である位相オフセット回数Mを設定する(ステップST12)。
なお、位相オフセット部10は、位相オフセット量φの加算処理の実施回数m(m=1,2,・・・,M)が、位相オフセット回数設定部9により設定された位相オフセット回数Mに至るまで、移相器3−kの更新タイミングを示す制御信号を受ける毎に、位相オフセット量φの加算処理を実施する。
これにより、移相器3−1〜3−Kが、移相器制御装置6から出力された移相器制御信号が示す励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって、素子アンテナ2−kから放射される高周波信号の位相を変化させるが、励振位相βkは、上述したように、素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値であり、また、位相オフセット量φも素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値である。このため、励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって高周波信号の位相を変化させても、素子アンテナ2−1〜2−Kの間(移相器3−1〜3−Kの間)の相対位相差は不変である。
したがって、移相器3−kの移相状態を変化させても、フェーズドアレーアンテナ1の放射パターンの振幅特性(包絡線)は不変であり、アンテナ利得は原理的に一定である。
これにより、フェーズドアレーアンテナ1の素子アンテナ2−1〜2−Kから位相変化後の高周波信号が放射される(ステップST15)。
受信機32は、受信アンテナ31から入射された高周波信号を検波し、その高周波信号を例えばベースバンドのディジタル信号であるディジタル受信データに変換する(ステップST16)。
即ち、時間平均処理部34は、ディジタル受信データの蓄積数が位相オフセット回数Mに至るまで、受信機32から出力されたディジタル受信データを蓄積する。
時間平均処理部34は、ディジタル受信データの蓄積数が位相オフセット回数Mに到達すると(ステップST18)、蓄積しているM個のディジタル受信データを位相オフセット回数Mで除算することで、そのディジタル受信データの時間平均(時間積分)を算出する(ステップST19)。
一般的に、移相器などのハードウェアにおける振幅位相誤差は、平均が0、標準偏差がσのいわゆる正規分布に従うことが知られており、通過移相誤差Δθk,mの影響はM回の平均化効果によって低減される。また、通過振幅誤差についても、同様の平均化効果が得られる。
この実施の形態2では、時間平均処理部34が、励振時間記憶部33に記憶されている移相器3−kの更新タイミング毎に、受信機32から出力されたディジタル受信データを蓄積しているが、送信側と受信側が完全に同期している訳ではない。ただし、予め決められた手順により送信側から放射された高周波信号を受信しているので、送信側と受信側が完全に同期している場合と同様の結果を得ることができる。
なお、M×Lが2のべき乗のサイズであれば、高速フーリエ変換(FFT)を適用することが可能である。
図6はこの発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図1及び図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
合成分配器40は送信機21から出力された高周波信号を移相器3−1〜3−Kに分配する一方、移相器3−1〜3−Kから出力された高周波信号を合成して、合成後の高周波信号を受信機5に出力する処理を実施する。
送信機21は、上記実施の形態2と同様に、送信信号である高周波信号を生成し、その高周波信号をフェーズドアレーアンテナ1に出力する。
フェーズドアレーアンテナ1の合成分配器40は、送信機21から高周波信号を受けると、その高周波信号を移相器3−1〜3−Kに分配する。
即ち、移相器制御装置6の励振位相設定部7は、上記実施の形態1,2と同様に、所望の放射パターンの実現に必要な励振位相βkを設定する(図7のステップST21)。この励振位相βkは、素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値である。また、高周波信号の送信時と受信時で同じ設定値である。
位相オフセット量設定部8は、上記実施の形態1,2と同様に、励振位相設定部7により設定された励振位相βkに加える位相オフセット量φを設定する(ステップST22)。
また、位相オフセット回数設定部9は、上記実施の形態1,2と同様に、位相オフセット量設定部8により設定された位相オフセット量φを励振位相βkに加える回数である位相オフセット回数Mを設定する(ステップST12)。
