以下に、本発明に係るアルカリ性固体反応物処理システムの実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能且つ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、以下に記載した構成要素は発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変を行ってもよい。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、以下の実施形態の説明において、同一構成には同一符号を付し、異なる構成には異なる符号を付すものとする。
アルカリ性固体反応物は、セメント固化物、焼却残渣等を含む。焼却残渣は、廃棄物の焼却過程で発生する残渣である。焼却残渣は、焼却炉の底等から回収される焼却灰及び燃え殻等の焼却主灰と、焼却廃ガス中に浮遊する集塵灰及びばいじん等の飛灰と、を含む。焼却残渣は、カルシウム(Ca)及び鉛(Pb)等の重金属を含む。焼却残渣は、塩素(Cl)等の塩類及び有機物を含む。焼却残渣は、重金属等の有害物質が含まれるため、再利用又は最終処分する前に安定化を行う必要がある。本発明のアルカリ性固体反応物処理システムは、炭酸化反応によって、アルカリ性固体反応物を安定化処理する。以下に示す各実施形態において、アルカリ性固体反応物処理システム1、2、2A、3、3A、4は、焼却主灰Aを、炭酸化反応によって安定化処理する。アルカリ性固体反応物処理システム1、2、2A、3、3A、4は、焼却炉から排出された高温の排ガスG1を循環させるシステムである。アルカリ性固体反応物処理システム1、2、2A、3、3A、4は、循環させる過程において、高温の排ガスG1の温度を低下させアルカリ性固体反応物の炭酸化処理に用いることによって、排ガスG1の有効利用を図るものである。
(第1実施形態)
[システムの構成]
まず、第1実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム1について説明する。図1は、第1実施形態に係るアルカリ性固体反応物処理システムを示す模式図である。図2は、第1実施形態に係る処理装置を示す模式平面図である。アルカリ性固体反応物処理システム1は、煙突10と、処理装置20と、貯水槽T1と、熱交換器30と、貯水槽T2と、を備える。
煙突10と処理装置20とは、排ガス供給ラインLg1及び戻りガス送給ラインLg2を介して連結される。排ガス供給ラインLg1は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を処理装置20に供給する。排ガス供給ラインLg1は、熱交換器30を通過する。排ガス供給ラインLg1は、第1排ガス供給ラインLg11と、第2排ガス供給ラインLg12と、を含む。第1排ガス供給ラインLg11は、煙突10と熱交換器30とを連結する。第2排ガス供給ラインLg12は、熱交換器30と処理装置20とを連結する。排ガス供給ラインLg1には、排ガスG1の酸性成分を除去する洗浄集塵装置S(アルカリスクラバー)と、負圧の煙突10内から排ガスG1を引き込むための送風機B(ブロア)とが設けられる。洗浄集塵装置S及び送風機Bは、第1実施形態において、第2排ガス供給ラインLg12に設けられる。
戻りガス送給ラインLg2は、処理装置20から引き込んだ戻りガスG2を煙突10に送給する。戻りガス送給ラインLg2は、第1実施形態において、熱交換器30を通過する。戻りガス送給ラインLg2は、第1実施形態において、第1戻りガス送給ラインLg21と、第2戻りガス送給ラインLg22と、を含む。第1戻りガス送給ラインLg21は、処理装置20と熱交換器30とを連結する。第1実施形態において、第1戻りガス送給ラインLg21には、外気G0を取り込むための吸気ポート16と、処理装置20から戻りガスG2を引き込むための送風機B(ブロア)とが設けられる。第2戻りガス送給ラインLg22は、熱交換器30と煙突10とを連結する。送風機Bは、第2戻りガス送給ラインLg22に設けられてもよいし、戻りガス送給ラインLg2に設けられなくてもよい。
処理装置20は、洗浄水供給ラインLwrを介して洗浄水Wrを引き込む。洗浄水供給ラインLwrは、清水供給ラインLw0に接続する。洗浄水供給ラインLwrは、清水供給ラインLw0から清水W0を引き込む。清水W0は、例えば、地下水又は水道水等である。洗浄水供給ラインLwrは、例えば、水道水の蛇口から清水W0を引き込んでもよいし、貯水槽に清水W0を貯留して送水装置で引き込んでもよい。洗浄水供給ラインLwrは、第1実施形態において、後述の第1凝縮水供給ラインLw221に接続する。洗浄水供給ラインLwrは、第1凝縮水供給ラインLw221から後述の凝縮水W2を引き込む。洗浄水供給ラインLwrは、第1実施形態において、清水供給ラインLw0と、第1凝縮水供給ラインLw221とに対して、切り替え可能に接続する。清水供給ラインLw0と、第1凝縮水供給ラインLw221との切り替えは、例えば、ポンプ又は電磁弁等によって行われる。洗浄水供給ラインLwrが清水供給ラインLw0に接続する状態においては、洗浄水供給ラインLwrは、清水W0を洗浄水Wrとして引き込む。洗浄水供給ラインLwrが第1凝縮水供給ラインLw221に接続する状態においては、洗浄水供給ラインLwrは、凝縮水W2を洗浄水Wrとして引き込む。
処理装置20と貯水槽T1とは、浸出水排出ラインLw10を介して連結される。浸出水排出ラインLw10は、処理装置20から排出された浸出水W1を貯水槽T1に送給する。浸出水排出ラインLw10には、バルブVと、処理装置20から浸出水W1を引き込むための送水装置Pとが設けられる。バルブVが閉じている状態、もしくは浸出水排出ラインLw10が浸出水W1内に水封されている状態においては、処理装置20の気密性が向上する。
熱交換器30と貯水槽T2とは、凝縮水排出ラインLw20を介して連結される。凝縮水排出ラインLw20は、熱交換器30から排出された凝縮水W2を貯水槽T2に送給する。貯水槽T2は、凝縮水供給ラインLw22に連通する。凝縮水供給ラインLw22には、貯水槽T2から凝縮水W2を引き込むための送水装置Pが設けられる。凝縮水供給ラインLw22は、第1凝縮水供給ラインLw221と、第2凝縮水供給ラインLw222とを含む。凝縮水供給ラインLw22は、下流において、第1凝縮水供給ラインLw221と、第2凝縮水供給ラインLw222とに分岐する。第1凝縮水供給ラインLw221は、洗浄水供給ラインLwrに接続する。第2凝縮水供給ラインLw222は、噴霧装置18を介して第2戻りガス送給ラインLg22に接続する。噴霧装置18は、第2凝縮水供給ラインLw222に連通する。噴霧装置18は、第2凝縮水供給ラインLw222から凝縮水W2を受け取る。噴霧装置18は、凝縮水W2を霧状化する。噴霧装置18は、第2戻りガス送給ラインLg22に連通する。噴霧装置18は、霧状化した凝縮水W2を第2戻りガス送給ラインLg22に噴霧する。第2戻りガス送給ラインLg22に噴霧された凝縮水W2は、戻りガスG2に混合される。
煙突10は、筒状の構造物である。煙突10は、燃焼の過程で排出される排ガスG1を大気中に放出する。煙突10は、例えば、工場又は発電所等の燃焼施設に設けられる。排ガスG1は、二酸化炭素(CO2)を含む。煙突10から放出される排ガスG1は、窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)及び塩化水素(HCl)等の酸性成分が大気汚染防止法の基準値以下となるように、無害化処理されている。煙突10から放出される排ガスG1は、100~200℃の高温である。煙突10から放出される排ガスG1は、水分を含む。
煙突10は、側部に開口12i及び開口12oを含む。開口12iには接続ダクト14iが接続される。接続ダクト14iは、第1排ガス供給ラインLg11に連通する。排ガスG1は、接続ダクト14iを介して第1排ガス供給ラインLg11に送られる。開口12oには接続ダクト14oが接続される。接続ダクト14oは、第2戻りガス送給ラインLg22に連通する。煙突10は、接続ダクト14oを介して第2戻りガス送給ラインLg22から戻りガスG2を受け取る。戻りガスG2は、処理装置20において焼却主灰Aと反応した後の排ガスG1である。なお、接続ダクト14iは、二重管構造であってもよい。この場合、排ガスG1は、接続ダクト14iを介して煙突10から第1排ガス供給ラインLg11に送られ、戻りガスG2は、接続ダクト14iを介して第2戻りガス送給ラインLg22から煙突10に送られる。
処理装置20は、第1実施形態において、気固反応装置である。処理装置20の容器本体21は、側壁部、蓋部及び底部によって密封された密閉構造である。容器本体21の壁部は、例えば、鉄板、鋼鉄又はステンレス等の金属製である。処理装置20は、第1室22と、第2室24と、隔壁26と、洗浄装置28と、を含む。第1室22は、入口ポート22iを介して、第2排ガス供給ラインLg12から排ガスG1を受け取る。第1室22は、排ガスG1を貯留する。第1室22は、隔壁26を隔てて第2室24の下方に設けられる。第2室24は、焼却主灰Aを貯留する。第2室24は、隔壁26を隔てて第1室22の上方に設けられる。第2室24は、第1室22から通気可能である。第2室24は、下部において隔壁26を介して第1室22から排ガスG1を受け取る。
処理装置20は、第2室24において、焼却主灰Aと排ガスG1とを炭酸化反応させる。焼却主灰Aは、炭酸化することによって、焼却主灰Aに含まれるカルシウム及び鉛等の重金属が難溶化する。焼却主灰Aと反応した排ガスG1は、戻りガスG2として、第2室24の上部の気相部に貯留される。戻りガスG2は、出口ポート24oを介して、第1戻りガス送給ラインLg21に送られる。
隔壁26は、第1室22と第2室24とを隔てる板材である。隔壁26は、容器本体21の底部から間隔を隔てて設けられる。焼却主灰Aは、隔壁26の上に載せられる。隔壁26は、通気性及び通水性を有する。図2に示すように、隔壁26は、複数の孔26hを含む。排ガスG1は、孔26hを通って第1室22と第2室24とを通気可能である。複数の孔26hは、容器本体21の側壁部に沿って所定の間隔で配置される。隔壁26は、例えば、金属板に複数の孔26hを抜き打ち加工することによって形成される。孔26hの数及び位置は、隔壁26が通気性及び通水性を有していれば、特に限定されない。隔壁26は、例えば、メッシュ構造であってもよい。隔壁26は、1枚の板材であってもよいし、複数積層される板材であってもよい。
洗浄装置28は、第2室24内の焼却主灰Aを洗浄する。洗浄装置28は、処理装置20の上部に設けられる。洗浄装置28は、洗浄水Wrを第2室24内の焼却主灰Aに散布するノズルを含む。洗浄水Wrは、焼却主灰Aを洗浄する。洗浄装置28は、洗浄水Wrに焼却主灰Aに散布することによって、焼却主灰Aに含まれる塩類及び有機物を洗い出す。上述のように、洗浄水Wrは、清水W0又は凝縮水W2である。洗浄装置28は、例えば、まず、凝縮水W2によって焼却主灰Aを洗浄し、次に、清水W0によって焼却主灰Aを洗浄する。
隔壁26が通水性を有しているため、焼却主灰Aを洗浄した洗浄水Wrは、浸出水W1として、処理装置20の第1室22の下部に貯留される。浸出水W1は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム、塩素等の塩類及び重金属を含むアルカリ性である。第1室22は、さらに、排出ポート22eを介して、浸出水排出ラインLw10に連通する。第1室22の下部に貯留される浸出水W1は、浸出水排出ラインLw10に排出される。
