実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成例と、その作製方法例について説明する。以下では、半導体装置の一例としてトランジスタを例に挙げて説明する。
[構成例]
図1に、本実施の形態で例示するトランジスタ100の構成例を示す。図1(A)は、トランジスタ100の上面概略図である。また、図1(B)、(C)はそれぞれ、図1(A)中の切断線A−B、C−Dで切断したときの断面概略図である。
トランジスタ100は、基板101上に設けられ、ゲート電極102と、ゲート電極102上にゲート絶縁層103と、ゲート絶縁層103上に半導体層104と、半導体層104とそれぞれ接する第1の電極105a及び第2の電極105bと、を有する。
また、基板101上には絶縁層106が設けられている。また、第1の電極105a、第2の電極105b、及び半導体層104上に絶縁層107が設けられ、さらに絶縁層107上に絶縁層108が設けられている。
第1の電極105aは、トランジスタ100のソース電極として機能する。また第2の電極105bは、トランジスタ100のドレイン電極の他方として機能する。
ゲート電極102は、n型の導電性が付与されたシリコンを含む。好ましくは、n型の導電性を付与する不純物(n型のドーパントともいう)を含む多結晶シリコンを含む。
ゲート絶縁層103は、水素の含有量が極めて低い絶縁材料を含む。好ましくは、水素の含有量が極めて低い酸化シリコンを含む。具体的には、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で検出される水素の含有量が、5×1021atoms/cm3未満、好ましくは2×1021atoms/cm3未満、より好ましくは1×1021atoms/cm3未満である領域を含む。
このように極めて水素の含有量が低いゲート絶縁層103は、極めて高い温度の加熱処理を行うこと、または極めて高い成膜温度でゲート絶縁層103を成膜することなどにより形成することができる。
例えば、成膜ガスとしてシランガスを用いたPECVD法で成膜して得られた絶縁膜の場合、膜中に多量の水素を含んでいる場合が多い。例えばこのような絶縁膜では、二次イオン質量分析法で検出される水素の含有量は5×1021atoms/cm3以上、または1×1022atoms/cm3以上であり、本発明の一態様のゲート絶縁層103に適用できる絶縁膜はこれよりも極めて水素の含有量が少ない。
本構成例で例示するトランジスタ100では、ゲート絶縁層103として、シリコンを含むゲート電極102の上部の一部を熱酸化することにより形成する。したがってゲート絶縁層103は極めて水素の含有量が低い酸化シリコンを含む。
半導体層104は、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を含む。
シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体をチャネルが形成される半導体層104に適用することにより、高温であってもトランジスタの電気特性の変動を極めて小さいものとすることができる。したがって、半導体層104に酸化物半導体を適用することで、高温で安定した動作が可能なトランジスタを実現できる。
さらに、半導体層104にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いることにより、ホットキャリア劣化に対する耐性が高められ、トランジスタに高いドレイン耐圧を付与することができる。そのため、高い駆動電圧で安定して駆動するトランジスタを実現できる。
ここで、ホットキャリア劣化とは、高速に加速された電子がチャネル中のドレイン近傍でゲート絶縁層中に注入されて固定電荷となることや、ゲート絶縁層界面にトラップ準位を形成することにより、しきい電圧の変動やゲートリーク等のトランジスタ特性の劣化が生じることであり、ホットキャリア劣化の要因としては、チャネルホットエレクトロン注入(CHE注入)とドレインアバランシェホットキャリア注入(DAHC注入)がある。
シリコンはバンドギャップが狭いため、アバランシェ降伏によって雪崩的に電子が発生しやすく、ゲート絶縁層の障壁を越えられるほど高速に加速される電子数が増加する。しかしながら、本実施の形態で示す酸化物半導体は、バンドギャップが広いため、アバランシェ降伏が生じにくく、シリコンと比べてホットキャリア劣化の耐性が高い。
このように、トランジスタ100は高いドレイン耐圧を有すると言える。それゆえ、絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET:Insulated−Gate Field−Effect Transistor)などのパワーデバイスに好適である。
また、ゲート絶縁層103の水素の含有量が極めて低いため、トランジスタ100の作製工程において、ゲート絶縁層103と半導体層104との界面、及び半導体層104中に水素が拡散することを抑制できる。したがって、水素に起因してゲート絶縁層103と半導体層104との界面、及び半導体層104中に形成される欠陥準位密度が十分に低減され、極めて信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、ゲート電極102としてシリコンを含む材料を用いることで、ゲート絶縁層103を高温プロセスによって形成することが可能である。そのため、極めて高い耐圧を有するゲート絶縁層103が実現されている。このようなゲート絶縁層103を備えることで、より高い駆動電圧で安定して駆動するトランジスタを実現できる。
以上が、本構成例についての説明である。
[各構成要素について]
以下では、トランジスタ100の各構成要素について説明する。
〔半導体層〕
半導体層104に酸化物半導体を用いる場合、インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくともひとつを含む酸化物半導体を用いることが好ましい。代表的には、In−Ga−Zn系金属酸化物などが挙げられる。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いると、オフ状態におけるリーク電流を抑制できるため好ましい。
半導体層104は、酸化物半導体膜を単層で用いてもよいし、組成の異なる酸化物半導体膜を積層して用いてもよい。
例えば、酸化物半導体膜を2層積層した構成とし、ゲート電極102側に近い酸化物半導体膜に、その伝導帯の下端のエネルギーが上層の酸化物半導体膜よりも低い材料を用いる。または、酸化物半導体膜を3層積層した構成とし、内側に設けられる酸化物半導体膜に、その伝導帯の下端エネルギーが他に比べて低い材料を用いる。このような構成とすることで、伝導帯の下端のエネルギーが最も低い酸化物半導体膜に主としてチャネルが形成される。
酸化物半導体膜にIn−M−Zn酸化物を適用した場合、膜中のMの原子数比に対するInの原子数比の割合が大きいほど、伝導帯の下端のエネルギーを低いものとすることができる。またZnの割合が大きいほど、結晶構造の安定性が高まる。また、Mの割合が大きいほど、酸化物半導体膜からの酸素の放出を抑制できる。
主としてチャネルが形成され、主な電流経路となる酸化物半導体膜に接して、同じ構成元素を含む酸化物半導体膜を接して設けることで、これらの界面準位の生成が抑制され、トランジスタの電気特性における信頼性が向上する。さらに、主としてチャネルが形成される酸化物半導体膜に対して、これに接して設けられる酸化物半導体膜には、Mの原子数比が大きく材料を用いると、主としてチャネルが形成される酸化物半導体膜中の酸素欠損を低減することができる。
