JP2005302527A - 燃料電池用電極触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い耐食性を有する電極触媒を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、空気雰囲気における燃焼温度が350℃以上であることを特徴とする燃料電池用電極触媒により上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒に関し、より詳細には耐食性に優れた燃料電池用電極触媒に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる固体高分子電解質型燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。固体高分子電解質型燃料電池は、フィルム状の固体高分子膜からなる電解質層を用いるのが特徴である。
固体高分子電解質型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも記載する。)を1対のガス拡散層およびセパレータで挟持した単電池セルを複数積層した構造となっている。また、MEAは、電極触媒を高分散した電極触媒層により電解質層が挟持された構造を有する。前記電極触媒層は、電極とも呼ばれている。
前記MEAでは、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、燃料極(アノード)側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、電極触媒層に含まれるプロトン導電性電解質、さらに電極触媒層と接触している固体高分子膜を通り、酸素極(カソード)側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成している導電性担体、さらに電極触媒層の固体高分子膜と異なる側に接触しているガス拡散層、ガスセパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
従来の電極触媒では、カソードおよびアノードともに、炭素を主成分とする炭素材を担体として、これに白金または白金合金等の触媒粒子を担持させた触媒担持炭素材などが用いられている。触媒担持炭素材における炭素材は、微細化された触媒粒子を高分散担持させるために、大きい比表面積を有するものが多く用いられている。これにより、触媒粒子表面の電極反応面積を大きくすることができ、触媒粒子の少ない担持量で十分な触媒活性が得られる。
固体高分子電解質型燃料電池は、コストとともに問題となっているのが電池の寿命である。電池の寿命は、自動車で5000時間、家庭用では4万時間ともいわれ、長期にわたって高い発電性能を維持することが求められている。
しかしながら、長時間に亘る連続運転、起動時、停止時、保管時など、固体高分子電解質型燃料電池の運転条件により、電極が貴電位環境(約0.8V以上)となると、電極を構成する導電性担体や触媒粒子は電気化学的に酸化され腐食・消失する問題があった。このように電極として機能する部位が経時的に減少するため、結果として固体高分子電解質型燃料電池の性能低下を招く。
そこで、従来から電極触媒における導電性担体、触媒粒子の耐食性を向上させることにより、長期間に亘り安定した発電性能を示す電極に関して、様々な研究開発がなされている。例えば、特許文献1には、基材と、第一炭素材料を含んでなる第一炭素系成分と、第二炭素成分とを含んでなる燃料電池用のアノード構造であって、前記第一炭素系成分が、電極触媒用の担体ではなく、腐食に対する耐性をほとんど、または全くしめさないものであり、前記第二炭素成分が、前記第一炭素系成分よりも腐食に対する耐性が実質的に高いものであることを特徴とする、アノード構造が開示されている。第一炭素系成分は、アノード構造中に存在する他の炭素、例えば、電気触媒用の炭素担体よりも優先的に腐食する。これにより、アノード構造中の他の炭素を腐食から保護することができるのである。このように、前記特許文献1には、耐久性に優れるアノード構造が開示されているのである。
特表2003−523056号公報
しかしながら、固体高分子電解質型燃料電池を利用するにあたっては、電極触媒の耐食性の更なる改善が所望されている。そこで、本発明が目的とするところは、高い耐食性を有する電極触媒を提供することである。
本発明では、固体高分子電解質型燃料電池を構成する部材の耐食性を確保するために、電極触媒に関して様々な検討を重ねた結果、所定の燃焼温度を有するものが耐食性に優れることが判明した。
