以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態としての行動識別システム1の構成を図1に示す。図1において、行動識別システム1は、1つ以上の端末11と、サーバ12とを備える。なお、図1には、4つの端末11および1つのサーバ12を示したが、本発明の行動識別システムが備える各装置の数を限定するものではない。
また、各端末11は、それぞれセンサに接続されている。各センサは、対象に関するデータを計測する装置である。ここで、対象とは、例えば人であってもよいし、その他、ペットやロボット等、行動の解析対象となる人や物を指す。また、センサとしては、例えば、加速度センサ、角速度センサ、心拍センサ等の各種センサを適用可能である。また、各端末11は、例えば、対象によって携帯されることにより、その対象に関連付けられる。また、各端末11に接続されるセンサは、端末11に内蔵されていてもよいし、端末1を携帯する対象に装着されていてもよい。以下、センサにより計測されたデータをセンサデータ(センサ情報)という。
また、サーバ12は、各端末11と、インターネット、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、公衆回線網、無線通信網、または、これらの組合せ等によって構成されるネットワークを介して通信可能に接続されている。
次に、行動識別システム1を構成する各装置のハードウェア構成を図2に示す。
図2において、端末11は、CPU(Central Processing Unit)1101と、RAM(Random Access Memory)1102と、ROM(Read Only Memory)1103と、フラッシュメモリ等の記憶装置1104と、ネットワークインタフェース1105と、センサ接続インタフェース1106とを備えたコンピュータ装置によって構成されている。
ROM1103および記憶装置1104には、コンピュータ装置を本実施の形態の端末11として機能させるためのコンピュータ・プログラムおよび各種データが記憶されている。
CPU1101は、ROM1103および記憶装置1104に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1102に読み込んで実行する。
ネットワークインタフェース1105は、ネットワークを介して他の装置との通信を行うモジュールである。例えば、ネットワークインタフェース1105は、アンテナを用いて無線通信を行う無線通信モジュールであってもよい。
センサ接続インタフェース1106は、センサに接続し、センサとの間で通信を行うモジュールである。センサ接続インタフェース1106としては、無線または有線の各種インタフェースを採用可能である。例えば、接続対象のセンサが対象に装着される場合、センサ接続インタフェース1106は、そのようなセンサが対応する各種の近距離無線通信モジュールであってもよい。また、例えば、接続対象のセンサが端末11を構成するコンピュータ装置に内蔵される場合、センサ接続インタフェース1106は、CPU1101に周辺機器を接続する各種バスインタフェースモジュールであってもよい。
また、図2において、サーバ12は、CPU1201と、RAM1202と、ROM1203と、ハードディスク等の記憶装置1204と、ネットワークインタフェース1205とを備えたコンピュータ装置によって構成されている。
ROM1203および記憶装置1204には、コンピュータ装置を本実施の形態のサーバ12として機能させるためのコンピュータ・プログラムおよび各種データが記憶されている。
CPU1201は、ROM1203および記憶装置1204に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1202に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行する。
ネットワークインタフェース1205は、ネットワークを介して他の装置との通信を行うモジュールである。
次に、行動識別システム1を構成する各装置の機能ブロック構成を図3に示す。
まず、端末11の機能ブロックについて説明する。図3において、端末11は、センサデータ取得部(センサ情報取得部)111と、行動識別部112と、次回実行時期設定部113とを備える。センサデータ取得部111は、センサ接続インタフェース1106と、ROM1103および記憶装置1104に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1102に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1101とによって構成される。行動識別部112および次回実行時期設定部113は、ネットワークインタフェース1105と、ROM1103および記憶装置1104に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1102に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1101とによって構成される。なお、端末11およびその各機能ブロックを構成するハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。また、端末11は、素子、デバイス、基板、配線などからなる専用のハードウエア装置であってもよい。
センサデータ取得部111は、前述のセンサから、対象について計測されたセンサデータを取得する。具体的には、センサデータ取得部111は、行動識別処理に必要な一定期間のセンサデータを、センサから取得する。そして、センサデータ取得部111は、センサデータを、RAM1102や記憶装置1104に一時的に記憶する。このようなセンサデータの取得処理を、センサデータ取得部111は、後述の次回実行時期設定部113によって設定される実行時期に基づいて、繰り返し実行する。
行動識別部112は、センサデータに基づいて、対象の行動を識別する。つまり、行動識別部112は、センサデータに基づき対象の行動を表す情報を特定すると共に、特定した情報を行動識別結果として出力する。ここで、対象の行動とは、対象の動作や状態を総称したものをいう。例えば、対象の行動とは、「停止」、「歩行」、「走行」、「階段昇降」、「電車」、「自動車」、「自転車」等であってもよい。ここで、「電車」、「自動車」、「自転車」とは、それぞれ該当する乗り物に乗車中であるという行動をさすものとする。また、行動識別部112によって識別される行動の種類は、あらかじめ定められている。
行動識別部112の処理の具体例について説明する。例えば、図4に示すように、加速度センサにより図4に示すセンタデータが計測されているとする。図4は、100ms(ミリ秒)間隔で逐次計測された加速度Gを表している。この場合、行動識別部112は、センサデータ取得部111を介して、このような加速度センサから、一定期間(時間窓(図4ではaにより示す)とよぶ)分のセンサデータを取得する。そして、行動識別部112は、時間窓のセンサデータに対して、分散、平均等の統計処理や、フーリエ変換による周波数解析等を施すことにより、行動を識別するための特徴量を求める。そして、行動識別部112は、行動識別情報と特徴量との関係を示した識別モデルを用いることにより、特徴量に関連付られた行動を出力する。また、行動識別部112は、このような識別モデルを、あらかじめ構築すると共に、それを記憶しておく。例えば、行動識別部112は、このような識別モデルを、ニューラルネットワーク、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、あるいは、決定木等のように、広く知られた手法を用いて構築可能である。なお、行動識別部112は、センサデータに基づいて対象の行動を識別する手法であれば、上述の手法に限らず、その他の手法を採用可能である。
また、行動識別部112は、上述のようにセンサデータに基づく行動識別結果を、サーバ12に送信する。行動識別結果には、対象を特定する情報と、行動を表す情報とが少なくとも含まれる。対象を特定する情報は、端末11を識別する端末ID(IDentifier)であってもよい。
次回実行時期設定部113は、サーバ12から、次回実行時期を受信する。ここで、次回実行時期とは、行動を識別するための各種処理を次回に実行する時期を表す。また、行動を識別するための各種処理とは、センサデータ取得部111による処理および行動識別部112による処理の少なくともいずれかをさす。また、次回とは、センサデータ取得部111および行動識別部112の少なくともいずれが、行動を識別するための各種処理を実行した後に、新たに当該各種処理を実行する回(turn)である。
また、次回実行時期設定部113は、サーバ12から受信した次回実行時期に基づいて、センサデータ取得部111および行動識別部112の少なくともいずれかの次回の処理の実行時期を設定する。本実施の形態では、行動識別部112が、センサデータ取得部111による処理に続いて処理を行うよう構成される例について説明している。したがって、次回実行時期設定部113は、センサデータ取得部111による次回の処理の実行時期を設定することにより、センサデータ取得部111および行動識別部112の双方の次回の処理の実行時期を設定していることになる。
次に、サーバ12の機能ブロックについて説明する。図3において、サーバ12は、情報収集部121と、情報蓄積部122と、次回実行時期決定部123とを備える。ここで、情報収集部121および次回実行時期決定部123は、ネットワークインタフェース1205と、ROM1203および記憶装置1204に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1202に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1201とによって構成される。また、情報蓄積部122は、記憶装置1204によって構成される。なお、サーバ12およびその各機能ブロックを構成するハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。また、サーバ12は、素子、デバイス、基板、配線などからなる専用のハードウエア装置であってもよい。
