JP6216944B2 - 導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ - Google Patents

導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ Download PDF

Info

Publication number
JP6216944B2
JP6216944B2 JP2013066471A JP2013066471A JP6216944B2 JP 6216944 B2 JP6216944 B2 JP 6216944B2 JP 2013066471 A JP2013066471 A JP 2013066471A JP 2013066471 A JP2013066471 A JP 2013066471A JP 6216944 B2 JP6216944 B2 JP 6216944B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive
fibers
fabric
tape material
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013066471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014189921A (ja
Inventor
小林 真
真 小林
和正 川邊
和正 川邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fukui Prefecture
Original Assignee
Fukui Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fukui Prefecture filed Critical Fukui Prefecture
Priority to JP2013066471A priority Critical patent/JP6216944B2/ja
Publication of JP2014189921A publication Critical patent/JP2014189921A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6216944B2 publication Critical patent/JP6216944B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に導電性被膜が形成された導電性テープ材を用いた導電性織物及びその製造方法、並びに導電性織物を用いた燃料電池用セパレータに関する。
繊維強化複合材料(以下、Fiber Reinforced Plastic:FRPという)は現在、自動車や建築などの分野で構造材として利用されている。特にマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を用いたFRPは、成形性の利点などから、今後さらなる分野への応用が期待されている。
また近年では、携帯電話や電気・電子機器から発生する電磁波を遮蔽する電磁シールド材として導電性繊維が用いられており、繊維への導電性付与技術に関して研究開発が進められている。
FRPの主な構成材料は合成繊維とマトリックス樹脂である。合成繊維には一般的に炭素繊維、アラミド繊維などの有機繊維が使われる。また、電磁波シールド材として用いられる導電性繊維には、炭素繊維などがある。
FRPや電磁波シールド材に用いられる炭素繊維について、炭素繊維自体は導電性があるが、成形したFRPは表面がマトリックス樹脂成分で覆われるため導電性が著しく低下し、体積抵抗率は1.0Ω・cm以上と、一般的な金属の体積抵抗率1.0×10−6Ω・cmより著しく大きい。
炭素繊維1本(単繊維)の直径は通常約5〜7μm程度であり、通常は単繊維3,000〜50,000本を1繊維束として市場に供給、市販されている。炭素繊維を含む導電性繊維の導電性を向上させるためには、繊維1本1本に均一にかつムラや欠陥のない導電性被膜の成膜処理が必要であり、さまざまな方法が提案されてきた。
炭素繊維を含む様々な繊維の導電性付与技術や導電性向上技術として、特許文献1、2に記載の方法が提案されている。
(1)炭素繊維を金属で被膜して導電性を向上させる方法として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1では、炭素繊維マルチフィラメントを電極ロール周面に接触させ電気メッキ層内でメッキする金属被膜炭素繊維の製造方法が記載されている。
(2)繊維材料を一度に多量に処理することが可能で、しかも、繊維の表面にメッキ処理により均一な金属被膜を密着性良く形成することで、導電性のバラツキを少なくすることが可能な導電性繊維の製造方法として、特許文献2が挙げられる。特許文献2では、油剤を含有しない開繊処理された繊維のマルチフィラメント糸を多孔性管に捲き直し、有機金属錯体を含む超臨界流体または亜臨界流体に浸漬して錯体の吸着と還元の前処理を行い、メッキ液にて無電解メッキ処理を行なう導電性繊維の製造方法が記載されている。
しかしながら、各特許文献の記載方法では、以下に挙げる不具合があった。
特許文献1の方法では、繊維束の状態のままメッキ処理するため、繊維束の外側の繊維のみにメッキ層が形成され、繊維束内部の繊維にはメッキ層がほとんど形成されないこと、また、繊維束の外側の繊維同士がメッキ層によって接着して外側を覆ってしまうため、メッキ処理後に繊維束を均一に拡げて薄いシート状にすること、その後の工程でマトリックス樹脂を内部に含浸することが困難であること などの問題点があった。
また、特許文献2では、開繊処理済みの繊維を原材料としているが、メッキ処理時にメッキ液に浸漬して取り出す際、メッキ液の表面張力によって少なからず繊維束が収束されるため、開繊された状態を十分に維持できないという問題点があった。また、メッキ処理後にメッキした繊維とマトリックス樹脂とを複合化する際に、メッキした繊維同士が接着しているため繊維およびマトリックス樹脂の分散性が低く 繊維間へのマトリックス樹脂の含浸が困難であること、そのため、繊維層とマトリックス樹脂層に分離しやすく、界面はく離や強度不足などの課題があった。
さらに、特許文献1や2の方法では、メッキ処理後にあらためて開繊処理ができないため、複合材料の原料であるプリプレグシートに加工する場合には繊維束数本を長手方向に一方向に並べてシート状に引き揃える必要がある。しかし、繊維束がメッキで収束している状態のため、そうして製造したプリプレグシートは、厚みにムラがある、薄層化ができない、繊維間にマトリックス樹脂を十分に含浸できない、金属被膜層とマトリックス樹脂層に分離しやすく界面はく離や強度不足になりやすい、等々の問題点があり、また、それによって複合材料成形時の品質が低下するといった問題点があった。
