JP6218119B2 - 焼却灰無害化処理装置、廃棄物焼却装置、焼却灰無害化処理方法及び廃棄物焼却方法 - Google Patents
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Description
<焼却灰無害化処理装置>
廃棄物焼却炉から排出される焼却灰を受け貯留する貯留槽を備え、
貯留槽が二酸化炭素含有ガスを受け該貯留槽内で該二酸化炭素含有ガスが水分を介して焼却灰と接触することにより焼却灰を無害化する焼却灰無害化処理装置において、
貯留槽は、焼却炉からの焼却灰と水とを貯留し、水が自由表面をもって貯留される貯留水槽として形成され、該貯留水槽が焼却灰を受ける焼却灰受口と、貯留水内へ槽外から二酸化炭素含有ガスが注入される二酸化炭素含有ガス注入口と、無害化処理後の焼却灰を槽外へ排出する焼却灰排出口とを有し、
上記貯留水槽は、水の自由表面より下方の前段貯留部と、該前段貯留部に連通して貯留水の自由表面よりも上方に二酸化炭素含有ガスが滞留する反応空間を形成する後段貯留部とに区分形成され、
上記前段貯留部には、貯留水中の焼却灰を後段貯留部の反応空間へ上昇移動させる移動手段が設けられ、
二酸化炭素含有ガス受口から受けた二酸化炭素含有ガスが、前段貯留部における貯留水、前段貯留部における貯留水中の焼却灰及び後段貯留部の反応空間における焼却灰に接触するようになっていることを特徴とする焼却灰無害化処理装置。
本発明によると、廃棄物焼却装置は、既述した焼却灰無害化処理装置と、廃棄物焼却炉と熱回収系統と排ガス処理系統と飛灰処理系統とを有するように構成される。ここで、熱回収系統は廃棄物焼却炉から排出される排ガスから廃熱回収するボイラ等の熱回収装置であり、排ガス処理系統は排ガス中の有害物を除去する装置であり、飛灰処理系統は排ガス中の飛灰を除塵する集塵装置である。
<焼却灰無害化処理方法>
廃棄物焼却炉から排出される焼却灰を貯留槽に受け、
貯留槽として形成された貯留水槽内で焼却炉からの焼却灰と水とを水が自由表面をもつように貯留し、貯留水内へ槽外から二酸化炭素含有ガスを注入し、無害化処理後の焼却灰を槽外へ焼却灰排出口から排出し、
上記貯留水槽内を、水の自由表面より下方の前段貯留部と、該前段貯留部に連通して貯留水の自由表面よりも上方に二酸化炭素含有ガスが滞留する反応空間を形成する後段貯留部とに区分形成し、
上記前段貯留部から貯留水中の焼却灰を後段貯留部の反応空間へ上昇移動させ、
二酸化炭素含有ガスを、前段貯留部における貯留水、前段貯留部における貯留水中の焼却灰及び後段貯留部の反応空間における焼却灰に接触させることを特徴とする焼却灰無害化処理方法。
本発明によると、廃棄物焼却方法は、廃棄物を焼却炉で焼却後、その焼却灰を既述した焼却灰無害化処理方法で処理するように構成される。
図1に示される第一実施形態装置において、廃棄物を焼却するための焼却炉1は排ガス流路(煙道)5でボイラ2、バグフィルタ3を経て煙突4に接続されている。
図1に示された第一実施形態では、バグフィルタ3の後流位置で排ガス流路5から引き出された排ガスの一部が貯留水槽6中の貯留水へ吹き込まれていたが、図2に示す第二実施形態では、この排ガスが貯留水槽6中の貯留水へ吹き込まれると共に、反応空間10へも導入されている点に特徴がある。図2において、図1との共通部位には同一符号を付することで、その説明を省略する。
図3に示される本実施形態は、図1の第一実施形態に比し、分岐管5Aに排ガス冷却槽11を設けている点で特徴があり、排ガスを貯留水槽6へ吹き込む前に、排ガス冷却槽11を通すことで冷却することとしている。かかる点を除いては、図3に示される本実施形態は第一実施形態と同じなので、図3では図1との共通部位には同一符号を付すことでその説明を省略する。