すなわち、本発明は、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、空気雰囲気における燃焼温度が350℃以上であることを特徴とする燃料電池用電極触媒である。
本発明の燃料電池用電極触媒は、導電性担体の腐食消失や触媒粒子の溶出などが起こり難く、貴電位環境下や強酸性雰囲気下においても優れた耐食性が得られる。従って、前記燃料電池用電極触媒によれば、電極触媒層等の性能安定化や長寿命化を図ることができる。
本発明は、上述した通り、導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、空気雰囲気における燃焼温度が350℃以上であることを特徴とする燃料電池用電極触媒(以下、単に「電極触媒」とも記載する。)である。
本願において、前記燃焼温度とは、電極触媒が有する物性値であり、具体的には、空気雰囲気下で所定の温度以上となった時に前記電極触媒が燃焼することにより質量が急激に減少し始める温度を意味する。より具体的には、図1に示すように、空気雰囲気中での前記電極触媒の熱重量分析において、横軸を温度、縦軸を質量減少率としてプロットした時に、質量が急激に減少する前の範囲における接線と、質量が急激に減少する範囲における接線との交点を燃焼温度とする。
本発明の電極触媒は、燃焼温度が350℃以上、好ましくは400℃以上、好ましくは430℃以上という特性を有するものを用いる。電極触媒の燃焼温度が350℃未満であると、電極触媒の十分な耐食性を確保することができない恐れがある。350℃以上の燃焼温度を有する電極触媒によれば、導電性担体および触媒粒子の耐食性を確保することができ、長期に亘って安定した性能を示すことができる電極触媒層などを提供することが可能となる。
さらに、本発明において、電極触媒に用いられる導電性担体としては、空気雰囲気中での燃焼温度が700℃以上、好ましくは720℃以上、より好ましくは740℃以上という特性を有するものを用いるのがよい。かような特性を有する導電性担体に触媒粒子を担持させて得られる電極触媒は、電極触媒を構成している導電性担体の腐食が抑制されることにより、電極触媒の耐食性をより向上させることができる。
本願において、前記導電性担体の燃焼温度とは、空気雰囲気下で所定の温度以上となったときに導電性担体の質量が急激に減少し始める温度を意味する。前記導電性担体の燃焼温度の測定方法としては、上述した電極触媒の燃焼温度と同様にして行えばよい。
また、後記する炭素材料を不活性ガス雰囲気中で熱処理すると、導電性担体の燃焼温度を高くすることができる。炭素材料の前記熱処理は、具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気中、2000℃以上、特に2500℃以上で行うのが好ましい。このように熱処理を不活性ガス雰囲気下で行うことにより、グラファイト化でき、これによって導電性担体の燃焼温度を上げることができる。
例えば、後述する比較例1において導電性担体として用いたカーボンブラック(ライオン株式会社製 ケッチェンブラック)は、空気雰囲気下での燃焼温度は620℃であり、このカーボンブラックを用いた電極触媒の空気雰囲気下での燃焼温度は320℃である。従って、比較例1で得られる電極触媒は耐食性に劣る。しかしながら、実施例2では、比較例1のカーボンブラックを不活性雰囲気下、約2900℃で熱処理したものを導電性担体として用いることにより、前記導電性担体の空気雰囲気下における燃焼温度が710℃と高くなり、前記導電性担体を用いた電極触媒の空気雰囲気下における燃焼温度も450℃と高くすることができる。これにより、実施例2では、耐食性の高い電極触媒が得られるのである。
また、導電性担体に触媒粒子が担持されると空気雰囲気下での燃焼が促進されるため、導電性担体単独の燃焼温度と比較すると電極触媒の燃焼温度は低下すると考えられる。
前記導電性担体のBET比表面積は、500m/g以下、好ましくは300m/g以下、より好ましくは150m/g以下とするのが好ましい。従来では、触媒粒子の分散性を高くすることができ発電開始初期から高い触媒活性を示すことが可能となるため、電極触媒の導電性担体のBET比表面積は大きい方が望ましいとされていた。しかしながら、本発明では、導電性担体の耐食性に関しても検討した結果、BET比表面積が500m/gを超える導電性担体では、例えば、導電性担体として後述する炭素材料を用いた場合には表面にグラファイト化などにより形成された結晶層の厚さが薄く、所望するほどの耐食性が得られないことが判明した。そこで、本発明の電極触媒に用いる導電性担体は、BET比表面積が500m/g以下のものを用いるのが好ましい。
