JP6212278B2 - 電極材料および燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、三元系白金合金ナノ粒子を含む電極材料、および電気化学反応を利用して発電する燃料電池に関する。
燃料電池は、電解質を一対の電極で挟持した構成を有し、一方の電極に燃料を、他方の電極に酸化剤を供給することにより化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する装置である。燃料電池は、電解質の種類により幾つかに分類されるが、近年においては、エネルギー変換効率が高くて小型化が可能であり、さらには低温作動が可能な固体高分子形燃料電池に注目が集まっている。固体高分子形燃料電池の期待されている用途としては、例えば、燃料電池自動車、定置用コーンジェネレーションシステム、可搬電源、情報機器用電源等がある。
典型的な固体高分子形燃料電池は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜がカソードとアノードにより挟持されたセル構造を有する。そして、アノードにおいては水素を酸化する触媒層が、カソードにおいては酸素を還元する触媒層が配置され、その外側には、外部から供給される水素や酸素を触媒層に供給するガス拡散層、セパレータがこの順に配置されている。
固体高分子形燃料電池の特性向上には、アノードおよびカソードに配設される触媒層の性能向上が不可欠となる。このため、触媒層について精力的な研究開発が行われ、多数の提案がなされてきた。例えば、非特許文献1においては、アノード側の水素の酸化反応およびカソード側の酸素の還元反応の触媒活性を上げる構成として、カーボンナノチューブ等の炭素材料に触媒金属を担持させた電極触媒が提案されている。また、非特許文献2においては、白金ナノ粒子のサイズ制御と、担持体であるカーボンの熱処理によるグラファイト化により耐久性が向上することが報告されている。なお、固体高分子形燃料電池への応用例ではなく溶液系における例であるが、非特許文献3においては、L1型の規則fct(face centered tetragonal)構造のPt−Fe/C構造の耐久性が、Pt/Cや、非fct構造のPt−Fe/C構造に比して優れている報告がなされている。
Yangchauan Xing. The Journal of Phisical Chemistry B, 2004, 108, p.19255-19259 H. Yano et al., P.hys. Chem. Chem. Phys., 2010,12, p.3806- X. Li, et al., J. Mater. Chem., 2012, 22, p.6047-
固体高分子形燃料電池の普及に向け、固体高分子形燃料電池の特性に重要な影響を与える触媒層の耐久性向上を図る技術が切望されている。さらには、高耐久化に加え、触媒層の触媒活性を向上させる技術および白金の使用量を低減する技術も求められている。
なお、上記においては、固体高分子形燃料電池に用いる触媒層における課題について述べたが、固体高分子形燃料電池に限定されるものではなく、各種燃料電池に用いる触媒層についても同様の課題が生じ得る。また、同様の原理により利用可能な燃料電池以外の電極材料全般においても同様の課題が生じ得る。
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とすることは、触媒活性に優れ、且つ耐久性に優れ、さらには白金の使用量を低減可能な電極材料および燃料電池を提供することである。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明に係る電極材料は、少なくとも一部が規則合金構造であるPt−Fe−Co合金ナノ粒子を含むものである。
本発明に係る電極材料によれば、規則的に原子が配列した合金構造である規則合金構造を少なくとも一部に有したPt−Fe−Co合金ナノ粒子を用いることにより、電極材料の耐久性および触媒活性を高められる。また、単位白金質量当たりの触媒活性を上げられるので、白金の使用量を低減できる。
ここに開示される電極材料の好ましい態様として、前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子が、導電性担持体に担持されているものがある。
また、ここに開示される電極材料の好ましい態様として、前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の前記規則合金構造が、以下の(i)〜(iii)の少なくともいずれかであるものがある。
(i)L1型の規則fct構造のPtFeCo(2−x)、但し、0<x<2
(ii)L1型の規則fcc(face-centered cubic)構造のPtFeCo(1−y)、但し、0<y<1
(iii)L1型の規則fcc構造のPtFeCo(3−z)、但し、0<z<3
