JP6217513B2 - 円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法 - Google Patents

円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6217513B2
JP6217513B2 JP2014095433A JP2014095433A JP6217513B2 JP 6217513 B2 JP6217513 B2 JP 6217513B2 JP 2014095433 A JP2014095433 A JP 2014095433A JP 2014095433 A JP2014095433 A JP 2014095433A JP 6217513 B2 JP6217513 B2 JP 6217513B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
reinforced concrete
fiber reinforced
specimen
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014095433A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015212663A (ja
Inventor
宏和 桐山
宏和 桐山
喜英 佐藤
喜英 佐藤
松永 篤
篤 松永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2014095433A priority Critical patent/JP6217513B2/ja
Publication of JP2015212663A publication Critical patent/JP2015212663A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6217513B2 publication Critical patent/JP6217513B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、超高強度繊維補強コンクリートからなる構造体の圧縮強度を評価するための円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法に関する。
近年、構造体の軽量化、鉄筋使用量の削減などの要求に伴って、超高強度繊維補強コンクリートが普及しつつある。超高強度繊維補強コンクリートは、補強用繊維を混入した圧縮強度150N/mm以上、引張強度8.8N/mm以上、ひび割れ発生強度8.0N/mm以上の超高強度材料である。
超高強度繊維補強コンクリートは、上述した150N/mm以上の高い圧縮強度を有する。超高強度繊維補強コンクリートの圧縮強度を測定するためには、通常のコンクリートの圧縮強度測定方法を適用することが考えられる。
通常のコンクリートの圧縮強度測定方法としては、例えば、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」、及びJIS A 1107の「コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法」がある。
JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」は、コンクリート製の円柱供試体の上下端面に、一様の速度で荷重を加える。そして、円柱供試体が破壊されるまでに測定された最大荷重(N)及び円柱供試体の直径(mm)に基づいて、圧縮強度(N/mm)を算出する。
一方、JIS A 1107の「コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法」では、実際の構造体の各部分からコア供試体を採取する。そして、JIS A 1108と同様に、コア供試体の最大荷重(N)を測定し、補正前の圧縮強度(N/mm)を算出する。その後、所定の補正係数を用いて、補正前の圧縮強度(N/mm)を補正する。
その他の圧縮強度測定方法として、例えば、特公平1−14539公報(特許文献1)に提案されているような、マスコンクリート供試体の管理方法がある。このマスコンクリート供試体の管理方法は、マスコンクリート供試体を水槽内に入れ、実際に施工した実施工マスコンクリート又はこれを模した模擬マスコンクリートの履歴温度に合わせて、水槽の温度を制御することを特徴とする。
特公平1−14539公報
しかし、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」を超高強度繊維補強コンクリートに適用した場合は、実際の構造体と、これと同じ材齢の円柱供試体との圧縮強度に大きな差が生じてしまうという問題があった。すなわち、通常のコンクリートと比較して、超高強度繊維補強コンクリートには、非常に多くの結合材が含まれている。このため、超高強度繊維補強コンクリートからなる実際の構造体の内部は、結合材の水和発熱による温度上昇量の増大によって強度が促進される。この結果、実際の構造体の圧縮強度と、これと同じ材齢の円柱供試体の圧縮強度とに大きな差が生じてしまい、構造体の圧縮強度を正確に測定することができなかった。
JIS A 1107「コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法」は、実際に施工した構造体の各部分からコア供試体を採取しなければならず、構造体の損傷を補修しなければならないという問題があった。また、構造体のコンクリート強度が低い場合には、採取時にコア供試体が損傷してしまうおそれがあった。さらに、コア供試体を採取するには、コンクリートの打継ぎ面、型枠際、鉄筋などを回避しなければならない。
そこで、JIS A 1107の方法に準じて、実際に施工した構造体を模した模擬平板からコア供試体を採取することが考えられる。しかし、模擬平板からコア供試体を採取するには、JIS A 1107の方法と同様に、コアドリルを用いて模擬平板から円柱状のコア供試体を切り取らなければならなかった。このため、コア供試体の採取に手間を要するとともに、コア供試体を破損させない程度の熟練した技術を要するという問題があった。また、コアドリルの使用は、手間以外にコストも掛かる。
特公平1−14539公報(特許文献1)に提案されているマスコンクリート供試体の管理方法は、水槽、制御装置、電源などを含む試験装置が必要である。このため、試験装置の設置に手間と時間を要するとともに、試験装置自体が高価であり、簡単に実施することができないという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成、簡単な手順により、超高強度繊維補強コンクリートからなる構造体の圧縮強度を正確に測定することができる円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法の提供を目的とする。
