JP6214266B2 - 砂型鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は砂型鋳造方法に関する。
近時の環境問題に対する世界的な要請の下で自動車や航空機などの業界では一層の燃料消費の低減が急務の課題となっている。その現れを特許文献1に見ることができる。特許文献1は、排気マニホールド、ターボチャージャーなどの自動車用排気系部品の材料として一般的に採用されているフェライト系耐熱鋳鋼に代わるオーステナイト系耐熱鋳鋼を提案している。このオーステナイト系耐熱鋳鋼は高温強度に優れており、また、鋳造時の湯流れが良い。このオーステナイト系耐熱鋳鋼によれば、鋳造欠陥の低減を図りつつ高度な耐熱性の要求に応じることができる。
砂型鋳造法は、骨材としての砂(セラミックを混合する場合もある)をバインダーで互いに結合することで砂型を作り、この砂型の中に、溶けた金属を流し込んで製品を作る金属加工方法である。骨材の砂は天然砂と人工砂とに分類することができ、これらの再生砂を含めて使用目的に応じて使い分けられている。バインダーは、有機(フラン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ガス硬化性粘結剤など)、無機(例えば、水ガラス、セメント)の他にハイブリッドバインダーが知られている。
特許文献2〜5はハイブリッドバインダー及びこれを使ったハイブリッド鋳造法を開示している。このハイブリッドバインダーは、砂型(中子を含む意味である)を造形した時の強度(常温強度)を有機バインダーで確保し、有機バインダーで確保できない高温度域の砂型強度をセラミックで確保するものである。
ハイブリッドバインダーはXPアルコール溶液と呼ばれており、このXPアルコール溶液は、周期律表4A族または4B族(炭素を除く)と3A族又は3B族の金属アルコキシド及びその部分加水分解物から選ばれた1種または2種類以上のアルコール可溶性の金属アルコキシド類と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコール可溶性のアルカリ化合物とをそれぞれ加水分解が進んでいない状態で含むアルコール溶液を主成分とする溶液である。XPアルコール溶液の詳細は特許文献2〜5を参照されたい。
ハイブリッドバインダーは、砂型(中子を含む意味である)を造形した時の強度(常温強度)を有機バインダー成分で確保し、鋳込み時の砂型の強度(熱間強度)をセラミック成分で確保するものである。このハイブリッドバインダーを使ったハイブリッド鋳造法は、高い温度の溶融金属を砂型に注ぎ込むことができるため、湯流れの悪い金属の鋳造や湯流れが厳しく要求される薄肉製品の鋳造が可能になる。
特開平7−90502号公報 日本国特許3139918号 特開2010−42985号公報 特開2012−35269号公報 特開2002−143983号公報
鋳造品の薄肉化を目指そうとしたときに、砂型の製品キャビティ部分において、その全体に溶融金属が行き渡らないリスクつまり鋳造欠陥が発生するリスクが高くなる。前述したハイブリッド鋳造法は、例えば1000℃以上の高温状態でも砂型強度を維持できるため、溶融金属の高温化及び/又は高温に加熱した砂型を使って鋳造する熱間鋳造法を採用することで、上述したリスクを大幅に低減することができる。
しかし、溶けた金属を砂型に注ぎ込む鋳込み温度の高温化は、金属を更に高い温度まで加熱するための熱エネルギが必要となるためコストアップの要因になる。また、準備段階で砂型を高い温度まで加熱することは(熱間鋳造法の採用)、そのための設備投資、熱エネルギ、手間が必要となり、このこともコストアップの要因になる。例えば自動車エンジンの排気系部品やシリンダブロックなどの量産品に対して熱間鋳造法を適用することは事実上難しい。
本発明の目的は、湯流れが相対的に悪い金属の鋳造欠陥や湯流れが厳しく要求される薄肉製品の鋳造欠陥を低減することのできる砂型鋳造方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、重力鋳造法に従い且つ湯流れが相対的に悪い金属を使って比較的薄肉の鋳造品を作ることのできる砂型鋳造方法を提供することにある。
本発明は、溶融金属を注ぎ込んで鋳造するための製品キャビティ部が上型と下型とで形成される砂型であって、前記上型及び/又は前記下型の少なくとも一方を、前記砂型の一部を構成する分割型と、該砂型の残部を構成する本体とに分けた分割構造の砂型を用意し、
前記分割型を加熱する加熱工程と、
加熱した前記分割型を前記本体と合体させる合体工程と、
前記砂型に溶融金属を注ぎ込んで鋳造する鋳造工程とを有する砂型鋳造方法を特徴とする。
砂型は、溶融金属を注ぎ込むための堰鉢を有する。堰鉢に注ぎ込まれた溶融金属は、湯口棒を通り、次いで湯道を通って製品キャビティ部に流入する。上記分割型は、湯道及び/又は製品キャビティ部の上流部分であるのが好ましい。
本発明の更なる目的、作用効果は、以下の本発明の詳しい説明から明らかになろう。
