JP6213259B2 - Maldiイオン源 - Google Patents

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Description

本発明は、MALDI(マトリックス支援レーザ脱離イオン化法)により試料をイオン化させるMALDIイオン源に関するものである。
MALDIでは、試料とマトリックスとの混合物(混晶)に対して、例えば紫外域や赤外域のレーザ光が照射されることにより、試料及びマトリックスが気化され、試料とマトリックスとの間のプロトンの授受によって試料がイオン化される。このような手法で試料をイオン化させるためのMALDIイオン源は、一般的に、レーザ光源からの1回のレーザ照射によって試料をイオン化させるようになっている。
一方で、試料のイオン化工程を研究する際などには、レーザ光源から2回以上のレーザ照射が行われる場合がある(例えば、下記特許文献1〜2及び下記非特許文献1〜4参照)。例えば、1回目のレーザ照射で試料を励起状態とした後、2回目のレーザ照射で試料をイオン化させれば、試料の励起状態からイオン化までの過程をより詳細に観察することができる。このような研究の際に使用されるレーザ光の波長、パルス幅、照射角度などは様々である。
下記非特許文献1には、波長337nm、パルス幅5nsのレーザ光を2つのレーザ光源から照射する構成が開示されている。当該波長及びパルス幅のレーザ光は、レーザ媒質として窒素ガスを用いたガスレーザ(窒素レーザ)により生成することができる。この場合、2つのレーザ光源から照射されるレーザ光は、それぞれ異なる光路で試料に導かれる。
下記非特許文献2には、1つのレーザ光源から照射されるレーザ光をビームスプリッタで分割し、一方の光路を他方よりも長く設定することにより、時間差を持たせて試料にレーザ光を照射する構成が開示されている。レーザ光は波長337nm、パルス幅3.5nsであり、窒素レーザにより生成することができる。
これらの非特許文献1及び2に開示された構成では、ガスレーザの一例である窒素レーザを用いて、波長が400nm以下の紫外域のレーザ光を試料に複数回照射することができる。このような紫外域のレーザ光を照射するイオン源として、下記非特許文献3には、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)などの固体のレーザ媒質を用いた固体レーザにより、波長355nm、パルス幅30psのレーザ光を試料に複数回照射する構成が開示されている。固体レーザでは、355nmの他、532nmや1064nmなどの波長でもレーザ光を照射することができる。
また、下記非特許文献4には、赤外域である波長10.6μmのレーザ光と、紫外域である波長337nmのレーザ光とを、それぞれ試料に照射することができるような構成が開示されている。
韓国登録特許第10−1181718号公報 米国特許第8110795号明細書
Rapid. Commun. Mass. Spec11, 484-488(1977) J. Phys. Chem. B 2002, 106, 3301-3306 J. Phys. Chem. B 2000, 104, 5406-5410 J. Mass. Spectrum. 2003; 38: 772-777
MALDIにおいて、窒素レーザなどのガスレーザを用いた場合、レーザ光の発振周波数は数十Hzである。これに対して、YAGレーザなどの固体レーザを用いた場合には、レーザ光の発振周波数は数kHzである。MALDIによりイオン化された試料を質量分析装置で分析する場合などには、分析データ取得の周波数がレーザ光の発振周波数に依存するため、ハイスループットで測定を行うためには固体レーザを用いることが好ましい。
しかしながら、MALDIで一般的に使用されるマトリックスは、例えば波長337nmの紫外域のレーザ光、すなわち窒素レーザなどのガスレーザから照射されるレーザ光に対して最適化されている。そのため、上記波長337nmに近い波長として、固体レーザから照射される波長355nmのレーザ光を用いたとしても、イオン化効率が低下するという問題がある。
したがって、ガスレーザを用いた場合と同様のイオン量を固体レーザで得るためには、レーザ光の強度を高くしなければならない。この場合、試料とマトリックスとの混合物である混晶が必要以上に気化され、持続性が悪くなるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、イオン化効率が低下するのを防止しつつ、固体レーザを用いて試料をイオン化させることができるMALDIイオン源を提供することを目的とする。