なお、半導体層104に適用することのできる酸化物半導体の好ましい形態とその形成方法については、後の実施の形態で詳細に説明する。
また、酸化物半導体以外の半導体として、炭化シリコン、窒化ガリウム、またはダイヤモンドなどのシリコンよりもバンドギャップの大きな半導体を用いることもできるが、作製の容易性、電気特性の安定性などの観点から、酸化物半導体を用いることが好ましい。
以下では特に断りのない場合、半導体層104に酸化物半導体を適用した場合について説明する。
〔基板〕
基板101としては、耐熱性の高い基板を用いることが好ましい。例えば基板101として、シリコンなどの単結晶半導体基板、炭化シリコン、窒化ガリウムまたはシリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、セラミック基板、サファイア基板、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板、SOI基板などを用いることができる。
〔ゲート電極〕
ゲート電極102としては、上述したn型の導電性が付与されたシリコンの他、p型のドーパント(ホウ素、アルミニウムなど)を含むシリコンなどを用いることができる。または、n型またはp型の導電性が付与されたSiGe、GaAsなどの半導体を用いてもよい。
なお、図1では半導体層104よりも基板側にゲート電極102を有する構成としたが、図2(A)に示すように、ゲート電極102に加え、絶縁層107の上面に接して第2のゲート電極109を設ける構成としてもよい。または、図2(A)に示すように絶縁層108の上面に接して第2のゲート電極109を設ける構成としてもよい。このとき、半導体層104と第2のゲート電極109の間の絶縁層(絶縁層107、または絶縁層107及び絶縁層108)は第2のゲート絶縁層として機能する。
第2のゲート電極109としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、第2のゲート電極は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合わせた合金膜、もしくはこれらの窒化膜を用いてもよい。
また、第2のゲート電極109は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
また、第2のゲート電極109と第2のゲート絶縁層との間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも半導体層104より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
〔ゲート絶縁層〕
ゲート絶縁層103は、上述のような水素の含有量が極めて低い絶縁材料を用いることができる。
ゲート絶縁層103としては、上述のようにゲート電極102の上部の一部を熱酸化により酸化させて得られた絶縁層を用いることが好ましい。
熱酸化によって得られる熱酸化膜は、膜中の不対結合手(ダングリングボンド)が極めて少ないため、パーコレーションモデルにおける絶縁破壊耐性が、例えばPECVD法により成膜した絶縁膜に比べ高い。また、熱酸化膜は被覆性が極めて高いため、例えばゲート電極102の端部で被覆不良が生じる恐れが無い。その結果、トランジスタを高電圧で駆動した場合であっても、ゲート絶縁層103を介して流れるゲート−ドレイン間またはゲート−ソース間のリーク電流を効果的に低減できる。
また、ゲート絶縁層103を薄膜で形成することもできる。ゲート絶縁層103を薄膜で形成する場合には、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。また、ゲート絶縁層103として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
または、ゲート絶縁層103として、シリコン膜を熱酸化して得られた酸化シリコン膜や、アルミニウム膜を熱酸化して得られた酸化アルミニウム膜などの、熱酸化膜を用いてもよい。このような熱酸化膜をゲート絶縁層103として用いる場合、ゲート絶縁層103の水素の含有量を効果的に低減することができる。
〔第1の電極、第2の電極〕
第1の電極105a及び第2の電極105bは、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、または上述の金属を主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
〔絶縁層〕
絶縁層106は、基板101に絶縁表面を形成するために設けられる。また絶縁層106は、基板101に含有される不純物が拡散することを防ぐバリア層としての機能を有していてもよい。
絶縁層106としては、基板101の表面を熱酸化することにより得られる熱酸化膜を用いることが好ましい。
または、絶縁層106を薄膜で形成してもよい。
絶縁層106としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウムなどを用いることができる。
半導体層104に接する絶縁層107は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。
このような絶縁層107を半導体層104に接して設けることにより、加熱処理によって絶縁層107から半導体層104に酸素を供給し、半導体層104内の酸化物半導体の酸素欠損を低減することができる。
例えば、絶縁層107としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどを用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
なお、絶縁層106として、絶縁層107と同様に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いてもよい。
絶縁層108は、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を用いることができる。絶縁層107上に絶縁層108を設けることで、半導体層104からの酸素の外部への拡散と、外部から半導体層104への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
なお、絶縁層107に上述した酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を用い、絶縁層108を設けない構成としてもよい。また、このようなブロッキング効果を有する絶縁層107と、絶縁層108の積層構造としてもよい。絶縁層107と絶縁層108を積層して設けることにより、ブロッキング効果がより高められ、またトランジスタ100の上部の平坦性を高めることができる。
[作製方法例]
以下では、図1に示したトランジスタ100の作製方法の一例について、図面を参照して説明する。図3は、以下で例示するトランジスタ100の作製方法例に係る、各段階における断面概略図である。
〔絶縁層の形成〕
まず、基板101上に絶縁層106を形成する。
絶縁層106は、基板101の表面を熱酸化させることにより形成することが好ましい。
例えば、基板101として単結晶シリコン基板を用い、酸化性気体を含む雰囲気で加熱処理を行うことにより、絶縁層106を形成することができる。酸化性気体としては、酸素、オゾン、塩化水素などの気体、またはこれらの混合気体を用いることができる。