貯水槽T1は、浸出水排出ラインLw10に連通する。貯水槽T1は、浸出水排出ラインLw10から浸出水W1を受け取る。貯水槽T1は、浸出水W1を貯留する。貯水槽T1に貯留された浸出水W1は、排水処理される。貯水槽T1は、例えば、送水装置を介して、浸出水W1を排水処理する排水処理施設に接続される。浸出水W1は、例えば、送水装置によって排水処理施設の処理槽に送られる。
熱交換器30は、煙突10と処理装置20との間に設けられる。熱交換器30は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却する。熱交換器30は、処理装置20において炭酸化反応した排ガスG1を、戻りガスG2として受け取る。熱交換器30は、排ガスG1の保有する顕熱及び潜熱の熱量と、戻りガスG2の保有する顕熱及び潜熱の熱量と、を熱交換させる。排ガスG1は、熱交換器30において、戻りガスG2に冷却される。戻りガスG2は、熱交換器30において、排ガスG1に加熱される。熱交換器30は、戻りガスG2の風量が不足する場合、吸気ポート16及び第1戻りガス送給ラインLg21を介して外気G0を取り込んでもよい。熱交換器30は、第1実施形態において、冷却室32と、加熱通路34と、を含む。
冷却室32は、入口ポート32iを介して、第1排ガス供給ラインLg11に連通する。冷却室32は、第1排ガス供給ラインLg11から排ガスG1を受け取る。排ガスG1は、入口ポート32iから出口ポート32oに向かって冷却室32を通過する。排ガスG1は、冷却室32において冷却される。冷却室32は、出口ポート32oを介して、第2排ガス供給ラインLg12に連通する。冷却室32は、冷却した排ガスG1を、第2排ガス供給ラインLg12に送り出す。
加熱通路34は、冷却室32の内部を通過するように設けられる。加熱通路34は、入口ポート34iを介して、第1戻りガス送給ラインLg21に連通する。加熱通路34は、第1戻りガス送給ラインLg21から戻りガスG2を受け取る。戻りガスG2は、入口ポート34iから出口ポート34oに向かって加熱通路34を通過する。加熱通路34を通過する戻りガスG2は、冷却室32の排ガスG1を冷却する。これにより、戻りガスG2は、加熱される。加熱通路34は、出口ポート34oを介して、第2戻りガス送給ラインLg22に連通する。加熱通路34は、加熱された戻りガスG2を、第2戻りガス送給ラインLg22に送り出す。
熱交換器30は、高温の排ガスG1と低温の戻りガスG2との顕熱を交換させる。これにより、排ガスG1は、温度及び圧力が低下する。煙突10から引き込んだ排ガスG1は、高温かつ水分を含むので、温度が低下し、飽和水蒸気圧が減少することによって、40℃以上かつpH5以下である酸性の凝縮水W2が発生する。熱交換器30によって冷却された排ガスG1は、凝縮水W2を発生させる。排ガスG1から凝縮水W2が発生する際に潜熱が生じることによって、熱交換器30は、排ガスG1と戻りガスG2との潜熱を交換させる。凝縮水W2は、冷却室32の下部に貯留される。冷却室32は、さらに、排出ポート32eを介して、凝縮水排出ラインLw20に連通する。冷却室32の下部に貯留される凝縮水W2は、凝縮水排出ラインLw20に排出される。
貯水槽T2は、凝縮水排出ラインLw20に連通する。貯水槽T2は、凝縮水排出ラインLw20から凝縮水W2を受け取る。貯水槽T2は、凝縮水W2を貯留する。貯水槽T2は、凝縮水供給ラインLw22に連通する。貯水槽T2に貯留される凝縮水W2は、凝縮水供給ラインLw22に設けられる送水装置Pによって、凝縮水供給ラインLw22に引き込まれる。
上述したように、凝縮水供給ラインLw22は、下流において、第1凝縮水供給ラインLw221と、第2凝縮水供給ラインLw222とに分岐する。凝縮水W2の一部は、第1凝縮水供給ラインLw221を介して洗浄水供給ラインLwrに送られる。凝縮水W2の一部は、第2凝縮水供給ラインLw222を介して噴霧装置18に送られる。
[ガスの流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム1における、排ガスG1及び戻りガスG2の流通について説明する。煙突10内の排ガスG1の一部は、開口12i及び接続ダクト14iを介して、第1排ガス供給ラインLg11に送られる。第1排ガス供給ラインLg11を通過する排ガスG1は、100℃以上の高温である。
高温の排ガスG1は、第1排ガス供給ラインLg11から入口ポート32iを介して、熱交換器30の冷却室32に送られる。排ガスG1は、冷却室32において、加熱通路34を通過する戻りガスG2と熱交換することによって、冷却される。冷却された排ガスG1は、出口ポート32oを介して、第2排ガス供給ラインLg12に送られる。第2排ガス供給ラインLg12を通過する排ガスG1は、60℃以下の低温である。
低温の排ガスG1は、第2排ガス供給ラインLg12から入口ポート22iを介して、処理装置20の第1室22に送られる。排ガスG1は、隔壁26を通気して第2室24に送られ、第2室24の焼却主灰Aと炭酸化反応する。焼却主灰Aと反応した排ガスG1は、戻りガスG2として、第2室24の上部の気相部に貯留される。戻りガスG2は、出口ポート24oを介して、第1戻りガス送給ラインLg21に送られる。戻りガスG2は、第1戻りガス送給ラインLg21において、吸気ポート16を介して取り込まれる外気G0と混合する。第1戻りガス送給ラインLg21を通過する戻りガスG2は、低温である。
低温の戻りガスG2は、第1戻りガス送給ラインLg21から入口ポート34iを介して、熱交換器30の加熱通路34に送られる。戻りガスG2は、加熱通路34において、冷却室32を通過する排ガスG1と熱交換することによって、加熱される。加熱された戻りガスG2は、出口ポート34oを介して、第2戻りガス送給ラインLg22に送られる。第2戻りガス送給ラインLg22を通過する戻りガスG2は、第1戻りガス送給ラインLg21を通過する戻りガスG2よりも高温である。
戻りガスG2は、第2戻りガス送給ラインLg22において、噴霧装置18によって凝縮水W2を噴霧される。凝縮水W2が噴霧されることによって、戻りガスG2に含まれる水分が増加する。高温かつ水分を含む戻りガスG2は、接続ダクト14o及び開口12oを介して、煙突10に戻される。煙突10に戻された戻りガスG2は、排ガスG1及び水蒸気として大気中に放出される。
煙突10、処理装置20及び熱交換器30の構成は、第1実施形態に限定されない。例えば、煙突10は、第1実施形態において、排ガスG1を送る開口12i及び接続ダクト14iと、戻りガスG2を受け取る開口12o及び接続ダクト14oとが別個に設けられるが、共通の開口及び接続ダクトとして設けられてもよい。排ガスG1は、煙突10から引き込まなくてもよい。排ガスG1の供給源は、排ガスG1が通過する導管であればよく、ダクトなどでもよい。
処理装置20は、焼却主灰Aと排ガスG1とを炭酸化反応させるものであれば、どのようなものでもよい。処理装置20は、入口ポート22iが第2室24に設けられ、かつ、出口ポート24oが第1室22に設けられてもよい。この場合、第1室22は、隔壁26を介して第2室24から排ガスG1を受け取る。
熱交換器30は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却して処理装置20に送り込むものであれば、どのようなものでもよい。処理装置20は、例えば、洗浄装置28を備えなくてもよい。
貯水槽T2から洗浄装置28又は噴霧装置18に供給される凝縮水W2は、懸濁物質を含む可能性がある。したがって、アルカリ性固体反応物処理システム1は、凝縮水排出ラインLw20又は凝縮水供給ラインLw22に、ストレーナ等のフィルタを含む懸濁物質処理装置を備えてもよい。これにより、凝縮水W2を洗浄装置28に散布するためのノズル、及び凝縮水W2を第2戻りガス送給ラインLg22に噴霧するための噴霧装置18の懸濁物質によるつまり等を抑制することができる。
噴霧装置18は、第1戻りガス送給ラインLg21に連通してもよい。噴霧装置18は、霧状化した凝縮水W2を第1戻りガス送給ラインLg21に噴霧してもよい。この場合、第2凝縮水供給ラインLw222は、第1戻りガス送給ラインLg21に接続する。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、第1実施形態において、凝縮水W2を戻りガスG2に混合させて煙突10に戻すが、凝縮水W2を煙突10に戻さなくてもよい。また、アルカリ性固体反応物処理システム1は、第1実施形態において、凝縮水W2を洗浄水Wrとして使用するが、凝縮水W2を洗浄水Wrとして使用しなくてもよい。これらの場合、凝縮水W2は、例えば、排水処理設備等によって浄化処理される。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、第1実施形態において、戻りガスG2及び外気G0を熱交換器30の加熱通路34に送るが、外気G0のみを熱交換器30の加熱通路34に送ってもよい。この場合、加熱通路34を通過する外気G0によって、冷却室32を通過する排ガスG1を冷却する。戻りガスG2は、熱交換器30を介さずに煙突10に戻されてもよい。
以上説明したように、第1実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム1は、煙突10(導管)と、処理装置20と、熱交換器30と、を備える。煙突10は、排ガスG1を放出する。処理装置20は、アルカリ性固体反応物(焼却主灰A)と排ガスG1とを炭酸化反応させる。熱交換器30は、煙突10と処理装置20との間に設けられ、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却して処理装置20に送り込む。
これにより、焼却施設等から発生する高温の排ガスG1の温度を熱交換により低下させることができる。熱量の高い排ガスG1を直接アルカリ性固体反応物と反応させると、燃焼反応である炭酸化反応が阻害される。排ガスG1の温度を低下させることによって、炭酸化反応の効率が向上し、効率よくアルカリ性固体反応物を処理することができる。また、排ガスG1を有効的に使用することができる。排ガスG1を炭酸化反応に使用することにより、排ガスG1に含まれる二酸化炭素の排出量を低減することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、熱交換器30が、処理装置20において炭酸化反応した排ガスG1を、戻りガスG2として受け取り、戻りガスG2によって排ガスG1を冷却する。このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、排ガスG1の冷却と戻りガスG2の加熱とを同時に行うので、戻りガスG2を有効的に使用できる。また、戻りガスG2を加熱することによって、戻りガスG2を煙突10に戻す場合、煙突10への影響を低減できる。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、煙突10(導管)が、熱交換器30において排ガスG1を冷却した戻りガスG2を受け取る。このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、戻りガスG2を排ガスG1として煙突10から大気中に放出できる。このため、大気汚染防止法に規定される排出口の高さ及び硫黄酸化物(SOx)の許容排出量に基づいて、戻りガスG2を地上部に近い位置で放出する場合に必要となる可能性のある洗浄塔等を用いた洗浄工程を削減することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、熱交換器30において排ガスG1の冷却によって発生する凝縮水W2を、戻りガスG2の流路(第2戻りガス送給ラインLg22)に送る送水装置Pを備える。このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、凝縮水W2を削減できる。