これにより、移相器3−1〜3−Kが、移相器制御装置6から出力された移相器制御信号が示す励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって、素子アンテナ2−kから放射される高周波信号の位相を変化させるが、励振位相βkは、上述したように、素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値であり、また、位相オフセット量φも素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値である。このため、励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって高周波信号の位相を変化させても、素子アンテナ2−1〜2−Kの間(移相器3−1〜3−Kの間)の相対位相差は不変である。
したがって、移相器3−kの移相状態を変化させても、フェーズドアレーアンテナ1の放射パターンの振幅特性(包絡線)は不変であり、アンテナ利得は原理的に一定である。
これにより、フェーズドアレーアンテナ1の素子アンテナ2−1〜2−Kから位相変化後の高周波信号が放射される(ステップST25)。
フェーズドアレーアンテナ1の素子アンテナ2−1〜2−Kから放射された高周波信号の一部は、観測対象である目標物により反射(あるいは散乱)されてフェーズドアレーアンテナ1に戻ってくる。
フェーズドアレーアンテナ1の素子アンテナ2−1〜2−Kは、目標物により反射されて戻ってきた高周波信号を入射する。
これにより、移相器3−1〜3−Kが、移相器制御装置6から出力された移相器制御信号が示す励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって、素子アンテナ2−kから入射された高周波信号の位相を変化させるが、励振位相βkは、上述したように、素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値であり、また、位相オフセット量φも素子アンテナ2−1〜2−Kで共通の設定値である。このため、励振位相θ1,m〜θK,mにしたがって高周波信号の位相を変化させても、素子アンテナ2−1〜2−Kの間(移相器3−1〜3−Kの間)の相対位相差は不変である。
したがって、移相器3−kの移相状態を変化させても、フェーズドアレーアンテナ1の放射パターンの振幅特性(包絡線)は不変であり、アンテナ利得は原理的に一定である。
合成分配器40は、移相器3−1〜3−Kから位相変化後の高周波信号を受けると、それらの高周波信号を合成し、合成後の高周波信号を受信機5に出力する。
受信機5は、合成分配器40から合成後の高周波信号を受けると、その高周波信号を検波し、その高周波信号を例えばベースバンドのディジタル信号であるディジタル受信データに変換する(ステップST28)。
即ち、時間平均処理部12は、ディジタル受信データの蓄積数が位相オフセット回数M/2に至るまで、受信機5から出力されたディジタル受信データを蓄積する。
時間平均処理部12は、ディジタル受信データの蓄積数が位相オフセット回数M/2に到達して、励振時間制御部13から時間平均の算出指令を受けると(ステップST30)、蓄積しているM/2個のディジタル受信データを位相オフセット回数M/2で除算することで、そのディジタル受信データの時間平均(時間積分)を算出する(ステップST31)。
図8はこの発明の実施の形態4によるアンテナ装置の移相器制御装置6を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
量子化移相状態記憶部51は例えばRAMやハードディスクなどの記憶装置から構成されており、移相器3−kにおける複数の量子化移相状態での通過移相量を記憶している。なお、量子化移相状態記憶部51はオフセット設定手段を構成している。
量子化励振位相設定部52は量子化移相状態記憶部51により記憶されている複数の量子化移相状態での通過移相量の中から、励振位相設定部7により設定された励振位相βkと最も近い移相候補点(以下、「第一通過移相量」と称する)を選択し、励振時間制御部13から移相器3−kの更新タイミングを示す制御信号を受ける毎に、第一通過移相量に隣接している移相候補点(以下、「第二通過移相量」と称する)を励振位相θk,mとして設定する処理を実施する。なお、量子化励振位相設定部52は位相オフセット手段を構成している。
図9は量子化励振位相設定部52の処理内容を示す説明図である。
図9の横軸は、移相器3−k(k=1,2・・・,,K)を示す番号であり、縦軸は、移相器3−kの通過移相量(量子化された通過移相量)である。
図9において、点線の○(符号60が付されている○)は、取りうる移相状態(以下、「移相候補点」と称する)を示しており、移相器毎に最大I点の状態がある。量子化移相状態記憶部51には、この複数の量子化移相状態での通過移相量が記憶されている。
ここでは説明の便宜上、励振位相設定部7により設定された励振位相βkは、図9において、符号61が付されている×印で表されているものとする。
量子化励振位相設定部52は、量子化移相状態記憶部51により記憶されている複数の量子化移相状態での通過移相量の中から、励振位相設定部7により設定された励振位相βk(×印の励振位相)と最も近い移相候補点である第一通過移相量を選択する。
図9の例では、実線の○(符号62が付されている○)を移相器3−kの第一通過移相量として選択している。
移相器制御信号出力部11は、位相オフセット部10が最初の励振位相θk,mを設定すると、上記実施の形態1〜3と同様に、その励振位相θk,mを示す移相器制御信号を移相器3−kに出力する。