情報収集部121は、1つ以上の端末11から送信される行動識別結果を含む情報を収集する。
情報蓄積部122は、情報収集部121によって収集された行動識別結果を含む情報を蓄積する。ここで、行動識別結果を含む情報には、前述のように、対象を特定する情報が含まれている。対象を特定する情報が端末11の端末IDである場合、情報蓄積部122は、端末IDごとに、その端末IDの示す端末11に関連する対象の行動を示す行動識別結果を蓄積していることになる。なお、端末11に関連する対象とは、前述のように、その端末11を携帯する対象であってよい。
次回実行時期決定部123は、情報蓄積部122に蓄積された行動識別結果を含む情報に基づいて、端末11の少なくとも1つに関連する対象について、行動を識別する処理を次回に実行する次回実行時期を決定する。例えば、次回実行時期決定部123は、行動を表す情報にあらかじめ関連付けておいた実行間隔を用いて、次回実行時期を決定してもよい。この場合、次回実行時期決定部123は、情報蓄積部122に蓄積された各行動識別結果が示す行動にそれぞれ関連付けられた実行間隔の平均値を算出すると共に、算出した平均値を現在時刻に加算した時刻を、次回実行時期として算出してもよい。なお、この場合、次回実行時期を算出する際に用いる現在時刻とは、この処理が実行される時点の時刻であってもよいし、情報収集部121によって該当する端末11から行動識別結果を含む情報が受信された時刻であってもよい。あるいは、次回実行時期決定部123は、このような現在時刻として、端末11において対象の行動を識別する処理が前回実行された時期を適用して、次回実行時期を算出してもよい。なお、端末11において対象の行動を識別する処理が前回実行された時期とは、次回実行時期決定部123によってその端末11に関して前回決定された次回実行時期であってもよい。
また、例えば、次回実行時期決定部123は、次回実行時期を決定する対象の端末11と同一のグループに属する端末11について蓄積された行動識別結果を用いて、次回実行時期を決定してもよい。この場合、各端末11は、あらかじめグループに分類されているとする。具体的には、次回実行時期決定部123は、同一グループの端末11に関する行動識別結果の示す行動にそれぞれ関連付けられた実行間隔の平均値を用いてもよい。
また、次回実行時期決定部123は、算出した次回実行時期を、該当する端末11に送信する。
以上のように構成された行動識別システム1の動作(処理)について、図5を参照して説明する。なお、図5において、左図は端末11の動作を示し、右図はサーバ12の動作を示し、左右を結ぶ破線の矢印は、データの流れを表す。
まず、端末11において、センサデータ取得部111は、所定期間のセンサデータをセンサから取得すると共に、それを一時記憶する(ステップS1)。
次に、行動識別部112は、ステップS1で取得されたセンサデータを用いて、対象の行動を識別する(ステップS2)。例えば、前述のように、行動識別部112は、所定期間のセンサデータに対して特徴量を求めると共に、あらかじめ構築しておいた識別モデルを用いて、センサデータに基づく行動識別結果を含む情報を出力してもよい。
次に、行動識別部112は、ステップS2で特定した行動識別結果を含む情報を、サーバ12に送信する(ステップS3)。
次に、サーバ12の情報収集部121は、行動識別結果を含む情報を受信すると共に、それを情報蓄積部122に蓄積する(ステップS4)。
次に、次回実行時期決定部123は、情報蓄積部122に蓄積された1つ以上の端末11に関する行動識別結果を含む情報を参照することにより、ステップS4で受信した情報の送信元の端末11における次回実行時期を決定する(ステップS5)。例えば、前述のように、次回実行時期決定部123は、情報蓄積部122に蓄積された情報と、行動を表す情報に関連付けてあらかじめ記憶した実行間隔とを用いて、次回実行時期を決定してもよい。
次に、次回実行時期決定部123は、ステップS5で決定された次回実行時期を、ステップS4で受信した情報の送信元の端末11に対して送信する(ステップS6)。
次に、端末11の次回実行時期設定部113は、次回実行時期を受信すると共に、受信した次回実行時期に基づいて、センサデータ取得部111および行動識別部112の次回の処理の実行時期を設定する(ステップS7)。
これにより、ステップS7で設定された次回実行時期に、センサデータ取得部111は、次のステップS1を実行する。続いて、行動識別部112は、次のステップS2を実行する。このようにして、行動識別システム1は、ステップS1〜S7の動作(処理)を繰り返す。以上で、行動識別システム1の動作の説明を終了する。
なお、本実施の形態において、端末11の次回実行時期設定部113は、行動を識別するための処理として、センサデータ取得部111による処理および行動識別部112による処理の双方について、次回実行時期を設定するものとして説明した。この他、本実施の形態の他の態様として、次回実行時期設定部113は、行動を識別するための処理として、行動識別部112による処理の次回実行時期を設定し、センサデータ取得部111による処理の次回実行時期を設定しなくてもよい。この場合、センサデータ取得部111は、あらかじめ設定されたタイミングでセンサデータを取得すると共に、それをRAM1102または記憶装置1104に蓄積しておく。そして、行動識別部112は、設定された次回実行時期において、RAM1102または記憶装置1104に蓄積されたセンサデータを用いて、処理を実行すればよい。
また、本実施の形態において、サーバ12の次回実行時期決定部123は、次回実行時期として、次回実行時期を表す時刻を算出する例について説明した。この他、本実施の形態の他の態様として、次回実行時期決定部123は、次回実行時期として、前回の処理からの実行間隔を決定してもよい。この場合、端末11の次回実行時期設定部113は、サーバ12から受信される次回実行時期の示す実行間隔に基づいて、センサデータ取得部111または行動識別部112の次回実行時期を設定してもよい。例えば、次回実行時期設定部113は、センサデータ取得部111または行動識別部112によって前回の処理が実行された時刻に対して、受信された次回実行時期の示す実行間隔を加算した時刻に、次回のこれらの処理の実行時期を設定してもよい。
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について述べる。
本発明の第1の実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動を識別する処理に要する端末の消費電力を抑えながら、対象の行動を精度良く識別することができる。
その理由は、センサデータ取得部が、対象に関するセンサデータを取得し、行動識別部が、センサデータに基づき対象の行動を識別し、情報収集部が、1つ以上の対象の行動識別結果を含む情報を収集して蓄積し、次回実行時期決定部が、ある端末において次回に行動を識別する処理を実行する次回実行時期を、当該端末や他の端末について収集した行動識別結果を含む情報に基づいて決定するからである。そして、次回実行時期設定部が、決定された次回実行時期に基づいて、次回のセンサデータ取得処理や行動識別処理の実行時期を設定するからである。
このように、本実施の形態としての行動識別システムは、ある対象が、該対象について識別された行動の次にとりうる行動の傾向を、当該対象や他の対象についての行動識別結果を含む情報を参照することにより、精度良く捉えることが可能となる。そして、本実施の形態としての行動識別システムは、そのような対象の行動の傾向に適した次回実行時期を決定できることになる。その結果、本実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動の傾向に応じて行動識別処理の実行に適した次回実行時期に、センサデータ取得処理や行動識別処理を実行することができる。したがって、本実施の形態としての行動識別システムは、対象について精度良い行動識別結果を得ることができる。しかも、本実施の形態としての行動識別システムにおける端末は、対象の行動の傾向に応じた時期にセンサデータの取得処理や行動識別処理を実行することにより、各処理の実行回数を削減することができるので、各処理において消費される電力を削減することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態の説明において参照する各図面において、本発明の第1の実施の形態と同一の構成および同様に動作するステップには同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
まず、本発明の第2の実施の形態としての行動識別システム2の機能ブロック構成を図6に示す。図6において、行動識別システム2は、端末21およびサーバ22を備える。ここで、サーバ22は、本発明の第1の実施の形態としてのサーバ12と同様に、1つ以上の端末21に、ネットワークを介して通信可能に接続される。
なお、端末21は、図2を参照して説明した本発明の第1の実施の形態としての端末11を構成するハードウェア構成に加えて、液晶ディスプレイ等の表示装置と、GPS(Global Positioning System)受信機等とを備えたコンピュータ装置によって構成される。また、サーバ22は、図2を参照して説明した本発明の第1の実施の形態としてのサーバ12と同様なハードウェア構成を備えるコンピュータ装置によって構成される。
