以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態による汚泥濃縮機1を含む汚泥濃縮システム100は、水処理システム101の一部の構成要素として設けられている。水処理システム101は、工業、農業、畜産業または家庭(生活用)などから排出される被処理水を河川などに放流可能な水質になるように処理するように構成されている。また、水処理システム101は、図1に示すように、汚泥濃縮機1と、汚泥貯留槽2と、タンク3と、流量調整槽4と、生物反応槽(曝気槽)5と、最終沈殿池6と、脱水機7とを備えている。また、汚泥濃縮システム100は、水処理システム101のうち、汚泥濃縮機1と、汚泥貯留槽2と、タンク3とにより構成されている。
まず、水処理システム101のうち汚泥濃縮システム100以外の構成要素について概略的に説明し、その後、汚泥濃縮システム100の構成について詳細に説明する。
水処理システム101のうち、流量調整槽4は、被処理水が流入されて貯留されるとともに、その後の被処理水の流量が所定の量になるように調整するように構成されている。つまり、被処理水が流入する量が時間帯により異なる場合でも、一旦被処理水を流量調整槽4で貯留することにより、流量調整槽4の後段への被処理水の流量が所定の量になるように調整される。
生物反応槽5は、曝気(エアレーション)することにより活性汚泥(微生物)によって被処理水を生物処理するように構成されている。最終沈殿池6は、水中の浮遊物(活性汚泥など)を沈殿させるように構成されている。脱水機7は、汚泥貯留槽2で凝集および濃縮された濃縮汚泥を脱水して(含水率を下げて)、固分と水分(ろ液)とに分離して、それぞれ排出するために設けられている。
ここで、水処理システム101のうち、汚泥濃縮機1と、汚泥貯留槽2と、タンク3とにより構成される第1実施形態による汚泥濃縮システム100について詳細に説明する。
汚泥濃縮機1が収容される汚泥貯留槽2は、最終沈殿池6から送られる汚泥を貯留するように構成されている。また、汚泥貯留槽2では、凝集剤が投入されることにより、汚泥中の固体成分が凝集されてフロックが形成されるように構成されている。
汚泥濃縮機1は、図2に示すように、汚泥貯留槽2内に配置されており、汚泥貯留槽2内の汚泥を濃縮する(固体成分(フロック)の濃度を高める)ように構成されている。具体的には、汚泥濃縮機1は、汚泥中の固体成分と水分とを分離ろ過して汚泥貯留槽2の外へろ液として排出するように構成されている。また、汚泥濃縮機1により排出されるろ液は、配管31を介してタンク3に送られるように構成されている。タンク3は、汚泥濃縮機1から送られたろ液を、所定の量貯留するように構成されている。
汚泥濃縮機1は、図3に示すように、回転軸11と、固定プレート12と、可動プレート13と、羽根車14と、モータ15と、接続部材16とを含む。また、汚泥濃縮機1は、各固定プレート12・・12間にスペーサ161または162が介装されて、ろ過溝Sが形成されている。また、汚泥濃縮機1は、該ろ過溝S内に可動プレート13が可動自在に遊嵌されている。また、汚泥濃縮機1は、可動プレート13が各固定プレート12の間(ろ過溝S)に配置された状態で、接続部材16により固定プレート12とスペーサ161および162とが接続されて、筒状に積層された積層ろ体Fが形成されている。また、汚泥濃縮機1では、ろ液が積層ろ体Fのろ過溝Sから流入する。そして、流入したろ液は、図4に示すように、固定プレート12と可動プレート13との対向面間である濃縮ろ過溝NS(ろ過溝Sから可動プレート13の厚みを引いた分の細隙)より汚泥濃縮機1内へ取り込まれる。また、濃縮ろ過溝NSは、図4に示すように、可動プレート13の下側の間隔Laと、可動プレート13の上側の間隔Lbとを合わせた間隔Lを有する。また、汚泥濃縮機1は、汚泥貯留槽2の水面に浮かぶフロート17により吊られるように支持されて汚泥貯留槽2内に配置されている。
回転軸11は、モータ15の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸11には、通常運転時の回転方向で下方から上方にろ過された水を押し上げる(送る)スクリュー11a、11bおよび11cが設けられている。また、回転軸11には、ポンプ機能を有する羽根車14が取り付けられている。つまり、モータ15による回転軸11の回転駆動により、スクリュー11a、11b、11cおよび羽根車14が回転駆動されるように構成されている。また、回転軸11が通常運転時(ろ過運転時)にモータ15により一方方向に回転されることによって、スクリュー11a、11b、11cおよび羽根車14によりろ過されたろ液をタンク3に送る(A方向にろ液を送る)ように構成されている。また、回転軸11が洗浄時にモータ15により他方方向に回転されることによって、スクリュー11a、11b、11cおよび羽根車14によりタンク3内のろ液を洗浄水として汚泥濃縮機1に逆流させる(B方向にろ液(洗浄水)を送る)ように構成されている。また、回転軸11は、汚泥濃縮機1の鉛直方向下端側および鉛直方向上端側に配置された軸受により支持されている。また、上記鉛直方向下端側および鉛直方向上端側の軸受けが設けられた取付け部材により、汚泥濃縮機1のろ液の流路の上下端部を塞ぐように構成されている。
スクリュー11a〜11cが回転することにより、可動プレート13はスクリュー11a〜11cから外力を受けてろ過溝S内にて、ラジアル方向(水平方向)へ偏心可動されるように構成されている。また、スクリュー11a〜11cおよび羽根車14の回転数を増加させると、タンク3へ送るろ液の量が増加するので、汚泥濃縮機1の積層ろ体F内部に負圧が生じ(圧力が低下し)、多くの水をろ液として取り込むことが可能となる。したがって、ろ過時において、スクリュー11a〜11cおよび羽根車14の回転数を調整することにより、ろ過流量(ろ液の流量)を調整することが可能である。なお、スクリュー11a〜11cおよび羽根車14は、ろ過による圧力損失およびろ液を持ち上げるのに必要な水圧以上の推進力が得られる回転数で運転される。
