以下に添付図面を参照して、本発明に係る各台対応装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明をパチンコ遊技を提供する各台計数システムに適用する場合について説明することとする。
まず、本実施例に係る各台計数システムのシステム構成について説明する。図1は、本実施例に係る遊技店の店内システムのシステム構成図である。
同図に示すように、遊技店には、計数機能付きCRユニット10(以下、単にCRユニットと言う)と、パチンコ機20と、島コントローラ30と、コンソール50と、ホールコンピュータ70とが設けられている。
CRユニット10は、遊技店内の各パチンコ機20に併設されるカード処理ユニットであり、本実施例では、パチンコ機20の下皿から投入されるパチンコ玉を計数する計数機能をさらに有する。具体的には、自装置が接続されたパチンコ機20で遊技者が獲得したパチンコ玉を計数した上で、カード返却時には、持ち玉払戻し等により電子データからパチンコ玉の現物に還元して消化された計数値を除き、その時点で残存している残存計数値を持ち玉として一般カードや会員カード等のカードに関連付け、持ち玉を関連付けたカードを発行(返却)する。
また、CRユニット10は、コンソール50に預け入れられた貯玉を引き落とすいわゆる再プレイの機能も有する。具体的には、ユニット内部に受入中の会員カードに記録された会員IDに対応する貯玉残高から、予め規定された再プレイ玉数を減算するようにコンソール50に依頼し、コンソール50によって再プレイ玉数の減算が完了された後にパチンコ機20に玉投出指示を行う。
このCRユニット10は、従来と同様、現金を用いたり、一般カードや会員カード等のカードに価値付けられたプリペイド残額を用いた玉貸しも行う。従って、一般カードには、持ち玉とプリペイド残額の2つの遊技価値が関連付けられ、会員カードには、これら2つの遊技価値の他、貯玉がさらに関連付けられる。
パチンコ機20は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技者がパチンコ遊技を行う装置であり、本実施例では、CRユニット10と接続されるいわゆるCRパチンコ機であるものとしている。
島コントローラ30は、周囲を通路に囲まれたスペース(遊技島)に設けられた一群のCRユニット10及びパチンコ機20を束ねる中継装置である。
コンソール50は、一般カード及び会員カードに関連付けられたプリペイド残額、持ち玉または貯玉などの価値を管理する管理装置である。具体的には、一般カードの識別情報(一般カードID)または会員IDに対応付けてプリペイド残額を記憶するプリペイド残額管理テーブル、一般カードIDまたは会員IDに対応付けて持ち玉を記憶する持ち玉管理テーブル、さらには、会員IDに対応付けて貯玉を記憶する貯玉管理テーブルを記憶している。
このコンソール50は、CRユニット10からプリペイド残額の加算依頼を受け付けた場合に、当該加算依頼に含まれる一般カードIDまたは会員IDに対応するプリペイド残額に挿入紙幣金額などの価値付け依頼金額を加算更新し、また、プリペイド残額の減算依頼を受け付けた場合には、当該減算依頼に含まれる一般カードIDまたは会員IDに対応するプリペイド残額から玉貸しの貸出単位金額等の減算依頼金額を減算更新する。
また、コンソール50は、CRユニット10から持ち玉の登録依頼を受け付けた場合に、当該登録依頼に含まれる残存計数値などの登録依頼玉数を一般カードIDまたは会員IDに対応付けて登録し、また、CRユニット10から持ち玉の応答依頼を受け付けた場合には、当該応答依頼に含まれる一般カードIDまたは会員IDに対応する持ち玉数を依頼元のCRユニット10に応答する。
なお、本実施例では、プリペイド残額については、CRユニット10及びコンソール50の間で常に同期を取りつつ最新のプリペイド残額を両者によって管理する一方で、持ち玉については、カード返却操作が行われるまでCRユニット10内で持ち玉データをローカルに管理し、カード返却時に持ち玉を一般カードIDまたは会員IDに対応付けてコンソール50に通知することとするが、必ずしもカード返却時に限定して持ち玉の関連付けを行う必要はなく、持ち玉を更新するタイミングや所定の周期(例えば、1分間隔)等に合わせて随時行うこともできる。
また、コンソール50は、CRユニット10から貯玉の減算依頼を受け付けた場合には、当該減算依頼に含まれる会員IDに対応する貯玉残高から再プレイ玉数等の減算依頼玉数を減算更新する。
さらに、コンソール50では、会員である遊技客の持ち玉については遊技店が予め定めた所定のタイミング(例えば、閉店処理時や翌営業日の開店処理時など)で貯玉口座に自動的に移行する。具体的には、会員IDに対応付けて記憶される持ち玉を当該会員IDの貯玉残高に加算更新する。これによって、遊技店が再プレイに手数料を課す運営を行っている場合でも、持ち玉の有効期限内は持ち玉として使用させ、持ち玉が日を跨ぎ無効になるタイミング以降には貯玉として使用させることとしている。なお、会員用と一般(ビジター)用のコンソールは別体であってもよい。