本発明者らが鋭意研究した結果、模擬平板となる超高強度繊維補強コンクリートの中で、円柱供試体となる超高強度繊維補強コンクリートを分離して成形するとともに、これら超高強度繊維補強コンクリートどうしの熱伝導を良好にすることを見出した。本発明者らが見出した手段によれば、円柱供試体となる超高強度繊維補強コンクリートの水和発熱によって発現される強度を、実際に施工した構造体となる超高強度繊維補強コンクリートの水和発熱によって発現される強度と近似させることが可能となる。さらに、超高強度繊維補強コンクリートの硬化後に、コアドリルを用いることなく、模擬平板から円柱供試体を簡単に取り出すことが可能となれば、上述した従来技術の問題点は全て解決される。
(1)上記目的を達成するために、本発明の円柱供試体の製造装置は、超高強度繊維補強コンクリートからなる構造体を模した模擬平板から取り出された円柱供試体を製造するための装置であって、前記超高強度繊維補強コンクリートにより前記模擬平板を形成するための第1型枠と、前記第1型枠内に配置され、前記超高強度繊維補強コンクリートにより前記円柱供試体を形成するための少なくとも一つの円筒状の第2型枠と、前記第1型枠内において前記第2型枠に隣接して配置される少なくとも一つの楔と、を備えた構成としてある。
(2)好ましくは、上記(1)の円柱供試体の製造装置において、前記第2型枠が金属材料によって構成される構成にするとよい。
(3)好ましくは、上記(1)又は(2)の円柱供試体の製造装置において、前記第2型枠の直径と高さとの比率が1:2である構成にするとよい。
(4)好ましくは、上記(1)〜(3)のいずれかの円柱供試体の製造装置において、前記第1型枠内に複数の前記第2型枠が並んで配置され、隣り合う前記第2型枠どうしの間に前記楔がそれぞれ配置される構成にするとよい。
(5)好ましくは、上記(1)〜(4)のいずれかの円柱供試体の製造装置において、前記楔の表面に剥離剤が塗布された構成にするとよい。
(6)上記目的を達成するために、本発明の円柱供試体の製造方法は、上記(1)〜(5)のいずれかの円柱供試体の製造装置を用いた円柱供試体の製造方法であって、前記第1型枠内に、前記楔を配置する第1工程と、前記第2型枠内に、前記超高強度繊維補強コンクリートを流し込む第2工程と、前記第1型枠内に、前記第2型枠を配置する第3工程と、前記第1型枠内に、前記超高強度繊維補強コンクリートを流し込む第4工程と、前記超高強度繊維強化コンクリートの硬化後に、前記模擬平板から前記楔を抜き取る第5工程と、前記楔を抜き取ることで前記模擬平板に形成された穴に、工具を打ち込んで前記模擬平板を割裂させ、前記第2型枠を取り出す第6工程と、前記前記第2型枠から前記円柱供試体を取り出す第7工程と、を含み、前記第1工程、前記第2工程、前記第3工程、前記第4工程は、少なくとも前記第5工程よりも前に任意の順序で行われる方法としてある。
(7)上記目的を達成するために、本発明の圧縮強度測定方法は、上記(6)の円柱供試体の製造方法により製造された前記円柱供試体を用いて、前記超高強度繊維補強コンクリートの圧縮強度を測定する方法としてある。
円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法によれば、簡単な構成、簡単な手順により、超高強度繊維補強コンクリートからなる構造体の圧縮強度を正確に測定することが可能となる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る円柱供試体の製造装置を示すものである。図1(a)は、平面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。図1(c)は、図1(a)のB−B線断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態に係る円柱供試体の製造装置を示すものである。図2(a)は、平面図である。図2(b)は、図2(a)のC−C線断面図である。図2(c)は、図2(a)のD−D線断面図である。 図3は、本発明の実施例を示すものである。図3(a)は、図1に示す円柱供試体の製造装置の実施例を示すものである。図3(b)は、図2に示す円柱供試体の製造装置の実施例を示すものである。図3(b)〜(f)は、本発明の円柱供試体の製造方法の主要な工程の実施例を示すものである。 図4は、本発明の圧縮強度測定方法の実施例を示すものであり、円柱供試体の圧縮強度と、模擬平板から採取したコア供試体の圧縮強度とを比較結果の図である。
以下、本発明の実施形態に係る円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法について、図面を参照しつつ説明する。
<円柱供試体の製造装置>
まず、本発明の実施形態に係る円柱供試体の製造装置について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態に係る円柱供試体の製造装置を図1(a)〜(c)に示す。これら図面において、本実施形態の製造装置1は、超高強度繊維補強コンクリート3からなる構造体(図示せず)を模した模擬平板3Aから取り出された円柱供試体3Bを製造するための装置である。製造装置1は、第1型枠10と、複数の第2型枠20と、複数の楔30と、楔ホルダ40とを備えた構成となっている。
<<第1型枠>>
第1型枠10は、超高強度繊維補強コンクリート3により模擬平板3Aを形成するためのものである。本実施形態の第1型枠10は、型枠本体11と、底板12とで構成されている。型枠本体11は、正方形の枠体である。底板12は、型枠本体11とほぼ同じ縦横幅の正方形の板部材である。底板12は、型枠本体11の底面を塞ぐ。型枠本体11は、四方を壁部に囲まれた正方形のキャビティ13を形成する。
型枠本体11及び底板12の素材は、超高強度繊維補強コンクリート3の成形に耐え得る強度を有するものであれば、特に限定されるものではない。型枠本体11及び底板12の素材として、例えば、金属、木材、合成樹脂などを適用することができる。本発明の実施例として、鋼製の第1型枠を図3(a)に例示する。また、合板製の第1型枠を図3(b)に例示する。
ここで、実際の構造物が模擬平板3Aよりも大きい場合には、発泡ポリスチレンなどを用いて、型枠本体11を断熱することが望ましい。型枠本体11を断熱することで、模擬平板3Aが成形されるまでの超高強度繊維補強コンクリート3の温度履歴を、実際の構造物が形成されるまでの超高強度繊維補強コンクリート3の温度履歴により近づけることが可能となる。例えば、型枠本体11の四方の壁部を発泡ポリスチレン製の断熱材で囲み、型枠本体11内の超高強度繊維補強コンクリート3を養生させるとよい。発泡ポリスチレン製の断熱材として、例えば、厚さ5cm程度の板材を用いることができる。
<<第2型枠>>
第2型枠20は、超高強度繊維補強コンクリート3により円柱供試体3Bを形成するためのものである。本実施形態の製造装置1は、4つの第2型枠20、20、20、20を備えている。各第2型枠20は、いずれも第1型枠10のキャビティ13内に一列に並んで配置される。各第2型枠20は、いずれも鋼製の円筒状部材である。各第2型枠20は、円筒の内外における熱伝導率を良好にするために、壁部を可能な限り薄肉とすることが好ましい。第2型枠20の熱伝導率が良好な壁部の厚さとして、例えば、0.05〜5.00mmの範囲内とすることが考えられ、0.2mm前後の範囲内が好ましい。