このため、凝縮水W2を浄化処理するために必要な排水処理設備等を用いた洗浄工程を削減することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、熱交換器30において排ガスG1の冷却によって発生する凝縮水W2を、処理装置20に送る送水装置Pと、凝縮水W2を、アルカリ性固体反応物(焼却主灰A)を洗浄する洗浄水Wrとして散布する洗浄装置28と、を備える。このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、酸性である凝縮水W2によって、アルカリ性固体反応物に含まれる塩類及び重金属等の有機物を洗い出すので、洗浄を促進することができる。なお、アルカリ性固体反応物の洗浄において、凝縮水W2の酸性成分によって配管及び容器本体21等が腐食することを抑制するため、凝縮水W2による洗浄後に清水W0による洗浄を行うことが好ましい。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、煙突10(導管)が、処理装置20において炭酸化反応した排ガスG1を、戻りガスG2として受け取る。このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、戻りガスG2を排ガスG1として煙突10から大気中に放出できる。このため、大気汚染防止法に規定される排出口の高さ及び硫黄酸化物(SOx)の許容排出量に基づいて、戻りガスG2を地上部に近い位置で放出する場合に必要となる可能性のある洗浄塔等を用いた洗浄工程を削減することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、処理装置20が、容器本体21と、第1室22と、第2室24と、隔壁26と、を備える。容器本体21は、底部を有する。第1室22は、容器本体21の内部において底部の上に設けられる。第1室22は、排ガスG1を引き込む。第2室24は、容器本体21の内部において第1室22の上方に設けられる。第2室24は、収容したアルカリ性固体反応物(焼却主灰A)と排ガスG1とを炭酸化反応させる。隔壁26は、容器本体21の内部において底部に対して間隔を空けて設けられる。隔壁26は、通気性及び通水性を有する。隔壁26は、第1室22と第2室24とを隔てる。アルカリ性固体反応物と反応する前の二酸化炭素を含有する排ガスG1は、アルカリ性固体反応物と反応した後の戻りガスG2と比較して下方に滞留しやすい。したがって、このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、処理装置20の下部の第1室22から排ガスG1を引き込むことによって、反応前の排ガスG1が流出することを抑制できるので、排ガスG1をより好適に炭酸化反応に活用できる。反応後の戻りガスG2は、排ガスG1と比較して上方に滞留しやすいので、処理装置20の上部の気相部に貯留される。これにより、二酸化炭素濃度が低下した戻りガスG2によって、炭酸化反応の効率が低下することを抑制できる。
上述のとおり、処理装置20は、入口ポート22iが第2室24に設けられ、かつ、出口ポート24oが第1室22に設けられてもよい。すなわち、排ガスG1を第2室24から引き込み第1室22から排出する場合、排ガスG1は、隔壁26よりも先にアルカリ性固体反応物と接触する。このため、仮に排ガスG1中に酸性成分が残存していた場合であっても、排ガスG1を中和することができる。これにより、隔壁26の腐食を抑制することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム1は、隔壁26が、複数積層される板材を含む。このようなアルカリ性固体反応物処理システム1によれば、最下層の板材の孔26hの目詰まりを抑制することができるため、より好適に処理装置20のメンテナンスを行うことができる。
(第2実施形態)
[システムの構成]
次に、第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2について説明する。図3は、第2実施形態に係るアルカリ性固体反応物処理システムを示す模式図である。アルカリ性固体反応物処理システム2は、煙突10と、処理装置20と、貯水槽T1と、熱交換器40と、貯水槽T3と、貯水槽T4と、を備える。なお、第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2において、第1実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム1と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。
煙突10と処理装置20とは、排ガス供給ラインLg3及び戻りガス送給ラインLg4を介して連結される。排ガス供給ラインLg3は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を処理装置20に供給する。排ガス供給ラインLg3は、熱交換器40を通過する。排ガス供給ラインLg3は、第1排ガス供給ラインLg31と、第2排ガス供給ラインLg32と、第3排ガス供給ラインLg33と、を含む。第1排ガス供給ラインLg31は、煙突10と熱交換器40とを連結する。第2排ガス供給ラインLg32は、熱交換器40と貯水槽T3とを連結する。第3排ガス供給ラインLg33は、貯水槽T3と処理装置20とを連結する。排ガス供給ラインLg3には、排ガスG1の酸性成分を除去する洗浄集塵装置S(アルカリスクラバー)と、負圧の煙突10内から排ガスG1を引き込むための送風機B(ブロア)とが設けられる。洗浄集塵装置S及び送風機Bは、第2実施形態において、第3排ガス供給ラインLg33に設けられる。
戻りガス送給ラインLg4は、処理装置20から引き込んだ戻りガスG2を煙突10に送給する。戻りガス送給ラインLg4には、処理装置20から戻りガスG2を引き込むための送風機B(ブロア)が設けられてもよい。
貯水槽T3と処理装置20とは、凝縮水供給ラインLw22及び洗浄水供給ラインLwrを介して接続される。凝縮水供給ラインLw22は、貯水槽T3に貯留された凝縮水W2を洗浄水供給ラインLwrに供給する。凝縮水供給ラインLw22には、貯水槽T3から凝縮水W2を引き込むための送水装置Pが設けられる。凝縮水供給ラインLw22は、洗浄水供給ラインLwrに接続する。
清水供給ラインLw0、洗浄水供給ラインLwr及び浸出水排出ラインLw10は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
貯水槽T1と貯水槽T4とは、浸出水送給ラインLw11を介して連結される。浸出水送給ラインLw11は、貯水槽T1に貯留された浸出水W1を貯水槽T4に送給する。浸出水送給ラインLw11には、貯水槽T1から浸出水W1を引き込むための送水装置Pが設けられる。熱交換器40と貯水槽T4とは、浸出水排出ラインLw30を介して連結される。浸出水排出ラインLw30は、熱交換器40から排出された浸出水W3を貯水槽T4に送給する。貯水槽T4と熱交換器40とは、冷却水供給ラインLw42を介して連結される。冷却水供給ラインLw42は、貯水槽T4から冷却水W4として貯留された浸出水W1及び浸出水W3を熱交換器40に供給する。冷却水供給ラインLw42には、貯水槽T4から冷却水W4を引き込むための送水装置Pが設けられる。
煙突10及び処理装置20は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
貯水槽T1は、浸出水排出ラインLw10に連通する。貯水槽T1は、浸出水排出ラインLw10から浸出水W1を受け取る。貯水槽T1は、浸出水W1を貯留する。貯水槽T1は、浸出水送給ラインLw11に連通する。貯水槽T1に貯留された浸出水W1は、浸出水送給ラインLw11に設けられる送水装置Pによって、浸出水送給ラインLw11に引き込まれる。
熱交換器40は、煙突10と処理装置20との間に設けられる。熱交換器40は、第2実施形態において、ディスクドライヤー等の加熱排水濃縮装置である。熱交換器40は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却する。熱交換器40は、貯水槽T4に貯留された冷却水W4を受け取る。冷却水W4は、熱交換器40において、排ガスG1に加熱され、蒸発する。熱交換器40は、排ガスG1の保有する顕熱及び潜熱の熱量と、冷却水W4の保有する顕熱及び潜熱の熱量と、を熱交換させる。排ガスG1は、熱交換器40において、冷却水W4に冷却される。これにより、排ガスG1は、温度及び圧力が低下する。熱交換器40は、第2実施形態において、蒸発室42と、冷却通路44と、散水装置46と、を含む。
蒸発室42は、上部に設けられた散水装置46を介して冷却水供給ラインLw42に連通する。蒸発室42は、冷却水供給ラインLw42から冷却水W4を受け取る。冷却水W4は、蒸発室42内に散布される。散布された冷却水W4の一部は、排ガスG1によって加熱されて蒸発する。散布された冷却水W4の一部は、浸出水W3として、蒸発室42の下部に貯留される。浸出水W3は、冷却水W4を濃縮した濃縮水及び塩類を含む。蒸発室42は、さらに、排出ポート42eを介して、浸出水排出ラインLw30に連通する。蒸発室42の下部に貯留される浸出水W3は、浸出水排出ラインLw30に排出される。
冷却通路44は、蒸発室42の内部を通過するように設けられる。冷却通路44は、例えば、排ガスG1が通過する中空のシャフトと、シャフトの周面に設けられるディスクと、を含む。冷却通路44は、入口ポート44iを介して、第1排ガス供給ラインLg31に連通する。冷却通路44は、第1排ガス供給ラインLg31から排ガスG1を受け取る。排ガスG1は、入口ポート44iから出口ポート44oに向かって冷却通路44を通過する。冷却通路44を通過する排ガスG1は、蒸発室42の冷却水W4を加熱し、蒸発させる。これにより、排ガスG1は、冷却される。冷却通路44は、出口ポート44oを介して、第2排ガス供給ラインLg32に連通する。冷却通路44は、冷却された排ガスG1を、第2排ガス供給ラインLg32に送り出す。
散水装置46は、蒸発室42の上部に設けられる。散水装置46は、冷却水供給ラインLw42に連通する。散水装置46は、冷却水供給ラインLw42から受け取った冷却水W4を、蒸発室42内に散布する。散水装置46は、冷却通路44の外側に冷却水W4を散布する。散水装置46は、冷却水W4を冷却通路44に散布できるものであればどのような構成でもよく、噴霧してもよい。
貯水槽T3は、第2排ガス供給ラインLg32に連通する。煙突10から引き込んだ排ガスG1は、高温かつ水分を含むので、熱交換器40において温度が低下し、飽和水蒸気圧が減少することによって、40℃以上かつpH5以下である酸性の凝縮水W2が発生する。熱交換器40によって冷却された排ガスG1は、凝縮水W2を発生させる。貯水槽T3は、第2排ガス供給ラインLg32から凝縮水W2を受け取る。貯水槽T3は、第3排ガス供給ラインLg33に連通する。凝縮水W2を貯水槽T3に排出した排ガスG1は、第3排ガス供給ラインLg33に送られる。貯水槽T3は、さらに、凝縮水供給ラインLw22に連通する。貯水槽T3に貯留される凝縮水W2は、凝縮水供給ラインLw22に設けられる送水装置Pによって、凝縮水供給ラインLw22に引き込まれる。凝縮水供給ラインLw22に引き込まれた凝縮水W2は、洗浄水供給ラインLwrに送られる。貯水槽T3は、図1に示す第1実施形態の噴霧装置18を介して戻りガス送給ラインLg4に接続してもよい。この場合、排ガスG1から発生した凝縮水W2の一部は、噴霧装置18によって霧状化され、戻りガスG2に混合する。