本発明に係るMALDIイオン源は、MALDIにより試料をイオン化させるMALDIイオン源であって、固体レーザと、補助光源と、遅延処理部とを備える。前記固体レーザは、所定の発振周波数で紫外域のレーザ光を試料に照射することにより、試料をイオン化させる。前記補助光源は、前記固体レーザとは波長の異なる紫外域の光を所定の発振周波数で試料に照射することにより、試料のイオン化を補助する。前記遅延処理部は、前記補助光源からの光が試料に照射されるタイミングを、前記固体レーザからのレーザ光が試料に照射されるタイミングよりも所定時間だけ遅延させる。前記所定時間は、0nsよりも長く、14nsよりも短い時間範囲内であり、当該時間範囲内では、遅延させない場合よりも試料のイオン化効率が高く、かつ、他の時間範囲内で遅延させる場合よりも試料のイオン化効率が高い。
このような構成によれば、固体レーザから照射されるレーザ光により試料をイオン化させる際に、補助光源から照射される光により試料にエネルギーを与えることができる。このとき、固体レーザから照射されるレーザ光の波長が、試料とともに混晶を形成しているマトリックスを最適に気化することができる波長でない場合であっても、固体レーザとは異なる補助光源を用いて試料にエネルギーを与えることで、イオン化効率が低下するのを防止することができる。
この場合、前記補助光源から照射される光の波長は、試料とともに混晶を形成しているマトリックスの種類に応じた値であることが好ましい。すなわち、マトリックスを最適に気化することができる波長で補助光源から光を照射すれば、イオン化効率を効果的に向上することができる。
また、固体レーザ及び補助光源から、それぞれ最適なタイミングでパルス状に光を照射することができる。すなわち、固体レーザ及び補助光源からの光を、それぞれ同時に試料に照射させることができるだけでなく、互いに異なるタイミングで試料に照射させることもできるため、当該タイミングを最適化すればイオン化効率を効果的に向上することができる。
本願発明者は、異なる波長の光を試料に照射してイオン化させる場合、各波長の光が試料に照射されるタイミングをずらした方が、イオン化効率が向上することを発見した。すなわち、同じ波長の光を試料に照射する場合には、同じタイミングで試料に照射した方がイオン化効率が高いが、異なる波長の光を試料に照射する場合には、試料に照射されるタイミングを少しずらすことで、得られるイオン量が飛躍的に多くなることを見出した。
本発明によれば、固体レーザからのレーザ光を試料に照射させた後、所定時間だけ遅延させて、補助光源からの光を試料に照射させることができる。これにより、紫外域の範囲内で波長の異なる光が、異なるタイミングで試料に照射されるため、試料のイオン化効率が向上する。特に、固体レーザからのレーザ光が試料に照射されるタイミングよりも、補助光源からの光が試料に照射されるタイミングを遅延させることにより、イオン化効率を効果的に向上することができる。
また、14nsよりも短い極めて短時間だけ、固体レーザからのレーザ光が試料に照射されるタイミングよりも、補助光源からの光が試料に照射されるタイミングを遅延させることができる。このように、固体レーザ及び補助光源からの光を、それぞれ同時に試料に照射させるのではなく、極めて短時間だけずらすことによって、イオン化効率をより効果的に向上することができる。
前記補助光源は、連続的に試料に光を照射するCWレーザからなるものであってもよい。
このような構成によれば、固体レーザから照射されるレーザ光により試料をイオン化させる際に、補助光源としてのCWレーザから連続的に照射される光により試料にエネルギーを与えることができる。この場合、レーザ媒質として窒素ガスなどのガスを用いたガスレーザにより補助光源を構成したとしても、固体レーザの高い発振周波数で試料にレーザ光を照射することができるため、ハイスループットで測定を行うことができる。
前記補助光源は、LEDからなるものであってもよい。
このような構成によれば、固体レーザから照射されるレーザ光により試料をイオン化させる際に、補助光源としてのLEDから照射される光により試料にエネルギーを与えることができる。試料のイオン化を補助することができるだけの光をLEDで照射できる場合には、本発明のように安価なLEDを補助光源として用いることにより、製造コストを低減することができる。
本発明によれば、固体レーザから照射されるレーザ光により試料をイオン化させる際に、補助光源から照射される光により試料にエネルギーを与えることができるため、イオン化効率が低下するのを防止しつつ、固体レーザを用いて試料をイオン化させることができる。
本発明の第1実施形態に係るMALDIイオン源を備えた質量分析装置の構成例を示した概略図である。 固体レーザ及び補助光源からのレーザ光が試料に照射されるタイミングの一例を示したタイミングチャートである。 遅延時間とイオン化効率との関係を表すグラフである。 イオン源の構成の第1変形例について説明するための概略図である。 イオン源の構成の第2変形例について説明するための概略図である。 本発明の第2実施形態に係るMALDIイオン源において固体レーザ及び補助光源からのレーザ光が試料に照射されるタイミングの一例を示したタイミングチャートである。 本発明の第3実施形態に係るMALDIイオン源の構成例について説明するための概略図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るMALDIイオン源1を備えた質量分析装置の構成例を示した概略図である。このMALDIイオン源1(以下、単に「イオン源1」という。)は、MALDI(マトリックス支援レーザ脱離イオン化法)により試料Sをイオン化させるための装置であり、イオン化された試料Sを質量分離部2で分離して分析することができる。
