JP6211494B2 - 分液装置 - Google Patents
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Description
特許文献1等にも示されるように、分液は、一般的に、分液する液体の流路となる配管に、ボールコック(ボールバルブ)やダイヤフラムバルブなどのストレート形のバルブとランタングラスなどのサイトグラスとを配置して行う。すなわち、静置によって分離した非相溶の液体を流しつつ、サイトグラスによって2液の境界面を目視し、目視した境界面に応じてバルブを操作することで、主生成物(必要な成分)と副生成物との分液を行う。
そのため、分液では、コンタミネーションを避けるためには、主生成物の無駄を避けることができない。
逆に、主生成物の比重が副生成物より重い場合には、図4(C)および図4(D)に概念的に示すように、ランタングラス100を目視しつつ流出を行い、主生成物Mと副生成物Sとの境界面bがバルブ102による閉塞位置を超えない時点、すなわち境界面bがランタングラス100で目視できる時点で、バルブ102を閉塞する。従って、この場合には、主生成物Mがバルブ102の閉塞位置よりも上流に残ってしまう。
例えば、前述の特許文献1には、分液する液体を境界検出容器に通液させつつ、境界検出容器の重量を検出し、境界検出容器の重量変化に基づいて、境界検出容器から流出する液体の流出先を切り換えることにより、分液を行うことが記載されている。
また、特許文献2には、分液する液体に近赤外線を照射して、近赤外線の吸収率が変化した時点で、液体の流路を切り換えることにより、分液を行うことが記載されている。さらに、特許文献3には、質量流量計を用いて、分液する液体の質量流量を測定し、質量流量が変化した時点で、液体の流路を切り換えることにより、分液を行うことが記載されている。
しかしながら、これらの方法や装置でも、閉塞位置や分液のための流路の切換位置において、主生成物と副生成物との境界面を確認することは困難である。そのため、センサで主生成物と副生成物との境界面を検出した時点と、境界面が装置における閉塞位置や分液のための流路の切換位置に至った時点とが一致しない場合も多い。その結果、サイトグラスを用いる方法と同様に、主生成物が無駄になり、あるいは、主生成物に副生成物が混入してしまう。
液体の流入口および流出口を有する、流入口から流出口に向かって漸次縮小する入液部、ならびに、流出口を閉塞および開放する、平面状もしくは凸状の流出口の閉塞面を有する弁体を備える、流路の下流に配置される分液バルブと、
流路に設けられる、外部から流出口を目視するための目視部とを有することを特徴とする分液装置を提供する。
また、弁体が、流出口における液体の流れの方向に移動することにより、流出口を閉塞および開放するのが好ましい。
また、弁体が、流出口における液体の流れの上流方向に移動することにより、流出口を閉塞するのが好ましい。
また、流路および目視部が、流路および目視部を兼ねるランタングラスで構成されるのが好ましい。
また、入液部と、流路を取り付ける部材とが、一体で構成されるのが好ましい。
さらに、バルブの下流に、液体の流量を調節するための流量調節バルブを有するのが好ましい。
そのため、本発明の分液装置によれば、主生成物への副生成物の混入を防止して、かつ、主生成物の無駄を無くして分液を行うことができる。
図1に示す分液装置10は、化成品や医薬品などの製造での反応工程や晶析工程において、非相溶の複数の液体を境界面(液−液界面)で分液(液−液分離操作)する装置である。このような分液装置は、例えば、反応タンクや晶析タンクの排出部や、液体の輸送経路に設けられる。
なお、以下の説明において、上流および下流とは、分液する液体の流れ方向の上流および下流である。
本発明において、ランタングラス14の径および長さは、分液装置10が利用される製造設備に応じて、適宜、選択すればよい。本発明者の検討によれば、ランタングラス14は、25A(口径でφ34.0mm)以上であるのが好ましい。25A以上のランタングラス14を用いることにより、後述する分液バルブ12の入液部32の視認性を良好にして、分液を、より正確に行うことが可能になる。
分液装置10は、ランタングラス取付け部材16を上流側、流量調節バルブ18を下流側として、分液する液体の流路に装着される。従って、ランタングラス取付け部材16は、肩部16bを有さない側のフランジ16cが、例えば、ボルトとナットとによって、分液する液体の流路となる配管に連結される。
なお、本発明において、ランタングラス取付け部材16と、液体の流路となる配管との接続方式は、図示例のようなフランジ式(フランジ型)に限定はされず、ヘルール式やウエハー式等、公知の各種の形式が利用可能である。
これに対して、図示例の分液装置10においては、好ましい態様として、ランタングラス14は、このランタングラス取付け部材16と、分液バルブ12のフランジ30とに、ボルト24およびナット26を用いて固定される。この点に関しては、後に詳述する。
また、図示は省略するが、公知のランタングラスと同様、ランタングラス取付け部材16の肩部16bとランタングラス14との間、ならびに、分液バルブ12のフランジ30の肩部30aとの間には、Oリングやガスケット等のシール材が挿入される。