貯水槽T4は、浸出水送給ラインLw11及び浸出水排出ラインLw30に連通する。貯水槽T4は、浸出水送給ラインLw11から浸出水W1を受け取る。貯水槽T4は、浸出水排出ラインLw30から浸出水W3を受け取る。貯水槽T4は、浸出水W1及び浸出水W3を、冷却水W4として貯留する。貯水槽T4は、さらに、冷却水供給ラインLw42に連通する。貯水槽T4に貯留される冷却水W4は、冷却水供給ラインLw42に設けられる送水装置Pによって、冷却水供給ラインLw42に引き込まれる。
[ガスの流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム2における、排ガスG1及び戻りガスG2の流通について説明する。煙突10内の排ガスG1の一部は、開口12i及び接続ダクト14iを介して、第1排ガス供給ラインLg31に送られる。第1排ガス供給ラインLg31を通過する排ガスG1は、100℃以上の高温である。
高温の排ガスG1は、第1排ガス供給ラインLg31から入口ポート44iを介して、熱交換器40の冷却通路44に送られる。排ガスG1は、冷却通路44において、蒸発室42内に散布される冷却水W4と熱交換することによって、冷却される。冷却された排ガスG1は、出口ポート44oを介して、第2排ガス供給ラインLg32に送られる。第2排ガス供給ラインLg32を通過する排ガスG1は、60℃以下の低温である。排ガスG1の温度が下がることにより、冷却通路44の下流及び第2排ガス供給ラインLg32には、凝縮水W2が発生する。凝縮水W2は、第2排ガス供給ラインLg32の下流に連通する貯水槽T3に排出される。
貯水槽T3に凝縮水W2を排出した低温の排ガスG1は、第3排ガス供給ラインLg33に送られる。排ガスG1は、第3排ガス供給ラインLg33から入口ポート22iを介して、処理装置20の第1室22に送られる。排ガスG1は、隔壁26を通気して第2室24に送られ、第2室24の焼却主灰Aと炭酸化反応する。焼却主灰Aと反応した排ガスG1は、戻りガスG2として、第2室24の上部の気相部に貯留される。戻りガスG2は、出口ポート24oを介して、戻りガス送給ラインLg4に送られる。戻りガス送給ラインLg4を通過する戻りガスG2は、低温である。
低温の戻りガスG2は、戻りガス送給ラインLg4から接続ダクト14o及び開口12oを介して、煙突10に戻される。煙突10に戻された戻りガスG2は、排ガスG1及び水蒸気として大気中に放出される。戻りガス送給ラインLg4には、送風機B(ブロア)が設けられてもよい。
[水の流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム2における、冷却水W4、浸出水W3、凝縮水W2、洗浄水Wr及び浸出水W1の流通について説明する。貯水槽T4に貯留される冷却水W4は、冷却水供給ラインLw42を介して熱交換器40の散水装置46に送られる。散水装置46は、冷却水W4を蒸発室42内に散布する。蒸発室42内の冷却通路44に散布される冷却水W4は、冷却通路44を通過する排ガスG1によって加熱され、蒸発する。冷却水W4は、加熱される際の顕熱と、蒸発する際の潜熱とによって、排ガスG1を冷却する。蒸発によって液量が減少した冷却水W4は、濃縮水及び塩類を含む浸出水W3として、蒸発室42の下部に貯留される。蒸発室42の下部に貯留される浸出水W3は、浸出水排出ラインLw30を介して貯水槽T4に戻される。貯水槽T4に戻された浸出水W3は、冷却水W4として貯水槽T4に貯留される。冷却水W4は、熱交換器40と貯水槽T4とを循環する。なお、冷却水W4の蒸発によって固化した蒸発固化物は、蒸発室42内に設けられたスクレイパー等によって、冷却通路44外部の伝熱部から自動的にかきとられ、蒸発室42から排出されることが好ましい。
熱交換器40の冷却通路44内において発生した凝縮水W2は、第2排ガス供給ラインLg32の下流端から貯水槽T3に排出される。貯水槽T3に貯留される凝縮水W2は、凝縮水供給ラインLw22及び洗浄水供給ラインLwrを介して処理装置20の洗浄装置28に送られる。洗浄装置28は、凝縮水W2を洗浄水Wrとして第2室24内の焼却主灰Aに散布する。洗浄装置28によって散布された洗浄水Wrは、第2室24において焼却主灰Aを洗浄する。焼却主灰Aを洗浄した洗浄水Wrは、浸出水W1として、隔壁26を通過して第1室22の下部に貯留する。第1室22の下部に貯留する浸出水W1は、浸出水排出ラインLw10を介して貯水槽T1に送られる。貯水槽T1に貯留される浸出水W1は、浸出水送給ラインLw11を介して貯水槽T4に送られる。貯水槽T4が受け取った浸出水W1は、冷却水W4として貯水槽T4に貯留される。冷却水W4は、熱交換器40と貯水槽T4とを循環する。
アルカリ性固体反応物処理システム2は、第2実施形態において、浸出水W1及び浸出水W3を冷却水W4として使用したが、浸出水W1及び浸出水W3のいずれか一方を冷却水W4として使用してもよい。アルカリ性固体反応物処理システム2は、地下水又は水道水等の清水を散水装置46に引き込んで冷却水W4として使用してもよい。冷却水W4として使用しない浸出水W1及び浸出水W3は、例えば、排水処理設備等によって浄化処理される。アルカリ性固体反応物処理システム2は、第2実施形態において、凝縮水W2を洗浄水Wrとして使用したが、凝縮水W2は、図1に示す第1実施形態の噴霧装置18を介して戻りガス送給ラインLg4に戻されてもよい。
以上説明したように、第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2は、冷却水W4を貯水する貯水槽T4と、冷却水W4を熱交換器40と貯水槽T4とに循環させる送水装置Pと、を備える。
これにより、焼却施設等から発生する高温の排ガスG1の温度を熱交換により低下させることができる。熱量の高い排ガスG1を直接アルカリ性固体反応物(焼却主灰A)と反応させると、燃焼反応である炭酸化反応が阻害される。排ガスG1の温度を低下させることによって、炭酸化反応の効率が向上し、効率よくアルカリ性固体反応物を処理することができる。また、排ガスG1を有効的に使用することができる。排ガスG1を炭酸化反応に使用することにより、排ガスG1に含まれる二酸化炭素の排出量を低減することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム2は、貯水槽T4が、熱交換器40において排ガスG1に加熱された冷却水W4である浸出水W3を、再び冷却水W4として受け取る。このようなアルカリ性固体反応物処理システム2によれば、高温の排ガスG1の熱量を用いて、冷却水W4として使用する浸出水W3を蒸発させることができる。これにより、浸出水W3を削減できる。このため、浸出水W3を浄化処理するために必要な排水処理設備等を用いた洗浄工程を削減することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム2は、処理装置20が、アルカリ性固体反応物(焼却主灰A)を洗浄する洗浄水Wrを散布する洗浄装置28を含む。このようなアルカリ性固体反応物処理システム2によれば、アルカリ性固体反応物に含まれる塩類及び有機物を洗い出すことができる。これにより、より好適にアルカリ性固体反応物を処理することができる。
アルカリ性固体反応物処理システム2は、貯水槽T4が、アルカリ性固体反応物(焼却主灰A)から浸出した浸出水W1を、冷却水W4として受け取る。第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2は、処理装置20において、アルカリ性固体反応物を洗浄水Wrによって洗浄する。アルカリ性固体反応物を洗浄した後の洗浄水Wrは、塩類及び重金属等を含むアルカリ性の浸出水W1である。このようなアルカリ性固体反応物処理システム2によれば、高温の排ガスG1の熱量を用いて、冷却水W4として使用する浸出水W1を蒸発させることができる。これにより、浸出水W1を削減できる。このため、浸出水W1を浄化処理するために必要な排水処理設備等を用いた洗浄工程を削減することができる。
(第2実施形態の変形例)
[システムの構成]
次に、第2実施形態の変形例のアルカリ性固体反応物処理システム2Aについて説明する。図4は、第2実施形態の変形例に係るアルカリ性固体反応物処理システムを示す模式図である。変形例のアルカリ性固体反応物処理システム2Aにおいて、第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。アルカリ性固体反応物処理システム2Aは、アルカリ性固体反応物処理システム2と比較して、凝縮水供給ラインLw22、冷却水供給ラインLw42及び貯水槽T4の代わりに、凝縮水排出ラインLw20、冷却水供給ラインLw52及び貯水槽T5を備える点で相違する。また、アルカリ性固体反応物処理システム2Aにおいて、排ガスG1及び戻りガスG2の流通は、アルカリ性固体反応物処理システム2と同様であるため説明を省略する。
貯水槽T1と貯水槽T5とは、浸出水送給ラインLw11を介して連結される。浸出水送給ラインLw11は、貯水槽T1に貯留された浸出水W1を貯水槽T5に送給する。浸出水送給ラインLw11には、貯水槽T1から浸出水W1を引き込むための送水装置Pが設けられる。貯水槽T3と貯水槽T5とは、凝縮水排出ラインLw20を介して連結される。凝縮水排出ラインLw20は、貯水槽T3に貯留された凝縮水W2を貯水槽T5に送給する。熱交換器40と貯水槽T5とは、浸出水排出ラインLw30を介して連結される。浸出水排出ラインLw30は、熱交換器40から排出された浸出水W3を貯水槽T5に送給する。貯水槽T5と熱交換器40とは、冷却水供給ラインLw52を介して連結される。冷却水供給ラインLw52は、貯水槽T5から冷却水W5として貯留された浸出水W1、凝縮水W2及び浸出水W3を熱交換器40に供給する。冷却水供給ラインLw52には、貯水槽T5から冷却水W5を引き込むための送水装置Pが設けられる。
貯水槽T3は、第2排ガス供給ラインLg32及び第3排ガス供給ラインLg33に連通する。貯水槽T3と、第2排ガス供給ラインLg32及び第3排ガス供給ラインLg33との関係については、第2実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。貯水槽T3は、さらに、凝縮水排出ラインLw20に連通する。貯水槽T3に貯留される凝縮水W2は、凝縮水排出ラインLw20を介して貯水槽T5に送られる。貯水槽T3は、図1に示す第1実施形態の噴霧装置18を介して戻りガス送給ラインLg4に接続してもよい。この場合、排ガスG1から発生した凝縮水W2の一部は、噴霧装置18によって霧状化され、戻りガスG2に混合する。
貯水槽T5は、浸出水送給ラインLw11、凝縮水排出ラインLw20及び浸出水排出ラインLw30に連通する。貯水槽T5は、浸出水送給ラインLw11から浸出水W1を受け取る。貯水槽T5は、凝縮水排出ラインLw20から凝縮水W2を受け取る。貯水槽T5は、浸出水排出ラインLw30から浸出水W3を受け取る。貯水槽T5は、浸出水W1、凝縮水W2及び浸出水W3を、冷却水W5として貯留する。貯水槽T5は、冷却水供給ラインLw52に連通する。貯水槽T5に貯留される冷却水W5は、冷却水供給ラインLw52に設けられる送水装置Pによって、冷却水供給ラインLw52に引き込まれる。冷却水W5は、アルカリ性の浸出水W1及び浸出水W3と、酸性の凝縮水W2との混合水である。混合水は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、硫酸塩(SO4)等の塩類及び重金属を含む。
