以下、添付図面を参照して、温度調整装置の実施の形態について説明する。
図1に示す温度調整装置1は、「温度調整装置」の一例である循環型の温度調整装置(チラー)であって、貯液槽2、冷凍サイクル3、ポンプ4、熱交換器5、配電盤6、圧力センサ7、温度センサ8および制御部9を備え、後述するように熱交換器5によって温度調整した冷却水Wを供給対象Xに供給することで供給対象Xの温度を調整することができるように構成されている。なお、本例の温度調整装置1では、「熱媒液」の一例である冷却水Wとして工業用蒸留水を供給対象Xに供給可能に構成されているが、工業用蒸留水に代えて、上水道水やエチレングリコール等の各種の液体を「熱媒液」として供給する構成を採用することもできる。
貯液槽2は、「少なくとも一方の貯液層」としての「第1の貯液槽」に相当し、一例として、ステンレススチール等の板材を折り曲げ加工することによって冷却水Wを貯液可能な箱状に形成されると共に、後述するように供給対象Xから回収されて熱交換器5において温度調整される冷却水Wを貯液可能に図示しない筐体内に設置されている。
この場合、本例の温度調整装置1では、一例として貯液槽2の上にポンプ4が取り付けられており、ポンプ4が吸水管P0を介して貯液槽2内の冷却水Wを汲み上げて配管P1を介して供給対象Xに圧送する(供給する)構成が採用されている。また、貯液槽2には、供給対象Xに供給した冷却水Wを回収して貯液するための配管P2が接続されている。なお、この貯液槽2には、新たな冷却水Wを吸水するための吸水管や、貯液量に応じて吸水管を開閉するフロート弁等が配設されているが、温度調整装置1の構成に関する理解を容易とするために、それらについての図示および説明を省略する。
冷凍サイクル3は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、蒸発器14およびファン15を備えている。この場合、本例の冷凍サイクル3における圧縮機11は、インバータユニット11aから供給される電力の周波数に応じた回転速で回転するモータ(回転数可変型のモータ)を動力源として備えて冷媒の圧縮能力を変化させることができるように構成されている。また、本例の冷凍サイクル3では、一例として、圧縮機11におけるクランクケースの周囲に「加熱機」の一例である電熱ヒータ20が配設されている。
また、本例の温度調整装置1(冷凍サイクル3)では、前述した筐体の側面に凝縮器12が取り付けられると共に筐体の天面にファン15が取り付けられている。これにより、この温度調整装置1では、ファン15によって筐体内の空気を排気することで筐体の周囲の空気(外気)が筐体内に取り込まれ、この際に、取り込まれる空気が凝縮器12を通過させられることによって凝縮器12(凝縮器12内の冷媒)が冷却される。この場合、本例の冷凍サイクル3におけるファン15は、インバータユニット15aから供給される電力の周波数に応じた回転速で回転するモータ(回転数可変型のモータ)を動力源として備えて凝縮器12の冷却能力(すなわち、凝縮器12による冷媒の凝縮能力)を変化させることができるように構成されている。
さらに、この冷凍サイクル3では、一例として電子膨張弁で膨張弁13が構成されている。また、この冷凍サイクル3では、後述するように、蒸発器14が熱交換器5内に構成されている。さらに、本例の冷凍サイクル3は、圧縮機11から吐出された冷媒を、凝縮器12および膨張弁13を通過させずに熱交換器5内の蒸発器14に流入させるバイパス配管16と、制御部9の制御に従ってバイパス配管16を開閉する制御弁17とを備えている。この場合、本例の冷凍サイクル3では、バイパス配管16を通過する冷媒の量を任意に調整可能な電子膨張弁で上記の制御弁17が構成されている。
また、冷凍サイクル3は、温度センサ18および圧力センサ19a,19bを備えている。この場合、温度センサ18は、圧縮機11に吸入される冷媒の温度(冷凍サイクル内の冷媒の温度)を特定可能なセンサ信号S18を出力する。また、圧力センサ19aは、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力(吸入圧力)を特定可能なセンサ信号S19aを出力する。さらに、圧力センサ19bは、「少なくとも一方のセンサ」としての「圧力センサ」の一例であって、圧縮機11から吐出される冷媒の圧力(吐出圧力:「冷凍サイクル内の冷媒の圧力」の一例)を特定可能なセンサ信号S19b(「第2のセンサ信号」の一例)を出力する。なお、冷凍サイクル3の動作原理についての理解を容易とするために、冷凍サイクル3における上記の各構成要素以外の構成要素に関する図示および詳細な説明を省略する。
ポンプ4は、インバータユニット4aから供給される電力の周波数に応じた回転速で回転するモータ(回転数可変型のモータ)を動力源として備えた圧送量可変型の揚水ポンプであって、前述したように貯液槽2内の冷却水Wを汲み上げて熱交換器5に圧送することで供給対象Xに冷却水Wを供給する。この場合、貯液槽2が吸水管P0および配管P1,P2を介して供給対象Xに接続されている本例の温度調整装置1では、ポンプ4が配管P1を介して供給対象Xに冷却水Wを供給する圧力によって供給対象Xから配管P2を介して冷却水Wが貯液槽2に回収される。
