JP6209449B2 - 圧力緩衝装置のチェックバルブ - Google Patents
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Description
ここで、圧力緩衝装置には、減衰バルブとチェックバルブとが備えられている。減衰バルブは、減衰力を発生する機能を有するものであり、この減衰バルブが本来の機能を発揮することにより、圧力緩衝装置は所定の減衰力を発揮することができる。
一方、チェックバルブは、圧力緩衝装置の内部に封入されたオイル等の流体を整流したり液体の逆流を防止したりする目的で設けられている。
しかし、バルブプレートは、外側座面からは離れるものの、内側座面に張り付いて内側座面からは速やかに離れない場合がある。この場合、バルブプレートが流体の流通抵抗になり、圧力緩衝装置の減衰特性に影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、圧力緩衝装置が所定の減衰力を発生することができる圧力緩衝装置のチェックバルブを提供することを目的とする。
このバルブプレート付近に到達した流体は、バルブプレートの、流路から(内側座面に対向する部分にかけて形成された)内側流通部に流れることにより、バルブプレートを内側座面から離れ易くさせる。
これにより、本発明に係る圧力緩衝装置のチェックバルブは、(圧力緩衝装置の)設定した圧力時におけるオイルの流れを妨げることがなく、減衰力の発生を防止することができる(圧力緩衝装置の所定の減衰力に影響を与えることがない)。したがって、圧力緩衝装置は所定の減衰力を発生することができる。
[ダンパの全体構成]
図1は、本実施の形態に係るチェックバルブが組み込まれたボトムバルブ40およびピストンバルブ50を備えたダンパ100を示す断面図である。図示のダンパ100は、チューブ10と、シリンダ20と、ボトムバルブ40と、ピストンバルブ50と、ピストンロッド30と、蓋体60とを備えている。
チューブ10は、下端部11に結合した底蓋13を有する円筒形状に形成されている。シリンダ20は、円筒形状に形成されていて、チューブ10との間に隙間を空けてチューブ10の内側に配置されている。チューブ10とシリンダ20との間の隙間である円筒状の空間はリザーブ室15となる。
ピストンバルブ50は、ピストンロッド30の下端部31に固定されていて、ピストンバルブ50の外周面51cはシリンダ20の内周面20aに接して配置されている。そして、ピストンバルブ50は、外周面51cがシリンダ20の内周面20aに接しながら、ピストンロッド30とともにシリンダ20の軸C方向に沿って移動自在とされている。ピストンバルブ50は、シリンダ20の内側空間29を、ピストンロッド30が配置された側の上部空間であるロッド室27と、ピストンロッド30が配置されていない側の下側空間であるピストン室28とに仕切っている。
次に、ボトムバルブ40の詳細について説明する。図2は図1におけるボトムバルブ40の詳細な構成を示す断面図、図3は図2に示したボトムバルブ40のうちチェックバルブ44を示す分解斜視図、図4はチェックバルブ44を構成するバルブプレート42を示す平面図である。
図示のボトムバルブ40は、圧側での減衰作用を為す減衰バルブ47とチェックバルブ44とが一体的に構成されたものである。すなわち、減衰バルブ47は、ボトムピース41と減衰バルブプレート48とを備えた構成であり、チェックバルブ44は、ボトムピース41とバルブプレート42とを備えた構成である。
減衰バルブプレート48、ボトムピース41、バルブプレート42および(後述する)補強プレート43が、図示下側から軸C方向に貫通するボルト49aと2枚の座金49c,49dを介したナット49bとの締結により一体化されて、ボトムバルブ40を形成している。
なお、本発明における『(基体の)円柱状の形状』とは、(図2、図3に示す)本実の施形態における『ボトムピース41(基体の一例)』のように、半径方向、軸方向の一部に凹凸形状を有しているものも含み、要するに、概略円柱状の形状まで含む概念である。
また、チェックバルブ44は、バルブプレート42に重ねられて、バルブプレート42を補強する補強プレート43も備えている。
ボトムピース41の軸C方向の他方の端面である下端面41hにおける内側流路41dの開口41fよりも内側には中央座面41mが形成されている。一方、内側流路41dの開口41fよりも外側には外側座面41nが形成されている。