[水の流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム2Aにおける、冷却水W5、浸出水W3、凝縮水W2、洗浄水Wr及び浸出水W1の流通について説明する。貯水槽T5に貯留される冷却水W5は、冷却水供給ラインLw52を介して熱交換器40の散水装置46に送られる。散水装置46は、冷却水W5を蒸発室42内に散布する。蒸発室42内の冷却通路44に散布される冷却水W5は、冷却通路44を通過する排ガスG1によって加熱され、蒸発する。冷却水W5は、加熱される際の顕熱と、蒸発する際の潜熱とによって、排ガスG1を冷却する。蒸発によって液量が減少した冷却水W5は、濃縮水及び塩類を含む浸出水W3として、蒸発室42の下部に貯留される。蒸発室42の下部に貯留される浸出水W3は、浸出水排出ラインLw30を介して貯水槽T5に戻される。貯水槽T5に戻された浸出水W3は、冷却水W5として貯水槽T4に貯留される。冷却水W5は、熱交換器40と貯水槽T5とを循環する。
熱交換器40の冷却通路44内において発生した凝縮水W2は、第2排ガス供給ラインLg32の下流端から貯水槽T3に排出される。貯水槽T3に貯留される凝縮水W2は、凝縮水排出ラインLw20を介して貯水槽T5に送られる。冷却水W5は、熱交換器40と貯水槽T5とを循環する。
処理装置20において、洗浄装置28によって洗浄水Wrとして散布される清水W0は、第2室24において焼却主灰Aを洗浄する。焼却主灰Aを洗浄した洗浄水Wrは、浸出水W1として、隔壁26を通過して第1室22の下部に貯留する。第1室22の下部に貯留する浸出水W1は、浸出水排出ラインLw10を介して貯水槽T1に送られる。貯水槽T1に貯留される浸出水W1は、浸出水送給ラインLw11を介して貯水槽T5に送られる。貯水槽T5が受け取った浸出水W1は、冷却水W5として貯水槽T5に貯留される。冷却水W5は、熱交換器40と貯水槽T5とを循環する。
以上説明したように、第2実施形態の変形例のアルカリ性固体反応物処理システム2Aは、貯水槽T5は、熱交換器40において排ガスG1の冷却によって発生する凝縮水W2を、冷却水W5として受け取る。
これにより、貯水槽T5において、アルカリ性の浸出水W1及び浸出水W3に対して、酸性の凝縮水W2が混合されることによって、冷却水W5を中性の方向に近付けることができる。冷却水W5は、アルカリ性固体反応物処理システム2の冷却水W4と比較して、塩分が少ないので、蒸発室42においてより蒸発しやすい。したがって、冷却水W5は、潜熱が大きくなるので、熱交換器40においてより好適に排ガスG1を冷却できる。
(第3実施形態)
[システムの構成]
次に、第3実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム3について説明する。図5は、第3実施形態に係るアルカリ性固体反応物処理システムを示す模式図である。第3実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム3において、第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。アルカリ性固体反応物処理システム3は、アルカリ性固体反応物処理システム2と比較して、排ガス供給ラインLg3及び熱交換器40の代わりに、排ガス供給ラインLg5、第1循環水送給ラインLw61、第2循環水送給ラインLw62、熱交換器50及び熱交換器60を備える点で相違する。
煙突10と処理装置20とは、排ガス供給ラインLg5及び戻りガス送給ラインLg4を介して連結される。排ガス供給ラインLg5は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を処理装置20に供給する。排ガス供給ラインLg5は、熱交換器50を通過する。排ガス供給ラインLg5は、第1排ガス供給ラインLg51と、第2排ガス供給ラインLg52と、第3排ガス供給ラインLg53と、を含む。第1排ガス供給ラインLg51は、煙突10と熱交換器50とを連結する。第2排ガス供給ラインLg52は、熱交換器50と貯水槽T3とを連結する。第3排ガス供給ラインLg53は、貯水槽T3と処理装置20とを連結する。排ガス供給ラインLg5には、排ガスG1の酸性成分を除去する洗浄集塵装置S(アルカリスクラバー)と、負圧の煙突10内から排ガスG1を引き込むための送風機B(ブロア)とが設けられる。洗浄集塵装置S及び送風機Bは、第3実施形態において、第3排ガス供給ラインLg53に設けられる。戻りガス送給ラインLg4は、第2実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
熱交換器50と熱交換器60とは、第1循環水送給ラインLw61及び第2循環水送給ラインLw62を介して連結される。第1循環水送給ラインLw61は、熱交換器50の下部に貯留された循環水W6を熱交換器60に送給する。循環水W6は、例えば、地下水又は水道水等の清水である。第1循環水送給ラインLw61には、循環水W6を熱交換器60に送給するための送水装置Pが設けられる。第2循環水送給ラインLw62は、熱交換器60を通過した循環水W6を熱交換器50に送給する。
熱交換器50は、煙突10と処理装置20との間に設けられる。熱交換器50は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却する。熱交換器50は、熱交換器60によって冷却された循環水W6を冷却水として受け取る。循環水W6は、熱交換器50において、排ガスG1に加熱される。熱交換器50は、排ガスG1の保有する顕熱の熱量と、循環水W6の保有する顕熱の熱量と、を熱交換させる。排ガスG1は、熱交換器50において、循環水W6に冷却される。これにより、排ガスG1は、温度及び圧力が低下する。熱交換器50は、第3実施形態において、浸水室52と、冷却通路54と、を含む。
浸水室52は、入口ポート52iを介して、第2循環水送給ラインLw62に連通する。浸水室52は、第2循環水送給ラインLw62から循環水W6を受け取る。循環水W6は、浸水室52の内部に貯留される。循環水W6は、浸水室52において加熱される。浸水室52は、出口ポート52oを介して、第1循環水送給ラインLw61に連通する。浸水室52は、加熱した循環水W6を、第1循環水送給ラインLw61に送り出す。
冷却通路54は、浸水室52の内部を通過するように設けられる。冷却通路54は、少なくとも一部が浸水室52内に貯留する循環水W6に浸水する。冷却通路54は、全てが循環水W6に浸水していてもよい。冷却通路54は、入口ポート54iを介して、第1排ガス供給ラインLg51に連通する。冷却通路54は、第1排ガス供給ラインLg51から排ガスG1を受け取る。排ガスG1は、入口ポート54iから出口ポート54oに向かって冷却通路54を通過する。浸水室52の循環水W6は、冷却通路54を通過する排ガスG1を冷却する。これにより、循環水W6は、加熱される。冷却通路54は、出口ポート54oを介して、第2排ガス供給ラインLg52に連通する。冷却通路54は、冷却された排ガスG1を、第2排ガス供給ラインLg52に送り出す。
熱交換器60は、熱交換器50との間で循環水W6が循環するように設けられる。熱交換器60は、第3実施形態において、ディスクドライヤー等の加熱排水濃縮装置である。熱交換器60は、熱交換器50から引き込んだ循環水W6を冷却する。熱交換器60は、貯水槽T4に貯留された冷却水W4を受け取る。冷却水W4は、熱交換器60において、循環水W6に加熱され、蒸発する。熱交換器60は、循環水W6の保有する顕熱の熱量と、冷却水W4の保有する顕熱及び潜熱の熱量と、を熱交換させる。循環水W6は、熱交換器60において、冷却水W4に冷却される。これにより、循環水W6は、温度及び圧力が低下する。熱交換器60は、第3実施形態において、蒸発室62と、冷却通路64と、散水装置66と、を含む。
蒸発室62及び排出ポート62eは、第2実施形態の蒸発室42及び排出ポート42eと同様の構成であるため説明を省略する。冷却通路64、入口ポート64i及び出口ポート64oは、第2実施形態の冷却通路44、入口ポート44i及び出口ポート44oと同様の構成であるため説明を省略する。散水装置66は、第2実施形態の散水装置46と同様の構成であるため説明を省略する。
[ガスの流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム3における、排ガスG1及び戻りガスG2の流通について説明する。煙突10内の排ガスG1の一部は、開口12i及び接続ダクト14iを介して、第1排ガス供給ラインLg51に送られる。第1排ガス供給ラインLg51を通過する排ガスG1は、100℃以上の高温である。
高温の排ガスG1は、第1排ガス供給ラインLg51から入口ポート54iを介して、熱交換器50の冷却通路54に送られる。排ガスG1は、冷却通路54において、浸水室52内に貯留される循環水W6と熱交換することによって、冷却される。冷却された排ガスG1は、出口ポート54oを介して、第2排ガス供給ラインLg52に送られる。第2排ガス供給ラインLg52を通過する排ガスG1は、60℃以下の低温である。排ガスG1の温度が下がることにより、冷却通路54の下流及び第2排ガス供給ラインLg52には、凝縮水W2が発生する。凝縮水W2は、第2排ガス供給ラインLg32の下流に連通する貯水槽T3に排出される。
貯水槽T3に凝縮水W2を排出した低温の排ガスG1は、第3排ガス供給ラインLg53に送られる。排ガスG1は、第3排ガス供給ラインLg33から入口ポート22iを介して、処理装置20の第1室22に送られる。排ガスG1は、隔壁26を通気して第2室24に送られ、第2室24の焼却主灰Aと炭酸化反応する。焼却主灰Aと反応した排ガスG1は、戻りガスG2として、第2室24の上部の気相部に貯留される。戻りガスG2は、出口ポート24oを介して、戻りガス送給ラインLg4に送られる。戻りガス送給ラインLg4を通過する戻りガスG2は、低温である。
低温の戻りガスG2は、戻りガス送給ラインLg4から接続ダクト14o及び開口12oを介して、煙突10に戻される。煙突10に戻された戻りガスG2は、排ガスG1及び水蒸気として大気中に放出される。戻りガス送給ラインLg4には、送風機B(ブロア)が設けられてもよい。
[水の流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム3における、循環水W6、冷却水W4、浸出水W3、凝縮水W2、洗浄水Wr及び浸出水W1の流通について説明する。熱交換器50に貯留される循環水W6は、冷却通路54を通過する排ガスG1によって加熱される。循環水W6は、加熱される際の顕熱によって、排ガスG1を冷却する。加熱された循環水W6は、出口ポート52oを介して、第1循環水送給ラインLw61に送られる。循環水W6は、入口ポート64iを介して、熱交換器60の冷却通路64に送られる。循環水W6は、冷却通路64において、蒸発室62内に散布される冷却水W4と熱交換することによって、冷却される。冷却された循環水W6は、出口ポート64oを介して、第2循環水送給ラインLw62に送られる。循環水W6は、入口ポート52iを介して、熱交換器50に戻される。循環水W6は、熱交換器50と熱交換器60とを循環する。第1循環水送給ラインLw61を通過する循環水W6は、第2循環水送給ラインLw62を通過する循環水W6より高温である。
貯水槽T4に貯留される冷却水W4は、冷却水供給ラインLw42を介して熱交換器60の散水装置66に送られる。散水装置66は、冷却水W4を蒸発室62内に散布する。蒸発室62内の冷却通路64に散布される冷却水W4は、冷却通路64を通過する循環水W6によって加熱され、蒸発する。冷却水W4は、加熱される際の顕熱と、蒸発する際の潜熱とによって、循環水W6を冷却する。蒸発によって液量が減少した冷却水W4は、濃縮水及び塩類を含む浸出水W3として、蒸発室62の下部に貯留される。蒸発室62の下部に貯留される浸出水W3は、浸出水排出ラインLw30を介して貯水槽T4に戻される。貯水槽T4に戻された浸出水W3は、冷却水W4として貯水槽T4に貯留される。冷却水W4は、熱交換器60と貯水槽T4とを循環する。
