JP6216550B2 - フィルタ係数群演算装置及びフィルタ係数群演算方法 - Google Patents

フィルタ係数群演算装置及びフィルタ係数群演算方法 Download PDF

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Description

本発明は、フィルタの係数を演算するフィルタ係数群演算装置及びフィルタ係数群演算方法に関する。
入力されたオーディオ信号の周波数特性を変更する装置の一つにグラフィックイコライザがある。一般に、グラフィックイコライザでは、複数の調整ポイントを一つ一つ調整する必要がある。そのため、調整ポイントが多い場合にはユーザに対する操作負担が大きいという問題がある。
そこで、特許文献1や特許文献2において、上記の問題を解消することが可能な装置が提案されている。特許文献1や特許文献2に記載の装置は、ユーザによってスタイラスペンや指でなぞられたイコライザ画面上の軌跡(以下、「タッチ操作軌跡」と記す。)を検知し、検知されたタッチ操作軌跡に基づいて各調整ポイント(各バンドの中心周波数)のゲインを設定する。ユーザは、複数の調整ポイントの一つ一つを別個独立に操作することなく、イコライザ画面をなぞるという一回の操作で全ての調整ポイントのゲインを設定することができる。しかし、グラフィックイコライザでは、各バンドの中心周波数及びQ値(調整バンド幅)が固定値であるため、調整の自由度が低い。そのため、特許文献1や特許文献2に記載のグラフィックイコライザでは、ユーザが希望するフィルタの周波数特性(以下、「フィルタ特性」と記す。)を緻密に設定することが難しい。
グラフィックイコライザと同様の装置としてパラメトリックイコライザがある。パラメトリックイコライザでは、各バンドの中心周波数のゲインに加えて、各バンドの中心周波数及びQ値を調整することができる。特許文献3に、パラメトリックイコライザの一例が記載されている。特許文献3に記載のパラメトリックイコライザは、各バンドの中心周波数のゲインの絶対値に比例してQ値が変化するフィルタ係数群を予め複数群用意し、用意された複数のフィルタ係数群の中から、ユーザによるゲイン調整操作に応じたものを読み出し、読み出されたフィルタ係数群を用いることにより、フィルタ特性を全体的になだらかに連なったものに調整する。特許文献3に記載の技術を適用することにより、ユーザが希望するフィルタ特性を緻密に設定できるものと考えられる。しかし、パラメトリックイコライザではフィルタ特性にリップルが残存するため、楽曲等の再生時に不要な残響成分が観測されるという問題が指摘される。
特開平11−112254号公報 特開2004−62503号公報 特開平5−175773号公報
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザによる入力が緻密に反映されつつ残響成分が除去されたフィルタ特性を得るためのフィルタ係数群を演算するのに好適なフィルタ係数群演算装置及びフィルタ係数群演算方法を提供することである。
本発明の実施形態のフィルタ係数群演算装置は、ユーザにより周波数特性が入力される入力手段を有し、入力された周波数特性を持つフィルタをなすフィルタ係数群を演算するものであり、入力手段により入力された周波数特性を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、逆フーリエ変換により得られた数値列を短時間フーリエ変換する短時間フーリエ変換手段と、短時間フーリエ変換により得られた周波数領域の信号に対して周波数が高いほど窓長が短くなる関数を用いて窓掛けを行う窓掛け手段と、窓掛け後の周波数領域の信号を短時間逆フーリエ変換する短時間逆フーリエ変換手段と、短時間逆フーリエ変換により得られた数値列をオーバラップ加算するオーバラップ加算手段と、オーバラップ加算後の数値列を、入力手段により入力された周波数特性のフィルタをなすフィルタ係数群として決定するフィルタ係数群決定手段とを備える。