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、スクリュー11a〜11cは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向(上下方向)における下流部側(鉛直方向上側)において、多重らせん構造を有するように構成されている。具体的には、スクリュー11aは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から上流部側(鉛直方向下側)において1重らせん構造を有している。また、スクリュー11bおよび11cは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から下流部側において2重らせん構造を有するように構成されている。つまり、上流部側のスクリュー11aおよび下流部側のスクリュー11bは、ろ過された水を送る方向における中央近傍において接続されている。また、スクリュー11cは、ろ過された水を送る方向における中央近傍から下流部側のみに設けられている。また、図6に示すように、下流部側のスクリュー11bおよび11cは、回転軸11に対して互いに反対側に配置されている。つまり、下流部側のスクリュー11bおよび11cは、回転軸11を中心に180度の間隔を隔てて配置されている。
上流部側のスクリュー11aは、山と山の間隔がピッチP1を有するように構成されている。下流部側のスクリュー11bおよび11cは、ピッチP1よりも大きなピッチP2を有するように構成されている。つまり、スクリュー11a〜11cのピッチは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側より下流部側の方が大きくなるように構成されている。
また、第1実施形態では、回転軸11は、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側から下流部側に向かって外径寸法が徐々に小さくなるテーパ形状に形成されている。たとえば、回転軸11は、テーパ角が10度以下になるように形成されている。
固定プレート12および可動プレート13は、スクリュー11a〜11cを取り囲むように配置されている。また、固定プレート12および可動プレート13は、回転軸11の軸方向に沿って複数設けられている。また、固定プレート12および可動プレート13は、図5および図6に示すように、中空の略円形状(円環形状)に形成されている。また、複数の固定プレート12は、スペーサ161または162と接続部材16とにより、回転軸11の軸方向(上下方向)に所定の間隔(ろ過溝Sの幅)を隔てて配列され、該ろ過溝S内に可動プレート13を可動自在に遊嵌しながら固定されている。具体的には、複数の固定プレート12は、図3〜図6に示すように、スペーサ161または162を介して上下方向に隣接するように配置された状態で、接続部材16をスペーサ161または162の挿通穴161aまたは162aと接続穴12aとに通すことにより、固定されている。なお、図5および図6に示すように、固定プレート12は、固定プレート12の周方向において、たとえば、120度ずつの間隔を隔てて3か所において、接続部材16により固定されている。
また、第1実施形態では、積層ろ体Fの固定プレート12および可動プレート13の間の濃縮ろ過溝NSの間隔L(図4参照)は、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。具体的には、積層ろ体Fの上流部側の濃縮ろ過溝NS(ろ過溝Sから可動プレート13の厚みを引いた分の細隙)の間隔Lは、L1である。また、積層ろ体Fの下流部側の濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、間隔L1よりも小さい間隔L2である。
また、濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、隣接する固定プレート12の間隔を調整することにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。具体的には、上流部側のスペーサ161と下流部側のスペーサ162との厚みを、それぞれ、濃縮ろ過溝NSの間隔L1およびL2(L1>L2)に対応するように調整することにより、隣接する固定プレート12の間隔が調整されて、濃縮ろ過溝NSの間隔Lが、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。
また、複数の固定プレート12は、汚泥貯留槽2で凝集されるフロックの大きさよりも小さい上下方向の間隔を隔てて配置されている。これにより、ろ過溝S内に形成される細隙の濃縮ろ過溝NSによりフロックを通さずに、積層ろ体Fの外側の濃縮ろ過溝NSから内側に向かって汚泥中の水分がろ過されるように構成されている。
可動プレート13は、図3に示すように、上下方向に隣接する固定プレート12の間(ろ過溝S)に配置されている。つまり、可動プレート13は、回転軸11の軸方向に沿って複数設けられている。また、可動プレート13は、図5および図6に示すように、中空の略円形状(円環形状)に形成されている。また、可動プレート13は、回転軸11(スクリュー11a〜11c)に通された状態で、移動可能に配置されている。つまり、可動プレート13は、上下方向において、隣接する固定プレート12の間(ろ過溝S)の範囲内で移動可能に構成されている。また、可動プレート13は、上下方向と直交する水平方向において、スクリュー11a〜11cの回転に対応して移動するように構成されている。これにより、可動プレート13がろ過溝Sにおいてスクリュー11a〜11cから外力を受けてラジアル方向へ偏心可動して、隣接する固定プレート12間のフロック(固体成分)を掻き取るようにして取り除くように構成されている。その結果、ろ過溝Sの目詰まりを抑制することが可能である。また、図5および図6に示すように、望ましくは、可動プレート13は、スクリュー11a〜11cに押し動かされることで積層ろ体Fの外へ可動プレート13の外径が突出するように構成されている。これにより、積層ろ体Fの外周部のフロックをより効果的に取り除くことが可能である。
ここで、図5および図6に示すように、可動プレート13は、内径D1と外径D2とを有する円環形状に形成されている。また、スクリュー11aおよび11bは、回転直径(回転する最大の位置の直径)D3を有するように形成されている。つまり、スクリュー11aおよび11bは、回転半径r1を有するように形成されている。また、スクリュー11cは、回転半径r1より小さい回転半径r2を有するように形成されている。また、固定プレート12は、内径D4と外径D5とを有する円環形状に形成されている。
可動プレート13の内径D1は、スクリュー11aおよび11bの回転直径D3よりも小さくなるように形成されている。また、図6に示すように、下流部において、スクリュー11cの回転半径r2が、スクリュー11bの回転半径r1より小さくなるように形成されている。これにより、スクリュー11a〜11cが可動プレート13の内周に当接して、可動プレート13を水平方向に移動させることが可能である。また、スクリュー11aおよび11bの回転直径D3は、固定プレート12の内径D4よりもわずかに小さく(たとえば、2mm)なるように形成されている。これにより、スクリュー11aおよび11bと固定プレート12との間に最小限の隙間しか存在しないため、スクリュー11aおよび11bの推進力を効率的にろ液に伝えることが可能である。
