JP6212924B2 - 複合磁気材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性体または非磁性体により形成された母材を合金元素を用いて磁性改質する場合の複合磁気材料の製造方法に関するものである。
複合磁気材料の製造方法として、レーザを用いて合金化する方法がある。例えば、特許文献1には、鋼でなる母材にニッケル箔を巻き付け、その部分にレーザを照射して合金化する技術が開示されている。この方法により、レーザ照射部分をオーステナイト(非磁性体または弱磁性体)に改質することができる。しかしながら、上記方法では、レーザ照射の加熱により主に母材表面だけが磁性改質され、母材の深い部分(裏面)にまでは十分に磁性改質できない。これは、厚肉の母材において特に顕著である。
そこで、特許文献2には、母材に対して加熱によりキーホールを形成し、キーホール周辺の溶融池に合金元素を供給して合金化する技術が開示されている。この方法により、合金元素は、溶融池内で対流し、母材の深さ(厚さ)方向に拡散して母材裏面にまで達する。つまり、母材のうちレーザで溶融した部位(キーホールが形成された部分を含む)において、母材の深い部分にまで確実に合金元素が拡散し、母材の表面から裏面に至るまで磁性改質を行うことができる。
特開平5−237678号公報 WO/2012/172864号公報
特許文献2に記載の方法おいて、母材として鋼(Fe)、合金元素としてマンガン(Mn)、クロム(Cr)、またはニッケル(Ni)を用いた場合、鋼(Fe)の沸点(2750℃)がマンガン(Mn)、クロム(Cr)、またはニッケル(Ni)の各沸点(2097℃、2640℃、2732℃)より高いため、合金元素が蒸発して溶融池内の合金元素の濃度分布が不均一になる場合がある。また、キーホール周辺の溶融池内での合金元素の対流が乱れて溶融池内の温度分布が不均一になる場合がある。よって、母材の表面から裏面に至るまで均一に磁性改質することができないおそれがあり、この課題を解決するには加工条件を明確化する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、磁性体または非磁性体により形成された母材を、母材の沸点とは異なる沸点を有する合金元素を用いて明確な加工条件の基に均一に磁性改質することができる複合磁気材料の製造方法を提供することを目的とする。
(請求項1)本発明の複合磁気材料の製造方法は、磁性体または非磁性体により形成された母材を、前記母材の沸点とは異なる沸点を有する合金元素を用いて磁性改質する複合磁気材料の製造方法であって、前記母材に前記合金元素を配置する準備工程と、前記母材および前記合金元素を加熱して溶融させることにより、溶融池に前記合金元素を配置する加熱工程と、を備え、前記加熱工程は、前記母材および前記合金元素の一方の沸点が高い材料に与える加熱手段の加熱力および前記沸点が高い材料の熱吸収率に基づいて、前記沸点が高い材料の入熱量η を求めるとともに、前記母材および前記合金元素の他方の沸点が低い材料に与える前記加熱手段の加熱力および前記沸点が低い材料の熱吸収率に基づいて、前記沸点が低い材料の入熱量η を求め、前記入熱量η と前記入熱量η との比ηA/Bが1以上となるように前記母材および前記合金元素を加熱し、前記母材のうち加熱で溶融させた部位を、前記母材が磁性体であれば磁性を弱めまたは非磁性化し、前記母材が非磁性体であれば磁性化する。
(請求項2)また、前記加熱工程では、前記入熱量比(η/η)が12以下となるように前記母材および前記合金元素を加熱してもよい。
(請求項3)また、前記加熱工程では、前記母材および前記合金元素を定点加熱する場合、加熱力の密度分布を、高さが同一で径が異なる複数の円柱形状をl段(lは1より大きい正の整数であって、全ての円柱の段数)段積みして近似することにより、前記入熱量比(η/η)を次式(1)〜(3)で求めるようにしてもよい。
Figure 0006212924
Figure 0006212924