熱交換器5は、「温度調整器」の一例であって、前述したように、その内部に冷凍サイクル3の蒸発器14が構成されると共に、冷却水Wの通過が可能に構成されて配管P1に配設されている。この場合、本例の温度調整装置1では、熱交換器5が配管P1におけるポンプ4と供給対象Xとの間に配設されている。この熱交換器5は、冷凍サイクル3の膨張弁13を通過させられて蒸発器14内に吐出される冷媒と、ポンプ4によって圧送される冷却水Wとを熱交換させることで、温度調整装置1(貯液槽2)から供給対象Xに向かって圧送される冷却水Wの温度を調整する(冷却水Wを冷却する)。また、本例の温度調整装置1では、省スペース化を目的として、貯液槽2に貯液されている冷却水W内に埋没するように(冷却水Wに接するように)して熱交換器5が貯液槽2内に収容されている。
配電盤6は、上記のインバータユニット4a,11a,15aや制御部9などを構成する制御回路基板を備えて構成され、貯液槽2、冷凍サイクル3、ポンプ4および熱交換器5などと共に温度調整装置1の筐体内に収容されている。この場合、本例の温度調整装置1では、各インバータユニット4a,11a,15a等の異常発熱を検出するための温度センサ6aが配電盤6に配設されている。この温度センサ6aは、「第3の温度センサ」の一例であって、配電盤6の周囲の温度(「筐体内の温度」の一例)を検出してセンサ信号S6a(「第3のセンサ信号」の一例)を出力する。
圧力センサ7は、配管P1(配管P1における熱交換器5と供給対象Xとの間)に配設されてポンプ4によって配管P1内を供給対象Xに向けて圧送される冷却水Wの圧力を検出してセンサ信号S7を出力する。温度センサ8は、「第1の温度センサ」の一例であって、配管P1(配管P1における熱交換器5と供給対象Xとの間)に配設されてポンプ4によって配管P1内を供給対象Xに向けて圧送される冷却水Wの温度を検出してセンサ信号S8(「第1のセンサ信号」の一例)を出力する。
制御部9は、「制御部」の一例であって、温度調整装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部9は、インバータユニット4aに制御信号S4を出力することでポンプ4に対して電力を供給させて温度調整装置1(貯液槽2)から供給対象Xへの冷却水Wの供給(圧送)を実行させる。また、制御部9は、インバータユニット11aに制御信号S11を出力することで圧縮機11に対して電力を供給させて冷媒の圧縮処理を実行させ、かつ膨張弁13に制御信号S13を出力することで必要量の冷媒を蒸発器14に吐出させると共に、インバータユニット15aに制御信号S15を出力することでファン15に電力を供給させて凝縮器12を冷却させ、必要量の冷媒を凝縮させる。
この場合、制御部9は、温度調整装置1に対して電源が供給されている状態において、図2に示す圧縮機加熱処理30を実行し、冷凍サイクル3(圧縮機11)の動作状態、冷却水Wの温度、冷凍サイクル3内における冷媒圧力、および配電盤6の温度等に応じて電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行/停止させる。なお、圧縮機加熱処理30の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
また、制御部9は、図示しない操作部の操作によって供給対象Xに対する冷却水Wの供給開始を指示されたときに、温度センサ18からのセンサ信号S18や圧力センサ19a,19bからのセンサ信号S19a,S19bに応じて冷凍サイクル3の動作(圧縮機11、ファン15、膨張弁13および制御弁17の状態)やポンプ4の動作を制御することにより、設定された温度に温度調整した冷却水Wを、設定された流量で供給対象Xに供給させる。なお、本例の温度調整装置1では、供給対象Xに対する冷却水Wの供給開始を指示された時点から、供給対象Xに対する冷却水Wの供給停止を指示されるまでの間が、「予め規定された温度調整処理実行条件が満たされたとき」に相当する。
さらに、制御部9は、例えば温度センサ8からのセンサ信号S8に基づいて供給対象Xに供給している冷却水Wの温度(配管P1内の冷却水Wの温度)を特定し、特定した温度が設定温度となるように、圧縮機11の回転数(圧縮能力)、膨張弁13の開度、およびファン15の回転数(凝縮器12による冷媒の凝縮量)を調整するフィードバック制御を実行する。また、制御部9は、ポンプ4によって貯液槽2から供給対象Xに冷却水Wを圧送させているときに、一例として、圧力センサ7からのセンサ信号S7に基づいて配管P1内の冷却水Wの圧力を特定し、特定した圧力に応じて、利用者が設定した流量で温度調整装置1から供給対象Xに冷却水Wが圧送されるようにインバータユニット4a(ポンプ4)をフィードバック制御する。
この温度調整装置1の使用に際しては、まず、温度調整装置1を設置して配管P1,P2を介して供給対象Xに接続すると共に、貯液槽2内に冷却水Wを貯液する。次いで、電源ケーブルを商用交流等に接続した後に、図示しない主電源スイッチを投入する。この際に、制御部9は、図2に示す圧縮機加熱処理30を開始する。
この圧縮機加熱処理30では、制御部9は、まず、冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作(冷却水Wの供給処理の開始を指示するスイッチ操作)が行われたか否かを判別する(ステップ31)。この際には、主電源スイッチの投入直後で、動作開始を指示するスイッチ操作が行われていないため(「温度調整処理実行条件が満たされていないとき」の一例)、制御部9は、温度センサ8からのセンサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度が15℃(「予め規定された第1の温度」の一例)以下であるか否かを判別する(「第1の条件」が満たされたか否かを判別する「第1の判別処理」の一例:ステップ32)。