また、各第2型枠20の直径と高さとの比率を1:2とすることが好ましい。JIS A 1132の「コンクリート強度試験用供試体の作り方」には、「供試体は、直径の2倍の高さをもつ円柱形とする。」と規定されている。各第2型枠20の直径と高さとの比率を1:2とすることで、本実施形態の製造装置1によって製造した円柱供試体3Bを、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」に適用することが可能となる。
なお、本実施形態では、各第2型枠20を有底の円筒状部材としたが、この構成に限定されるものではない。各第2型枠20は、上下が両方とも開口する円筒状部材であってもよい。各第2型枠20内に超高強度繊維補強コンクリート3を流し込んだ後に、各第2型枠20を第1型枠10のキャビティ13内に配置する場合は、例えば、各第2型枠20の底面を予め薄いビニルシートでシールすればよい。また、各第2型枠20を第1型枠10のキャビティ13内に配置した後に、各第2型枠20内に超高強度繊維補強コンクリート3を流し込む場合は、各第2型枠20の底面は開口したままでもよい。
さらに、各第2型枠20の高さは、第1型枠10のキャビティ13の深さとほぼ同一にすることが好ましい。第1型枠10のキャビティ13内で成形される模擬平板3Aと、各第2型枠20内で成形される円柱供試体3Bとの諸条件を同じにするためである。
<<楔・楔ホルダ>>
楔30は、超高強度繊維補強コンクリート3の硬化後に、模擬平板3Aを割裂させるための穴を形成するものである。本実施形態の製造装置1は、5つの楔30、30、30、30、30を備えている。各楔30は、いずれも楔本体31と、基部32とで構成されている。楔本体31は、先端側ほど肉厚が薄くなり、後端側ほど肉厚が厚くなる、2つの傾斜面を有する板部材である。基部32は、長方形の板部材であり、楔本体31の後端に取り付けられている。
各楔30の素材として、例えば、金属又は合成樹脂などを適用することができる。各楔30は、超高強度繊維補強コンクリート3の硬化後に、模擬平板3Aから抜き取られる。模擬平板3Aからの抜き取りを容易にするために、各楔30の表面に剥離剤を塗布するとよい。このような構成により、超高強度繊維補強コンクリート3の各楔30への付着を低減することができる。
図1(a)〜(c)に示す本実施形態の製造装置1は、各楔30を第1型枠10の上方に配置した構成となっている。製造装置1は、各楔30を第1型枠10の上方に配置するための楔ホルダ40を備えている。本実施形態の楔ホルダ40は、断面略U字形の溝形鋼からなる。楔ホルダ40の中央には、長手方向に沿って5つの取付孔が一列に並んで設けてある。隣り合う2つの取付孔どうしの間隔は、第2型枠20の直径より若干大きい。図1(a)、(b)に示すように、5つの取付孔に各楔30の楔本体31を挿通させると、第1型枠10のキャビティ13内において、5つの楔本体31が、それぞれ4つの第2型枠20に隣接して配置される。
ここで、本発明の第2実施形態に係る円柱供試体の製造装置を図2(a)〜(c)に示す。これら図面において、第2実施形態の製造装置2は、5つの楔30、30、30、30、30を第1型枠10の下方に配置した構成となっている。
第2実施形態の製造装置2では、第1型枠10の底板12の中央に、長手方向に沿って5つの取付孔が一列に並んで設けてある。図1に示す第1実施形態と同様に、隣り合う2つの取付孔どうしの間隔は、第2型枠20の直径より若干大きい。図2(a)、(b)に示すように、5つの取付孔に各楔30の楔本体31を挿通させると、第1型枠10のキャビティ13内において、5つの楔本体31が、それぞれ4つの第2型枠20に隣接して配置される。図2(a)〜(c)に示す第2実施形態の構成とした場合には、図1(a)〜(c)に示すような楔ホルダ40を省略することができる。
<超高強度繊維補強コンクリート>
次に、上述した第1又は第2実施形態の製造装置1、2に用いられる超高強度繊維補強コンクリート3の好適な実施形態について説明する。本実施形態の超高強度繊維補強コンクリート3は、セメントと、シリカフュームと、水と、減水剤と、消泡剤と、細骨材と、無機質微粉末と、高張力繊維とを含む。
<<セメント>>
セメントの鉱物組成は、CS量が40.0〜75.0質量%であり、CA量が2.7質量%未満である。セメントのCS量は、好ましくは45.0〜73.0質量%、より好ましくは48.0〜70.0質量%であり、さらに好ましくは50.0〜68.0質量%である。CA量は、好ましくは2.3質量%未満であり、より好ましくは2.1質量%未満であり、さらに好ましくは1.9質量%未満である。CS量が40.0質量%未満では、圧縮強度が低くなる傾向がある。一方、CS量が75.0質量%を超えると、セメントの焼成自体が困難となる傾向がある。また、CA量が2.7質量%以上では、流動性が悪くなる。なお、CA量の下限値は、特に限定されるものではないが、0.1質量%程度が好ましい。
また、セメントのCS量は、好ましくは9.5〜40.0質量%、より好ましくは10.0〜35.0質量%であり、さらに好ましくは12.0〜30.0質量%である。CAF量は、好ましくは9.0〜18.0質量%、より好ましくは10.0〜15.0質量%であり、さらに好ましくは11.0〜15.0質量%である。このようなセメントの鉱物組成の範囲であれば、超高強度繊維補強コンクリート3の高い圧縮強度と高い流動性とを確保できる。
また、セメントの粒度は、45μmふるい残分が、上限で25.0質量%未満であり、好ましくは20.0質量%であり、より好ましくは18.0質量%であり、さらに好ましくは16.0質量%である。45μmふるい残分の下限は、0.0質量%であり、好ましくは1.0質量%であり、より好ましくは2.0質量%である。セメントの粒度がこの範囲であれば、超高強度繊維補強コンクリート3の高い圧縮強度を確保できる。また、このようなセメントを使用して調製したコンクリートスラリーは、適度な粘性があるため、繊維を添加した場合に十分な分散性が確保できる。
セメントのブレーン比表面積は、好ましくは2500〜4800cm/g、より好ましくは2800〜4000cm/g、さらに好ましくは3000〜3600cm/gであり、特に好ましくは3100〜3500cm/gである。セメントのブレーン比表面積が2500cm/g未満では、超高強度繊維補強コンクリート3の強度が低くなる傾向がある。一方、セメントのブレーン比表面積が4800cm/gを超えると低水セメント比での流動性が低下する傾向がある。
本実施形態の超高強度繊維補強コンクリート3に適用するセメントの製造は、通常のセメントを製造する場合と比較して、特に異なる操作を行う必要は無い。セメントは、石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト等の原料の調合を目標とする鉱物組成に応じて変え、実機キルンで焼成した後、得られたクリンカーに石膏を加えて所定の粒度に粉砕することによって製造することができる。焼成するキルンには、一般的なNSPキルンやSPキルン等を使用することができ、粉砕には一般的なボールミル等の粉砕機が使用可能である。また、必要に応じて、2種以上のセメントを混合することもできる。