H/C70は、図示しない台データ管理テーブルを用いて各パチンコ機20の台データの管理を行うホールコンピュータである。この台データ管理テーブルは、パチンコ機20の号機番号にアウト数、セーフ数、特賞回数やスタート回数などの台データを対応付けて記憶している。これらの台データは、各パチンコ機20でアウト、セーフ、特賞またはスタートが発生する度に収集され、該台データ管理テーブルに登録される。なお、アウトとは、遊技台に打ち込まれたパチンコ玉を指し、セーフとは、遊技台から賞玉として投出されたパチンコ玉を指し、特賞とは、遊技台における大当りを指し、また、スタートとは、遊技台で単位ゲームを開始する事象を指す。
このように、遊技店には、会員カードを取り扱うCRユニット10などの店内機器と店内機器を管理するコンソール50とを含んで構成される会員システム、そして、会員カード及び一般カードを取り扱うCRユニット10やその他図示しないカード精算機などの店内機器とコンソール50を含んで構成されるカードシステム、さらには、遊技台の台データを取り扱うパチンコ機20やCRユニット10などの店内機器とH/C70とを含んで構成されるホールコンシステムが併存している。
このうち、会員システム及びカードシステムに属する装置間では、全てLANにより通信を行う一方で、ホールコンシステムでは、CRユニット10及び島コントローラ30の間はLANを介して通信を行い、島コントローラ30及びH/C70の間は、パルス信号により通信を行う。
すなわち、多くの遊技店では、パルス信号を介して遊技台の台データを取得するパルス対応のホールコンピュータが広く利用されており、島端型の計数システムから各台計数システムに変更した場合でもそのホールコンピュータが引き続き利用したいというニーズが高い。また、複数の遊技店を運営するグループにおいても、当該グループ指定のホールコンピュータとしてパルス対応のものが指定されていることが多い。
このことから、本実施例では、1つの遊技島に所定数のCRユニット10と1つの島コントローラ30を配設し、複数のCRユニット10から1つの島コントローラ30にデータを通知し、当該島コントローラ30からH/C70にパルス出力させる場合について例示することとする。
ここで、本実施例では、パチンコ玉の計数値及び払戻し数を蓄積しておき、一般カードまたは会員カード等のカードが返却されるか、或いは持ち玉(残存計数値)がゼロになった場合に、それまでに蓄積していた計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知するようにCRユニット10を構成し、CRユニット10によって通知された計数値及び払戻し数それぞれに相当する計数パルス信号及び払戻しパルス信号をH/C70に出力するように島コントローラ30を構成した。
すなわち、本実施例では、各台計数方式でホールコンピュータにパルス出力を行うに際して、カードが返却された場合、或いは持ち玉がゼロになった場合に、それまでに蓄積していた計数値及び払戻し数を島コントローラ30からH/C70へパルス出力することで、ホールコンピュータ側で1人の遊技客単位の総計数値及び総払戻し数を把握可能な履歴データを得られるようにした。
これを具体的に説明すると、図2(A)に示す例では、遊技客が現金挿入、大当たり、大当たり、カード返却という流れで遊技を行った場合を例示しており、この遊技の流れの中で、10時20分の大当たりにより2000玉がCRユニット10で計数され、次の大当たりが10時40分に発生するまで払戻しにより1000玉が消化され、10時40分の大当たりで再び2000玉が計数され、その後、11時にカード返却が行われるまでに払戻しにより1000玉が消化されたことを示している。
図2(A)の場合には、CRユニット10では、島コントローラ30がH/C70にパルス出力する内容を送信する契機とする「カード返却」が行われるまでに、計数値として4000玉を蓄積し、払戻し数として2000玉を蓄積し、カード返却が行われた時点で計数値4000玉及び払戻し数2000玉を自装置が所属する島コントローラ30に通知する。
一方、島コントローラ30では、自装置に所属するCRユニット10から通知された計数値4000玉及び払戻し数2000玉それぞれに相当する計数パルス信号及び払戻しパルス信号をH/C70に出力する。
これら島コントローラ30とH/C70との間では、単位パルスと伝達対象の計数値または払戻し数との対応関係が予め規定されており、たとえば1パルスにつき10玉(10玉/1パルス)と規定されているとした時、図示の例では400回の計数パルス信号をH/C70に出力し、200回の払戻しパルス信号をH/C70に出力する。なお、計数パルスと払戻しパルスの間での規定は必ずしも同一である必要はなく、それぞれの単位パルスに対して任意の玉数を規定することができる。
