JP2012093263A - コンクリート試験体及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート円柱2の側面が可撓性パイプ3で覆われてなるコンクリート試験体1であって、前記コンクリート円柱2がコンクリート構造物から採取されたコンクリートコアであり、前記コンクリート円柱2の側面と前記可撓性パイプ3との隙間が封止樹脂4で封止されてなるコンクリート試験体1である。
【選択図】図1
Description
実施例1
エクセン株式会社製「ダイヤモンド・ドリル(HCD−P4)」を用いて、打設して約10年経過したコンクリート構造物からコンクリートコア2(直径75mm×高さ200mm)を3本採取した。当該コンクリート構造物の組成を表1に示す。内径76mm、長さ200mmの市販品の塩ビ管(硬質塩化ビニル管VP75)を3つ用意し、該塩ビ管内にそれぞれコンクリートコア2を充填した。コンクリートコア2が充填された塩ビ管の下面に対してエポキシ樹脂(コニシ株式会社製「ボンドE205」エポキシ樹脂(主剤):脂環式ポリアミン(硬化剤)=3:1)を塗布して硬化させることによりシールした。前記シール面からの高さが10mmの位置に、ドリルを用いて塩ビ管の外側からエポキシ樹脂注入孔を1箇所削孔した。エポキシ樹脂注入孔にエポキシ樹脂接着剤(コニシ株式会社製「ボンドクイックメンダー」)を用いてビニールホースを取り付けた。エポキシ樹脂接着剤の硬化を確認した後、ビニールホースに低圧注入器(アイカ工業株式会社製「JB−QS2」)をセットし、ビニールホースを通じてエポキシ樹脂(コニシ株式会社製「ボンドE205」エポキシ樹脂(主剤):脂環式ポリアミン(硬化剤)=3:1)を注入した。このとき、コンクリートコア2の側面と塩ビ管との間に存在する空気が排出されるように、コンクリートコア2が充填された塩ビ管に振動を加えながらゆっくりとエポキシ樹脂を注入した。コンクリートコア2が充填された塩ビ管の上面にまでエポキシ樹脂が到達したことを確認し、低圧注入器を取り外して24時間静置させることにより、エポキシ樹脂を硬化させた。このようにして、塩ビ管内にコンクリートコア2が充填され、該コンクリートコア2の側面と該塩ビ管との間にエポキシ樹脂が注入されて硬化されてなる本発明のコンクリート試験体1を得た。次いで、コンクリートカッターにより40mmずつの長さとなるように塩ビ管を切断することで、長さ200mmの3つの塩ビ管から長さ40mmの本発明のコンクリート試験体1を9個得た。このとき、長さ200mmの塩ビ管の両端から40mmずつの部分は廃棄した。得られた9個のコンクリート試験体1の内の5個のコンクリート試験体1は、下記の実施例2により貫通ひび割れ6を作製し(試験体1〜5)、残りの4個のコンクリート試験体1を試験体6〜9として得た。
実施例1で得られた9個のコンクリート試験体1の内の5個のコンクリート試験体1について、コンクリート試験体1表面に付着した水分が乾燥しているのを確認した後に、アムスラー型万能材料試験機(株式会社東京衡機製造所製)を用いて、該コンクリートコア2が充填された塩ビ管の外側から圧力をかけ、最大荷重測定時点で装置を止めて、貫通ひび割れ6を有する長さ40mmのコンクリート試験体1を5個得た(試験体1〜5)。このときの平均最大荷重は約10kNであった。実施例2で得られたコンクリート試験体1の写真を図3に、図3の一部を拡大した写真を図4に示す。図3及び図4からも分かるように、実施例2で得られたコンクリート試験体1は、塩ビ管とコンクリートコア2との隙間がエポキシ樹脂で封止されており、エポキシ樹脂が充填されていない貫通ひび割れ6を有することを確認した。
実施例2で得られた貫通ひび割れ6を有するコンクリート試験体1(試験体1〜5)について、ひび割れ幅、及びひび割れ長さ(ひび割れ延長)の測定を行った。ひび割れ幅の測定は、図5に示されるように、コンクリート試験体1表面を6等分した線とひび割れの線とが交わった5点について行った。5点のひび割れ幅の測定は、東海産業株式会社製ピーク・スケール・ルーペを用いて、0.05mm単位で目視により行った。得られた測定結果の平均値を求め、平均ひび割れ幅とした。また、ひび割れ長さの測定は、目視可能なひび割れについてノギスを用いて行った。得られたひび割れ幅、及びひび割れ長さの結果を表2にまとめて示す。