<<シリカフューム>>
シリカフュームは、金属シリコン、フェロシリコン、電融ジルコニア等を製造する際に、発生する排ガス中のダストを集塵して得られる副産物であり、主成分は、アルカリ溶液中で溶解する非晶質のSiOである。シリカフュームの平均粒子径は、好ましくは0.05〜2.0μm、より好ましくは0.10〜1.5μm、さらに好ましくは0.18〜0.28μmである。このようなシリカフュームを用いることで、超高強度繊維補強コンクリート3の高い圧縮強度と高い流動性とを確保できる。
本実施形態の超高強度繊維補強コンクリート3において、セメントを基準としたシリカフューム含有量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは10〜18質量%である。また、コンクリート1m当たりのシリカフュームの単位量は、好ましくは35〜380kg/m、より好ましくは58〜253kg/m、更に好ましくは116〜228kg/mである。
<<減水剤>>
減水剤としては、例えば、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、アミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等を使用することができる。低水セメント比での流動性確保の観点から、減水剤として、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を用いることが好ましく、ポリカルボン酸系の高性能減水剤を用いることがより好ましい。本実施形態に係る超高強度繊維補強コンクリート3は、セメントとシリカフュームの合計量100質量部に対して、減水剤を、好ましくは0.5〜6.0質量部、より好ましくは1.0〜4.0質量部、さらに好ましくは1.8〜3.0質量部である。また、コンクリート1m当たりの減水剤の単位量は、好ましくは7〜86kg/m、より好ましくは13〜58kg/m、さらに好ましくは18〜43kg/mである。
<<消泡剤>>
消泡剤として、例えば、特殊非イオン配合型界面活性剤、ポリアルキレン誘導体、疎水性シリカ、ポリエーテル系等が挙げられる。この場合、セメントとシリカフュームの合計量100質量部に対して、消泡剤を好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.02〜1.5質量部、さらに好ましくは0.03〜1.0質量部である。また、コンクリート1m当たりの消泡剤の単位量は、好ましくは0.13〜29kg/m、より好ましくは0.26〜22kg/m、さらに好ましくは0.39〜15kg/mである。
<<細骨材>>
細骨材として、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、石灰石骨材、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等を使用することができる。なお、細骨材の粒度は、10mmふるいを全部通り、5mmふるいを85質量%以上通過する。
<<無機質微粉末>>
無機質微粉末として、例えば、石灰石粉、珪石粉、砕石粉等を使用することができる。無機質微粉末は、石灰石粉、珪石粉、砕石粉等をブレーン比表面積が2500cm/g以上となるまで粉砕又は分級した微粉末であり、細骨材の微粒分を補う目的で配合され、超高強度繊維補強コンクリートの流動性を改善することができる。無機質微粉末のブレーン比表面積は3000〜5000cm/gであることが好ましく、3200〜4500cm/gであることがより好ましく、3400〜4300cm/gであることがさらに好ましい。
本実施形態に係る細骨材と無機質微粉末との混合物は、粒径0.15mm以下の粒群を40〜80質量%、好ましくは45〜80質量%含み、より好ましくは50〜75質量%含む。また、上記混合物は、粒径0.075mm以下の粒群を30〜80質量%、好ましくは35〜70質量%含み、より好ましくは40〜65質量%含む。無機質微粉末の含有量が30質量%以下では、コンクリートスラリーの粘性が低すぎるため高張力繊維が十分に分散しない恐れがある。無機質微粉末の含有量が90質量%を超えると、微粉量が多すぎて粘性が高くなり、所定のフローを出すためには水セメント比を増やす必要があるため強度低下に繋がる恐れがある。
セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して、細骨材を10〜60質量部、無機質微粉末を10〜60質量部含むことが好ましく、細骨材を15〜50質量部、無機質微粉末を15〜50質量部含むことがより好ましく、細骨材を15〜30質量部、無機質微粉末を15〜30質量部含むことがさらに好ましい。また、コンクリート1m当たりの細骨材及び無機質微粉末の単位量は、好ましくは140〜980kg/m、より好ましくは300〜900kg/m、さらに好ましくは600〜900kg/mである。
<<高張力繊維>>
本実施形態に係る超高強度繊維補強コンクリート3は、高張力繊維をさらに含む。高張力繊維として、例えば、金属繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。金属繊維として、例えば、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス合金繊維等を使用することができる。
高張力繊維の繊維径は、0.05〜1.20mmが好ましく、0.08〜0.70mmがより好ましく、0.10〜0.35mmがさらに好ましく、0.12〜0.20mmが特に好ましい。
高張力繊維の繊維長は、3〜60mmが好ましく、5〜35mmがより好ましく、7〜20mmがさらに好ましく、9〜15mmが特に好ましい。高張力繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、40〜250が好ましく、50〜200がより好ましく、60〜170がさらに好ましく、70〜140が特に好ましい。
高張力繊維の引張強度は、100〜10000N/mmが好ましく、500〜5000N/mmより好ましく、2000〜3000N/mmがさらに好ましく、1500〜2500N/mmが特に好ましい。
高張力繊維の密度は、1〜20g/cmが好ましく、3〜15g/cmがより好ましく、5〜10g/cmがさらに好ましい。
このような高張力繊維を用いることで、超高強度繊維補強コンクリート3に高いじん性、高い圧縮強度、高い引張強度及び高い流動性を付与することができる。
また、高張力繊維は、超高強度繊維補強コンクリート3に対して外割りで(すなわち、超高強度繊維補強コンクリート3における、高張力繊維を除いた組成物100体積%に対して)、好ましくは0.3〜5.0体積%、より好ましくは0.5〜3.0体積%、さらに好ましくは1.0〜2.5体積%含むことによって、超高強度繊維補強コンクリート3の高いじん性が得られる。なお、高張力繊維が5.0体積%を超えると、コンクリートの練混ぜが困難になる場合がある。また、コンクリート1mに対する高張力繊維の配合量は、好ましくは23〜393kg、より好ましくは39〜236kg、さらに好ましくは79〜196kgである。