また、可動プレート13の外径D2は、固定プレート12の内径D4よりも大きい。これにより、可動プレート13が固定プレート12の内側の穴部を通り抜けることが防止される。また、固定プレート12の外径D5は、可動プレート13の外径D2よりも大きい。
また、第1実施形態では、汚泥貯留槽2において、凝集剤により凝集されたフロック(固体成分)の比重が水よりも大きいために、フロック(固体成分)の濃度が下側において濃くなっている場合の例を示している。したがって、第1実施形態では、汚泥濃縮機1は、汚泥貯留槽2の上寄りに配置されている。これにより、フロック(固体成分)の濃度が低い位置で効率的に水分をろ過することが可能となる。具体的には、汚泥濃縮機1は、フロート17により吊り下げられるように支持されている。これにより、水面が下降した場合でも、水面の下降に伴ってフロート17も下降するので、汚泥濃縮機1のろ過部分(固定プレート12および可動プレート13)が水面より上部に出ることを防止することが可能である。
スクリュー11a〜11c、羽根車14およびモータ15は、洗浄手段として固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、水による洗浄を行うように構成されている。具体的には、洗浄手段としてのスクリュー11a〜11c、羽根車14およびモータ15は、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、タンク3の水(ろ液)を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄し、フロックの目詰まりを解消するように構成されている。つまり、モータ15が通常運転時とは逆方向に回転駆動されることにより、スクリュー11a〜11cおよび羽根車14が通常運転時の一方方向とは逆の他方方向に回転されることによって、濃縮ろ過溝NS内に、ろ過した水を逆流させるように構成されている。
ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に対して、ろ過した水を逆流させることによる洗浄を行う洗浄手段(スクリュー11a〜11c、羽根車14およびモータ15)を設けることによって、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部に付着する固体成分(フロック)を除去することができるので、目詰まりに起因して汚泥を濃縮する能力が低下するのを抑制することが可能である。
また、洗浄手段としてのスクリュー11a〜11c、羽根車14およびモータ15は、通常運転中の所定のタイミングで、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転させることにより、スクリュー11a〜11cおよび羽根車14を他方方向に回転させることによって、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するように構成されている。たとえば、配管31のろ液の流量に基づいて、流量が一定値未満となった場合に、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転させて、タンク3内のろ液を逆流させ、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を汚泥濃縮機1の内部から外部へ洗浄するように構成されている。つまり、積層ろ体Fの外周部のフロック(固体成分)の付着に起因してろ過流量が減少していると判断した場合に、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄するように構成されている。この場合、ろ液の流量は、たとえば、配管31に流量計を設けて測定される。また、たとえば、ろ液の流量は、タンク3に水位計を設けて測定される。
次に、図1を参照して、上述した第1実施形態による汚泥濃縮システム100を含む水処理システム101の水処理の流れについて説明する。
まず、流量調整槽4に流入されて流量が調整された被処理水が生物反応槽(曝気槽)5に送られる。そして、生物反応槽5では、微生物の活動により被処理水中の有機物などが分解される。この際、生物反応槽5では、微生物の活動により、汚泥が増加される。
生物反応槽5における生物処理後の被処理水は、活性汚泥とともに最終沈殿池6に送られる。そして、最終沈殿池6では、水中の浮遊物(活性汚泥など)が沈殿されて上澄みの処理水が河川などに放流される。また、一部の上澄みの処理水は流量調整槽4に返送される。一方、最終沈殿池6において沈殿された汚泥は、汚泥貯留槽2に送られる。また、一部の汚泥は生物反応槽5に返送される。これにより、生物反応槽5内の活性汚泥の量が所定の量に保たれる。
汚泥貯留槽2では、汚泥濃縮機1により、汚泥中の固体成分と水分とが分離ろ過されて、固体成分(フロック)の濃度が高められるように構成されている。これにより、脱水機7に流入する濃縮汚泥の濃度を調整することができ、脱水機7により適切に脱水を行うことが可能である。
汚泥貯留槽2の汚泥濃縮機1によりろ過されたろ液(水分)は、タンク3に送られる。そして、タンク3では、汚泥濃縮機1の洗浄のためにろ液を一時貯めるように構成されている。また、タンク3のろ液は、一部が河川などに放流され、一部が流量調整槽4に返送される。