Figure 0006212924

ただし、η:沸点が高い材料の入熱量、η:沸点が低い材料の入熱量
ηA/B(=η/η):入熱量比、α:合金元素の熱吸収率、β:母材の熱吸収率
W:加熱力、h:円柱形状の高さであって加熱力の密度
ri:i断目の円柱形状の半径(iは1〜l−1の正の整数)
rk:k断目の円柱形状の半径(kは沸点が高い材料と沸点が低い材料との境界に接する円柱の段数)
θi:2cos−1(rk/ri)
(請求項4)また、前記加熱工程では、前記母材および前記合金元素を移動加熱する場合、加熱力の密度分布を、高さが同一で移動加熱方向と直角な方向の幅が異なる複数の直方体形状をl段(lは1より大きい正の整数であって、全ての直方体の段数)段積みして近似することにより、前記母材および前記合金元素の一方の沸点が高い材料の入熱量δと他方の沸点が低い材料の入熱量δとの比δA/Bを次式(4)〜(6)で求めるようにしてもよい。
Figure 0006212924
Figure 0006212924
Figure 0006212924

ただし、δ:沸点が高い材料の入熱量、δ:沸点が低い材料の入熱量
δA/B(=δ/δ):入熱量比、α:合金元素の熱吸収率、β:母材の熱吸収率
W:加熱力、v:加熱の移動速度、H:直方体形状の高さであって加熱力の密度
B:母材および合金元素の境界線の長さ
2ri:i断目の直方体形状における移動加熱方向と直角な方向の幅(iは1〜l−1の正の整数)
2rk:k断目の直方体形状における移動加熱方向と直角な方向の幅(kは沸点が高い材料と沸点が低い材料との境界に接する直方体の段数)
(請求項5)また、前記加熱工程では、前記母材および前記合金元素を加熱して、前記母材の表面から裏面に向かって溶融させてキーホールを形成することにより、前記キーホールの周囲の溶融池に前記合金元素を配置するようにしてもよい。
(請求項1)本発明によれば、母材および合金元素の一方の沸点が高い材料の入熱量ηと他方の沸点が低い材料の入熱量ηとの比ηA/Bが1以上となるように母材および合金元素を加熱しているので、母材又は合金元素の蒸発を抑制することができる。これにより、溶融池内での合金元素の対流を良好にして溶融池内の温度分布および合金元素の濃度分布を均一にすることができるとともに、合金元素を母材の深さ(厚さ)方向に拡散させて母材裏面にまで到達させることができる。よって、明確な加工条件に基づいて母材の表面から裏面に至るまで均一に磁性改質することができる。
(請求項2)これにより、母材の磁性改質を行う部分における合金元素の母材に対する含有量を適切な値に調整することができるので、明確な加工条件に基づいて母材の当該部分をより均一に磁性改質することができる。
(請求項3)これにより、より明確な加工条件となるので、母材の定点部分における磁性改質を精度よく行うことができる。
(請求項4)これにより、より明確な加工条件となるので、母材の広い範囲において磁性改質を精度よく行うことができる。
(請求項5)これにより、母材の表面から裏面に至るまで均一に確実に磁性改質することができる。
実施形態の複合磁気材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図1の準備工程の母材と合金元素のプレス前の状態を示す模式断面図である。 図1の準備工程の母材と合金元素のプレス中の状態を示す模式断面図である。 図1の準備工程の母材と合金元素のプレス後の状態を示す模式断面図である。 図1の加熱工程を説明するための模式断面図である。 図1の加熱工程を説明するための模式斜視図である。 合金元素(Mn)の供給量に対する母材(Fe)の磁性の変化を説明するためのグラフである。 母材および合金元素に対しレーザを照射して各入熱量を変化させる実験方法を説明するための模式斜視図である。 レーザで定点加熱したときのレーザの照射出力(加熱力)の密度分布を示す図である。 図7のレーザの照射出力(加熱力)の密度分布の近似形状を示す斜視図である。 