このように、カード返却時にカード返却されるまでの計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力すれば、1人の遊技客が大当たり後に2000玉使ったものの2000玉の獲得玉を得たという履歴データ、すなわち遊技で勝った場合の履歴データをH/C70に収集させることができる(図2(A)の点線囲い部分を参照)。
そして、H/C70において別途遊技台から収集されたアウトとセーフから得られる差玉(出玉)履歴と比較する際には、島コントローラ1号機に所属するCRユニット10に併設されるパチンコ機20であり、かつ11時までに最大4000玉のセーフを得て最大2000玉のアウトを遊技台に打ち込んだという履歴(言い換えれば、11時までに差玉として2000玉を得た履歴)を有する差玉履歴(図2(A)のグラフ参照)と比較すればよいという比較の目安を得ることができる。
このように、複数のCRユニット10でサンプリングされる計数値及び払戻し数を1つの島コントローラ30でH/C70に通知させることとしても、1人の遊技客が遊技で勝った履歴に対応する計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力するので、差玉履歴と比較する際にして遊技台を特定した上で差玉履歴と比較することができる。
すなわち、島コントローラ30からパルス出力された時刻、すなわち1人の遊技客が遊技を終了した時刻から遡って差玉履歴を参照することができ、さらには、計数値から払戻し数を差し引いた残存計数値(持ち玉)と、差玉(セーフ−アウト+貸し玉)とが略同一になるという原則に反していないか否か、すなわちセーフがないのに計数値が異常に発生していないかどうかを分析できる結果、後述する計数部12への不正、他店の玉や偽造玉の持ち込み等の計数ゴトを看破することができる。
また、パチンコ機10で大当たりが発生した場合に遊技客が得る計数値と、そのパチンコ機10の機種のスペックとを比較して分析したり、大当たり後に払い戻す玉数をパチンコ機10の機種ごとに分析したりするなどのように、遊技台の遊技傾向を分析することもできる。
この図2(A)の例では、遊技客が遊技で獲得玉を得た場合の履歴データをH/C70にパルス出力する場合について説明したが、本実施例では、遊技客が遊技で獲得玉を得られなかった場合の履歴データもH/C70にパルス出力することができるようにしている。
これを具体的に説明すると、図2(B)の例では、遊技客が現金挿入、大当たり、持ち玉ゼロという流れで遊技を行った場合を例示しており、この遊技の流れの中で、11時35分の大当たりによって1000玉がCRユニット10で計数されたものの、その後の払戻しにより12時になった時点で1000玉が消化されたことを示している。
図2(B)の場合には、CRユニット10では、島コントローラ30がH/C70にパルス出力する内容を送信する契機とする「持ち玉ゼロ」に至るまでに、計数値として1000玉を蓄積し、払戻し数として1000玉を蓄積し、これら計数値1000玉及び払戻し数1000玉を自装置が所属する島コントローラ30に通知する。
一方、島コントローラ30では、自装置に所属するCRユニット10から通知された計数値1000玉及び払戻し数1000玉それぞれに相当する計数パルス信号及び払戻しパルス信号をH/C70に出力する。
このように、持ち玉ありの状態から持ち玉ゼロになった場合にそれまでの計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力すれば、1人の遊技客が大当たりで1000玉得たものの、そのまま1000玉を遊技に消化してしまったという履歴データ、すなわち遊技で負けた場合の履歴データをH/C70に収集させることができる(図2(B)の点線囲い部分を参照)。
そして、H/C70において差玉履歴と比較する際には、島コントローラ1号機に所属するCRユニット10に併設されるパチンコ機20であり、かつ12時までに1000玉のセーフを得たものの、その1000玉すべてを遊技台に打ち込んだという履歴を有する差玉履歴(図2(b)のグラフ参照)と比較すればよいという比較の目安を得ることができる。
このように、複数のCRユニット10でサンプリングされる計数値及び払戻し数を1つの島コントローラ30でH/C70に通知させることとしても、1人の遊技客が遊技で負けた履歴に対応する計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力するので、差玉履歴と比較する際にして遊技台を特定した上で差玉履歴と比較することができる。
