JP7054509B2 - 逆止弁 - Google Patents

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Description

本発明は、流体配管の途中に配置する逆止弁に関するものである。
従来、流体配管(例えば水道メータの2次側に位置する水道管)の途中に配置する逆止弁が存在している。この逆止弁として、例えば特許文献1に記載の「パッキン一体型逆止弁」が提案されている。
このような逆止弁は、流体配管の途中に固定され、弁座を有するハウジング(特許文献1では「外殻本体」)と、ハウジングに対して往復動することにより、弁座に対して当接及び離反することで流体が通過する通過空間を開閉する弁体とを備える。弁体は弁軸を一体に備え、弁軸はハウジングに対し、軸方向に沿って摺動可能な状態で支持されている。
特許文献1に記載の発明は、ハウジングのうち少なくとも弁軸を支持する部分が金属製であり、弁軸が合成樹脂製である場合、弁軸がハウジングに対して軸方向に摺動して磨耗することにより、逆止弁の作動に支障が生じることを課題としている。そしてこの課題を解決するため、特許文献1に記載の発明は、ハウジングのうちで弁軸を支持する孔の内周壁を合成樹脂で形成している。このように特許文献1には、逆止弁の弁軸が磨耗することの開示がある。
特開2015-206407号公報
ところで本願の発明者は、弁軸が磨耗することについては同じように問題意識を有していた。しかし磨耗発生に関し、特許文献1に開示されている材料上の問題だけではなく、逆止弁が開放された流体の通過時における弁体の挙動に関する問題もあることを発見した。具体的には、開放時における弁体及び弁軸が、回転方向にも変位する挙動をし、この挙動により弁軸及びハウジングに周方向での磨耗が発生するという知見を得た。特に弁軸においては、周方向での磨耗により軸径が特定箇所で減少すると、弁体が往復動する際のガイドとして重要な弁軸が折損してしまう可能性がある。このため、往復動に伴う摺動によって生じる軸方向の広い範囲での磨耗よりも、軸径が特定箇所で減少することへの対策の重要性及び緊急性のほうが高い。またハウジングにおいては、周方向での磨耗によりハウジング内で弁体の本体の位置にずれが生じ、そうなると、流体の通過空間の開閉に支障が起こる等、逆止弁の作動不良を発生させる可能性がある。
本発明は、本願の発明者による前記知見に基づき、特に、流体の通過時に生じる弁体の回転運動による弁体及びハウジングの磨耗を抑制できる逆止弁を提供することを課題とする。
本発明は、弁座を有して流体配管の途中に固定されるハウジングと、該ハウジング内において前記弁座に当接離反自在な弁体とを備え、該弁体が前記弁座から離反することで、前記弁座と前記弁体との間に、流体を通過させる通過空間が形成され、前記弁体が前記弁座に当接することで、前記通過空間が閉じられる逆止弁であって、前記弁体に連動し、該弁体を前記弁座に対し前記当接離反する方向に移動させる被ガイド部と、前記被ガイド部を、前記当接離反する方向に案内するガイド部と、前記ガイド部と前記被ガイド部とに及んで形成され前記弁体の軸心回りでの回転を規制する回転規制手段と、を備えた逆止弁である。
前記構成を備えた本発明の逆止弁によれば、被ガイド部がガイド部に案内されることで、弁体が当接離反する方向へ案内されて通過空間を開閉するいっぽうで、回転規制手段により、弁体は軸心回りの回転が規制される。このため、弁体及びハウジングにおいて、前記弁体の回転による摩耗が生じにくい。
また、前記回転規制手段は、前記弁体の軸心に対し径方向に位置ずれした位置で、前記ガイド部と前記被ガイド部の一方が他方に当接可能な当接面を備えることができる。