熱交換器50の冷却通路54内において発生した凝縮水W2は、第2排ガス供給ラインLg52の下流端から貯水槽T3に排出される。貯水槽T3に貯留される凝縮水W2は、凝縮水供給ラインLw22及び洗浄水供給ラインLwrを介して処理装置20の洗浄装置28に送られる。洗浄装置28は、凝縮水W2を洗浄水Wrとして第2室24内の焼却主灰Aに散布する。洗浄装置28によって散布された洗浄水Wrは、第2室24において焼却主灰Aを洗浄する。焼却主灰Aを洗浄した洗浄水Wrは、浸出水W1として、隔壁26を通過して第1室22の下部に貯留する。第1室22の下部に貯留する浸出水W1は、浸出水排出ラインLw10を介して貯水槽T1に送られる。貯水槽T1に貯留される浸出水W1は、浸出水送給ラインLw11を介して貯水槽T4に送られる。貯水槽T4が受け取った浸出水W1は、冷却水W4として貯水槽T4に貯留される。冷却水W4は、熱交換器50と貯水槽T4とを循環する。
以上説明したように、第3実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム3は、熱交換器が、第1熱交換器(熱交換器50)と、第2熱交換器(熱交換器60)と、を含む。第1熱交換器は、煙突10(導管)から引き込んだ排ガスG1が通過する冷却通路54と、冷却通路54を冷却する循環水W6が浸水する浸水室52と、を備える。第2熱交換器は、循環水W6を冷却水W4によって冷却する。
これにより、排ガスG1が通過する冷却通路54を清水等の循環水W6が冷却し、冷却水W4によって冷却される冷却通路64を清水等の循環水W6が通過する。第2実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム2のように、排ガスG1が通過する冷却通路44を冷却水W4によって直接冷却する場合と比較して、熱交換器50及び熱交換器60の腐食等の発生リスクを抑制することができる。
熱交換器60の構成は、第3実施形態に限定されない。例えば、熱交換器60は、減圧濃縮装置であってもよい。熱交換器60が減圧濃縮装置である場合、冷却通路64の温度が約80℃以上になると冷却水W4が蒸発するので、熱交換器60は、冷却水W4を蒸発させることができる。アルカリ性固体反応物処理システムは、熱交換器50のみを備え、熱交換器60を備えなくてもよい。熱交換器50の浸水室52において発生する熱を、温水、装置加温等の一般的な廃熱利用方法によって処理してもよい。
(第3実施形態の変形例)
[システムの構成]
次に、第3実施形態の変形例のアルカリ性固体反応物処理システム3Aについて説明する。図6は、第3実施形態の変形例に係るアルカリ性固体反応物処理システムを示す模式図である。変形例のアルカリ性固体反応物処理システム3Aにおいて、第3実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム3と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。アルカリ性固体反応物処理システム3Aは、アルカリ性固体反応物処理システム3と比較して、排ガス供給ラインLg5、浸出水送給ラインLw11、凝縮水供給ラインLw22、浸出水排出ラインLw30、第1循環水送給ラインLw61、第2循環水送給ラインLw62、熱交換器50、熱交換器60、貯水槽T3及び貯水槽T4の代わりに、排ガス供給ラインLg7、第1凝縮水送給ラインLw101、第2凝縮水送給ラインLw102、外気供給ラインLg0、熱交換器100及び熱交換器110を備える点で相違する。
煙突10と処理装置20とは、排ガス供給ラインLg7及び戻りガス送給ラインLg4を介して連結される。排ガス供給ラインLg7は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を処理装置20に供給する。排ガス供給ラインLg7は、熱交換器100を通過する。排ガス供給ラインLg7は、第1排ガス供給ラインLg71と、第2排ガス供給ラインLg72と、を含む。第1排ガス供給ラインLg71は、煙突10と熱交換器100とを連結する。第2排ガス供給ラインLg72は、熱交換器100と処理装置20とを連結する。排ガス供給ラインLg7には、排ガスG1の酸性成分を除去する洗浄集塵装置S(アルカリスクラバー)と、負圧の煙突10内から排ガスG1を引き込むための送風機B(ブロア)とが設けられる。洗浄集塵装置S及び送風機Bは、第3実施形態の変形例において、第2排ガス供給ラインLg72に設けられる。戻りガス送給ラインLg4は、第2実施形態及び第3実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
熱交換器100と、熱交換器110とは、第1凝縮水送給ラインLw101及び第2凝縮水送給ラインLw102を介して連結される。第1凝縮水送給ラインLw101は、熱交換器100の下部に貯留された凝縮水W10を熱交換器110に送給する。第1凝縮水送給ラインLw101には、凝縮水W10を熱交換器110に送給するための送水装置Pが設けられる。第2凝縮水送給ラインLw102は、熱交換器110の下部に貯留された凝縮水W11を冷却水として熱交換器100に送給する。第2凝縮水送給ラインLw102には、冷却水を熱交換器100に供給するための送水装置Pが設けられる。熱交換器110は、外気供給ラインLg0に連通する。外気供給ラインLg0には、外気G0を熱交換器110に引き込むための送風機B(ブロア)が設けられている。
熱交換器100は、煙突10と処理装置20との間に設けられる。熱交換器100は、第1排ガス供給ラインLg71に連通する。熱交換器100は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却する。熱交換器100は、第2排ガス供給ラインLg72に連通する。熱交換器100は、冷却した排ガスG1を、第2排ガス供給ラインLg72に送り出す。熱交換器100は、熱交換器110において冷却された凝縮水W11を冷却水として受け取る。凝縮水W11は、熱交換器100において、排ガスG1に加熱される。熱交換器100は、排ガスG1の保有する熱量と、凝縮水W11の保有する熱量と、を熱交換させる。排ガスG1は、熱交換器100において、凝縮水W11に冷却される。これにより、排ガスG1は、温度及び圧力が低下する。熱交換器100は、第3実施形態の変形例において、冷却室102と、散水装置106と、を含む。
冷却室102は、第1排ガス供給ラインLg71から排ガスG1を受け取る。煙突10から引き込んだ排ガスG1は、高温かつ水分を含むので、熱交換器100において温度が低下し、飽和水蒸気圧が減少することによって、40℃以上かつpH5以下である酸性の凝縮水W10が発生する。熱交換器100によって冷却された排ガスG1は、凝縮水W10を発生させる。発生した凝縮水W10は、冷却室102の下部に貯留される。冷却室102は、第2排ガス供給ラインLg72に、冷却した排ガスG1を送り出す。冷却室102は、上部に設けられた散水装置106を介して第2凝縮水送給ラインLw102に連通する。冷却室102は、第2凝縮水送給ラインLw102から冷却された凝縮水W11を冷却水として受け取る。凝縮水W11は、冷却室102内に散布される。散布された凝縮水W11の一部は、排ガスG1によって加熱される。散布された凝縮水W11は、凝縮水W10として、冷却室102の下部に貯留される。冷却室102は、さらに、第1凝縮水送給ラインLw101に連通する。冷却室102の下部に貯留される凝縮水W10は、第1凝縮水送給ラインLw101に排出される。
熱交換器110は、熱交換器100との間で、凝縮水W10、W11が、循環水として循環するように設けられる。熱交換器110は、第3実施形態の変形例において、冷却塔である。熱交換器110は、第1凝縮水送給ラインLw101に連通する。熱交換器110は、第1凝縮水送給ラインLw101を介して熱交換器100から引き込んだ循環水としての凝縮水W10を冷却する。熱交換器110は、第2凝縮水送給ラインLw102に連通する。熱交換器110は、冷却した凝縮水W11を冷却水として第2凝縮水送給ラインLw102に送り出す。熱交換器110は、外気供給ラインLg0に連通する。熱交換器110は、外気供給ラインLg0を介して外気G0を取り入れる。外気G0は、熱交換器110において、凝縮水W10に加熱される。熱交換器110は、凝縮水W10の蒸発潜熱及び外気G0との顕熱交換によって、凝縮水W10自身を冷却させる。これにより、凝縮水W10は、温度が低下する。熱交換器60は、第3実施形態において、冷却室112と、散水装置116と、担体118と、を含む。
なお、熱交換器110には、アルカリ材を入れてもよい。凝縮水W10が酸性成分を含むので、アルカリ性固体反応物処理システム3Aは、凝縮水W10、W11を、熱交換器110のアルカリ材によって中和させながら、熱交換器100と熱交換器110とに循環させることができる。これにより、配管内の腐食等を抑制することができる。
冷却室112は、入口ポート112iを介して、外気供給ラインLg0から外気を受け取る。冷却室112は、上部に設けられた散水装置106を介して第1凝縮水送給ラインLw101に連通する。冷却室112は、第1凝縮水送給ラインLw101から加熱された凝縮水W10を受け取る。凝縮水W10は、冷却室112内に散布される。散布された凝縮水W10は、外気G0によって冷却される。冷却された凝縮水W10は、凝縮水W11として、冷却室112の下部に貯留される。冷却室112は、さらに、第2凝縮水送給ラインLw102に連通する。冷却室112の下部に貯留される凝縮水W11は、第2凝縮水送給ラインLw102に排出される。冷却室112には、さらに、接触材としての担体118が設けられる。
なお、アルカリ性固体反応物処理システム3Aは、第1凝縮水送給ラインLw101又は第2凝縮水送給ラインLw102に接続する清水供給ラインをさらに備えてもよい。清水供給ラインは、第1凝縮水送給ラインLw101又は第2凝縮水送給ラインLw102に清水W0を供給する。清水W0を混合もしくは置換することによって、凝縮水W9の水量を調節することができる。また、凝縮水W10、W11の温度を低下させることができるだけでなく、塩濃度を低減することもできる。清水供給ラインをさらに備えることにより凝縮水W10、W11が増加する場合には、焼却主灰Aを洗浄するための洗浄水Wrとして凝縮水W10、W11を使用してもよい。
[ガスの流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム3Aにおける、排ガスG1及び戻りガスG2の流通について説明する。煙突10内の排ガスG1の一部は、開口12i及び接続ダクト14iを介して、第1排ガス供給ラインLg71に送られる。第1排ガス供給ラインLg71を通過する排ガスG1は、100℃以上の高温である。
高温の排ガスG1は、第1排ガス供給ラインLg71から、熱交換器100の冷却室102に送られる。排ガスG1は、冷却室102において、冷却室102内に散布される凝縮水W11と熱交換することによって、冷却される。冷却された排ガスG1は、第2排ガス供給ラインLg72に送られる。第2排ガス供給ラインLg72を通過する排ガスG1は、60℃以下の低温である。排ガスG1の温度が下がることにより、冷却室102において、凝縮水W10が発生する。凝縮水W10は、冷却室102の下部に貯留される。