この場合、例えば冬期のように温度調整装置1の周囲温度が低下しているときには、外気に接している凝縮器12において冷媒が冷却されて温度低下するだけでなく、貯液槽2、ポンプ4および配管P1,P2内の冷却水Wの温度も低下する結果、低温の冷却水Wと冷媒との熱交換器5における熱交換によって冷媒の温度が低下させられる。また、前述したように、熱交換器5(蒸発器14)が貯液槽2内に収容されて貯液槽2内の大量の冷却水Wに熱交換器5が接している本例の温度調整装置1では、例えば春期や秋期にように温度調整装置1の周囲温度がやや高くても、貯液槽2内の冷却水Wの温度が低いときには、低温の冷却水Wと冷媒との熱交換器5における熱交換によって冷媒の温度が低下させられる。
したがって、本例の温度調整装置1では、センサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度が低温のときに、制御部9が、電熱ヒータ20を制御して圧縮機11の加熱処理を実行させる。なお、「予め規定された第1の温度」は、上記の例示のような「15℃」に限定されず、使用する冷媒の種類に応じて適宜規定することができるが、出願人は、本例の冷凍サイクル3において使用している冷媒(一例として、R−410A)と同種の冷媒を使用した「温度調整装置」においては、12℃以上18℃以下の範囲内の温度を「予め規定された第1の温度」として規定して電熱ヒータ20による加熱処理を実行することで、後述するように、寝込み現象の発生を好適に回避することができることを確認している。
具体的には、温度センサ8からのセンサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度が15℃以下のときに(「第1の条件が満たされているとき」の一例:ステップ32)、制御部9は、電熱ヒータ20がオン状態であるか否か(加熱処理中であるか否か)を判別する(ステップ33)。この際に、圧縮機加熱処理30の開始直後で電熱ヒータ20がオフ状態の本例では、制御部9は、電熱ヒータ20をオン状態に制御して圧縮機11の加熱処理を開始させる(ステップ34)。これにより、電熱ヒータ20によって圧縮機11が加熱されて圧縮機内の冷媒が温度上昇させられる結果、外気温が低いとき、または、外気温がある程度高いものの冷却水Wの温度が低いときであっても、冷媒流路内で寝込み現象が発生する事態が好適に回避される。
次いで、制御部9は、ステップ31に戻って冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作が行われていないと判別した後に、冷却水Wの温度が15℃以下であり(ステップ32)、かつ電熱ヒータ20がオン状態であると判別して(ステップ33)、再びステップ31に戻る。これにより、後述するように、冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作が行われるか、或いは、冷却水Wの温度が15℃を超えるまで、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理が継続して実行される。
一方、上記の例示とは相違するが、センサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度が15℃を超えていたときに(ステップ32)、制御部9は、圧力センサ19bからのセンサ信号S19bに基づいて特定される冷媒圧力が1.15MPa(「予め規定された圧力」の一例)以下であるか否かの判別処理(「第2の条件」が満たされたか否かを判別する「第2の判別処理」の一例)、および温度センサ6aからのセンサ信号S6aに基づいて特定される配電盤の温度(「筐体内の温度」の一例)が15℃(「予め規定された第2の温度」の一例)以下であるか否かの判別処理(「第3の条件」が満たされたか否かを判別する「第3の判別処理」の一例)を実行する(ステップ35)。
この場合、温度調整装置1の周囲の温度がやや低い状態においては、冷却水Wの温度が15℃を超えていたとしても、外気に接している凝縮器12において冷媒が冷却されて温度低下する結果、冷媒流路内の冷媒圧力が低下する。したがって、本例の温度調整装置1では、冷却水Wの温度が15℃を超えていたとしても、冷媒圧力が低いときに制御部9が、電熱ヒータ20を制御して圧縮機11の加熱処理を実行させる。
なお、「予め規定された圧力」は、上記の例示のような「1.15MPa」に限定されず、使用する冷媒の種類に応じて適宜規定することができるが、出願人は、本例の冷凍サイクル3において使用している冷媒(本例では、R−410A)と同種の冷媒を使用した「温度調整装置」においては、1.05MPa以上1.25MPa以下の範囲内の圧力を「予め規定された圧力」として規定して電熱ヒータ20による加熱処理を実行することで、後述するように、寝込み現象の発生を好適に回避することができることを確認している。