また、ここに開示される電極材料の好ましい態様として、前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の平均粒子径が、10nm以下のものがある。また、当該Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の平均粒子径が、6nm以下のものがある。
また、ここに開示される電極材料の好ましい態様として、前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の前記規則合金構造が、L1型の規則fct構造のPtFeCo、L1型の規則fcc構造のPtFe0.5Co0.5、L1型の規則fcc構造のPtFe1.5Co1.5の少なくともいずれかであるものがある。
本発明に係る燃料電池は、上記態様の電極材料を具備するものである。
ここに開示される燃料電池の好ましい態様として、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持するアノードユニットおよびカソードユニットを備え、前記電極材料を、前記アノードユニットおよび前記カソードユニットの少なくともいずれかの前記高分子電解質膜と接する位置に配置するものがある。
本発明によれば、触媒活性に優れ、且つ耐久性に優れ、さらには白金の使用量を低減可能な電極材料および燃料電池を提供することができるという優れた効果を奏する。
本発明に係る燃料電池の要部の一例を示す模式的断面図。 PtFeCoの規則fct構造の説明図。 PtFe0.5Co0.5の規則fcc構造の説明図。 実施例1、実施例2および比較例1に係る微粒子のXRD。 実施例1に係る微粒子(カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された粒子)のTEM像。 実施例1に係るPt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子径分布図。 実施例2に係る微粒子(カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された粒子)のTEM像。 実施例2に係るPt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子径分布図。 比較例1に係る微粒子(カーボン微粒子にPtナノ粒子が担持された粒子)のTEM像。 比較例1に係るPtナノ粒子の粒子径分布図。 実施例1、実施例2および比較例1に係る微粒子の単位白金質量あたりの触媒活性を示す図。 耐久性試験に適用したFCCJプロトコルの説明図。 実施例3に係る微粒子の耐久性試験前、5,000サイクル、10,000サイクルのサイクリックボルタンメトリーを示す図。 実施例4に係る微粒子の耐久性試験前、5,000サイクル、10,000サイクルのサイクリックボルタンメトリーを示す図。 比較例2に係る微粒子の耐久性試験前、5,000サイクル、10,000サイクルのサイクリックボルタンメトリーを示す図。 ESCAの相対強度(耐久性試験前のESCA値で規格化したときのESCAの強度)を耐久性試験回数に対してプロットした図。 実施例3に係る微粒子(カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された粒子)のTEM像。 実施例3に係るPt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子径分布図。 実施例4に係る微粒子(カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された粒子)のTEM像。 実施例4に係るPt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子径分布図。 比較例2に係る微粒子(カーボン微粒子にPtナノ粒子が担持された粒子)のTEM像。 比較例2に係るPtナノ粒子の粒子径分布図。
以下、本発明に係る電極材料および燃料電池の具体的な実施形態を説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係る燃料電池の一例として、固体高分子形燃料電池を例にとり説明する。図1は、本発明の固体高分子形燃料電池の要部の一例を示す模式的断面図である。固体高分子形燃料電池1は、イオン伝導性を有する高分子電解質膜5、水素等の燃料ガスが供給されるアノードユニット10、および酸素が供給されるカソードユニット20を具備するセル6、並びに外部回路7等を有する。通常は、必要な出力に応じてセル6をスタックすることにより電池が構成される。
アノードユニット10は、アノード触媒層11、ガス拡散層12、セパレータ13が高分子電解質膜5側からこの順に配置され、カソードユニット20は、カソード触媒層21、ガス拡散層22、セパレータ23が高分子電解質膜5側からこの順に配置されている。外部回路7は、アノードユニット10のアノード触媒層11、カソードユニット20のカソード触媒層21等に電気的に接続されている。