レジンコーテッドサンド(RCS)を造形したテストピースを加熱したときの強度を示すグラフである。 レジンコーテッドサンド(RCS)を造形したテストピースを加熱したときの強度低下を示すグラフである。 2mmの薄肉のテストピースを鋳造するための砂型のキャビティを説明するための図である。 2mmの薄肉のテストピースを鋳造するための砂型の側面図である。 図4に図示の砂型の平面図である。 第1の部分砂型を湯道及びキャビティ製品部の上流部分に組み込んだ砂型であって、2mmの薄肉のテストピースを鋳造するための砂型の側面図である。 図6に図示の砂型の平面図である。 第2の部分砂型をキャビティ製品部の側部に組み込んだ砂型であって、2mmの薄肉のテストピースを鋳造するための砂型の側面図である。 図8に図示の砂型の平面図である。 第3の部分砂型をキャビティ製品部の下流部分に組み込んだ砂型であって、2mmの薄肉のテストピースを鋳造するための砂型の側面図である。 図10に図示の砂型の平面図である。 第1の部分砂型の斜視図である。 第2の部分砂型の斜視図である。 第3の部分砂型の斜視図である。 常温の砂型と300℃の砂型で鋳造した鋳鉄(FC)のテストピースを示す図である。 湯道とキャビティ製品部の上流部分に、加熱した第1部分砂型を設置した状態で鋳造した鋳鉄(FC)のテストピースを示す図である。 湯道とキャビティ製品部の上流部分に、加熱した第1部分砂型を設置した状態で鋳造した耐熱鋼(SCH)のテストピースを示す図である。 鋳造欠陥が発生し易いキャビティ製品部の側部に、加熱した第2部分砂型を設置した状態で鋳造した耐熱鋼(SCH)のテストピースを示す図である。 キャビティ製品部の下流部分に、加熱した第3部分砂型を設置した状態で鋳造した耐熱鋼(SCH)のテストピースを示す図である。 より高い温度の溶融金属を砂型に注ぎ込んだときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 加熱した砂型を使って鋳造したときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 湯道とキャビティ製品部の上流部分に、加熱した第1部分砂型を設置した状態で鋳造したときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 鋳造欠陥が発生し易いキャビティ製品部の側部に、加熱した第2部分砂型を設置した状態で鋳造したときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 キャビティ製品部の下流部分に、加熱した第3部分砂型を設置した状態で鋳造したときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 湯道部分に、加熱した部分砂型を設置した状態で鋳造したときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 キャビティ製品部の上流部分に、加熱した部分砂型を設置した状態で鋳造したときの砂型内での溶融金属の温度低下の状態を定性的に説明するための図である。 熱源である部分砂型を湯道の部分に設置した例を説明するための図である。 熱源である部分砂型を湯道の部分と製品キャビティ部の上流部分とに設置した例を説明するための図である。 熱源である部分砂型を湯道の部分と中子とに設置した例を説明するための図である。 熱源である部分砂型を製品キャビティ部の上流部分と中子とに設置した例を説明するための図である。 熱源である部分砂型を湯道と製品キャビティ部と中子とに設置した例を説明するための図である。 堰鉢と湯口棒とを含む高温の上型用分割型を上型本体に組み込んで砂型を作り、この部分的に高温の砂型を使って鋳造する例を説明するための図である。 堰鉢と湯口棒とを含む高温の上型用分割型を上型本体に組み込むと共に、下型の湯道部分に熱源である部分砂型を設置した砂型を使って鋳造する例を説明するための図である。 バーナーの火炎で加熱した堰鉢と湯口棒とを含む高温の上型用分割型と、湯道を含む高温の下型用分割型とを用意し、これらを上型本体及び下型本体に組み込んで砂型を作り、この部分的に高温の砂型を使って鋳造する例を説明するための図である。 湯道を含む高温の下型用分割型を用意し、これを組み込んだ部分的に高温の砂型を使って鋳造する例を説明するための図である。 複数の中子のうち、上流側に位置する中子を加熱した状態で砂型に組み込み、この砂型を使って鋳造する例を説明するための図である。
以下に、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の基本概念を説明する。本願発明者らは、鋳造品の薄肉化を課題として、先ず、次の試験を行った。
(A)有機バインダーを使った砂型の加熱強度試験(図1、図2):
(i)骨材としてセラビーズ#650を使用した。
(ii)有機バインダーとしてレジンを使用した(1.8mass%)。
(iii)硬化剤としてヘキサミンを使用した。滑剤としてステアリン酸カルシウムを使用した。
上記の材料を混合してRCS(レジンコーテッドサンド)を作った。そして、RCSを使ってテストピースを造形し、このテストピースを加熱して強度及び強度低下を測定した。
図1は、常温、200℃、300℃でのテストピースの曲げに対する抵抗力つまり抗折力(Kg/cm2)を示す。図2は、200℃、300℃、400℃、500℃での加熱に伴うテストピースの強度低下率(%)を示す。この強度低下率(%)は常温を基準として算出した。
上記の試験結果から次のことが分かる。すなわち、有機バインダーは200〜300℃であれば約40%強度低下が見られるものの適当な強度(200℃で約40Kg/cm2の抗折力、300℃で約24Kg/cm2の抗折力)を有していることが確認できた。測定誤差を含めたときに、実用的には、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃であれば本発明に適用できる。
