JP6211890B2 - 収音装置 - Google Patents
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Description
本実施形態は、拡散センシングを基にして、伝達特性を物理的に変調する収音装置に係るものである。
M(≧2)本のマイクロホンを用いて一つのターゲット音とK(≧1)個の雑音を受音する状況を考える。多くの雑音が存在する中で任意の位置にあるターゲット音を強調する指向制御を目的にする。目的は、K個の雑音源を抑圧し、ターゲット音を強調することで達成される。m(m=1,2,…,M)番目のマイクロホンとターゲット音、k(k=1,2,…,K)番目の雑音との間のインパルス応答をそれぞれam(i)、bk,m(i)とする。ただし、インパルス応答長をLとし、i=0,1,…,L-1とする。なお、インパルス応答長Lは、装置の規模や構造、設置された部屋の状況によって定まる残響時間により、実験的に定めればよい。ターゲット音、k番目の雑音の音源信号をそれぞれs(t)、nk(t)とするとき、m番目のマイクロホンで観測した観測信号xm(t)は、次式でモデル化される。
ビームフォーミング後の出力信号y(t)は、次式のように観測信号xm(t)と、ターゲット音を強調するように設計されたフィルタwm(t)とを畳み込むことで得られる。
[参考文献1]浅野太,「音のアレイ信号処理-音源の低位・追跡と分離」,コロナ社,2011年
非特許文献1では、広帯域に渡ってパワーpN(ω)を小さくするために、伝達特性の性質がどういう性質であるべきかが検討され、拡散センシングという基礎理論が纏められている。
しかし、従来技術では、前述の通り、装置規模が大きくなる傾向がある。
(1)複数のマイクロホン及びフィルタリング部を含むこと
2つ以上のマイクロホン112を含み、それぞれ独立なフィルタ処理できるようなフィルタリング部160を含むこと。
マイクロホン間の相関性(例えば、観測信号間の相関)を計算し、後述する反射部180やマイクロホン112の可動を決定するセンサー間相関計算部210を含む。
マイクロホン112の近傍に反射部180が一つ以上設置され、マイクロホン間の相関性に応じて、反射部180の向きまたは配置を変更するような一つ以上の可動制御部200を含むこと(図1参照)。なお、反射部180は、音を反射可能な素材により作成される。その形状は一つ以上の反射音を生じさせる形状であればいい。例えば、図1のように板状であってもよい。
マイクロホン間の相関性に応じて、マイクロホン112の向きまたは配置を変更するような一つ以上の可動制御部200を含む(図2参照)。
さらに、伝達特性を無相関化させるために以下のような条件を組合せる方式が考えられる。
音を反射・回折する素材で形成されており、開口部を有するマイクロホン112を包囲するような形状(言い換えると三次元空間を形成する形状)の反射構造体190があること(図3参照)。
制御点Aとマイクロホン112との間の反射経路数が多くなるような拡散構造体181が一つ以上設置されていること。例えば、条件(4)と組合せて、反射構造体190の内壁面や内側に、拡散構造体181が一つ以上設置される(図4参照)。
様々な指向性を持つマイクロホンを混ぜて使用することで、伝達特性間の相関を小さくし、無相関化を図る。例えば、マイクロホンの指向性に限定はないが、無指向性、単一指向性、双指向性、ハイパーカーディオイドといった様々な指向性を持つマイクロホンを混ぜて使用する。仮に、同じ位置に指向性の異なるマイクロホンを配置した場合、同じ制御点との間の伝達特性は異なるものとなる。例えば、同じ位置に無指向性のマイクロホンまたは単一指向性のマイクロホンを配置した場合、制御点Aと無指向性のマイクロホンとの間の伝達特性と、制御点Aと単一指向性のマイクロホンとの間の伝達特性とは、異なるものとなる。よって、この条件により、指向性の違いによる伝達特性の変化を利用して、さらに、伝達特性間の相関を小さくし、無相関化を図る。
図8は収音装置10の斜視図、図9はその正面図、図10はその側面図を示す。図11は図9のXI-XI断面を示す概念図、図12は図9のXII-XII断面を示す概念図を示す。