まず、端末21の機能ブロックについて説明する。端末21は、本発明の第1の実施の形態としての端末11に対して、行動識別部112に替えて行動識別部212を備え、さらに、状況情報取得部214と、識別結果提示部215とを備える点が異なる。ここで、状況情報取得部214は、GPS受信機と、ROM1103および記憶装置1104に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1102に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1101とによって構成される。また、識別結果提示部215は、表示装置と、ROM1103および記憶装置1104に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1102に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1101とによって構成される。なお、端末21およびその各機能ブロックを構成するハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
状況情報取得部214は、対象の状況を表す状況情報を取得する。ここで、対象の状況とは、対象の置かれている環境や、対象のプロファイル等を指す。例えば、状況情報とは、現在位置を表す情報、「○○スーパー」等といった現在位置にある場所の情報、「△時◇分 □へ外出」等といったスケジュール情報、日常の通勤経路を表す情報、会社や学校等の所属情報、電子マネーの残高情報等であってもよい。例えば、状況情報取得部214は、GPS受信機を用いて、現在位置情報を取得してもよい。また、状況情報取得部214は、記憶装置1104に記憶された地図情報を用いて、現在の位置情報に基づく場所の情報を取得してもよい。その他、状況情報取得部214は、対象のスケジュール情報、所属情報、メール、SNS(Social Networking Service)に関連する情報、電子マネー残高情報等といった状況情報を、記憶装置1104に記憶された情報を解析することにより抽出してもよい。
例えば、状況情報取得部214によって取得される状況情報の一例を図7に示す。図7の例では、状況情報として、現在時刻、現在位置、現在位置に基づき検索された場所、および、現在時刻および対象のスケジュール情報から解析された仕事内容をそれぞれ表す情報が取得されている。
識別結果提示部215は、後述の行動識別部212による行動識別結果を表示装置に提示する。例えば、識別結果提示部215によって提示される情報の一例を、図8に示す。図8において、識別結果提示部215は、行動識別部212による最新の行動識別結果に加えて、現在時刻、および、サーバ22から通知される次回実行時期を提示している。この他、例えば、識別結果提示部215は、過去一定期間における行動識別結果およびその実行時刻の履歴などを、文字やグラフ等を用いて提示してもよい。
行動識別部212は、本発明の第1の実施の形態における行動識別部112と同様に構成されることに加えて、センサデータに基づき識別する行動に対する尤度を算出する。例えば、行動識別部212は、ニューラルネットワークやベイジアンネットワークを用いた識別モデルをあらかじめ構築しておく。そして、行動識別部212は、センサデータに基づいて、単に行動を識別するだけでなく、対象が実際にその行動をとっている尤もらしさである尤度を、行動識別結果に含めて出力可能である。例えば、行動識別部212は、特開2011−156132号公報に記載された技術によって構成可能である。この場合、行動識別部212は、行動ごとに識別モデルを用意しておく。そして、行動識別部212は、各識別モデルを用いて、行動毎に尤度を算出する。そして、行動識別部212は、最も高い尤度をもつ行動を選択して、その行動を表す情報および尤度を含む行動識別結果を出力してもよい。あるいは、行動識別部212は、複数の行動に対してそれぞれその尤度を算出し、各行動を表す情報およびその尤度を含む行動識別結果を出力してもよい。例えば、行動識別部212は、あらかじめ用意されたすべての行動に対してそれぞれ尤度を算出してもよいし、一部の行動に対してそれぞれ尤度を算出してもよい。例えば、行動識別部212は、尤度の大きい順に指定された個数分の行動に対してその尤度を算出してもよい。
例えば、行動識別部212によって算出される尤度の一例を、図9に示す。図9の例は、ある期間のセンサデータに基づいて、「停止」に対して尤度0.1が算出され、「歩行」に対して尤度0.8が算出されたことを示している。
また、行動識別部212は、このような尤度を含む行動識別結果と、状況情報取得部214によって取得された状況情報とを、サーバ22に送信する。
次に、サーバ22の機能ブロックについて説明する。図6において、サーバ22は、本発明の第1の実施の形態としてのサーバ22に対して、情報収集部121に替えて情報収集部221と、情報蓄積部122に替えて情報蓄積部222と、次回実行時期決定部123に替えて次回実行時期決定部223とを備える。さらに、サーバ22は、類似対象検索部224と、実行間隔ルール記憶部225とを備える点が異なる。ここで、類似対象検索部224は、次回実行時期決定部223とともに、第1の実施形態の次回実行時期決定部の一実施形態を構成する。また、類似対象検索部224は、ROM1203および記憶装置1204に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1202に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1201によって構成される。また、実行間隔ルール記憶部225は、記憶装置1204によって構成される。なお、サーバ22およびその各機能ブロックを構成するハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
情報収集部221は、1つ以上の端末21から、尤度を含む行動識別結果および状況情報を収集すると共に、それらを情報蓄積部222に蓄積する。
情報蓄積部222は、情報収集部221によって収集された情報を記憶する。例えば、情報蓄積部222に記憶される情報の一例を、図10に示す。図10の例では、情報蓄積部222は、対象を特定する情報として、各端末21の識別子である端末IDに関連付けて、識別された行動、その尤度、および、状況情報を記憶している。図10では、端末IDがそれぞれA、B、C、Dの端末21について、それぞれ情報が記憶されている。以降、端末IDがA、B、C、Dの端末21を、端末21A、21B、21C、21Dとも記載する。また、この例では、情報蓄積部222は、端末21から受信する状況情報として、位置情報(緯度および経度)と、その場所の名称とを記憶している。
類似対象検索部224は、情報蓄積部222に記憶される状況情報を用いて、ある対象について、状況情報が類似する他の対象である類似対象を検索する。なお、本実施の形態では、情報蓄積部222に記憶される情報は、端末IDに関連付けられている。そこで、以下では、該当する対象の類似対象を検索することを、該当する端末21の類似端末を検索する、ともいう。例えば、類似対象検索部224は、該当する端末21との距離が閾値以下(距離が近い)であること、場所の名称が同一であること、スケジュールの内容が同一であること、または、所属が同一であること等の各種類似条件を用いて、類似端末を検索してもよい。また、類似対象検索部224は、複数の類似条件を組み合わせることにより、類似端末を検索してもよい。
例えば、情報蓄積部222に図10に示す情報が蓄積されている場合、類似対象検索部224は、端末Aの類似端末として、端末21Aとの距離が閾値100メートル以下であり、かつ、場所に関する情報が同一の端末21Bおよび21Cを特定してもよい。なお、閾値としては、100メートルに限らず、その他の値も適用可能である。
実行間隔ルール記憶部225は、行動を表す情報と、その行動を識別するための処理の実行間隔とを関連づけた実行間隔ルールを記憶している。例えば、実行間隔ルール記憶部225は、その行動を識別するために好適なセンサデータ取得処理間隔や行動識別処理間隔を記憶してもよい。このような好適な実行間隔は、例えば、その行動が一般的に継続する時間等に基づいてあらかじめ設定可能である。
例えば、実行間隔ルール記憶部225に記憶される実行間隔ルールの一例を、図11に示す。図11の例では、「停止」に対して、実行間隔20秒が定められている。
次回実行時期決定部223は、ある端末21およびその類似端末の行動識別結果を含む情報に基づいて、実行間隔ルールを適用することにより当該端末21に関する次回実行時期を算出する。
例えば、情報蓄積部222に図10に示した情報が蓄積されている場合について説明する。この場合、端末21A、21B、21Cに関する最新の行動識別結果はそれぞれ「歩行」、「停止」、「歩行」である。また、図11に示した実行間隔ルールより、これらの行動を表す情報に対して定められた実行間隔は、それぞれ10秒、20秒、10秒である。そこで、次回実行時期決定部223は、現在時刻に、これらの実行間隔の平均値を加えた時刻を次回実行時期としてもよい。例えば、現在時刻が1時0分0秒である場合、次回実行時期決定部223は、上述の実行間隔の平均値である約13.3秒を加えた1時0分13.3秒を次回実行時期として算出してもよい。
他の例として、次回実行時期決定部223は、ある端末21およびその類似端末に関する各行動識別結果の示す行動に関連付けられた実行間隔の最小値を、現在時刻に加えた時刻を次回実行時期としてもよい。上述の例の場合、端末21A、21B、21Cについての最新の行動識別結果「歩行」、「停止」、「歩行」にそれぞれ関連付けられた実行間隔の最小値は10秒である。そこで、次回実行時期決定部223は、最小値の10秒を、現在時刻1時0分0秒に加えた1時0分10秒を次回実行時期として算出してもよい。
さらに他の例として、次回実行時期決定部223は、ある端末21およびその類似端末に関する各行動識別結果に含まれる尤度をさらに用いて、次回実行時期を算出してもよい。例えば、次回実行時期決定部223は、各行動識別結果の示す行動に関連付けられた実行間隔に、当該行動識別結果に含まれる尤度を重みとした加重平均を用いて、次回実行時期を算出可能である(詳細は後述する)。