アノード触媒層11およびカソード触媒層21は、導電特性を有し、酸化反応および還元反応が生じやすい触媒の機能を有する電極材料を用いて形成されている。本発明の燃料電池は、アノード触媒層11およびカソード触媒層21の少なくとも一方が、本発明の電極材料を用いて形成されたものである。通常、アノード触媒層11およびカソード触媒層21は、カーボン等の導電性担持体に、白金、パラジウム等の公知の金属触媒が全体的に担持された電極材料により構成された層である。本発明の電極材料については後で詳述する。
上記のように構成された固体高分子形燃料電池1は、例えば、以下のような一連の反応によって外部に電気が供給される。即ち、アノードユニット10において、水素等の還元性ガスをセパレータ13のガス流路14からガス拡散層12を介してアノード触媒層11に供給する。カソードユニット20においては、酸素あるいは空気等の酸化性ガスをセパレータ23のガス流路24からガス拡散層22を介してカソード触媒層21に供給する。
ここで、還元性ガスとして水素ガスを、酸化性ガスとして酸素ガスを利用する場合には、アノード触媒層11において水素の酸化反応が生じ、水素イオンと電子とが生成される。生成された水素イオンは、イオン伝導性を有する高分子電解質膜5を介してカソードユニット20に設けられたカソード触媒層21に移動する。一方、生成された電子は、外部回路7を経由してカソードユニット20に設けられたカソード触媒層21に移動する。カソードユニット20に到達した水素イオンおよび電子は、カソード触媒層21において酸素と反応して水を生成する。即ち、カソードユニット20のカソード触媒層21では、酸素の還元反応が生じる。還元反応により生成された水は、カソードユニット20のガス拡散層23から外部に排出されたり、高分子電解質膜5に供給されたりする。
固体高分子形燃料電池1の触媒層においては、従来より、運転条件によって触媒層が高温になったり、低pHになったりすることに起因して、性能が劣化するという問題があった。また、カソード触媒層21においては、高電位、酸化雰囲気により触媒金属が溶出したり、凝集したりするという問題があった。これらの問題に対し、以下に詳述する本発明の電極材料を用いることにより燃料電池の耐久性を高めることができる。以下、本発明の電極材料について詳細に説明する。
本発明の電極材料は、少なくとも一部が規則合金構造であるPt−Fe−Co合金ナノ粒子(以下、「超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子」ともいう)を含むものである。超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子は、三元系白金合金であり、触媒機能を有するナノ粒子である。
ここで、規則合金構造とは、いわゆる超格子構造をとる粒子をいい、好ましい態様として以下の(i)〜(iii)の少なくともいずれかを例示できる。
(i)L1型の規則fct構造のPtFeCo(2−x)、但し、0<x<2
(ii)L1型の規則fcc構造のPtFeCo(1−y)、但し、0<y<1
(iii)L1型の規則fcc構造のPtFeCo(3−z)、但し、0<z<3
規則合金構造を有するPt−Fe−Co合金は、特定の組成比で高温熱処理することにより、通常の不規則な配列の構造から規則的な配列に変態させることにより得ることができる。処理条件は、規則構造を取り得る条件であれば特に限定されないが、例えば、750〜1000℃で10分〜12時間が挙げられる。熱処理は、無酸素雰囲気下で行う。水素等の還元雰囲気あるいはアルゴンや窒素等の不活性雰囲気が好ましく、例えば、N:H=3:1等のガス雰囲気が例示できる。特に好ましい規則合金構造として、L1型の規則fct構造のPtFeCo、L1型の規則fcc構造のPtFe0.5Co0.5、L1型の規則fcc構造のPtFe1.5Co1.5を挙げることができる。図2Aに規則fct構造のPtFeCo、図2Bに規則fcc構造のPtFe0.5Co0.5の模式図を示す。
超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子形状や粒子サイズは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されないが、表面積を高める観点から、平均粒子径が10nm以下であることが好ましく、6nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径の下限値は、規則合金構造を取り得る範囲において限定されないが、通常は、1nm以上である。