試料Sは、マトリックスと混合された混晶としてプレートP上に形成される。この試料Sに対してイオン源1から光を照射することにより、試料Sがマトリックスとともに気化され、試料Sとマトリックスとの間のプロトンの授受によって試料Sがイオン化される。本実施形態では、紫外域の光を試料Sに照射してイオン化するUV−MALDIについて説明する。
UV−MALDI用のマトリックスとしては、例えばニコチン酸、ピコリン酸、3-ヒドロキシピコリン酸、3-アミノピコリン酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸、シナピン酸、2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸、2-メルカプトベンゾチアゾール、5-クロロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2,6-ジヒドロキシアセトフェノン、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、ジスラノール、ベンゾ[a]ピレン、9-ニトロアントラセン、2-[(2E)-3-(4-tret-ブチルフェニル)-2-メチルプロプ-2-エニリデン]マロノニトリルなどを例示することができる。
本実施形態に係る質量分析装置は、例えば飛行時間型質量分析装置(TOFMS)であり、イオン化された試料Sは、加速電圧が印加されることにより質量分離部2を検出器21側へと飛行する。質量分離部2は、真空チャンバ22内における試料Sと検出器21との間に形成されている。このとき、m/zが小さいイオンほど高速で飛行して検出器21に到達するため、検出器21に到達するまでの時間に基づいて試料Sの質量を測定することができる。ただし、質量分析装置は、飛行時間型に限らず、磁場偏向型やフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型などの他の質量分析装置であってもよい。
イオン源1には、固体レーザ11、補助光源12、パルスジェネレータ13及び可変遅延回路14などが備えられている。本実施形態では、固体レーザ11及び補助光源12からの光を試料Sに照射し、それらの光のエネルギーで試料Sをイオン化させることができるようになっている。
固体レーザ11は、レーザ媒質として固体を用いたレーザ装置である。本実施形態では、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザの中でも、Nd:YAGレーザを固体レーザ11として用いる場合について説明する。このような固体レーザ11を用いることにより、1064nm、532nm、355nmなどの波長でレーザ光を照射することができる。
補助光源12は、例えばレーザ媒質としてガスを用いたガスレーザである。本実施形態では、レーザ媒質が窒素ガスからなる窒素レーザを補助光源12として用いる場合について説明する。このような補助光源12を用いることにより、337nmの波長でレーザ光を照射することができる。この場合、固体レーザ11は、補助光源12の波長に近い355nmの波長でレーザ光を照射することが好ましい。これにより、固体レーザ11及び補助光源12から、波長が400nm以下の紫外域のレーザ光を照射することができる。
パルスジェネレータ13は、パルス信号を発生させるための装置であり、当該パルスジェネレータ13からのパルス信号が、可変遅延回路14を介して固体レーザ11及び補助光源12に入力される。当該パルスジェネレータ13の作用により、固体レーザ11及び補助光源12は、それぞれ所定の発振周波数で紫外域のレーザ光を試料Sに照射するパルスレーザとして機能する。固体レーザ11においては、発振周波数を数kHzの高周波数とすることができるが、本実施形態の補助光源12のようなガスレーザにおいては、発振周波数は数十Hzの低周波数となる。
固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光は、一部の光路L1を除き、それぞれ異なる光路L2,L3を介して試料Sに照射される。具体的には、固体レーザ11からのレーザ光は、それぞれ光路L2に設けられた平凹レンズ111、平凸レンズ112及びND(Neutral Density)フィルタ113などの光学部材を介して試料S側に導かれる。一方、補助光源12からのレーザ光は、それぞれ光路L3に設けられたNDフィルタ121及びミラー122などの光学部材を介して試料S側に導かれる。固体レーザ11からのレーザ光の光路L2と、補助光源12からのレーザ光の光路L3とは、互いに異なる光路長を有している。