図9の例では、第一通過移相量に対して、プラス側で隣接している移相候補点(符号63が付されている○)を新たな励振位相θk,mに設定している。
ここでは、プラス側で隣接している移相候補点を新たな励振位相θk,mに設定しているが、すべての移相器3の通過移相量を同一の値だけオフセットすればよく、マイナス側で隣接している移相候補点を新たな励振位相θk,mに設定するようにしてもよい。
移相器制御信号出力部11は、位相オフセット部10が新たな励振位相θk,mを設定すると、上記実施の形態1〜3と同様に、その励振位相θk,mを示す移相器制御信号を移相器3−kに出力する。
この手順をM回繰り返すことで、第M通過移相量(符号64が付されている○)まで選定する。
なお、M=Iとすると、全移相状態を使った時間平均化となり、最も励振誤差の低減効果が大きくなる。
以上のように、量子化移相状態を候補点として、ディジタル移相器の移相状態を決定することで、位相オフセット処理の簡易化を図ることができ、より高速な移相器制御が可能になる。
Claims (5)
- フェーズドアレーアンテナを構成する素子アンテナと接続されている複数の移相器と、
送信信号を出力する送信機と、
前記複数の移相器の出力信号を合成する一方、前記送信機から出力された送信信号を前記複数の移相器に分配する合成器と、
前記合成器により合成された信号を受信する受信機と、
前記素子アンテナの励振位相を設定する励振位相設定手段と、
前記励振位相設定手段により設定された励振位相に加える位相オフセット量を設定するとともに、前記位相オフセット量を加える回数を設定するオフセット設定手段と、
前記励振位相設定手段により設定された励振位相に対して、前記オフセット設定手段により設定された回数に至るまで、前記位相オフセット量を繰り返し加える位相オフセット手段と、
前記位相オフセット手段により位相オフセット量が励振位相に加えられる毎に、前記励振位相にしたがって前記複数の移相器の移相状態を制御する移相状態制御手段と、
前記移相状態制御手段により移相状態が制御される毎に、前記受信機により受信された信号を蓄積して、前記信号の時間平均を算出する時間平均手段と、
を備え、
前記励振位相設定手段は、前記フェーズドアレーアンテナにより信号が送信される際の励振位相と、前記フェーズドアレーアンテナにより信号が受信される際の励振位相とを異なる値に設定することを特徴とするアンテナ装置。 - 前記時間平均手段は、受信された信号をフーリエ変換し、その変換結果から前記信号の時間平均を求めることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
- 前記移相器はディジタル移相器であり、
前記オフセット設定手段により設定される位相オフセット量は、前記移相器で位相を変えることが可能な最小の位相変位量であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアンテナ装置。 - 前記オフセット設定手段により設定される位相オフセット量を加える回数は、前記移相器で位相を変えることが可能な位相範囲を前記位相オフセット量で除算した値であることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 送信機が、送信信号を出力する信号送信処理ステップと、
合成器が、前記送信機から出力された送信信号を、フェーズドアレーアンテナを構成する素子アンテナと接続されている複数の移相器に分配する信号分配処理ステップと、
前記合成器が、前記複数の移相器の出力信号を合成する信号合成処理ステップと、
受信機が、前記信号合成処理ステップで合成された信号を受信する信号受信処理ステップと、
励振位相設定手段が、前記素子アンテナの励振位相を設定する励振位相設定処理ステップと、
オフセット設定手段が、前記励振位相設定処理ステップで設定された励振位相に加える位相オフセット量を設定するとともに、前記位相オフセット量を加える回数を設定するオフセット設定処理ステップと、
位相オフセット手段が、前記励振位相設定処理ステップで設定された励振位相に対して、前記オフセット設定処理ステップで設定された回数に至るまで、前記位相オフセット量を繰り返し加える位相オフセット処理ステップと、
移相状態制御手段が、前記位相オフセット処理ステップで位相オフセット量が励振位相に加えられる毎に、前記励振位相にしたがって前記複数の移相器の移相状態を制御する移相状態制御処理ステップと、
時間平均手段が、前記移相状態制御処理ステップで移相状態が制御される毎に、前記信号受信処理ステップで受信された信号を蓄積して、前記信号の時間平均を算出する時間平均処理ステップと
を備え、
前記励振位相設定手段が、前記フェーズドアレーアンテナにより信号が送信される際の励振位相と、前記フェーズドアレーアンテナにより信号が受信される際の励振位相とを異なる値に設定することを特徴とするアンテナ励振方法。
Priority Applications (1)
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