さらに、特許文献1や2の方法では、サイズ剤などの油剤を除去した繊維束を使用しているため、繊維束が毛羽立ち、製品の品質低下やその後の加工の際に歩留まりが悪くなるという問題があった。
本発明者らは、特許文献3、4に記載されているように、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした、高品質で力学的特性およびドレープ性に優れた熱可塑性樹脂補強シート材、およびその製造方法、並びに装置について開発を行なっている。
一方、近年、環境問題やエネルギー問題の観点から、環境負荷の小さいクリーンエネルギーとして燃料電池が注目されている。燃料電池は水素と酸素を利用した発電システムであり、水以外の排出物がないクリーンな発電装置である。この燃料電池の分野においても、導電性の優れた繊維強化複合材料が大きな役割を担うことができる。燃料電池は、その電解質の種類に応じて数種類に分類されるが、これらの中でも、固体高分子形燃料電池は比較的低温で作動するため、自動車や民生用として有望である。このような燃料電池は、主に高分子固体電解質、ガス拡散電極、触媒、セパレータから構成された単セルを一ユニットとし、セルを複数積層することで高出力の発電を達成している。
上記構成を有する燃料電池において、単セルを仕切るためのセパレータには、通常、燃料ガス(水素等)と酸化剤ガス(酸素等)を供給し、発生した水分(水蒸気)を排出する役割が求められるため、そのための流路が形成されている。そのためセパレータには、これらの流路を形成するための成形性と、内部抵抗を小さくするための高い導電性が要求される。
さらにセパレータには、気体不透過性や熱伝導性、耐久性、強度等に優れていることが要求される。
これらの要求を達成する目的で、従来、燃料電池用セパレータとしては、炭素材料と金属材料の両方から検討されてきた。これらの材料のうち、金属材料に関しては、表面被覆処理による耐食性の向上が図られてきたが、十分な耐久性が得られず、また高額な装置や原料による被覆コストが課題となっている。
一方、炭素材料に関しても、グラファイトの焼成および切削加工技術、炭素粉末や炭素繊維の短繊維など導電性材料等の添加技術など多くの加工技術が検討されているが、高温での処理などによる長時間の工程や成形までの煩雑な製造工程が課題となっている。
特許公開2005−163197号公報 特許公開2010−106316号公報 特許公開2008−149708号公報 特許公開2008−221833号公報
本発明は、上述したような従来技術の問題点を克服した、厚み方向に優れた導電性を有する導電性織物及びその製造方法、並びに導電性織物を用いた導電性と成形性に優れた燃料電池用セパレータを提供することを目的とする
本発明者らは、鋭意研究の結果、 熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて形成されるとともに 両面の露出している当該繊維の表面に導電性被膜を形成している導電性テープ材を少なくとも一部に用いて 互いの導電性被膜が接触するように製織されている導電性織物において、繊維方向のみならず厚み方向にも高い導電性を発現できることを見出し、本発明に到達した。また、前記導電性織物を一部に積層して一体化されている導電性積層材を使用することで上記課題を解決した燃料電池用セパレータが製造できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、本発明は以下に示す(1)〜(8)の事項を含む。
(1)
熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて形成されるとともに 両面の露出している当該繊維の表面に導電性被膜を形成している導電性テープ材を少なくとも一部に用いて 互いの導電性被膜が接触するように製織されている導電性織物。
(2)
前記導電性テープ材を経糸および緯糸として用いて厚さ方向に重なるように製織されている請求項1に記載の導電性織物。
(3)
前記基体は、熱可塑性樹脂材料に導電性粉体または導電性フィラーが添加されている請求項1または2に記載の導電性織物。
(4)
請求項1から3のいずれかに記載の導電性織物を少なくとも一部に積層して一体化されている導電性積層材。
(5)
熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させた複合テープ材又は当該複合テープ材により製織した織物を一部に積層して一体化されている請求項4に記載の導電性積層材。
(6)
請求項4又は5に記載の導電性積層材を少なくとも一部に積層している燃料電池用セパレータ。
(7)
シート状の熱可塑性樹脂材の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて複合シート材を形成する工程と、前記複合シート材の両面に露出する前記繊維の表面に導電性被膜を形成する工程と、導電性被膜が形成された前記複合シート材をテープ状に切断して導電性テープ材を形成する工程と、前記導電性テープ材を用いて製織する工程を含む導電性織物の製造方法。
(8)
テープ状の熱可塑性樹脂材の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて複合テープ材を形成する工程と、前記複合テープ材の両面に露出する前記繊維の表面に導電性被膜を形成して導電性テープ材を作成する工程と、前記導電性テープ材を用いて製織する工程を含む導電性織物の製造方法。
本発明に係る導電性織物は、熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて形成されるとともに両面の露出している当該繊維の表面に導電性被膜を形成している導電性テープ材を用い、導電性テープ材が互いの導電性被膜を接触させるように製織しているので、厚さ方向に配置された導電性被膜が電気的に接続されて厚さ方向の導電性を向上させることができる。
さらに、本発明に係る前記導電性積層材は、導電性織物を用いて積層一体化しているので、導電性被膜の多い部分同士が接触した状態で積層するため、加熱加圧成形により一体化した場合における厚み方向の導電性を向上させることができる。
さらに、本発明に係る前記導電性織物は、製織加工により織り構造を有するためドレープ性を有しているため、加熱加圧成形での立体形状付与性に優れており、前記導電性織物を用いた前記導電性積層材は、従来の繊維強化複合材料では実現が困難であった細かな立体形状での成形が可能になる。