前記構成を備えた逆止弁では、ガイド部と被ガイド部の一方が他方に当接する当接面により、弁体の軸心に対し径方向に位置ずれした位置でガイド部と被ガイド部とが当接することから、弁体の軸心回りでの回転が有効に規制される。
また、前記回転規制手段は、前記弁体の軸心と同心に配置されて、一端部が前記弁体に連結され、他端部が前記ガイド部に挿入される杆状体を備え、前記杆状体の前記他端部における、前記当接離反の際に前記ガイド部に沿う範囲が、断面視で長径部分及び短径部分を有しており、該長径部分及び短径部分の外周面の少なくとも一部が前記当接面であることができる。
前記構成を備えた逆止弁では、杆状体が弁体の軸心と同心に配置されていても、ガイド部に挿入される杆状体の他端部では、その長径部分及び短径部分の外周面の少なくとも一部が当接面となり、この当接面による当接のため、弁体の軸心回りでの回転が有効に規制される。
また、前記回転規制手段は、一端部が前記弁体に連結され、他端部が前記ガイド部に挿入されるよう、前記弁体の軸心に対し偏心して配置された杆状体を備え、前記杆状体の他端部における、前記当接離反の際に前記ガイド部に沿う範囲の外周面が前記当接面であることができる。
前記構成を備えた逆止弁では、一端部が弁体に連結されて他端部がガイド部に挿入された杆状体が、弁体の軸心に対し偏心して配置されていることで、杆状体の他端部の外周面が当接面となり、この当接面による当接のため、弁体の軸心回りでの回転が有効に規制される。
また、前記回転規制手段は、一端部を前記弁体に連結され他端部を前記ガイド部の側方に沿わすよう、前記弁体の軸心に対し偏心して配置された複数の杆状体を備え、前記複数の杆状体の各々での他端部における、前記当接離反の際に前記ガイド部に沿う範囲の側面が前記当接面であることができる。
前記構成を備えた逆止弁では、弁体の軸心に対し偏心して配置された複数の杆状体の各側面が当接面となり、この当接面による当接のため、弁体の軸心回りでの回転が有効に規制される。
本発明によれば、回転規制手段を備えたことにより、特に、流体の通過時に生じる弁体の回転運動による弁体及びハウジングの磨耗を抑制できる。
第1実施形態に係る逆止弁を示す斜視図である。 図1のI-I矢視の断面図である。 第1実施形態に係る逆止弁を示す正面図である。 第2実施形態に係る逆止弁を示す斜視図である。 図4のII-II矢視の断面図である。 第2実施形態に係る逆止弁を示す正面図である。 第3実施形態に係る逆止弁を示す斜視図である。 図7のIII-III矢視の断面図である。 第3実施形態に係る逆止弁を示す正面図である。 第4実施形態に係る逆止弁を示す斜視図である。 図10のIV-IV矢視の断面図である。 第4実施形態に係る逆止弁を示す正面図である。
以下、本発明の実施形態に係る逆止弁を、図面を参照しつつ説明する。以下の各実施形態に係る逆止弁1は、弁座241を有して流体配管の途中に固定されるハウジング2と、該ハウジング2内において前記弁座241に当接離反自在な弁体3とを備え、該弁体3が前記弁座241から離反することで、前記弁座241と前記弁体3との間に、流体を通過させる通過空間が形成され、前記弁体3が前記弁座241に当接することで、前記通過空間が閉じられる。
[第1実施形態]
図1~図3は、本発明の第1実施形態に係る逆止弁1を表している。第1実施形態に係る逆止弁1は、流体配管(図示せず)の途中に固定されるハウジング2と、ハウジング2に対して、図2に示す直線方向である矢印Mの方向に往復動可能な弁体3とを備える。
逆止弁1は、例えば、メータボックス内部において水道メータの下流側(以下、2次側とも表記する)に位置する水道管の継手部分に配置される。逆止弁1は、基端側(図1における左上側)を上流側に位置させ、先端側(図1における右下側)を下流側に位置させるよう継手部分に配置される。なお、ハウジング2、弁体3の各々は樹脂(合成樹脂)製であっても金属製であってもよい。