汚泥貯留槽2で凝集および濃縮された濃縮汚泥は、脱水機7に送られる。そして、脱水機7により濃縮汚泥が脱水されて(含水率が下げられて)、脱水ケーキ(固分)とろ液(水分)とに分離される。脱水機7により脱水された脱水ケーキは、排出されて焼却などの処理が行われる。また、脱水機7から排出されるろ液は、流量調整槽4に返送される。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、積層ろ体Fの固定プレート12と可動プレート13との対向面間である濃縮ろ過溝NSの間隔Lを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成する。これにより、ろ過された水の量が多くなる下流部側の濃縮ろ過溝NSにおける内から外の放射方向への流通抵抗が増大されることから、ろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのを抑制することができるので、ろ過した水をスクリュー11a〜11cにより確実に外部に設けられたタンク3に送水されることで、積層ろ体F外側の汚泥から固体成分と水分とを確実に分離ろ過することができる。その結果、汚泥濃縮機1が配置された汚泥貯留槽2内の汚泥を効率よく濃縮することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、隣接する固定プレート12の間隔、または、可動プレート13の厚みのうち、少なくとも1つを調整することにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成する。これにより、濃縮ろ過溝NSの間隔Lが上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように積層ろ体Fを容易に形成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、隣接する固定プレート12間の距離を保つスペーサ161および162の厚みを調整することにより、隣接する固定プレート12の間隔が調整されて、濃縮ろ過溝NSの間隔Lを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成する。これにより、固定プレート12および可動プレート13の厚みを上流部側および下流部側において変えることなく、スペーサ161および162の厚みを調整するだけで、隣接する固定プレート12間の距離を容易に調整することができる。その結果、固定プレート12および可動プレート13を上流部および下流部において共通化しながら、厚みが調整されたスペーサ161および162により、上流部側よりも下流部側の濃縮ろ過溝NSの間隔Lが狭くなる積層ろ体Fを容易に形成することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、スクリュー11a〜11cは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における下流部側において、上流部側のスクリュー11aのピッチ以上の多重らせん構造を有するように構成する。これにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向の下流部側において、多重らせんの多重数分だけスクリュー11bおよび11cの推力(送水力)が増加される。更に、スクリュー11aのピッチに対して11bおよび11cのピッチが増大されるので、その増大されたピッチ分だけリード(1回転で軸方向に進む移送距離)が大きくなる。即ち、単位時間当たりの移送速度が速くなるとともに、ピッチが大きくなる分、ろ液の通る部分の容積(積層ろ体F内のらせん空間路)が大きくなり流通抵抗が減少されることから、ろ過された水を送る能力を高めることができるので、積層ろ体Fの下流部側の水の送水力に加えて流速を大きくして円滑に積層ろ体F内の圧力(静圧)を下げることができる。その結果、積層ろ体Fの下流部側からろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのをより効果的に抑制することができる。また、上流部側の水が下流部側により大きな負圧で吸引されるので、上流部側において、積層ろ体Fの外側から内側に吸引されてろ過される水の量を効果的に増加することができる。これらにより、汚泥濃縮機1が配置された汚泥貯留槽2内の汚泥をより効率よく濃縮することができる。また、上記ろ過された水を下方から上方に押し上げる(送る)スクリュー11a〜11cの通常運転時の回転方向(正回転)に対して、スクリュー11a〜11cを逆回転させた場合には、必然的にスクリュー11a〜11cにより図2に示すB方向、即ちろ液が所定量貯留されたタンク3から配管31を経由して、ろ過された水を上方から下方に流下(逆流)されることにより、積層ろ体Fの下流部側の増大されたピッチの多重らせんによる、積層ろ体Fの下流部側から上流部側への逆方向の速い(大きな)流速で強力な送水力の逆流ろ液により、積層ろ体F内の圧力を強力に上げることができる。これにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄する場合、積層ろ体Fの下流部側から上流部側に向かって強力に逆流洗浄することができる。これにより、積層ろ体Fの上流部側の洗浄の効果をより高めることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、スクリュー11a〜11cは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から上流部側において1重らせん構造を有するとともに、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から下流部側において、上流部側のスクリューピッチ以上の2重らせん構造を有するように構成する。これにより、下流部側のスクリュー11bおよび11cを2重らせん構造にして、上記と同様に、スクリュー11bおよび11cにより推力(送水力)が倍増される。更に、スクリュー11aのピッチに対して11bおよび11cが増大されるので、その増大されたピッチ分だけリード(1回転で軸方向に進む移送距離)が大きくなる。即ち、単位時間当たりの移送速度が速くなるとともに、ろ液の通る部分の容積(積層ろ体F内のらせん空間路)が大きくなり流通抵抗が減少されることから、ろ過された水を送る能力を容易に高めることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、回転軸11を、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側から下流部側に向かって外径寸法が徐々に小さくなるテーパ形状に形成する。これにより、下流部側において回転軸11の外径寸法が小さくなる分、積層ろ体F内の水が通る部分の容積を大きくすることで流通抵抗が減少されるので、下流部側の円滑なろ過送水(揚水)に伴い、積層ろ体F内の圧力を下げることができる。その結果、積層ろ体Fの下流部側からろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのをより効果的に抑制することができる。また、モータ15を逆回転させてろ液を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄する場合、積層ろ体Fの上部から下部に向かって逆流させたろ液の通る部分の容積が小さくなるので、積層ろ体F内の下部の圧力を上げることができる。これにより、積層ろ体Fの下部の洗浄の効果をより高めることができる。