以上のように構成された行動識別システム2の動作(処理)について、図12を参照して説明する。なお、図12において、左図は端末21の動作を示し、右図はサーバ22の動作を示し、左右を結ぶ破線の矢印は、データの流れを表す。
まず、端末21において、センサデータ取得部111は、所定期間のセンサデータをセンサから取得し、一時記憶する(ステップS21)。
次に、行動識別部212は、ステップS21で取得されたセンサデータを用いて、対象について各行動の尤度を算出する(ステップS22)。例えば、前述のように、行動識別部212は、所定期間のセンサデータに対して特徴量を求め、あらかじめ構築しておいた各行動の識別モデルを用いて、各行動の尤度を算出してもよい。
次に、状況情報取得部214は、この端末21に関連する対象の状況情報を取得する(ステップS23)。例えば、前述のように、状況情報取得部214は、GPS受信機、地図情報、スケジュール情報、メール情報、SNS、電子マネー情報、その他、記憶装置1104に記憶された情報を用いて、状況情報を取得すればよい。
次に、行動識別部212は、ステップS22で算出した尤度を含む行動識別結果と、ステップS23で取得された状況情報とを、サーバ22に送信する(ステップS24)。
次に、サーバ22において、情報収集部221は、端末21から受信される行動識別結果と、状況情報とを、端末21の端末IDに関連付けて、情報蓄積部222に蓄積する(ステップS25)。
次に、類似対象検索部224は、情報蓄積部222に蓄積された情報を用いて、ステップS25で受信した情報の送信元である端末21について、類似端末を検索する(ステップS26)。
次に、次回実行時期決定部223は、ステップS25で受信した情報の送信元である端末21およびステップS26で検索された類似端末に関して、情報蓄積部222に蓄積された行動識別結果の示す行動およびその尤度を用いて、送信元の端末21における次回実行時期を算出する(ステップS27)。
次に、次回実行時期決定部223は、ステップS27で算出した次回実行時期を、送信元の端末21に対して送信する(ステップS28)。
次に、端末21において、次回実行時期設定部113は、受信した次回実行時期に基づいて、センサデータ取得部111および行動識別部212の次回の処理時期を設定する(ステップS29)。
次に、識別結果提示部215は、ステップS22における行動識別結果や、ステップS29で設定された次回実行時期等を表示装置に提示する(ステップS30)。
そして、ステップS29で設定された次回実行時期に、センサデータ取得部111は次のステップS21を実行し、続いて、行動識別部212は次のステップS22を実行する。このようにして、行動識別システム2は、ステップS21〜S30の動作(処理)を繰り返す。以上で、行動識別システム2の動作の説明を終了する。
次に、行動識別システム2の動作について、具体例を用いて詳細に説明する。以下に説明する具体例では、行動識別システム2は、本実施の形態の端末21として4台の端末21A、21B、21C、21Dと、1台のサーバ22とを備える。また、各端末21は、加速度センサおよびGPS受信機を含む。また、各端末21は、位置情報に基づき場所に関する情報を検索可能な地図情報を記憶している。また、行動識別部212は、あらかじめ設定された種類の行動ごとに識別モデルをあらかじめ記憶している。また、あらかじめ設定された種類の行動は、「停止」、「歩行」、「走行」、「階段昇降」、「電車」、「自動車」、「自転車」である。また、行動識別部212は、これらの各行動に対してそれぞれその尤度を算出する。また、サーバ22の実行間隔ルール記憶部225は、図11に一例を示した実行間隔ルールを記憶している。また、以下では、端末21Aの動作を中心に説明するが、端末21B、21C、および21Dについても並行して同様に動作する。また、以下の動作の開始時点の時刻は、「1時0分0秒」である。
まず、端末21Aのセンサデータ取得部111は、時刻「1時0分0秒」以後の所定期間のセンサデータを取得する(ステップS21)。ここでは、センサデータ取得部111は、10ms間隔でサンプリングされている加速度データを取得したものとする。
次に、端末21Aの行動識別部212は、ステップS21で取得された加速度データに対して特徴量を算出し、各行動に対して用意された識別モデルを用いて、各行動に対する尤度を算出する(ステップS22)。ここでは、行動識別部212は、図9に一例を示した行動識別結果を算出したものとする。例えば、「停止」の尤度として0.1が算出され、「歩行」の尤度として0.8が算出されている。
次に、端末21Aの状況情報取得部214は、端末21Aに関連する対象の状況情報を取得する(ステップS23)。ここでは、状況情報取得部214は、図7に一例を示した位置情報(経度、緯度)および場所の名称を取得したものとする。
次に、端末21Aの行動識別部212は、ステップS22で算出された尤度を含む行動識別結果(図9)と、ステップS23で取得された状況情報(図7)とを、サーバ22に送信する(ステップS24)。
次に、サーバ22において、情報収集部221は、端末21Aから受信した行動識別結果のうち、最も尤度の高い行動およびその尤度「歩行(0.8)」と、状況情報とを、情報蓄積部222に蓄積する(ステップS25)。ここでは、サーバ22は、同様に動作する端末21B、端末21C、21Dからも情報を受信することにより、情報蓄積部222には、図10に一例を示した情報が記憶されたものとする。
次に、類似対象検索部224は、情報蓄積部222を参照することにより、端末21Aに状況情報が類似する類似端末を検索する(ステップS26)。ここでは、類似対象検索部224は、端末21Aと場所の名称が同一の端末21を類似端末として、端末21Bおよび21Cを検索したものとする。
次に、次回実行時期決定部223は、端末21A、21B、21Cについて情報蓄積部222に蓄積された行動識別結果の示す行動およびその尤度(図10)と、実行間隔ルール(図11)とを用いて、端末21Aにおける次回実行時期を算出する(ステップS27)。ここでは、前述のように、各行動識別結果の示す行動に対応する実行間隔に、各行動識別結果の尤度を重みとした加重平均を用いて、次回実行時期を求める。
具体的には、図10において、端末21A、21B、21Cの行動識別結果の示す行動およびその尤度は、「歩行(尤度0.8)」、「停止(尤度0.3)」、「歩行(尤度0.6)」である。また、図11において、これらの行動識別結果の示す行動に対して定められた実行間隔は、10秒、20秒、10秒である。そこで、次回実行時期決定部223は、上述の加重平均により、次回実行時期までの間隔として、(0.8×10+0.3×20+0.6×10)/(0.8+0.3+0.6)=約11.8秒を算出する。そして、次回実行時期決定部223は、この11.8秒を、現在時刻1時0分0秒に加えた1時0分11.8秒を次回実行時期とする。
次に、次回実行時期決定部223は、「1時0分11.8秒」を表す情報を、端末21Aに送信する(ステップS28)。
次に、端末21Aにおいて、次回実行時期設定部113は、センサデータ取得部111および行動識別部212の次回の処理の実行時刻として「1時0分11.8秒」を設定する(ステップS29)。
次に、識別結果提示部215は、最新の行動識別結果「歩行」と、その識別処理の実行時刻「1時0分0秒」と、次回実行時期「1時0分11.8秒」とをそれぞれ表す情報を、表示装置に提示する(ステップS30)。
そして、端末21Aでは、次のステップS21を「1時0分11.8秒」に開始する。すなわち、次のステップS21では、センサデータ取得部111は、「1時0分11.8秒」以後の所定期間のセンサデータを取得する。続いて、行動識別部212は、取得されたセンサデータを用いて行動識別処理を実行する。以降、端末21Aおよびサーバ22は、同様に動作を繰り返す。また、端末21B、21C、21Dも、端末21Aと同様に動作することによってそれぞれ設定された次回実行時期に動作を繰り返す。
以上で、行動識別システム2の動作の具体例の説明を終了する。
なお、本実施の形態において、端末21の状況情報取得部214が、端末21の記憶装置1104に記憶された情報から状況情報を取得する例について説明した。この他、状況情報取得部214は、対象の状況情報を提供する各種サービスに接続することにより状況情報を取得してもよい。あるいは、端末21の状況情報取得部214は、そのような状況情報を提供する各サービスにおいて対象を識別する対象ID等を記憶装置1104から取得してもよい。この場合、サーバ22の情報収集部221が、対象IDを用いて各サービスに接続することにより状況情報を取得してもよい。
また、本実施の形態において、端末21の状況情報取得部214が、状況情報として現在位置情報を、GPS受信機を用いて取得する例を中心に説明したが、端末21は、必ずしもGPS受信機を備えていなくてもよい。例えば、状況情報取得部214は、Wi−Fi(wireless fidelity)、3G(3rd Generation)、NFC(Near Field Communication)等の技術を利用して、現在位置情報を取得してもよい。Wi−Fを用いる場合、状況情報取得部214は、受信可能なWi−Fi信号のアクセスポイントと、アクセスポイントの位置を登録したデータベースとを比較することにより、現在位置情報を取得してもよい。また、3Gを用いる場合、状況情報取得部214は、3Gの基地局から受信する電波強度に基づいて、現在位置情報を取得してもよい。また、NFCを用いる場合、状況情報取得部214は、店舗などに設置されたNFC対応装置と通信することにより、その店舗等の位置情報を取得してもよい。また、状況情報取得部214は、上述したこれらの技術の組み合わせにより、状況情報として現在位置情報を取得してもよい。その他、状況情報取得部214は、現在位置情報を取得する他の公知の手法を採用可能である。なお、状況情報取得部214は、必ずしも現在位置を状況情報として取得しなくてもよく、その他の状況情報を取得すればよい。