すなわち、島コントローラ30からパルス出力された時刻、すなわち1人の遊技客が遊技を終了した時刻から遡って差玉履歴を参照することができ、さらには、遊技客が勝った場合だけを対象に不正監視を行うのではなく、最終的には全ての計数値を打ち込んでいるものの、その計数値が本当に大当たり等のセーフを伴うものであったのか否かを分析できる結果、上記の計数ゴトが遊技だけに使用されて持ち玉としての成果が得られなった場合でも、その不正を解明することができる。
また、計数値と払戻し数が等しくなるタイミング(持ち玉がゼロになったタイミング)でパルス出力される回数をカウントすることで、その回数が多ければ機種の人気が高く、一方、回数が少なければ不人気と分析したりなどのように、遊技台の遊技傾向を分析することもできる。
以上のように、本実施例では、遊技客が遊技で獲得玉を得た場合ならびに獲得玉を得られなかった場合の両方を含めて、1人の遊技客単位で総計数値及び総払戻し数をH/C70にパルス出力させることができ、ホールコンピュータ側で不正発生時の原因解明や遊技台の遊技傾向などを分析させることが可能になる。
また、本実施例では、1人の遊技客単位で総計数値及び総払戻し数をまとめてH/C70にパルス出力するので、計数の都度または払戻しの都度にパルス信号をホールコンピュータに出力する場合よりも、ホールコンピュータ側でパルス信号を受け取る頻度を低減させることができる。
続いて、本実施例に係るCRユニットの構成について説明する。なお、ここでは、CRユニットの外観構成について説明してから内部構成を説明することとする。
図3は、本実施例に係るCRユニットの外観を示した正面図である。なお、この図3には、CRユニット10が併設されたパチンコ機20を破線で示している。
図3に示すように、CRユニット10は、縦長の直方体型の筐体として構成したもので、本体正面の上部から順に、状態表示部101と、紙幣挿入部102と、リモコン受光部103と、7SEG表示部104と、操作ボタン群105と、持ち玉払出部106と、カード挿入部107と、計数部12と、受皿部108とを有する。
このうち、状態表示部101は、ユニットの異常時(例えば、紙幣詰まりやスタックカード不足)などに点灯するLEDであり、紙幣挿入部102は、玉貸しのための各種紙幣を受け付ける繰込み/繰出し機構である。
この紙幣挿入部102の背面には、内部に受け入れた紙幣を識別するビルバリユニットを有しており、このBVユニット部では、紙幣の金種(例えば、千円、二千円、五千円及び一万円)を識別する。なお、挿入紙幣が識別不能な紙幣または偽造紙幣である場合には紙幣を返却する。
リモコン受光部103は、従業員が所持するリモコンが発光する赤外線を受光する受光センサであり、7SEG表示部104は、貯玉数やポイント数などをセグメント表示するLED群であり、操作ボタン群105は、暗証番号を入力するためのテンキーや再プレイ操作を受け付ける再プレイボタンなどの群であり、また、持ち玉払出部106は、持ち玉を払い出すノズルを備えた投出機構である。
カード挿入部107は、一般カードおよび会員カードなどの各種カード類の受付/返却を行う繰込み/繰出し機構である。このカード挿入部107の背面には、後述するカード処理部11が設けられている。
受皿部108は、計数部12に導入する獲得玉を受け入れるものである。この受皿部108には、持ち玉数を表示する持ち玉表示部108aと、持ち玉の返却(払戻し)要求を受け付ける持玉返却ボタン108bとが付設されている。また、計数部12は、受皿部108に投入されたパチンコ玉を計数する計数ユニットである。
一方、パチンコ機20には、パチンコ遊技に使用するパチンコ玉を貯留する上皿210と、上皿210の許容容量を超えて溢れたパチンコ玉を貯留する下皿220とが設けられており、この上皿210には、一般カードのプリペイド残額等を表示する7SEG表示部211と、玉貸し要求を受け付ける玉貸しボタン212と、一般カードや会員カードの返却要求を受け付ける返却ボタン213とがさらに設けられている。
なお、本実施例では、玉貸しボタン212及び返却ボタン213をパチンコ機20に設けることとしたが、必ずしもパチンコ機20側に設ける必要はなく、CRユニット10に設けることとしてもよい。
パチンコ玉を借り受ける際には、遊技客がパチンコ機20側の玉貸しボタン212を押下操作すると、玉貸し操作信号がCRユニット10に転送されてCRユニット10側で玉貸し操作が受け付けられる。このとき、プリペイド残額が存在する場合には、CRユニット10からパチンコ機20に玉投出指示が行われて貸し玉が上皿210に投出されることになる。
獲得玉を計数する際には、パチンコ機20の下皿220から獲得玉を受皿部108に投入すると、その投入玉が計数部12に誘導されて獲得玉の数量が計数される。そして、遊技者が持玉返却ボタン108bを押下すると、後述する持ち玉記憶部13aによって記憶管理されている持ち玉数の範囲内であれば、払戻し単位玉数等の持ち玉が持ち玉払出部106経由でパチンコ機20の上皿210に投出される。