(第2実施形態)
次に、図7および図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、汚泥濃縮機1の回転軸11がテーパ形状に形成されている上記第1実施形態とは異なり、汚泥濃縮機201の回転軸211を一定の太さに形成した例について説明する。
図7に示すように、本発明の第2実施形態の汚泥濃縮システム200は、汚泥濃縮機201と、汚泥貯留槽2と、タンク3とを備えている。汚泥濃縮機201は、スクリュー211aおよび211bを有する回転軸211と、固定プレート12と、可動プレート13と、モータ15と、接続部材16とを含んでいる。また、汚泥貯留槽2内には、気泡発生部21と、ガイド22と、座部23とが設けられている。また、汚泥濃縮機201および汚泥貯留槽2の外部に配置されたタンク3内には、外部ポンプ32が設置されている。
ここで、第2実施形態では、図8に示すように、スクリュー211aおよび211bは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向(上下方向)における下流部側(鉛直方向上側)において、多重らせん構造を有するように構成されている。具体的には、スクリュー211aは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から上流部側(鉛直方向下側)において1重らせん構造を有している。また、スクリュー211aおよび211bは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から下流部側において2重らせん構造を有するように構成されている。つまり、ろ過された水を送る方向における中央近傍から上流部側には、スクリュー211aのみ設けられている。また、ろ過された水を送る方向における中央近傍から下流部側には、スクリュー211aおよびスクリュー211bが設けられている。また、スクリュー211aおよび211bは、それぞれ、一定のピッチを有するように構成されている。
また、第2実施形態では、回転軸211は、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側から下流部側に渡って一定の太さに形成されている。
また、第2実施形態では、積層ろ体Fの固定プレート12および可動プレート13の間の濃縮ろ過溝NSの間隔L(図4参照)は、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。具体的には、積層ろ体Fの上流部側の濃縮ろ過溝NS(ろ過溝Sから可動プレート13の厚みを引いた分の細隙)の間隔Lは、一定の間隔L3である。また、積層ろ体Fの下流部側の濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、間隔L3よりも小さい間隔Lxである。また、下流部側の濃縮ろ過溝NSの間隔Lxは、積層ろ体Fの下流部側に行くほど徐々に小さくなるように形成されている。
また、濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、隣接する固定プレート12の間隔を調整することにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。具体的には、上流部側のスペーサ261と下流部側のスペーサ262との厚みを、それぞれ、濃縮ろ過溝NSの間隔L3と、間隔L3よりも小さくかつ下流部側の先端に向かって徐々に小さくなる間隔Lxとに対応するように調整することにより、隣接する固定プレート12の間隔が調整されて、濃縮ろ過溝NSの間隔Lが、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。また、下流部側のスペーサ262は、下流部側に向かって徐々に上下方向の長さが小さくなるように配置されている。
また、第2実施形態では、汚泥濃縮機201は、ガイドブラケット202を介してガイド22に支持されている。具体的には、汚泥濃縮機201は、ガイドブラケット202が取り付けられている。また、ガイドブラケット202は、汚泥貯留槽2内に上下に延びるように配置されたガイド22に固定されている。これにより、汚泥濃縮機201を汚泥貯留槽2内の任意の上下位置に配置して固定することが可能である。
第2実施形態では、汚泥濃縮槽2において、凝集剤により凝集されたフロック(固体成分)の比重が水よりも小さいために、フロック(固体成分)の濃度が上側において濃くなっている場合の例を示している。したがって、第2実施形態では、図7に示すように、汚泥濃縮機201は、汚泥貯留槽2の下寄り(座部23寄り)に配置されている。これにより、フロック(固体成分)の濃度が低い位置で効率的に水分をろ過することが可能となる。具体的には、ガイドブラケット202のガイド22に対する取付位置が下寄りに調整されて、汚泥濃縮機201が汚泥貯留槽2の下寄りに配置されて固定されている。また、汚泥濃縮機201は、汚泥貯留槽2の底部に設けられた座部23に当接するように配置されている。
また、汚泥濃縮機201により排出されるろ液は、配管31を介してタンク3に送られるように構成されている。具体的には、ろ過運転中(通常運転中)には、弁33により配管31に配管31aが接続される。そして、ろ液は、配管31aを通ってタンク3に排出される。なお、配管31aは、タンク3の上側に設けられており、大気解放されている。これにより、ろ過運転中(通常運転中)に、タンク3内に貯められたろ液の逆流が防止される。また、洗浄時にタンク3のろ液(洗浄水)を逆流させて、汚泥濃縮機201を洗浄する場合は、弁33により配管31に配管31bが接続される。そして、外部ポンプ32を駆動させることにより、配管31bを通って、タンク3からろ液が汚泥濃縮機201に送られる。
また、第2実施形態では、洗浄手段としての外部ポンプ32は、固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、水による洗浄を行うように構成されている。具体的には、洗浄手段としての外部ポンプ32は、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、タンク3の水(ろ液)を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄し、フロックの目詰まりを解消するように構成されている。また、この際、外部ポンプ32の駆動とともに、モータ15を通常運転時とは逆方向に回転駆動することにより、スクリュー211aおよび211bにより、濃縮ろ過溝NS内に、ろ過した水を逆流させるように構成する。これにより、外部ポンプ32に加えて、スクリュー211a、211bおよびモータ15も洗浄手段として機能する。