図示例の分液装置10の分液バルブ12において、フランジ30、入液部32および流出管38は、一体で構成される。すなわち、分液バルブ12において、フランジ30、入液部32および流出管38は、1個の部材で、図示例においては、一体成形されている。
従って、分液対象となる液体は、液体流路配管→ランタングラス取付け部材16→ランタングラス14→分液バルブ12(フランジ30→入液部32→流出管38)→流量調節バルブ18→液体流路配管となる流路を流れる。
図1および図2に示されるように、入液部32は、フランジ30の中心の開口すなわちランタングラス14の貫通孔に一致して連通する円形の流入口32aと、流出管38に連通する円形の流出口32bとを有する。また、入液部32は、流入口32aから流出口32bに向かって、漸次、縮径するすり鉢状(乳鉢状)の流路を形成する。
前述のように、フランジ30と入液部32とは一体形成され、ランタングラス14は、フランジ30に固定される。加えて、入液部32は、流入口32aから流出口32bに向けて、漸次、縮径する。従って、操作者は、ランタングラス14から入液部32を目視しつつ、分液を行うことができる。
図示例の分液装置10では、フランジ30と入液部32とを一体で構成して、フランジ30にランタングラス14を固定することで、分液する液体の流路であるランタングラス14と入液部32とを、同じ部材に取り付けている。
なお、本発明では、フランジ30と入液部32とは、別の部材であってもよい。すなわち、前述のようにフランジ30にランタングラス14を固定し、フランジ30とは別部材の入液部32を、フランジ30の下流側端面に固定してもよい。この際において、フランジ30と入液部32との固定は、入液部32に設けたフランジとボルト・ナットやネジとを用いる方法、固定用のリングを用いる方法等、公知の固定方法を用いればよい。
しかしながら、本発明の分液装置は、入液部32と流出管38も、別の部材で構成してもよい。この際にも、両者の固定は、フランジ30と入液部32と同様、公知の固定方法を用いればよい。
ここで、本発明の分液装置10は、分液を行うための流路の閉塞位置となる入液部32の流出口32bを目視しながら、分液を行うことを目的とする。分液操作を高精度に行うためには、目視部となるランタングラス14と、入液部32とは、近い方が好ましい。この点を考慮すると、ランタングラス14と入液部32とは、1枚のフランジの上下流面など、同じ部材に固定するのが好ましい。
また、入液部32の液体の流れ方向の長さ(以下、単に『長さ』とも言う)や、流入口32aおよび流出口32bの液体の流れ方向と直交する方向のサイズ(以下、単に『サイズ』とも言う)は、ランタングラス14(流路)の径、分液装置10が利用される製造設備に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者の検討によれば、流出口32bのサイズは、8A(口径でφ13.8mm)以上であるのが好ましく、流入口32aのサイズは、25A(口径でφ34.0mm)以上であるのが好ましい。
このような構成とすることにより、流出口32bの視認性を良好にして、分液を、より正確に行うことが可能になる。
流入口32aおよび流出口32bは、サイズの差が20mm以上であるのが好ましい。さらに、入液部32の長さは、40mm以下であるのが好ましい。これにより、分液する非相溶性の液体の境界面を好適に確認しつつ、より正確な分液を行うことが可能になる。
弁体34aの流出口32bとの当接面は、平板状でもよいが、上流に向かって凸状の方が、より確実な閉塞および正確な分液が可能である。
なお、本発明の分液装置においては、駆動源36に変えて、棒状のネジと、このネジに螺合する回転ハンドルとを用いる移動手段、レバーとリンク機構とを用いる移動手段など、公知の各種の手動の移動手段によって弁34を移動して、流出口32bを開放・閉塞してもよい。
なお、弁34は、弁棒34bが流出管38の壁を貫通して、分液バルブ12に取り付けられる。駆動源36は、流出管38の外部で弁棒34bに係合する。図示は省略するが、流出管38の弁棒34bとの摺接部には、パッキン(ガスケット)が設けられ、液体が外部に漏れないようになっている。
従って、分液バルブ12は、弁34を上流側に移動すなわち上昇することにより、弁体34aによって流出口32bを閉塞し、弁34を下流側に移動すなわち下降することにより、流出口32bを開放する、いわゆる内弁式のバルブである。
流量調節バルブ18は、ボールコック(ボールバルブ)等の、公知の流量調節が可能なバルブである。分液バルブ12の下流に流量調節バルブ18を有することにより、分液装置10を流れる液体の流速を調節して、より、正確な分液を行うことが可能になる。
なお、流出管38への流量調節バルブ18の取付け、および、流量調節バルブ18の分液する液体の流路となる配管への連結は、公知のバルブの取付け方法で行えばよい。
一例として、分液の開始前は、分液装置10の弁体34aは、流出口32bを閉塞している。分液装置10の上流側のバルブを全て開放した後、弁体34aが、流出口32bを開放することで、分液される液体が、分液装置10に流される。