ボトムピース41に形成された外側座面41iは、外側流路41aの半径方向の外側に、全周に亘って環状に形成されている。また、内側座面41jは、外側流路41aの半径方向の内側に、全周に亘って環状に形成されている。
ボトムピース41の下端面41hの側に設けられた減衰バルブプレート48は、中央座面41mと外側座面41nとの間に亘って配置されている。
固定部42aは、図2に示すように、ボトムピース41の上端面41gにおける、内側流路41dよりも内側に形成された中央座面41kに密着し、補強プレート43、座金49d,49cを介してボルト49aとナット49bと締結力によりボトムピース41に固定されている。開閉部42cは、前述したようにボトムピース41の内側座面41jと外側座面41iとの間に亘って配置される。
これら3つの部分42A,42B,42Cのうち、軸Cに対する角度範囲が最も広い部分は、角度がともにα[度]の範囲である2つの部分42A,42Bである。したがって、スリット42eは、これら2つの部分42A,42Bに形成されている。
なお、本実施の形態では、隣り合うブリッジ部42b1,42b2,42b3間に角度の差異を設けているが、これに限らず、例えば、3つのブリッジ部42b1,42b2,42b3が等角度間隔で設けられている場合には、開閉部42cの、ブリッジ部42b1,42b2,42b3によって区切られた3つの部分42A,42B,42Cは、軸Cに対する角度が全て同一の120[度]の範囲の部分となり、これら3つの部分42A,42B,42Cがいずれも最大の角度範囲の部分となるため、これら3つの部分にそれぞれスリット42eを設けてもよい。
具体的には、スリット42eの内側座面41jに対向する部分42hの縁42gは直線状に形成され、内側座面41jの内周縁41pに交差する部分から、内周縁41pよりも内側に突出する、半径R1の円弧で滑らかに接続され、さらに内周縁41pよりも内側に突出した部分から、外側に向けて凸となる半径R2の円弧で、バルブプレート42の内周縁42iに滑らかに接続されている。
なお、本実施の形態において、スリット42eと内周縁42iとを接続する滑らかなアール形状(R形状)の半径R1,R2は、R2>R1の大小関係であることが、応力緩和の観点から好ましい。
この補強プレート43は、バルブプレート42自体の剛性を高めることなく、バルブプレート42の過度の変位、変形を抑制するものである。補強プレート43には、内側流路41d(図2参照)に対向する範囲の大部分に、開口43kが形成されている。補強プレート43はバルブプレート42に重ねられた状態で、補強プレート43の内周縁43i(開口43kの外側の縁)がバルブプレート42の内周縁42iに沿って形成されている。
バルブプレートの42の内周縁42iは、内側座面41jの内周縁41pに沿って形成されているため、補強プレート43の内周縁43iも内側座面41jの内周縁41pに沿って形成されていることとなる。
なお、前述した2つのスリット42eは、軸C回りの角度位置において、外側オリフィス42dを挟んだ角度位置に形成されている。
なお、外側オリフィス42dおよびスリット42eについては後に詳述するものとし、ここでは、外側オリフィス42dおよびスリット42eに関する説明を省略する。
まず、固定部42aは中央座面41kに密着して固定されている。ここで、リザーブ室15に通じる外側流路41aの圧力に対してピストン室28の圧力が高くなる圧側では、図2に示すように、開閉部42cは内側座面41jおよび外側座面41iに密着している。
これにより、圧側では、ピストン室28から外側流路41aを通ってリザーブ室15にオイルRが流れることがない。このときは、矢印Aに示すように、ピストン室28から内側流路41dを通ってリザーブ室15にオイルRが流れる減衰バルブ47の作動により、減衰作用が得られる。
なお、このとき、減衰バルブ47の減衰バルブプレート48は変位しないため、減衰バルブ47での減衰作用は生じない。
図8は図6におけるVIII−VIII線に沿った断面図である。前述したように、リザーブ室15に通じる外側流路41aの圧力に対してピストン室28の圧力が低くなる伸側では、図7に示したように、開閉部42cが変位して外側流路41aがピストン室28に通じる。
