JP4060872B2 - 付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具 - Google Patents

付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具 Download PDF

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Description

本発明は、付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具に関し、特に、模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具に関する。
重交通下におけるグースアスファルト舗装を施された鋼床版では、グースアスファルトの剛性が小さいので鋼床版上面の部材変形によりUリブなどのトラフ部材に面外変形や面内応力を生ぜしめ、この面外挙動が原因となって鋼床版上面とUリブなどのトラフ部材の部材接合部において疲労亀裂が生じやすい。特にこの現象は、グースアスファルトが軟化し剛性が低下する夏期において顕著となる。したがって、補強プレートの設置工事などの応急補修を頻繁に行わないと、グースアスファルト舗装を施された鋼床版は供用に支障を来たすことが明らかになってきた。しかも、補強プレートの設置工事などの応急補修は、その工事の都度に夜間通行止めか片側車線規制などの交通規制を行う必要があり、幹線道路では交通渋滞を招くため、恒久対策工法の確立が必要となっている。
恒久対策工法として、鋼床版上面厚さの増加、疲労設計を配慮した溶接仕上げの精度向上、及び鋼繊維補強コンクリートによる鋼床版との一体化などが挙げられる。しかしながら、鋼床版上面厚さの増加、及び疲労設計を配慮した溶接仕上げの精度向上などの対策は、鋼床版上面の下にUリブなどのトラフ部材が溶接されている鋼床版において、供用下にあっては採用が不可能である。
一方、繊維補強コンクリートによる鋼床版との一体化は、グースアスファルトに替えて剛性の大きく、変形抑制効果が大きいコンクリートを、鋼床版上面に接着剤及びジベルにより一体化させるものであり、供用下にある鋼床版において適用できる効果的な補修工法といえる。ただし、供用下にある鋼床版は交通渋滞を避けるために、補修工事に要する時間の制約を受ける。そのため、通常のコンクリートに比べて格段に硬化速度の早い超速硬コンクリートを、同様に硬化速度が早い樹脂系の接着剤と組み合わせて用いる場合が多い。
繊維補強超速硬コンクリートによる鋼床版の補強効果は、鋼床版とグースアスファルトに替えて打込まれる繊維補強超速硬コンクリートが、接着剤及びジベルによって一体化されることによって、初めて補強効果が発揮される。ジベルは鋼床版上面に溶接されたボルト状の突起物であり、その突起物形状によるせん断抵抗力及び繊維補強超速硬コンクリートの付着強度により一体化が図られるものである。したがって、その補強効果はジベルの溶接強度及び繊維補強超速硬コンクリートの付着強度に依存する。
ジベルの溶接強度は、自動溶接システムにより担保される。また、繊維補強超速硬コンクリートの付着強度は、その圧縮強度と密接な関係があるため、繊維補強超速硬コンクリートが所定の圧縮強度を確保することにより担保される。すなわち、ジベルによる一体化の補強効果は、上記の自動溶接システム、及び繊維補強超速硬コンクリートの圧縮強度の確保により、ほぼ安定したものが得られる。
しかしながら、接着剤による鋼床版と繊維補強超速硬コンクリートとの付着強度は、鋼床版の上面の状況、接着剤と繊維補強超速硬コンクリートの材料特性の相互作用、あるいは温度や湿度などの環境条件の影響も極めて敏感に受けるため、事前に現場条件を再現した試験体等を使用して測定し、確認する必要がある。
この場合、実際の鋼床版と同様な模擬試験体を使用して、実際の施工手順に従い、鋼床版上面にジベルを設置し、接着剤を塗布し、繊維補強超速硬コンクリートをコンクリートフィニッシャーで締固め後、所定の材齢において模擬鋼床版上面より数ミリメーターまでコアボーリングを行い、建研式付着強度試験(独立行政法人建築研究所の指導により製作された接着剥離試験器を用いた垂直引張り試験を意味する。)により繊維補強超速硬コンクリートコアの模擬鋼床版との付着強度を測定するのが最も確実な測定方法である。
しかしながら、施工現場毎、温度や湿度などの環境条件が変化する毎、あるいは接着剤や繊維補強超速硬コンクリート材料の種類や銘柄が変わる毎に、前述の付着試験を行うことは大変な労力を伴い、現実的ではない。また、早期交通解放を目的に使用される超速硬コンクリートは、材齢3時間において目標強度を満足することが要求されるため、同様な材齢において繊維補強超速硬コンクリートによる鋼床版との一体化の達成が要求される。この場合、材齢3時間において付着強度を測定するには、その材齢以前にコアボーリングを開始する必要があるが、十分に硬化が進んでいない、あるいは急激に硬化が進展途上の繊維補強超速硬コンクリート組織を傷める可能性があり、好ましくない。