ハウジング2は、ハウジング本体2Aと、弁座部24とを備える。ハウジング本体2Aは、流体(本実施形態では水道水)の流れ方向の上流側(以下、1次側とも表記する)に位置する基部21と、下流側に位置するガイド部22と、基部21とガイド部22とを連結する連結部23とを有する。ハウジング本体2Aは一体形成されている。ハウジング本体2Aを一体形成することにより、流体から受ける流体力に対して抗することができ、壊れにくいハウジング2となる。また、組立ての手間が不要のため、コスト面でも有利である。ハウジング2は、例えば金属製の場合には削り出しや鋳造により形成でき、樹脂製の場合には金型成型により形成できる。
弁座部24は、基部21に取り付けられている。弁座部24は、ハウジング本体2Aとは別体とされており、ハウジング本体2Aの内部に弁体3を組み込んだ後に、ハウジング本体2Aに取り付けられる。ハウジング本体2Aに対する弁座部24の取り付けは、ねじ込み、嵌合、溶着、接着等、種々の結合手段により行うことが採用できる。弁座部24の内周面には、円環状の弁座241が形成されており、弁座241に弁体3のOリング34が全周にわたって当接することで、流体の通過(特に、2次側から1次側へ逆流する流体の通過)が阻止される。
基部21は、基端側に径方向外方に突出する鍔状部分211を有し、略円筒状に形成されている。また、弁座部24も同じく基端側に鍔状部分242を有する略円筒状とされている。ハウジング本体2Aに弁座部24が取り付けられた状態で、基部21と弁座部24の各々の鍔状部分211,242を全周覆うようにゴム等からなるパッキン5が取り付けられている。このパッキン5は略円環状であって、上流側の配管端部と下流側の配管端部とに挟まれることで、両配管端部間に流体漏れさせることなく、逆止弁1を配管に固定できる。なお、この状態で、ハウジング2及び弁体3は、下流側の配管の内部に位置する。
ガイド部22はハウジング2の一部を構成する。また、ガイド部22は杆状体32を摺動させるようにして支持する部分である。また、ガイド部22は、弁体3において被ガイド部である杆状体32を、弁体3が弁座241に対し当接離反する方向(図2に示す矢印Mの方向)へ往復動可能とするよう案内する部分である。ガイド部22の径方向中央に、杆状体32が貫通する貫通孔221が形成されている。また、ガイド部22は、ガイド筒部222を備える。ガイド筒部222は、ガイド部22の径方向中心部から上流側へ向けて突出した円筒状に形成されている。貫通孔221は、ガイド部22の先端部から基端部(つまりガイド筒部222の基端部)にわたって形成されている。このため、貫通孔221はガイド筒部222の分延長されており、この延長分だけ、杆状体32の往復動のガイドが確実になされ、往復動中及び静止中の弁体3が径方向にずれにくい。
連結部23は、弁体3の往復動の方向に沿って延びる棒状部分である。連結部23の軸方向に直交する断面形状は、略長方形である。本実施形態では、連結部23は、弁体3の軸心3Cと同心にして、周方向に略等間隔に、4本の連結部23が設けられている。周方向に隣り合う連結部23,23の間は空間部Sとされており、弁座241と弁体3との間の通過空間を通った流体は、空間部Sを通り抜けて下流へと向かう。ただし、連結部23の形成数は本実施形態のような4本に限定されず、1本(この場合、ガイド部22は連結部23により例えば片持ち支持される)であってもよいし、3本や5本以上であってもよい。また、空間部Sが確保されるのであれば、棒状に限定されず例えば円筒状であってもよく、連結部23の形状は限定されない。
図2に示すように、ガイド部22において連結部23が接続される肩部223は、一次側から二次側へ向けて縮径するアール(円弧面)とした外形とされている。この肩部223の形状により、逆止弁1を通過した直後の流体の流れに乱れが生じにくく、円滑な流れが得られる。