また、本実施の形態において、サーバ22の類似対象検索部224が、状況情報が類似する類似端末として、状況情報に基づく類似条件を満たす端末21を検索する例について説明した。この他、類似対象検索部224は、状況情報に加えて行動識別結果も考慮した類似条件を用いて、類似端末を検索してもよい。例えば、類似対象検索部224は、状況情報が類似し、かつ、最新の行動識別結果が同一である端末21を、類似端末として選択してもよい。さらには、その際に、類似対象検索部224は、最新の行動識別結果の尤度が近い(尤度の差が閾値以内である)ような端末21を、類似端末として検索してもよい。
また、本実施の形態において、サーバ22の実行間隔ルール記憶部225が、行動を表す情報に対して実行間隔を関連付けた実行間隔ルールを記憶する例について説明した。この他、実行間隔ルール記憶部225は、行動を表す情報および状況情報の組み合わせに、実行間隔を関連付けた実行間隔ルールを記憶してもよい。この場合、実行間隔ルール記憶部225に記憶される実行間隔ルールの一例を、図13に示す。図13の例では、実行間隔は、行動を表す情報と、状況情報である場所の情報との組み合わせに関連付けられている。例えば、図13では、「停止」という行動および「駅」という場所の組み合わせに対して、実行間隔10秒が関連付けられている。この場合、次回実行時期決定部223は、当該端末21およびその類似端末についてそれぞれ情報蓄積部222に蓄積された行動識別結果の示す行動および状況情報の組み合わせに対して、このような実行間隔ルールを適用すればよい。
次に、本発明の第2の実施の形態の効果について述べる。
本発明の第2の実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動を識別するための処理に要する端末の消費電力を抑えながら、対象の行動をさらに精度良く識別することができる。
その理由は、以下に示す構成要素および各構成要素の動作による。すなわち、センサデータ取得部は、対象に関するセンサデータを取得し、状況情報取得部は、対象の状況を表す状況情報を取得し、行動識別部は、センサデータに基づき対象の行動を識別し、情報収集部は、1つ以上の対象の行動識別結果および状況情報を収集する。そして、次回実行時期決定部は、ある端末において次回に行動を識別するための処理を実行する次回実行時期を、当該端末および当該端末に状況情報が類似する他の端末について収集した行動識別情報に基づいて決定する。そして、次回実行時期設定部は、決定された次回実行時期に基づいて、次回のセンサデータ取得処理や行動識別処理等の次回の処理の実行時期を設定するからである。
これにより、本実施の形態としての行動識別システムは、対象が、該対象について識別された行動の次にとりうる行動の傾向を、当該対象および当該対象に状況が類似する他の対象について識別された行動に基づき、さらに精度良く捉えることが可能となる。そして、本実施の形態としての行動識別システムは、そのようにさらに精度良く捉えた対象の行動の傾向に基づいて、さらに適切な次回実行時期を決定できることになるからである。その結果、本実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動の傾向に応じてさらに適した次回実行時期に、センサデータ取得処理や行動識別処理を実行することができる。したがって、本実施の形態としての行動識別システムは、対象についてさらに精度良い行動識別結果を得ることができる。しかも、本実施の形態としての行動識別システムにおける端末は、対象の行動の傾向に応じた時期にセンサデータの取得処理や行動識別処理を実行することにより、各処理の実行回数を削減することができるので、各処理において消費される電力を削減することができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態の説明において参照する各図面において、本発明の第1および第2の実施の形態と同一の構成および同様に動作するステップには同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
まず、本発明の第3の実施の形態としての行動識別システム3の機能ブロック構成を図14に示す。図14において、行動識別システム3は、本発明の第2の実施の形態としての行動識別システム2に対して、サーバ22に替えてサーバ32を備える点が異なる。ここで、サーバ32は、本発明の第2の実施の形態としてのサーバ22と同様に、1つ以上の端末21に、ネットワークを介して通信可能に接続される。
なお、サーバ32は、図2を参照して説明した本発明の第1の実施の形態としての端末11と同様なハードウェア構成を備えるコンピュータ装置によって構成される。
サーバ32の機能ブロックについて説明する。サーバ32は、本発明の第2の実施の形態としてのサーバ22に対して、情報収集部221に替えて情報収集部321と、情報蓄積部222に替えて情報蓄積部322と、次回実行時期決定部223に替えて次回実行時期決定部323と、類似対象検索部224に替えて行動遷移解析部324とを備える点が異なる。ここで、行動遷移解析部324は、次回実行時期決定部323とともに、本発明の次回実行時期決定部の一実施形態を構成する。また、行動遷移解析部324は、ROM1203および記憶装置1204に記憶されたコンピュータ・プログラムおよび各種データをRAM1202に読み込むと共に、当該コンピュータ・プログラムを実行するCPU1201によって構成される。なお、サーバ32およびその各機能ブロックを構成するハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
情報収集部321は、1つ以上の端末21からそれぞれ受信する行動識別結果を含む情報の遷移履歴を、情報蓄積部322に蓄積する。具体的には、情報収集部321は、1つ以上の端末21からそれぞれ行動識別結果および状況情報を受信する。そして、情報収集部321は、行動識別結果および状況情報の組み合わせの遷移履歴を、情報蓄積部322に蓄積する。
例えば、情報蓄積部322に蓄積される情報の一例を、図15に示す。図15において、各行は、各端末21から逐次受信された行動識別結果および状況情報の組み合わせの時系列データである。この例では、各行動識別結果には、その行動識別結果が得られた時刻が含まれている。以下、このような時系列データを、行動履歴情報とも記載する。
行動遷移解析部324は、情報蓄積部322に蓄積される各端末21の行動履歴情報から行動遷移パターンを解析する。例えば、行動遷移解析部324は、ある端末21およびその端末21に対して状況情報が類似する端末21の行動遷移パターンを解析してもよい。ここで、行動遷移パターンとは、ある対象において、ある行動の次にとった行動を表す情報であってもよい。この場合、行動遷移パターンは、2つの行動を表す情報の順列で表される。例えば、情報蓄積部322に図15に示す行動履歴情報が記憶されていることを想定する。この場合、行動遷移解析部324は、端末21Aの最新の状況情報に含まれる場所の情報「Aホール」と同一の場所における各端末21の行動遷移パターンの回数を解析してもよい。具体的には、この場合、行動遷移解析部324は、「Aホール」における行動遷移パターンとして、「歩行→歩行」が1回(端末21C)、「歩行→停止」が2回(端末21A、21B)、「停止→歩行」が3回(端末21A、21B、21C)という情報を解析してもよい。
次回実行時期決定部323は、行動遷移解析部324によって解析された行動遷移パターンと、実行間隔ルール記憶部225に記憶される実行間隔ルールとを用いて、該当する端末21における次回実行時期を算出する。具体的には、例えば、次回実行時期決定部323は、行動遷移解析部324によって解析された行動パターンに基づいて、該当する端末21に関連する対象の次の行動を予測する。そして、次回実行時期決定部323は、次に予測される行動に対して定められた実行間隔ルールを適用することにより、次回実行時期を求めればよい。
例えば、前述の例を用いると、次回実行時期決定部323は、行動遷移パターンにおいて「歩行→歩行」の回数より「歩行→停止」の回数が多いと判断する。そこで、次回実行時期決定部323は、端末21Aに関する最新の行動識別結果が示す行動「歩行」の次には「停止」が起こりやすいと判断する。そして、次回実行時期決定部323は、図11に例を示した「停止」に関する実行間隔ルールを適用することにより、実行間隔「20秒」を用いて次回実行時期を算出する。
あるいは、次回実行時期決定部323は、行動遷移パターンに基づく行動遷移確率を用いて、実行間隔を計算してもよい(詳細は後述する)。次回実行時期決定部323は、このようにして求めた実行間隔を現在時刻に加算して、次回実行時刻を算出してもよい。その他、次回実行時期決定部323は、行動遷移確率を、ベイジアンネットワークやマルコフモデルなどの他の確率モデルを利用して求めることにより、同様に次回実行時期を計算してもよい。
以上のように構成される行動識別システム3の動作について、図16を参照して説明する。図16において、行動識別システム3は、図12を参照して説明した本発明の第2の実施の形態としての行動識別システム2の動作に対して、ステップS25〜S27の動作の代わりに、ステップS35〜S37を実行する点が異なる。
まず、端末21は、ステップS21〜S24まで本発明の第2の実施の形態と同様に動作することにより、対象の行動識別結果と、状況情報とをサーバ32に送信する。
次に、ステップS35において、サーバ32の情報収集部321は、端末21から受信される行動識別結果と状況情報との組み合わせを、情報蓄積部322に蓄積された該当する端末21の行動履歴情報に追加する(ステップS35)。