さらに、建研式付着強度試験により正確に付着強度を求めるために、模擬鋼床版上面より数ミリメーターまでコアボーリングを行う必要があり、これは模擬鋼床版およびコアビットを傷めることになり、同様に好ましくない。また、試験体の規模が大きく、繰返し再利用が困難なことにより、廃棄に伴う環境負荷の問題も生じることになる。なお、上述した従来技術においては、繊維補強超速硬コンクリートを中心に説明したが、これに限らず、普通ポルトランドセメントや鋼繊維などの繊維を含まないコンクリートなど、他のコンクリートに対しても同様な問題を有している。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、特に、コアボーリングによるコンクリート組織の損傷による測定値の信頼性の低下、鋼床版およびコアビットの損傷、試験体の廃棄に伴う環境負荷の問題などを解消し、精度を著しく損ねることなく、接着剤による鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明では、模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法において、模擬鋼床版上に樹脂系接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、試験体を成形する枠体を該接着剤上に配置する枠体配置工程と、少なくとも該枠体内に試験体となるコンクリートを詰め込むコンクリート打込み工程と、試験すべき所定材齢の経過前に付着試験装置と協働する端板を試験体の上面に接着する試験端板接着工程と、該所定材齢経過後かつ該支持部材除去工程後に、該端板に付着試験装置を取り付け、付着強度試験を行う試験工程とを含むことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法において、模擬鋼床版上に樹脂系接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、試験体を成形する枠体を該接着剤上に少なくとも2つ以上保持するための支持部材を設置する支持部材設置工程と、該支持部材の所定の位置に該枠体を配置する枠体配置工程と、該枠体内に試験体となるコンクリートを詰め込むコンクリート打込み工程と、試験すべき所定材齢の経過前に付着試験装置と協働する端板を試験体の上面に接着する試験端板接着工程と、該試験端板の接着工程の前後に、該支持部材を除去する支持部材除去工程と、該所定材齢経過後かつ該支持部材除去工程後に、該端板に付着試験装置を取り付け、付着強度試験を行う試験工程とを含むことを特徴とする。
請求項3に係る発明では、請求項2に記載の付着試験方法において、該コンクリート打込み工程の際には、該枠体の開口部以外の表面は、該模擬鋼床版上に該コンクリートが付着しないように被覆部材が配置されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、請求項3に記載の付着試験方法において、該被覆部材は、該支持部材の一部を構成していることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、請求項1に記載の付着試験方法において、該コンクリート打込み工程の際には、該枠体外にもコンクリートを詰め込むことを特徴とする。
請求項6に係る発明では、請求項5に記載の付着試験方法において、該コンクリート打込み工程の前には、該枠体外の接着剤上には、コンクリートと接着剤との結合を防止する結合防止手段が施されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明では、請求項1乃至6のいずれかに記載の付着試験方法において、該枠体は断熱性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
請求項8に係る発明では、請求項1乃至7のいずれかに記載の付着試験方法において、該模擬鋼床版には、施工現場の鋼床版の温度変化を再現する加熱手段が設けられていることを特徴とする。
請求項9に係る発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の付着試験方法において、該模擬鋼床版は、全ての試験工程が終了後、残存するコンクリートや樹脂系接着剤が除去され、再度、付着試験に利用可能であることを特徴とする。
請求項10に係る発明では、請求項1乃至9のいずれかに記載の付着試験方法において、該枠体又は該支持部材であって、該コンクリートや該樹脂系接着剤と接する箇所には、これらの材料との結合を妨げる材料が使用されていることを特徴とする。
請求項11に係る発明では、請求項1乃至10のいずれかに記載の付着試験方法において、該コンクリートが鋼繊維補強コンクリート又は鋼繊維補強超速硬コンクリートであることを特徴とする。
請求項12に係る発明では、請求項1乃至11のいずれかに記載の付着試験方法に用いる付着試験用用具において、該模擬鋼床版を底板とし、該底板に着脱自在の側板を設けることを特徴とする。
請求項13に係る発明では、請求項1乃至11のいずれかに記載の付着試験方法に用いる付着試験用用具において、底板に用いる該模擬鋼床版に、樹脂系接着剤が底板から流出することを防止する流出防止手段を設けたことを特徴とする。
請求項14に係る発明では、請求項12又は13に記載の付着試験用用具において、該側板又は該底板には、把持手段が取り付けられていることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、枠体を利用して、樹脂系接着剤を塗布した模擬鋼床版上に、試験体である各種のコンクリートを配置可能とするため、コアボーリング作業が不要となり、コアボーリングによるコンクリート組織の損傷による測定値の信頼性の低下および模擬鋼床版・コアビットの損傷の発生を抑制することができる。しかも、模擬鋼床版はコアボーリングによる損傷がないため、再利用が可能であり、試験体の廃棄に伴う環境負荷の問題も解消することができる。