は本発明に係る導電性テープ材の断面を模式的に示した概略断面図である。 は本発明に係る導電性織物の外観を模式的に示す外観斜視図である。 は製織された導電性テープ材が電気的に接続された状態であることを説明するための説明図である。 は本発明に係る導電性積層材の一例について、その断面を模式的に示した概略断面図である。 は本発明に係る導電性積層材の一例について、その断面の一部を拡大して模式的に示した一部拡大概略断面図である。 は燃料電池用セパレータの形状を示す模式図である。 は本発明における実施例1ならびに比較例1および比較例2に関する評価結果を示す表である。 は本発明における実施例2および実施例3、ならびに比較例3から5に関する評価結果を示す表である。 は本発明における実施例4ならびに比較例6および比較例7に関する評価結果を示す表である。
以下に本発明に係る実施形態について、必要に応じて図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定される物ではない。
(導電性織物)
図1は、導電性織物に用いる導電性テープ材について、導電性テープ材の断面を模式的に示した概略断面図であり、図2は、導電性織物の外観を模式的に示した外観斜視図である。導電性テープ材1は、熱可塑性樹脂材料からなる基体2の両面に、所定方向に引き揃えた複数の単繊維3を層状に付着させており、単繊維3の露出する表面は導電性被膜4で被覆されている。図2では、図1に示す導電性テープ材1を経糸及び緯糸に用いて平織りにより織成した導電性織物5を示している。経糸及び緯糸として用いられた導電性テープ材1は、互いの導電性被膜4が接触するようになり、厚さ方向に電気的に接続された状態に設定される。
図3は、製織された導電性テープ材が電気的に接続された状態であることを説明するための説明図である。導電性織物5のどちらか一方の面に露出する導電性テープ材、例えば、図3に示すように、経糸の 導電性被膜の露出位置6から電流を加えた場合、6から 6と同一の経糸において導電性被膜が形成されている繊維の割合が多い部分7および8へと電流が伝導する。さらに、 経糸と緯糸とが接触する面、例えば、7から 7と接触する緯糸の導電性被膜が形成されている繊維が多い部分9へと電流が伝導する。さらに、9から 9と同一の緯糸において導電性被膜が形成されている繊維の割合が多い部分を伝導し、導電性被膜が露出する位置10および11へと電気的な接続経路が形成される。そのため、一方の面の経糸の露出位置6と他方の面に露出する緯糸の露出位置10および11との間の電気抵抗が低下して導電性が向上するようになる。したがって、導電性織物全体では 導電性テープ材1を製織せずに単に厚さ方向に積層した場合に比べて、格段に優れた導電性を得ることができる。
(織物構造)
本発明における導電性織物の織物構造は、導電性テープ材を経糸と緯糸として用いて、互いの導電性被膜が接触しながら厚さ方向に重なるような構造であればよく、特に限定されないが、平織構造や綾織構造、多層織構造などが挙げられる。また、その製織方法については特に限定されないが、できるだけ扁平状を保ったまま撚りが入らないように製織することが好ましい。さらに、本発明における導電性織物の織り幅についても、特に限定はされないが、加熱加圧成形におけるドレープ性の維持や 本発明における一連の工程での取り扱い容易さの理由から2mm〜20mmが好ましい。
導電性テープ材は、上述したように、熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に層状の繊維が付着し、繊維の露出する表面には導電性被膜が形成されて、全体として層構造に形成されている。導電性テープ材の厚さが薄いほど導電性被膜される繊維の割合が多くなるため、厚さは薄いほど好ましく、樹脂含浸した場合に厚さが20〜80μmとなるような導電性テープ材がより好ましい。しかし、樹脂含浸した場合の厚さを20μm以下にすることは難しい。例えば、汎用的な炭素繊維の直径は約7μmであり、繊維に炭素繊維を用いて樹脂含浸した際に厚さ20μm以下になる導電性テープ材を作成しようとする場合、厚さ方向に3本以下で炭素繊維を引き揃えて分散させなければならず、製造することが難しい。さらに、熱可塑性樹脂材料の厚さも10μm以下のシート状にしなければならないが、このシートの製造も難しく、連続して安定した導電性テープ材を得ることが難しい。よって、導電性テープ材は樹脂含浸した場合に20μm以上になる厚さで作成することが品質を一定に保つことからも望ましい。また、ドレープ性の面から、導電性テープ材の幅は細いほど好ましく、20mm以下がより好ましい。しかし、幅を2mmより細くすることは難しい。例えば、幅2mm以下の導電性テープ材を作成しようとすると、切断する際の張力や引き揃えた繊維との平行具合いによって導電性テープ材の繊維長方向に亀裂が生じて裂け易くなるため、生産性や品質が著しく低下するといった問題がある。
(繊維)
本発明の導電性テープ材に用いる繊維としては、特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の高強度繊維や、導電性粉末等を繊維に添加した導電性繊維などが挙げられる。中でも炭素繊維は軽量かつ高強度で、さらに導電性を有する繊維であることから、軽量化や薄型化が図れ、かつ、当該導電性織物および当該導電性積層材において厚み方向の電気伝導性が他の繊維よりも良好であるという理由で、特に好ましい。また、複数の繊維を開繊して所定方向に引き揃えた開繊糸は、繊維が全体にほぼ均一の厚みで分散しているため、導電性被膜の形成が良好であること、および導電性積層板を作成する際の熱可塑性樹脂材料の含浸性が良好であることなどから、特に好ましい。
(熱可塑性樹脂材料)
導電性テープ材の基体に用いる熱可塑性樹脂材料は、特に限定されないが、結晶性熱可塑性樹脂や非結晶性熱可塑性樹脂、またそれらの混合物が挙げられる。さらに熱硬化性樹脂を添加した高分子化合物も含まれる。
結晶性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の中から選ばれた1〜2種類以上の組み合わせが使用可能である。これらの中で、ポリアミドは、加熱加圧成形による一体成形化を行なう際に、繊維への含浸性が良好であるという理由で、特に好ましい。
(導電性粉体または導電性フィラー)
基体には、導電性粉体または導電性フィラーを添加して導電性を付与することが好ましい。後述するように、基体となる熱可塑性樹脂材料は、積層成形体に成形される際に、加熱加圧により繊維の間に含浸するようになるため、繊維の間に導電性粉体等が分布して導電性積層材全体がほぼ均一な導電性を備えるようになる。導電性粉体又は導電性フィラーの材料としては、特に限定されないが、 炭素材料、金属材料、導電性高分子材料、導電性繊維といったものが挙げられる。
(導電性被膜の材質)