図8Aのレーザの照射出力(加熱力)の密度分布の近似形状を上方から見た図である。 母材および合金元素に対しレーザを照射したときの、母材の入熱量ηと合金元素の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)と、非磁性部の均一撹拌性との関係を示すグラフである。 母材の入熱量ηと合金元素の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)が1以下のときの非磁性部付近の状態を示す断面図である。 母材の入熱量ηと合金元素の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)が1以上のときの非磁性部付近の状態を示す断面図である。 母材および合金元素に対しレーザを照射したときの、母材の入熱量ηと合金元素の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)と、非磁性部における合金元素の含有量との関係を示すグラフである。 レーザで移動加熱したときのレーザの照射出力(加熱力)の密度分布を示す図である。 図11のレーザの照射出力(加熱力)の密度分布の近似形状を示す斜視図である。 図12Aのレーザの照射出力(加熱力)の密度分布の近似形状を上方から見た図である。 図1の準備工程の別例を説明するための模式断面図である。 図1の準備工程のさらに別例の母材と合金元素のプレス前の状態を示す模式断面図である。 図1の準備工程のさらに別例の母材と合金元素のプレス中の状態を示す模式断面図である。 図1の準備工程のさらに別例の母材と合金元素のプレス後の状態を示す模式断面図である。 合金元素(Mn)の供給量に対する母材(Fe−Cr)の磁性の変化を説明するためのグラフである。 合金元素(Ni)の供給量に対する母材(Fe−Cr)の磁性の変化を説明するためのグラフである。
(1.複合磁気材料の製造方法)
本発明の実施形態の複合磁気材料の製造方法は、例えば鉄(Fe)を主成分とする磁性体により形成された母材を、母材の沸点より低い沸点を有する例えばマンガン(Mn)、またはニッケルクロム(NiCr)等の合金元素を用いて磁性改質する方法である。母材には、例えば、SC材やSS材などの炭素鋼を用いる。そして、複合磁気材料の製造方法は、図1に示すように、主に、準備工程S0と、加熱工程S1とを備えている。なお、母材の加熱側の面を表面と称し、加熱側とは反対の面(すなわち表面と反対の面)を裏面と称する。
準備工程S0は、磁性体で形成された一層の母材1の表面に合金元素4を配置する工程である。例えば、図2A〜図2Cに示すように、母材1のプレス加工の際に、母材1の表面に合金元素4を打ち込むことにより、合金元素4を母材1の表面に配置する。このとき、母材1と合金元素4は、それぞれ独立して存在しており、合金化されていない。
ここで、複合磁気材料は、様々な用途で用いられ、例えばロータ等のモータ部品としても用いられる。このように、例えば自動車部品等の用途に応じて、複合磁気材料はプレス加工で成型される。そこで、例えば、このプレス加工において、母材1表面の磁性改質したい部位(改質対象部位)に合金元素4を配置し、パンチ6により母材1に打ち込む。なお、プレス加工の際に、合金元素4を、母材1の裏面のみにプレスしてもよいし、母材1の表面と裏面の両面にプレスしてもよい。
加熱工程S1は、図3および図4に示すように、母材1に対し、レーザ2を照射してキーホール3を形成し、キーホール3周囲の溶融池5に合金元素4を配置する工程である。キーホール3とは、レーザ2の照射によって、レーザ2が照射される母材1の表面から裏面に向かって形成される円穴を意味する。そして、キーホール3形成時には蒸発金属が発生し、キーホール3の周囲には溶融池5が形成される。そして、キーホール3周囲に形成される溶融池5に合金元素4が供給される。なお、キーホール3の形成に必要なレーザのパワー密度は、一般に、およそ1×10〜1×10W/cm以上である。