次に、行動遷移解析部324は、情報蓄積部322に蓄積された行動履歴情報から、ステップS35で受信された状況情報の示す状況における行動遷移パターンを解析する(ステップS36)。
次に、次回実行時期決定部323は、ステップS36で解析された行動遷移パターンに基づいて、ステップS35での情報の送信元の端末21における次回実行時期を算出する(ステップS37)。具体的には、前述のように、次回実行時期決定部323は、行動遷移パターンに基づいて、送信元の端末21に関連する対象が次にとりうる行動を予測し、予測した行動に対する実行間隔ルールを適用して、次回実行時期を算出すればよい。
以降、サーバ32および端末21は、ステップS28〜S30まで本発明の第2の実施の形態と同様に動作することにより、ステップS37で算出された次回実行時期に基づいて、端末21におけるセンサデータ取得部111および行動識別部212の次回の処理の実行時期を設定する。そして、端末21は、設定された次回実行時期に、ステップS21からの処理を開始し、行動識別システム3は以上の動作を繰り返す。以上で、行動識別システム3の動作の説明を終了する。
次に、行動識別システム3の動作について、具体例を用いて詳細に説明する。以下に説明する具体例では、本発明の第2の実施の形態の具体例と同様に構成される4台の端末21A、21B、21C、21Dを用いるものとする。また、以下の具体例において、端末21Aの動作を中心に説明するが、端末21B、21C、および21Dについても並行して同様に動作するものとする。また、以下の動作の開始時点の時刻は「1時0分0秒」であるものとする。
まず、端末21Aは、ステップS21〜S24まで動作することにより、対象の行動識別結果「歩行」と状況情報「Aホール」とをサーバ32に送信する。
次に、サーバ32の情報収集部321は、受信した行動識別結果と状況情報とを、端末21Aの行動履歴情報に追加して、情報蓄積部322に蓄積する(ステップS35)。ここでは、サーバ32は、同様に動作する端末21B、端末21C、21Dからも情報を受信し、情報蓄積部322には、図15に一例を示した行動履歴情報が記憶されたものとする。
次に、行動遷移解析部324は、図15に示した行動履歴情報から、端末21Aの状況における行動パターンを解析する(ステップS36)。具体的には、行動遷移解析部324は、ステップS35で受信された端末21Aの状況情報が示す場所「Aホール」と同一の場所における各端末21の行動遷移パターンを解析する。ここでは、行動遷移解析部324は、各端末21の行動履歴情報のうち、「Aホール」における行動遷移パターンおよびその回数として、「歩行→歩行」が1回、「歩行→停止」が2回、「停止→歩行」が3回をそれぞれ表す情報を得る。
次に、次回実行時期決定部323は、ステップS36で解析された行動遷移パターンに基づいて、端末21Aにおける次回実行時期を算出する(ステップS37)。ここでは、次回実行時期決定部323は、前述のように、行動遷移パターンから行動遷移確率を求め、行動遷移確率を用いて次回実行時期を算出するものとする。具体的には、次回実行時期決定部323は、ステップS36で解析された行動遷移パターンに基づいて、端末21Aの現在の行動「歩行」に対して、「歩行から歩行への遷移確率は1/3」および「方向から停止への遷移確率は2/3」といった情報を得る。そして、次回実行時期決定部323は、図11に示す実行間隔ルールを用いて、遷移確率による加重平均を求める。すなわち、次回実行時期決定部323は、(10×1/3+20×2/3)/(1/3+2/3)=約16.7秒を実行間隔として算出し、現在時刻「1時0分0秒」に加えることにより、次回実行時期として「1時0分16.7秒」を算出する。
以降、サーバ32および端末21Aは、ステップS28〜S30まで本発明の第2の実施の形態と同様に動作することにより、ステップS37で算出された次回実行時期に基づいて、端末21Aにおけるセンサデータ取得部111および行動識別部212の次回の処理時期を設定する。
そして、端末21Aは、次のステップS21を「1時0分16.7秒」に開始する。すなわち、センサデータ取得部111は、時刻「1時0分16.7秒」以後の所定期間のセンサデータを取得する。以降、端末21Aおよびサーバ32は、同様に動作を繰り返す。また、端末21B、21C、21Dも、端末21Aと同様に動作することによってそれぞれ設定された次回実行時期に、次の動作を繰り返す。
以上で、行動識別システム3の動作の具体例の説明を終了する。
次に、本発明の第3の実施の形態の効果について述べる。
本発明の第3の実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動を識別するための処理に要する端末の消費電力を抑えながら、対象の行動をさらに精度良く識別することができる。
その理由は、センサデータ取得部が、対象に関するセンサデータを取得し、状況情報取得部が、対象の状況を表す状況情報を取得し、行動識別部が、センサデータに基づき対象の行動を識別し、情報収集部が、1つ以上の対象について収集する行動識別結果および状況情報の遷移履歴を、対象毎の行動履歴情報として蓄積しておくからである。そして、次回実行時期決定部が、各対象の行動履歴情報を参照することにより、ある対象と同一の状況情報における過去の行動遷移パターンを解析し、解析した行動遷移パターンに基づいて、当該対象が次回にとりうる行動を予測し、予測した行動に対する実行間隔ルールを用いて、当該対象に関連する端末において次回に行動を識別するための処理を実行する次回実行時期を決定するからである。そして、次回実行時期設定部が、決定された次回実行時期に基づいて、次回のセンサデータ取得処理や行動識別処理等の処理時期を設定するからである。
これにより、本実施の形態としての行動識別システムは、対象が、該対象について識別された行動の次にとりうる行動を、当該対象に状況が類似する他の対象の過去の行動遷移パターンに基づいて、精度良く予測することが可能となる。そして、本実施の形態としての行動識別システムは、そのように精度良く予測した対象の次の行動に基づいて、さらに適切な次回実行時期を決定できることになるからである。その結果、本実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動遷移パターンに応じてさらに適した次回実行時期に、センサデータ取得処理や行動識別処理を実行することができる。したがって、本実施の形態としての行動識別システムは、対象についてさらに精度良い行動識別結果を得ることができる。しかも、本実施の形態としての行動識別システムにおける端末は、対象の次の行動を識別するのに適した時期にセンサデータの取得処理や行動識別処理を実行することにより、各処理の実行回数を削減することができ、各処理において消費される電力を削減することができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、上述の本発明の各実施の形態において端末が備えていた行動識別部を、サーバが備える構成例について説明する。なお、本実施の形態の説明において参照する各図面において、本発明の第1から第3の実施の形態と同一の構成および同様に動作するステップには同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
まず、本発明の第4の実施の形態としての行動識別システム4の機能ブロック構成を図17に示す。図17において、行動識別システム4は、端末41およびサーバ42を備える。端末41は、本発明の第2の実施の形態における端末21に対して、行動識別部212を含まず、センサデータ取得部111に替えてセンサデータ取得部411と、次回実行時期設定部113に替えて次回実行時期設定部413と、識別結果提示部215に替えて識別結果提示部415とを備える点が異なる。また、サーバ42は、本発明の第2の実施の形態におけるサーバ22と同一の構成に加えて、さらに行動識別部426を備える。
サーバ42の行動識別部426は、情報収集部221によって端末41から受信されるセンサデータに基づいて、当該端末41に関連する対象の行動を識別する。なお、行動識別部426がセンサデータに基づき実行する行動識別処理には、本発明の第2の実施の形態における端末21の行動識別部212と同様の手法を適用可能である。
以上のように構成される行動識別システム4の動作について、図18を参照して説明する。
まず、端末41において、センサデータ取得部411は、所定期間のセンサデータをセンサから取得し、一時記憶する(ステップS41)。
次に、状況情報取得部214は、この端末41を携帯する対象の状況情報を取得する(ステップS42)。
次に、センサデータ取得部411は、ステップS41で取得されたセンサデータと、ステップS42で取得された状況情報とを、サーバ42に送信する(ステップS43)。
次に、サーバ42において、行動識別部426は、ステップS43で端末41から送信されたセンサデータを用いて、対象の行動を識別する(ステップS44)。
次に、情報収集部221は、ステップS43で端末41から送信された状況情報と、ステップS44における行動識別結果とを、端末41の端末IDに関連付けて、情報蓄積部222に蓄積する(ステップS45)。
次に、サーバ42は、本発明の第2の実施の形態と同様にステップS26〜S27まで動作することにより、端末41の次回実行時期を算出する。
次に、次回実行時期決定部223は、ステップS27で算出した次回実行時期およびステップS44における行動識別結果を、端末41に送信する(ステップS48)。
次に、端末41において、次回実行時期設定部413は、受信した次回実行時期に基づいて、センサデータ取得部111の次回の処理時期を設定する(ステップS49)。
次に、識別結果提示部415は、ステップS48でサーバ42から送信された行動識別結果および次回実行時期等を、表示装置に提示する(ステップS50)。
ステップS49で設定された次回実行時期に、行動識別システム4は、ステップS41からの動作を繰り返す。以上で、行動識別システム4の動作の説明を終了する。