請求項2に係る発明により、枠体及び支持部材とを利用して、樹脂系接着剤を塗布した模擬鋼床版上に、複数の試験体である各種のコンクリートを所定の位置に配置可能とするため、各試験体が他の試験体に及ぼす影響を排除することが可能となると共に、コアボーリング作業が不要となり、コアボーリングによるコンクリート組織の損傷による測定値の信頼性の低下および模擬鋼床版・コアビットの損傷の発生なども抑制することができる。しかも、模擬鋼床版はコアボーリングによる損傷がないため、再利用が可能であり、試験体の廃棄に伴う環境負荷の問題も解消することができる。
請求項3に係る発明により、コンクリート打込み工程の際には、枠体の開口部以外の表面は、模擬鋼床版上にコンクリートが付着しないように被覆部材が配置されているため、枠体内以外に該コンクリートが付着せず、模擬鋼床版を再利用する際に、コンクリートの試験体を模擬鋼床版から引き離す試験工程を経るだけで、模擬鋼床版に付着したコンクリートを全て除去することが可能となる。
請求項4に係る発明により、被覆部材は、支持部材の一部を構成しているため、支持部材を模擬鋼床版上に設置するだけで、被覆部材の配置も一度に行うことが可能となり、付着試験方法の作業の簡素化・効率化を図ることが可能となる。
請求項5に係る発明により、コンクリート打込み工程の際には、枠体外にもコンクリートを詰め込むため、試験体からの熱量の放出を抑制し、実際の施工現場に近い状況で付着試験が行え、試験の精度を向上させることが可能となる。
請求項6に係る発明により、コンクリート打込み工程の前には、枠体外の接着剤上には、コンクリートと接着剤との結合を防止する結合防止手段が施されているため、枠体外に打込みしたコンクリートを試験終了後には、容易に除去することが可能となる。
請求項7に係る発明により、枠体は断熱性を有する材料で構成されているため、コンクリートの試験体からの熱量の放出を抑制し、実際の施工現場により近い状況で付着試験を行え、試験の精度を向上させることが可能となる。
請求項8に係る発明により、模擬鋼床版には、施工現場の鋼床版の温度変化を再現する加熱手段が設けられているため、実際の施工現場に近い状況で付着試験が行え、試験の精度を向上させることが可能となる。
請求項9に係る発明により、模擬鋼床版は、全ての試験工程が終了後には付着試験部分のコンクリート部分及び接着剤部分が残存するだけのため、残存するコンクリートや樹脂系接着剤が容易に除去でき、再度、付着試験に利用可能となり、試験体の廃棄に伴う環境負荷の問題も解消することができる。
請求項10に係る発明により、枠体又は支持部材であって、コンクリートや樹脂系接着剤と接する箇所には、これらの材料との結合を妨げる材料が使用されているため、枠体内に打込まれるコンクリートと枠体との付着を切り、試験体の付着試験の精度を確保することが可能となる。しかも、枠体又は支持部材の下端と模擬鋼床版間の樹脂系接着剤による付着や、枠体又は支持部材とコンクリートとの付着などを切るため、試験終了後、枠体又は支持部材を模擬鋼床版から容易に除去できると共に、これらに付着したコンクリートや樹脂系接着剤も容易に除去することができるため、これらの枠体又は支持部材を再利用することが可能となる。
請求項11に係る発明により、本発明に係る付着試験方法を、供用下にある鋼床版の補修工法に多用される鋼繊維コンクリート又は鋼繊維補強超速硬コンクリートに適用するため、接着剤による鋼床版と鋼繊維コンクリート又は鋼繊維補強超速硬コンクリートとの付着強度の測定を、より正確かつ効率良く実施することが可能となる。
請求項12に係る発明により、模擬鋼床版を底板とし、該底板に着脱自在の側板を設けるため、側板装着時には、樹脂系接着剤の該模擬鋼床版外への漏出防止や、支持部材の位置決め機能を、該側板が果たす。また、側板非装着時には、試験器を装着する際に側板が妨げとならず容易に付着強度試験を実施することが可能となる。しかも、底板に付着したコンクリートや樹脂系接着剤などの除去作業も容易であり、必要に応じて、底板のみを交換することも可能となる。
請求項13に係る発明により、底板に用いる模擬鋼床版に、樹脂系接着剤が底板から流出することを防止する流出防止手段を設けているため、請求項7に係る発明のように側板を使用することなく、底板のみで付着強度試験を行うことも可能である。また、仮に、側板を使用する場合にでも、底板と側板との間に樹脂系接着剤が流入しないため、底板と側板との取外しを円滑に行うことが可能となる。
請求項14に係る発明により、側板又は底板には、把持手段が取り付けられているため、試験体が付着した模擬鋼床版であっても、該把持手段を利用して容易に搬送することが可能となる。
以下、本発明に係る付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具について、詳細に説明する。
図1は、本発明に係る付着試験用用具の一例を示す概略図である。付着試験用用具は、建研式付着強度試験装置(ストローク調整のためのリング状架台を含む)の設置及び所定の形状(例えば、円柱状)の試験体を複数個配置できる平面形状(具体的には、幅500mm×長さ500mm×厚さ9mmが利用可能であるが、これに限られるものではない。)の模擬鋼床版1と、接着剤を塗布した時にその接着剤が流出することを防ぐしきり材である側板2,3が合計4枚(例えば、幅10mm×長さ480mm×高さ70mmが2枚,幅10mm×長さ500mm×高さ70mmが2枚で構成される。)とを、ねじ込み式皿ボルト9などにより、固定し、模擬鋼床版を底板とする容器形状を形成したものである。