弁体3は、弁座241に対して当接及び離反するよう、ハウジング2に対して往復動することにより、流体が通過する通過空間を開閉する部分である。本実施形態では往復動方向は流体配管の延長方向と一致している。しかしながら、往復動方向が流体配管の延長方向に対して交わっていてもよい。
弁体3は、弁体本体31、杆状体32、Oリング34を備える。本実施形態では、弁体本体31と杆状体32とは一体形成されている。一体形成により流体から受ける力に対して強く、壊れにくい弁体3とできる。特に弁体は往復動するものであるから、一体形成によるメリットを十分享受できる。また、組立ての手間が不要のため、コスト面でも有利である。弁体3は例えば、金属製の場合には削り出しや鋳造により形成でき、樹脂製の場合には金型成型により形成できる。ただし、弁体3は別体が組み立てられたものであってもよい。弁体3は付勢部4によって基端側に付勢されている。
弁体本体31は、基端側に位置する底部を壁部311によって閉じられた有底筒状に形成されている。弁体本体31の外周部には、周方向に延びる溝部312が形成されている。図2に示すように溝部312にOリング34が嵌め込まれ、Oリング34の径外方向の一部は弁体本体31から露出している。弁体3が基端側に位置しており、Oリング34が弁座241に密着(当接)すると、通過空間が閉鎖される。一方、弁体3が先端側に移動すると、Oリング34と弁座241とが離反する。これにより、ハウジング2と弁体3との間に、流体の通過空間が形成される。弁体本体31の最大径は、径方向で対向する連結部23どうし離間幅に比べてわずかに小径に設定されている。
弁体本体31のうち、二次側部分の外形は、先すぼみのテーパ面313に形成されている。このテーパ面313により、ハウジング2と弁体3との間の通過空間を通過した直後の流体の流れに乱れが生じにくく、円滑な流れとできる。
杆状体32は、弁体本体31の壁部311から先端側に突出した、直線状に延びる棒状部分である。杆状体32は、弁体3の往復動の方向(図2に示す矢印Mの方向)に沿って延びる。また、杆状体32は、ハウジング2の貫通孔221を貫通している。すなわち、杆状体32の一端部(基端側部分)は壁部311に一体的に連結され、他端部(先端側部分)は貫通孔221に貫通されることでガイド部22に挿入されている。この杆状体32は、弁体3の一部として弁体3に連動し、該弁体3をハウジング2の弁座241に対し当接離反する方向に移動させる被ガイド部として機能する。
図3に示すように、杆状体32は二つの真円をその径方向において一部どうしを重ねた断面形状に形成されている。換言すれば、杆状体32は断面円形に形成された径方向一方側(図3の左側)の一方部321と、断面円形に形成された径方向他方側(図3の右側)の他方部322との一部どうしが重なるよう一体的に形成されている。このような断面形状を、説明の便宜上、以下では「集合円形状」と称する。
杆状体32の断面は、長手方向全域に亘って集合円形状とされている。弁体3の軸心3Cと杆状体32の軸心とは同心である。弁体3の軸心3Cと杆状体32の軸心とが同心であるから、杆状体32の一方部321と他方部322とは、弁体3の軸心3Cに並行で、且つ偏心した軸心に沿っている。そして杆状体32は、少なくとも先端側部分における、弁体3が当接離反する際にガイド部22に沿う範囲(本実施形態では杆状体32の全範囲)で、径寸法の大きい長径部分32Lと径寸法の小さい短径部分32Sとを備える。なお、断面が真円以外の杆状体32では、径寸法の大きい部分と小さい部分が必ず存在するので、長径部分32Lと短径部分32Sとは必ず存在する。ガイド部22及びガイド筒部222に貫通孔221が形成されており、杆状体32の他端側は貫通孔221に貫通されているから、本実施形態の貫通孔221は杆状体32の集合円形状に対応して集合円形状に形成されている。