なお、本実施例では、貸し玉をパチンコ機20経由で投出させ、持ち玉を持ち玉払出部106経由で投出させる場合について説明したが、持ち玉をパチンコ機20経由で投出させることとしてもよいし、また、貸し玉を持ち玉払出部106経由で投出させることとしてもかまわない。また、逆に、持ち玉の払出を貸玉の払出と同様に遊技台から払出すようにしてもよい。その場合は玉払出部106は不要になる。
図4は、本実施例に係るCRユニットの内部構成を示す機能ブロック図である。なお、実際のCRユニット10では、図示した機能部以外の機能部(例えば、表示部、パチンコ機20との通信インターフェース、BVユニット、プリペイド残額の更新部など)を有するが、図4では、本実施例に係るCRユニット10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを抜粋している。
図4に示すように、CRユニット10は、カード処理部11と、計数部12と、持ち玉記憶部13aと、持ち玉管理部13と、計数値記憶部14aと、計数値更新部14と、払戻し数記憶部15aと、払戻し数更新部15と、パルス出力内容通知部16と、リセット部17とを有する。
カード処理部11は、一般カードや会員カード等のカードに記録された情報を読み取る読取装置であり、カード挿入部107を介して挿入されたカードを受け付け、該受け付けたカードからデータを読み取る。
カード処理部11は、プリペイド残額及び持ち玉が関連付けられていない一般カードを予め複数枚収納しており、カード返却操作がなされるまでに現金投入によりプリペイド残額が発生したり、或いは遊技により持ち玉が発生していた際にはプリペイド残額または持ち玉が関連付けられた一般カードをカード挿入部107から排出(返却)する。
計数部12は、受皿部108に投入されたパチンコ玉を計数する計数ユニットであり、具体的には、計数部12の内部に自然勾配を有する複数の玉通路(レーン)が設けられており、このレーンを通過する獲得玉の通過を計数センサで検知し、該検知した獲得玉の通過通知(カウント通知)を後述する持ち玉管理部13及び計数値更新部14に行う。
持ち玉管理部13は、持ち玉記憶部13aを用いて、持ち玉(残存計数値)の管理を行う処理部である。具体的には、計数部12からカウント通知を受け付けた場合には、持ち玉記憶部13aに記憶された持ち玉数にカウント通知の回数に相当する玉数を加算更新し、また、持ち玉返却ボタン108bの押下操作を受け付けた場合には、持ち玉記憶部13aに記憶された持ち玉数から払戻し単位玉数を減算更新し、払戻し単位玉数分のパチンコ玉を持ち玉払出部106経由で上皿210に投出させる。なお、持ち玉の減算更新時には、持ち玉数が払戻し単位玉数に満たない場合には全持ち玉数を減算更新し、また、持ち玉数がゼロである場合には以降の動作を実行しない。
計数値更新部14は、計数値記憶部14aに記憶された計数値を更新する処理部である。具体的には、計数部12からカウント通知を受け付けた場合に、計数値記憶部14aに記憶された計数値にカウント通知の回数に相当する玉数を加算更新する。なお、ここで言う計数値とは、持ち玉の払戻し(返却)数を含まない計数部12の計数値であり、持ち玉(残存計数値)とは区別される。
払戻し数更新部15は、払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数を更新する処理部である。具体的には、持ち玉の払戻しに伴って持ち玉管理部13による持ち玉の減算更新が行われた場合に、払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数に払戻し単位玉数もしくはそれに満たない残存計数値等の玉数を加算更新する。
このように、計数値記憶部14a及び払戻し数記憶部15aでは、後述するリセット部17によって計数値または払戻し数がリセットされるまで、計数値または払戻し数ごとに累積加算された総計数値および総払戻し数が蓄積される。
パルス出力内容通知部16は、島コントローラ30がH/C70にパルス出力する計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知する処理部である。例えば、パチンコ機20の返却ボタン213が押下されてカード処理部11によってカード返却が行われた場合、もしくは持ち玉記憶部13aに記憶された持ち玉数がゼロなった場合(計数値と払戻し数が等しくなった場合)に、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数を島コントローラ30に通知する。