図4に示す第四実施形態は、図1の第一実施形態に比し、図2に示した第二実施形態の特徴である、排ガスを貯留水槽内の貯留水へ吹き込むとともに反応空間へも吹き込むこととした点と、図3に示した第三実施形態の特徴である、排ガス冷却槽を備えることとした点との両方の点を有していることを特徴としている。図4の第四実施形態では、図1との共通部位には同一符号を付すことで、その説明を省略する。
図1に示す焼却灰無害化装置を用いて、貯留水槽中への焼却炉排ガスの吹込みの有無、反応空間の雰囲気ガスの種類など条件を変えて、焼却灰を処理する実験を行った。焼却灰を貯留する貯留水槽中に二酸化炭素を含む焼却炉排ガスの吹込みを行う場合と行わない場合、貯留水槽上部に押し上げられた焼却灰を2時間養生する際の雰囲気ガスを焼却炉排ガス又は空気とする場合などの条件で焼却灰を処理した。処理後の焼却灰に対して環境省告示46号に基づき溶出試験を行ない、得られた溶出液pHおよび溶出鉛濃度を測定し評価した。処理条件と測定結果を表1に示す。
貯留水槽に焼却炉排ガスを吹き込まず、空気雰囲気下にて養生した。表1に示すように溶出液pHは12.7、溶出鉛濃度は1.70mg/lであり、焼却灰の有効利用に関する鉛の溶出基準0.01mg/lを超過した。
貯留水槽に二酸化炭素を約10体積%含む焼却炉排ガスを吹き込み、空気雰囲気下にて養生した。表1に示すように溶出液pHは12.3、溶出鉛濃度は0.40mg/lであり、焼却灰の有効利用に関する鉛の溶出基準0.01mg/lを超過した。
貯留水槽に焼却炉排ガスを吹き込まず、二酸化炭素を約10体積%含む焼却炉排ガス雰囲気下にて養生した。表1に示すように溶出液pHは12.5、溶出鉛濃度は0.81mg/lであり、焼却灰の有効利用に関する鉛の溶出基準0.01mg/lを超過した。
貯留水槽に二酸化炭素を約10体積%含む焼却炉排ガスを吹き込み、同排ガス雰囲気下にて養生した。表1に示すように溶出液pHは11.2、溶出鉛濃度は0.01mg/l未満であり、焼却灰の有効利用に関する鉛の溶出基準0.01mg/lを下回り、無害化処理を確実に行うことができた。
6 貯留水槽
7 焼却灰受口
8 焼却灰排出口
10 反応空間
11 排ガス冷却槽
P 前段貯留部
Q 後段貯留部
Claims (10)
- 廃棄物焼却炉から排出される焼却灰を受け貯留する貯留槽を備え、貯留槽が二酸化炭素含有ガスを受け該貯留槽内で該二酸化炭素含有ガスが焼却灰と接触することにより焼却灰を無害化する焼却灰無害化処理装置において、
貯留槽は、焼却炉からの焼却灰と水とを貯留し、水が自由表面をもって貯留される貯留水槽として形成され、該貯留水槽が焼却灰を受ける焼却灰受口と、貯留水内へ槽外から二酸化炭素含有ガスが注入される二酸化炭素含有ガス注入口と、無害化処理後の焼却灰を槽外へ排出する焼却灰排出口と、二酸化炭素含有ガスを槽上部から槽外へ抜き出す二酸化炭素含有ガス抜き出し手段とを有し、
上記貯留水槽は、水の自由表面より下方の前段貯留部と、該前段貯留部に連通して貯留水の自由表面よりも上方に、貯留水に溶解せず通過して貯留水から放出された二酸化炭素含有ガスが滞留する反応空間を形成する後段貯留部とに区分形成され、
上記前段貯留部には、貯留水中の焼却灰を後段貯留部の反応空間へ上昇移動させる移動手段が設けられ、
上記二酸化炭素含有ガス抜き手段は、後段貯留部の上壁に設けられており、
上記前段貯留部で貯留水槽中に浸漬されている焼却灰が、貯留水中の気泡状の二酸化炭素そして二酸化炭素が溶解した貯留水と反応し、焼却灰中の鉛の炭酸化反応と、焼却灰中の酸化カルシウムの炭酸化反応により焼却灰のpHを低下させる反応とが行われ、