熱酸化としては、600℃以上基板の融点以下、例えば600℃以上1100℃以下、好ましくは800℃以上1100℃以下、より好ましくは900℃以上1100℃以下の温度で行う。このような高い温度で絶縁層106を形成することにより、絶縁層106中の水素の含有量を極めて小さいものとすることができる。
または、絶縁層106として、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法、PECVD(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などにより形成した薄膜を用いてもよい。
絶縁層106として薄膜を用いる場合には、上述した温度で加熱処理を行い、絶縁層106内部の水素含有量を低減することが好ましい。
ここで、絶縁層106に酸素を含有させる処理を行うことが好ましい。絶縁層106に酸素を過剰に含有させるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁層106の成膜を行えばよい。または、形成後の絶縁層106に酸素を導入して酸素を過剰に含有させてもよく、双方の手段を組み合わせてもよい。
例えば、形成後の絶縁層106に酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
酸素導入処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、酸素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。また、酸素導入処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよい。
〔ゲート電極、ゲート絶縁層の形成〕
続いて、絶縁層106上に半導体膜112を形成する(図3(A))。
半導体膜112は、例えばアモルファスシリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることができる。
半導体膜112として、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコンなどを用いる場合には、スパッタリング法、MBE法、CVD法、LPCVD法、PECVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法などにより形成することができる。
また、半導体膜112として単結晶シリコンを用いる場合には、例えば基板101としてSOI基板を用い、当該SOI基板の上層の単結晶半導体膜を半導体膜112として用いることができる。
半導体膜112は、n型の導電性を付与する不純物を含む。当該不純物としては、例えばリンやヒ素などの元素が挙げられる。
半導体膜112に上記不純物を含ませる方法としては、例えば不純物元素を含む気体を含む雰囲気下でCVD法(LPCVD法、PECVD法を含む)などにより成膜することが挙げられる。または、半導体膜を成膜した後に、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法などにより不純物元素を導入し、不純物を含む半導体膜112を形成することもできる。
続いて、半導体膜112上にフォトリソグラフィ法等を用いてレジストマスクを形成し、半導体膜112の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去する。
なお、上述したように半導体膜を成膜した後に不純物元素を導入する場合、半導体膜112の加工前に行ってもよいし、加工後に行ってもよい。
続いて、加工された半導体膜112の表面を熱酸化させ、ゲート電極102とゲート電極102の表面を覆うゲート絶縁層103を形成する(図3(B))。
熱酸化は、上述した酸化性気体を含む雰囲気下で600℃以上1100℃以下、好ましくは800℃以上1100℃以下、より好ましくは900℃以上1100℃以下の温度で加熱することにより行う。
ここで、加工された半導体膜112の上部の一部が熱酸化してゲート絶縁層103となるため、ゲート電極102の厚さは半導体膜112の厚さよりも薄くなる。そのため、熱酸化される厚さを考慮して予め半導体膜の112の厚さを厚く形成しておくことが好ましい。例えばシリコンが熱酸化して酸化シリコン(SiO2)が生成される際、その体積は約1.5倍程度となる。したがって、このような体積膨張を考慮しゲート絶縁層103の厚さが所望の厚さになるように、半導体膜の厚さや、熱酸化の条件を設定することが好ましい。
例えば、ゲート電極102及びゲート絶縁層103の厚さをそれぞれ200nmとする場合には、半導体膜112の厚さを300nmとし、表面から100nmまでの領域が完全に酸化されるように、熱酸化の温度や時間、ガスの流量比などの条件を設定する。
このように、極めて高い温度でゲート絶縁層103を形成することにより、ゲート絶縁層103内の水素の含有量を極めて小さいものとすることができる。したがって、ゲート絶縁層103と接して設けられる半導体層104、及び半導体層104とゲート絶縁層103との界面に水素が拡散することが抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、半導体膜112としてアモルファスシリコンや微結晶シリコンなどの結晶性が比較的低い材料を用いた場合、熱酸化で係る熱によりゲート電極102が結晶化し、多結晶シリコンを含むゲート電極102が形成される。また、多結晶シリコンや単結晶シリコンを用いた場合には、その結晶性がさらに向上する。このようにゲート電極102の結晶性を高めることで、導電性を向上させることができるため好ましい。
また、ゲート電極102の結晶化を促進するために、半導体膜112の形成後にレーザ光を照射することにより膜を加熱するレーザアニールを実施してもよい。
また、熱酸化で係る熱により、ゲート電極102内に含まれる不純物のうち、導電性に寄与しないものの割合を低減し、その結果ゲート電極102の導電性を向上させることができる。
〔半導体層の形成〕
続いて、絶縁層106及びゲート絶縁層103上に酸化物半導体膜を成膜する。その後フォトリソグラフィ法等を用いて酸化物半導体膜上にレジストマスクを形成し、酸化物半導体膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、島状の半導体層104を形成する(図4(C))。
酸化物半導体膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法、またはPLD(Pulsed Laser Deposition)法等を用いることができる。酸化物半導体膜の成膜は、スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法等を用いることができる。特に、成膜時に発生するゴミを低減でき、かつ膜厚分布も均一とすることからDCスパッタリング法を用いることが好ましい。
酸化物半導体膜の成膜後、加熱処理を行う。加熱処理は、250℃以上1000℃未満、好ましくは450℃以上950℃未満の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。加熱処理により、酸化物半導体膜中に含まれる水素を効果的に脱離させることができる。また加熱処理の温度が高いほど、酸化物半導体膜中の水素の含有量を低減できるが、950℃以上の温度ではゲート絶縁層103中のシリコンが酸化物半導体膜中に拡散することがあるため、これよりも低い温度に設定することが好ましい。