なお、分液する液体は、自由落下によって分液装置10に流すのが通常である。しかしながら、製造設備によっては、ポンプを用いて分液装置10に分液する液体を流してもよい。
分離した非相溶性の液体の境界面がランタングラス14に至った時点で、必要に応じて、流量調節バルブ18を絞って液体の流量を低減する。
ここで、分液装置10においては、入液部32と一体のフランジ30にランタングラス14が固定されている。そのため、操作者は、ランタングラス14から、入液部32を目視できる。
操作者は、ランタングラス14から、入液部32および入液部32を下降する非相溶性の液体の境界面を目視しつつ、この境界面が入液部32の下端の流出口32bに至った時点で駆動源36を駆動して、弁体34aによって流出口32bを閉塞して、非相溶性の液体の分液を行う。
このように、本発明の分液装置は、分液を行うための流路の閉塞位置(以下、単に『閉塞位置』とも言う)と、分液する液体の境界面との、両者を目視しつつ、非相溶性の液体の分液を行うことができる。
そのため、本発明の分液装置によれば、主生成物への副生成物の混入を防止して、かつ、主生成物を無駄にすることなく、非相溶性の液体の分液を行うことができる。しかも、弁体34aが上流側に向かって凸状もしくは平面状であるため、閉塞位置である流出口32bと液体の境界面とを限りなく一致した状態での分液を可能として、主生成物への副生成物の混入や、主生成物の無駄を不要な排出を、より好適に防止できる。
本発明の分液装置10は、これ以外にも、弁体34aが入液部32内に位置し、弁34を上流側に移動することにより流出口32bを開放し、弁34を下流側に移動することにより流出口32bを閉塞する、いわゆる外弁式のバルブも利用可能である。
しかしながら、外弁式のバルブは、弁体34aが入液部32内に位置する。そのため、外弁式のバルブでは、ランタングラス14からの流出口32bの視認性が悪くなる可能性が有る。
この点を考慮すると、本発明においては、図示例の分液装置10のように、弁34を下流側に移動することにより、流出口32bを開放する内弁式のバルブが、より好適に利用される。
しかしながら、流出口32bの閉鎖の迅速性や、入液部32からの液漏れの防止等を考慮すると、分液バルブは、図示例のような、弁34を上下流方向に移動して、流出口32bを開放・閉塞する構成が好ましい。
しかしながら、本発明の分液装置は、ランタングラス14を利用する構成以外にも、覗き窓的なサイトグラスを用いる構成等、各種の構成が利用可能である。
図3に示す分液装置50は、ランタングラス14およびランタングラス取付け部材16に変えて、液体の流路となる、金属製の流路部材52を用いる例である。
なお、分液装置50は、金属製の流路部材52を用いる以外は、多くの部材が前述の分液装置10と同じであるので、以下の説明は、異なる部材を主に行う。
なお、流路部材52は、上流側にフランジ54bを有し、このフランジ54bが、分液する液体の流路に接続される。
さらに、このフランジ56aには、フランジ56aとフランジ58とに挟持されて、サイトグラス60が固定される。サイトグラス60は、反応タンクの内部を外部から目視するため等に設けられる、公知のサイトグラスである。
12 分液バルブ
14 ランタングラス
16 ランタングラス取付け部材
16a,30,54a,54b,56a,58 フランジ
18 流量調節バルブ
24 ボルト
26 ナット
32 入液部
32a 流入口
32b 流出口
34 弁
34a 弁体
34b 弁棒
36 駆動源
38 流出管
52 流路部材
54 直管部
56 分岐管
60 サイトグラス
Claims (7)
- 分液する液体の流路と、
前記液体の流入口および流出口を有する、前記流入口から流出口に向かって漸次縮小する入液部、ならびに、前記流出口を閉塞および開放する、平面状もしくは凸状の前記流出口の閉塞面を有する弁体を備える、前記流路の下流に配置される分液バルブと、
前記流路に設けられる、外部から前記流出口を目視するための目視部とを有することを特徴とする分液装置。 - 前記流路および入液部が、同じ部材に取り付けられる請求項1に記載の分液装置。
- 前記弁体が、前記流出口における液体の流れの方向に移動することにより、前記流出口を閉塞および開放する請求項1または2に記載の分液装置。
- 前記弁体が、前記流出口における液体の流れの上流方向に移動することにより、前記流出口を閉塞する請求項3に記載の分液装置。
- 前記流路および目視部が、前記流路および目視部を兼ねるランタングラスで構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の分液装置。
- 前記入液部と、前記流路を取り付ける部材とが、一体で構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の分液装置。
- 前記バルブの下流に、前記液体の流量を調節するための流量調節バルブを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の分液装置。
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