導電性テープ材の両面に露出する繊維表面に形成される導電性被膜としては、導電性の点から、Ni、Fe、Cu、Al、Ti、Au、Ag、Pt、Cr、Si、Zr、In、Znなど金属のいずれか1種類または2種類以上の複合材、あるいはその酸化物または窒化物もしくは炭化物などが好ましい。
(導電性被膜の膜厚)
本発明における導電性被膜の膜厚は、特に制限されないが、0.05μm〜3μmが好ましい。より好ましくは0.5μ〜1μmが好ましい。なお、0.05μmより膜厚が薄い場合には、導電性被膜を繊維表面に均一に形成することが困難である。また、膜厚が3μmより厚くなる場合は、導電性テープ材を構成する繊維の周囲に導電性被膜が強固な被膜を形成して覆ってしまうため、製織加工をする際に導電性テープ材の柔軟性が損なわれて製織が困難になる。また、捲き取りの際にシワが生じやすくなり品質の低下がおこりやすくなる。そして、加熱加圧成形によって導電性積層材を形成する際に繊維や熱可塑性樹脂材が導電性被膜によって遮られ 繊維間や経糸及び緯糸の間、積層材の層間への熱可塑性樹脂材料の含浸が不十分になる。そのため、導電性積層板の力学的強度の低下や層間はく離などが生じやすくなるとともに、導電性織物のドレープ性の低下が生じる。また、導電性被膜の成膜コスト増加といった点からも好ましくない。
(導電性テープ材の製造方法)
導電性テープ材を製造する場合、まず、熱可塑性樹脂材料からなる樹脂シート材の両面に繊維を層状に付着させた複合シート材を形成する。繊維は、例えば、公知の開繊方法により予めシート状に形成しておくとよい。また、繊維束をシート状に配列して形成するようにしてもよい。樹脂シート材の厚さは、付着させる繊維の量に応じて適宜設定すればよく、20μm〜40μmが好ましい。そして、樹脂シート材を搬送しながら、両側からシート状に形成した繊維を重ね合せて加熱ローラにより両側から挟圧することで繊維を樹脂シート材の表面に付着させた複合シート材を形成することができる。
次に、形成された複合シート材に対して、両面に付着した繊維の露出した表面に導電性被膜を形成する。導電性被膜の形成方法としては、公知の無電解めっきや電解めっきなどの湿式めっきにより形成することができる。湿式めっきでは、導電性被膜を形成する際に、湿式めっき処理液の表面張力による繊維の収束や毛羽立ちを防ぐことができる。また、スパッタリングや真空蒸着、イオンプレーティングなどの乾式めっきにより導電性被膜を形成することも可能で、繊維の毛羽立ちによる放電処理時のショートを防ぐことができる。これらの導電性被膜の形成方法の中で、導電性被膜の膜厚ムラの少なさや膜厚制御の容易さ、および被膜形成対象物の形状や材質に対する制限の有無、ならびに連続加工性や製造コストの安価さなどから、無電解めっきが好ましい。
両面に導電性被膜を形成した複合シート材を所定幅で切断することで、導電性テープ材を得ることができる。切断する場合には公知のスリッタを用いればよく、導電性テープ材の幅は2mm〜20mmに設定すればよい。
以上説明した製造方法では、複合シート材を作成して導電性被膜を形成した後テープ材に切断しているが、複合シート材を予め所定幅の複合テープ材に切断した後複合テープ材に導電性被膜を形成することもできる。この場合には、複合テープ材の両側の切断面に露出する基体表面にも導電性被膜が形成されるため、導電性を高めることができる。
また、予めテープ状に形成された樹脂テープ材の両面に、予めテープ状に形成された繊維を付着させて複合テープ材を作成し、作成された複合テープ材に導電性被膜を形成して導電性テープ材を製造することも可能である。
(導電性積層材)
図4は、導電性積層材の一例について、その断面を模式的に示した概略断面図である。この例では、平織りした導電性織物を複数層重ね合せて厚さ方向に加熱加圧処理することで一体化している。導電性織物を構成する経糸12及び緯糸13が互いに交差して積層一体化されており、図3に示すように、導電性テープ材の導電性被膜に対応する導電性部分が電気的に接続して厚さ方向の導電性を向上させるとともに、全体にほぼ均一な導電性が付与されるようになる。
図5は、図4で示した15または15’、またはそれに相当する部分について、その断面を拡大して模式的に示した一部拡大概略断面図である。導電性テープ材に対応する部分では、加熱加圧処理により基体となる熱可塑性樹脂材料が両面の繊維の間に含浸して基体内部に繊維が分布している。また、各導電性織物の層間にも含浸して導電性積層材を一体化している。熱可塑性樹脂材料が両面の繊維の間や各層間に含浸することで、繊維と熱可塑性樹脂材料が一体化して強度を高めることができる。また、導電性被膜が形成された繊維が多い部分(16a、16b、17a、17b、18a、18b、19a、19b)については導電性積層材内部にそのまま存在するため、図3に示すように、厚さ方向の導電性を確保することができる。さらに、各層を積層する際に、互いの経糸同士及び緯糸同士が重なるように積層して一体化することで、例えば、17b及び18cは加熱加圧処理する際に互いの導電性被膜繊維が層間で流動して一体化するため、層間における接触抵抗を小さくし、導電性をさらに向上させることが可能となる。さらに、これらは導電性積層材が厚くなった場合でも導電性の低下を抑止することが可能である。
(導電性積層材の成形方法)
導電性積層材の成形方法は、特に限定されないが、導電性織物を少なくとも一部に積層して、公知のプレス装置を用いて、大気圧以上の圧力を加えながら前記熱可塑性樹脂材料のガラス転移温度以上に加熱し、その状態のままガラス転移温度以下まで冷却して成型する方法が好ましい。
導電性積層材は、少なくとも一部に導電性織物を積層して製造すればよく、例えば、表層部分に導電性織物を積層しておけば、表層部分の導電性を高めた導電性積層材を得ることができる。
(燃料電池用セパレータ)
燃料電池用セパレータは、図6に示すように、両面または片面にガスを流すための流路が形成されており、上述した導電性積層材を用いて用途に合わせた立体形状に成形することにより得ることができる。ガスを流すための流路形状や流路の断面形状、流路の幅や深さ、セパレータの厚みなどは特に限定されない。例えば、流路断面形状は長方形、台形、三角形、半円形などが挙げられる。流路形状は、蛇行型、目の字型、田の字型、分岐型、あるいはそれらを組み合わせた型などが挙げられる。流路の幅は0.5〜3mm、深さは0.5〜3mmが好ましい。また成形したセパレータの厚みは1.0mm以下が好ましい。より好ましくは0.1mm〜0.5mmが好ましい。セパレータの厚みが1.0mm以上の場合、セパレータの抵抗によるセル電圧の降下が大きくなり好ましくない。こうした薄いセパレータは、上述した導電性織物を積層して容易に形成することができ、得られたセパレータについても全体にほぼ均一な導電性を備えており、高品質のセパレータを安定して製造することが可能となる。