なお、加熱処理は酸化物半導体膜を成膜した後のどの段階で行ってもよく、酸化物半導体膜の加工前に行ってもよいし、酸化物半導体膜を加工して半導体層104を形成した後に行ってもよい。加熱処理により、絶縁層106から酸化物半導体膜(または半導体層104)に酸素が供給され、半導体層104に含まれる酸化物半導体中の酸素欠損を低減できる。
〔第1の電極、第2の電極の形成〕
続いて、絶縁層106及び半導体層104上に導電膜を成膜する。その後フォトリソグラフィ法等を用いて導電膜上にレジストマスクを形成し、導電膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、それぞれ半導体層104と接する第1の電極105a及び第2の電極105bを形成する(図3(D))。
導電膜は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法などにより成膜する。
ここで、図3(D)に示すように、導電膜のエッチングの際に半導体層104の上部の一部がエッチングされ、第1の電極105a及び第2の電極105bと重ならない部分が薄膜化することがある。したがって、半導体層104となる酸化物半導体膜の厚さを、エッチングされる深さを考慮して予め厚く設定しておくことが好ましい。
〔絶縁層の形成〕
続いて、半導体層104、絶縁層106、ゲート絶縁層103、第1の電極105a及び第2の電極105b上に絶縁層107を形成し、続いて絶縁層107上に絶縁層108を形成する(図3(E))。
絶縁層107、絶縁層108は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。特に、絶縁層107及び絶縁層108をCVD法、好ましくはPECVD法によって成膜すると、被覆性が良好であるため好ましい。
絶縁層107として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜をPECVD法により形成する場合、原料ガスとしてはシリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素などがある。
例えば、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上260℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、酸化物絶縁膜中における酸素含有量が化学量論比よりも多くなる。しかしながら、基板温度が、上記温度であると、シリコンと酸素の結合力が弱いため、加熱により酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
絶縁層108として窒化シリコン、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、上述のシリコンを含む堆積性気体、上述の酸化性気体、及び窒素を含む気体を用いることが好ましい。窒素を含む気体としては、窒素、アンモニア等がある。
絶縁層107及び絶縁層108の形成後、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理により絶縁層107が放出した酸素が半導体層104に供給され、半導体層104に含まれる酸化物半導体中の酸素欠損を低減することができる。また、絶縁層107上を覆って設けられた絶縁層108により、加熱処理中に絶縁層107から放出される酸素が外部に核酸することを抑制し、より効果的に半導体層104に酸素を供給できる。
以上の工程により、トランジスタ100を作製することができる。
なお、図2(A)や図2(B)で例示した、第2のゲート電極109を有するトランジスタを形成する場合には、まず絶縁層107の形成後、または絶縁層108の形成後に導電膜を成膜する。その後フォトリソグラフィ法等を用いて導電膜上にレジストマスクを形成し、導電膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、第2のゲート電極109を形成することができる。また、第2のゲート電極109となる導電膜には、第1の電極及び第2の電極に用いる材料、及び成膜方法を援用できる。
以上が本作製方法例についての説明である。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で例示した半導体装置とは構成の一部が異なる半導体装置の構成例、及び作製方法例について説明する。なお、以下では上記と重複する部分については説明を省略する場合がある。
[構成例]
図4に、本実施の形態で例示するトランジスタ150の構成例を示す。図4(A)は、トランジスタ150の上面概略図である。また図4(B)、(C)はそれぞれ、図4(A)中の切断線E−F、G−Hで切断したときの断面概略図である。
トランジスタ150は、主にゲート絶縁層の構成が異なる点で、実施の形態1で例示したトランジスタ100と相違している。
トランジスタ150のゲート絶縁層153は、ゲート電極102を覆って設けられ、さらに絶縁層106の露出した上面に接して設けられている。また半導体層104は、ゲート電極102と重ならない領域でもゲート絶縁層153上に接して設けられている。また第1の電極105a及び第2の電極105bも、それぞれ半導体層104と重ならない領域ではゲート絶縁層153と接して設けられている。
ゲート絶縁層153は、実施の形態1で例示したゲート絶縁層103と同様、水素の含有量が極めて低い絶縁材料を含む。好ましくは、水素の含有量が極めて低い酸化シリコンを含む。具体的には、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で検出される水素の含有量が、5×1021atoms/cm3未満、好ましくは2×1021atoms/cm3未満、より好ましくは1×1021atoms/cm3未満である領域を含む。
[作製方法例]
以下では、図4に示したトランジスタ150の作製方法の一例について、図面を参照して説明する。図5は、以下で例示するトランジスタ150の作製方法例に係る、各段階における断面概略図である。
〔絶縁層の形成〕
まず、実施の形態1と同様の方法により、基板101上に絶縁層106を形成する。
〔ゲート電極の形成〕
続いて、絶縁層106上に、実施の形態1と同様の方法により、半導体膜112(図示しない)を形成する。続いて、半導体膜112上にフォトリソグラフィ法等を用いてレジストマスクを形成し、半導体膜112の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、ゲート電極102を形成する(図5(A))。
ここで、本作製方法例においてゲート絶縁層103は、ゲート電極102の一部を熱酸化して形成する方法とは異なる方法を用いる。したがって、ゲート電極102の厚さは上記半導体膜112の厚さとほぼ等しい厚さになる。
〔ゲート絶縁層の形成〕
続いて、絶縁層106及びゲート電極102上に、薄膜151を成膜する(図5(B))。
薄膜151は、後の熱酸化によりゲート絶縁層となる膜である。したがって、熱酸化を行うことにより絶縁膜が形成される材料を含む膜を用いる。例えば、シリコンなどの半導体膜、またはアルミニウムなどの金属膜などを用いることができる。
薄膜151にシリコンを含む薄膜を用いる場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、または多結晶シリコンなどを用いることができる。
薄膜151は、その材料に応じて適切な方法で成膜すればよいが、例えばスパッタリング法、MBE法、CVD法、LPCVD法、PECVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法などを用いて成膜することができる。