第一実施形態に係る収音装置10の機能構成および処理フローを図13と図14に示す。この第一実施形態の収音装置10は、M1個のマイクロホン211−m1、M2個のマイクロホン212−m2、AD変換部120、周波数領域変換部130、フィルタリング部160、時間領域変換部170、フィルタ計算部150、伝達特性記憶部140、可動制御部200、センサー間相関計算部210を含む。m1=1,2,…,M1であり、m2=1,2,…,M2であり、M1≧1、M2≧1であり、M1+M2=Mである。
M1個のマイクロホン211−m1、M2個のマイクロホン212−m2を用いて収音し(s1)、アナログ信号(収音信号)をAD変換部120に出力する。M1個のマイクロホン211−m1が反射構造体190の外側に設置され、M2個のマイクロホン212−m2は反射構造体190の内側に設置されている。
AD変換部120が、M1個のマイクロホン211−m1とM2個のマイクロホン212−m2とで収音された合計M個のアナログ信号をディジタル信号x→(t)=[x1(t),…,xM(t)]Tへ変換し、(s2)、周波数領域変換部130に出力する。tは離散時間のインデックスを表す。
周波数領域変換部130は、まず、AD変換部120が出力したディジタル信号x→(t)=[x1(t),…,xM(t)]Tを入力とし、チャネルごとにNサンプルをバッファに貯めてフレーム単位のディジタル信号x→(τ)=[x→ 1(τ),…,x→ M(τ)]Tを生成する。τはフレーム番号のインデックスである。x→ m(τ)=[xm((τ-1)N+1),…,xm(τN)](1≦m≦M)である。Nはサンプリング周波数にもよるが、48kHzサンプリングの場合には2048点あたりが妥当である。次に、周波数領域変換部130は、各フレームのディジタル信号x→(τ)を周波数領域の信号X→(ω,τ)=[X1(ω,τ),…,XM(ω,τ)]Tに変換し(s3)、出力する。ωは離散周波数のインデックスである。時間領域信号を周波数領域信号に変換する方法の一つに高速離散フーリエ変換があるが、これに限定されず、周波数領域信号に変換する他の方法を用いてもよい。周波数領域信号X→(ω,τ)は、各周波数ω、フレームτごとに出力される。
伝達特性記憶部140は、予め収音装置10を使って測定された伝達特性A→(ω,ε)=[a→ 1(ω,ε),…,a→ K'(ω,ε)]を記憶しておく。εは可動制御部200の制御量を表わし、a→ k(ω,ε)=[a1(ω,ε),a2(ω,ε),…,aM(ω,ε)]Tを(ただし、k=1,2,…,K')、可動制御部200をεだけ制御したときの、制御対象領域を密に分割したK'点に含まれるk点とM本のマイクロホンとの間の周波数ωでの伝達特性、換言すれば、a→ k(ω,ε)=[a1(ω,ε),…,aM(ω,ε)]Tは、可動制御部200をεだけ制御したときのマイクロホンアレーに含まれる各マイクロホンへのk点における周波数ωでの伝達特性とする。なお、伝達特性A→(ω,ε)は、事前測定によらず、理論式やシミュレーションにより事前に用意してもよい。
センサー間相関計算部210は、伝達特性記憶部140から伝達特性A→(ω,ε)を取り出し、所定の間隔毎(フレーム毎としてもよいが、後述する可動制御部200の動作を考慮すると、例えば数分毎としてもよい)に(s20)、周波数領域信号X→(ω,τ)を受け取り、各周波数ω∈Ωについて、センサー間相関を計算し(s21)、可動制御部200の制御量Zを求め、出力する。
[参考文献2]G. J. Foschini et al., “On limits of wireless communications in a fading environment when using multi-element antennas” , Wireless Personal Communications, 1998, vol. 6, no. 3, pp.311-335
[参考文献2]C. H. Knapp et al., ”The generalized correlation method for estimation of time delay”, IEEE Trans. ASSP, 1976, vol.24, no.4, pp. 320-327
[参考文献3] R. O. Schmidt, ”Multiple emitter location and signal parameter estimation”, IEEE Transactions on Antennas and Propagation, 1986, vol.34, no.3, pp.276-280