<<水>>
本実施形態に係る超高強度繊維補強コンクリート3は、水を含む。水の配合量は、セメントとシリカフュームの合計量100質量部に対して、水を好ましくは10〜25質量部、より好ましくは12〜20質量部、さらに好ましくは13〜18質量部である。コンクリート1m当たりの単位水量は、好ましくは180〜280kg/m、より好ましくは190〜270kg/m、さらに好ましくは200〜250kg/mである。
<<その他の添加剤、粗骨材>>
本実施形態に係る超高強度繊維補強コンクリート3には、必要に応じて、膨張材、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、ガラス繊維、有機繊維、合成樹脂粉末、ポリマーエマルジョン、ポリマーディスパージョン等を1種以上添加してもよい。
さらに、本実施形態に係る超高強度繊維補強コンクリート3に、粗骨材を適量組み合わせてもよいが、粗骨材を入れずにモルタルとしてもよい。粗骨材の量や、水の量は、目標圧縮強度、じん性、目標スランプに応じて適時変えればよい。粗骨材としては、砂利、砕石、石灰石骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材等を使用することができる。また、5mmの篩いに85質量%以上とどまる粗骨材がより好ましい。
<<超高強度繊維補強コンクリートの製造方法>>
本実施形態に係る超高強度繊維補強コンクリート3の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、水及び減水剤以外の材料の一部又は全部を予め混合しておき、次に、水、減水剤を添加してミキサに入れて練り混ぜる。また、繊維を配合する場合は、コンクリートを製造した後にミキサに添加し、さらに練り混ぜる。コンクリートの練混ぜに使用するミキサは、特に限定されず、コンクリート用ミキサ、二軸強制練りミキサ、パン型ミキサ、グラウトミキサ等を使用することができる。
上述した本実施形態の超高強度繊維補強コンクリート3は、例えば、高強度が求められるPC梁、高耐久性パネル、ブロック耐震壁などに有効である。高張力繊維を添加することによって、橋梁等の鉄筋量を減らすことが可能となる。また、本実施形態の超高強度繊維補強コンクリート3は、橋梁の補修・補強等にも有効である。
<円柱供試体の製造方法>
次に、上述した円柱供試体の製造装置1、2を用いた円柱供試体3Bの製造方法について、図1、図2を参照しつつ説明する。なお、図1(a)〜(c)に示す製造装置1と、図2(a)〜(c)に示す製造装置2とは、楔30の上下の配置、楔ホルダ40の有無が相違するだけであり、以下の円柱供試体3Bの製造方法の説明は、図1及び図2の両方に適合する。
<<第1工程>>
第1工程として、第1型枠10のキャビティ13内に、5つの楔30、30、30、30、30を配置する。図1に示す製造装置1の場合は、楔ホルダ40の5つの取付孔に、各楔30の楔本体31を挿通させ、楔ホルダ40を第1型枠10の上方に設置すればよい。これにより、図1(a)、(b)に示すように、各楔30の楔本体31が、第1型枠10のキャビティ13内において一列に等間隔で配置される。一方、図2に示す製造装置2の場合は、第1型枠10の底板12に設けられた5つの取付孔に、各楔30の楔本体31を下方から挿通さればよい。これにより、図2(a)、(b)に示すように、各楔30の楔本体31が、第1型枠10のキャビティ13内において一列に等間隔で配置される。第1工程の実施例を、図3(a)、(b)に示す。
<<第2工程>>
第2工程として、4つの第2型枠20、20、20、20内に、それぞれ超高強度繊維補強コンクリート3を流し込む。この第2工程の超高強度繊維補強コンクリート3は、実際に施工した構造体に用いた超高強度繊維補強コンクリート3と同じものである。超高強度繊維補強コンクリート3を流し込んだ後に、例えば、各第2型枠20の上部開口をビニルシートでシールしてもよい。このような構成とした場合は、超高強度繊維補強コンクリート3を流し込んだ各第2型枠20の取り扱いが容易となる。第2工程の各第2型枠の実施例を、図3(c)に示す。
<<第3工程>>
第3工程として、第1型枠10のキャビティ13内に、4つの第2型枠20、20、20、20を、それぞれ一列に等間隔で配置する。上述した第1工程において、第1型枠10のキャビティ13内に、5つの楔本体31、31、31、31、31が一列に等間隔で配置されている。この第3工程では、隣り合う2つの楔本体31の間に、それぞれ第2型枠20を配置すれば、各第2型枠20は、第1型枠10のキャビティ13内において一列に等間隔で配置される。第3工程の実施例を、図3(c)に示す。
<<第4工程>>
第4工程として、第1型枠10のキャビティ13内に、超高強度繊維補強コンクリート3を流し込む。この第3工程の超高強度繊維補強コンクリート3は、実際に施工した構造体に用いた超高強度繊維補強コンクリート3と同じものである。第1型枠10のキャビティ13内に流し込んだ超高強度繊維補強コンクリート3の高さは、各第2型枠20の高さと同じになるようにする。第1型枠10のキャビティ13内で成形される模擬平板3Aと、各第2型枠20内で成形される円柱供試体3Bとの諸条件を同じにするためである。第4工程の実施例を、図3(c)、(d)に示す。
この第4工程の後、実際に施工した構造体に用いた超高強度繊維補強コンクリート3と同じ養生期間、第1型枠10のキャビティ13内の超高強度繊維補強コンクリート3と、各第2型枠20内の超高強度繊維補強コンクリート3とを養生させる。
<<第5工程>>
第5工程として、超高強度繊維強化コンクリート3の硬化後に、第1型枠10のキャビティ13内で成形された模擬平板3Aから各楔30を抜き取る。その後、第1型枠10のキャビティ13内から模擬平板3Aを取り外す。
<<第6工程>>
第6工程として、各楔30を抜き取ることで模擬平板3Aに形成された5つの穴に、順番に工具を打ち込んで、模擬平板3Aを割裂させる。第6工程で用いる工具は、例えば、楔又は鏨である。各楔30を抜き取ることで模擬平板3Aに形成された5つの穴に、これら穴よりも少し大きいサイズの楔又は鏨をハンマーで打ち込むことで、手作業により簡単に模擬平板3Aを割裂させることができる。すなわち、各楔30を抜き取ることで模擬平板3Aに形成された5つの穴は、それぞれ各第2型枠20に隣接して一列に形成される。これらの穴に楔又は鏨をハンマーで打ち込むことで、模擬平板3Aが、各第2型枠20を境にして直線的に割裂される。その後、模擬平板3Aの割れ目に付着した状態の各第2型枠20を容易に取り出すことができる。第6工程の実施例を、図3(e)、(f)に示す。
<<第7工程>>
第7工程として、各第2型枠から円柱供試体3Bを取り出す。各第2型枠から取り出した円柱供試体3Bは、例えば、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じた圧縮強度測定方法に用いることができる。