また、第2実施形態では、汚泥貯留槽2の底部に気泡発生部21が設けられている。気泡発生部21は、エア源(図示せず)に接続されており、汚泥貯留槽2内に気泡を噴射するように構成されている。つまり、汚泥貯留槽2の下部に汚泥濃縮機201を配置した状態で、気泡発生部21により汚泥貯留槽2の底部側で気泡を発生させるように構成されている。また、発生させた気泡の浮上作用によって汚泥貯留槽2内の汚泥を対流攪拌および浮遊させることによって、ろ過溝Sを含む積層ろ体Fの外周部近傍が洗浄されるように構成されている。また、気泡により、凝縮された固体成分(フロック)が浮上するように構成されている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、積層ろ体Fの固定プレート12と可動プレート13との対向面間である濃縮ろ過溝NSの間隔Lを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成する。これにより、ろ過された水の量が多くなる下流部側の濃縮ろ過溝NSにおける内から外の放射方向への流通抵抗が増大されることから、ろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのを抑制することができるので、汚泥濃縮機201が配置された汚泥貯留槽2内の汚泥を効率よく濃縮することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、スクリュー211aおよび211bを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における下流部側において、多重らせん構造を有するように構成する。これにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向の下流部側において、多重らせんの多重数分だけスクリュー211aおよび211bの推力(送水力)が増加されることから、ろ過された水を送る能力を高めることができるので、積層ろ体Fの下流部側の水の送水力を大きくして積層ろ体F内の圧力(静圧)を下げることができる。その結果、積層ろ体Fの下流部側からろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのをより効果的に抑制することができる。また、上流部側の水が下流部側により大きな負圧で吸引されるので、上流部側において、積層ろ体Fの外側から内側に吸引されてろ過される水の量を効果的に増加することができる。これらにより、汚泥をより効率よく濃縮することができる。また、上記ろ過された水を下方から上方に押し上げる(送る)スクリュー211aおよび211bの通常運転時の回転方向(正回転)に対して、スクリュー211aおよび211bを逆回転させた場合には、必然的にスクリュー211aおよび211bにより図7に示すB方向、即ちろ液が所定量貯留されたタンク3から配管31を経由して、ろ過された水を上方から下方に流下(逆流)されることにより、積層ろ体Fの下流部側の多重らせんによる強力な送水力に加えて外部ポンプ32の送水の逆流ろ液によって、積層ろ体F内の圧力を強力に上げることができるので、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄する場合、積層ろ体Fの下流部側から上流部側に向かって強力に逆流洗浄することができる。これにより、積層ろ体Fの上流部側の洗浄の効果をより高めることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、スクリュー211aおよび211bを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から上流部側において1重らせん構造を有するとともに、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍から下流部側において2重らせん構造を有するように構成する。これにより、下流部側のスクリュー211aおよび211bを2重らせん構造にして、上記同様にスクリュー211bおよび211cにより推力(送水力)が倍増されることから、ろ過された水を送る能力を容易に高めることができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図9および図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、下流部側のスクリューが2重らせん構造を有する構成の上記第1および第2実施形態とは異なり、上流部側から下流部側に渡って1重らせん構造のスクリュー311aが設けられた構成の例について説明する。
図9に示すように、本発明の第3実施形態の汚泥濃縮システム300は、汚泥濃縮機301と、汚泥貯留槽2と、タンク3とを備えている。汚泥濃縮機301は、スクリュー311aを有する回転軸311と、固定プレート12と、可動プレート13と、モータ15と、接続部材16とを含んでいる。また、汚泥貯留槽2内には、気泡発生部21と、ガイド22と、座部23とが設けられている。
ここで、第3実施形態では、図10に示すように、スクリュー311aは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向(上下方向)における上流部側から下流部側に渡って1重らせん構造を有している。また、スクリュー311aのピッチは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側から下流部側に向かって徐々に大きくなるように構成されている。
また、第3実施形態では、回転軸311は、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側から下流部側に渡って一定の太さに形成されている。
また、第3実施形態では、積層ろ体Fの固定プレート12および可動プレート13の間の濃縮ろ過溝NSの間隔L(図4参照)は、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。具体的には、積層ろ体Fの上流部側の濃縮ろ過溝NS(ろ過溝Sから可動プレート13の厚みを引いた分の細隙)の間隔Lは、L1である。また、積層ろ体Fの下流部側の濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、間隔L1よりも小さい間隔L2である。