(B)前述したハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)は、約1000℃以上の温度まで砂型強度を維持できる特性を有している。XPアルコール溶液は、前述したように、周期律表4A族または4B族(炭素を除く)と3A族又は3B族の金属アルコキシド及びその部分加水分解物から選ばれた1種または2種類以上のアルコール可溶性の金属アルコキシド類と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコール可溶性のアルカリ化合物とをそれぞれ加水分解が進んでいない状態で含むアルコール溶液を主成分とする溶液である。XPアルコール溶液及びこれを使った砂型に関しては先に引用した日本国特許3139918号(特許文献2)や特許文献3〜5に詳しく記載されていることから、これらの先行特許文献をここに援用することで、これら特許文献2〜5に記載の全てを本願明細書に組み込む。
次に、耐熱性に優れた金属材料に関して言えば、HiSiMoダクタイル(球状化黒鉛)鋳鉄やオーステナイト系球状黒煙鋳鉄(ニレジストD5S)は優れた湯流れを備えていることが知られている。他方、鋳鉄(FC:Ferrum Casting)や耐熱鋼(SCH)は相対的に湯流れが悪く、耐熱鋼(SCH)は鋳鉄(FC)よりも湯流れが悪いことが知られている。
鋳造の業界では「肉厚2mm」の壁が立ちはだかっており、この肉厚2mm以下の鋳造品の量産技術は夢の技術と言われている。例えばHiSiMoダクタイル鋳鉄を使うことで肉厚2.5mmの自動車用排気マニホールドの量産が可能と言われているが、未だに肉厚2mmの壁を越えることは難しいと考えられている。
図3〜図5は、平面視長方形の平板状のテストピース(厚さ2mm)を鋳造するための砂型を示す。図3はテストピースを鋳造するための砂型のキャビティを示す。図4は砂型の側面図である。図5は砂型の平面図である。図示のテストピース用の砂型10はRCSを使って造形した。RCSは、前述したように、骨材としてのセラビーズとバインダーとしてのレジンとを含むレジンコーテッドサンドである。
テストピース用砂型10は上型12と下型14とで構成されている(図4)。特に図3を参照して、砂型10のキャビティ16は、キャビティ製品部18と湯道20とで構成されている。堰鉢22に注ぎ込んだ溶融金属は湯口棒24を通じて湯道20に流れ込む。キャビティ製品部18の下流端部にオーバーフロー道26が通じており、このオーバーフロー道26は上型12の上端面に開口している。キャビティ製品部18の寸法は長さ300.0 mm、横幅95.0 mm、厚さ2.0mmである。
砂型10内での湯流れを改善する目的の下で、上記のテストピース用砂型10を使って次の試験を行った。
テストピース用砂型10の下型14の一つの実施形態は、図6、図7に仮想線で示すように、キャビティ製品部18の上流端部分と湯道20とに対面した第1凹所30を有している。第1凹所30は上方に向けて開放している。
また、砂型10の下型14の第2の実施形態は、図8、図9に仮想線で示すように、キャビティ製品部18の側部(湯口棒24から遠い側の側部)にその上流端から下流端に亘って延びる第2の凹所32を有している。この第2凹所32は上方に向けて開放している。
また、砂型10の下型14の第3の実施形態は、図10、図11に仮想線で示すように、キャビティ製品部18の下流端部分の全域と対面した第3凹所34を有している。第3凹所34は上方に向けて開放している。
図12〜図14は、上述した第1〜第3の凹所30、32、34の夫々に脱着可能な部分砂型40、42、44を示す。図12の第1の部分砂型40は平板状の矩形形状を有し、また、前述した第1の凹所30(図6、図7)の輪郭と相補的な形状を有している。第1の部分砂型40を第1の凹所30に組み付けることで、第1の部分砂型40は下型14と一体化してキャビティ製品部18の上流端部分及び湯道20のキャビティ壁面を形成する。
図13の第2の部分砂型42は直方体の形状を有し、また、前述した第2の凹所32(図8、図9)の輪郭と相補的な形状を有している。第2の部分砂型42を第2の凹所32に組み付けることで、第2の部分砂型42は下型14と一体化してキャビティ製品部18の側部(湯口棒24から遠い側の側部)のキャビティ壁面を形成する。
図14の第3の部分砂型44は平板状の矩形形状を有し、また、前述した第3の凹所34(図10、図11)の輪郭と相補的な形状を有している。第3の部分砂型44を第3の凹所34に組み付けることで、第3の部分砂型44は下型14と一体化してキャビティ製品部18の下流端部分のキャビティ壁面を形成する。
図15は、RCSを使って造形した砂型10を使って鋳鉄(FC)を鋳造してテストピースTpを作製した例を示す。図15の(I)乃至(III)で示す第1〜第3のテストピースTp(1)〜Tp(3)の鋳造条件は次の通りであった。
図15の(I)の鋳造条件及びその結果
(1)鋳鉄(FC)の溶融温度は1380℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)出来上がった第1のテストピースTp(1)は、砂型10のキャビティ製品部18の下流部分が欠落した形状であった。
図15の(II)の鋳造条件及びその結果
(1)鋳鉄(FC)の溶融温度は1465℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)常温の砂型10を使って鋳造した第2のテストピースTp(2)は、砂型10のキャビティ製品部18の下流部分が欠落した形状であったが、図15の(I)の第1のテストピースTp(1)よりも欠落部分は小さかった。この結果から、溶融温度が高いほど湯流れを改善できることが分かる。
図15の(III)の鋳造条件及びその結果
(1)鋳鉄(FC)の溶融温度は1409℃であった。この温度は、上述した(II)よりも低い温度である。
(2)砂型10の温度は300℃であった。
(3)300℃に加熱した砂型10を使って鋳造した第3のテストピースTp(3)は完成品であり、砂型のキャビティ製品部18の全域に溶融金属が行き渡ることを確認することができた。このことから、加熱した砂型10を使うことで溶融金属の湯流れを改善できることが分かる。