さらに、導電性担体に触媒粒子が担持された電極触媒の比表面積は、200m/g以下、好ましくは150m/g以下、より好ましくは100m/g以下とするのがよい。燃料電池の電極反応は触媒粒子の表面で進行することから、導電性担体上に担持される触媒粒子は微粒子として高分散担持させるのが一般的である。しかしながら、本発明では、電極触媒の耐食性について検討した結果、電極触媒における導電性担体の腐食消失などは導電性担体と触媒粒子とが接触する部位で特に生じ易く、そのため触媒粒子が微粒子状に高分散担持された電極触媒は、却って耐食性に劣る恐れがあることが判明した。そこで、導電性担体に担持させる触媒粒子の分散状態などを調整して、得られる電極触媒の比表面積を上記範囲とすることにより、導電性担体の腐食をより抑制できるのである。
なお、本発明において、導電性担体および電極触媒のBET比表面積は、窒素を用いたBET法により測定した値とする。
本発明の電極触媒に用いられる触媒粒子としては、水素の酸化反応および/または酸素の還元反応に対して触媒作用を示すものであればよい。具体的には、白金、金、銀、銅、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム、またはこれらを含む合金などが好ましく挙げられる。なかでも、高い触媒活性を示すことができるため、触媒粒子としては白金を用いるのが好ましい。
前記触媒粒子の平均粒径は、得られる電極触媒のBET比表面積が上述した範囲内となるように適宜決定すればよいが、1〜10nm、好ましくは2〜4nmとするのがよい。触媒粒子の平均粒径がこの範囲を外れると十分な性能が得られない恐れがある。
ここで「触媒粒子の平均粒径」とはX線回折における触媒粒子の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒粒子の粒子径の平均値を示す。
次に、本発明の電極触媒に用いられる導電性担体としては、高性能な燃料電池の電極触媒などに用いられるため、触媒粒子を担持するだけではなく、電子を外部回路に取り出すあるいは外部回路から取り入れるための集電体としての機能を有することなどが求められる。そのため、導電性担体は、電子伝導性の高いものを用いるのが好ましい。
導電性担体としては、炭素を主成分に含む炭素材料が挙げられ、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、黒鉛、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。なかでも、電子伝導性、耐食性、触媒担持性に優れるため、カーボンブラックを用いるのが好ましい。
なお、本発明において、炭素を主成分とする前記炭素材料とは、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池などの特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
導電性担体は、上記した炭素材料の他に、ITO、ATOなどの金属、金属酸化物を用いることもできる。
本発明の電極触媒を製造する際に、導電性担体に触媒粒子を担持させる方法としては、特に限定されず、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法を適宜用いて行えばよい。
上述した本発明の電極触媒は、空気雰囲気下における燃焼温度が所定の温度以上のものを用いることにより、優れた耐食性を示すことができる。かような電極触媒は、例えば、燃料電池の電極触媒などとして好適に用いられる。これにより、一定性能を長期に亘り安定して保つことのできる燃料電池が得られる。
燃料電池の種類としては、所望する電池特性が得られるのであれば特に限定されないが、実用性・安全性などの観点から固体高分子電解質型燃料電池(以下、「PEFC」とも記載する。)として用いるのが好ましい。これにより、移動体用電源、定置用電源として信頼性の高い燃料電池が得られる。
PEFCにおいて、本発明の電極触媒は、カソードおよびアノードの双方の電極触媒として好適に用いられる。しかしながら、アノードにおける水素の酸化反応に対してカソードでの還元反応は過電圧が大きく、電極触媒の劣化が生じ易い。従って、前記電極触媒は、カソードの電極触媒として用いるのが好ましい。PEFCにおけるその他の構成要件としては、従来公知の各種技術を適宜参照して用いればよく、特に限定されない。
また、本発明の電極触媒の用途としては上述した燃料電池に限定されず、他に、金属−空気電池、電気化学センサなどの電解処理装置、などの各種電気化学装置も挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例のみに限定されることはない。
<実施例1>