続いて、熱酸化により薄膜151を酸化して、ゲート絶縁層153を形成する(図5(C))。
熱酸化の方法は、上記実施の形態1で例示した方法を援用できる。
ここで、熱酸化後に薄膜151の一部が酸化されずに残存してしまうと、絶縁耐圧の低下、電気的なショートなどの不具合が生じる場合がある。したがって、薄膜151が完全に酸化されて絶縁化するよう、薄膜151の厚さや、熱酸化の条件を設定することが好ましい。また、上述のように熱酸化により体積膨張が生じるため、熱酸化後のゲート絶縁層153が所望の厚さとなるように、薄膜151の厚さをこれよりも薄く形成することが好ましい。
以上の方法により、ゲート電極102及び絶縁層106を覆い、水素の含有量が極めて低減されたゲート絶縁層153を形成することができる。
以降の工程は、実施の形態1で例示した作製方法例を援用できる。すなわち、ゲート絶縁層153上に島状の半導体層104を形成し、次いで半導体層104と接する第1の電極105a及び第2の電極105bを形成する。その後、絶縁層107及び絶縁層108を形成することにより、トランジスタ150を形成することができる(図5(D))。
以上が本作製方法例についての説明である。
[変形例]
以下では、上記作製方法例とは一部が異なる、トランジスタ150の作製方法例について説明する。
まず、上記と同様に基板101上に絶縁層106、及びゲート電極102を形成する(図6(A))。
続いて、絶縁層106及びゲート電極102上に、ゲート絶縁層163を成膜する(図6(B))。
ゲート絶縁層163には、実施の形態1で例示した絶縁材料を含む薄膜を用いる。ゲート絶縁層163は、例えばスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。特に、ゲート絶縁層163をCVD法、好ましくはPECVD法によって成膜すると、被覆性が良好であるため好ましい。
続いて、ゲート絶縁層163に対して加熱処理を行うことにより膜中及び表面の水素を脱離させ、水素の含有量が極めて低減されたゲート絶縁層163とする。
加熱処理は、不活性気体を含む雰囲気下、または不活性気体と酸素を含む雰囲気下で、大気圧または減圧された状態で行うことが好ましい。加熱処理の温度は、600℃以上基板の融点以下、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上、さらに好ましくは1000℃以上の温度で行うことが好ましい。
このように、極めて高温の加熱処理を行うことで、ゲート絶縁層163中の水素を徹底的に排除することができる。例えばゲート絶縁層163としてシランガスを用いたPECVD法により成膜した場合であっても、このような加熱処理により極めて水素の含有量が低減されたゲート絶縁層163を実現することができる。
また、このような高温の加熱処理を行うことで構成原子の再配列が生じ、ゲート絶縁層163中の欠陥密度が低減され緻密な層とすることができるため、絶縁耐圧が向上する。またゲート絶縁層163中の欠陥密度が低減されることにより、トランジスタの長期信頼性を向上させることができる。
以上の方法により、ゲート電極102及び絶縁層106を覆い、水素の含有量が極めて低減されたゲート絶縁層163を形成することができる。
以降の工程は、実施の形態1で例示した作製方法例を援用できる。すなわち、ゲート絶縁層163上に島状の半導体層104を形成し、次いで半導体層104と接する第1の電極105a及び第2の電極105bを形成する。その後、絶縁層107及び絶縁層108を形成することにより、トランジスタを形成することができる(図6(C))。
以上が本変形例についての説明である。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の半導体層に好適に用いることのできる酸化物半導体について説明する。
酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、酸化物半導体を適切な条件で加工し、そのキャリア密度を十分に低減して得られた酸化物半導体膜が適用されたトランジスタにおいては、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとすることができる。
適用可能な酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、または複数種が含まれていることが好ましい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザとしての元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3:6、In:Ga:Zn=3:1:2あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素も同時に減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって同時に減少してしまった酸素を酸化物半導体に加える、または酸素を供給し酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理、または過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化またはi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×1017/cm3以下、1×1016/cm3以下、1×1015/cm3以下、1×1014/cm3以下、1×1013/cm3以下であることをいう。
またこのように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、さらに好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、さらに好ましくは1×10−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
CAAC−OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つであり、ほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折像が観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では本発明の一態様の半導体装置の一形態として、上記実施の形態で例示したトランジスタを具備するインバータ及びコンバータ等の電力変換回路の構成例について説明する。
[DCDCコンバータ]
図7(A)に示すDCDCコンバータ501は、一例としてチョッパー回路を用いた、高圧型のDCDCコンバータである。DCDCコンバータ501は、容量素子502、トランジスタ503、制御回路504、ダイオード505、コイル506及び容量素子507を有する。
DCDCコンバータ501は、制御回路504によるトランジスタ503のスイッチング動作により動作する。DCDCコンバータ501により、入力端子IN1とIN2に印加される入力電圧V1は、出力端子OUT1とOUT2より降圧されたV2として負荷508に出力できる。DCDCコンバータ501が具備するトランジスタ503には、上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作によって大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なDCDCコンバータを実現できる。