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。
(導電性織物および導電性積層材の導電性の測定)
導電性織物および導電性積層材の厚さ方向の導電性については、TDK株式会社製VAX60−6R0S、株式会社ADVANTEST製TR2114、岩崎通信機株式会社製VOAC7413を用いて四端子法にて測定した。具体的には、測定する試験片(80mm×80mm)を2枚の金メッキ真鍮板に挟み、四辺を締付用ネジで締付けトルクが4N・mになるよう均一に締付けて試験片を均一に加圧しながら、金メッキ真鍮板間に100mAの定電流を流して、その際の電圧を測定することで厚さ方向の電気抵抗を算出した。
(燃料電池の発電特性)
燃料電池の発電特性については、株式会社ケミックス製CN36196を用いて測定した。さらに詳しく説明すると、燃料電池を構成する部材のうち、セパレータ以外の部材(エンドプレート、集電板、締付用ネジ、MEA、ガスケット)にはJARI標準セル(株式会社ケミックス製JFC−025−01H)の各部材を使用し、セパレータ部分には試作したセパレータを用いてセルを組み立て、発電特性評価用単セルとした。
発電特性の評価としては、100時間の連続発電試験およびI−V計測を行なった。具体的には、運転条件としてセル運転温度80℃、水素加湿温度80℃、空気加湿温度80℃に設定し、発電条件として、可能な限り最大の電流密度となるような水素ガス流量、空気流量に設定してエージングを3時間行なった。エージング終了後、上述の運転条件の下、発電条件を 電流密度0.25A/cm、水素ガス流量を利用率50%、空気流量を利用率25% に設定して、100時間連続で発電しながら一定時間ごとにセル電圧を計測し、100時間の連続発電試験を行なった。 なお、エージングの影響を受けないようにするため、連続発電試験開始から60時間までを慣らし運転とし、60時間後から100時間後までの電圧の低下を比較し、セパレータの耐久性について確認した。
さらに100時間連続発電試験の終了後、上記の運転条件および発電条件の下で、電流値を0Aから徐々に上昇させながら、設定した電流値におけるセル電圧を計測し、 セルの電圧値が0.5Vを下回るまで、I−V計測を行なった。
[実施例1]
本発明に用いた材料を以下に示す。
<使用材料>
(導電性テープ材に使用した繊維)
三菱レイヨン株式会社製;炭素繊維束 TR50S−15K、繊維直径約7μm、繊維本数15000本
(導電性テープ材に使用した熱可塑性樹脂材料)
三菱化学株式会社製;ナイロン6樹脂フィルム、フィルム厚み20μm
<製造工程>
<導電性テープ材の製造工程>
(1)炭素繊維束を幅方向48mm間隔で7本並べ、空気開繊法(特許第4740131号公報参照)を取り入れた開繊装置により、各炭素繊維束TR50S−15Kを幅48mmに開繊し、補強繊維が全体にほぼ均一の厚みで分散した幅336mmの開繊糸シートを作成した。
(2)その後、ナイロン6樹脂フィルムの両面に、公知の貼り合わせシート作成装置(特開2008−149708参照)を用いて、開繊糸シートを貼り合わせ、複合シート材を得た。
(3)なお、開繊糸シートとナイロン6樹脂フィルムを熱融着にて貼り合わせる際の温度は約270度に制御を行なった。また、熱融着させる際または熱融着後に、加熱された熱可塑性樹脂が貼り合わせシート作成装置の各部に付着することを防ぐため、開繊糸シートとともに熱硬化性ポリイミドフィルム(製品名:ユーピレックスS、厚み;25μm、製造会社;宇部興産株式会社)を離型フィルムとして供給した。なお、両シート材を貼り合わせる速度は10m/分で行なった。
(4)得られた複合シート材を、30℃の活性化剤(奥野製薬工業製 ICPアクセラ)に3分間浸漬し、水洗した後に65℃の無電解ニッケルめっき液(奥野製薬工業製 トップケミアロイ66)に90秒間浸漬し、水洗後に40℃で1時間乾燥した。その結果、繊維表面に均一で密着性の良好なニッケルめっき被膜層を形成した、図1に示すような導電性テープ材を得た。
<導電性織物の製造工程>
(5)ニッケルめっき被覆層を形成した複合シート材を、開繊糸シートの繊維の引き揃えた方向と平行方向に幅3mmでスリットして導電性テープ材を得た。得られた導電性テープ材を経糸および緯糸として幅500mmで平織りすることで、図2に示すような導電性織物を得た。
(6)得られた導電性性織物を 織物長手方向に長さ80mm、織物の幅方向に幅80mmの正方形にカットした。
(7)このようにして得られた導電性織物試験片について、導電性の評価を行なった。
[比較例1]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(3)と同様に、幅336mmの複合シート材を得た。
(2)得られた複合シート材を、上述した実施例1の(4)に記載した導電性被膜を形成する処理を行なわずに、実施例1の(5)と同じ手法を行なうことにより、導電性被膜を有しない、複合シート織物を得た。
(3)得られた複合シート織物を 織物長手方向に長さ80mm、織物の幅方向に幅80mmの正方形にカットした。
(4)このようにして得られた複合シート織物試験片について、導電性の評価を行なった。
[比較例2]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(3)と同様に、幅336mmの複合シート材を得た。
(2)得られた複合シート材を 織物長手方向に長さ80mm、織物の幅方向に幅80mmの正方形にカットした。
(4)このようにして得られた複合シート材試験片について、導電性の評価を行なった。
[実施例2]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(5)により幅500mmの導電性織物を得た。
<導電性積層材の製造工程>
(2)得られた導電性織物を、織物長手方向に長さ100mm、織物の幅方向に幅100mmの正方形にカットし、平織りの織り目が互いに同じ向きで接触するようにして4枚積層して平板用金型(縦100mm、横100mm)にセットした。セットした金型を、成形プレス装置(株式会社笠松化工研究所製TJ−S3530WAV)を用いて、加熱温度280℃、成形圧力10MPa、成形時間30分で加熱加圧成形した後、成形圧力を10MPaに維持したまま常温まで放冷し、厚さ0.30mmの導電性積層材を得た。
(3)得られた導電性積層材を、長手方向(0度方向)に長さ80mm、織物の幅方向(90度方向)に幅80mmにカットした。
(4)このようにして得られた、導電性積層材について導電性の評価を行なった。
[実施例3]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例2と同様に製造された導電性織物を2枚積層して、実施例2と同様に導電性積層材を製造し、実施例2と同じ手法により、長さ80mm、幅80mm、厚さ0.16mmの導電性積層材を得た。