各ボルト9は、模擬鋼床版1を固定する際には、側板2又は3に設けられた貫通孔4を介して模擬鋼床版1のネジ穴6に締結され、また、側板2及び3を固定する際には、側板2の貫通孔5を介して側板3のネジ穴7に締結される。なお、図1においてはボルト9を利用して模擬鋼床版1及び側板2,3などを固着する方法を示したが、本発明はこれらの固着方法に限るものではなく、模擬鋼床版と側板が必要に応じて着脱自在であり、固着した際に、模擬鋼床版と側板との接合箇所から樹脂系接着剤が洩れることが無いよう両者を密着可能な構造であれば、当該技術分野で公知の固着手段を使用することが可能である。
また、図5に示すように、底板となる模擬鋼床版30の周囲に、樹脂系接着剤が底板から流出するのを防止するため、2mm程度の枠31を流出防止手段として設置し、上から側板のみから構成される箱を設置することで、付着試験用用具を構成することも可能である。なお、流出防止手段は図5に示す枠31に限らず、底板の周囲が上方に傾斜した傾斜面とすることも可能である。
さらに、図1などに示すように側板2及び3、または図5に示す底板30には、付着試験用用具(例えば、図1又は5全体)を持ち運び可能とするための把持手段8,32が設けられている。
次に、樹脂系接着剤による模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法の第1例について説明する。なお、以下の説明では、コンクリートとして鋼繊維補強超速硬コンクリートを中心に説明するが、本発明が適用されるコンクリートはこれに限られるものではなく、普通ポルトランドセメントや、鋼繊維を含まないコンクリートなど多様なコンクリートに対して本発明を適用できることは、言うまでもない。
(1)模擬鋼床版の表面処理
模擬鋼床版の上面を、実際に施工する状態と同様な状態に、例えば、ショトブラストなど行い、表面処理を行う。
(2)付着試験用用具の形成
側板2,3を模擬鋼床版1にボルト9により固定し、上述した付着試験用用具を形成する。(図1又は図2(a)を参照。)
(3)接着剤塗布工程
模擬鋼床版1の上面に、実際に施工する樹脂系接着剤10を所定量塗布する。(図2(b)参照。)
(4)支持部材設置工程
模擬鋼床版1の上面(接着剤10上)に、試験体を成形する枠体を少なくとも2つ以上、所定位置に配置するため、該枠体を保持するための支持部材を設置する。
支持部材の構成例としては、図2(c)に示すように、枠体を挿入可能な挿入孔を有する天板11と該天板11を模擬鋼床版1から所定間隔に保持するスペーサ12とから構成される。支持部材の構成としてはこれに限らず、枠体を所定の位置に位置決め可能であり、かつ、枠体の外側に溢れた鋼繊維補強超速硬コンクリートが模擬鋼床版1に落下し付着し無いように、天板11のように枠体の開口部以外の表面を覆う被覆部材を有している物なら、特に限定されない。
支持部材で重要な特徴の一つは、上述したスペーサ12のような接着剤10に接する部材には、接触面に接着剤との接合を防止するため、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどの付着防止フィルム又は付着防止処理を施すことである。このような構成により、付着試験工程において支持部材を除去する作業を容易に行うことが可能となる。
また、天板11を付着試験用用具の側板2又は3の上端部で保持する構成を採用することにより、スペーサ12を省略することも可能である。さらに、支持部材の設置や取り外しを容易にするため、天板11を2つ以上の複数のパーツに分割して構成したり、天板11を作業者が持ち易いように、天板上に把持部を形成したり、天板自体に指などを挿入する作業孔を必要個数だけ形成することも可能である。ただし、このような作業孔は、鋼繊維補強超速硬コンクリートを打ち込み作業時には、粘着テープなどで閉塞することが好ましい。
(5)枠体配置工程
支持部材の挿入孔に、枠体13を配置する。(図2(d)参照。)枠体としては、種々の形状及び材料が利用可能であるが、塩化ビニル管を所定長さに切断して利用するのが、安価であり簡便でもある。枠体の大きさとしては、建研式付着強度試験装置がリング状架台を通して設置されるため、該リング状架台の内側に収まる大きさの物が好ましい。なお、支持部材設置工程の前に枠体を模擬鋼床版1上に配置し、該枠体を保持するように支持部材を設置することも可能である。
枠体の内面には、例えば、テフロンシート(「テフロン」は登録商標)を密着させ、枠体の上下端は樹脂系接着剤や鋼繊維補強超速硬コンクリートに付着しないポリ塩化ビニリデンフィルムなどのビニールシートを配置する処理を施す。建研式付着試験装置を用いて付着試験を実施する際に、枠体内に打込まれるコンクリートと枠体との付着を切り、試験体の付着試験の精度を確保することが可能となる。しかも、枠体又は支持部材の下端と模擬鋼床版間の樹脂系接着剤による付着や、枠体又は支持部材とコンクリートとの付着などを切るため、試験終了後、枠体又は支持部材を模擬鋼床版から容易に除去できると共に、これらに付着したコンクリートや樹脂系接着剤も容易に除去することができるため、これらの枠体又は支持部材を再利用することが可能となる。