しかし、バルブプレート42には、外側流路41aから外側座面41iに対向する部分にかけてオイルRを流通させる外側オリフィス42dが形成されているため、外側流路41aとピストン室28とは外側オリフィス42dによって通じている。このため、伸側でリザーブ室15とピストン室28との圧力差が小さい期間中、すなわちピストンロッド30が低速で伸側に変位している期間中(図1の軸C方向の上方に変位している期間中)は、開閉部42cがほとんど変位せずに、図8(A)の矢印Dで示すように、オイルRが、外側オリフィス42dを通じて外側流路41aからピストン室28に流れ、圧力差の解消が図られる。
ここで、本実施の形態のチェックバルブ44のバルブプレート42は、外側流路41aから内側座面41jに対向する部分にかけて、矢印Eで示すようにオイルRを流通させるスリット42eが形成されているため、図8(A)の矢印Eに示すように、このスリット42eを通じて、外側流路41aからピストン室28や内側流路41dにオイルRが流れる。そして、このスリット42eを流れたオイルRは、図5に示すように、スリット42eの縁42gから、バルブプレート42と内側座面41jとの間の隙間42x(図示において、模式的に斜線を付した部分)に浸入する。
したがって、このチェックバルブ44のバルブプレート42は、図8(A)に示した外側オリフィス42dを通じて圧力差の解消を図っている状態から、図8(B)に示した開閉部42cの変位による圧力差の解消を図る状態への移行を円滑にすることができる。
このバルブプレート42付近に到達したオイルRは、バルブプレート42の、外側流路41aから(内側座面41jに対向する部分にかけて形成された)スリット42eに流れることにより、バルブプレート42を内側座面41jから離れ易くさせる。これにより、本実施の形態のチェックバルブ44は、ダンパ100の設定した(伸び側での)圧力時における、ピストン室28へのオイルRの流れを妨げることなく、減衰力の発生を防止することができる。したがって、このチェックバルブ44を備えたダンパ100は、所定の減衰力を発生することができる。
そして、開閉部42cが変位する際に、バルブプレート42にスリット42eが形成されていることにより、バルブプレート42が内側座面41jから離れ易くなり、開閉部42cが変位する前の状態から、変位して圧力差の解消を図る状態への移行を円滑にすることができる。
本実施の形態のチェックバルブ44のバルブプレート42も、中心部の固定部42aが固定されて、固定部42aよりも半径方向外側に開閉部42cが形成されているが、開閉部42cの内側座面41jに対向する部分にはスリット42eが形成されているため、スリット42eが無い場合に開閉部42cが内側座面41jから離れ難いという傾向を、抑制することができる。
ただし、本発明に係るチェックバルブおよびバルブプレートは、この形態に限定されるものではない。ここで、図9はバルブプレート42の、外側流路41aから内側座面41jに対向する部分にかけて形成されたスリット42eのうち内側座面41jに対向する部分42hが、半径方向の中心である軸Cに近付くにしたがって周方向の幅が広がる形状(図示のものは例えば三角形状)に形成されたものを示す図である。本実施の形態のチェックバルブ44としては、バルブプレート42に形成されるスリット42eが、図9に示す、幅が一定でないものであってもよい。
ただし、本発明に係るチェックバルブおよびバルブプレートは、この形態に限定されるものではない。すなわち、バルブプレート42の、外側流路41aから内側座面41jに対向する部分にかけて形成されたスリット42eのうち内側座面41jに対向する部分42hは、曲線状に形成されていてもよい。
ここで、図5に示すように、スリット42eの内側座面41jに対向する部分42hの縁42gは直線に形成され、内側座面41jの内周縁41pに交差する部分から、内周縁41pよりも内側に突出した部分はアール形状(例示として、半径R1の円弧形状および半径R2の円弧形状)で接続されているため、直線の縁42gが内周縁42iに接続されるものよりも、その接続される部分での応力の集中を緩和することができる。
なお、スリット42eの、直線に形成された縁42gから内周縁42iに接続する曲線としては、上述したように、互いに反対方向に凸となる2つのアール形状に限定されるものではなく、応力の集中を緩和しつつ、内周縁41pよりも内側に突出する量を可能な限り少なくするものであれば、どのような曲線であっても適用することができる。
このバルブプレート142は、図5に示したバルブプレート42のスリット42eの縁42gに隣接する部分42rのように、内側座面41jの内周縁41pよりも半径方向の内側に突出する部分がない以外は、バルブプレート42と同じ構成である。