冷却室102に凝縮水W10を排出した低温の排ガスG1は、第2排ガス供給ラインLg72及び入口ポート22iを介して、処理装置20の第1室22に送られる。排ガスG1は、隔壁26を通気して第2室24に送られ、第2室24の焼却主灰Aと炭酸化反応する。焼却主灰Aと反応した排ガスG1は、戻りガスG2として、第2室24の上部の気相部に貯留される。戻りガスG2は、出口ポート24oを介して、戻りガス送給ラインLg4に送られる。戻りガス送給ラインLg4を通過する戻りガスG2は、低温である。
低温の戻りガスG2は、戻りガス送給ラインLg4から接続ダクト14o及び開口12oを介して、煙突10に戻される。煙突10に戻された戻りガスG2は、排ガスG1及び水蒸気として大気中に放出される。戻りガス送給ラインLg4には、送風機B(ブロア)が設けられてもよい。
[水の流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム3Aにおける、凝縮水W10、W11、洗浄水Wr及び浸出水W1の流通について説明する。熱交換器100において、排ガスG1から発生した凝縮水W10は、冷却室102の下部に貯留される。熱交換器110において冷却された凝縮水W11は、第2凝縮水送給ラインLw102を介して熱交換器100の散水装置106に送られる。散水装置106は、凝縮水W11を冷却水として冷却室102内に散布する。冷却室102に散布される凝縮水W11は、冷却室102を通過する排ガスG1によって加熱される。凝縮水W11は、加熱される際の顕熱によって、排ガスG1を冷却する。蒸発によって液量が減少した凝縮水W11は、凝縮水W10として、冷却室102の下部に貯留される。冷却室102の下部に貯留される凝縮水W10は、第1凝縮水送給ラインLw101を介して、熱交換器110の散水装置116に送られる。散水装置116は、凝縮水W10を冷却室112内に散布する。冷却室112に散布される凝縮水W10は、冷却室112に取り入れられた外気G0と熱交換することによって、冷却される。冷却された凝縮水W10は、凝縮水W11として、第2凝縮水送給ラインLw102に送られる。凝縮水W10、W11は、熱交換器100と熱交換器110とを循環する。第2凝縮水送給ラインLw102を通過する凝縮水W11は、第1凝縮水送給ラインLw101を通過する凝縮水W10より低温である。
処理装置20において、洗浄装置28によって洗浄水Wrとして散布される清水W0は、第2室24において焼却主灰Aを洗浄する。焼却主灰Aを洗浄した洗浄水Wrは、浸出水W1として、隔壁26を通過して第1室22の下部に貯留する。第1室22の下部に貯留する浸出水W1は、浸出水排出ラインLw10を介して貯水槽T1に送られる。貯水槽T1に貯留される浸出水W1は、排水処理される。貯水槽T1は、例えば、送水装置を介して、浸出水W1を排水処理する排水処理施設に接続される。浸出水W1は、例えば、送水装置によって排水処理施設の処理槽に送られる。
以上説明したように、第3実施形態の変形例のアルカリ性固体反応物処理システム3Aにおいて、熱交換器は、第1熱交換器(熱交換器100)と、第2熱交換器(熱交換器110)と、送水装置Pと、を含む。送水装置Pは、第1熱交換器と第2熱交換器とに循環水(凝縮水W10、W11)を循環させる。第1熱交換器は、導管(煙突10)から引き込んだ排ガスG1を循環水によって冷却する冷却室102と、循環水を冷却室102に散布する散水装置106と、を備える。第2熱交換器は、循環水を冷却媒体(外気G0)によって冷却する。
これにより、排ガスG1が通過する冷却室102を循環水である凝縮水W11が冷却し、外気G0によって冷却される冷却室112を循環水である凝縮水W10が通過する。排ガスG1を熱交換器100において水に接触させることができる。排ガスG1を水に接触させることによって、排ガスG1の温度が下がることにより発生する凝縮水W10が、第2排ガス供給ラインLg72の配管内で発生して結露状態となることを抑制することができる。配管内における凝縮水W10の発生を抑制することにより、凝縮水W10の酸性成分による腐食等を抑制することができる。循環する凝縮水W10、W11は、蒸発して水量が減少するが、冷却室102において冷却される排ガスG1から凝縮水W10が生じる為、新たな水を供給する必要がない。水を供給するための装置を設ける必要がないので、設備コストを抑制することができる。また、設備全体をコンパクトにすることができる。
アルカリ性固体反応物処理システム3Aにおいて、冷却媒体は、ガス(外気G0)である。これにより、冷却水を貯留及び供給するための装置を設ける必要がないので、設備コストを抑制することができる。また、設備全体をコンパクトにすることができる。
第2熱交換器(熱交換器110)の構成は、第3実施形態の変形例に限定されない。第2熱交換器は、例えば、液体の冷却媒体によって循環水(凝縮水W10、W11)を冷却してもよい。すなわち、冷却媒体は、液体であってもよい。
(第4実施形態)
[システムの構成]
次に、第4実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム4について説明する。図7は、第4実施形態に係るアルカリ性固体反応物処理システムを示す模式図である。第4実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム4において、第3実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム3と同一の構成については同一の参照符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成について説明する。アルカリ性固体反応物処理システム4は、アルカリ性固体反応物処理システム3と比較して、排ガス供給ラインLg5、凝縮水供給ラインLw22及び熱交換器50の代わりに、排ガス供給ラインLg6、凝縮水送給ラインLw71、凝縮水排出ラインLw80、凝縮水供給ラインLw82、凝縮水送給ラインLw91、凝縮水供給ラインLw92、熱交換器70、除去装置80、貯水槽T6及び熱交換器90を備える点で相違する。
煙突10と処理装置20とは、排ガス供給ラインLg6及び戻りガス送給ラインLg4を介して連結される。排ガス供給ラインLg6は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を処理装置20に供給する。排ガス供給ラインLg6は、熱交換器70を通過する。排ガス供給ラインLg6は、第1排ガス供給ラインLg61と、第2排ガス供給ラインLg62と、を含む。第1排ガス供給ラインLg61は、煙突10と熱交換器70とを連結する。第2排ガス供給ラインLg62は、熱交換器70と処理装置20とを連結する。排ガス供給ラインLg6には、排ガスG1の酸性成分を除去する洗浄集塵装置S(アルカリスクラバー)と、負圧の煙突10内から排ガスG1を引き込むための送風機B(ブロア)とが設けられる。洗浄集塵装置S及び送風機Bは、第4実施形態において、第2排ガス供給ラインLg62に設けられる。戻りガス送給ラインLg4は、第2実施形態及び第3実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
熱交換器70と除去装置80とは、凝縮水送給ラインLw71を介して連結される。凝縮水送給ラインLw71は、熱交換器70から排出された凝縮水W7を除去装置80に送給する。凝縮水送給ラインLw71には、熱交換器70から凝縮水W7を引き込むための送水装置Pが設けられる。除去装置80と貯水槽T6とは、凝縮水排出ラインLw80を介して接続される。凝縮水排出ラインLw80は、除去装置80に貯留された凝縮水W9を、凝縮水W8として貯水槽T6に送給する。貯水槽T6と処理装置20とは、凝縮水供給ラインLw82及び洗浄水供給ラインLwrを介して接続される。凝縮水供給ラインLw82は、貯水槽T6に貯留された凝縮水W8を洗浄水供給ラインLwrに供給する。凝縮水供給ラインLw82には、貯水槽T6から凝縮水W2を引き込むための送水装置Pが設けられる。凝縮水供給ラインLw82は、洗浄水供給ラインLwrに接続する。除去装置80と熱交換器90とは、凝縮水送給ラインLw91を介して連結される。凝縮水送給ラインLw91は、除去装置80に貯留された凝縮水W9を熱交換器90に送給する。凝縮水送給ラインLw91には、除去装置80から凝縮水W9を引き込むための送水装置Pが設けられる。熱交換器90と熱交換器70とは、凝縮水供給ラインLw92を介して連結される。凝縮水供給ラインLw92は、熱交換器90において冷却された凝縮水W9を熱交換器70に供給する。
熱交換器90と熱交換器60とは、第1循環水送給ラインLw61及び第2循環水送給ラインLw62を介して連結される。第1循環水送給ラインLw61は、熱交換器90の下部に貯留された循環水W6を熱交換器60に送給する。第1循環水送給ラインLw61には、循環水W6を熱交換器60に送給するための送水装置Pが設けられる。第2循環水送給ラインLw62は、熱交換器60を通過した循環水W6を熱交換器90に送給する。
熱交換器70は、煙突10と処理装置20との間に設けられる。熱交換器70は、第1排ガス供給ラインLg61に連通する。熱交換器70は、煙突10から引き込んだ排ガスG1を冷却する。熱交換器70は、第2排ガス供給ラインLg62に連通する。熱交換器70は、冷却した排ガスG1を、第2排ガス供給ラインLg62に送り出す。熱交換器70は、熱交換器90において冷却された凝縮水W9を冷却水として受け取る。凝縮水W9は、熱交換器70において、排ガスG1に加熱される。熱交換器70は、排ガスG1の保有する熱量と、凝縮水W9の保有する熱量と、を熱交換させる。排ガスG1は、熱交換器70において、凝縮水W9に冷却される。これにより、排ガスG1は、温度及び圧力が低下する。熱交換器70は、第4実施形態において、冷却室72と、散水装置76と、を含む。
冷却室72は、第1排ガス供給ラインLg61から排ガスG1を受け取る。煙突10から引き込んだ排ガスG1は、高温かつ水分を含むので、熱交換器70において温度が低下し、飽和水蒸気圧が減少することによって、40℃以上かつpH5以下である酸性の凝縮水W7が発生する。熱交換器70によって冷却された排ガスG1は、凝縮水W7を発生させる。発生した凝縮水W7は、冷却室72の下部に貯留される。冷却室72は、第2排ガス供給ラインLg62に、冷却した排ガスG1を送り出す。冷却室72は、上部に設けられた散水装置76を介して凝縮水供給ラインLw92に連通する。冷却室72は、凝縮水供給ラインLw92から冷却された凝縮水W9を冷却水として受け取る。凝縮水W9は、冷却室72内に散布される。散布された凝縮水W9の一部は、排ガスG1によって加熱されて蒸発する。散布された凝縮水W9の一部は、凝縮水W7として、冷却室72の下部に貯留される。冷却室72は、さらに、凝縮水送給ラインLw71に連通する。冷却室72の下部に貯留される凝縮水W7は、凝縮水送給ラインLw71に排出される。なお、アルカリ性固体反応物処理システム4は、凝縮水供給ラインLw92に接続する清水供給ラインをさらに備えてもよい。清水供給ラインは、凝縮水供給ラインLw92に清水W0を供給する。清水W0を混合することによって、凝縮水W9の水量を調節することができる。また、凝縮水W9の温度を低下させることができるので、塩濃度を低減することができる。
除去装置80は、凝縮水送給ラインLw71に連通する。除去装置80は、凝縮水送給ラインLw71から凝縮水W7を受け取る。凝縮水W7は、懸濁物質を含む可能性がある。除去装置80は、凝縮水W7の懸濁物質を除去する。除去装置80は、凝縮水排出ラインLw80に連通する。凝縮水排出ラインLw80は、除去装置80から排出された凝縮水W9を、凝縮水W9として貯水槽T6に送給する。除去装置80は、さらに、凝縮水送給ラインLw91に連通する。懸濁物質を除去された凝縮水W7は、凝縮水W9として、凝縮水送給ラインLw91に送られる。除去装置80は、第4実施形態において、除去前室82と、除去後室84と、仕切り壁86と、を備える。