また、支持部材の枠体挿入孔は、枠体の挿入を容易とするため、枠体の外縁より数mm程度大きな孔を有している。このため、枠体が支持部材の挿入孔の中で十分固定されない場合には、必要に応じて、楔などを枠体と挿入孔との隙間に差し込むことも可能である。さらに、支持部材と枠体とを一体化することも可能であるが、支持部材は付着試験時には取り外す必要があること、しかも、枠体は試験すべき所定の材齢が経過するまでは、枠体を残すことが好ましく、枠体を除去し試験体の内部側面を外部の空気や風雨に曝し、結果として、実際のコンクリート施工時と異なる状況が出現するのを防止する必要がある。これらのことを総合的に勘案すると、複数の試験体を異なる材齢で試験する場合には、支持部材と枠体とを別体とする方が好ましい。
(6)コンクリート打込み工程
図2(e)に示すように、枠体13の内部に、試験体となる鋼繊維補強超速硬コンクリートを詰め込む。鋼繊維補強超速硬コンクリートとしては、種々の材料が使用可能であるが、例えば、マイルドジェットセメント(住友大阪セメント株式会社製)を用いた鋼繊維補強超速硬コンクリートなどがある。
また、鋼繊維補強超速硬コンクリートは、樹脂系接着剤を塗布後所定の時間に枠体内に詰め、突き棒により実施工と同様な程度に締固める。締固め後、塩ビ管の上面を均し、表面仕上げを行い、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどのビニールシートや、防炎シート又は気泡シートなど、実際の施工に用いるシートなどを利用し封緘養生とする。
(7)試験端板接着工程
試験すべき所定材齢の経過前に付着試験装置と協働する試験端板15を試験体の上面に接着する。(図2(g)参照。また、図3は、図2(g)の状態を示す、斜視図である。)
具体的には、所定の材齢(例えば、材齢3時間,6時間,7日)の経過1時間前(1時間は、端板15をエポキシ樹脂などで十分に接着するのに必要な時間を意味している。)に、枠体の上面を覆っているポリ塩化ビニリデンフィルムなどを剥がし、ワイヤーブラシなどで表面をこすり、建研式付着試験装置の部品であり、試験体に接合する端板15をエポキシ樹脂などに該表面に接着する。
(8)支持部材除去工程
試験端板15の接着工程の前後に、支持部材11,12を除去する。図2(f)は、端板15を接着する前に支持部材を除去した様子を示す。支持部材は、付着試験前で、かつ支持部材の取り外し作業時に、鋼繊維補強超速硬コンクリートと樹脂系接着剤との接合に影響を与えない時期であるなら、何時除去しても良い。また、除去に際しては、上述した天板11に設けられた作業孔がある場合には、該孔に指を挿入し、垂直に引揚げて取り外すことが好ましい。
(9)試験工程
所定材齢経過後かつ支持部材除去工程後に、試験端板15に付着試験装置を取り付け、付着強度試験を行う。試験の様子を図4に示す。
付着強度試験は、模擬鋼床版1に対して端版15を鉛直方向に持ち上げ、樹脂系接着剤10を介して模擬鋼床版1に接着している鋼繊維補強超速硬コンクリート14が、模擬鋼床版1から引き剥がされる際の圧力(引き剥がし時の印加された力を、コンクリート14の模擬鋼床版1との接合面積で除した値となる。)を測定することにより行われる。
具体的には、建研式付着試験装置21を試験体(枠体13)を取り囲むリング状架台20上に載せ、試験端板15にクランプ金具22を連結する。ハンドル23を所定方向に回すことにより、クランプ金具22全体を上方向に油圧作動させ、端板15を上方に持ち上げる。この際のクランプ金具22に加わる上方の印加力(予め試験体の設置面積が解っている場合には圧力を表示させることも可能である)は、メータ24に表示される。そして、鋼繊維補強超速硬コンクリート14が模擬鋼床版1から引き剥がされる際の最大の印加力が、メータ24に残留表示されるよう設定されている。建研式付着試験装置は、図4に示す以外に、自動的に加圧し、測定値を電子的に表示するものなど各種の計測器を使用することが可能である。
(10)後工程(再利用化処理)
全ての付着強度試験が終了した後、ボルト9などを外し、模擬鋼床版1と側板2,3とを分離する。模擬鋼床版は、バナーあるいはウォータージェットなどにより樹脂系接着剤を取り除き、所定の表面仕上げ、例えばショットブラストをかけるなどの処理を行い、他の付着試験に再利用される。なお、模擬鋼床版1と側板2,3とを分離する時期は、試験工程の前に行い、付着試験装置やリング状架台の設置場所の自由度を高めておくことも可能である。
次に、樹脂系接着剤による模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法の第2例について説明する。
上述した付着試験方法は、複数の試験体を所定の間隔で配置し、各試験体が他の試験体に及ぼす影響を抑え、安定した試験を行う上では好ましく、また、試験後の処理を簡素化する上でもより好ましいものといえる。
ところで、コンクリートは水和反応により硬化し、その際に発熱する。このため、コンクリートの温度は上昇し、より硬化反応が促進されることとなる。実際の施工現場では、広い面積に渡りコンクリートが打設されるため、コンクリートが発生する熱量は、コンクリート表面又はコンクリートと接する鋼床版からしか放出されないため、多くが硬化促進に利用されるのが一般的である。