そして、このバルブプレート142も、スリット42eの縁42gと内周縁42iとが交差する部分がアール形状で滑らかに接続されているため、その接続された部分での応力の集中を緩和することができるとともに、内側流路41dの流路面積を絞ることがない。
このように円弧と直線とを交差させて構成されたチェックバルブ44は、スリット42eの幅W(図5参照)が一定に形成されているため、スリット42eを通るオイルの流量を、計算によって算出することが容易となる。
本実施の形態のチェックバルブ44のバルブプレート42は、スリット42eを内側流通部の一例としたものであるが、本発明に係るチェックバルブおよびバルブプレートはこの形態に限定されるものではない。すなわち、流路(実施の形態では、チェックバルブ44と減衰バルブ47とが一体化されているため、外側流路41a)から内側座面に対向する部分にかけてオイル等流体を流通させる構造であれば、内側流通部として適用可能である。
また、バルブプレートを内側座面から僅かに浮かせるために内側座面に対向する部分に形成された、内側座面に向かって突出した凸部や、内側座面と反対側に向かって突出した凹部も適用することができる。
ここで、内側座面に向かって突出した凸部を形成した場合、(凸部によって形成された)バルブプレートと内側座面との間の流路が、本発明における「内側流通部」に相当する。
図11は、図1におけるピストンバルブ50の詳細な構成を示す断面図である。上述した実施の形態のチェックバルブ44のバルブプレート42は、ボトムバルブ40の一部として組み込まれたものであるが、本発明に係るチェックバルブおよびバルブプレートはこの形態のものに限定されるものではない。すなわち、図11に示したピストンバルブ50も、ボトムバルブ40におけるチェックバルブ44と同じ構成のチェックバルブ54を備えており、このピストンバルブ50におけるチェックバルブ54も、本発明に係るチェックバルブの一例である。
なお、チェックバルブ54における外側流路51a、上端面51g、開口51b、内側座面51j、外側座面51i、ピストンピース51およびスリット52eは、それぞれ前述したチェックバルブ44における外側流路41a、上端面41g、開口41b、内側座面41j、外側座面41i、ボトムピース41およびスリット42eにそれぞれ対応するものであり、チェックバルブ54の作用は、チェックバルブ44において対応する構成によって奏される作用、効果と同じであるため、説明は省略する。
Claims (6)
- 圧力緩衝装置の内部に封入された円柱状の形状であり、流体が流通する、軸方向に形成された流路、前記軸方向の一方の端面における前記流路の開口よりも内側に形成された内側座面および前記流路の開口よりも外側に形成された外側座面を有する基体と、
前記内側座面と前記外側座面との間に亘って配置され、前記流路から前記内側座面に対向する部分にかけて前記流体を流通させる内側流通部が形成されたバルブプレートとを備え、
前記バルブプレートの前記内側座面に対向する側の内周縁の、前記内側流通部の縁に隣接する部分は、前記内側座面の内周縁よりも前記基体の半径方向の内側に突出している圧力緩衝装置のチェックバルブ。 - 前記バルブプレートの、前記流路から前記外側座面に対向する部分にかけて前記流体を流通させる外側流通部がさらに形成された請求項1に記載の圧力緩衝装置のチェックバルブ。
- 前記バルブプレートは、中心部に設けられた固定部と、前記内側座面と前記外側座面との間に亘る開閉部と、前記固定部と前記開閉部とを繋ぐ複数のブリッジ部とを有するとともに、
前記内側流通部は、前記開閉部の、前記ブリッジ部によって区切られた複数の部分のうち、前記中心部に対する角度範囲が最も広い少なくとも1つの部分に形成された請求項2に記載の圧力緩衝装置のチェックバルブ。 - 前記内側流通部のうち前記内側座面に対向する部分は、直線状に形成されている請求項1に記載の圧力緩衝装置のチェックバルブ。
- 前記内側流通部のうち前記内側座面に対向する部分は、幅が一定に形成されている請求項4に記載の圧力緩衝装置のチェックバルブ。
- 前記バルブプレートの前記内側座面に対向する側の内周縁は、前記内側座面の内周縁に沿って形成されている請求項5に記載の圧力緩衝装置のチェックバルブ。
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