[参考文献4] D. H. Johnson et al., Array Signal Processing, Prentice-Hall, Englewodd Cliffs,NJ, USA, 1993
可動制御部200は、制御量Zを受け取り、可動型の反射部180またはマイクロホン212−m2(本実施形態ではM2個のマイクロホン212−m2)を可動させる(s22)。
フィルタ計算部150は、伝達特性記憶部140から伝達特性A→(ω,ε)を取り出し、フィルタW→(ω,ε)を計算しておく。そして、制御量Zを受け取り、制御量Zが変更される毎に、その制御量Zに対応するフィルタW→(ω,Z)をフィルタリング部160に出力する。例えば、特定の位置または方向からの音響信号を抑圧する信号処理に用いるフィルタW→(ω,ε)を計算しておく。
[参考文献5]国際公開第WO2012/086834号パンフレット
フィルタリング部160は、制御量Zが変更される毎に、フィルタ計算部150からフィルタW→(ω,Z)を受け取り、フレーム毎に周波数領域信号X→(ω,τ)を受け取り、フレームτごとに、各周波数ω∈Ωについて、周波数領域信号X→(ω,τ)=[X1(ω,τ),…,XM(ω,τ)]Tに、フィルタW→(ω,Z)を適用して(式(5)参照、s4)、出力信号Y(ω,τ)を出力する。
時間領域変換部170は、第τフレームの各周波数ω∈Ωの出力信号Y(ω,τ)を時間領域に変換して(s5)、第τフレームのフレーム単位時間領域信号y(τ)を得て、さらに、得られたフレーム単位時間領域信号y(τ)をフレーム番号のインデックスの順番に連結して時間領域信号y(t)を出力する。周波数領域信号を時間領域信号に変換する方法は、s3の処理で用いた変換方法に対応する逆変換であり、例えば高速離散逆フーリエ変換である。
このような構成により、所定の指向性能に対する装置規模を従来技術よりも小さくできる。そのとき、ターゲット音と雑音を聞き分けるための手掛かりが観測信号に含まれることになるので、例えば、事前に用意した伝達特性を使ってフィルタを使って適切な信号処理をすることで、広帯域に渡って任意の指向制御が可能になる。なお、本実施形態では、予めフィルタW→(ω,ε)を計算しているが、収音装置10の計算処理能力などに応じて、所定の指向性能が定まってからフィルタ計算部150が周波数ごとのフィルタW→(ω,ε)を計算する構成としてもよい。
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、マイクロホンを伝達特性の相関性を低減するように選択する。
[必須条件]
(1)伝達特性の相関性を評価する部分を持つこと。
(2)評価値に基づいて、伝達特性の相関性を低減するために効果のあるマイクロホンを選択する。ここで、評価値とは、第一実施形態で求めた制御量Zに対応する。
(1)収音装置20は、N個のマイクロホンを有する。ただし、Nは3以上の整数とする。
(2)N個のマイクロホンからM個のマイクロホンを選択する。ただし、N≧M>1とする。
(パターン1)N個のマイクロホンは、複数の異なる既定の位置に設置されているものとし、制御量Zに基づいて伝達特性の相関性が小さくなる位置に配置されたマイクロホンを選択する。
(パターン2)N個のマイクロホンは、指向性が異なり、同じ位置に設置されているものとし、制御量Zに基づいて伝達特性の相関性が小さくなる指向性のマイクロホンを選択する。
(パターン3)パターン1と2の組み合わせ。つまり、N個のマイクロホンは、複数の異なる既定の位置に設置されているものもあれば、指向性が異なり、同じ位置に設置されているものもある。制御量Zに基づいて伝達特性の相関性が小さくなるマイクロホン(どのような組み合わせであっても、伝達特性の相関性が小さくなるものであればよい)を選択する。
第二実施形態に係る収音装置20の機能構成および処理フローを図15と図16に示す。この第二実施形態の収音装置20は、N個のマイクロホン211−n、AD変換部120、周波数領域変換部130、フィルタリング部160、時間領域変換部170、フィルタ計算部150、伝達特性記憶部140、センサー間相関計算部210、選択部220を含む。n=1,2,…,Nであり、N≧3である。