上記後段貯留部の反応空間で貯留水中から上昇移動された焼却灰が、滞留する二酸化炭素含有ガスと接触し、焼却灰中の鉛の炭酸化反応と、焼却灰中の酸化カルシウムの炭酸化反応により焼却灰のpHを低下させる反応とが行われることを特徴とする焼却灰無害化処理装置。 - 貯留水槽は、廃棄物焼却炉から排出された排ガスが、二酸化炭素含有ガスとして二酸化炭素含有ガス注入口から注入され、無害化処理に供された排ガスが二酸化炭素含有ガス抜き出し手段から廃棄物焼却炉へ返送されるように構成されていることとする請求項1に記載の焼却灰無害化処理装置。
- 貯留水槽は、廃棄物焼却炉から排出された排ガスが、二酸化炭素含有ガスとして前段貯留部へ注入されるとともに後段貯留部の反応空間へも注入されることとする請求項2に記載の焼却灰無害化処理装置。
- 排ガスを冷却するための排ガス冷却槽を備え、焼却炉からの排ガスを排ガス冷却槽内の水層に通気させることにより該排ガスを冷却し、冷却後の排ガスを二酸化炭素含有ガスとして貯留水槽へ供給するようになっていることとする請求項2又は3に記載の焼却灰無害化処理装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の焼却灰無害化処理装置と、廃棄物焼却炉と熱回収系統と排ガス処理系統と飛灰処理系統とを備える廃棄物焼却装置。
- 廃棄物焼却炉から排出される焼却灰を貯留槽に受け、
貯留槽へ二酸化炭素含有ガスを供給して該貯留槽内で該二酸化炭素含有ガスを焼却灰と接触させることにより焼却灰を無害化する焼却灰無害化処理方法において、
貯留槽として形成された貯留水槽内で焼却炉からの焼却灰と水とを水が自由表面をもつように貯留し、貯留水内へ槽外から二酸化炭素含有ガスを注入するとともに槽内の二酸化炭素含有ガスを槽上部から槽外へ抜き出し、無害化処理後の焼却灰を槽外へ焼却灰排出口から排出し、
上記貯留水槽内を、水の自由表面より下方で槽下部に形成される前段貯留部と、該前段貯留部に連通して貯留水の自由表面よりも上方に貯留水に溶解せず通過して貯留水から放出された二酸化炭素含有ガスが滞留する反応空間を槽上部に形成する後段貯留部とに区分形成し、
上記前段貯留部から貯留水中の焼却灰を後段貯留部の反応空間へ上昇移動させ、
上記後段貯留部の上壁の位置から二酸化炭素含有ガスを槽外へ抜き出し、
上記前段貯留部で貯留水槽中に浸漬されている焼却灰を、貯留水中の気泡状の二酸化炭素そして二酸化炭素が溶解した貯留水と反応させ、焼却灰中の鉛の炭酸化反応と、焼却灰中の酸化カルシウムの炭酸化反応により焼却灰のpHを低下させる反応とを行い、
上記後段貯留部の反応空間で貯留水中から上昇移動された焼却灰を、滞留する二酸化炭素含有ガスと接触させ、焼却灰中の鉛の炭酸化反応と、焼却灰中の酸化カルシウムの炭酸化反応により焼却灰のpHを低下させる反応とを行うことを特徴とする焼却灰無害化処理方法。 - 廃棄物焼却炉から排出された排ガスが、二酸化炭素含有ガスとして二酸化炭素含有ガス注入口から貯留水内へ注入され、無害化処理に供された排ガスが二酸化炭素含有ガスを後段貯留部から抜き出す手段により廃棄物焼却炉へ返送されることとする請求項6に記載の焼却灰無害化処理方法。
- 廃棄物焼却炉から排出された排ガスを二酸化炭素含有ガスとして前段貯留部へ注入するとともに、後段貯留部の反応空間に注入することとする請求項7に記載の焼却灰無害化処理方法。
- 焼却炉からの排ガスを冷却水に通気させることにより該排ガスを冷却し、冷却後の排ガスを二酸化炭素含有ガスとして貯留水槽へ供給することとする請求項7又は8に記載の焼却灰無害化処理方法。
- 廃棄物焼却炉で廃棄物を焼却し、請求項6ないし請求項9のいずれか一つに記載の焼却灰無害化処理方法により、廃棄物焼却炉からの焼却灰を処理する廃棄物焼却方法。
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