図7(A)では非絶縁型の電力変換回路の一例としてチョッパー回路を用いた降圧型のDCDCコンバータを示したが、他にもチョッパー回路を用いた昇圧型のDCDCコンバータ、チョッパー回路を用いた昇圧降圧型のDCDCコンバータが具備するトランジスタにも上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作によって大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なDCDCコンバータを実現できる。
次いで図7(B)に示すDCDCコンバータ511は、一例として絶縁型の電力変改回路であるフライバックコンバータの回路構成例を示す。DCDCコンバータ511は、容量素子512、トランジスタ513、制御回路514、一次コイル及び二次コイルを具備する変圧器515、ダイオード516及び容量素子517を有する。
図7(B)に示すDCDCコンバータ511は、制御回路514によるトランジスタ513のスイッチング動作により動作する。DCDCコンバータ511により、入力端子IN1とIN2に印加される入力電圧V1は、出力端子OUT1とOUT2より昇圧または降圧されたV2として負荷518に出力できる。DCDCコンバータ511が具備するトランジスタ513には、上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作によって大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なDCDCコンバータを実現できる。
なお、フォワード型のDCDCコンバータが具備するトランジスタにも上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。
[インバータ]
図8に示すインバータ601は、一例としてフルブリッジ型のインバータである。インバータ601は、トランジスタ602、トランジスタ603、トランジスタ604、トランジスタ605、及び制御回路606を有する。
図8に示すインバータ601は、制御回路606によるトランジスタ602乃至605のスイッチング動作により動作する。入力端子IN1とIN2に印加される直流電圧V1は、出力端子OUT1とOUT2より交流電圧V2として出力することができる。インバータ601が具備するトランジスタ602乃至605には、上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作により大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なインバータとすることができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では本発明の一態様の半導体装置の一形態として、上記実施の形態で例示したトランジスタを具備する電源回路の構成例について説明する。
図9に、本発明の一態様に係る電源回路400の構成を、一例として示す。図9に示す電源回路400は、制御回路413と、パワースイッチ401と、パワースイッチ402と、電圧調整部403と、を有する。
電源回路400には、電源416から電圧が供給されており、パワースイッチ401及びパワースイッチ402は、電圧調整部403への上記電圧の入力を制御する機能を有する。
なお、電源416から出力される電圧が交流電圧である場合、図9に示すように、電圧調整部403への第1電位の入力を制御するパワースイッチ401と、電圧調整部403への第2電位の入力を制御するパワースイッチ402とを、電源回路400に設ける。電源416から出力される電圧が直流電圧である場合、図9に示すように、電圧調整部403への第1電位の入力を制御するパワースイッチ401と、電圧調整部403への第2電位の入力を制御するパワースイッチ402とを、電源回路400に設けてもよいし、或いは、第2電位を接地電位とし、電圧調整部403への第2電位の入力を制御するパワースイッチ402を設けずに、電圧調整部403への第1電位の入力を制御するパワースイッチ401を電源回路400に設けてもよい。
そして、本発明の一態様では、パワースイッチ401及びパワースイッチ402として、耐圧性の高いトランジスタを用いる。例えば上記トランジスタとして、実施の形態1で例示したトランジスタを用いることができる。
パワースイッチ401及びパワースイッチ402として、上記結晶構造を有する酸化物半導体膜を用いることにより、高い出力電流を流すことが可能で、且つ耐圧を高めることができる。
上記トランジスタ材料を活性層に用いた電界効果トランジスタを、パワースイッチ401またはパワースイッチ402に用いることで、炭化珪素や窒化ガリウムなどを活性層に用いた電界効果トランジスタよりも、パワースイッチ401またはパワースイッチ402のスイッチングを高速にすることができ、それにより、スイッチングに起因する電力損失を小さく抑えることができる。
電圧調整部403は、パワースイッチ401及びパワースイッチ402を介して電源416から電圧が入力されると、当該電圧の調整を行う機能を有する。具体的に、電圧調整部403における電圧の調整とは、交流電圧を直流電圧に変換すること、電圧の高さを変えること、電圧の高さを平滑化すること、のいずれか一つまたは複数を含む。
電圧調整部403において調整された電圧は、負荷417と制御回路413に与えられる。
また、図9に示す電源回路400では、蓄電装置404と、補助電源405と、電圧発生回路406と、トランジスタ407乃至トランジスタ410と、容量素子414と、容量素子415とを有する。
蓄電装置404は、電圧調整部403から与えられた電力を、一時的に蓄える機能を有する。具体的に蓄電装置404は、電圧調整部403から与えられた電圧を用いて、電力を蓄えることができるキャパシタ、二次電池などの蓄電部を有する。
補助電源405は、蓄電装置404から出力が可能な電力が不足しているときに、制御回路413の動作に要する電力を、補う機能を有する。補助電源405として、一次電池などを用いることができる。
電圧発生回路406は、蓄電装置404または補助電源405から出力される電圧を用いて、パワースイッチ401及びパワースイッチ402のスイッチングを制御するための電圧を、生成する機能を有する。具体的に電圧発生回路406は、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオンにするための電圧を生成する機能と、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオフにするための電圧を生成する機能とを有する。
無線信号入力回路411は、トランジスタ407乃至トランジスタ410のスイッチングに従ってパワースイッチ401及びパワースイッチ402を制御する機能を有する。
具体的に、無線信号入力回路411は、外部から与えられる、パワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態を制御するための無線信号に重畳した命令を電気信号に変換する入力部と、上記電気信号に含まれる命令をデコードし、トランジスタ407乃至トランジスタ410のスイッチングを、上記命令に従って制御するための信号を生成する信号処理部と、を有する。