伝達特性記憶部140は、予め収音装置20を使って測定された伝達特性A→ n'(ω)=[a→ n',1(ω),…,a→ n',K'(ω)]を記憶しておく。a→ n',k(ω)=[an',1(ω),an',2(ω),…,an',M(ω)]Tを(ただし、n'=1,2,…,NCM、k=1,2,…,K')、N個のマイクロホン211−nからM個のマイクロホンを選択した場合における、制御対象領域を密に分割したK'点に含まれるk点と選択されたM本のマイクロホンとの間の周波数ωでの伝達特性、換言すれば、a→ n',k(ω)=[an',1(ω),an',2(ω),…,an',M(ω)]Tは、N個のマイクロホン211−nからM個のマイクロホンを選択した場合の、選択されたM個のマイクロホンアレーに含まれる各マイクロホンへのk点における周波数ωでの伝達特性とする。ただし、Mは2以上でかつ、N以下の整数である。なお、伝達特性A→ n'(ω)は、事前測定によらず、理論式やシミュレーションにより事前に用意してもよい。n'は、上述のように、N個のマイクロホン211−nからM個のマイクロホンを選択する場合の全ての組み合わせに対応するインデックス(n'=1,2,…,NCM)としてもよいし、伝達特性の相関性が小さくなりそうな組み合わせのみに対応するインデックス(n'=1,2,…,N'、N'は適宜設定される伝達特性の相関性が小さくなりそうな組み合わせの総数)としてもよい。
センサー間相関計算部210は、伝達特性A→(ω,ε)に代えて、伝達特性A→ n'(ω)を用いる。
選択部220は、制御量Zを受け取り、制御量Zに基づいて、N個のマイクロホンからM個のマイクロホンを選択する(s23)。つまり、制御量Zを与えるn'(N個のマイクロホン211−nからM個のマイクロホンを選択する場合の組み合わせに対応するインデックス)に対応するM個のマイクロホンを選択する。
このような構成とすることで、伝達特性の相関を低減する装置構成を見極めることができる。なお、第一実施形態と第二実施形態の構造を組合せて構わない。つまり、マイクロホンを選択する選択部220を含むとともに、マイクロホンまたは反射部を動かす可動制御部200を含む構成であってもよい。Mは必ずしも定数である必要はなく、2以上N以下の整数を取る変数としてもよい。
第二実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、反射部を伝達特性の相関性を低減するように選択する。
[必須条件]
(1)伝達特性の相関性を評価する部分を持つこと。
(2)評価値に基づいて、伝達特性の相関性を低減するために効果のある反射部を選択する。
(1)収音装置30は、Q個の反射部を有する。ただし、Qは2以上の整数とする。
(2)Q個の反射部からP個の反射部を選択する。ただし、Q≧P≧1とする。
(パターン1)Q個の反射部は、複数の異なる既定の位置に設置されるものとし、制御量Zに基づいて伝達特性の相関性が小さくなる位置に配置される反射部を選択する。
(パターン2)Q個の反射部は、同じ位置に設置され、形状や材質が異なるものとし、制御量Zに基づいて伝達特性の相関性が小さくなる形状や材質の反射部を選択する。反射部は、音を反射可能な素材により作成される。その形状は一つ以上の反射音を生じさせる形状であればいい。例えば、図1のように板状であってもよいし、他の形状であってもよい。例えば、図4の拡散構造体181のような形状であってもよい。反射部の形状の例を図17に示す。正面から見て、矩形、楕円形、角丸長方形、菱形、正八角形、三角形等の形状に形成することができる。また、側面からみて、凹状の面、凸状の面、第形、五角形、六角形、垂直三角形、二等辺三角形となるような形状に形成することができる。
(パターン3)パターン1と2の組み合わせ。つまり、Q個の反射部のうち、複数の異なる既定の位置に設置されるものもあれば、形状や材質が異なる同じ位置に設置されるものの中から選択されたものもある。制御量Zに基づいて伝達特性の相関性が小さくなる反射部(どのような組み合わせであっても、伝達特性の相関が小さくなるものであればよい)を選択する。
第三実施形態に係る収音装置30の機能構成及び処理フローを図18と図19に示す。この第三実施形態の収音装置30は、Q個の反射部180−q、M個のマイクロホン211−m、AD変換部120、周波数領域変換部130、フィルタリング部160、時間領域変換部170、フィルタ計算部150、伝達特性記憶部140、センサー間相関計算部210、選択部220、表示部230を含む。q=1,2,…,Q、Q≧2であり、m=1,2,…,M、M≧2である。
