JP6218033B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、図4および図5に示されるように、内燃機関によって燃料を理論空燃比で燃焼すると、排気経路の排気は無酸素状態となり、このような燃焼状態において、内燃機関を停止することによって、温度の高い無酸素の排気が上方の吸気経路側へ逆流を起こす。
具体的には、内燃機関が運転中の場合、図4に示されるように、エアクリーナ、吸気経路における酸素濃度は20%であり、燃焼に十分な酸素濃度が確保されているが、一方で、燃焼室、触媒後における酸素濃度は0%となり、排気は無酸素状態であることが分かる。このような酸素濃度の低い排気が吸気経路側へ逆流すると、ラインKで示されるように、吸気通路における空気は燃焼に必要な酸素濃度(燃焼限界酸素濃度)14%以下となり、燃焼室において燃焼不良を発生させる一因となる可能性があった。
また、図5に示されるように、内燃機関の完全暖機の停止後、ソーク時(1番気筒の排気上死点(TOP)に合わせ、屋外ソーク)の吸気マニホルド内の酸素濃度の推移であって、N=6回、毎回同じ速度で減少するとは限らないことが分かる。しかし、内燃機関の始動不良が発生しやすい14%以下となる場合は、15分〜2時間程度のソークでは、頻度が高いと推定される。
そこで、この発明は、燃料噴射中止に基づく減筒制御によって停止させた気筒から排気経路に滞留している排気を排出することにより、燃焼に必要な酸素濃度が確保された状態で内燃機関を完全に停止させ、酸素濃度の低下に起因する内燃機関の始動性の悪化や排気特性の悪化を防止する。具体的には、複数の気筒のうち一部の気筒の稼動を停止し、内燃機関の吸気経路に設けられた空気吸入手段による空気の吸入量を制御して実現するものである。
なお、図4において、内燃機関が運転中の場合、エアクリーナ、吸気経路における酸素濃度は20%であり、燃焼室、触媒後における酸素濃度は0%であることを示しているが、この数値は実施形態の一つであり、この数値に限定されない。すなわち、図4のグラフにおける「内燃機関が運転中」のラインは、内燃機関によって燃焼が行われる前は、燃焼可能な酸素濃度が確保されていること、内燃機関によって燃焼が行われた後は、燃焼不良を起こす可能性のある酸素濃度になっていることを示している。
図1に示すように、車両に搭載された内燃機関1は、複数の気筒として、例えば、4つの第1気筒〜第4気筒を有する多気筒用の内燃機関である。
この内燃機関1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とシリンダヘッドカバー4とを備える。
シリンダブロック2には、気筒毎に、ピストン5が摺動するシリンダ6が形成されているとともに、ピストン5の上面で燃焼室7が形成されている。
シリンダヘッド3には、吸気ポート8と排気ポート9とが形成されているとともに、吸気弁10と排気弁11とが取り付けられ、さらに、吸気カム軸12と排気カム軸13とが配設されている。また、シリンダヘッド3の上部には、略中央部位で点火プラグ14が配置されている。
吸気マニホルド15の上流側には、サージタンク21が設けられている。また、このサージタンク21の上流側には、スロットルバルブ22を備えたスロットルボディ23が設けられている。また、吸気管16の上流端には、エアクリーナ24が取り付けられている。吸気マニホルド15には、吸気ポート8側へ燃料を噴射する燃料噴射弁25が取り付けられている。
排気管19には、触媒(三元触媒)26が取り付けられている。
内燃機関1の吸気経路17としてのスロットルボディ23には、空気吸入手段27が設けられている。この空気吸入手段27は、内燃機関1への空気の吸入量(制御空気量)を制御するものであって、スロットルバルブ22を迂回するバイパス通路28と、このバイパス通路28を開閉する空気制御バルブとしてのISCバルブ(アイドル・スピード・コントロール・バルブ)29とを備える。
制御手段31には、点火プラグ14と、燃料噴射弁25と、ISCバルブ29とが接続している。そして、制御手段31は、点火プラグ14を作動して点火時期を制御し、また、燃料噴射弁25を作動して燃料噴射量を制御し、さらに、ISCバルブ(空気量制御弁)29を作動して空気の吸入量(制御空気量:バイパス空気量)を制御する。