トランジスタ407乃至トランジスタ410は、無線信号入力回路411において生成された信号に従って、スイッチングを行う。具体的に、トランジスタ408及びトランジスタ410がオンであるとき、電圧発生回路406で生成された、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオンにするための電圧が、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に与えられる。また、トランジスタ408及びトランジスタ410がオフであるとき、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオンにするための上記電圧が与えられた状態が、維持される。また、トランジスタ407及びトランジスタ409がオンであるとき、電圧発生回路406で生成された、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオフにするための電圧が、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に与えられる。また、トランジスタ408及びトランジスタ410がオフであるとき、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオフにするための上記電圧が与えられた状態が、維持される。
そして、本発明の一態様では、上記電圧がパワースイッチ401及びパワースイッチ402に与えられた状態を維持するために、トランジスタ407乃至トランジスタ410に、オフ電流の著しく小さいトランジスタを用いる。上記構成により、電圧発生回路406において、パワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態を定めるための電圧の生成を停止しても、パワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態を維持することができる。よって、電圧発生回路406における消費電力を削減し、延いては電源回路400における消費電力を小さく抑えることができる。
なお、トランジスタ407乃至トランジスタ410にバックゲートを設け、バックゲートに電位を与えることにより、トランジスタ407乃至トランジスタ410の閾値電圧を制御してもよい。
バンドギャップがシリコンの2倍以上であるワイドギャップ半導体を活性層に用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さいので、トランジスタ407乃至トランジスタ410に用いるのに好適である。上記ワイドギャップ半導体として、例えば、酸化物半導体などを用いることができる。
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、水分または水素などの不純物濃度が十分に低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を小さくすることができる。よって、高純度化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタを、トランジスタ407乃至トランジスタ410に用いることで、電圧発生回路406における消費電力を削減し、電源回路400における消費電力を小さく抑える効果を高めることができる。
具体的に、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流が小さいことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに小さいオフ電流が得られることが分かった。従って、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく小さい。
また、酸化物半導体の中でもIn−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物などは、炭化シリコンまたは窒化ガリウムと異なり、スパッタリング法や湿式法により電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコンまたは窒化ガリウムとは異なり、上記酸化物半導体In−Ga−Zn系酸化物は室温でも成膜が可能なため、ガラス基板上への成膜、或いはシリコンを用いた集積回路上に電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。
容量素子414は、トランジスタ407及びトランジスタ408がオフであるとき、パワースイッチ401に与えられている電圧を、保持する機能を有する。また、容量素子415は、トランジスタ409及びトランジスタ410がオフであるとき、パワースイッチ402に与えられている電圧を、保持する機能を有する。容量素子414及び415の一対の電極の一方は、無線信号入力回路411に接続される。なお、図10に示すように、容量素子414及び415を設けなくてもよい。
そして、パワースイッチ401及びパワースイッチ402がオンであるとき、電源416から電圧調整部403への電圧の供給が行われる。そして、上記電圧により、蓄電装置404には電力が蓄積される。
また、パワースイッチ401及びパワースイッチ402がオフであるとき、電源416から電圧調整部403への電圧の供給が停止する。よって、蓄電装置404への電力の供給は行われないが、本発明の一態様では、上述したように、蓄電装置404または補助電源405に蓄えられている電力を用いて、制御回路413を動作させることができる。すなわち、本発明の一態様に係る電源回路400では、制御回路413によるパワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態の制御を行いつつ、電圧調整部403への電圧の供給を停止することができる。そして、電圧調整部403への電圧の供給を停止することで、負荷417への電圧の供給が行われないときに、電圧調整部403が有する容量の充放電により電力が消費されるのを防ぐことができ、それにより、電源回路400の消費電力を小さく抑えることができる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを含むバッファ回路の構成について説明する。
本発明の一態様のトランジスタは、パワースイッチのゲートに電圧を供給するためのバッファ回路に適用することができる。
図11(A)に本発明の一態様のバッファ回路701を含む回路を示す。
バッファ回路701には、駆動回路702と、パワースイッチ721が電気的に接続されている。またバッファ回路701には電源715から正の電位が、電源716から負の電位が、それぞれ与えられている。
駆動回路702は、パワースイッチ721のオン、オフ動作を制御するための信号を出力する回路である。駆動回路702から出力された信号は、バッファ回路701を介してパワースイッチ721のゲートに入力される。
パワースイッチ721は、上記実施の形態で例示したトランジスタを適用することもできるし、半導体としてシリコン、炭化シリコン、窒化ガリウムなどを適用したパワートランジスタを用いてもよい。ここで以下では、パワースイッチ721がnチャネル型のトランジスタである場合について説明するが、pチャネル型のトランジスタであってもよい。
バッファ回路701は、トランジスタ711、トランジスタ712、及びインバータ713を有する。
トランジスタ711は、ソースまたはドレインの一方が電源715の高電位出力端子に電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方がトランジスタ712のソースまたはドレインの一方、及びパワースイッチ721のゲートに電気的に接続され、ゲートがインバータ713の出力端子に電気的に接続される。トランジスタ712は、ソースまたはドレインの他方が電源716の低電位出力端子に電気的に接続される。駆動回路702の出力部は、インバータ713の入力端子、及びトランジスタ712のゲートに電気的に接続される。