図16は、第1の凹所30を備えた砂型10(図6、図7)に、加熱した第1の部分砂型40(図12)を組み込んで鋳鉄(FC)を鋳造した例を示す。この第1の部分砂型40はRCSを使って造形した。RCSはセラビーズ#650と有機バインダー(レジン)とで調製した。
図16の(IV)の鋳造条件及びその結果
(1)鋳鉄(FC)の溶融温度は1380℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)加熱した第1の部分砂型40を砂型10(下型14)の第1凹所30に組み込んだ(図6、図7)。第1の部分砂型40(図12)の温度は300℃であった。
(4)鋳造した第4のテストピースTp(4)は、図16の(IV)から分かるように、砂型10のキャビティ製品部18の下流部分が欠落した形状であった。なお、この鋳造条件は、加熱した第1の部分砂型40を組み込むことを除いて図15の(I)の第1のテストピースTp(1)と同じであるが、図15の(I)の第1のテストピースTp(1)よりも欠落部分は小さかった。この結果から、キャビティ製品部18の上流部分及び湯道20に、加熱した第1の部分砂型40を設置することで、キャビティ製品部18での湯流れを改善できることが分かった。
図16の(V)の鋳造条件及びその結果
(1)鋳鉄(FC)の溶融温度は1398℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)加熱した第1の部分砂型40(図12)を砂型10(下型14)の第1凹所30に組み込んだ(図6、図7)。第1の部分砂型40の温度は300℃であった。
(4)鋳造した第5のテストピースTp(5)は、砂型10のキャビティ製品部18の下流端に僅かな欠落が見られるが、ほぼ完成形に近い形状であった。
図16の(IV)の鋳造条件と(V)の鋳造条件とを対比したときに、その違いは、砂型10に注ぎ込む溶融金属の温度だけであり、(V)の鋳造条件の方が(IV)の鋳造条件よりも約20℃高温である。このことからも溶融金属の温度は高い方がキャビティ製品部18での湯流れを改善できることが分かる。
図17は、前述した第1の部分砂型40(図12)を使って耐熱鋼(SCH22)を鋳造してテストピースTpを作製した例を示す。第1の部分砂型40はハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)を使って造形した。使用した骨材はセラビーズ#650であった。
図17の(VI)の鋳造条件及びその結果
(1)耐熱鋼(SCH22)の溶融温度は1514℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)第1の部分砂型40は1100℃の炉で60分間加熱して焼成した直後に砂型10の第1凹所30に組み込んだ。
(4)鋳造した第6テストピースTp(6)には欠落部分が無く、完成品であった。
図18は、前述した第2の部分砂型42(図13)を使って耐熱鋼(SCH22)を鋳造して第7、第8のテストピースTp(7)、Tp(8)を作製した例を示す。第2の部分砂型42はハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)を使って造形した。使用した骨材はセラビーズ#650であった。
図18の(VII)の鋳造条件及びその結果
(1)耐熱鋼(SCH22)の溶融温度は1528℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)第2の部分砂型42は1100℃の炉で60分間加熱して焼成した直後に砂型10の第2凹所32に組み込んだ。
(4)鋳造した第7テストピースTp(7)は欠落部分を有していた。この欠落部分は湯口棒24(図3)から遠い側の側部に見られた。
図18の(VIII)の鋳造条件及びその結果
(1)耐熱鋼(SCH22)の溶融温度は1536℃であった。
(2)砂型10の温度は約300℃であった。
(3)第2の部分砂型42は1100℃の炉で60分間加熱して焼成した直後に砂型10の第2凹所32に組み込んだ。
(4)鋳造した第8テストピースTp(8)は欠落部分が見られず、完成形であった。
図18の(VII)と(VIII)とを対比したときに、完成形の第8テストピースTp(8)を得ることができた(VIII)の鋳造条件の方が、(a)溶融温度が約10℃高く、また、(b)加熱した砂型10を使用した点で(VII)の鋳造条件と異なっている。したがって、耐熱鋼の溶融温度が高いほど且つ加熱した砂型10を使用することで湯流れを改善できることが分かる。
また、図8、図9、図18を参照しながら図18の鋳造条件(VII)で鋳造した第7テストピースTp(7)の鋳造欠陥部分を検討すると、キャビティ製品部18において、湯口棒24から遠い側の側部の領域に鋳造欠陥が見られる。このことから当該領域の湯流れが悪いことが分かる。この湯流れの悪い領域に熱源(加熱した部分砂型42)を設置して鋳造したのが鋳造条件(VIII)の第8テストピースTp(8)であり、この第8テストピースTp(8)で良好な鋳造結果を得た。この事実から、砂型10を加熱するだけでなく、鋳造欠陥が発生し易い領域又はその上流部分に熱源(加熱した部分砂型42)を設置することは、この湯流れの悪い領域での鋳造欠陥の発生を抑えるのに効果的であることが分かった。
図19は、前述した第3の部分砂型44(キャビティ製品部18の下流部分に設置:図19)を使って耐熱鋼(SCH22)を鋳造して第9、第10のテストピースTp(9)、Tp(10)を作製した例を示す。第3の部分砂型44はハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)を使って造形した。使用した骨材はセラビーズ#650であった。