本実施形態では、周波数が高いほど窓長が短くなる関数を用いて窓掛けを行ったうえで短時間逆フーリエ変換及びオーバラップ加算を行うことにより、ユーザによる入力が緻密に反映されつつ残響成分が除去されたフィルタ特性を得るためのフィルタ係数群が求まる。
関数は、例えば、周波数が高くなるにつれて窓長が対数的に短くなる関係を規定する。
フィルタ係数群演算装置は、フィルタ係数群決定手段により決定されたフィルタ係数群に含まれるフィルタ係数の数を削減する削減手段を備える構成としてもよい。
フィルタ係数群演算装置は、逆フーリエ変換手段による逆フーリエ変換後の数値列を最小位相変換する最小位相変換手段を備える構成としてもよい。この場合、短時間フーリエ変換手段は、最小位相変換後の数値列を短時間フーリエ変換する。
入力手段は、例えば、タッチ操作可能なタッチパネルである。
また、本発明の実施形態のフィルタ係数群演算方法は、ユーザにより入力された周波数特性を持つフィルタをなすフィルタ係数群を演算するフィルタ係数群演算方法であり、ユーザにより入力された周波数特性を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換ステップと、逆フーリエ変換により得られた数値列を短時間フーリエ変換する短時間フーリエ変換ステップと、短時間フーリエ変換により得られた周波数領域の信号に対して周波数が高いほど窓長が短くなる関数を用いて窓掛けを行う窓掛けステップと、窓掛け後の周波数領域の信号を短時間逆フーリエ変換する短時間逆フーリエ変換ステップと、短時間逆フーリエ変換により得られた数値列をオーバラップ加算するオーバラップ加算ステップと、オーバラップ加算後の数値列を、ユーザにより入力された周波数特性のフィルタをなすフィルタ係数群として決定するフィルタ係数群決定ステップとを含む方法である。
本発明の実施形態によれば、ユーザによる入力が緻密に反映されつつ残響成分が除去されたフィルタ特性を得るためのフィルタ係数群を演算するのに好適なフィルタ係数群演算装置及びフィルタ係数群演算方法が提供される。
本発明の実施形態の音響処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の音響処理装置に備えられる入力インタフェース部に表示される画面例を示す図である。 本発明の実施形態の音響処理装置に備えられるフィルタ係数群演算部にて実行されるフィルタ係数群演算処理のフローチャートを示す図である。 本発明の実施形態のフィルタ係数群演算部に備えられる座標入力部より入力されるサンプル座標点から算出されるパワースペクトルを示す図である。 図3の処理ステップS16(最小位相変換)による最小位相変換後のフィルタ係数群を示す図である。 図3の処理ステップS17(短時間フーリエ変換)によるSTFTにより得られるスペクトログラムを示す図である。 図3の処理ステップS18(窓掛け)にて用いられる関数をグラフ化して示す図である。 図3の処理ステップS18(窓掛け)による窓掛け後のスペクトログラムを示す図である。 図5に示されるフィルタ係数群(一点鎖線)と、図3の処理ステップS20(オーバラップ加算)によるオーバラップ加算後のフィルタ係数群(実線)を示す図である。 図3の処理ステップS20(オーバラップ加算)によるオーバラップ加算後のフィルタ係数群をFIRフィルタ部に与えたときのFIRフィルタ部のパワースペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として音響処理装置を例に取り説明する。
[音響処理装置1の全体構成]
図1は、本実施形態の音響処理装置1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態の音響処理装置1は、入力インタフェース部12、フィルタ係数群演算部14及びFIR(Finite Impulse Response)フィルタ部16を備えている。
FIRフィルタは、有限時間長で表されるインパルス応答がそのままフィルタの係数となっている。そのため、フィルタ係数群を決定することと、FIRフィルタのフィルタ特性を設定することは実質同義である。そこで、フィルタ係数群演算部14は、ユーザによる入力インタフェース部12の操作に応じてフィルタ係数群を演算する。フィルタ係数群演算部14は、演算されたフィルタ係数群をFIRフィルタ部16に与えることにより、FIRフィルタ部16のフィルタ特性を設定する。