なお、本実施の形態において、識別結果提示部415は、サーバ42から行動識別結果および次回実行時期等を取得して表示装置に提示するものとして説明したが、さらに、サーバ42の情報蓄積部222から当該端末41の状況情報を取得して更に提示するようにしてもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態の効果について述べる。
本発明の第4の実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動を精度良く識別しながら、対象の行動を識別するためのセンサデータを取得する端末の消費電力を抑えることができる。
その理由は、行動識別部をサーバに構成する場合であっても、本発明の第2の実施の形態と同様に各機能ブロックが動作することにより、次回実行時期決定部が、当該端末および他の端末に関する行動識別結果および状況情報を用いて、当該端末の行動の傾向に応じて次回の行動を識別する処理に適した次回実行時期を決定するからである。そして、次回実行時期設定部が、決定された次回実行時期に基づいて、端末における次回のセンサデータ取得の処理時期を設定するからである。
なお、本発明の第4の実施の形態では、本発明の第2の実施の形態において端末上に備えた行動識別部をサーバに備える構成例について説明したが、本発明の第1および第3の実施の形態における行動識別部をサーバに備える構成もそれぞれ考えられる。このような場合であっても、本発明の各実施の形態は、上述と同様の効果を奏することは明らかである。
また、本発明の第2から第4の実施の形態では、状況情報取得部を端末上に備える構成例について説明したが、各実施の形態において、状況情報取得部をサーバに備える構成も可能である。この場合、状況情報取得部は、対象を特定する端末ID等の情報を用いて対象の状況情報を提供するサービスに接続することにより、対象の状況情報を取得すればよい。
また、上述の各実施の形態において、次回実行時期決定部は、ある端末における次回実行時期を決定する際に、当該端末および他の端末について蓄積された行動識別結果を含む情報を用いる例を中心に説明したが、次回実行時期決定部は、必ずしも当該端末および他の端末の両方について蓄積された行動識別結果を含む情報を用いなくてもよい。例えば、次回実行時期決定部は、当該端末の次回実行時期を、他の端末について蓄積された行動識別結果を含む情報を少なくとも用いて決定してもよい。あるいは、サーバにおいて情報の蓄積量が充分でない状況においては、他の端末について行動識別結果が蓄積されていない場合もある。その場合、次回実行時期決定部は、当該端末について蓄積された行動識別結果を含む情報を用いて、当該端末における次回実行時期を決定してもよい。
また、上述の各実施の形態としての行動識別システムは、ネットワークを介して接続されたサーバおよび端末によって構成されるものとして説明を行ったが、本発明の行動識別システムの各機能ブロックは、同一の端末上に構成されていてもよい。この場合、本発明の行動識別システムの各機能ブロックを備える端末は、P2P(Peer to Peer)やアドホックネットワーク等によって接続されることにより、他の端末の行動識別結果や状況情報を収集して自装置における次回実行時期を設定可能となる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、本発明の行動識別システムの最小構成例について説明する。なお、本実施の形態の説明において参照する各図面において、上述の各実施の形態と同一の構成および同様に動作するステップには同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
まず、本発明の第5の実施の形態としての行動識別システム5の機能ブロック構成を図19に示す。図19において、行動識別システム5は、センサ情報取得部51と、行動識別部52と、次回実行時期決定部53とを備える。各機能ブロックは、1つのコンピュータ装置によって構成されてもよいし、複数のコンピュータ装置に分散されて構成されていてもよい。
センサ情報取得部51は、対象に関して計測されたセンサ情報を取得する。例えば、センサ情報取得部51は、対象に関するセンサ情報があらかじめ蓄積された記憶装置から、センサ情報を取得してもよい。あるいは、センサ情報取得部51は、外部に接続されたセンサから、逐次センサ情報を取得してもよい。
行動識別部52は、対象に関して計測されたセンサ情報に基づいて、対象の行動を識別する。例えば、行動識別部52は、本発明の第1の実施の形態における行動識別部112と同様に構成されてもよい。すなわち、行動識別部52は、対象について計測された所定期間のセンサ情報の特徴量を求め、求めた特徴量を、あらかじめ構築しておいた構築モデルに適用することにより、行動を識別してもよい。
次回実行時期決定部53は、1つ以上の対象にそれぞれ関する行動識別結果を含む情報に基づいて、対象の少なくとも1つについて、当該対象の行動を識別する処理を次回に実行する時期(以下、次回実行時期と称する)を決定する。例えば、次回実行時期決定部53は、1つ以上の対象にそれぞれ関する処理を行う行動識別部52から、行動識別結果を取得してもよい。あるいは、次回実行時期決定部53は、ある対象に関する処理を行う行動識別部52から、その対象に関する行動識別結果を取得し、他の対象に関する行動識別結果としてあらかじめ記憶装置に記憶された情報を用いてもよい。
また、次回実行時期決定部53は、当該対象の行動を識別する処理として、センサ情報取得部51および行動識別部52の少なくともいずれかの次回実行時期を設定する。
以上のように構成された行動識別システム5の動作について、図20を参照して説明する。
まず、センサ情報取得部51は、対象に関するセンサ情報を取得する(ステップS51)。
次に、行動識別部52に基づいて、対象の行動を識別する(ステップS52)。
次に、次回実行時期決定部53は、1つ以上の対象に関する行動識別結果を含む情報に基づいて、対象の少なくとも1つについて、当該対象の行動を識別する処理を次回に実行する次回実行時期を決定する(ステップS53)。
この後、ステップS52で決定された次回実行時期に、センサ情報取得部51は、次回のステップS51を実行するようにしてもよい。
あるいは、センサ情報取得部51は所定間隔でステップS51の処理を実行し、ステップS52で決定された次回実行時期に、行動識別部52が次回のステップS52を実行するようにしてもよい。以上で、行動識別システム5の動作の説明を終了する。
次に、本発明の第5の実施の形態の効果について述べる。
本発明の第5の実施の形態としての行動識別システムは、上記構成を有するので、対象の行動を識別する処理に要する消費電力を抑えながら、対象の行動を精度良く識別することができる。
このように、本実施の形態としての行動識別システムは、ある対象が、該対象について識別された行動の次にとりうる行動の傾向を、1つ以上の対象についての行動識別結果を含む情報を参照することにより、精度良く捉えることが可能となる。そして、本実施の形態としての行動識別システムは、そのような対象の行動の傾向に適した次回実行時期を決定できることになる。その結果、本実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動の傾向に応じて行動識別処理の実行に適した次回実行時期に、対象の行動を識別する処理を実行することができる。したがって、本実施の形態としての行動識別システムは、対象について精度良い行動識別結果を得ることができる。しかも、本実施の形態としての行動識別システムは、対象の行動の傾向に応じた時期に対象の行動を識別する処理を実行することにより、そのような処理の実行回数を削減することができ、そのような処理において消費される電力を削減することができる。
なお、上述した本発明の各実施の形態において、各フローチャートを参照して説明した装置の動作を、本発明のコンピュータ・プログラムとしてコンピュータ装置の記憶装置(記憶媒体)に格納しておき、係るコンピュータ・プログラムを当該CPUが読み出すと共にそれを実行するようにしてもよい。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータ・プログラムを構成するコード或いはそのコンピュータ・プログラムを記憶した不揮発性の記憶媒体によって構成される。
また、上述した各実施の形態は、適宜組み合わせて実施されることが可能である。
また、本発明は、上述した各実施の形態に限定されず、様々な態様で実施されることが可能である。
また、上述した各実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
対象に関して計測されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別する行動識別部と、
1つ以上の前記対象にそれぞれ関して、前記行動識別部によって識別された行動識別結果を含む情報に基づいて、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象の行動を識別する処理を次回に実行する時期(以下、次回実行時期と称する)を決定する次回実行時期決定部と、
を備えた行動識別システム。
(付記2)
前記次回実行時期決定部は、1つ以上の前記対象にそれぞれ関して、前記行動識別結果が得られた際の前記対象の状況を表す状況情報をさらに考慮して、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象に関する前記次回実行時期を決定する付記1に記載の行動識別システム。
(付記3)
前記次回実行時期決定部は、前記対象の少なくとも1つについて、前記行動識別結果が得られた際の前記状況情報が類似する他の対象である類似対象を特定し、当該対象および前記類似対象に関する前記行動識別結果を含む情報に基づいて、当該対象に関する前記次回実行時期を決定する付記2に記載の行動識別システム。