超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子は、当該ナノ粒子の全てが規則合金構造となっていない態様も含む。即ち、一粒子中に規則合金構造ではない非規則合金構造が含まれていてもよい。規則合金構造を有することにより、白金ナノ粒子に比して、耐久性および触媒活性を高めることができる。規則合金構造の割合は、加熱処理温度や加熱処理時間等の処理条件を変更することにより変動させることができる。耐久性を高める観点および触媒活性を高める観点から、一粒子中における規則合金構造の割合が高いほど好ましい。
本発明の電極材料は、超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子のみから構成されていてもよいが、触媒活性を高める観点から、導電性を有する導電性担持体上に複数のナノ粒子を担持させる態様が好ましい。導電性担持体は、特に限定されず公知の材料を制限なく利用できるが、好適な例としてカーボン等の炭素系材料が例示できる。導電性担持体の粒子形状やサイズは特に限定されないが、多数のナノ粒子を担持する観点から、触媒層を形成した際に導電性担持体が多孔体となることが好ましい。
本発明の電極材料は、さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において他の成分を含有できる。例えば、超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子以外の触媒機能を有する触媒金属粒子が含まれていてもよい。他の触媒金属粒子としては、非結晶性のPt−Fe−Co合金、不規則fcc構造のPt−Fe−Co合金、白金、白金−Co合金、白金−Ni合金、白金−Fe合金等が例示できる。
本発明の電極材料は、上述した固体高分子形燃料電池1のアノード触媒層11および/又はカソード触媒層21として好適に適用できる他、各種燃料電池をはじめとする電池の電極材料、各種電子部品の電極材料としても好適に適用できる。
電極材料として本発明の超格子Pt−Fe−Co合金ナノ粒子を用いることにより、酸素還元活性と触媒金属の電気化学的表面積(ECSA)の耐久性評価後の低下を抑制できることを見出した。即ち、燃料電池の発電に寄与できる触媒表面積に相当するECSAの経時減少を抑制できることを見出した。本発明の電極材料を燃料電池の触媒層として適用することにより、長時間にわたって燃料電池の出力性能を高く維持することができることがわかった。本発明の電極材料によれば、特に、カソード触媒層に用いることにより、高電位、酸化雰囲気化による触媒金属の溶出、凝集の問題を抑制し、耐久性を高めることができる。さらに、本発明の電極材料によれば、触媒活性に優れ、電極材料における白金含有量を低減できるというメリットもある。また、単位量当たりの白金の触媒活性を上げることができるので、白金の使用量を低減することも可能である。
≪実施例≫
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
規則合金構造であるPt−Fe−Co合金ナノ粒子を熱還元法により合成した。具体的には、Pt:Fe:Co=2:1:1のモル比、金属総量:カーボンの質量比が4:6となるように、四塩化白金酸(HPtCl)(和光純薬工業社製)、ビニルフェロセン(Fe(C)(和光純薬工業社製)、酢酸コバルト(Co(C・4HO)(和光純薬工業社製)、カーボンブラック(Ketjen Black)(Canot社製)を秤取り、イソプロピルアルコールを加え、すり潰して均一となるように混合した。その後、焼成炉においてN:H=3:1の雰囲気下で800℃、2時間焼成することにより、カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された微粒子からなる電極材料を得た。
(実施例2)
組成比をPt:Fe:Co=6:1:1のモル比に変更した以外は実施例1と同様の方法により、カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された微粒子からなる電極材料を得た。
(比較例1)
Pt/C(田中貴金属工業株式会社製、TEC10E50E)をそのまま用いた。
[XRD構造解析] 実施例1、実施例2および比較例1の粉末サンプルについて、XRD(RINT2000、Rigaku社製)測定(回折角の範囲:2θ=2〜90°、スキャンスピード:2θ=2°/min)を行った。その結果を図3に示す。
実施例1の微粒子は、図3に示すように、24°付近の(001)由来のピークと33°付近の(110)由来のピークから、fct(面心正方)規則構造を示す明瞭なピークを有し、c/a値が0.950であった。これより、規則度がかなり高いことがわかる。また、2θ=40°付近の(111)面のピークは、白金の(111)面のピーク位置より高角側にシフトしており、合金化が起きていることがわかった。また、実施例1の微粒子中のPt−Fe−Co合金は、ICPの測定結果より仕込みのPt:Fe:Coの組成比に近い値で合成されていることを確認した。これらの結果より、実施例1のPt−Fe−Co合金が、L1型の規則fct構造のPtFeCoであることがわかる。