また、濃縮ろ過溝NSの間隔Lは、隣接する固定プレート12の間隔を調整することにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。具体的には、上流部側のスペーサ161と下流部側のスペーサ162との厚みを、それぞれ、濃縮ろ過溝NSの間隔L1およびL2(L1>L2)に対応するように調整することにより、隣接する固定プレート12の間隔が調整されて、濃縮ろ過溝NSの間隔Lが、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成されている。
この第3実施形態では、上記第2実施形態と同様に、汚泥貯留槽2において、凝集剤により凝集されたフロック(固体成分)の比重が水よりも小さいため、フロック(固体成分)の濃度が上側において濃くなっている場合の例を示している。したがって、第3実施形態では、図9に示すように、汚泥濃縮機301は、汚泥貯留槽2の下寄り(座部23寄り)に配置されている。これにより、フロック(固体成分)の濃度が低い位置で効率的に水分をろ過することが可能となる。具体的には、ガイドブラケット202のガイド22に対する取付位置が下寄りに調整されて、汚泥濃縮機301が汚泥貯留槽2の下寄りに配置されて固定されている。また、汚泥濃縮機301は、汚泥貯留槽2の底部に設けられた座部23に当接するように配置されている。
また、汚泥濃縮機301により排出されるろ液は、配管31を介してタンク3に送られるように構成されている。また、配管31は、弁34aおよび弁34bにより接続が切り替えられる。具体的には、ろ過運転中または洗浄運転中(通常運転中または洗浄水の逆転運転中)には、弁34aが開放されるとともに、弁34bが閉塞される。これにより、ろ液は、タンク3に排出またはタンク3内から洗浄逆流される。また、汚泥濃縮機301を空気洗浄する場合は、弁34aが閉塞されるとともに、弁34bが開放される。そして、エア源302から送られる空気が弁34bを介して汚泥濃縮機301に逆流するように送られる。
また、第3実施形態では、洗浄手段としてタンク3内に貯留されたろ液を洗浄水として用いる場合と、エア源302から供給される空気を用いる場合とがあり、固定プレート12および可動プレート13の外周部に対して、洗浄水または空気による洗浄を行うように構成されている。具体的には、洗浄手段としてモータ15を通常運転とは逆方向に回転駆動することにより、スクリュー311aにより、濃縮ろ過溝NS(固定プレート12と可動プレート13との隙間)内に、洗浄水または空気を逆流させることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄し、フロックの目詰まりを解消するように構成されている。また、エア源302から空気を逆流させる際に、汚泥濃縮機301および配管31内に残るろ液も空気に押されて逆流する。この逆流するろ液によっても、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部が洗浄される。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、積層ろ体Fの固定プレート12および可動プレート13の間の濃縮ろ過溝NSの間隔Lを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成する。これにより、ろ過された水の量が多くなる下流部側において固定プレート12および可動プレート13の間の濃縮ろ過溝NSからろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのを抑制することができるので、汚泥を効率よく濃縮することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、スクリュー311aのピッチを、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側から下流部側に向かって徐々に大きくなるように構成する。これにより、積層ろ体F内のろ過された水を上流部側から下流部側に送る方向において、スクリュー311aのピッチが順次増大されることから、その順次増大されるピッチ分だけ順次リード(1回転で軸方向に進む移送距離)が大きくなる。即ち、単位時間当たりの移送速度も順次増速されるとともに、ピッチが大きくなる分、ろ液の通る部分の容積(積層ろ体F内のらせん空間路)が徐々に大きくなり流通抵抗が減少されることから、ろ過された水を送る能力を高めることができる。また、積層ろ体F内の水の流速を順次大きくして円滑に圧力(静圧)を下げることができるので、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における下流部側において、ろ過された水を送る能力を高めることができる。また、積層ろ体F内の下流部側の水の流速を順次大きくして円滑に圧力(静圧)を下げることができるので、積層ろ体Fの下流部側からろ過された水が積層ろ体Fの外部に漏れるのをより効果的に抑制することができる。また、上流部側の水が下流部側により円滑に順次大きな負圧で吸引されるので、上流部側において、積層ろ体Fの外側から内側に吸引されてろ過される水の量を効果的に増加することができる。これらにより、汚泥濃縮機301が配置された汚泥貯留槽2内の汚泥をより効率よく濃縮することができる。また、上記ろ過された水を下方から上方に押し上げる(送る)スクリュー311aの通常運転時の回転方向(正回転)に対して、スクリュー311aを逆回転させた場合には、必然的にろ液が所定量貯留されたタンク3から配管31を経由して、ろ過された水を洗浄水として上方から下方に流下(逆流)されることにより、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部が洗浄水で洗浄される。この場合、上記とは逆にスクリュー311aのピッチが洗浄水が流れる上流部側から下流部側に向かって徐々に減少する。即ち、積層ろ体Fの下流部側から上流部側に向かって逆流させたろ液の通る部分の容積(積層ろ体F内のらせん空間路)が徐々に小さくなることにより、積層ろ体F内の上流部側の圧力を円滑かつ強力に順次上げることができる。また、上記エア源302から供給される空気を用いて洗浄することもできる。