FIRフィルタ部16には、音源部より可逆圧縮フォーマットや非可逆圧縮フォーマットの符号化信号を復号化したオーディオ信号が入力される。本実施形態において、オーディオ信号のサンプリング周波数は、例えば44.1kHzである。FIRフィルタ部16は、入力されたオーディオ信号を、ユーザにより入力インタフェース部12及びフィルタ係数群演算部14を介して設定された特性でフィルタ処理することにより、オーディオ信号の周波数特性を変更する。周波数特性変更後のオーディオ信号は、図示省略されたパワーアンプを介してスピーカにより出力される。これにより、ユーザは、入力インタフェース部12に対する操作結果を反映した(音質補正や音像改善等された)楽曲等を聴取することができる。
[入力インタフェース部12の構成]
入力インタフェース部12は、ユーザによるスタイラスペン又は指先によるタッチ操作を受け付けて処理するタッチパネルデバイスである。図2に、入力インタフェース部12に表示される画面例を示す。図2に示されるように、入力インタフェース部12の表示画面には、FIRフィルタ部16のフィルタ特性をユーザに設定させるためのフィルタ特性設定画面12aが表示される。フィルタ特性設定画面12aはユーザの操作に応じたパワースペクトルが描画される画面であり、縦軸にパワー(単位:dB)を取り、横軸に周波数(単位:Hz)を取る。パワーは、振幅を自乗したものである。また、人間の聴覚特性は、周波数に対して対数的である。横軸の周波数は、人間の聴覚特性に合わせて対数表示となっている。
入力インタフェース部12は、ユーザの指等がフィルタ特性設定画面12aに触れると、触れられた箇所にアイコン12bを表示する。入力インタフェース部12は、ユーザがフィルタ特性設定画面12aを指でなぞると、そのタッチ操作軌跡を検知し、検知されたタッチ操作軌跡を描画すると共にユーザの指が触れている箇所にアイコン12bを移動させる。これにより、図2に例示されるように、ユーザの操作に応じたパワースペクトルがフィルタ特性設定画面12aに表示される。このように、ユーザは、フィルタ特性設定画面12aをタッチ操作することにより、希望するフィルタ特性(ここではパワースペクトル)を入力することができる。本実施形態では、入力インタフェース部12としてタッチパネルデバイスを採用することにより、直感的なフィルタ設計を可能としている。
入力インタフェース部12は、タッチパネルデバイスに限らず、マウス等のポインティングデバイスによる操作を受け付けて処理するデバイスであってもよい。この場合、入力インタフェース部12は、フィルタ特性設定画面12a内で行われたドラッグ操作の軌跡を、FIRフィルタ部16に設定されるフィルタ特性(パワースペクトル)として描画する。
[フィルタ係数群演算部14の構成及びフィルタ係数群の演算フロー]
図1に示されるように、フィルタ係数群演算部14は、座標入力部14a、振幅スペクトル算出部14b、伝達関数算出部14c、逆フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)部14d、実数部抽出部14e、最小位相変換部14f、短時間フーリエ変換(STFT:Short-Term Fourier Transform)部14g、窓掛け部14h、短時間逆フーリエ変換(ISTFT:Inverse Short-Term Fourier Transform)部14i、オーバラップ加算部14j及びタップ数削減部14kを備えている。フィルタ係数群演算部14は、フィルタ係数群を演算し、演算されたフィルタ係数群をFIRフィルタ部16に与える。図3に、フィルタ係数群演算部14にて実行されるフィルタ係数群演算処理のフローチャートを示す。
[図3のS11(座標点のサンプリング)]