実施例2の微粒子は、図3に示すように、fcc規則構造を示す明瞭なピークを確認した。なお、fct(001)とfcc(100)面は近い位置にピークを示すが異なるものである。また、実施例2の微粒子中のPt−Fe−Co合金は、ICPの測定結果より仕込みのPt:Fe:Coの組成比に近い値で合成されていることを確認した。これらの結果より、実施例2のPt−Fe−Co合金が、L1型の規則fcc構造のPtFe0.5Co0.5であることがわかる。
比較例1の微粒子は、図3に示すように規則合金構造が観測されないことを確認した。
[TEM像・平均粒子径] 実施例1で得られた微粒子(カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された粒子)の透過型電子顕微鏡であるTEM(H−8100、日立製作所社製)像(100K倍)を図4Aに、そのTEM像から測長したPt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子径分布を図4Bに示す。同様に、実施例2で得られた微粒子(カーボン微粒子にPt−Fe−Co合金ナノ粒子が担持された粒子)のTEM写真を図5Aに,そのTEM像から測長したPt−Fe−Co合金ナノ粒子の粒子径分布を図5Bに示す。また、比較例1の微粒子(Pt/Cの粒子)のTEM像を図6Aに、そのTEM像から測長したPtナノ粒子の粒子径分布を図6Bに示す。
粒子径分布より求めた平均粒子径は、実施例1のPt−Fe−Co合金ナノ粒子が3.8±1.1nm、実施例2のPt−Fe−Co合金ナノ粒子が3.5±1.1nm、比較例1のPtナノ粒子が4.3±1nmであった。
[溶液系での酸素還元活性評価] 実施例1、2および比較例1のナノ粒子について、以下の手順で溶液系における酸素還元活性評価を行った。
まず、アルミニウムで磨いたグラッシーカーボン(幾何学的領域:0.196cm)を用いた。触媒の分散液は36%のIPA溶液25mLに18.5mgの触媒を分散させたものと、100μLのパーフルオロカーボン材料(ナフィオン(登録商標)、5wt%)とを混合して作製した。次いで、10μLの触媒の分散液をグラッシーカーボンの表面に塗布し、室温・エタノール雰囲気下で乾燥した。以上の工程を経て、グラッシーカーボンに実施例1、2および比較例1のナノ粒子が担持された電極を其々作製した。
得られた電極は、0.06〜1.2Vの間でサイクルすることにより触媒表面を電気化学的に活性化させた。この電極を作用電極とし、対極に白金ワイヤを用い、基準電極に可逆水素電極(RHE)を用いた。図7に、実施例1、2および比較例1のサンプルにおいて、白金の単位質量あたりの酸化還元反応の比活性を測定した結果を示す。図中の縦軸は、0.9Vの電流値を白金の質量で除したものである。同図より、fct構造を用いた実施例1およびfcc構造を用いた実施例2は、比較例1であるPt/Cに比して酸素還元活性(質量活性)が高いことがわかる。
[膜−電極接合体(MEA)の作製]
(実施例3)
カソード触媒として実施例1の微粒子を、アノード触媒として比較例1のPt/Cからなる微粒子を、電解質膜としてナフィオン(NR−212膜)を用いてMEAを以下の手順により作製した。
まず、テフロン(登録商標)処理済みカーボンペーパー(東レ社製)をカッターナイフで3×3cmの大きさに切断し、カーボンブラック(Vulcan XC-72、Canot社製)をメノウ乳鉢で十分すり潰した後、0.370g秤量し、IPAを4.000g加えて、攪拌・超音波を繰り返した。その後、PTFE懸濁液(Polytetrafluoroethylene 60wt% dispersion in water (−CFCF、Aldrich社製)を0.140g加え、約一分攪拌した。次いで、スクリーン印刷法により、テフロン処理済みカーボペーパーに印刷を2回繰り返し、280℃2時間、350℃2時間焼成することにより拡散層を得た。
次いで、実施例1で得た微粒子を秤量し、RO水を0.6〜0.8g程度導入して、攪拌した。次いで、5wt%のナフィオン溶液を2.711g加えた。次いで、攪拌・超音波を約20〜30分繰り返し、60wt%のPTFE懸濁液を0.135g加え、約1分攪拌した。その後、拡散層を作製済みのカーボンペーパー上に、スクリーン印刷法により触媒ペーストを印刷した。そして、これを秤量し、白金導入量を計算した。
続いて、1辺が4cmの正方形状に裁断した電解質膜を充分に洗浄して乾燥した後、一辺が2.25cmの正方形状のアノード電極、カソード電極で電解質膜を挟持した。その後、一辺が5cmの正方形状の薬包紙およびステンレス板を両側にこの順に積層した。位置を合わせ後、130℃2kN、1分間の条件でホットプレス機にセットして熱圧着することによりMEAを得た。そして、作製したMEAを燃料電池セル(Electrochem. Inc.社製;FC05-01SP-REF,電極面積5cm,流路形状;serpentine flow)にセットし、発電試験を行った。