加熱工程S1では、母材1に対するレーザ2照射位置を相対移動させる。レーザ2照射位置が相対移動すると、前照射位置のキーホール3は、溶融した母材1により埋められる。なお、溶融池5の周囲には熱影響を受けた熱影響部Aが形成される。母材1は、例えば端部のみを支持する台座等に配置され、キーホール3および溶融池5の下方(裏面のキーホール3周辺)は空間となっていてもよい。
溶融した合金元素4は、溶融池5内に混入し拡散する。溶融池5では、対流が発生しやすい(図3矢印参照)。これにより、合金元素4は、母材1の深さ方向に拡散し、母材1の裏面にまで供給される。母材1のうちレーザ2により溶融した部位は、合金元素4によって合金化して、表面から裏面まで非磁性体または母材1の磁性より弱い磁性体に変化する。つまり、複合磁気材料10は、図4に示すように、磁性部11と、非磁性部(または磁性部11より磁性が弱い弱磁性部)12と、を備える。
(2.加熱工程における加工条件)
次に、複合磁気材料を製造する際の加熱工程における加工条件を明確にするため、母材1および合金元素4に対しレーザ2を照射したときの各入熱量の比を変化させ、そのときに形成される非磁性部12の均一撹拌性、並びに形成される非磁性部12における合金元素4の含有量について実験を行った。母材1としては、炭素鋼(Fe)であるSS400を用い、合金元素4としては、マンガン(Mn)を用いた。
ここで、均一撹拌性とは、形成される非磁性部12の厚さ(深さ)のバラツキと、レーザ2を照射したときの母材1および合金元素4の溶融速度(=母材1および合金元素4の体積/レーザ2の照射時間)との比で表される。当該比の数値が小さいほど良好な均一撹拌性となる。
また、合金元素4の最適な含有量を決定するため、合金元素4の供給量に対する母材1の磁性の変化について説明する。図5に示すように、磁性改質後の材料をFe−Mn合金とする場合、母材1(Fe)の非磁性化する部分に対し、合金元素4(Mn)が18質量%以上含有した状態で合金化されていれば、確実に当該部分を非磁性化することができる。
図6に示すように、母材1として厚さtの直方体状のSS400の炭素鋼(Fe)の間に、合金元素4として厚さtの帯状のマンガン(Mn)を配置し、スポット直径が2×r1のレーザ2を照射する。そして、レーザ2のスポット中心Cを母材1および合金元素4の直線状の境界線Lに対し直角方向(図示矢印方向)に移動させ、母材1および合金元素4の各入熱量の比を変化させる。
先ず、レーザ2を定点照射して母材1および合金元素4を加熱する場合を説明する。この定点照射の場合、図7に示すように、レーザ2の照射出力(加熱力)の密度分布は、スポット直径が2×r1の略円錐形状となる。そこで、図8Aおよび図8Bに示すように、レーザ2の照射出力(加熱力)を高さhが一定で半径riが異なる複数の円柱形状をl段(lは1より大きい正の整数であって、全ての円柱の段数)段積みした形状で近似する。なお、iは1〜l−1の正の整数である。
そして、レーザ2のスポット中心Cを母材1および合金材料4の境界線Lから母材1側にrk離間させた位置に位置決めして母材1および合金元素4を加熱した場合、母材1の入熱量ηと合金元素4の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)は次式(1)〜(3)により求めることができる。これにより、より明確な加工条件となるので、母材1の定点部分における磁性改質を精度よく行うことができる。
Figure 0006212924
Figure 0006212924
Figure 0006212924

なお、η:母材1の入熱量、η:合金元素4の入熱量
ηA/B(=η/η):入熱量比
α:合金元素の熱吸収率、β:母材の熱吸収率
W:レーザ2の照射出力(加熱力)、h:円柱形状の高さであって加熱力の密度
ri:i断目の円柱形状の半径
rk:k断目の円柱形状の半径(kは母材1と合金元素4との境界に接する円柱の段数)
θi:扇形の角度=2cos−1(rk/ri)