しかしながら、上述した付着試験方法では、試験体であるコンクリートは枠体内のみ配置されているため、枠体を通じて新たな熱放出が行われることとなる。また、模擬鋼床版に接触しているのは試験体のみであり、模擬鋼床版上にはコンクリートが接触していない部分もあるため、実際の施工現場のコンクリート以上により多くの熱量が試験体から模擬鋼床版へと放出される結果となる。このため、試験体の温度上昇が制限され、実際の施工に近いコンクリートの硬化反応を得ることができないという問題がある。特に、10℃以下の環境で施工行う場合には、この問題は顕著なものとなる。
この問題を解消する付着試験方法について、以下に詳述する。
(1)模擬鋼床版の表面処理,付着試験用用具の形成,接着剤塗布工程については、第1の付着試験方法と同様である。(図6(a)及び(b)参照)
(2)枠体配置工程
第2の付着試験方法でも、支持部材を用いても良いが、特段に支持部材を必要としない。
図6(c)のように、接着剤10上に、枠体13を配置する。枠体としては、種々の形状及び材料が利用可能であるが、塩化ビニル管を所定長さに切断して利用するのが、安価であり簡便でもある。枠体の大きさとしては、建研式付着強度試験装置の脚部に収まる大きさの物が好ましい。
また、実際の施工においてはコンクリートの表面に平行な方向への熱移動(試験体の側面を介しての熱移動)は、常に平衡状態にあるものと推測されるため、枠体を発泡体などの断熱性の高い材料で構成することも可能である。なお、この方法は、第1の付着試験方法にも適用することが可能である。
枠体の内面には、例えば、テフロンシート(「テフロン」は登録商標)を密着させ、また枠体の外面や上下端は樹脂系接着剤や鋼繊維補強超速硬コンクリートに付着しないポリ塩化ビニリデンフィルムなどのビニールシートを配置する処理を施す。建研式付着試験装置を用いて付着試験を実施する際に、枠体内に打込まれるコンクリートと枠体との付着を切り、試験体の付着試験の精度を確保することが可能となる。しかも、枠体の下端と模擬鋼床版間の樹脂系接着剤による付着や、枠体とコンクリートとの付着などを切るため、試験終了後、枠体又は支持部材を模擬鋼床版から容易に除去できると共に、これらに付着したコンクリートや樹脂系接着剤も容易に除去することができるため、これらの枠体又は支持部材を再利用することが可能となる。
さらに、枠体の外部で、接着剤上には結合防止手段としてポリ塩化ビニリデンフィルムなどのビニールシートを配置し、枠体外におけるコンクリートと模擬鋼床版との接着剤を介した結合を抑制し、試験後のコンクリートの除去を容易に行うことが可能となる。
(3)コンクリート打込み工程
図6(d)に示すように、枠体13の内部及び外部に、試験体となる鋼繊維補強超速硬コンクリート(14は枠体内部のコンクリート、16は枠体外部のコンクリートを示す。)を詰め込む。鋼繊維補強超速硬コンクリートとしては、種々の材料が使用可能であるが、例えば、マイルドジェットセメント(住友大阪セメント株式会社製)を用いた鋼繊維補強超速硬コンクリートなどがある。
また、鋼繊維補強超速硬コンクリートは、樹脂系接着剤を塗布後所定の時間に枠体内外に詰め、突き棒により実施工と同様な程度に締固める。締固め後、塩ビ管の上面を均し、表面仕上げを行い、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどのビニールシートや、防炎シート又は気泡シートなど、実際の施工に用いるシートなどを利用し封緘養生とする。
このように、試験体を形成する枠体の外部にもコンクリートを打込むことにより、模擬鋼床版全体に渡り、コンクリートを打設することが可能となり、実際の施工現場に近い状況で、付着試験を行うことができる。
なお、第1や第2の付着試験方法の更なる改良として、試験体から必要以上の熱量の放出を抑制するため、模擬鋼床版の下面などにヒーターなどの加熱手段を備え、施工現場の鋼床版の温度変化を再現するなどの方法を採用することも可能である。
(4)試験端板接着工程(図6(e)参照)、試験工程、後工程(再利用化処理)については、第1の付着試験方法と同様である。なお、試験工程においては、枠体外にもコンクリートが打込まれているため、図4のリング状架台20は不要であり、付着試験装置21を枠体外のコンクリート上に直接配置する。
(実施例1)
次に、本発明に係る付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具について、実際に試験を行った例について説明する。
模擬鋼床版として、幅500mm×長さ500mm×厚さ12mmの実際の現場で使用される鋼板と同じ物を用意し、ショットブラスト機(SB−1000,株式会社フタミ製)で、鋼板表面にショットブラスト処理(鋼球:スチールショット(異形),投射密度250kg/m2)を行った。
模擬鋼床版と同一の素材で、幅10mm×長さ480mm×高さ70mm、幅10mm×長さ500mm×高さ70mm、各2枚の側板を作成し、ねじ込み式皿ボルトで、模擬鋼床版と側板などを固定し、付着試験用用具を得た。
枠体として、内径100mm×高さ70mmの塩化ビニル管を、一つの付着試験用用具に対し6本利用し、付着試験用用具内に枠体を配置する支持部材を木合板(日本農林規格コンクリート型枠用合板)で作成した。枠体の内面には、テフロンシート(「テフロン」は登録商標)(スカイブドテープ,中興化成工業株式会社製:厚さ0.2mm)、支持部材や枠体の接着剤等と接触する箇所などには、ポリ塩化ビニリデンフィルム(クレラップ,呉羽化学工業株式会社製)を貼り付けた。
樹脂系接着剤として、デンカハードロックIIDK550−04(電気化学工業製)を使用し、塗布量は1リットル/mとした。
各接着剤を塗布した後、支持部材を装着し、該支持部材の挿入孔に枠体を配置した。