(2)このようにして得られた導電性積層材について、導電性の評価を行なった。
[比較例3]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(3)と同様に、幅336mmの複合シート材を得る。
(2)得られた複合シート材を、上述した実施例1の(4)に記載した導電性被膜を形成する処理を行なわずに、実施例1の(5)および実施例2の(2)および(3)と同じ手法を行なうことにより、導電性被膜を有しない、積層材(長さ80mm、幅80mm、厚さ0.32mm)を得た。
(3)このようにして得られた積層材について、導電性の評価を行なった。
[比較例4]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(4)と同様に、幅336mmのニッケルめっき被覆層を形成した複合シート材を得る。
(2)得られたニッケルめっき被覆層を形成した複合シート材を、上述した実施例1の(5)に記載のした導電性織物の製造工程により平織りする工程を行なわずに、繊維長方向に長さ100mm、繊維長と直交する方向に幅100mmにカットした。
(3)ニッケルめっき被覆層を形成した複合シート材をカットしたものを、0度方向、90度方向の順に8枚積層して平板用金型(縦100mm、横100mm)にセットした。セットした金型を、実施例1と同様の装置を用いて、実施例1と同様の条件で成形して、厚さ0.32mmの積層材を得た。
(4)得られた積層材を、繊維長方向(0度方向)に長さ80mm、繊維長と直交する方向(90度方向)に幅80mmにカットした。
(5)このようにして得られた積層材について、導電性の評価を行なった。
[比較例5]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(3)により幅336mmの複合シート材を得る。
(2)得られた複合シート材を、上述した比較例4の(2)から(4)と同じ手法を行なうことにより、導電性被膜を有しない、積層材(長さ80mm、幅80mm、厚さ0.33mm)を得た。
(3)このようにして得られた積層材について、導電性の評価を行なった。
[実施例4]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(5)と同じ手法により、幅500mmの導電性織物を得た。
(2)実施例1の(1)から(3)と同じ手法により、複合シート材を得た。
(3)(1)にて得られた当該導電性織物を、織物長手方向に長さ100mm、織物の幅方向に幅100mmの正方形にカットし、平織りの織り目が互いに同じ向きで接触するようにして4枚積層した。さらにその上に、(2)で得られた複合シート材を1枚積層し、MEAに接触する最表面が複合シート材になるようにしてセパレータ用金型(縦100mm、横100mm)にセットした。この場合、導電性被膜が形成されていない複合シート材をMEAと接触する面の最表面に配置することで、導電性織物に形成されている導電性被膜がMEAとの接触面で溶出するのを防ぐことができる。 セットした金型を、実施例1と同様の装置を用いて、同様の条件で成形処理して、セパレータ用積層材を得た。
(4)その後、得られたセパレータ用積層材について、流路形状の部分がMEAの位置に正確に重なるように四辺をカットし、織物長手方向に長さ80mm、織物の幅方向に幅80mm、厚さ0.35mmの、図6に示すような、燃料電池用セパレータを得た。
(5)得られた燃料電池用セパレータを用いて、発電特性の評価を行なった。
[比較例6]
<使用材料>
繊維、熱可塑性樹脂材料とも実施例1に同じ。
<製造工程>
(1)実施例1の(1)から(3)と同じ手法により、複合シート材を得た。
(2)得られた複合シート材を、繊維長方向に長さ100mm、繊維長と直交する方向に幅100mmの正方形にカットし、繊維長方向が流路の長手方向になるように9枚積層してセパレータ用金型(縦100mm、横100mm)にセットした。セットした金型を、実施例1と同様の装置を用いて、同様の条件で成形処理して、セパレータ用積層材を得た。
(3)その後、得られたセパレータ用積層材について、流路形状の部分がMEAの位置に正確に重なるように四辺をカットし、繊維長方向に長さ80mm、繊維長と直交する方向に幅80mmの、図6に示すような、燃料電池用セパレータを得た。
(4)得られた燃料電池用セパレータを用いて、発電特性の評価を行なった。
[比較例7]
本発明に用いた材料を以下に示す。
<使用材料>
(グラファイト製燃料電池用セパレータに使用したグラファイトプレート)
東海カーボン株式会社製;G347B、プレートサイズ;80mm×80mm×厚み10mm
<製造工程>
(1)グラファイトプレートG347Bを用いて、切削加工により、図6に示すような、流路形状を形成して、グラファイト製セパレータを得た。
(2)得られたグラファイト製セパレータを用いて、発電特性の評価を行なった。
図7は、実施例1並びに比較例1及び2に関する評価結果を示す表である。実施例1および比較例1で得られた試験片について厚さ方向の電気抵抗を比較すると、無電解めっきによって導電性が向上したことが分かる。 また、比較例1および比較例2で得られた 導電性被膜を形成していない試験片について厚さ方向の電気抵抗を比較すると、比較例2は織物形状に製織せずシート形状のままであるため厚さが比較例1の約半分であるにも関わらず、織物構造を有する試験片(比較例1)の方が厚さ方向の電気抵抗が小さくなり、織物構造によって導電性が向上したことが分かる。
したがって、導電性被膜を形成し、織物構造を有することで、図3に示すように、導電性テープ材の導電性被膜に対応する導電性部分が電気的に接続して、導電性織物の厚さ方向の導電性を大幅に向上させることが確認できた。
図8は、実施例2及び3並びに比較例3から5に関する評価結果を示す表である。実施例2および比較例3で得られた積層材について厚さ方向の電気抵抗を比較すると、無電解めっきによって導電性が大幅に向上したことが分かる。
また、実施例2および比較例4で得られた導電性積層材について、厚さ方向の電気抵抗を比較すると、同じ導電性被膜を形成した場合でも 織物構造を有する積層材(実施例2)の方が厚さ方向の電気抵抗が小さく、導電性が向上していることが分かる。また、同様に、導電性被膜を形成していない場合(比較例3および比較例5)でも、織物構造を有する積層材(比較例3)の方が 厚さ方向の電気抵抗が小さく、導電性が向上していることが分かる。 また、実施例2と実施例3で得られた導電性積層材の積層枚数と厚さ方向の電気抵抗を比較すると、実施例2における導電性織物の積層枚数は実施例3の積層枚数の2倍であるが、厚さ方向の電気抵抗は2倍以下の値となった。このことから、積層板の織り構造によって 導電性積層材が厚くなった場合でも導電性の低下を抑止することができることが分かる。