図9に示すように、母材1および合金元素4に対しレーザ2を照射したとき、母材1の入熱量ηと合金元素4の入熱量ηとの比ηA/Bと、非磁性部12の均一撹拌性との関係は、入熱量比ηA/Bが増加するにつれて均一撹拌性は低下、すなわち良好になっていくことが分かる。よって、入熱量比ηA/Bが1以上であれば良好な均一撹拌性を得ることができる。特に、入熱量比ηA/Bを2以上とすることで、均一撹拌性をより良好にすることができる。
また、図10に示すように、母材1および合金元素4に対しレーザ2を照射したとき、母材1の入熱量ηと合金元素4の入熱量ηとの比ηA/Bと、非磁性部12における合金元素4の含有量との関係は、入熱量比ηA/Bが増加するにつれて合金元素4の含有量は低下、すなわち悪化してくことが分かる。よって、図5に示すように、磁性改質後の材料をFe−Mn合金とする場合、母材1(Fe)の非磁性化する部分に対し、合金元素4(Mn)が18質量%以上含有されていればよいので、入熱量比ηA/Bが12以下であれば確実に当該部分を非磁性化することができる。ここで、入熱量比ηA/Bが7以下であれば、合金元素4(Mn)が30重量%以上含有されており、当該部分を確実に非磁性化できる。
上述の加工条件は、レーザ2を定点照射して母材1および合金元素4を加熱する場合を説明したが、次に、レーザ2を移動照射して母材1および合金元素4を加熱する場合を説明する。この移動照射の場合、図11に示すように、レーザ2の照射出力(加熱力)は、略三角柱形状となる。そこで、図12Aおよび図12Bに示すように、レーザ2の照射出力(加熱力)を高さHが一定で幅2riが異なる複数の直方体形状をl段(lは1より大きい正の整数であって、全ての直方体の段数)段積みした形状で近似する。なお、iは1〜l−1の正の整数である。
そして、レーザ2のスポット中心Cを母材1および合金材料4の境界線Lから母材1側にrk離間させて境界線Lに平行に移動させて母材1および合金元素4を加熱した場合、母材1の入熱量δと合金元素4の入熱量δとの比δA/B(=δ/δ)は次式(4)〜(6)により求めることができる。これにより、より明確な加工条件となるので、母材1の広い範囲において磁性改質を精度よく行うことができる。
Figure 0006212924
Figure 0006212924
Figure 0006212924

なお、δ:母材1の入熱量、δ:合金元素4の入熱量
δA/B(=δ/δ):入熱量比
α:合金元素4の熱吸収率、β:母材1の熱吸収率
W:レーザ2の照射出力(加熱力)、v:レーザ2の移動速度、H:直方体形状の高さであって加熱力の密度
B:母材1および合金元素4の境界線Lの長さ
2ri:i断目の直方体形状における移動加熱方向と直角な方向の幅
2rk:k断目の直方体形状における移動加熱方向と直角な方向の幅(kは母材1と合金元素4との境界に接する直方体の段数)
(3.加工条件の明確化による効果)
上述のように、母材1の入熱量ηと合金元素4の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)が1以上となるように母材1および合金元素4を加熱してキーホール3を形成しているので、母材1の沸点より低い沸点を有する合金元素4の蒸発を抑制することができる。これにより、キーホール3周辺の溶融池5内での合金元素4の対流を良好にして溶融池5内の温度分布および合金元素4の濃度分布を均一にすることができるとともに、合金元素4を母材1の深さ(厚さ)方向に拡散させて母材1裏面にまで到達させることができる。よって、明確な加工条件に基づいて母材1の表面から裏面に至るまで均一に磁性改質することができる。
また、母材1の入熱量ηと合金元素4の入熱量ηとの比ηA/B(=η/η)が12以下となるように母材1および合金元素4を加熱しているので、母材1の磁性改質を行う部分における合金元素4の母材1に対する含有量を適切な値に調整することができ、明確な加工条件に基づいて母材1の当該部分をより均一に磁性改質することができる。