また、パルス出力内容通知部16は、カード返却時及び持ち玉ゼロ時に加えて、遊技店の所定の営業終了時刻(例えば、23時)を経過した場合に、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数を島コントローラ30に通知する。
すなわち、持ち玉記憶部13aに記憶された持ち玉数がゼロでなく、かつカード返却が行われておらずとも、遊技店の営業が終了した際には持ち玉を整理回収する必要があるので、持ち玉が全て消化されておらず、カード返却されておらずとも、H/C70に対して営業終了までに累積加算された計数値及び払戻し数を通知しておくこととした。
リセット部17は、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数をリセットする処理部である。具体的には、パルス出力内容通知部16によって計数値及び払戻し数が島コントローラ30に通知された場合には、カード返却が行われたり、或いは持ち玉がゼロになっており、当該CRユニット10の遊技席で遊技する遊技客が変わった可能性が高いので、新たな遊技客の履歴を始めから蓄積できるように、この時点で計数値及び払戻し数をリセットする。
次に、本実施例に係る島コントローラの構成について説明する。図5は、本実施例に係る島コントローラの構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、島コントローラ30は、対ユニット通信I/F部31と、転送処理部32と、対コンソール通信I/F部33と、パルス出力内容受信部34と、パルス出力制御部35と、パルス出力部36とを有する。
対ユニット通信I/F部31は、自装置の管理下に収容するCRユニット10との間で各種通信を行うためのインターフェースである。また、対コンソール通信I/F部33は、コンソール50との間で各種通信を行うためのインターフェースである。
転送処理部32は、CRユニット10とコンソール50の間のデータ転送を行う処理部である。具体的には、CRユニット10から対ユニット通信I/F部31を介して受け付けたプリペイド残額の更新依頼または持ち玉登録依頼を対コンソール通信I/F部33を介してコンソール50に転送したり、また、コンソール50から対コンソール通信I/F部33を介して受け付けたプリペイド残額の更新完了応答または持ち玉の登録完了応答を対ユニット通信I/F部31を介して依頼元のCRユニット10に転送したりする。なお、コンソール50から対コンソール通信I/F部33を介して受け付けた各種設定を自装置に所属するCRユニット10に転送する設定配信を仲介することもできる。
また、ここでは、CRユニット10とコンソール50の間に介在する場合について説明したが、これら両者を仲介する場合だけでなく、島コントローラ30は他の島コントローラ30との間で通信を行うこともできるのは言うまでもない。
パルス出力内容受信部34は、自装置に収容するCRユニット10から計数値及び払戻し数を受信する処理部である。
パルス出力制御部35は、計数パルス信号及び払戻しパルス信号を出力するパルス出力部36を制御して、計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力させる処理部である。具体的には、H/C70との間では、単位パルスと伝達対象の計数値または払戻し数との対応関係が予め規定されており、たとえば1パルスにつき10玉(10玉/1パルス)と規定されているとした時、図2(A)の例では400回の計数パルス信号をパルス出力部36に出力させ、200回の払戻しパルス信号をパルス出力部36に出力させる。
なお、ここでは、単位パルスに関連付ける玉数を10玉/1パルスとする場合について説明したが、単位パルスに関連付ける玉数を少なくすればするほど、H/C70にパルス信号を出力する頻度を低減させることができ、また、単位パルスに関連付ける玉数を少なくすればするほど、正確な計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力させることができる。
次に、本実施例に係る各台計数システムの処理の流れについて説明する。図6は、本実施例に係るパルス出力内容通知処理の手順を示すフローチャートである。
この処理は、前回にリセット部17によって計数値及び払戻し数がリセットされてから、カード返却が行われるまでもしくは持ち玉がゼロになるまでの計数値及び払戻し数を累積加算し、カード返却時または持ち玉ゼロ時にそれまでに累積加算していた計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知する処理である。
同図に示すように、カード返却が行われずに計数部12からカウント通知を受け付けると(ステップS601否定かつステップS602肯定)、計数値更新部14は、計数値記憶部14aに記憶された計数値にカウント通知の回数に相当する玉数を加算更新する(ステップS603)。