(実施例4)
カソード触媒として実施例2の微粒子を、アノード触媒として比較例1のPt/Cからなる微粒子、電解質膜としてナフィオン(NR−212膜)を用いて、実施例1と同様の方法によりMEAを作製した。
(比較例2)
カソード触媒として比較例1のPt/Cからなる微粒子、アノード触媒として比較例1のPt/Cからなる微粒子からなる微粒子、電解質膜としてナフィオン(NR−212膜)を用いて、MEAを作製した。
[加速劣化試験]耐久性試験はFCCJプロトコル(図8参照)に従い、H(100mL/min)、N(500mL/min)を供給し、セル温度80℃、相対湿度100%で、0.6Vを3秒間保持後、1.0Vを3秒間保持することを1サイクルとし、これを繰り返す負荷応答型電位サイクル試験を行った。電位サイクル試験前と10,000サイクル後のサンプルのTEM、粒子径の比較を行うことで、実施例3、4、比較例2の耐久性評価を行った。図9Aに実施例3、図9Bに実施例4、図9Cに比較例2のサイクリックボルタンメトリーの試験結果を示す。これらの結果より、規則合金構造を有するPt−Fe−Co合金ナノ粒子において耐久性が向上していることを確認できる。
負荷応答型電位サイクル試験後の実施例3のTEM像を図11Aに、粒子径分布を図11Bに示す。同様にして、負荷応答型電位サイクル試験後の実施例4のTEM像を図1Aに,粒子径分布を図1Bに示す。また、負荷応答型電位サイクル試験後の比較例2のTEM像を図1Aに、粒子径分布を図1Bに示す。
比較例1、2においては、TEM像(図6A、図1A)より粒子が大幅に肥大化している。一方、実施例1、においては、TEM像(図4A、図11A)より、粒径が殆ど変化していない。実施例2、についても同様に粒径が殆ど変化していない。これらの結果より、規則合金構造を有するPt−Fe−Co合金ナノ粒子においては、粒子の肥大化を抑制できることがわかる。

1 燃料電池
5 高分子電解質膜
6 セル
7 外部回路
10 アノードユニット
11 アノード触媒層
12、22 ガス拡散層
13、23 セパレータ
14、24 ガス流路
20 カソードユニット
21 カソード触媒層

Claims (8)

  1. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持するアノードユニットおよびカソードユニットを備える、燃料電池に用いる電極材料であって
    前記アノードユニットおよび前記カソードユニットの少なくともいずれかの前記高分子電解質膜と接する位置に配置し、
    少なくとも一部が規則合金構造であるPt−Fe−Co合金ナノ粒子を含み、
    前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の前記規則合金構造が、以下の(i)〜(iii)の少なくともいずれかである電極材料。
    (i)L1型の規則fct構造のPtFeCo(2−x)、但し、0<x<2
    (ii)L1型の規則fcc構造のPtFeCo(1−y)、但し、0<y<1
    (iii)L1型の規則fcc構造のPtFeCo(3−z)、但し、0<z<3
  2. 前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の平均粒子径が、10nm以下である請求項1に記載の極材料。
  3. 前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の平均粒子径が、6nm以下である請求項1又は2に記載の電極材料。
  4. 前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子の前記規則合金構造が、L1型の規則fct構造のPtFeCo、L1型の規則fcc構造のPtFe0.5Co0.5、L1型の規則fcc構造のPtFe1.5Co1.5の少なくともいずれかである請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
  5. 前記Pt−Fe−Co合金ナノ粒子は、導電性担持体に担持されている請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
  6. 前記導電性担持体が、炭素系材料である請求項に記載の電極材料。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料を具備する燃料電池。
  8. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持するアノードユニットおよびカソードユニットを備え、
    前記電極材料を、前記アノードユニットおよび前記カソードユニットの少なくともいずれかの前記高分子電解質膜と接する位置に配置する請求項に記載の燃料電池。
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