図19の(IX)の鋳造条件及びその結果
(1)耐熱鋼(SCH22)の溶融温度は1530℃であった。
(2)砂型10の温度は常温であった。
(3)第3の部分砂型44は1100℃の炉で60分間加熱して焼成した直後に砂型10に設置して鋳造した。
(4)鋳造した第9のテストピースTp(9)は欠落部分を有していた。
図19の(X)の鋳造条件及びその結果
(1)耐熱鋼(SCH22)の溶融温度は1530℃であった(上記(IX)の鋳造条件と同じ)。
(2)砂型10の温度は約300℃であった。
(3)第3の部分砂型44は1100℃の炉で60分間加熱して焼成した直後に砂型10に設置して鋳造した。
(4)鋳造したテストピースTp(10)は欠落部分を有していた。
キャビティ製品部18の下流側に、高温に加熱した第3の部分砂型44を設置しても良好な効果は得られなかった。
以上の試験結果から定性的に次のことが言える。図20〜図26に見られる実線は、一般的に採用されている温度の溶融金属を砂型10に注ぎ込んだときに砂型10の内部の各所での温度を示す。これを基準温度と呼ぶと、溶融金属が砂型10の内部を流れる過程で温度が低下する。
図20は、砂型10に注ぎ込む溶融金属の温度を高めたときの温度低下(二点鎖線)を示す。溶融金属の温度を高めることで砂型10の各所での温度を基準温度よりも高いレベルに維持させることができる。この図20は、溶融金属の温度を高めることで鋳造欠陥発生の可能性を低減できることを教えている。
図21は、加熱した砂型10を使用して鋳造したときに、溶融金属が砂型10の内部を流れる過程で低下する温度を二点鎖線で示す。この図21の二点鎖線は、図15の(III)の鋳造条件での鋳造が該当する。加熱した砂型10を使って鋳造したときには、温度低下の勾配を小さくさせることができる。つまり、砂型10の内部を流れる溶融金属の温度低下の度合いを小さくさせることができる。この図21は、加熱した砂型10を使って鋳造することで鋳造欠陥発生の可能性を低減できることを教えている。
図22は、湯道20の下流部分とキャビティ製品部18の上流部分に熱源(第1の部分砂型40)を設置して鋳造したときに、溶融金属が砂型10の内部を流れる過程で低下する温度を二点鎖線で示す。砂型10に投入された溶融金属は温度低下しながら湯道20に入る。湯道20の下流部分及びキャビティ製品部18の上流部分に配置された熱源(第1の部分砂型40)によって湯道20の下流部分及びキャビティ製品部18の上流部分での溶融金属の温度低下が抑制される。従って、キャビティ製品部18の下流部分を含むキャビティ製品部18の全域での溶融金属の温度を比較的高い温度に維持することができる。この図22は、キャビティ製品部18の上流部分及びキャビティ製品部18の上流に位置する湯道20に熱源を配置することで鋳造欠陥発生の可能性を低減できることを教えている。
図23は、キャビティ製品部18の鋳造欠陥が発生し易い側部に熱源(第2の部分砂型42(図9、図13))を設置して鋳造したときに、溶融金属が砂型10の内部(特に熱源を配置した側部)を流れる過程で低下する温度を二点鎖線で示す。砂型10に投入された溶融金属はキャビティ製品部18の側部に配置された熱源(第2の部分砂型42)によって当該側部を流れる溶融金属の温度低下が抑制される。従って、キャビティ製品部18の鋳造欠陥が生じ易い側部での溶融金属の温度を比較的高い温度に維持して溶融金属の流れを改善することができる。この図23は、キャビティ製品部18の鋳造欠陥が発生し易い部分に熱源を配置することで鋳造欠陥発生の可能性を低減できることを教えている。
図24は、キャビティ製品部18の下流部分の凹所に熱源(第3の部分砂型44(図11、図14)を設置して鋳造したときに、溶融金属が砂型10の内部(特に熱源を配置した側部)を流れる過程で低下する温度を二点鎖線で示す。砂型10に投入された溶融金属はキャビティ製品部18の下流部分の凹所に配置された熱源(第3の部分砂型44)によって当該下流部分を流れる溶融金属の温度低下が抑制される。これは、図19に示す鋳造条件(IX)、(X)が相当する。その結果のテストピースTp(9)、Tp(10)に鋳造欠陥が見られたことから、キャビティ製品部18の下流部分の凹所に配置された熱源(第3の部分砂型44)による鋳造欠陥抑制効果は限定的であり且つ局所的である。
図25は、湯道20の下流部分の凹所に熱源(部分砂型40(図12、図16)を設置して鋳造したときに、溶融金属が砂型10の内部(特に熱源を配置した側部)を流れる過程で低下する温度を二点鎖線で示す。砂型10に投入された溶融金属は湯道20の下流部分に配置された熱源によって当該湯道20の下流部分を流れる溶融金属の温度低下が抑制され、キャビティ製品部18の各部での溶融金属の温度を比較的高く維持することができる。この図25は、湯道20の下流部分に熱源(加熱した部分砂型)を配置することでキャビティ製品部18の全域での溶融金属の流れを改善できることを教えている。勿論、湯道20の流れ方向全域に熱源(加熱した部分砂型)を配置してもよいし、湯道20の流れ方向上流部分や中間部分に熱源(加熱した部分砂型)を配置してもよい。
図26は、キャビティ製品部18の上流部分の凹所に熱源(加熱した部分砂型)を設置して鋳造したときに、溶融金属が砂型10の内部を流れる過程で低下する温度を二点鎖線で示す。キャビティ製品部18に流入した溶融金属は、キャビティ製品部18の上流部分に配置された熱源(加熱した部分砂型)によって温度低下が抑制されることからキャビティ製品部18の全域での溶融金属の温度を比較的高い温度に維持することができる。この図26は、キャビティ製品部18の上流部分に熱源(加熱した部分砂型)を配置することで鋳造欠陥発生の可能性を低減できることを教えている。