各枠体内には、表1及び表2に示す鋼繊維補強超速硬コンクリート14を打ち込み、試験体の表面仕上げを行い、ポリ塩化ビニリデンフィルム(クレラップ,呉羽化学工業株式会社製)で表面を覆い封緘養生を行った。
Figure 0004060872
Figure 0004060872
表2中、s/aは細骨材率を示し、具体的には、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材の絶対容積比を百分率で表した値である。スランプ値は「JISA 1101 コンクリートのスランプ試験方法」により測定した値である。
3時間の材齢試験を行うため、コンクリート硬化後に試験体の表面をワイヤーブラシでこすり、試験の1時間前に、建研式接着力試験機(LPT−3000,オックスジャッキ株式会社製)の部品であり、試験体に接合する端板(底面直径100mm)をエポキシ樹脂(クイックメンダー,コニシ株式会社製)を利用して、試験体表面に接着した。
支持部材を取り外し、試験体の周囲にリング状架台(外径190mm,内径174mm,高さ77mm)を配置し、建研式接着力試験機(LPT−3000,オックスジャッキ株式会社製)を該リング状架台に載せると共に、端板にクランプ金具を固定して、付着強度試験を行った。
以下、同様にして、材齢5時間及び7日間についても付着強度試験を行った。
また、模擬鋼床版は、バナーにより樹脂系接着剤を取り除き、上記記載の条件でショットブラスト処理を行い、繰り返し付着試験に再利用した。
各試験条件の内、測定された6つの試験体の測定値から、最大値及び最小値を除き、残りの4つの試験体の数値を示したものを、表3から5に示す。表3は模擬鋼床版の初回に試験したもの、表4は模擬鋼床版を再利用して一回目に試験したもの、表5は模擬鋼床版を再利用して2回目に試験したものを、各々示す。
Figure 0004060872
Figure 0004060872
Figure 0004060872
以上の実験結果より、本発明に係る付着試験方法で測定された樹脂系接着剤による模擬鋼床版と鋼繊維補強超速硬コンクリートとの付着強度は,表3乃至5に示すように、模擬鋼床版を再利用した場合でも極めて数値のバラツキも少なく、信頼性の高い結果が得られていることが理解される。
また、本試験で使用した付着試験用用具、枠体、及び支持部材は、繰り返し使用できることも確認できた。
(実施例2)
次に、上述した第1の付着試験方法と第2の付着試験方法とを比較するため、枠体内部のみにコンクリートを打込みした試験体Aと、枠体の外部にも同様のコンクリートを打込みした試験体Bとについて、各試験体内の温度変化を測定すると共に、3〜6時間の範囲で1時間毎の付着強度を試験した。
試験体Aについては、樹脂系接着剤として、KSボンド(鹿島道路株式会社製)を使用し、コンクリートの封緘養生には、ビニールシートと防炎シートとを用いた以外は、実施例1と同様に処理し、試験体Aを製作した。
また、試験体Bについては、支持部材を使用せずに、枠体の外部にもコンクリートを打込みした以外は、試験体Aと同様に処理し、試験体Bを製作した。
本試験環境は、室内温度5℃、湿度60%であり、試験に使用したコンクリートの状態は、練上りの鋼繊維補強超速硬コンクリートの温度は7.1℃、スランプ値は5.0cmであった。
なお、各試験体の温度変化を測定するため、枠体内に打込まれたコンクリート内に、上面から35mmの位置に熱電対を設置した。
また、各試験体の付着強度と温度変化との関係を調べるため、5分毎の測定温度を積算して算出した積算温度を求めた。
試験体A及びBの温度変化については、図7に示す。なお、参考までに外気温の変化も併せて示す。
図7のグラフより、試験体A(第1の付着試験方法)のものは、試験体B(第2の付着試験方法)のものより、常に温度が約5℃程度低いことが容易に理解される。このため、試験体Aについては、実際の施工と比較してもコンクリートの硬化反応が遅れる傾向にあることが容易に理解される。
また、各経過時間毎の試験体の付着強度を、表6に示す。表6の括弧外の数値は、建研式引張試験による付着強度(N/mm)であり、括弧内の数値は、試験体内の積算温度の値である。
Figure 0004060872
表6の結果より、施工後の交通開放に必要な付着強度の目安である1N/mm以上と判断される時間は、試験体Aについては6時間、試験体Bについては4〜5時間程度であり、約1時間以上の差がある。このことからも、試験体Aについては、試験体Bのものより交通開放の判断時間が長くなる傾向にあることが、容易に理解される。
また、表6を見ると、積算温度Mと付着強度との関係は比例関係にあり、積算温度M(M=Σ(θi+10)・Δt,単位℃−hr,θはコンクリート温度(℃),Δtはコンクリート温度がθiに保持される時間(hr))が約110℃−hr以上の場合は、付着強度が1N/mm以上となっていることから、積算温度Mを計測して、交通開放の時期を判断することも可能であることが、容易に理解される。
本発明により、コアボーリングによるコンクリート組織の損傷による測定値の信頼性の低下、模擬床版・コアビットの損傷、試験体の廃棄に伴う環境負荷の問題などを解消し、精度を著しく損ねることなく、接着剤による鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法及びそれに用いる付着試験用用具を提供することが可能となった。