座標入力部14aは、フィルタ特性設定画面12aに対するユーザのタッチ操作軌跡をサンプリングし、サンプリングされたフィルタ特性設定画面12a内の座標点(以下、「サンプル座標点」と記す。)を振幅スペクトル算出部14bに出力する。本実施形態において、サンプル座標点の数は8,192であり、FIRフィルタの係数の数(タップ数)と同一である。なお、上記のサンプル座標点の数は一例である。一般に、サンプル座標点の数(タップ数)が多いほどユーザの操作に対するFIRフィルタ部16の設定の精度が向上する。
[図3のS12(振幅スペクトルの算出)]
振幅スペクトル算出部14bは、座標入力部14aより入力されるサンプル座標点からユーザの操作に応じたパワースペクトルを算出し、算出されたパワースペクトルから振幅スペクトル|F(ω)|を算出する。図4に、座標入力部14aより入力されたサンプル座標点から算出されるパワースペクトルを例示する。図4(a)は全周波数領域のパワースペクトルを示し、図4(b)は全周波数領域のパワースペクトルのうち一部の周波数領域のパワースペクトルを拡大して示している。これらの図から判るように、この段階のパワースペクトルは滑らかに連なる特性にはなっておらず、全体に亘ってリップルが残存するものとなっている。リップルは、入力インタフェース部12をタッチ操作する際の手ブレや画面の解像度等に起因する。上述したように、フィルタ特性設定画面12aの横軸(周波数)は人間の聴覚特性に合わせて対数表示となっている。そのため、周波数軸を線形的に考えると、フィルタ特性設定画面12aの高域部分に対応する周波数領域では、僅かな手ぶれ等が大きなリップルを生じさせる。
[図3のS13(伝達関数の算出)]
伝達関数算出部14cは、振幅スペクトル算出部14bにより算出された振幅スペクトル|F(ω)|から伝達関数F(ω)を算出する。すなわち、伝達関数算出部14cは、ユーザの操作に応じたパワースペクトルに対応する周波数スペクトルを伝達関数とする。
[図3のS14(逆フーリエ変換)]
IFFT部14dは、伝達関数算出部14cにより算出された伝達関数F(ω)をIFFTにより周波数領域から時間領域のサンプル列に変換する。
[図3のS15(実数部の抽出)]
実数部抽出部14eは、IFFT部14dによるIFFTの結果得られたサンプル列から実数部を抽出する。ここで抽出される実数部は、FIRフィルタ部16に与えられるフィルタ係数群に相当するサンプル列である。
[図3のS16(最小位相変換)]
最小位相変換部14fは、残響成分の除去を効果的に行うため、実数部抽出部14eにより抽出された実数部(フィルタ係数群)を最小位相変換する。図5に、最小位相変換後のフィルタ係数群(インパルス応答)を例示する。図5中、縦軸がパワー(単位:dB)を示し、横軸がサンプルを示す。なお、本実施形態において、単位としてサンプルを取る軸は時間軸に置き換えてもよい。
図5に例示されるように、最小位相変換後のフィルタ係数群は、残響成分を生じさせる係数を多く含んだものとなっている。本実施形態の変形例では、最小位相変換に代えて線形位相変換が行われてもよい。
[図3のS17(短時間フーリエ変換)]
STFT部14gは、最小位相変換部14fによる最小位相変換後のフィルタ係数群をSTFTにより周波数領域に変換する。下記に、STFTの条件を示す。
FFT長(単位:サンプル) :256
オーバラップ長(単位:サンプル) :240
窓関数 :ハミング窓
図6に、STFT部14gによるSTFTにより得られるスペクトログラムを例示する。図6中、縦軸は周波数(単位:Hz)を示し、横軸はサンプルを示し、色の濃淡はパワー(単位:dB)を示す。図6に例示されるように、この段階のスペクトログラムでは、低域から高域に亘り残響成分が分布していることが判る。
[図3のS18(窓掛け)]
窓掛け部14hは、STFT部14gによるSTFTにより得られた周波数成分に対して所定の関数を用いて窓掛けを行う。図7に、窓掛け処理に用いられる関数をグラフ化して示す。図7中、縦軸は窓長(単位:サンプル)を示し、横軸は周波数(単位:Hz)を示す。図7に例示されるように、本関数は、周波数と窓長との関係を規定する。以下、本関数を「周波数窓長関数」と記す。周波数窓長関数では、周波数が高くなるにつれて窓長が対数的に短くなる関係が規定される。また、窓長を短くしすぎると、データの過剰な削減により復元ができなくなるため、周波数窓長関数では、一定周波数以上の領域において窓長が一定の値(最小の窓長である14サンプル)に制限されている。図8に、窓掛け後のスペクトログラムを例示する。図8に例示されるように、周波数窓長関数を用いて窓掛けを行うことにより、低域を中心にパワーが残されつつも残響成分が除去されることが判る。