具体的には、圧力センサ19bからのセンサ信号S19bに基づいて特定される冷媒圧力が1.15MPa以下のときに(「第2の条件が満たされているとき」の一例:ステップ35)、制御部9は、電熱ヒータ20がオン状態であるか否か(加熱処理中であるか否か)を判別する(ステップ33)。この際に、電熱ヒータ20がオフ状態の本例では、制御部9は、電熱ヒータ20をオン状態に制御して圧縮機11の加熱処理を開始させる(ステップ34)。これにより、電熱ヒータ20によって圧縮機11が加熱されて圧縮機内の冷媒が温度上昇させられる結果、外気温が低いときであっても、冷媒流路内で寝込み現象が発生する事態が好適に回避される。
この場合、温度調整装置1の周囲の温度が急激に温度低下しているときには、外気に接している凝縮器12において冷媒が冷却されて冷媒圧力が低下するが、この冷媒は、熱交換器5(蒸発器14)が貯液槽2内の大量の冷却水Wに接していることで冷却水Wの温度の影響を受けるため、寝込み現象が生じ得る圧力まで低下するにはある程度の時間を要する。また、電熱ヒータ20は、加熱処理を開始してから(通電が開始されてから)対象物を十分な温度まで温度上昇させるのにある程度の時間を要する。したがって、周囲温度の急激な低下によって冷媒温度が徐々に低下し、冷媒圧力が上記の「予め規定された圧力(本例では、1.15MPa)」以下となったときに電熱ヒータ20による加熱処理を開始したとしても、電熱ヒータ20によって圧縮機11を十分に温度上昇させる以前に冷媒圧力が大きく低下して寝込み現象が発生するおそれがある。
これに対して、配電盤の温度(筐体内の温度)は、温度調整装置1の周囲の温度(外気温)の変化に応じて比較的短い時間で温度変化する。したがって、本例の温度調整装置1では、冷却水Wの温度が15℃を超え、かつ冷媒圧力が1.15MPaを超えていたとしても、配電盤の温度が低いときに、制御部9が、電熱ヒータ20を制御して圧縮機11の加熱処理を実行させる。
なお、「予め規定された第2の温度」は、上記の例示のような「15℃」に限定されず、使用する冷媒の種類に応じて適宜規定することができるが、出願人は、本例の冷凍サイクル3において使用している冷媒(本例では、R−410A)と同種の冷媒を使用した「温度調整装置」においては、12℃以上18℃以下の範囲内の温度を「予め規定された第2の温度」として規定して電熱ヒータ20による加熱処理を実行することで、後述するように、寝込み現象の発生を好適に回避することができることを確認している。
具体的には、温度センサ6aからのセンサ信号S6aに基づいて特定される配電盤の温度が15℃以下のときに(「第3の条件が満たされているとき」の一例:ステップ35)、制御部9は、電熱ヒータ20がオン状態であるか否か(加熱処理中であるか否か)を判別する(ステップ33)。この際に、電熱ヒータ20がオフ状態の本例では、制御部9は、電熱ヒータ20をオン状態に制御して圧縮機11の加熱処理を開始させる(ステップ34)。これにより、電熱ヒータ20によって圧縮機11が加熱されて圧縮機内の冷媒が温度上昇させられる結果、外気温が低いときであっても、冷媒流路内で寝込み現象が発生する事態が好適に回避される。
次いで、制御部9は、ステップ31に戻って冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作が行われていないと判別した後に、冷却水Wの温度が15℃を超えており(ステップ32)、冷媒圧力が1.15MPa以下である、または、配電盤の温度が15℃以下であると判別し(ステップ35)、かつ電熱ヒータ20がオン状態であると判別して(ステップ33)、再びステップ31に戻る。これにより、後述するように、冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作が行われるか、或いは、冷却水Wの温度が15℃を超え、かつ冷媒圧力が1.15MPaを超えると共に配電盤の温度が15℃を超える状態となるまで、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理が継続して実行される。
これにより、本例の温度調整装置1では、冷凍サイクル3やポンプ4が停止している状態において、冷媒流路中で寝込み現象が発生し得る状態のとき(冷却水Wの温度が15℃以下のとき、冷媒圧力が1.15MPa以下のとき、または配電盤の温度が15℃以下のとき)には、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理が継続的に実行されて冷媒が温度上昇させられるため寝込み現象の発生が好適に回避される。また、冷凍サイクル3やポンプ4が停止している状態において、冷媒流路中で寝込み現象が発生しない状態(冷却水Wの温度が15℃を超え、冷媒圧力が1.15MPaを超え、かつ配電盤の温度が15℃を超えているとき)には、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理が行われないため、電熱ヒータ20による不要な電力の消費が好適に回避される。
一方、供給対象Xの冷却(供給対象Xに対する冷却水Wの供給)に際しては、図示しない操作部を操作して冷却水Wの供給処理の開始を指示する。この際に、制御部9は、前述したステップ31において、冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作(冷却水Wの供給処理の開始を指示するスイッチ操作)が行われたと判別し(「温度調整処理実行条件が満たされているとき」の一例)、電熱ヒータ20がオン状態であるか否か(加熱処理中であるか否か)を判別する(ステップ36)。