以上のテスト結果から、溶融金属を注ぎ込む前段階で砂型を局部的に相対的に高温にすることが湯流れ改善に効果的であることが分かる。砂型を局部的に高温状態にした後に鋳造を実行する手法の具体例を図27以降の図面に基づいて以下に例示的に説明する。
図27を参照して、砂型100は主型102と中子104とで構成され、主型102は上型106と下型108とで構成されている。
主型102及び中子104の骨材は、天然砂、人工砂のいずれであってもよいし、これを混合した合成砂であってもよい。採用可能な骨材を列挙すれば次のとおりである。すなわち、珪砂、ムライト、合成ムライト、アルミナ、石英、ジルコン、溶融シリカ、シリカフラワー、シャモット、合成シャモットの群から選ばれた少なくとも1種類の鋳造砂を骨材として採用することができる。また、骨材に添加するバインダーは、有機、無機のバインダーのいずれのバインダーであってもよい。
図27を引き続き参照して、図27は、加熱した部分砂型120を上型106に設置した例を示す。この部分砂型120の設置場所として湯道20を例示的に図示してあるが、部分砂型120の設置場所及びその個数は任意であり、キャビティ製品部18の全域に溶融金属を円滑に行き渡らせるのに効果的な場所を実験により決定すればよい。
図28は、加熱した部分砂型120を下型108の湯道20に対面する部分の凹所に設置した例を示す。下型108に設置した部分砂型120は湯道20に露出しており、湯道20を規定するキャビティ面を形成する。この図28は、また、加熱した部分砂型120をキャビティ製品部18の上流部分の凹所に設置した例を示す。部分砂型120はキャビティ製品部18に露出しており、キャビティ製品部18を規定するキャビティ面を形成する。
図29は、加熱した部分砂型120を上型106と下型108とに設置した例を示す。この部分砂型120の設置場所として湯道20に臨む凹所を例示的に図示してあるが、設置場所は任意であり、キャビティ製品部18の全域に溶融金属を円滑に行き渡らせるのに効果的な場所を実験により決定すればよい。上型106と下型108に設置した部分砂型120は湯道20に露出しており、湯道20を規定するキャビティ面を形成する。
また、図29は、中子104に部分砂型120を設置した例を示している。中子104に設置した部分砂型120はキャビティ製品部18に露出した状態にある。中子104に設置する部分砂型120は単数であってもよいし、複数であってもよい。
部分砂型120の設置場所や個数は例えば図30、図31にも示すように任意であり、キャビティ製品部18の全域に溶融金属を円滑に行き渡らせるのに効果的な場所を実験により決定すればよい。
部分砂型120の骨材やバインダーは任意に選択すればよい。骨材とバインダーを混合して調整したコーテッドサンドを使って部分砂型120を造形してもよいし、部分砂型120を造形した後にバインダーをコーティングしてもよい。バインダーは有機、無機のバインダー、水ガラス、セメントの他に、ハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)のように超高温でも砂型強度を維持できるバインダーであってもよい。砂型100に複数の部分砂型120を設置する場合、材料及び温度が共通の部分砂型120を使ってもよいし、材料が共通であるが温度が異なる部分砂型120を使ってもよいし、材料及び温度が異なる部分砂型120を使ってもよい。
加熱した主型102、加熱した中子104、加熱した部分砂型120の組み合わせを例示的に列挙すれば次の通りである。
(1)主型102を加熱する。典型的には有機バインダーを使って造形した主型102の場合には、少なくともキャビティ面が約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃の主型102を使って鋳造する。ハイブリッドバインダーを使って造形した主型102の場合には少なくともキャビティ面が約350℃〜約800℃の主型102を使って鋳造する。
(2)有機バインダーを使って造形した中子104の場合には約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃の中子104を使って鋳造する。ハイブリッドバインダーを使って造形した中子104の場合には、焼成した後の約350℃〜約800℃の中子を使って鋳造する。
(3)加熱した主型102と加熱した中子104を使って鋳造する。主型102の温度は、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃(有機バインダーの場合)又は約350℃〜約800℃(ハイブリッドバインダーの場合)を選択できる。中子104は、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃(有機バインダーの場合)又はハイブリッドバインダーの場合には約350℃〜約1100℃、好ましくは約350℃〜約1000℃、更に好ましくは約350℃〜約800℃を選択できる。
(4)加熱した部分砂型120を主型102に組み込んで鋳造する場合には、常温の主型102を使ってもよいし、加熱した主型102を使ってもよい。加熱した主型102の温度は約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃を典型例として挙げることができる。部分砂型120の温度は、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃(有機バインダーの場合)であってもよいし、それよりも高温(例えば約350℃〜約1100℃、好ましくは約350℃〜約800℃)であってもよい(ハイブリッドバインダーの場合)。