(付記4)
前記次回実行時期決定部は、1つ以上の前記対象にそれぞれ関する前記行動識別結果を含む情報の遷移履歴に基づいて、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象に関する前記次回実行時期を決定する付記1から付記3のいずれか1つに記載の行動識別システム。
(付記5)
前記対象の行動を表す情報と、該行動を識別する処理の実行間隔とを関連づけた実行間隔ルールを記憶した実行間隔ルール記憶部をさらに備え、
前記次回実行時期決定部は、1つ以上の前記対象にそれぞれ関する前記行動識別結果が示す行動に対して、前記実行間隔ルールにより関連付けられた実行間隔に基づいて、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象に関する前記次回実行時期を決定する付記1から付記4のいずれか1つに記載の行動識別システム。
(付記6)
前記行動識別部は、前記センサ情報に基づき前記対象について識別した行動の尤度を前記行動識別結果に含めて算出し、
前記次回実行時期決定部は、1つ以上の前記対象にそれぞれ関する前記行動識別結果および該行動識別結果に含まれる前記尤度に基づいて、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象に関する前記次回実行時期を決定する付記1から付記5のいずれか1つに記載の行動識別システム。
(付記7)
前記次回実行時期決定部は、決定した前記次回実行時期に基づいて、前記センサ情報取得部および前記行動識別部の少なくともいずれかの処理の次回の実行時期を設定する付記1から付記6のいずれか1つに記載の行動識別システム。
(付記8)
1つ以上の前記対象にそれぞれ関する前記行動識別結果を含む情報を収集して情報蓄積部に蓄積する情報収集部をさらに備え、
前記次回実行時期決定部は、前記情報蓄積部を参照することにより、前記対象の少なくとも1つに関する前記次回実行時期を決定する付記1から付記7のいずれか1つに記載の行動識別システム。
(付記9)
対象に関して計測されたセンサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別し、
1つ以上の前記対象にそれぞれ関して前記識別された行動識別結果を含む情報に基づいて、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象の行動を識別する処理を次回に実行する時期を決定する、行動識別方法。
(付記10)
1つ以上の前記対象にそれぞれ関して、前記行動識別結果が得られた際の前記対象の状況を表す状況情報をさらに考慮して、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象に関する前記次回実行時期を決定する付記9に記載の行動識別方法。
(付記11)
対象に関して計測されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別するとともに、行動識別結果を含む情報をサーバに送信する行動識別部と、
前記対象の行動を識別する処理を次回に実行する時期(以下、次回実行時期と称する)を前記サーバから受信するとともに、受信した当該次回実行時期に基づいて、前記対象の行動を識別する処理の次回実行時期を設定する次回実行時期設定部と、
を備えた端末。
(付記12)
1つ以上の付記11に記載の端末から送信される前記行動識別結果を含む情報を収集して情報蓄積部に蓄積する情報収集部と、
1つ以上の前記端末に関して前記情報蓄積部に蓄積された前記行動識別結果を含む情報に基づいて、前記端末の少なくとも1つにおける前記次回実行時期を決定するとともに、決定した次回実行時期を、当該端末に送信する次回実行時期決定部と、
を備えたサーバ。
(付記13)
対象に関して計測されるセンサ情報を取得するとともに、取得したセンサ情報を含む情報をサーバに送信するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部が次回に処理を実行する次回実行時期を前記サーバから受信するとともに、受信した次回実行時期に基づいて、前記センサ情報取得部の次回の実行時期を設定する次回実行時期設定部と、
を備えた端末。
(付記14)
1つ以上の付記13に記載の端末から送信される前記センサ情報を含む情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部によって収集されたセンサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別する行動識別部と、
前記行動識別部によって識別された行動識別結果を含む情報を蓄積する情報蓄積部と、
1つ以上の前記端末に関して前記情報蓄積部に蓄積された前記行動識別結果を含む情報に基づいて、前記端末の少なくとも1つにおける前記次回実行時期を決定するとともに、決定した次回実行時期を、当該端末に送信する次回実行時期決定部と、
を備えたサーバ。
(付記15)
対象に関して計測されるセンサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別し、
行動識別結果を含む情報をサーバに送信し、
前記対象の行動を識別する処理を次回に実行する次回実行時期を前記サーバから受信し、
受信した次回実行時期に基づいて、前記対象の行動を識別する処理の次回の実行時期を設定する、行動識別方法。
(付記16)
付記15に記載の行動識別方法を実行する1つ以上の端末から送信される前記行動識別結果を含む情報を収集して蓄積し、
1つ以上の前記端末に関して蓄積した前記行動識別結果を含む情報に基づいて、前記端末の少なくとも1つにおける前記次回実行時期を決定し、
決定した次回実行時期を当該端末に送信する、行動識別方法。
(付記17)
対象に関して計測されるセンサ情報を取得し、
前記センサ情報を含む情報をサーバに送信し、
前記センサ情報の取得処理を次回に実行する次回実行時期を前記サーバから受信し、
受信した次回実行時期に基づいて、次回の前記センサ情報の取得処理の実行時期を設定する、行動識別方法。
(付記18)
付記17に記載の行動識別方法を実行する1つ以上の端末から前記センサ情報を含む情報を収集し、
前記センサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別することにより、行動識別結果を含む情報を蓄積し、
1つ以上の前記端末に関して蓄積した前記行動識別結果を含む情報に基づいて、前記端末の少なくとも1つにおける前記次回実行時期を決定し、
決定した次回実行時期を当該端末に送信する、行動識別方法。
(付記19)
対象に関して計測されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得処理と、
前記センサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別する行動識別処理と、
前記行動識別処理により識別された行動識別結果を含む情報をサーバに送信する行動識別結果送信処理と、
前記対象の行動を識別する処理を次回に実行する時期(以下、次回実行時期と称する)を前記サーバから受信する次回実行時期受信処理と、
受信された次回実行時期に基づいて、前記対象の行動を識別する処理の次回実行時期を設定する次回実行時期設定ステップと、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。
(付記20)
付記19に記載のコンピュータ・プログラムを実行する1つ以上の端末から送信される前記行動識別結果を含む情報を収集して情報蓄積部に蓄積する情報収集処理と、
1つ以上の前記端末に関して前記情報蓄積部に蓄積された前記行動識別結果を含む情報に基づいて、前記端末の少なくとも1つにおける前記次回実行時期を決定する次回実行時期決定処理と、
決定された次回実行時期を当該端末に送信する次回実行時期送信処理と、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。
(付記21)
対象に関して計測されるセンサ情報を取得するセンサ情報取得処理と、
前記センサ情報を含む情報をサーバに送信するセンサ情報送信処理と、
前記センサ情報取得処理を次回に実行する次回実行時期を前記サーバから受信する次回実行時期受信処理と、
受信した次回実行時期に基づいて、前記センサ情報取得処理の次回の実行時期を設定する次回実行時期設定処理と、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。
(付記22)
付記21に記載のコンピュータ・プログラムを実行する1つ以上の端末から送信される前記センサ情報を含む情報を収集する情報収集処理と、
前記センサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別し、行動識別結果を含む情報を情報蓄積部に蓄積する行動識別処理と、
1つ以上の前記端末に関して前記情報蓄積部に蓄積された前記行動識別結果を含む情報に基づいて、前記端末の少なくとも1つにおける前記次回実行時期を決定する次回実行時期決定処理と、
決定された次回実行時期を、当該端末に送信する次回実行時期送信処理と、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。
(付記23)
対象に関して計測されるセンサ情報を取得するセンサ情報取得処理と、
前記センサ情報に基づいて、前記対象の行動を識別する行動識別処理と、
1つ以上の前記対象にそれぞれ関して、前記行動識別部によって識別された行動識別結果を含む情報に基づいて、前記対象の少なくとも1つについて、当該対象の行動を識別する処理を次回に実行する時期を決定する次回実行時期決定処理と、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。