平凹レンズ111は、例えば焦点距離f=15mmの凹面を有している。一方、平凸レンズ112は、例えば焦点距離f=150mmの凸面を有している。固体レーザ11からのレーザ光は、一直線状にレンズ111,112を透過し、NDフィルタ113により光量が減少された後、ハーフミラー15を透過して光路L1に導かれる。一方、補助光源12からのレーザ光は、NDフィルタ121により光量が減少された後、ミラー122で進行方向が90°変更され、ハーフミラー15で再び進行方向が90°変更されて光路L1に導かれる。
光路L1に導かれた固体レーザ11及び補助光源12からの各レーザ光は、当該光路L1に設けられた平凸レンズ16を透過して試料Sに照射される。平凸レンズ16は、例えば焦点距離f=400mmの凸面を有しており、焦点位置が試料Sの表面となるように調整される。これにより、固体レーザ11及び補助光源12からの各レーザ光が、例えば焦点径0.05〜0.2mmの小さなスポットで試料Sに照射される。
本実施形態では、固体レーザ11からのレーザ光により試料Sをイオン化させる際に、固体レーザ11とは波長の異なる紫外域のレーザ光が補助光源12から試料Sに照射される。これにより、補助光源12から照射されるレーザ光により試料Sにエネルギーが与えられ、試料Sのイオン化が補助される。
このとき、固体レーザ11から照射されるレーザ光の波長(例えば355nm)が、試料Sとともに混晶を形成しているマトリックスを最適に気化することができる波長(例えば337nm)でない場合であっても、固体レーザ11とは異なる補助光源12を用いて試料Sにエネルギーを与えることで、イオン化効率が低下するのを防止することができる。
特に、本実施形態では、固体レーザ11及び補助光源12がそれぞれパルスレーザとして機能するため、固体レーザ11及び補助光源12から、それぞれ最適なタイミングでパルス状にレーザ光を照射することができる。すなわち、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光を、それぞれ同時に試料Sに照射させることができるだけでなく、互いに異なるタイミングで試料Sに照射させることもできるため、当該タイミングを最適化すればイオン化効率を効果的に向上することができる。
固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングのずれは、モニタ部17でモニタすることができる。モニタ部17には、ハーフミラー15で反射した固体レーザ11からのレーザ光が入射するとともに、ハーフミラー15を透過した補助光源12からのレーザ光が入射する。モニタ部17は、例えばフォトダイオード検出器からなり、当該モニタ部17で固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光を検出することにより、それらのレーザ光の照射タイミングのずれ量(遅延時間)を測定することができる。
可変遅延回路14は、パルスジェネレータ13から入力されるパルス信号の出力タイミングをずらすことにより、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングを任意に調整可能な遅延処理部を構成している。モニタ部17で、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光の照射タイミングをモニタしながら、可変遅延回路14で各レーザ光の遅延時間を設定することにより、各レーザ光を互いに異なるタイミングで試料Sに照射させることができる。
図2は、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングの一例を示したタイミングチャートである。この例では、所定の発振周波数で固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるようになっており、各レーザ光の照射タイミングの遅延時間として、可変遅延回路14により所定時間Δtが設定されている。
具体的には、補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングを、固体レーザ11からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングよりも所定時間Δtだけ遅延させている。これにより、紫外域の範囲内で波長の異なるレーザ光が、異なるタイミングで試料Sに照射されるため、試料Sのイオン化効率が向上する。特に、固体レーザ11からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングよりも、補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングを遅延させることにより、イオン化効率を効果的に向上することができる。
図3は、遅延時間とイオン化効率との関係を表すグラフである。このグラフは、実際に遅延時間を変化させて実験を行った結果であり、横軸が補助光源12からのレーザ光の照射タイミングに対する固体レーザ11からのレーザ光の照射タイミングの遅延時間、縦軸が得られたイオン量である。