伝達特性記憶部140は、予め収音装置30を使って測定された伝達特性A→ q'(ω)=[a→ q',1(ω),…,a→ q',K'(ω)]を記憶しておく。a→ q',k(ω)=[aq',1(ω),aq',2(ω),…,aq',M(ω)]Tを(ただし、q'=1,2,…,QCP、k=1,2,…,K')、Q個の反射部180−qからP個の反射部を選択した場合における、制御対象領域を密に分割したK'点に含まれるk点とM本のマイクロホンとの間の周波数ωでの伝達特性、換言すれば、a→ q',k(ω)=[aq',1(ω),aq',2(ω),…,aq',M(ω)]Tは、Q個の反射部180−qからP個の反射部を選択した場合の、M個のマイクロホンアレーに含まれる各マイクロホンへのk点における周波数ωでの伝達特性とする。ただし、Pは1以上でかつ、Q以下の整数である。なお、伝達特性A→ q'(ω)は、事前測定によらず、理論式やシミュレーションにより事前に用意してもよい。q'は、上述のように、Q個の反射部180−qからP個の反射部を選択する場合の全ての組み合わせに対応するインデックス(q'=1,2,…,QCP)としてもよいし、伝達特性の相関性が小さくなりそうな組み合わせのみに対応するインデックス(q'=1,2,…,Q'、Q'は適宜設定される伝達特性の相関性が小さくなりそうな組み合わせの総数)としてもよい。
センサー間相関計算部210は、伝達特性A→ n'(ω)に代えて、伝達特性A→ q'(ω)を用いて、制御量Zを求める。
選択部220は、制御量Zを受け取り、制御量Zに基づいて、Q個の反射部180−qからP個の反射部を選択する(s33)。つまり、制御量Zを与えるq'(Q個の反射部180−qからP個の反射部を選択する場合の組み合わせに対応するインデックス)に対応するP個の反射部を選択する。本実施形態では、選択した反射部を表示部230に表示し、人手により、P個の反射部が設置されるものとする。ただし、モータ等からなる可動部により設置されてもよい。
このような構成とすることで、伝達特性の相関を低減する装置構成を見極めることができる。なお、第一実施形態や第二実施形態と第三実施形態の構造を組合せて構わない。つまり、(1)マイクロホンを選択する選択部220と、(2)マイクロホンまたは反射部を動かす可動制御部200との少なくとも何れか一方を含み、選択部220が反射部を選択する構成であってもよい。Pは必ずしも定数である必要はなく、1以上Q以下の整数を取る変数としてもよい。
第三実施形態と異なる部分を中心に説明する。
複数個のマイクロホンと、音を反射可能な素材により作成された反射部とを含むS個の収音部から、伝達特性の相関が低い収音部を選択する。ただし、Sは2以上の整数。
[必須条件]
(1)伝達特性の相関性を評価する部分を持つこと。
(2)評価値に基づいて、複数の収音部から伝達特性の相関性を低減するために効果のある収音部を選択する。ここで、評価値とは第一実施形態で求めた制御量Zに対応する。
(1)第四実施形態に係る収音装置40は、S個の収音部を有する。ただし、Sは2以上の整数とする。
(2)S個の収音部からR個の収音部を選択する。ただし、S≧R≧1とする。
第四実施形態に係る収音装置40の機能構成及び処理フローを図20と図21に示す。この第四実施形態の収音装置20は、S個の収音部410−s、AD変換部120、周波数領域変換部130、フィルタリング部160、時間領域変換部170、フィルタ計算部150、伝達特性記憶部140、センサー間相関計算部210、選択部220を含む。s=1,2,…,S、S≧2である。収音部410−sは、Ms個のマイクロホン211−s−msと、音を反射可能な素材により作成された反射部490−sとを含む。ms=1,2,…,Msである。なお、本実施形態では、反射部を図3の反射構造体190のような形状(開口部を有するマイクロホン112を包囲するような形状)としているが、図4の拡散構造体181や反射部180のような形状であってもよく、一つの収音部に対して複数個の反射部を備える構成としてもよい。反射部は、音を反射可能な素材により作成され、その形状は一つ以上の反射音を生じさせる形状であればいい。
伝達特性記憶部140は、予め収音装置40を使って測定された伝達特性A→ s(ω)=[a→ s,1(ω),…,a→ s,K'(ω)]を記憶しておく。a→ s,k(ω)=[as,1(ω),as,2(ω),…,as,Ms(ω)]Tを(ただし、k=1,2,…,K'、下付添え字Msは、Msを表す)、収音部410−sを選択した場合における、制御対象領域を密に分割したK'点に含まれるk点とMs本のマイクロホンとの間の周波数ωでの伝達特性、換言すれば、a→ s,k(ω)=[as,1(ω),as,2(ω),…,as,Ms(ω)]Tは、収音部410−sを選択した場合における、Ms個のマイクロホンアレーに含まれる各マイクロホンへのk点における周波数ωでの伝達特性とする。なお、伝達特性A→ s(ω)は、事前測定によらず、理論式やシミュレーションにより事前に用意してもよい。