本発明に係る付着試験用用具の斜視図である。 本発明に係る第1の付着試験方法を説明する図である。 付着試験用用具に試験体を設置した状態を示す斜視図である。 付着強度試験の様子を示す図である。 本発明に係る付着試験用用具の他の実施例を示す図である。 本発明に係る第2の付着試験方法を説明する図である。 本発明に係る第1及び第2の付着試験方法における試験体の温度変化を示すグラフである。
符号の説明
1,30 模擬鋼床版
2,3 側板
4,5,6,7 ボルト用孔
8,32 把持手段
9 ボルト
10 樹脂系接着剤
11 天板
12 スペーサ
13 枠体
14,16 コンクリート(鋼繊維補強超速硬コンクリート)
15 試験端板
20 リング状架台
21 付着試験装置
22 クランプ金具
23 ハンドル
24 メータ
31 流出防止手段

Claims (14)

  1. 模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法において、
    模擬鋼床版上に樹脂系接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
    試験体を成形する枠体を該接着剤上に配置する枠体配置工程と、
    少なくとも該枠体内に試験体となるコンクリートを詰め込むコンクリート打込み工程と、
    試験すべき所定材齢の経過前に付着試験装置と協働する端板を試験体の上面に接着する試験端板接着工程と、
    該所定材齢経過後かつ該支持部材除去工程後に、該端板に付着試験装置を取り付け、付着強度試験を行う試験工程とを含むことを特徴とする付着試験方法。
  2. 模擬鋼床版とコンクリートとの付着強度を測定する付着試験方法において、
    模擬鋼床版上に樹脂系接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
    試験体を成形する枠体を該接着剤上に少なくとも2つ以上保持するための支持部材を設置する支持部材設置工程と、
    該支持部材の所定の位置に該枠体を配置する枠体配置工程と、
    該枠体内に試験体となるコンクリートを詰め込むコンクリート打込み工程と、
    試験すべき所定材齢の経過前に付着試験装置と協働する端板を試験体の上面に接着する試験端板接着工程と、
    該試験端板の接着工程の前後に、該支持部材を除去する支持部材除去工程と、
    該所定材齢経過後かつ該支持部材除去工程後に、該端板に付着試験装置を取り付け、付着強度試験を行う試験工程とを含むことを特徴とする付着試験方法。
  3. 請求項2に記載の付着試験方法において、該コンクリート打込み工程の際には、該枠体の開口部以外の表面は、該模擬鋼床版上に該コンクリートが付着しないように被覆部材が配置されていることを特徴とする付着試験方法。
  4. 請求項3に記載の付着試験方法において、該被覆部材は、該支持部材の一部を構成していることを特徴とする付着試験方法。
  5. 請求項1に記載の付着試験方法において、該コンクリート打込み工程の際には、該枠体外にもコンクリートを詰め込むことを特徴とする付着試験方法。
  6. 請求項5に記載の付着試験方法において、該コンクリート打込み工程の前には、該枠体外の接着剤上には、コンクリートと接着剤との結合を防止する結合防止手段が施されていることを特徴とする付着試験方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の付着試験方法において、該枠体は断熱性を有する材料で構成されていることを特徴とする付着試験方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の付着試験方法において、該模擬鋼床版には、施工現場の鋼床版の温度変化を再現する加熱手段が設けられていることを特徴とする付着試験方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の付着試験方法において、該模擬鋼床版は、全ての試験工程が終了後、残存するコンクリートや樹脂系接着剤が除去され、再度、付着試験に利用可能であることを特徴とする付着試験方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の付着試験方法において、該枠体又は該支持部材であって、該コンクリートや該樹脂系接着剤と接する箇所には、これらの材料との結合を妨げる材料が使用されていることを特徴とする付着試験方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の付着試験方法において、該コンクリートが鋼繊維補強コンクリート又は鋼繊維補強超速硬コンクリートであることを特徴とする付着試験方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の付着試験方法に用いる付着試験用用具において、該模擬鋼床版を底板とし、該底板に着脱自在の側板を設けることを特徴とする付着試験用用具。
  13. 請求項1乃至11のいずれかに記載の付着試験方法に用いる付着試験用用具において、底板に用いる該模擬鋼床版に、樹脂系接着剤が底板から流出することを防止する流出防止手段を設けたことを特徴とする付着試験用用具。
  14. 請求項12又は13に記載の付着試験用用具において、該側板又は該底板には、把持手段が取り付けられていることを特徴とする付着試験用用具。
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