[図3のS19(短時間逆フーリエ変換)]
ISTFT部14iは、窓掛け部14hによる窓掛け後の周波数成分をISTFTにより時間領域のサンプル列(フィルタ係数群)に変換する。
[図3のS20(オーバラップ加算)]
オーバラップ加算部14jは、ISTFT部14iによるIFFTの結果得られたサンプル列(フィルタ係数群)に対してオーバラップ加算を行うことにより、時間領域の信号の不連続性を除去する。本実施形態においてオーバラップ長は240サンプルである。図9に、図5のフィルタ係数群(一点鎖線)と、オーバラップ加算部14jによるオーバラップ加算後のフィルタ係数群(実線)を例示する。また、図10(a)、図10(b)のそれぞれに、図4(a)、図4(b)と同様の図を示す。図10においては、図4のパワースペクトルを一点鎖線で示し、オーバラップ加算後のフィルタ係数群をFIRフィルタ部16に与えたときのFIRフィルタ部16のパワースペクトルを実線で示す。
本実施形態では、周波数窓長関数を用いた窓掛けが行われる前のフィルタ係数群(図9の一点鎖線)と、周波数窓長関数を用いた窓掛けが行われた後のフィルタ係数群(図9の実線)との比較から判るように、周波数が高くなるにつれて窓長が短くなる関数で窓掛けを行ったうえで短時間逆フーリエ変換及びオーバラップ加算を行うことにより、残響成分(残響成分に対応するフィルタ係数)が大幅に減衰される。また、図10に例示されるように、オーバラップ加算後のパワースペクトル(実線)は、ユーザによるタッチ操作軌跡を緻密に反映しつつ滑らかに連なる特性となり、入力インタフェース部12をタッチ操作した際の手ブレや画面の解像度等に起因するリップルが全周波数領域に亘って除去されていることが判る。
このように、本実施形態では、ユーザが希望するフィルタ特性(フィルタ特性設定画面12aのタッチ操作を介して入力されたフィルタ特性)を緻密に反映したフィルタ特性をなすフィルタ係数群が演算される。また、演算されるフィルタ係数群は、不要な残響成分が除去されると共に操作の手ブレや画面の解像度等に起因するリップルが除去されたものとなっている。このようなフィルタ係数群をFIRフィルタ部16に与えることにより、ユーザによる入力が緻密に反映されつつ残響成分が除去されたフィルタ特性が得られる。
[図3のS21(タップ数削減)]
タップ数削減部14kは、オーバラップ加算部14jによるオーバラップ加算後のフィルタ係数群に含まれるフィルタ係数の数(タップ数)を削減する。本実施形態では、フィルタ係数の絶対値が0より大きい有限区間内が切り出され、切り出された有限区間長が2の累乗となるように正の無限大方向へ丸め演算(端数処理)が行われる。これにより、タップ数が削減される。本実施形態では、約2200サンプル(図9参照)が切り出され、4096サンプルに丸め演算される。すなわち、タップ数が8,192から4096へ削減される。
なお、有限区間は上記に限らず、十分に小さく無視できる値を閾値として切り出されてもよい。また、有限区間の切り出しを行う際には閾値だけでなく、フィルタ係数の包絡線の形状も判断材料に含めてもよい。また、本実施形態では、FFTを行い周波数領域での積演算を行うことを前提としていることから、2の累乗となるように丸め演算を行っている。丸め演算は、時間領域での畳み込み演算を行うことにより、省いてもよい。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
1 音響処理装置
12 入力インタフェース部
14 フィルタ係数群演算部
16 FIRフィルタ部

Claims (9)

  1. ユーザにより周波数特性が入力される入力手段を有し、入力された周波数特性を持つフィルタをなすフィルタ係数群を演算するフィルタ係数群演算装置において、