(5)上記(4)において、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃又は約350℃〜約1100℃、好ましくは約350℃〜約1000℃、更に好ましくは約350℃〜約800℃の中子104を組み込んで鋳造する。
(6)上記(4)において、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300の中子に、約350℃〜約1100℃、好ましくは約350℃〜約1000℃、更に好ましくは約350℃〜約800℃の部分砂型120を組み込んで鋳造する。
(7)加熱した部分砂型120を主型102に組み込んで鋳造する。常温の主型102を使ってもよいし、少なくともキャビティ面が約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃又は例えば約350℃〜約800℃の主型102を使ってもよい。部分砂型120の温度は、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃(有機バインダーの場合)であってもよいし、それよりも高温(例えば約350℃〜約800℃)であってもよい(ハイブリッドバインダーの場合)。
(8)上記(7)において、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃又は約350℃〜約1100℃(好ましくは例えば約350℃〜約800℃)の中子104を組み込んで鋳造する。
(9)上記(7)において、約200℃〜約350℃、好ましくは約200℃〜約300℃の中子に、約350℃〜約1100℃、好ましくは例えば約350℃〜約800℃の部分砂型120を組み込んで鋳造する。
砂型を局部的に高温状態にする手法の他の具体例を図32以降の図面に基づいて以下に例示的に説明する。図32に例示の砂型100は主型102と中子104とで構成されている。主型102は上型106と下型108とで構成されている。上型106は分割型106Aと上型本体106Bとを含み、溶融金属を堰鉢22に注ぎ込む前に、上型用分割型106Aは上型本体106Bに合体される。図示の例では、上型用分割型106Aは堰鉢22と湯口棒24を含んでいる。
例えば上型用分割型106Aを有機バインダーを使って造形したときには、この分割型106Aは約200〜約300℃の温度まで加熱した後に、上型本体106Bと合体される。この上型本体106Bは常温である。
上型用分割型106Aをハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)を使って造形した場合には、例えば1000℃以上の温度の上型用分割型106Aが上型本体106Bと合体される。変形例として、ハイブリッドバインダーを使って造形した上型用分割型106Aを焼成した後に約350℃〜約800℃の温度の上型用分割型106Aを上型本体106Bと合体して鋳造工程を実行してもよい。勿論、このように比較的高温状態で上型本体106Bと合体する上型用分割型106Aは水ガラスを使って造形されてもよい。このように上型用分割型106Aを比較的高温状態で使う場合には、上型本体106Bは常温であってもよいし、上型本体106Bを約200〜約300℃の温度まで加熱した後に、この上型本体106Bと上型用分割型106Aとを合体して鋳造を実行するようにしてもよい。
更に、上型本体106Bに前述した熱源としての部分砂型120を組み込むようにしてもよい。図33は、上型本体106Bの湯道20に部分砂型120を組み込んだ例を示す。常温状態の上型本体106Bを使って鋳造する場合には、約200〜約300℃の温度まで加熱した部分砂型120が上型本体106Bに組み込まれる。約200〜約300℃の上型本体106Bを使って鋳造する場合には、約350℃〜約1000℃の温度まで加熱した部分砂型120が上型本体106Bに組み込まれる。勿論、同じ要領で下型108に、加熱した部分砂型120を組み込むようにしてもよい。
図34は、砂型100は、上型106、下型108に上型用分割型106A、下型用分割型108Aを設けた例を示す。すなわち、上型106は、上型用分割型106Aと上型本体106Bとで構成されている。他方、下型108は、下型用分割型108Aと下型本体108Bとで構成されている。上型用分割型106Aは堰鉢22と湯口棒24を含む。下型用分割型108Aは湯道20を含む。
上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aを有機バインダーを使って造形したときには、この上型用分割型106A又は下型用分割型108Aは少なくともキャビティ面を約200〜約300℃の温度まで加熱した後に、上型本体106B、下型本体108Bと合体される。上型用分割型106A又は下型用分割型108Aの加熱は加熱炉を使ってもよいし熱風を使ってもよい。上型本体106B、下型本体108Bは常温である。この上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aに前述した熱源としての部分砂型120を組み込むようにしてもよい。また、上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aを有機バインダーを使って造形したときには、上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aに、約300℃よりも高温の熱源としての部分砂型120を組み込むようにしてもよい。