実験には、試料としてGlufibを使用し、マトリックスとしてCHCA(α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸)を使用した。試料の調整は、CHCAアセトン溶液を約10μL滴下して下地を作成した後、試料とマトリックスとの混合液を1μL滴下することにより行った(Thinlayer法)。ここで、CHCAアセトン溶液は、5mgのCHCAを500μLのアセトンで溶解したものである。また、試料とマトリックスとの混合液は、500μLの50%アセトニトリル/0.05%トリフルオロ酢酸溶液で5mgのCHCAを溶解したCHCA溶液と、4pmol/μLのGlufibとを等量混合したものである。
この実験結果によれば、固体レーザ11からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングよりも、補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングを遅延させることにより、得られるイオン量を増大させ、イオン化効率を高めることができることが分かる。より具体的には、遅延時間が0nsよりも長く、14nsよりも短いことが好ましい。上記遅延時間は、2〜10nsであればより好ましく、3〜7nsであればさらに好ましい。
すなわち、14nsよりも短い極めて短時間だけ、固体レーザ11からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングよりも、補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングを遅延させることが好ましい。このように、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光を、それぞれ同時に試料Sに照射させるのではなく、極めて短時間だけずらすことによって、イオン化効率をより効果的に向上することができる。
図4Aは、イオン源1の構成の第1変形例について説明するための概略図である。図4Bは、イオン源1の構成の第2変形例について説明するための概略図である。図1では、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が、共通の光路L1を介して同じ光軸で試料Sに照射されるような構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、図4A及び図4Bのように、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が、異なる光軸で試料Sに照射されるような構成であってもよい。
図4Aの例では、固体レーザ11からのレーザ光が、図1の場合と同様に、試料Sに対して斜め上方から照射される。これに対して、補助光源12からのレーザ光は、プレートPに対して平行な方向に沿って試料Sに照射される。この場合、固体レーザ11からのレーザ光により気化された試料Sに対して、補助光源12からのレーザ光が照射されるようになっていてもよい。
図4Bの例では、固体レーザ11からのレーザ光が、図1の場合と同様に、試料Sに対して斜め上方から照射される。これに対して、補助光源12からのレーザ光は、試料Sに対して斜め上方における固体レーザ11とは異なる位置から試料Sに照射される。固体レーザ11及び補助光源12からの各レーザ光は、試料Sにおける同じ位置に照射されることが好ましい。この例では、固体レーザ11からのレーザ光と、補助光源12からのレーザ光とで、試料Sに対する照射角度が同一になっているが、これに限らず、異なる照射角度で照射されるような構成であってもよい。
なお、図4A及び図4Bのいずれにおいても、固体レーザ11からのレーザ光を試料Sに導くための光学部材や、補助光源12からのレーザ光を試料Sに導くための光学部材などを省略して示している。
以上のような第1実施形態では、補助光源12が窒素レーザにより構成されている場合について説明した。しかし、補助光源12は、窒素レーザに限らず、エキシマレーザなどの他のガスレーザであってもよいし、ガスレーザ以外のレーザ装置であってもよい。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係るMALDIイオン源1において固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が試料Sに照射されるタイミングの一例を示したタイミングチャートである。第1実施形態では、補助光源12がパルスレーザとして機能するような構成について説明したが、第2実施形態では、補助光源12が連続的に試料Sにレーザ光を照射するCWレーザ(連続波レーザ)として機能するようになっている。