付勢部4は本実施形態ではコイルばねであり、図2に示すように、基端が弁体本体31の壁部311に当接し、先端がハウジング2のガイド部22におけるガイド筒部222の根元部分に当接している。つまり、基端側ばね座が壁部311で、先端側ばね座がガイド筒部222となる。付勢部4の先端側の一部は、ガイド筒部222の外周面に当接している。この付勢部4は、弁体3を常時基端側に付勢している。
逆止弁1において、流体の通過時は、付勢部4の付勢力を超える流体圧が弁体本体31の壁部311に働くことにより、弁体本体31が先端側に移動させられる。また、2次側から1次側へ向かう流体の流れ(逆流)に対しては、弁体3には付勢部4の付勢力が常時働いていることから、逆止弁1の閉鎖状態が維持され、流体が逆止弁1を越えて1次側へと逆流しない。
本実施形態の逆止弁1は回転規制手段Xを備える。この回転規制手段Xは、ハウジング2と弁体3とに及んで形成されている。より詳しくは、ガイド部22と被ガイド部である杆状体32とに及んで形成されている。すなわち、杆状体32がガイド部22に挿通されて、杆状体32の長径部分32L及び短径部分32Sの外周面(弁体側当接面X1)と貫通孔221の内周面(ハウジング側当接面X2)とが、弁体3の軸心3Cを中心に周方向に当接できるよう構成されている。つまり、各当接面X1,X2は、弁体3の軸心3Cに対し径方向に位置ずれした位置で、ガイド部22と杆状体32とが当接可能である。このため、図1及び図3に示す矢印Rの方向への、弁体3の回転が規制される。このように回転規制手段Xは、ハウジング2と弁体3との相互作用によって弁体3の軸心回りでの回転を規制する。
更に、本実施形態の杆状体32は長径部分32Lと短径部分32Sとを備えることから、断面形状が回転対称形でなく、かつ、径寸法が周方向で一定でない。このため、弁体3の軸心3Cと杆状体32の軸心とが同心であっても、弁体側当接面X1とハウジング側当接面X2とが当接することにより、弁体3(弁体本体31)の、軸心3Cを中心とした周方向(図1及び図3に示す矢印Rの方向)での回転が規制される。
本実施形態の回転規制手段Xは、ハウジング2及び弁体3に一体的に設けられている。このため、回転規制手段Xを別体構造で構成した場合には、ピン等の微小部品が下流側に流出してしまう事故が発生する可能性があるのに対し、本実施形態のような一体構造ではそのような事故が発生する可能性がない。この点で有利である。
逆止弁1の内部を流体が通過する際、流体の流れが変動すること(例えば流れ方向の乱れや脈動)によって、流れの中に置かれた弁体3に、周方向(図1及び図3に示す矢印Rの方向)への回転力が働くことがある。ここで従来の逆止弁の構成では、前記回転力に応じて弁体が弁軸周りに回転してしまい、ハウジングに対して擦れることで、時間の経過に伴い弁体またはハウジングに磨耗が発生していた。これに対して本実施形態では、ハウジング2と弁体3とに及んで回転規制手段Xを設けているため、前記回転力が弁体3に働いたとしても、回転規制手段Xにおける当接により、弁体3の回転が規制される。
このように、本実施形態の逆止弁1では、回転規制手段Xを備えたことにより弁体3の回転が規制されるので、従来と異なり、弁体3(特に杆状体32)及びハウジング2に磨耗が生じにくい。このため、逆止弁1の作動不良や部品の破損等が起こりにくい。
また、本実施形態では弁体3に杆状体32を一体化した構成であるから、逆止弁1の構成が複雑化することを抑制しつつ、回転規制手段Xを設けることができる。
[第2実施形態]