また、持ち玉返却ボタン108bの押下操作に応答して持ち玉管理部13による持ち玉の減算更新が行われた場合(ステップS604肯定)に、払戻し数更新部15は、持ち玉管理部13によって持ち玉から減算された払戻し単位玉数もしくはそれに満たない残存計数値等の玉数を払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数に加算更新する(ステップS605)。
このようにして、計数部12からカウント通知を受け付けた場合には、計数値の加算更新を行い、持ち玉管理部13による持ち玉の減算更新が行われた場合には、払戻し数の加算更新を行い、計数値及び払戻し数を累積加算して蓄積する。
その後、持ち玉管理部13による持ち玉の減算更新の結果として持ち玉がゼロになった場合(ステップS606肯定)に、パルス出力内容通知部16は、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数を島コントローラ30に通知し(ステップS607)、リセット部17は、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数をリセットし(ステップS608)、処理を終了する。
また、パチンコ機20の返却ボタン213が押下されてカード処理部11によってカード返却が行われた場合(ステップS601肯定)にも、パルス出力内容通知部16は、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数を島コントローラ30に通知し(ステップS607)、リセット部17は、計数値記憶部14aに記憶された計数値及び払戻し数記憶部15aに記憶された払戻し数をリセットし(ステップS608)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例によれば、パチンコ玉の計数値及び払戻し数を蓄積しておき、一般カードまたは会員カード等のカードが返却されるか、或いは持ち玉(残存計数値)がゼロになった場合に、それまでに蓄積していた計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知するようにCRユニット10を構成し、CRユニット10によって通知された計数値及び払戻し数それぞれに相当する計数パルス信号及び払戻しパルス信号をH/C70に出力するように島コントローラ30を構成したので、遊技客が遊技で獲得玉を得た場合ならびに獲得玉を得られなかった場合の両方を含めて、1人の遊技客単位で総計数値及び総払戻し数をH/C70にパルス出力させることができ、ホールコンピュータ側で不正発生時の原因解明や遊技台の遊技傾向などを分析させることが可能である。
かかる不正発生時の原因解明や遊技台の遊技傾向の分析について補足すると、たとえばカード返却時だけにそれまでに蓄積していた計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知することとした場合には、前回にカード返却されてから次にカード返却が行われるまでの区間を1人の遊技客が遊技したものとしてその区間の計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力することができる。
一例を挙げれば、図7(A)に示す例では、11時に遊技客Aが総計数値4000玉を得るとともに総払戻し数2000玉の払戻しを受けたフェイズAと、13時に遊技客Bが総計数値3000玉を得るとともに総払戻し数1500玉の払戻しを受けたフェイズBとの2つの局面に区分けして不正発生時の原因を分析することができる。
ここで、仮に13時の時点の差玉履歴(アウトとセーフの差)が「+2000玉」であったとした時には、実際には3500玉(=2000玉+1500玉)の獲得玉が発生しており、計数ゴトが行われた可能性がある。このとき、11時の差玉履歴を確認し、仮にその差玉が+2000玉であった場合には、11時の段階で発生している獲得玉は+2000玉であるので問題がないことがわかる。よって、フェイズAは正しく、フェイズBがあやしい(フェイズBで計数ゴトが行われた可能性が高い)ことがわかる。
また、カード返却時または持ち玉ゼロ時にそれまでに蓄積していた計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知することとした場合には、前回のカード返却時または持ち玉ゼロ時から次のカード返却時または持ち玉ゼロ時までの区間を1人の遊技客が遊技したものとしてその区間の計数値及び払戻し数をH/C70にパルス出力することができる。
一例を挙げれば、図7(B)に示す例では、11時に遊技客Aが総計数値4000玉を得るとともに総払戻し数2000玉の払戻しを受けたフェイズAと、12時に遊技客Cが総計数値1000玉を得るとともに総払戻し数1000玉の払戻しを受けたフェイズCと、13時に遊技客Dが総計数値2000玉を得るとともに総払戻し数500玉の払戻しを受けたフェイズDとの3つの局面に区分けして不正発生時の原因を分析することができる。