実施例1及び実施例2で得られた試験体1〜9について、図6で示される透水試験装置を用いて透水試験を行った。このとき、透水試験装置において、コンクリート試験体1の上面に対して、ビニールホース7が連結された塩ビ管キャップ8を該コンクリート試験体1の一端に取り付けた。コンクリート試験体1の乾燥状態の差による吸水量の影響を小さくするため、予め水道水9を水槽10に供給しておき、加圧する水面高さを上面から約1mとして、圧力(1.1気圧)にて60分間加圧し、30分間静置した後に、上面の水分を湿った布でふき取った。次いで、コンクリート試験体1の下面に予め空体重量を測定済のポリエチレン袋11を取り付け、加圧する水面高さを上面から約1mとして、圧力(1.1気圧)にて60分間加圧し、ポリエチレン袋11に流入した透過水12の重量を測定することにより透水量を求めた。得られた結果を表2にまとめて示す。上記方法により透水試験を行った結果、試験体6〜9の透水量は0gであり、塩ビ管とコンクリートコア2との隙間がエポキシ樹脂で封止されていたことが分かった。一方、貫通ひび割れ6を有する試験体1〜5の透水量は84〜489gであり、このことから、塩ビ管とコンクリートコア2との隙間からの漏れはなく、貫通ひび割れ6を通過した透水量を測定できたことが分かった。
実施例1及び実施例2で得られた試験体1〜9について、図7に示される透気試験装置を用いて透気試験を行った。このとき、貫通ひび割れ6を有する試験体1〜5については、透気試験装置においてコンクリート試験体1におけるひび割れ面積が大きい方の面が加圧面となるようにビニールホース7が連結された塩ビ管キャップ8を該コンクリート試験体1の両端にセットし、コンプレッサー13からビニールホース7を通じてアセチレン調整器14で制御しながら圧縮空気を供給することにより、0.01MPa(ゲージ圧)の圧力を加えて、コンクリート試験体1におけるひび割れ面積が小さい方の面からの透過空気量(cc/秒)を肺活量測定器15とストップウォッチにより計測した。得られた結果を表2にまとめて示す。上記方法により透気試験を行った結果、試験体6〜9の透過空気量の値は0cc/秒であり、塩ビ管とコンクリートコア2との隙間がエポキシ樹脂で封止されていたことが分かった。また、試験体6〜9については、0.1MPa(ゲージ圧)の圧力を38時間加えて透過空気量(cc/秒)を測定したが、試験体6〜9の透過空気量の値はいずれも0cc/秒であった。一方、貫通ひび割れ6を有する試験体1〜5の透過空気量の値は13〜42.8cc/秒であり、このことから、塩ビ管とコンクリートコア2との隙間からの漏れはなく、貫通ひび割れ6を通過した透過空気量を測定できたことが分かった。
2 コンクリート円柱(コンクリートコア)
3 可撓性パイプ
4 封止樹脂
5 骨材
6 貫通ひび割れ
7 ビニールホース
8 塩ビ管キャップ
9 水道水
10 水槽
11 ポリエチレン袋
12 透過水
13 コンプレッサー
14 アセチレン調整器
15 肺活量測定器
Claims (10)
- コンクリート円柱の側面が可撓性パイプで覆われてなるコンクリート試験体であって、
前記コンクリート円柱がコンクリート構造物から採取されたコンクリートコアであり、前記コンクリート円柱の側面と前記可撓性パイプとの隙間が封止樹脂で封止されてなることを特徴とするコンクリート試験体。 - 前記可撓性パイプがポリ塩化ビニルからなる樹脂パイプである請求項1記載のコンクリート試験体。
- 前記コンクリート円柱が、その回転軸と略平行な面で2分割される貫通ひび割れを有し、該貫通ひび割れには前記封止樹脂が充填されていない請求項1又は2記載のコンクリート試験体。
- 前記貫通ひび割れの幅が0.5mm以下である請求項3記載のコンクリート試験体。
- 補修材の評価に用いられる請求項1〜4のいずれか記載のコンクリート試験体。
- コンクリート円柱の側面が可撓性パイプで覆われてなるコンクリート試験体であって、
前記コンクリート円柱がコンクリート構造物から採取されたコンクリートコアであり、前記可撓性パイプ内に前記コンクリート円柱を充填し、該コンクリート円柱の側面を前記可撓性パイプで覆い、前記コンクリート円柱の側面と前記可撓性パイプとの間に液状の封止樹脂を注入して、該封止樹脂を硬化させてなるコンクリート試験体。 - コンクリート円柱の側面が可撓性パイプで覆われてなるコンクリート試験体の作製方法であって、
前記コンクリート円柱がコンクリート構造物から採取されたコンクリートコアであり、
前記可撓性パイプ内に前記コンクリート円柱を充填することにより、該コンクリート円柱の側面を前記可撓性パイプで覆い、
前記コンクリート円柱の側面と前記可撓性パイプとの間に液状の封止樹脂を注入して、該封止樹脂を硬化させることを特徴とするコンクリート試験体の作製方法。 - 前記封止樹脂を硬化させた後に、前記可撓性パイプの外側から径方向に荷重を加えて圧縮することにより貫通ひび割れを生じさせる請求項7記載のコンクリート試験体の作製方法。
- コンクリート円柱の一の平面に水圧をかけて他の平面から浸出する透水量を測定する請求項1〜6のいずれか記載のコンクリート試験体を用いた透水試験方法。
- コンクリート円柱の一の平面に気圧をかけて他の平面から排出する透気量を測定する請求項1〜6のいずれか記載のコンクリート試験体を用いた透気試験方法。
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