駆動回路702からは、ハイレベル電位またはローレベル電位が出力される。ここでハイレベル電位は少なくともトランジスタ712をオン状態とする電位であり、ローレベル電位は少なくともトランジスタ712を状態とする電位である。
駆動回路702からハイレベル電位が入力されると、インバータ713を介してトランジスタ711のゲートにローレベル電位が入力され、トランジスタ711がオフ状態となる。同時に、トランジスタ712のゲートにハイレベル電位が入力され、トランジスタ712がオン状態となる。したがって、パワースイッチ721のゲートには電源716から負の電位が入力され、パワースイッチ721がオフ状態となる。
一方、駆動回路702からローレベル電位が入力されると、インバータ713を介してトランジスタ711のゲートにハイレベル電位が入力され、トランジスタ711がオン状態となる。同時に、トランジスタ712のゲートにローレベル電位が入力され、トランジスタ712がオフ状態となる。したがって、パワースイッチ721のゲートには電源715から正の電位が入力され、パワースイッチ721はオン状態となる。
このように、駆動回路702からハイレベル電位またはローレベル電位をとるパルス信号が出力されることで、パワースイッチ721のオン、オフを制御することができる。パワースイッチ721を制御する制御方式としては、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式や、パルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)方式などの制御方式を用いることができる。
ここで、トランジスタ711及びトランジスタ712に、上記実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。したがって、パワースイッチ721を高い電位で駆動させることができる。さらに、高温で安定した動作が可能であるため、高温環境下であっても安定してパワースイッチの動作を制御することができ、さらに発熱の大きなパワースイッチ721の近傍に配置することもできる。また、トランジスタ711及びトランジスタ712のスイッチング動作により大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なバッファとすることができる。
なお、図11では負の電位を出力する電源716を設ける構成としたが、電源716を設けずにトランジスタ712のソースまたはドレインの他方に接地電位(または基準電位)が入力される構成としてもよい。
また、インバータ713をトランジスタ711ではなくトランジスタ712側に電気的に接続する構成としてもよい。その場合、上記動作において、バッファ回路701からは上記とは反転した電位が出力される。
ここで、パワースイッチ721に換えて、バイポーラパワートランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアック、またはMESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)などのパワーデバイスを用いることもできる。
このとき、駆動回路702の出力信号は上記に限られず、それぞれの素子の駆動を制御するために適した信号を用いればよい。
図11(B)には、パワースイッチ721に換えてIGBT722を設けた場合について示している。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本発明の一態様に係る半導体装置(電力変換回路、電源回路、バッファ回路などを含む)は、機器への電力の供給を制御するのに適しており、特に大きな電力が必要な機器に好適に用いることができる。例えば、モーターなどの電力によりその駆動が制御される駆動部を備える機器や、電力により加熱または冷却を制御する機器などに好適に用いることができる。
本発明の一態様に係る半導体装置を用いることのできる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)などがある。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、扇風機、ドライヤー、エアコンディショナーなどの空調設備、エレベータやエスカレータなどの昇降設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、電動ミシン、電動工具、半導体試験装置、などが挙げられる。また、本発明の一態様に係る半導体装置は、電力を用いて電動機により推進する移動体に用いられていてもよい。上記移動体には、自動車(自動二輪車、三輪以上の普通自動車)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、航空機、船舶、鉄道車両などが、その範疇に含まれる。また、食品、家電製品、上記移動体、鉄鋼、半導体機器、土木、建築、建設などのあらゆる分野で用いられる産業用ロボットの駆動の制御に用いることもできる。
以下では、電子機器の具体例を図12に示す。
図12(A)は電子レンジ1400であり、筐体1401と、被処理物を載置するための処理室1402と、表示部1403と、操作盤などの入力装置1404と、筐体1401の内部に設置されている高周波発生装置から発生した電磁波を、処理室1402に供給する照射部1405とを、有する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、例えば、高周波発生装置への電力の供給を制御する電源回路に用いることができる。
図12(B)は洗濯機1410であり、筐体1411と、筐体1411内に設けられた洗濯槽の入り口を、開閉させる開閉部1412と、操作盤などの入力装置1413と、洗濯槽の給水口1414とを、有する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、例えば、洗濯槽の回転を制御するモーターへの電力の供給を制御する回路に用いることができる。
図12(C)は、電気冷凍冷蔵庫の一例である。図12(C)に示す電子機器は、筐体1451と、冷蔵室用扉1452と、冷凍室用扉1453と、を備える。
図12(C)に示す電子機器は、筐体1451の内部に本発明の一態様である半導体装置を有する。上記構成にすることにより、例えば、筐体1451内部の温度に応じて、または冷蔵室用扉1452及び冷凍室用扉1453の開閉に従って、筐体1451内の半導体装置に対する電源電圧の供給を制御できる。
図12(D)は、エアコンディショナーの一例である。図12(D)に示す電子機器は、室内機1460及び室外機1464により構成される。
室内機1460は、筐体1461と、送風口1462と、を備える。
図12(D)に示す電子機器は、筐体1461の内部に本発明の一態様である半導体装置を有する。上記構成にすることにより、例えば、リモートコントローラからの信号に従って、または室内の温度や湿度に応じて、筐体1461内の半導体装置に対する電源電圧の供給を制御できる。
また、本発明の一態様の半導体装置は、室外機1464が有するファンの回転を制御するモーターへの電力の供給を制御する回路にも用いることができる。
なお、図12(D)では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有するエアコンディショナーであってもよい。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。