(4.その他)
上述の実施形態では、準備工程S0において母材1のプレス加工の際に、母材1に合金元素4を打ち込むようにしたが、以下のような工程としてもよい。すなわち、図13に示すように、母材1の表面に合金元素4の粉末を配置するようにしてもよい。これによれば、母材1表面に合金元素4を配置しやすく、また、配置位置の制御も容易である。なお、合金元素4の粉末の代わりに、ペースト、微粒子、および、薄膜のうち少なくとも1つを配置するようにしてもよい。
また、図14A〜図14Cに示すように、母材1の表面および裏面の改質対象部位に溝形状の凹部13、14を形成し、形成された凹部13、14に合金元素4を配置してプレスにより凹部13、14に合金元素4を押し込んで押し固めるようにしてもよい。表面側の凹部13と裏面側の凹部14は、母材1を介して対向する位置に形成されている。これによれば、母材1に対して、両面から合金元素4が供給されるため、合金元素4が厚さ方向により均一に拡散されて配置されるので、厚さ方向により均一に磁性改質することができる。また、母材1の表面から裏面にまで略同幅の非磁性部(改質部)を形成することができる。
なお、母材1の裏面のみに凹部14を形成し、合金元素4を凹部14に押し込んで押し固めるようにしてもよく、これにより、母材1に対して合金元素4が、加熱側とは反対の裏面から供給されるため、キーホール3形成時の上昇する対流により、厚さ方向に均一に拡散され易い。
上述の実施形態では、キーホール3の形成にレーザ2を用いたが、キーホール3を形成可能な高密度エネルギービームであればよく、電子ビームでもよい。また、キーホール3は、加熱により形成されればよく、当該加熱手段はレーザ2に限らず、例えばアーク放電等を利用してもよい。
上述の実施形態では、磁性改質後の材料をFe−Mn合金とする場合の母材1(Fe)の非磁性化する部分に対する合金元素4(Mn)の最適な含有量を決定したが、図15に示すように、磁性改質後の材料をFe−Mn−Cr合金とする場合、母材1(Fe−Cr)の非磁性化する部分に対し、合金元素4(Mn)が18質量%以上含有した状態で合金化されていればよい。同様に、図16に示すように、磁性改質後の材料をFe−Ni−Cr合金とする場合、母材1(Fe−Cr)の非磁性化する部分に対し、合金元素4(Ni)が6質量%以上含有した状態で合金化されていればよい。
また、母材1が非磁性体(例えばステンレス等)である場合も、本方法で改質(磁性化)することができる。また、合金元素4(例えばコバルト(Co))の沸点(3100℃)が母材1(例えば炭素鋼(Fe))の沸点(2750℃)より高い場合、当該合金元素4の入熱量を当該母材1よりも高めることにより、本方法で改質(磁性化)することができる。
なお、本発明は、複数層を溶接するためのキーホール溶接とは異なり、母材1に対してキーホール3を形成し、母材1の厚みに関わらず、母材1表面から裏面まで均一になるように磁性改質するものである。本発明における「キーホール」は、母材の表面から裏面に向かって溶融させて形成されるものである。
キーホールは、溶接の技術分野において、レーザ溶接、電子ビーム溶接、およびアーク溶接等の溶接中に生じる深く狭い穴のことである。複数の部材を溶接する際に、一方の部材にキーホールを形成することで、当該一方の部材と他方の部材とを溶接する。詳細には、一方の部材の表面にレーザなどの熱源を当てた場合に、当該一方の部材にキーホールを形成することで、当該一方の部材の裏面側と他方の部材の表面側とを溶接する。このように、溶接の技術分野は、磁性改質の技術分野と全く異なっている。
本実施形態の複合磁気材料の製造方法は、複数の部材の溶接を行うのではなく、母材の改質を行うために、キーホールを形成している。本発明は、溶接分野におけるキーホール溶接とは全く異なるものである。なお、本発明は、キーホール3を形成せず、単に溶融池5を形成した場合でも同様に適用可能である。
1:母材、2:レーザ、3:キーホール、4:合金元素、5:溶融池、10:複合磁気材料、12:非磁性部