<<第1〜4工程の順序>>
本実施形態では、上述のとおり、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程の順序で、円柱供試体3Bの製造方法を行うこととした。しかし、第1〜4工程は、第5工程よりも前に行われることが必須であり、その順序は特に限定されるものではない。上述した第1工程、第2工程、第3工程、第4工程の順序を任意に入れ替えても、本実施形態と同様の円柱供試体3Bを製造することができる。
<圧縮強度測定方法>
実際に施工した構造体に用いた超高強度繊維補強コンクリート3の圧縮強度は、例えば、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて測定することができる。すなわち、本実施形態の製造装置1、2によれば、最終的に製造される円柱供試体3Bを、JIS A 1132の「コンクリート強度試験用供試体の作り方」に規定された条件に合致させることができる。この円柱供試体3Bを用いて、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」を行えば、実際に施工した構造体に用いた超高強度繊維補強コンクリート3の圧縮強度を測定することが可能である。具体的には、円柱供試体3Bの上下端面に、一様の速度で荷重を加える。そして、円柱供試体が破壊されるまでに測定された最大荷重(N)及び円柱供試体の直径(mm)に基づいて、圧縮強度(N/mm)を算出する。
<作用効果>
上述した本実施形態の円柱供試体3Bの製造装置1、2、円柱供試体3Bの製造方法、及び円柱供試体3Bを用いた圧縮強度測定方法によれば、簡単な構成、簡単な手順により、超高強度繊維補強コンクリート3からなる構造体の圧縮強度を正確に測定することが可能となる。
すなわち、本実施形態では、第1型枠10のキャビティ13内に、熱伝導の良好な金属からなる第2型枠20を配置し、模擬平板3Aとなる超高強度繊維補強コンクリート3の中で、円柱供試体3Bとなる超高強度繊維補強コンクリート3を分離して成形している。これにより、円柱供試体3Bとなる超高強度繊維補強コンクリート3の水和発熱によって発現される強度を、実際に施工した構造体となる超高強度繊維補強コンクリート3の水和発熱によって発現される強度と近似させることが可能となる。したがって、円柱供試体3Bを用いた圧縮強度測定方法の結果が、より正確なものとなる。
また、本実施形態によれば、超高強度繊維補強コンクリート3の硬化後に、コアドリルを用いることなく、模擬平板3Aを手作業で簡単に割裂させて、円柱供試体3Bを極めて容易に取り出すことができる。したがって、コアドリルを用いてコア供試体を損傷なく採取するための熟練した技術、コアドリルの設置の手間、コアドリル自体のコストが、全て不要となる。
さらに、本実施形態の円柱供試体3Bの製造装置1、2及び製造方法は、構造体の施工現場に存在する各種鋼材、合板、円筒管、工具などの汎用品を利用して実施することができる。したがって、装置を構成するための特別な要素、供試体を採取するための特別な機材を準備する必要がなく、極めて安価に実施することが可能である。
以上、本発明の円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法の実施形態について説明したが、本発明の円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法は、上述した実施形態の構成又は方法に限定されるものではない。
以下、本発明の円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法の実施例について、図3(a)〜(f)及び図4を参照しつつ説明する。
1.超高強度繊維補強コンクリート
<使用材料>
模擬平板及び円柱供試体を製造するための超高強度繊維補強コンクリートには、以下の材料を用いた。
<<セメント>>
石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、銅ガラミ等の原料を調合した。調合した原料をキルンで焼成した後、石膏を加えて粉砕することにより、ポルトランドセメントを調製した。得られたセメントの化学成分を、JIS R 5202−2010「セメントの化学分析方法」に従って測定し、鉱物組成を下記のボーグ式により算出した。
S量=(4.07×CaO)−(7.60×SiO)−(6.72×Al)−(1.43×Fe)−(2.85×SO
S量=(2.87×SiO)−(0.754×CS)
A量=(2.65×Al)−(1.69×Fe
AF量=3.04×Fe
得られたセメントのブレーン比表面積をJIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。また、得られたセメントの45μmふるい残分をセメント協会標準試験方法 JCAS K−02「45μm網ふるいによるセメントの粉末度試験方法」に準じて測定した。
上述したセメントの鉱物組成、ブレーン比表面積、及び45μmふるい残分の測定結果を、下記の表1に示す。
<<シリカフューム>>
シリカフュームの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−950V2」)を用いて測定した粒子径分布より、粒子径−通過分積算%曲線を算出し、粒子径−通過分積算%曲線より通過分積算が50体積%となる粒子径を求めた。その結果、シリカフュームの平均粒子径は、0.24μmであった。シリカフュームの平均粒子径の測定には、試料分散媒として0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いた。測定前に、出力600Wのホモジナイザーにて10分間の分散処理を行った。粒度分布の演算は、Mie散乱理論に従った。粒子屈折率は1.45−0.00i、溶媒屈折率は1.333とした。各粒度の通過分積算(体積%)を、下記の表2に示す。
<<無機質微粉末>>
無機質微粉末として、密度2.71g/cm3、ブレーン比表面積3850cm2/gの石灰石微粉末を用いた。
<<細骨材>>
細骨材として、粒径5mm以下、表乾密度2.62g/cm3、粗粒率2.80の安山岩砕砂を用いた。
<<減水剤、水、高張力繊維>>
減水剤として、ポリカルボン酸系高性能減水剤を用いた。水は、上水道水を用いた。高張力繊維として、密度7.85g/cmの鋼繊維を用いた。
<<第1型枠、第2型枠、楔>>
第1型枠は、厚さ12mmの合板(コンクリートパネル、いわゆる「コンパネ」)によって構成した。第2型枠には、φ5×10cmの鋼製の軽量モールドサミットを用いた。第2型枠の壁部の厚さは、0.2mmとした。楔には、鋼材を用いた。
<超高強度繊維補強コンクリートの調合及び練り混ぜ>
セメント100質量部に対して、シリカフュームを14質量部、細骨材を25質量部、無機質微粉末を26質量部、混和剤を2質量部、水を17質量部の割合で混合し、強制二軸ミキサで練混ぜてモルタルを製造した。練りあがったモルタルに、鋼繊維をほぐしながら加えた。セメント100質量部に対して、鋼繊維を12質量部添加した。