したがって、導電性被膜を形成し、織物構造を有する導電性織物を用いることで、厚み方向の導電性に優れる導電性積層材を提供できる。
図9は、実施例4並びに比較例6及び7に関する評価結果を示す表である。実施例4および比較例7の発電特性を比較した場合、100時間連続運転における60時間後の電圧は実施例4が比較例7よりも約8%低く、100時間後の電圧は実施例4が比較例7よりも約7%低い結果となったが、電圧が低下する割合はほぼ同程度であり、セパレータとして十分な耐久性を有していることが確認できた。 なお、比較例6については、エージング後の最大電流密度が0.12A/cmしか得られず、0.25A/cmに達しなかった。そのため、実施例4および比較例7と同じ発電条件での100時間連続運転ができなかったため、結果を記載していない。
さらに、I−V計測について、実施例4と比較例6を比較すると、導電性被膜を形成したことで最大電力密度が大幅に向上していることが明らかである。さらに、実施例4と比較例7の最大電力密度を比較した場合、実施例4の方が比較例7よりも約25%低下しているが、セパレータの重量は3%以下で厚さは約3.5%しかなく、例えば燃料電池のセル数を25%増やした場合でも燃料電池の総重量は軽量化できるため、セパレータとして優位性を維持できると考えられる。したがって、本発明によれば、導電性と成形性に優れた燃料電池用セパレータを提供できる。
本発明に係る導電性織物及び導電性積層材は、厚さ方向に優れた導電性を有し、かつ、様々な立体形状に対応可能な成形性を有しており、かつ薄層化による軽量化が容易であるため、従来実用化されなった領域の材料、例えば、エレクトロニクス分野、電気製品、機械部品、自動車・航空機部材等の各種用途・部品に広く適用可能であり、特に導電性と立体形状付与性が求められる燃料電池用セパレータとして非常に有用である。
1 導電性テープ材
2 熱可塑性樹脂材料
3 単繊維
4 導電性被膜
5 導電性織物
6 導電性被膜が露出した部分
7 緯糸と接触する部分
8 7とは異なる緯糸と接触する部分
9 7と接触する部分
10 導電性被膜が露出した部分
11 10と異なる位置で導電性被膜が露出した部分
12 経糸(90度方向)
13 緯糸(0度方向)
14a、14b、14c、14d 導電性織物
15、15’ 図5に該当する部分の一例
16a、16b、19a、19b 導電性積層材を構成する導電性織物の緯糸(0度方向)において導電性被膜が形成されている繊維の割合が多い部分
16c、19c 導電性積層材を構成する導電性織物の緯糸(0度方向)において導電性被膜が形成されていない繊維の割合が多い部分
17a、17b、18a、18b 導電性積層材を構成する導電性織物の経糸(90度方向)において導電性被膜が形成されている繊維の割合が多い部分
17c、18c 導電性積層材を構成する導電性織物の経糸(90度方向)において導電性被膜が形成されていない繊維の割合が多い部分

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて形成されるとともに 両面の露出している当該繊維の表面に導電性被膜を形成している導電性テープ材を少なくとも一部に用いて 互いの導電性被膜が接触するように製織されている導電性織物。
  2. 前記導電性テープ材を経糸および緯糸として用いて厚さ方向に重なるように製織されている請求項1に記載の導電性織物。
  3. 前記基体は、熱可塑性樹脂材料に導電性粉体または導電性フィラーが添加されている請求項1または2に記載の導電性織物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の導電性織物を少なくとも一部に積層して一体化されている導電性積層材。
  5. 熱可塑性樹脂材料からなる基体の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させた複合テープ材又は当該複合テープ材により製織した織物を一部に積層して一体化されている請求項4に記載の導電性積層材。
  6. 請求項4又は5に記載の導電性積層材を少なくとも一部に積層している燃料電池用セパレータ。
  7. シート状の熱可塑性樹脂材の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて複合シート材を形成する工程と、前記複合シート材の両面に露出する前記繊維の表面に導電性被膜を形成する工程と、導電性被膜が形成された前記複合シート材をテープ状に切断して導電性テープ材を形成する工程と、前記導電性テープ材を用いて製織する工程を含む導電性織物の製造方法。
  8. テープ状の熱可塑性樹脂材の両面に 所定方向に引き揃えた複数の繊維を層状に付着させて複合テープ材を形成する工程と、前記複合テープ材の両面に露出する前記繊維の表面に導電性被膜を形成して導電性テープ材を作成する工程と、前記導電性テープ材を用いて製織する工程を含む導電性織物の製造方法。

JP2013066471A 2013-03-27 2013-03-27 導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ Active JP6216944B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066471A JP6216944B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066471A JP6216944B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014189921A JP2014189921A (ja) 2014-10-06
JP6216944B2 true JP6216944B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=51836475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013066471A Active JP6216944B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6216944B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6900594B2 (ja) * 2016-07-12 2021-07-07 福井県 金属/樹脂繊維テープ材織物及びその製造方法、並びに金属/樹脂繊維テープ材織物積層材
JP7275539B2 (ja) * 2018-11-16 2023-05-18 日清紡ホールディングス株式会社 導電性金属樹脂積層体及びその成形体