上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aをハイブリッドバインダー(XPアルコール溶液)を使って造形した場合には、例えば1000℃以上の温度の上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aが上型本体106B及び/又は下型本体108Bと合体される。変形例として、ハイブリッドバインダーを使って造形した上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aを焼成した後に約350℃〜約800℃の温度の上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aを上型本体106B、下型本体108Bと合体して鋳造工程を実行してもよい。勿論、上型本体106B、下型本体108Bと合体する、比較的高温状態の上型用分割型106A又は下型用分割型108Aは水ガラスを使って造形されてもよいし、水ガラスやハイブリッドバインダーを上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aにコーティングしてもよい。
上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aの加熱を行うのに加熱炉を使ってもよいし熱風を使ってもよいが、図34は、上型用分割型106Aの堰鉢22と湯口棒24をバーナー110の火炎で加熱する例を示している。
このように上型用分割型106A又は下型用分割型108Aを比較的高温状態で使う場合には、上型本体106B、下型本体108Bは常温であってもよいし、少なくともキャビティ面を約200〜約300℃の温度まで加熱した後に上型用分割型106A及び/又は下型用分割型108Aを合体して鋳造を実行するようにしてもよい。更に、上型本体106B又は下型本体108Bに300℃以上に加熱した熱源としての部分砂型を組み込むようにしてもよい。
図35は、下型108を下型用分割型108Aと下型本体108Bとで構成した例を示す。この下型用分割型108Aについても、上型106の分割型106Aと同じであるので、その具体的な説明は省略する。
図36は、中子104が第1、第2の中子104A、104Bで構成された例を説明する。主型102に関しては、前述した部分砂型、分割型106Aを含んでいてもよい。図示の例では2つの中子104A、104Bであるが、3以上の中子を含んでいてもよい。第1、第2の中子104A、104Bのうち、上流側に位置する第1の中子104Aが約200℃以上、好ましくは約350℃〜約1100℃、最も好ましくは約350℃〜約800℃に加熱した状態で主型102の中に設置された状態で鋳造が実行される。第2の中子104Bは常温状態で主型102に設置される。この第1、第2の中子104A、104Bを含む砂型100において、主型102に前述した熱源としての部分砂型120を組み込んでもよい。
以上、本発明を説明したが、主型の材料(骨材及びバインダー)及び温度、中子の材料及び温度、主型に組み込む部分砂型の材料及び温度、中子に組み込む部分砂型の材料及び温度は任意であり、また、これらの組み合わせも任意である。キャビティ製品部での金属の流れを円滑化して鋳造欠陥の発生を抑制できる範疇で、主型の材料及び温度、部分砂型、分割型の材料及び温度などを選択すればよい。
主型、中子、部分砂型、分割型の温度は、採用した骨材及びバインダーを実際に試験して一定の強度が維持できる範囲で決定すればよい。また、部分砂型として単純な形状を選択することで、必要とされる強度(抗折力)を比較的小さな値に抑えることができる。
本発明は金属の鋳造に広く適用できる。本発明を適用することにより溶融金属が相対的に低い温度でも鋳造欠陥の発生を抑えることができる。これにより金属を加熱するための熱エネルギの量を低下させることができる。また、本発明は溶融金属の流動性が乏しい金属の鋳造欠陥を抑制するのに効果的である。また、本発明に従うことで2mm以下の薄肉の製品の量産化が実現できる。
100 砂型
102 主型
104 中子
106 上型
106A 上型用分割型
106B 上型本体
108 下型
108A 下型用分割型
108B 下型本体
120 部分砂型
18 砂型のキャビティ製品部
20 砂型の湯道
22 砂型の堰鉢
24 砂型の湯口棒

Claims (4)

  1. 溶融金属を注ぎ込んで鋳造するための製品キャビティ部が上型と下型とで形成される砂型であって、前記上型及び/又は前記下型の少なくとも一方を、前記砂型の一部を構成する分割型と、該砂型の残部を構成する本体とに分けた分割構造の砂型を用意し、
    前記分割型を加熱する加熱工程と、
    加熱した前記分割型を前記本体と合体させる合体工程と、
    前記砂型に溶融金属を注ぎ込んで鋳造する鋳造工程とを有する砂型鋳造方法。
  2. 前記砂型が、前記製品キャビティ部に開口した凹所と、該凹所に脱着可能な且つ前記製品キャビティ部の壁面を構成する部分砂型とを更に有し、
    前記合体工程の前に、前記部分砂型を前記本体よりも高い温度に加熱する部分砂型加熱工程と、
    加熱した前記部分砂型を前記本体の凹所に設置する部分砂型設置工程とを有し、
    前記合体工程において、前記部分砂型を組み込んだ前記本体に、前記加熱した分割型を合体させる、請求項1に記載の砂型鋳造方法。
  3. 前記分割型が湯道を含む、請求項1又は2に記載の砂型鋳造方法。
  4. 前記分割型が堰鉢と湯口棒を含む、請求項3に記載の砂型鋳造方法。
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