<円柱供試体の製造>
本実施例では、図3(b)に示す第1型枠を使用した。図3(b)に示す第1型枠は、厚さ12mmの合板(コンパネ)によって構成した。第1型枠の底板に、一列に等間隔で5つの取付孔を設けた。
<<第1工程>>
図3(b)に示す第1型枠の底板の各取付孔に、下方から5つの楔をそれぞれ挿通させ、第1型枠のキャビティ内に、各楔を一列に等間隔で配置した。
<<第2工程>>
φ5×10cmの有底円筒状の第2型枠を4つ用意した。上述した方法で製造した超高強度繊維補強コンクリートを、各第2型枠にそれぞれ流し込んだ。超高強度繊維補強コンクリートは、各第2型枠の上部開口に達する量を流し込んだ。その後、各第2型枠の上部開口をビニルシートでシールした(図3(c)を参照)。
<<第3工程>>
第2工程で準備した4つの第2型枠を、第1型枠のキャビティ内に配置した。各第2型枠は、キャビティ内で隣り合う2つの楔の間に1つずつ配置した。これにより、各第2型枠は、キャビティ内において一列に等間隔で並ぶ(図3(c)を参照)。
<<第4工程>>
図3(c)に示すように、上述した方法で製造した超高強度繊維補強コンクリートを、第1型枠のキャビティ内に流し込んだ。図3(d)に示すように、超高強度繊維補強コンクリートは、各第2型枠とほぼ同じ高さに達する量を流し込んだ。その後、所定の養生期間が経過するまで、第1型枠及び第2型枠内の超高強度繊維補強コンクリートを養生させた。
<<第5工程>>
所定の養生期間が経過した後、第1型枠の底板の裏側から5つの楔を抜き取った。その後、その後、第1型枠のキャビティ内から模擬平板を取り外した。
<<第6工程、第7工程>>
図3(e)に示すように、各楔を抜き取ることで模擬平板に形成された5つの穴に、順番に鏨を打ち込んで、模擬平板を割裂させた。模擬平板は、各第2型枠を境にして真っ直ぐに割裂された。その後、図3(f)に示すように、模擬平板の割れ目に付着した状態の各第2型枠を取り出した。そして、各第2型枠からそれぞれ円柱供試体を回収した。
<<圧縮強度測定>>
回収した円柱供試体を用いて、JIS A 1108の「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じた圧縮強度測定を実施した。一方、比較例として、模擬平板の各第2型枠を埋設した近傍の部位から、本実施例の円柱供試体と同寸法のコア供試体を採取した。採取したコア供試体を用いて、JIS A 1107の「コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法」に準じた圧縮強度測定を実施した。実施例の円柱供試体と、比較例のコア供試体との圧縮強度測定の結果を、下記の表3に示す。また、実施例の円柱供試体と、比較例のコア供試体との圧縮強度測定の結果の比較を、図4に示す。
表3の測定結果、及び図4の測定結果の比較によれば、実施例の円柱供試体は、比較例のコア供試体とほぼ同一の圧縮強度を示しており、模擬平板とともに成形した円柱供試体の圧縮強度を、模擬平板の圧縮強度と同等に評価できることが判明した。
1、2 円柱供試体の製造装置
10 第1型枠
11 枠本体
12 底板
13 キャビティ
20 第2型枠
21 キャビティ
30 楔
31 楔本体
32 基部
40 楔ホルダ
3 超高強度繊維補強コンクリート
3A 模擬平板
3B 円柱供試体

Claims (7)

  1. 超高強度繊維補強コンクリートからなる構造体を模した模擬平板から取り出された円柱供試体を製造するための装置であって、
    前記超高強度繊維補強コンクリートにより前記模擬平板を形成するための第1型枠と、
    前記第1型枠内に配置され、前記超高強度繊維補強コンクリートにより前記円柱供試体を形成するための少なくとも一つの円筒状の第2型枠と、
    前記第1型枠内において前記第2型枠に隣接して配置される少なくとも一つの楔と、
    を備える円柱供試体の製造装置。
  2. 前記第2型枠が金属材料によって構成される請求項1に記載の円柱供試体の製造装置。
  3. 前記第2型枠の直径と高さとの比率が1:2である請求項1又は2に記載の円柱供試体の製造装置。
  4. 前記第1型枠内に複数の前記第2型枠が並んで配置され、隣り合う前記第2型枠どうしの間に前記楔がそれぞれ配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の円柱供試体の製造装置。
  5. 前記楔の表面に剥離剤が塗布された請求項1〜4のいずれか1項に記載の円柱供試体の製造装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の円柱供試体の製造装置を用いた円柱供試体の製造方法であって、
    前記第1型枠内に、前記楔を配置する第1工程と、
    前記第2型枠内に、前記超高強度繊維補強コンクリートを流し込む第2工程と、
    前記第1型枠内に、前記第2型枠を配置する第3工程と、
    前記第1型枠内に、前記超高強度繊維補強コンクリートを流し込む第4工程と、
    前記超高強度繊維強化コンクリートの硬化後に、前記模擬平板から前記楔を抜き取る第5工程と、
    前記楔を抜き取ることで前記模擬平板に形成された穴に、工具を打ち込んで前記模擬平板を割裂させ、前記第2型枠を取り出す第6工程と、
    前記第2型枠から前記円柱供試体を取り出す第7工程と、
    を含み、前記第1工程、前記第2工程、前記第3工程、前記第4工程は、少なくとも前記第5工程よりも前に任意の順序で行われる円柱状供試体の製造方法。
  7. 請求項6に記載の円柱供試体の製造方法により製造された前記円柱供試体を用いて、前記超高強度繊維補強コンクリートの圧縮強度を測定する圧縮強度測定方法。
JP2014095433A 2014-05-02 2014-05-02 円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法 Active JP6217513B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014095433A JP6217513B2 (ja) 2014-05-02 2014-05-02 円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014095433A JP6217513B2 (ja) 2014-05-02 2014-05-02 円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015212663A JP2015212663A (ja) 2015-11-26
JP6217513B2 true JP6217513B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=54696997