CN109629085B (zh) * 2019-01-30 2021-05-11 宁波石墨烯创新中心有限公司 一种空间三维网络结构的石墨烯导电织物以及制备方法和应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5759462A (en) * 1994-10-14 1998-06-02 Amoco Corporaiton Electrically conductive tapes and process
JP2983531B1 (ja) * 1998-09-29 1999-11-29 福井県 開繊糸織物の製造方法とその装置
JP3937068B2 (ja) * 2002-05-02 2007-06-27 株式会社ミューファン 積層糸、積層体及び繊維製品
US20070071960A1 (en) * 2005-09-27 2007-03-29 Eleazer Howell B Moldable fabric with variable constituents
JP5076053B2 (ja) * 2006-11-22 2012-11-21 福井県 熱可塑性樹脂多層補強シート材及びその製造方法、並びに熱可塑性樹脂多層補強成型品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014189921A (ja) 2014-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11407199B2 (en) Metal-coated fabrics for fiber-metal laminates
RU2733611C2 (ru) Предварительно пропитанный проводящий композитный лист и способ его изготовления
CN100334760C (zh) 具有连续电通路的碳纤维增强塑料双极板
CN110615981B (zh) 传导性聚合物和金属涂覆纤维的传导性组合物
US20030068559A1 (en) Apparatus and method for the design and manufacture of multifunctional composite materials with power integration
AU2013244828B2 (en) Material with improved conductivity properties for the production of composite parts in combination with a resin
CN106898729A (zh) 柔性集流体、包含该柔性集流体的电极及电池
Yang et al. Superhydrophobic and corrosion-resistant electrospun hybrid membrane for high-efficiency electromagnetic interference shielding
JP6420829B2 (ja) 二次電池用集電体及びこれを用いた電極
AU2013276404A1 (en) Improvements in composite materials
JP6216944B2 (ja) 導電性織物およびその製造方法ならびにそれを用いた燃料電池用セパレータ
Tang et al. Achieving flexible and durable electromagnetic interference shielding fabric through lightweight and mechanically strong aramid fiber wrapped in highly conductive multilayer metal
JP2024059671A (ja) フィルム状機能材料及びそれの製造方法
Gao et al. Absorption-dominant, low-reflection multifunctional electromagnetic shielding material derived from hydrolysate of waste leather scraps
JP7320862B2 (ja) 膜及び製造プロセス
US20220270780A1 (en) Thickness direction conductive laminated composite material and manufacturing method therefor
CN109468852B (zh) 一种纤维预浸料、纤维预浸板及纤维预浸料的制备方法
KR20230119254A (ko) 연료전지 세퍼레이터용 전구체 시트 및 연료전지 세퍼레이터
Chen et al. Flexible Sandwich-Structured Co–Ni Alloy-Coated Basalt Fabrics via the Writing–Grafting–Activation–Deposition Process for Electromagnetic Interference Shielding and Electrothermal Conversion
JP6900594B2 (ja) 金属/樹脂繊維テープ材織物及びその製造方法、並びに金属/樹脂繊維テープ材織物積層材
WO2024050696A1 (zh) 复合膜的制造方法、复合膜及其应用
CN115966704A (zh) 复合集流体及其制备方法和锂电池、用电装置
CN115241465A (zh) 复合膜的制造方法、复合膜及其应用
JP2022124844A (ja) 燃料電池用セパレータ部材、燃料電池用セパレータ部材の製造方法、及び燃料電池用セパレータ
JP2024032103A (ja) 強化繊維基材、およびこれを用いた積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170523

R155 Notification before disposition of declining of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R155

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170830

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6216944

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250