したがって、所定の発振周波数で固体レーザ11からのレーザ光が試料Sに照射されている間、補助光源12からのレーザ光が試料Sに常に照射された状態となっている。この場合、図1のパルスジェネレータ13からのパルス信号が、固体レーザ11にのみ入力され、補助光源12には入力されないような構成であってもよい。また、図1における可変遅延回路14は省略されてもよい。
本実施形態では、固体レーザ11から照射されるレーザ光により試料Sをイオン化させる際に、補助光源12としてのCWレーザから連続的に照射されるレーザ光により試料Sにエネルギーを与えることができる。この場合、レーザ媒質として窒素ガスなどのガスを用いたガスレーザにより補助光源12を構成したとしても、固体レーザ11の高い発振周波数で試料Sにレーザ光を照射することができるため、ハイスループットで測定を行うことができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態の変形例と同様に、図4A又は図4Bのような構成が採用されてもよい。すなわち、固体レーザ11及び補助光源12からのレーザ光が、異なる光軸で試料Sに照射されるような構成であってもよい。また、本実施形態においても、補助光源12は、窒素レーザに限らず、エキシマレーザなどの他のガスレーザであってもよいし、ガスレーザ以外のレーザ装置であってもよい。
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係るMALDIイオン源1の構成例について説明するための概略図である。第1実施形態及び第2実施形態では、補助光源12がレーザ装置により構成されている場合について説明したが、第3実施形態では、補助光源12がLED(Light Emitting Diode)により構成され、当該LEDからの光が試料Sに照射されるようになっている。なお、図6では、固体レーザ11からのレーザ光を試料Sに導くための光学部材を省略して示している。
本実施形態では、固体レーザ11から照射されるレーザ光により試料Sをイオン化させる際に、補助光源12としてのLEDから照射される光により試料Sにエネルギーを与えることができる。試料Sのイオン化を補助することができるだけの光をLEDで照射できる場合には、本実施形態のように安価なLEDを補助光源12として用いることにより、製造コストを低減することができる。
このように、補助光源12は、レーザ光を照射するものに限らず、LEDなどのように、レーザ光以外の光を照射する光源であってもよい。
以上のような第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態では、固体レーザ11がNd:YAGレーザにより構成されている場合について説明した。しかし、このような構成に限らず、固体レーザ11は、Er:YAGレーザなどの他のYAGレーザにより構成されていてもよいし、ルビーレーザなどのYAGレーザ以外の固体レーザにより構成されていてもよい。
また、固体レーザ11から試料Sに照射されるレーザ光の波長は、355nmに限らず、紫外域のレーザ光を試料Sに照射することができるような構成であればよい。同様に、補助光源12から試料Sに照射される光の波長は、337nmに限らず、固体レーザ11とは波長の異なる紫外域の光を試料Sに照射することができるような構成であればよい。
1 MALDIイオン源
2 質量分離部
11 固体レーザ
12 補助光源
13 パルスジェネレータ
14 可変遅延回路
15 ハーフミラー
16 平凸レンズ
17 モニタ部
21 検出器
22 真空チャンバ
111 平凹レンズ
112 平凸レンズ
113 NDフィルタ
121 NDフィルタ
122 ミラー
P プレート
S 試料

Claims (3)

  1. MALDIにより試料をイオン化させるMALDIイオン源であって、
    所定の発振周波数で紫外域のレーザ光を試料に照射することにより、試料をイオン化させる固体レーザと、
    前記固体レーザとは波長の異なる紫外域の光を所定の発振周波数で試料に照射することにより、試料のイオン化を補助する補助光源と
    前記補助光源からの光が試料に照射されるタイミングを、前記固体レーザからのレーザ光が試料に照射されるタイミングよりも所定時間だけ遅延させる遅延処理部とを備え、
    前記所定時間が、0nsよりも長く、14nsよりも短い時間範囲内であり、当該時間範囲内では、遅延させない場合よりも試料のイオン化効率が高く、かつ、他の時間範囲内で遅延させる場合よりも試料のイオン化効率が高いことを特徴とするMALDIイオン源。
  2. 前記固体レーザ及び前記補助光源からの光を検出するモニタ部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のMALDIイオン源。
  3. 前記固体レーザは、355nmの波長でレーザ光を照射し、
    前記補助光源は、337nmの波長で光を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載のMALDIイオン源。
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