センサー間相関計算部210は、伝達特性A→ n'(ω)に代えて、伝達特性A→ s(ω)を用いて、制御量Zを求める。
選択部220は、制御量Zを受け取り、制御量Zに基づいて、S個の収音部410−sからR個の反射部を選択する(s43)。つまり、制御量Zを与えるsに対応する収音部410−sを選択する。
このような構成とすることで、伝達特性の相関を低減する構成を見極めることができる。なお、第一実施形態や第二実施形態、第三実施形態と第四実施形態の構造を組合せて構わない。
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、第一実施形態では、センサー間相関計算部210において、センサー間相関を計算し(s21)、可動制御部200の制御量Zを求めているが、予め特定の位置や方向に対して、センサー間相関を計算しておき、さらに、可動制御部200の制御量Zを求めておき、利用者によって、特定の位置や方向が入力されると、対応する制御量Zを出力する構成としてもよい。
上述した収音装置は、コンピュータにより機能させることもできる。この場合、コンピュータを目的とする装置(各種実施形態で図に示した機能構成を持つ装置)として機能させるためのプログラム、またはコンピュータにその処理手順(各実施形態で示したもの)の各過程を実行させるためのプログラムを、そのコンピュータに実行させればよい。なお、そのプログラムは、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータにプログラムを実行させる際には、そのプログラムを記録媒体から読み込んでもよいし、または、そのプログラムを記録したサーバ等から通信回線を介してダウンロードしてもよい。
Claims (9)
- 複数のマイクロホンを含む収音装置であって、
音を反射可能な素材により作成される反射部と、
前記複数のマイクロホン間の相関性に応じて、前記複数のマイクロホンと音源との間の伝達特性の相関が低減するように、前記反射部の音源に対する向きまたは配置を変更する可動制御部とをさらに含む、
収音装置。 - 請求項1に記載の収音装置であって、
前記可動制御部は、前記可動制御部が可動する範囲内で、前記反射部の音源に対する向きまたは配置を変更することを特徴とする、
収音装置。 - 請求項1に記載の収音装置であって、
前記複数のマイクロホン間の相関を最小とする制御量Zを算出する制御量計算部をさらに含み、
前記可動制御部は、前記制御量Zに応じて、前記反射部の音源に対する向きまたは配置を変更することを特徴とする、
収音装置。 - 請求項3に記載の収音装置であって、
前記制御量計算部は、前記複数のマイクロホンが観測する観測信号間の相関を取得し、得られた観測信号間の相関に基づき前記制御量Zを算出することを特徴とする、
収音装置。 - 請求項1に記載の収音装置であって、
前記複数のマイクロホンが観測する観測信号間の相関を取得し、得られた観測信号間の相関に基づき制御量Zを算出する相関計算部をさらに含み、
前記可動制御部は、前記制御量Zに応じて、前記反射部の音源に対する向きまたは配置を変更することを特徴とする、
収音装置。 - 請求項1から6のいずれかに記載の収音装置であって、
前記伝達特性の相関は、ある音源から第一のマイクロホンと第二のマイクロホンまでの伝達特性と上記ある音源とは異なる他の音源から上記第一のマイクロホンと上記第二のマイクロホンまでの伝達特性との相関であることを特徴とする、
収音装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の収音装置であって、
前記可動制御部は、前記マイクロホンへの伝達特性の変化を検知したときに、
前記反射部の向きまたは配置を変更することを特徴とする、
収音装置。 - 請求項1から8のいずれかに記載の収音装置であって、
前記複数のマイクロホンによる収音信号に基づき、空間上の少なくとも複数の位置から発せられた音響信号の収音特性を異ならせるフィルタリング部をさらに含む、
収音装置。
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