これにより、洗浄水または空気を汚泥の性状に合わせた洗浄手段を使い分けられるので、積層ろ体Fの上流部側の洗浄の効果をより高めることができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、本発明の汚泥濃縮機を上下方向に立てた状態で配置する縦型濃縮機(バーチカル濃縮機)に適用する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、汚泥濃縮機は、斜めに立てた状態や横に向けた状態で配置されていてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、固定プレートの間隔を調整することにより、濃縮ろ過溝NSの間隔が、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、濃縮ろ過溝NSの間隔は、隣接する固定プレートの間隔(スペーサの厚み)、または、可動プレートの厚みのうち、少なくとも1つを調整することにより、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における上流部側よりも下流部側の方が狭くなるように構成してもよい。たとえば、上流部側より下流部側の方の可動プレートの厚みを大きくしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、スクリューは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における下流部側において、2重らせん構造を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリューは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における下流部側において、3重以上の多重らせん構造を有していてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、スクリューは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍を境に、上流部側と下流部側とで1重らせん構造および多重らせん構造を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリューは、積層ろ体F内のろ過された水を送る方向における中央近傍以外を境に、上流部側と下流部側とで1重らせん構造および多重らせん構造を有する構成でもよい。
また、上記第1実施形態では、下流部側の2重らせん構造のスクリューは、互いに180度の間隔を隔てて配置されている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、図11に示す変形例による汚泥濃縮機401のように、下流部側の2重らせん構造のスクリュー411aおよび411bを、回転軸411を中心に互いに略直交するように配置してもよい。なお、この場合、スクリュー411aおよび411bは、互いに等しい回転半径r1を有していてもよい。また、下流部側の2重らせん構造のスクリューを、90度および180度以外の他の角度を隔てて配置してもよい。
また、上記第1実施形態では、汚泥濃縮機の内部に羽根車(内部ポンプ部)を設け、上記第2実施形態では、汚泥濃縮機の外部に外部ポンプを設けて、ろ過したろ液を逆流させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、内部ポンプ部および外部ポンプのいずれも設けずに、モータによりスクリューのみを逆回転させることにより、ろ液を逆流させる構成でもよい。この場合、モータおよびスクリューが洗浄手段として機能する。
また、上記第3実施形態では、汚泥濃縮機の内部から空気を逆流させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部の洗浄を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図12に示す変形例のように、汚泥濃縮機501の外部にスパイラル噴射管502を設けて、積層ろ体Fの外側から空気を噴射させて、ろ過溝S内を含む積層ろ体Fの外周部を洗浄してもよい。具体的には、この変形例によるスパイラル噴射管502は、汚泥濃縮機501の外部にらせん状に設けられている。また、スパイラル噴射管502は、内側(汚泥濃縮機501側)に複数の噴射口502aが設けられている。また、スパイラル噴射管502は、エア源(図示せず)に接続されている。そして、スパイラル噴射管502は、エア源から供給される空気を噴射口502aから噴射して、汚泥濃縮機501の外周部を洗浄するように構成されている。また、スパイラル噴射管502は、上下方向に移動可能に構成されていてもよいし、回動するように構成されていてもよい。これにより、空気を汚泥濃縮機501の外周部に万遍なく噴射することが可能となる。
また、上記第1〜第3実施形態では、汚泥濃縮機によりろ過されたろ液をタンクに貯める構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、タンクを設けずにろ液を直接次の処理に送ってもよい。この場合、汚泥濃縮機を洗浄する水を外部から引いてもよい。つまり、ろ過したろ液以外の水を用いて固定プレートおよび可動プレートの外周部を洗浄してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、生物反応槽として曝気槽を用いる好気性の生物処理の構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、生物反応槽において、曝気(エアレーション)せずに嫌気性の生物処理を行ってもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、被処理水を生物反応槽、最終沈殿池、汚泥貯留槽および脱水機により処理する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、被処理水をその他の処理(たとえば、化学的処理(薬品処理、オゾン処理など)等)によりさらに水処理してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、隣接する固定プレート間にスペーサを設けて固定プレート間にろ過溝を形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スペーサを設けずに固定プレート間にろ過溝を形成してもよい。たとえば、固定プレートに凸部を設けて、隣接する固定プレート間の位置を位置決めしてもよい。この場合、上流部側の固定プレートの凸部よりも下流部側の固定プレートの凸部の大きさを小さくして、下流部側の固定プレートの間隔が小さくなるようにしてもよい。