導電性担体Aとしてカーボンブラック(Cabot社製 Vulcan XC72、燃焼温度600℃、BET比表面積250m/g)を用いて、これに以下の通りにして白金粒子を担持させることにより、電極触媒Aを調製した。
導電性担体A粉末1gを、0.4%の白金を含有する塩化白金酸水溶液250g中にホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、これにホルムアルデヒド20mlを加え、還流反応装置を使用して50℃に加熱し、白金粒子の還元担持を行った。そして、室温まで放冷した後、白金粒子が担持された導電性担体Aを濾別し、85℃において12時間乾燥させることにより、電極触媒A(Pt粒径2〜3nm、担持量約50wt%、燃焼温度360℃、BET比表面積110m/g)を得た。
なお、用いた導電性担体A、および、得られた電極触媒Aの燃焼温度、BET比表面積をまとめて表1に示す。
<実施例2>
カーボンブラック(ライオン株式会社製 ケッチェンブラック)をアルゴン雰囲気下、約2900℃、約5時間熱処理したものを導電性担体B(燃焼温度710℃、BET比表面積100m/g)として用いた以外は、実施例1と同様にして、白金粒子を担持させることにより電極触媒B(Pt粒径2〜3nm、担持量約50wt%、燃焼温度450℃、BET比表面積80m/g)を調製した。なお、用いた導電性担体Bおよび得られた電極触媒Bの、燃焼温度、BET比表面積をまとめて表1に示す。
<実施例3>
カーボンブラック(Cabot社製 Vulcan XC72)をアルゴン雰囲気下、約2900℃、約5時間熱処理したものを導電性担体C(燃焼温度740℃、BET比表面積80m/g)として用いた以外は、実施例1と同様にして、白金粒子を担持させることにより電極触媒C(2〜3nm、担持量約50wt%、燃焼温度400℃、BET比表面積70m/g)を調製した。なお、用いた導電性担体Cおよび得られた電極触媒Cの、燃焼温度、BET比表面積をまとめて表1に示す。
<比較例1>
導電性担体Dとして、カーボンブラック(ライオン株式会社製 ケッチェンブラック、燃焼温度620℃、BET比表面積800m/g)を用いた以外は、実施例1と同様にして、白金粒子を担持させることにより電極触媒D(2〜3nm、担持量約50wt%、燃焼温度320℃、BET比表面積300m/g)を調製した。なお、用いた導電性担体Dおよび得られた電極触媒Dの、燃焼温度、BET比表面積をまとめて表1に示す。
Figure 2005302527
<耐食性評価>
各実施例1〜3および比較例1で作製した電極触媒A〜Dを用いて固体高分子電解質型燃料電池の単セルを作製し、この単セルの耐久性を測定することにより、各電極触媒の耐食性の評価を行った。
・単セルの作製
MEA(膜−電極接合体)の作製についてはいずれの電極触媒についても以下のように行った。
各実施例および比較例の電極触媒10g、ナフィオン/イソプロピルアルコール溶液(デュポン社製、ナフィオン5wt%含有、イオン交換基当量重量1100g/mol)90g、純水25g、イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製 特級試薬)10gを、20℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にて、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、電極触媒スラリーとした。この電極触媒スラリーを、PTFE製シート(ニチアス社製ナフロン(登録商標)シート、厚さ200μm、1辺60mmの正方形)の片面上に、スクリーンプリンターを用いて塗布し、オーブン中で100℃、30分間乾燥させたることにより、電極触媒層をPTEF製シート上に形成した。
固体高分子電解質膜(DuPont社製NAFION NR−112、厚さ約50μm、100mm×100mmの正方形)を挟んで、先に作製した2枚の電極触媒層形成PTFE製シートの電極触媒層形成側が内側となるように重ねて、PTFE製シートあたり20Kg/cmの圧力で、150℃、10分間ホットプレスし、冷却後、PTFE製シートのみを剥がすことで、固体高分子電解質膜に電極触媒層を転写させ接合体を得た。このとき、PTFE製シートから固体高分子電解質への電極触媒層の転写率が100%で、固体高分子電解質膜上の片面電極触媒層面積1cmあたりの白金重量が0.50mgとなるようにした。