また、制御手段31には、スロットルバルブ22のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ32と、内燃機関1への吸入空気量を検出するエアフローセンサ33と、シリンダヘッド3に取り付けられて冷却水温度を検出する水温センサ34と、シリンダブロック2に取り付けられてノックキングを検出するノックセンサ35と、スロットルボディ23に取り付けられて吸気圧力を検出する圧力センサ36と、触媒26の上流側の排気経路20に設けられて空燃比を検出する空燃比センサ37と、触媒26の下流側の排気経路20に設けられて酸素濃度(O2)を検出する酸素濃度検出手段としての酸素濃度センサ38とが接続している。
また、制御手段31には、イグニッションキーを回したときにオンするイグニッションスイッチ(図面上では「IG」と記す)39と、内燃機関1の回転数をエンジン回転数として検出するエンジン回転数センサ40とが接続している。
なお、エンジン回転数センサ40の代わりに、クランク角センサ(図示しない)を設け、クランク角センサによって検出された内燃機関1のクランク角度に基づいてエンジン回転数を求めてもよい。
また、制御手段31は、内燃機関1の排気経路20に設けられた酸素濃度センサ38により検出される酸素濃度が第1の所定濃度(例えば、14%)以上(酸素濃度≧14%)の場合に、複数の気筒全て(4つの気筒)の稼動を停止する。なお、図3に示すように、酸素濃度が20%を、大気酸素濃度(約20〜21%)とみなす。
更に、制御手段31は、内燃機関1の排気経路20に設けられた酸素濃度センサ38により検出される酸素濃度が前記第1の所定濃度(例えば、14%:燃焼限度濃度)未満(酸素濃度<14%)の場合に、停止する一部の気筒の数を増やし、空気吸入手段27による空気の吸入量を増加する。
前記第1の所定濃度(例えば、14%)は、少なくとも内燃機関1の始動に必要な酸素濃度である。
なお、第1の所定濃度は、上記のように14%に限定されず、次回の内燃機関の始動時において燃焼に必要な酸素濃度が確保されるような値であればよく、任意に設定可能である。
図2に示すように、制御手段31のプログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、イグニッションスイッチ39がオフ(IG OFF)か否かを判断する(ステップA02)。このステップA02がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップA02がYESの場合には、1つの気筒(例えば、第1気筒)の稼働を停止する(1気筒による減筒)(ステップA03)(図3の時間t1〜t2で示す)。従って、この実施例では、図3に示すように、内燃機関1は、25%の減筒となる。
そして、排気経路20の掃気を高めるために、ISCバルブ29の開度を増加する(ステップA04)(図3の時間t1〜t5における第1の空気量G1で示す)。この場合、減筒時のトルクをつなぐために、ISCバルブ29の開度を、一気に開けないで、所定の第1の空気量G1とする。
また、上記の停止した気筒の次の気筒(例えば、第2気筒)の点火時期を進角する(ステップA05)(図3の時間t2〜t3における第1の進角量S1で示す)。このように、点火時期を第1の進角量S1で進角することにより、減筒後のトルクをつなぐため、すなわち、燃料噴射中止による減筒制御に起因する急激なトルク変動を抑制するため、車両のショック低減を図ることができる。
その後、酸素濃度が第1の所定濃度(14%)以上(酸素濃度≧14%)か否かを判断する(ステップA06)。
このステップA06がNOの場合には、酸素濃度が第1の所定濃度(14%)未満(酸素濃度<14%)であり、停止する一部の気筒の数を増やすように、2つの気筒(例えば、第1気筒と第3気筒)の稼働を停止する(2気筒による減筒)(ステップA07)(図3の時間t5〜t6、時間t7〜t8で示す)。従って、この実施例では、図3に示すように、内燃機関1は、50%の減筒となる。
そして、排気経路20の掃気を高めるために、ISCバルブ29の開度を増加する(ステップA08)。この場合でも、減筒時のトルクをつなぐために、すなわち、燃料噴射中止による減筒制御に起因する急激なトルク変動を抑制するために、ISCバルブ29の開度を、一気に開けないで、段階的に増加する。つまり、制御手段31は、ISCバルブ29の開度を、図3に示すように、時間t5〜t7において前記第1の空気量G1よりも多い第2の空気量G2と、さらに、時間t7〜時間t10において前記第2の空気量G2よりも多い第3の空気量G3となるように、段階的に開度を制御する。