Claims (5)

  1. 磁性体または非磁性体により形成された母材を、前記母材の沸点とは異なる沸点を有する合金元素を用いて磁性改質する複合磁気材料の製造方法であって、
    前記母材に前記合金元素を配置する準備工程と、
    前記母材および前記合金元素を加熱して溶融させることにより、溶融池に前記合金元素を配置する加熱工程と、
    を備え、
    前記加熱工程は、前記母材および前記合金元素の一方の沸点が高い材料に与える加熱手段の加熱力および前記沸点が高い材料の熱吸収率に基づいて、前記沸点が高い材料の入熱量η を求めるとともに、前記母材および前記合金元素の他方の沸点が低い材料に与える前記加熱手段の加熱力および前記沸点が低い材料の熱吸収率に基づいて、前記沸点が低い材料の入熱量η を求め、前記入熱量η と前記入熱量η との比ηA/Bが1以上となるように前記母材および前記合金元素を加熱し、
    前記母材のうち加熱で溶融させた部位を、前記母材が磁性体であれば磁性を弱めまたは非磁性化し、前記母材が非磁性体であれば磁性化する複合磁気材料の製造方法。
  2. 前記加熱工程では、前記入熱量比(η/η)が12以下となるように前記母材および前記合金元素を加熱する、請求項1の複合磁気材料の製造方法。
  3. 前記加熱工程では、前記母材および前記合金元素を定点加熱する場合、加熱力の密度分布を、高さが同一で径が異なる複数の円柱形状をl段(lは1より大きい正の整数であって、全ての円柱の段数)段積みして近似することにより、前記入熱量比(η/η)を次式(1)〜(3)で求める、請求項1または2の複合磁気材料の製造方法。
    Figure 0006212924

    Figure 0006212924

    Figure 0006212924

    ただし、η:沸点が高い材料の入熱量、η:沸点が低い材料の入熱量
    ηA/B(=η/η):入熱量比、α:合金元素の熱吸収率、β:母材の熱吸収率
    W:加熱力、h:円柱形状の高さであって加熱力の密度
    ri:i断目の円柱形状の半径(iは1〜l−1の正の整数)
    rk:k断目の円柱形状の半径(kは沸点が高い材料と沸点が低い材料との境界に接する円柱の段数)
    θi:2cos−1(rk/ri)
  4. 前記加熱工程では、前記母材および前記合金元素を移動加熱する場合、加熱力の密度分布を、高さが同一で移動加熱方向と直角な方向の幅が異なる複数の直方体形状をl段(lは1より大きい正の整数であって、全ての直方体の段数)段積みして近似することにより、前記母材および前記合金元素の一方の沸点が高い材料の入熱量δと他方の沸点が低い材料の入熱量δとの比δA/Bを次式(4)〜(6)で求める、請求項1または2の複合磁気材料の製造方法。
    Figure 0006212924

    Figure 0006212924

    Figure 0006212924

    ただし、δ:沸点が高い材料の入熱量、δ:沸点が低い材料の入熱量
    δA/B(=δ/δ):入熱量比、α:合金元素の熱吸収率、β:母材の熱吸収率
    W:加熱力、v:加熱の移動速度、H:直方体形状の高さであって加熱力の密度
    B:母材および合金元素の境界線の長さ
    2ri:i断目の直方体形状における移動加熱方向と直角な方向の幅(iは1〜l−1の正の整数)
    2rk:k断目の直方体形状における移動加熱方向と直角な方向の幅(kは沸点が高い材料と沸点が低い材料との境界に接する直方体の段数)
  5. 前記加熱工程では、前記母材および前記合金元素を加熱して、前記母材の表面から裏面に向かって溶融させてキーホールを形成することにより、前記キーホールの周囲の溶融池に前記合金元素を配置する、請求項1〜4の何れか一項の複合磁気材料の製造方法。
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