除去前室82は、凝縮水送給ラインLw71に連通する。除去前室82は、凝縮水送給ラインLw71から凝縮水W7を受け取る。除去前室82は、凝縮水W7を下部に貯留する。除去後室84は、仕切り壁86を隔てて除去前室82の側方に設けられる。除去後室84は、懸濁物質を除去された凝縮水W7が、凝縮水W9として下部に貯留する。除去後室84は、凝縮水送給ラインLw91に連通する。除去後室84は、凝縮水送給ラインLw91に、凝縮水W9を送り出す。除去後室84は、さらに、凝縮水排出ラインLw80に連通する。凝縮水排出ラインLw80は、除去後室84から排出された凝縮水W9を、凝縮水W8として貯水槽T6に送給する。仕切り壁86は、除去前室82と除去後室84とを隔てる板材である。仕切り壁86は、通水性を有する。仕切り壁86は、例えば、ストレーナ、フィルタ等を含む。除去前室82に貯留する凝縮水W7は、仕切り壁86を通過することによって、懸濁物質が除去される。なお、除去装置80は、懸濁物質を除去できる構造であれば、上述した構成に限定されない。除去装置80は、フィルタ、ストレーナ等でもよい。
貯水槽T6は、凝縮水排出ラインLw80に連通する。貯水槽T6は、凝縮水排出ラインLw80から凝縮水W9を受け取る。貯水槽T6は、凝縮水W9を凝縮水W8として貯留する。貯水槽T6は、凝縮水供給ラインLw82に連通する。貯水槽T6に貯留される凝縮水W8は、凝縮水供給ラインLw82に設けられる送水装置Pによって、凝縮水供給ラインLw82に引き込まれる。凝縮水供給ラインLw82に引き込まれた凝縮水W8は、洗浄水供給ラインLwrに送られる。貯水槽T6は、図1に示す第1実施形態の噴霧装置18を介して戻りガス送給ラインLg4に接続してもよい。この場合、排ガスG1から発生し、懸濁物質を除去された凝縮水W8の一部は、噴霧装置18によって霧状化され、戻りガスG2に混合する。
熱交換器90は、第4実施形態において、除去装置80と熱交換器70との間に設けられる。熱交換器90は、除去装置80から引き込んだ凝縮水W9を冷却する。熱交換器90は、熱交換器60によって冷却された循環水W6を冷却水として受け取る。循環水W6は、熱交換器90において、凝縮水W9に加熱される。熱交換器90は、凝縮水W9の保有する顕熱の熱量と、循環水W6の保有する顕熱の熱量と、を熱交換させる。凝縮水W9は、熱交換器90において、循環水W6に冷却される。これにより、凝縮水W9は、温度及び圧力が低下する。熱交換器90は、第4実施形態において、浸水室92と、冷却通路94と、を含む。
浸水室92、入口ポート92i及び出口ポート92oは、第3実施形態の浸水室52、入口ポート52i及び出口ポート52oと同様の構成であるため説明を省略する。冷却通路94、入口ポート94i及び出口ポート94oは、第3実施形態の冷却通路54、入口ポート54i及び出口ポート54oと同様の構成であるため説明を省略する。
[ガスの流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム4における、排ガスG1及び戻りガスG2の流通について説明する。煙突10内の排ガスG1の一部は、開口12i及び接続ダクト14iを介して、第1排ガス供給ラインLg61に送られる。第1排ガス供給ラインLg61を通過する排ガスG1は、100℃以上の高温である。
高温の排ガスG1は、第1排ガス供給ラインLg61から、熱交換器70の冷却室72に送られる。排ガスG1は、冷却室72において、冷却室72内に散布される凝縮水W9と熱交換することによって、冷却される。冷却された排ガスG1は、第2排ガス供給ラインLg62に送られる。第2排ガス供給ラインLg62を通過する排ガスG1は、60℃以下の低温である。排ガスG1の温度が下がることにより、冷却室72において、凝縮水W7が発生する。凝縮水W7は、冷却室72の下部に貯留される。
冷却室72に凝縮水W7を排出した低温の排ガスG1は、第2排ガス供給ラインLg62及び入口ポート22iを介して、処理装置20の第1室22に送られる。排ガスG1は、隔壁26を通気して第2室24に送られ、第2室24の焼却主灰Aと炭酸化反応する。焼却主灰Aと反応した排ガスG1は、戻りガスG2として、第2室24の上部の気相部に貯留される。戻りガスG2は、出口ポート24oを介して、戻りガス送給ラインLg4に送られる。戻りガス送給ラインLg4を通過する戻りガスG2は、低温である。
低温の戻りガスG2は、戻りガス送給ラインLg4から接続ダクト14o及び開口12oを介して、煙突10に戻される。煙突10に戻された戻りガスG2は、排ガスG1及び水蒸気として大気中に放出される。戻りガス送給ラインLg4には、送風機B(ブロア)が設けられてもよい。
[水の流通]
次に、アルカリ性固体反応物処理システム4における、凝縮水W7、凝縮水W9、循環水W6、冷却水W4、浸出水W3、凝縮水W8、洗浄水Wr及び浸出水W1の流通について説明する。熱交換器70において、排ガスG1から発生した凝縮水W7は、冷却室72の下部に貯留される。熱交換器90において冷却された凝縮水W9は、凝縮水供給ラインLw92を介して熱交換器70の散水装置76に送られる。散水装置76は、凝縮水W9を冷却水として浸水室92内に散布する。浸水室92に散布される凝縮水W9は、浸水室92を通過する排ガスG1によって加熱され、蒸発する。凝縮水W9は、加熱される際の顕熱と、蒸発する際の潜熱とによって、排ガスG1を冷却する。蒸発によって液量が減少した凝縮水W9は、凝縮水W7として、浸水室92の下部に貯留される。浸水室92の下部に貯留される凝縮水W7は、凝縮水送給ラインLw71を介して、除去装置80に送られる。凝縮水W7は、除去装置80において、除去前室82から仕切り壁86を通過して除去後室84に送られることによって、懸濁物質が除去される。懸濁物質が除去された凝縮水W7の一部は、凝縮水W9として、凝縮水送給ラインLw91を介して、熱交換器90の冷却通路94に送られる。凝縮水W9は、凝縮水送給ラインLw91から入口ポート94iを介して、熱交換器90の冷却通路94に送られる。凝縮水W9は、冷却通路94において、浸水室92内に貯留される循環水W6と熱交換することによって、冷却される。冷却された凝縮水W9は、出口ポート94oを介して、凝縮水供給ラインLw92に送られる。凝縮水W9は、熱交換器70と熱交換器90とを循環する。凝縮水供給ラインLw92を通過する凝縮水W9は、凝縮水送給ラインLw91を通過する凝縮水W9より低温である。
熱交換器90に貯留される循環水W6は、冷却通路94を通過する凝縮水W9によって加熱される。循環水W6は、加熱される際の顕熱によって、凝縮水W9を冷却する。加熱された循環水W6は、出口ポート92oを介して、第1循環水送給ラインLw61に送られる。循環水W6は、入口ポート64iを介して、熱交換器60の冷却通路64に送られる。循環水W6は、冷却通路64において、蒸発室62内に散布される冷却水W4と熱交換することによって、冷却される。冷却された循環水W6は、出口ポート64oを介して、第2循環水送給ラインLw62に送られる。循環水W6は、入口ポート92iを介して、熱交換器90に戻される。循環水W6は、熱交換器90と熱交換器60とを循環する。第1循環水送給ラインLw61を通過する循環水W6は、第2循環水送給ラインLw62を通過する循環水W6より高温である。
貯水槽T4に貯留される冷却水W4は、冷却水供給ラインLw42を介して熱交換器60の散水装置66に送られる。散水装置66は、冷却水W4を蒸発室62内に散布する。蒸発室62内の冷却通路64に散布される冷却水W4は、冷却通路64を通過する循環水W6によって加熱され、蒸発する。冷却水W4は、加熱される際の顕熱と、蒸発する際の潜熱とによって、循環水W6を冷却する。蒸発によって液量が減少した冷却水W4は、濃縮水及び塩類を含む浸出水W3として、蒸発室62の下部に貯留される。蒸発室62の下部に貯留される浸出水W3は、浸出水排出ラインLw30を介して貯水槽T4に戻される。貯水槽T4に戻された浸出水W3は、冷却水W4として貯水槽T4に貯留される。冷却水W4は、熱交換器60と貯水槽T4とを循環する。
除去装置80において、懸濁物質が除去された凝縮水W7の一部は、凝縮水W8として、凝縮水排出ラインLw80を介して、貯水槽T6に送られる。貯水槽T6に貯留される凝縮水W8は、凝縮水供給ラインLw82及び洗浄水供給ラインLwrを介して処理装置20の洗浄装置28に送られる。洗浄装置28は、凝縮水W8を洗浄水Wrとして第2室24内の焼却主灰Aに散布する。洗浄装置28によって散布された洗浄水Wrは、第2室24において焼却主灰Aを洗浄する。焼却主灰Aを洗浄した洗浄水Wrは、浸出水W1として、隔壁26を通過して第1室22の下部に貯留する。第1室22の下部に貯留する浸出水W1は、浸出水排出ラインLw10を介して貯水槽T1に送られる。貯水槽T1に貯留される浸出水W1は、浸出水送給ラインLw11を介して貯水槽T4に送られる。貯水槽T4が受け取った浸出水W1は、冷却水W4として貯水槽T4に貯留される。冷却水W4は、熱交換器60と貯水槽T4とを循環する。
以上説明したように、第4実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム4は、熱交換器が、第1熱交換器(熱交換器70)と、第2熱交換器(熱交換器90)と、第3熱交換器(熱交換器60)と、を含む。第1熱交換器は、煙突10(導管)から引き込んだ排ガスG1が通過する冷却室72と、排ガスG1の冷却によって発生する凝縮水W7、W9を冷却室72に散布する散水装置76と、を備える。第2熱交換器は、凝縮水W9が通過する冷却通路94と、冷却通路94を冷却する循環水W6が浸水する浸水室92と、を備える。第3熱交換器は、循環水W6を冷却水W4によって冷却する。
これにより、排ガスG1を熱交換器70において水に接触させることができる。排ガスG1を水に接触させることによって、排ガスG1の温度が下がることにより発生する凝縮水W7が、第2排ガス供給ラインLg62の配管内で発生して結露状態となることを抑制することができる。配管内における凝縮水W7の発生を抑制することにより、凝縮水W7の酸性成分による腐食等を抑制することができる。
第3熱交換器(熱交換器60)の構成は、第4実施形態に限定されない。第3熱交換器は、例えば、冷却水W4ではない冷却媒体によって循環水W6を冷却してもよい。すなわち、アルカリ性固体反応物処理システムは、熱交換器が、第1熱交換器(熱交換器70)と、第2熱交換器(熱交換器90)と、第3熱交換器と、第1熱交換器と第2熱交換器とに第1循環水(凝縮水W7、W9)を循環させる第1送水装置と、第2熱交換器と第3熱交換器とに第2循環水(循環水W6)を循環させる第2送水装置と、を含んでもよい。第1熱交換器は、煙突10(導管)から引き込んだ排ガスG1を第1循環水によって冷却する冷却室72と、第1循環水を冷却室72に散布する散水装置76と、を備える。第2熱交換器は、第1循環水が通過する冷却通路94と、冷却通路94を冷却する第2循環水が浸水する浸水室92と、を備える。第3熱交換器は、第2循環水を冷却媒体によって冷却する。冷却媒体は、水道水等の液体又は外気等のガスである。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。例えば、第4実施形態のアルカリ性固体反応物処理システム4において、熱交換器90を備えず、熱交換器70及び除去装置80の下流に第3実施形態の熱交換器60を設けてもよい。具体的には、凝縮水送給ラインLw91が入口ポート64iを介して冷却通路64に連通し、冷却通路64が、出口ポート64oを介して凝縮水供給ラインLw92に連通し、冷却通路64において凝縮水W9が冷却されるように設けられてもよい。これにより、発生する凝縮水を蒸発させ、減量させることができる。