この際に、例えば、冷却水Wの温度が15℃を超え、冷媒圧力が1.15MPaを超え、かつ配電盤の温度が15℃を超えていることで電熱ヒータ20がオフ状態に制御されていたときに、制御部9は、電熱ヒータ20をオフ状態に維持しつつ、冷凍サイクル3の動作停止を指示するスイッチ操作(冷却水Wの供給処理の停止を指示するスイッチ操作)が行われたか否かを判別する(ステップ37)。また、例えば、冷却水Wの温度が15℃以下のとき、冷媒圧力が1.15MPa以下のとき、または配電盤の温度が15℃以下のときには、上記のステップ34において電熱ヒータ20がオン状態に制御されるため、制御部9は、電熱ヒータ20がオン状態であると判別し(ステップ36)、電熱ヒータ20をオフ状態に制御した後に(ステップ38)、冷凍サイクル3の動作停止を指示するスイッチ操作(冷却水Wの供給処理の停止を指示するスイッチ操作)が行われたか否かを判別する(ステップ37)。
この後、制御部9は、以下に説明する冷却水Wの供給処理を継続している間、冷凍サイクル3の動作停止を指示するスイッチ操作(冷却水Wの供給処理の停止を指示するスイッチ操作)が行われたか否かを継続的に監視する(ステップ37)。また、制御部9は、動作停止を指示するスイッチ操作の監視と並行して、冷却水Wの冷却および供給対象Xへの供給を実行する。具体的には、制御部9は、まず、インバータユニット4aに制御信号S4を出力してポンプ4への電力供給を開始させる。これにより、ポンプ4によって貯液槽2内の冷却水Wが汲み上げられて供給対象Xへの供給が開始される。
次いで、制御部9は、制御弁17に制御信号S17を出力してバイパス配管16を閉塞させると共に、インバータユニット11aに制御信号S11を出力して圧縮機11への電力供給を開始させる。この際に、圧縮機11は、インバータユニット11aからの電力供給によって運転を開始する。これにより、圧縮機11によって圧縮されることで温度および圧力が上昇した冷媒が圧縮機11から吐出される。また、吐出された冷媒は、凝縮器12において凝縮された後に膨張弁13を通過して熱交換器5内(蒸発器14内)に吐出される。この結果、ポンプ4によって圧送されている冷却水Wと蒸発器14内の冷媒とが熱交換器5において熱交換させられる結果、冷却水Wが十分に冷却される。
一方、制御部9は、温度センサ18からのセンサ信号S18に基づき、圧縮機11に吸入される冷媒の温度(冷媒の吸入温度)を特定すると共に、特定した温度が予め規定された温度(一例として−5℃)を下回っているか否かを判別する。この際に、温度調整装置1の周囲温度が低い冬期などにおいては、温度調整装置1の動作開始時点における冷凍サイクル3内の冷媒の温度が低い状態(すなわち、冷媒圧力が低い状態)となっている。このような状態において圧縮機11による圧縮処理を継続したときには、規定範囲を外れた冷媒圧力下での動作に起因して圧縮機11に各種のトラブルが生じるおそれがあり、また、液状の冷媒(蒸発器14において十分に気化しなかった冷媒)が圧縮機11に吸入されて潤滑不良を招くおそれもある。
したがって、本例の温度調整装置1では、冷媒の吸入温度が規定温度以下のときに、制御部9が、制御弁17に制御信号S17を出力してバイパス配管16を開口させることにより、圧縮機11から吐出された冷媒の一部を、バイパス配管16を介して熱交換器5内の蒸発器14に流入させる状態に制御する。この場合、制御弁17を開口制御した状態では、圧縮機11によって圧縮されることで圧力および温度が上昇した冷媒の一部が、凝縮器12および膨張弁13を通過することなく、蒸発器14内に直接流入する。したがって、制御弁17を閉塞状態に制御していたとき(圧縮機11から吐出された冷媒のすべてが凝縮器12を通過させられる状態)よりも、圧縮機11から吐出されて凝縮器12によって凝縮される冷媒の量が減少する分だけ冷凍サイクル3内の冷媒温度の上昇率が高くなる(冷媒の温度が短時間で上昇する)。これにより、前述したようなトラブルの発生が回避される。
また、制御弁17を開口制御することで冷媒温度(冷媒圧力)が十分に上昇したとき(センサ信号S8に基づいて特定される温度が規定温度を超える状態となったとき)に、制御部9は、制御弁17に制御信号S17を出力して閉塞状態に移行させる。これにより、圧縮機11から吐出された冷媒が凝縮器12および膨張弁13を通過してから蒸発器14内に流入する状態となり、前述したように、熱交換器5において冷却水Wが好適に冷却される状態となる。
なお、本例の温度調整装置1では、温度センサ8からのセンサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度、温度センサ18からのセンサ信号S18に基づいて特定される冷媒温度(冷媒の吸入温度)、圧力センサ19a,19bからのセンサ信号S19a,S19bに基づいて特定される冷媒吐出圧力と冷媒吸入圧力との差(吐出圧力から吸入圧力を差し引いた圧力)などに基づき、圧縮機11の回転数、ファン15の回転数、および膨張弁13の開度などが調整され、供給対象Xに供給される冷却水Wの温度が設定温度となるように冷凍サイクル3の運転状態が変化させられるが、これらの処理については公知のため、詳細な説明を省略する。