ここで、仮に13時の時点の差玉履歴(アウトとセーフの差)が「+2000玉」であったとした時には、実際には3500玉(=2000玉+1500玉)の獲得玉が発生しており、図7(A)の場合と同様に、計数ゴトが行われた可能性があることがわかる。このとき、11時の差玉履歴を確認し、仮にその差玉が+2000玉であった場合には、11時の段階で発生している獲得玉は+2000玉であるので問題がないことがわかる。よってフェイズAが正しいことがわかる。さらに、12時の差玉履歴を確認し、仮にその差玉が+2000玉であった場合には、12時の段階で発生している獲得玉は依然として2000玉であるから問題がないことがわかる。よって、フェイズCは正しく、フェイズDがあやしいことがわかる。
このように、本実施例によれば、1人の遊技客が置かれていた局面を特定することができ、時系列に不正を追うことができるとともに、計数ゴトが行われた局面を正確に絞り込むことができる。また、不正発生時の原因解明のみならず、遊技台1台のトータルの遊技傾向でなく、遊技客1人ずつの遊技傾向を分析することもできる。
また、上記の実施例では、カード返却時または持ち玉ゼロ時に計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知することとしたが、現金が挿入された時、また、カードが挿入された時にも遊技客が変わったものと推定することができるので、現金挿入時またはカード挿入時にも計数値及び払戻し数を島コントローラ30に通知することとしてもよい。
なお、上記の実施例では、計数機能付きCRユニット10として、貸出処理機と各台計数装置を一体化して構成する場合について説明したが、2つのユニット(ダブルサンド)として、CRユニット10の機能を分散して構成することもできる。
例えば、図8に示すように、プリペイド残額に関する機能を有するCRユニット200と、持ち玉に関する機能を有する計数ユニット300とに分散してCRユニット10の機能を実現することもできる。なお、図8では、図3と比較して同様の機能を発揮する部分については同一の符号を用いている。
このCRユニット200では、現金をプリペイド残額としてプリペイドカードまたは会員カードに価値付けたり、プリペイドカードまたは会員カードに価値付けられたプリペイド残額を用いた玉貸しを行う。なお、玉貸し時には、CRユニット200がパチンコ機20に投出指示を送信し、投出指示を受け付けたパチンコ機20から貸し玉を投出する。
また、計数ユニット300では、パチンコ機20の下皿から投入されるパチンコ玉を持ち玉として計数したり、持ち玉返却により持ち玉の一部を返却したり、その結果として残存する計数値(ユニット持ち玉)をカード持ち玉として持ち玉カードに関連付けたりする。なお、持ち玉返却時には、持ち玉払出部106経由で持ち玉を投出する。
なお、ダブルサンドとして構成した場合、CRユニット200では、プリペイド残額が関連付けられたプリペイドカードを発行(返却)する一方で、計数ユニット300では、カード持ち玉が関連付けられた持ち玉カードを発行するので、CRユニット200及び計数ユニット300には、カード挿入部とカード処理部がそれぞれ個別に必要となる。
また、上記の実施例では、CRユニット10の内下部に計数部12を含んで構成する場合について説明したが、CRユニット10とは独立した計数装置(計数ユニット)として設けることもできる。例えば、パチンコ機20の下皿220の下部にある膳板上に計数装置を設けるタイプの各台計数システムにも本発明を同様に適用することができる。なお、この場合には、計数装置とCRユニット10は通信可能に接続される。
また、本発明では、計数値と払戻し数の通知タイミングは上記の実施例で記載したものに加えて、「台間装置への貨幣の入金」、「台間装置への(プリペイドOR会員)カードの挿入」に行っても良い。これにより、「現金の挿入」や「カードの挿入」があれば遊技する客が交代した可能性があるので、このようなタイミングで通知を行うことにより、より細かくデータを収集することができる。
また、上記の実施例では、コンソール50でプリペイド残額、持ち玉及び貯玉を統合管理する場合について説明したが、必ずしも統合管理する必要はなく、プリペイド管理装置、持ち玉管理装置及び貯玉管理装置でプリペイド残額、持ち玉または貯玉を分散して管理させるようにしてもよい。
また、上記の実施例では、本発明をパチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも本発明を同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。