また、減筒後のトルクをつないで、すなわち、燃料噴射中止による減筒制御に起因する急激なトルク変動を抑制して、車両のショック低減を図るために、上記の停止した2つの気筒(例えば、第1気筒と第3気筒)の次の気筒(例えば、第2気筒と第4気筒)の点火時期を進角する(ステップA09)(図3の時間t6〜t7における第2の進角量S2、時間t8〜t9における第3の進角量S3で示す)。
その後、酸素濃度が他の設定濃度である第2の所定濃度(20%)以上(酸素濃度≧20%)か否か、又は、エンジン回転数が零(0)(エンジン回転数=0)か否かを判断する(ステップA10)。このステップA10がNOの場合には、前記ステップA07に戻す。
前記ステップA06がYESで、酸素濃度が第1の所定濃度(14%)以上(酸素濃度≧14%)の場合、又は、前記ステップA10がYESで、酸素濃度が第2の所定濃度(20%)以上(酸素濃度≧20%)の場合には、全気筒(4つの気筒)の稼働を停止し(つまり、内燃機関1の停止)(ステップA11)(図3の時間t9で示す)、そして、排気経路20の掃気を高めるために、ISCバルブ29の開度を増加し(図3の時間t10において前記第3の空気量G3よりも多い第4の空気量G4で示す)、その後、点火時期を零(0)とし(図3の時間t11で示す)、プログラムをエンドとする(ステップA12)。
この結果、燃料噴射中止による減筒制御によって停止させた気筒から排気経路20に滞留している排気を排出することにより、燃焼に必要な酸素濃度が確保された状態で内燃機関1を完全に停止させるため、酸素濃度の低下に起因する内燃機関1の始動性の悪化や排気特性の悪化を防止することができる。
なお、図2において、第1の所定濃度および第2の所定濃度は、予め設定された第1の設定濃度および第2の設定濃度であってもよい。また、これらは、運転状態に応じた値に適宜変更可能であってもよい。
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
7 燃焼室
14 点火プラグ
17 吸気経路
19 排気管
20 排気経路
26 触媒
27 空気吸入手段
28 バイパス通路
29 ISCバルブ
30 制御装置
31 制御手段(ECM)
38 酸素濃度センサ(酸素濃度検出手段)
39 イグニッションスイッチ
Claims (4)
- 複数の気筒を有する内燃機関の稼動を制御する内燃機関の制御装置において、
イグニッションスイッチがオフになったとき、前記複数の気筒のうち一部の気筒の稼動を停止し、前記内燃機関の吸気経路に設けられた空気吸入手段による空気の吸入量を制御し、
前記内燃機関の排気経路に設けられた酸素濃度検出手段により検出される酸素濃度が所定の濃度以上の場合に、前記複数の気筒全ての稼動を停止することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 複数の気筒を有する内燃機関の稼動を制御する内燃機関の制御装置において、
イグニッションスイッチがオフになったとき、前記複数の気筒のうち一部の気筒の稼動を停止し、前記内燃機関の吸気経路に設けられた空気吸入手段による空気の吸入量を制御し、
前記内燃機関の排気経路に設けられた酸素濃度検出手段により検出される酸素濃度が所定の濃度未満の場合に、停止する一部の気筒の数を増やし、前記空気吸入手段による空気の吸入量を増加することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の前記排気経路に設けられた前記酸素濃度検出手段により検出される酸素濃度が所定の濃度未満の場合に、停止する一部の気筒の数を増やし、前記空気吸入手段による空気の吸入量を増加することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記所定の濃度は、少なくとも前記内燃機関の始動に必要な酸素濃度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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