また、本例の温度調整装置1では、圧力センサ7からのセンサ信号S7に基づき、配管P1内を供給対象Xに向かって圧送されている冷却水Wの圧力(冷却水供給圧力)を特定されてポンプ4の回転数が調整される。これにより、供給対象Xの冷却(温度調整)に必要な量の冷却水Wが温度調整装置1から供給対象Xに継続的に供給される。
一方、供給対象Xに対する冷却水Wの供給が不要となったときには、図示しない操作部を操作して冷却水Wの供給処理の停止を指示する。この際に、制御部9は、ポンプ4および圧縮機11を停止させると共に、圧縮機加熱処理30のステップ37からステップ31に戻って冷凍サイクル3の動作開始を指示するスイッチ操作(冷却水Wの供給処理の開始を指示するスイッチ操作)が行われたか否かを判別する。また、制御部9は、冷凍サイクル3やポンプ4を停止させているときの冷却水Wの温度、冷媒圧力、および配電盤6の温度に応じて、前述したように、寝込み現象が発生するおそれがあるときには、電熱ヒータ20による加熱処理を実行させ、寝込み現象が発生するおそれがないときには、電熱ヒータ20による加熱処理を停止させた状態とする。これにより、次に冷凍サイクル3やポンプ4の動作を開始させるまでの間に寝込み現象に起因して圧縮機11に潤滑不良が生じる事態が好適に回避される。
このように、この温度調整装置1では、冷却水Wの温度調整を実行する「温度調整処理実行条件」が満たされていないときに(圧縮機加熱処理30のステップ31)、冷却水Wの温度が「予め規定された第1の温度(本例では、15℃)」以下となる「第1の条件」が満たされたか否かを判別する「第1の判別処理」を繰り返して実行し(ステップ32)、「第1の条件」が満たされているときに電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行すると共に(ステップ34)、「温度調整処理実行条件」が満たされているときには加熱処理を停止させた状態とする(ステップ38)。
したがって、この温度調整装置1によれば、加熱処理を実行するか否かを決定することを目的として外気温センサなどのセンサを新たに設けることなく、「温度調整処理(供給対象Xに対する冷却水Wの供給処理)」の実行時に冷却水Wの温度を特定するために使用される温度センサ8を有効活用して、この温度センサ8からのセンサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度が「第1の温度(本例では、15℃)」以下のとき、すなわち、冷媒流路内で寝込み現象が発生するおそれがあるときには、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行することで寝込み現象の発生を好適に回避可能としつつ、特定される冷却水Wの温度が「第1の温度」よりも高いとき、すなわち、冷媒流路内で寝込み現象が発生する可能性が低いときには、加熱処理を実行せずに電熱ヒータ20による電力の消費量を十分に低減することができる。これにより、製造コストの高騰を招くことなく、寝込み現象の発生に起因して圧縮機11の耐用寿命が短くなる事態を好適に回避しつつ、ランニングコストを充分に低減することができる。
また、この温度調整装置1では、「温度調整処理実行条件」が満たされていないときに、冷凍サイクル3内の冷媒の圧力が「予め規定された圧力(本例では、1.15MPa)」以下となる「第2の条件」が満たされたか否かを判別する「第2の判別処理」を「第1の判別処理」と共に繰り返して実行し(ステップ32,35)、「第1の条件」および「第2の条件」の少なくとも一方が満たされているときに加熱処理を実行する(ステップ34)。
したがって、この温度調整装置1によれば、例えば、外気温が低く、冷媒圧力が「予め規定された圧力(1.15MPa)」以下となって寝込み現象が発生するおそれがあるにも拘わらず、冷却水Wの温度が「第1の温度」よりも高いときに、「温度調整処理」の実行時に冷凍サイクル3の動作状態を制御するために使用される圧力センサ19bを有効活用して、この圧力センサ19bからのセンサ信号S19bに基づいて特定される冷媒圧力が「予め規定された圧力(1.15MPa)」以下のときは、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行することで寝込み現象の発生を好適に回避可能としつつ、特定される冷媒圧力が「予め規定された圧力(1.15MPa)」よりも高いとき、すなわち、冷媒流路内で寝込み現象が発生する可能性が低いときには、加熱処理を実行せずに電熱ヒータ20による電力の消費量を十分に低減することができる。
さらに、この温度調整装置1によれば、圧縮機11から吐出される冷媒の圧力を検出可能な圧力センサ19bを「少なくとも一方のセンサ」として配設したことにより、外気との熱交換(外気による冷却)が好適に行われるように配置されている凝縮器の近傍の冷媒圧力を検出することで、外気温が低いことに起因して冷媒圧力が低下する際に、この圧力の低下を好適に検出することができるため、寝込み現象の発生を一層好適に回避することができると共に、外気温が高いことに起因して冷媒圧力が上昇する際に、この圧力の上昇を好適に検出することができるため、寝込み現象が発生するおそれがないときに加熱処理が実行される事態を一層好適に回避することができる結果、電熱ヒータ20による電力消費量を確実に低減することができる。