    前記入力手段により入力された周波数特性を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
    前記逆フーリエ変換により得られた数値列を短時間フーリエ変換する短時間フーリエ変換手段と、
    前記短時間フーリエ変換により得られた周波数領域の信号に対して周波数が高いほど窓長が短くなる関数を用いて窓掛けを行う窓掛け手段と、
    前記窓掛け後の周波数領域の信号を短時間逆フーリエ変換する短時間逆フーリエ変換手段と、
    前記短時間逆フーリエ変換により得られた数値列をオーバラップ加算するオーバラップ加算手段と、
    前記オーバラップ加算後の数値列を、前記入力手段により入力された周波数特性のフィルタをなすフィルタ係数群として決定するフィルタ係数群決定手段と、
    を備える、
    フィルタ係数群演算装置。
  2. 前記関数は、
    周波数が高くなるにつれて窓長が対数的に短くなる関係を規定する、
    請求項1に記載のフィルタ係数群演算装置。
  3. 前記フィルタ係数群決定手段により決定されたフィルタ係数群に含まれるフィルタ係数の数を削減する削減手段
    を備える、
    請求項1又は請求項2に記載のフィルタ係数群演算装置。
  4. 前記逆フーリエ変換手段による逆フーリエ変換後の数値列を最小位相変換する最小位相変換手段
    を備え、
    前記短時間フーリエ変換手段は、
    前記最小位相変換後の数値列を短時間フーリエ変換する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載のフィルタ係数群演算装置。
  5. 前記入力手段は、
    タッチ操作可能なタッチパネルである、
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載のフィルタ係数群演算装置。
  6. コンピュータにより、ユーザが入力した周波数特性を持つフィルタをなすフィルタ係数群を演算するフィルタ係数群演算方法において、
    前記ユーザが入力した周波数特性を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換ステップと、
    前記逆フーリエ変換により得られた数値列を短時間フーリエ変換する短時間フーリエ変換ステップと、
    前記短時間フーリエ変換により得られた周波数領域の信号に対して周波数が高いほど窓長が短くなる関数を用いて窓掛けを行う窓掛けステップと、
    前記窓掛け後の周波数領域の信号を短時間逆フーリエ変換する短時間逆フーリエ変換ステップと、
    前記短時間逆フーリエ変換により得られた数値列をオーバラップ加算するオーバラップ加算ステップと、
    前記オーバラップ加算後の数値列を、前記ユーザが入力した周波数特性のフィルタをなすフィルタ係数群として決定するフィルタ係数群決定ステップと、
    を含む、
    フィルタ係数群演算方法。
  7. 前記関数は、
    周波数が高くなるにつれて窓長が対数的に短くなる関係を規定する、
    請求項6に記載のフィルタ係数群演算方法。
  8. 前記フィルタ係数群決定ステップにて決定されたフィルタ係数群に含まれるフィルタ係数の数を削減する削減ステップ
    を含む、
    請求項6又は請求項7に記載のフィルタ係数群演算方法。
  9. 前記逆フーリエ変換ステップでの逆フーリエ変換後の数値列を最小位相変換する最小位相変換ステップ
    を含み、
    前記短時間フーリエ変換ステップにて、
    前記最小位相変換後の数値列を短時間フーリエ変換する、
    請求項6から請求項8の何れか一項に記載のフィルタ係数群演算方法。
JP2013132178A 2013-06-25 2013-06-25 フィルタ係数群演算装置及びフィルタ係数群演算方法 Active JP6216550B2 (ja)

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