次に、カーボンペーパー(東レ株式会社製 TGP−H−090、厚さ約270μm)を、5cm角に打ち抜いた後、これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液(ダイキン工業社製 ポリフロンD−1E、60wt%)を純水で所定の濃度に調整した溶液中に5分間浸漬させた後、オーブン内にて60℃、30分間乾燥させ、さらに、マッフル炉にて350℃、30分間焼成することにより、カーボンペーパー中にPTFEを分散・溶着させた。このとき、PTFE含有量は25wt%であった。これにより、撥水処理されたガス拡散層を得た。このガス拡散層を二枚用いて、先に作製した接合体を挟持することによりMEAとした。
その後、作製したMEAにガス流路付きガスセパレータ、シール材を配置し、さらに金メッキしたステンレス製集電板で挟持して所定の面圧になるように締め付け、図2に示す固体高分子電解質型燃料電池の単セルを得た。
・単セルの耐久性測定
単セルを80℃に温調し、アノード側に燃料ガスとして水素(露点80℃)を、カソード側には酸化剤として空気(露点60℃)を供給した。また、単セルの排気側圧力は大気圧とした。
続いて、1A/cmの電流密度(水素利用率70%、空気利用率40%)で一時間発電した後、発電を停止した。その後、水素及び空気の供給を停止し、窒素ガスで単セルを置換し30分間待機した。停止後、運転を再開するには、再び上記条件でセルにガスを導入し、発電を行った。この運転−停止サイクルを繰り返すことによって、燃料電池単セルの耐久性測定を行った。
実施例1〜3及び比較例1の電極触媒を用いてなる単セルを各運転−停止サイクルごとに電流1A/cmにおけるセル電圧を測定した。この時の発電−停止サイクル数に対する変化(初期値に対する低下率)を図3に示す。
図3より比較例で作製した電極触媒を用いてなる単セルは、発電−停止サイクルを繰り返す事により、急激にセル性能が低下している事がわかる。
これに対して、実施例1、2及び3で作製した電極触媒を用いてなる単セルは、発電−停止サイクルを繰り返してもセル性能の低下率は大幅に改善されている事がわかる。これは、運転−停止サイクルを繰り返す事により、単セルの電極面内で生じる電気化学的酸化による腐食・溶出が発生しやすい電極触媒の耐久性が向上し、長期間安定した電極触媒層が形成できていると考えられる。これにより、長期間に亘り安定した性能を示すことができる、耐久性に優れた固体高分子電解質型燃料電池を提供できることが示された。
横軸を温度、縦軸を質量減少率として、空気雰囲気における電極触媒の熱重量分析を示すグラフである。 実施例において作製した固体高分子電解質型燃料電池の単セルの概略図を示す。 実施例1〜3および比較例1で作製した各電極触媒を用いてなる単セルの運転−停止動作時のセル電圧の経時変化特性を示す。
符号の説明
10…ガス拡散層、
20…電極触媒層、
30…固体高分子電解質膜、
50…シール材、
60…ガスセパレータ、
61…ガス流路。

Claims (9)

  1. 導電性担体に触媒粒子が担持されてなる燃料電池用電極触媒において、空気雰囲気における燃焼温度が350℃以上であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  2. 前記導電性担体は、空気雰囲気中での燃焼温度が700℃以上であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極触媒。
  3. 前記導電性担体のBET比表面積は、500m/g以下であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用電極触媒。
  4. 前記燃料電池用電極触媒のBET比表面積は、200m/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  5. 前記触媒粒子は、水素の酸化反応および/または酸素の還元反応に対して触媒作用を示すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  6. 前記触媒粒子は、白金、金、銀、銅、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム、またはこれらを含む合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  7. 前記導電性担体は、炭素を主成分に含む炭素材料である請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  8. 空気雰囲気下における燃焼温度が400℃以上であり、カーボンブラックに白金が担持されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒を用いたことを特徴とする燃料電池。
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