また、この温度調整装置1では、「温度調整処理実行条件」が満たされていないときに、筐体内の温度(本例では、配電盤6の温度)が「予め規定された第2の温度(本例では、15℃)」以下となる「第3の条件」が満たされたか否かを判別する「第3の判別処理」を「第1の判別処理」および「第2の判別処理」と共に繰り返して実行し(ステップ32,35)、「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」の少なくとも一つが満たされているときに加熱処理を実行する(ステップ34)。
したがって、この温度調整装置1によれば、冷却水Wの温度の影響を受け難く、外気温の変化に応じて変化する筐体内の温度を検出することで、外気温が低いことに起因して筐体内の温度が低下する際に、この温度の低下を好適に検出することができるため、寝込み現象の発生を一層好適に回避することができると共に、外気温が高いことに起因して筐体内の温度が上昇する際に、この温度の上昇を好適に検出することができるため、寝込み現象が発生するおそれがないときに加熱処理が実行される事態を一層好適に回避することができる結果、電熱ヒータ20による電力消費量を確実に低減することができる。
さらに、この温度調整装置1によれば、配電盤6に配設した温度センサ6aを「第3の温度センサ」として使用することにより、電源装置(インバータユニット4a,11a,15a)を好適に冷却可能に配置されている配電盤6の温度を検出することで、外気温が低いことに起因して配電盤6の温度が低下する際に、この温度の低下を好適に検出することができるため、寝込み現象の発生を一層好適に回避することができると共に、外気温が高いことに起因して配電盤6の温度が上昇する際に、この温度の上昇を好適に検出することができるため、寝込み現象が発生するおそれがないときに加熱処理が実行される事態を一層好適に回避することができる結果、電熱ヒータ20による電力消費量を確実に低減することができる。
なお、「温度調整装置」の構成は、上記の温度調整装置1の構成に限定されるものではない。例えば、冷凍サイクル3やポンプ4を停止させている状態において、冷却水Wの温度が15℃以下であるとの条件(第1の条件)、冷媒圧力が1.15MPa以下であるとの条件(第2の条件)、および配電盤の温度(筐体内の温度)が15℃以下であるとの条件(第3の条件)のいずれかが満たされているときに電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行すると共に、いずれの条件も満たされていないときに加熱処理を停止させた状態に制御する構成の温度調整装置1を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、冷却水Wの温度が15℃以下であるとの条件(第1の条件)が満たされているときに加熱処理を実行し、そのような条件(第1の条件)が満たされていないときに加熱処理を停止させた状態に制御する構成(「第2の条件」や「第3の条件」が満たされているか否かを判別しない構成)を採用することもできる。
このような構成を採用した「温度調整装置」においても、加熱処理を実行するか否かを決定することを目的として外気温センサなどのセンサを新たに設けることなく、「温度調整処理(供給対象Xに対する冷却水Wの供給処理)」の実行時に冷却水Wの温度を特定するために使用される温度センサ8を有効活用して、この温度センサ8からのセンサ信号S8に基づいて特定される冷却水Wの温度が「第1の温度(本例では、15℃)」以下のとき、すなわち、冷媒流路内で寝込み現象が発生するおそれがあるときには、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行することで寝込み現象の発生を好適に回避可能としつつ、特定される冷却水Wの温度が「第1の温度」よりも高いとき、すなわち、冷媒流路内で寝込み現象が発生する可能性が低いときには、加熱処理を実行せずに電熱ヒータ20による電力の消費量を十分に低減することができる。これにより、製造コストの高騰を招くことなく、寝込み現象の発生に起因して圧縮機11の耐用寿命が短くなる事態を好適に回避しつつ、ランニングコストを充分に低減することができる。
また、冷凍サイクル3やポンプ4を停止させている状態において、冷却水Wの温度が15℃以下であるとの条件(第1の条件)、および冷媒圧力が1.15MPa以下であるとの条件(第2の条件)のいずれかが満たされているときに電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行すると共に、いずれの条件も満たされていないときに加熱処理を停止させた状態に制御する構成(「第3の条件」が満たされているか否かを判別しない構成)を採用することもできる。
このような構成を採用した「温度調整装置」においても、例えば、外気温が低く、冷媒圧力が「予め規定された圧力(1.15MPa)」以下となって寝込み現象が発生するおそれがあるにも拘わらず、冷却水Wの温度が「第1の温度」よりも高いときに、「温度調整処理」の実行時に冷凍サイクル3の動作状態を制御するために使用される圧力センサ19bを有効活用して、この圧力センサ19bからのセンサ信号S19bに基づいて特定される冷媒圧力が「予め規定された圧力(1.15MPa)」以下のときは、電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行することで寝込み現象の発生を好適に回避可能としつつ、特定される冷媒圧力が「予め規定された圧力(1.15MPa)」よりも高いとき、すなわち、冷媒流路内で寝込み現象が発生する可能性が低いときには、加熱処理を実行せずに電熱ヒータ20による電力の消費量を十分に低減することができる。