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014095433A Active JP6217513B2 (ja) 2014-05-02 2014-05-02 円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6217513B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109682665B (zh) * 2019-02-19 2021-11-16 航天材料及工艺研究所 一种碳纤维复丝压缩强度制样及测试方法
JP2021124325A (ja) * 2020-02-03 2021-08-30 清水建設株式会社 鋼繊維が混入された鉄筋コンクリート部材の骨格曲線の評価方法
CN116148068B (zh) * 2023-04-20 2023-07-18 玉田县致泰钢纤维制造有限公司 一种高韧性钢纤维型材强度检测设备

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS50950B1 (ja) * 1969-04-25 1975-01-13
JPS5564749U (ja) * 1978-10-27 1980-05-02
JPS6057252A (ja) * 1983-09-08 1985-04-03 Shimizu Constr Co Ltd マスコンクリ−ト供試体の管理方法および装置
JP3669199B2 (ja) * 1998-07-29 2005-07-06 昌巳 坂本 コンクリート供試体成型型枠
JP2000088720A (ja) * 1998-09-10 2000-03-31 Ohbayashi Corp 脱水コンクリート強度管理用テストピースの作成方法及び作成装置
US6510743B2 (en) * 2000-04-13 2003-01-28 Mcafee Ralph Glenn Reusable in situ concrete test specimen apparatus and method
JP4165651B2 (ja) * 2004-03-30 2008-10-15 戸田建設株式会社 コンクリート試験片の採取装置
JP4060872B2 (ja) * 2005-03-31 2008-03-12 住友大阪セメント株式会社 付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015212663A (ja) 2015-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hutagi et al. Flexural behavior of reinforced geopolymer concrete beams
Hanumesh et al. Influence of polypropylene fibres on recycled aggregate concrete
Dumne Effect of superplasticizer on fresh and hardened properties of self-compacting concrete containing fly ash
JP6217513B2 (ja) 円柱供試体の製造装置、製造方法及び圧縮強度測定方法
JP2015024947A (ja) 高強度セメントモルタル組成物及び高強度セメントモルタル硬化体の製造方法
Alabi et al. Investigation on the potentials of cupola furnace slag in concrete
JP2015020925A (ja) プレパックドコンクリート工法やポストパックドコンクリート工法に使用される海水練りモルタル、及び、これらの工法を用いた寒中コンクリートの製造方法
JP6031281B2 (ja) ペースト組成物
JP2009007925A (ja) 鋼橋用床版
JP2015218497A (ja) 耐震補強構造体及び耐震補強工法
JP5735288B2 (ja) 高強度ペースト組成物
JP4188378B2 (ja) 曲げ強度試験用供試体の製造方法
JP2014019588A (ja) ペースト組成物及びモルタル組成物
Eme et al. Effect of coarse aggregate gradation on workability and flexural strength of cement concrete
JP2015028281A (ja) 鉄筋補強セメント系構造体
Joohari et al. Mechanical properties of lightweight concrete using recycled cement-sand brick as coarse aggregates replacement
Sam et al. Self compacting concrete with recycled coarse aggregates
Zamri et al. Performance of medium strength of steel fibre reinforced self-compacting concrete (SFRSCC)
JP6063159B2 (ja) ペースト組成物
Ahmad et al. To study the properties of selfcompacting concrete using recycled aggregate and polypropylene fibre
Katzer1a et al. Optimal composition of blended waste ceramic aggregate
Saeed et al. Strength and behavior of self compacting concrete with glass waste as partial replacement for coarse aggregate under elevated temperatures
JP2012144404A (ja) 高じん性・高強度モルタル組成物
JP2001039747A (ja) コンクリート組成物及びコンクリート
Priyadharshini et al. Experimental Investigation on Strength and Characteristics of Concrete with Partial Replacement on Fine and Coarse Aggregate by Using Copper Slag and Recycled Coarse Aggregate

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160201

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170315

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6217513

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250