さらに、冷凍サイクル3やポンプ4を停止させている状態において、冷却水Wの温度が15℃以下であるとの条件(第1の条件)、および配電盤の温度(筐体内の温度)が15℃以下であるとの条件(第3の条件)のいずれかが満たされているときに電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行すると共に、いずれの条件も満たされていないときに加熱処理を停止させた状態に制御する構成(「第2の条件」が満たされているか否かを判別しない構成)を採用することもできる。
このような構成を採用した「温度調整装置」においても、冷却水Wの温度の影響を受け難く、外気温の変化に応じて変化する筐体内の温度を検出することで、外気温が低いことに起因して筐体内の温度が低下する際に、この温度の低下を好適に検出することができるため、寝込み現象の発生を一層好適に回避することができると共に、外気温が高いことに起因して筐体内の温度が上昇する際に、この温度の上昇を好適に検出することができるため、寝込み現象が発生するおそれがないときに加熱処理が実行される事態を一層好適に回避することができる結果、電熱ヒータ20による電力消費量を確実に低減することができる。
また、「冷凍サイクル内の冷媒の圧力が実質的に予め規定された圧力以下となる第2の条件が満たされている」との状態は、上記の例示のように、「冷凍サイクル内の冷媒の圧力が予め規定された圧力以下となっている」との状態(例えば、圧力センサ19bからのセンサ信号S19bに基づいて特定される冷媒圧力が1.15MPa以下の状態)だけでなく、「冷媒流路内の冷媒温度が、冷媒圧力が予め規定された圧力以下となる温度以下となっている」との状態がこれに含まれる。
具体的には、上記の温度調整装置1では、圧力センサ19bからのセンサ信号S19bに基づいて特定される冷媒圧力が1.15MPaのときに、温度センサ18からのセンサ信号S18に基づいて特定される冷媒温度が15℃のため、この温度調整装置1では、「冷媒温度が15℃以下」との条件が満たされることで「冷媒圧力が1.15MPa以下」との条件が実質的に満たされることとなる。したがって、上記の温度調整装置1における温度センサ18を「少なくとも一方のセンサ」としての「第2の温度センサ」として使用して、この温度センサ18からのセンサ信号S18を「第2のセンサ信号」として冷媒温度を特定し、特定した温度が15℃以下のときに「第2の条件」が満たされているものとして電熱ヒータ20による圧縮機11の加熱処理を実行する構成を採用することで、前述した温度調整装置1と同様の効果を奏することができる。
また、供給対象Xから回収されて熱交換器5において温度調整される冷却水Wを貯液可能な「第1の貯液槽」としての貯液槽2を備えた構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)熱交換器5において温度調整されて供給対象Xに供給される冷却水Wを貯液可能な「第2の貯液槽」を備えて構成することもできる。さらに、供給対象Xから冷却水Wを回収して再び供給対象Xに供給する循環型の温度調整装置1を例に挙げて説明したが、「温度調整装置」の構成はこれに限定されず、「供給対象」に対して「熱媒液」を供給するだけの「温度調整装置」(「熱媒液」を回収しない構成)において、「第1の低温時処理」などを実行する構成を採用することもできる。
また、温度調整装置1から供給対象Xに向けて圧送する冷却水Wの温度を検出する温度センサ8を「第1の温度センサ」として使用する構成を例に挙げて説明したが、停止状態の温度調整装置1においては、冷却水Wの流路中の各部において冷却水Wの温度が同等の温度となるため、例えば、「少なくとも一方の貯液槽(貯液槽2)」内の冷却水Wの温度を検出するセンサや、供給対象Xから回収した冷却水Wの温度を検出するセンサを備えている場合には、温度センサ8に代えて、それらのセンサを「第1の温度センサ」として使用する構成を採用することができる。
さらに、冷媒の吐出圧力を検出する圧力センサ19bを「圧力センサ」として使用する構成を例に挙げて説明したが、停止状態の温度調整装置1(冷凍サイクル3)では、冷媒流路中の各部において冷媒圧力が同等の圧力となるため、圧力センサ19bに代えて、冷媒の吸入圧力を検出する圧力センサ19aを「圧力センサ」として使用する構成を採用したり、圧力センサ19a,19b以外に冷媒圧力を検出するためのセンサを備えている場合には、そのセンサを「圧力センサ」として使用する構成を採用したりすることができる。
また、配電盤6に配設した温度センサ6aを「第2の温度センサ」として使用する構成を例に挙げて説明したが、停止状態の温度調整装置1においては、筐体内の各部の温度が同等の温度となるため、例えば、圧縮機11等の異常発熱を検出するためのセンサを備えている場合には、温度センサ6aに代えて、そのセンサを「第2の温度センサ」として使用する構成を採用することができる。さらに、冷却水Wを圧送するポンプ4を備えた温度調整装置1を例に挙げて説明したが、「熱媒液(冷却水W)」を供給対象Xに供給するためのポンプは、「温度調整装置」の構成要素とはせずに、外部装置としてのポンプを利用する構成を採用することもできる。