図4~図6は、本発明の第2実施形態に係る逆止弁1を表している。第2実施形態に係る逆止弁1が、第1実施形態の逆止弁1と異なる構成は、回転規制手段Xである。すなわち、杆状体32の構成及び貫通孔221の形状が、第1実施形態における逆止弁1と異なる。第2実施形態における逆止弁1では、弁体3の軸心3Cに同心とされた杆状体32の断面形状が、矩形(より詳しくは正方形)に形成されている。貫通孔221の形状は、杆状体32の形状に対応するよう矩形(正方形)に形成されている。杆状体32の断面形状は矩形であるから、4面の外周平面323を備えている。これに対応して貫通孔221は4面の内周平面2211を備えている。第2実施形態の杆状体32では、矩形(正方形)である断面形状において、対角方向の断面長さを有する部分(斜辺)が長径部分32Lとなり、対面方向の断面長さを有する部分(側片)が短径部分32Sとなる。
他の構成は、第1実施形態における逆止弁1と同様であるので、図面に同一の符号を付してその説明を繰返さない。第2実施形態における逆止弁1では、杆状体32の外周平面323(弁体側当接面X1)及び貫通孔221の内周平面2211(ハウジング側当接面X2)が当接面となって、各当接面X1,X2が当接することにより、弁体3(弁体本体31)の、軸心3Cを中心とした周方向(図4及び図6に示す矢印Rの方向)での回転が抑制される。
[第3実施形態]
図7~図9は、本発明の第3実施形態に係る逆止弁1を表している。第3実施形態に係る逆止弁1が、第1実施形態または第2実施形態における逆止弁1と異なる構成は、回転規制手段Xである。
第1実施形態または第2実施形態に係る逆止弁1では、杆状体32が弁体3の軸心3Cと同心に配置された場合を例示した。これに対して、第3実施形態に係る逆止弁1では、図7~図9に示すように、円形断面に形成された杆状体32の中心32Cが、弁体3の軸心3Cに対して偏心量32Xだけ偏心して設けられている。これに対応して貫通孔221は、軸心3Cに対する杆状体32の中心32Cの偏心量32Xに対応して偏心して形成されている。
他の構成は、第1実施形態における逆止弁1と同様であるので、図面に同一の符号を付してその説明を繰返さない。第3実施形態の逆止弁1では、軸心3Cに対して位置ずれした、杆状体32の外周面(弁体側当接面X1)及び貫通孔221の内周面が当接面(ハウジング側当接面X2)となる。各当接面X1,X2が弁体3の軸心3Cに対し偏心しているから、各当接面X1,X2が当接することにより、弁体3(弁体本体31)の、軸心3Cを中心とした周方向(図7及び図9に示す矢印Rの方向)での回転が抑制される。
以上、第3実施形態の回転規制手段Xは、一端部が弁体3に連結され、他端部がガイド部22に挿入されるよう、弁体3の軸心3Cに対し偏心して配置された杆状体32を備える。そしてこの第3実施形態における当接面X1,X2は、杆状体32の前記他端部における、当接離反の際にガイド部22に沿う範囲の外周面である。
ちなみに前記第1実施形態は、杆状体32の一方部321と他方部322の各々に着目すると、軸心3Cに対する位置関係は第3実施形態の杆状体32と同じである。このため、第1実施形態における回転抑制のメカニズムは第3実施形態と共通していると言える。
[第4実施形態]
図10~図12は、本発明の第4実施形態に係る逆止弁1を表している。第4実施形態に係る逆止弁1が、第1実施形態~第3実施形態における逆止弁1と異なる構成は、回転規制手段Xである。
第4実施形態に係る逆止弁1でも、回転規制手段Xは、ガイド部22と被ガイド部である杆状体32とに及んで形成されている。しかし、第4実施形態の杆状体32は、一端部を弁体本体31に連結され他端部をガイド部22の側方(具体的には径外側方)に沿わすよう、弁体本体31の軸心3Cに対し偏心(弁体本体31の外周部に連結)するよう設けられている。第4実施形態では、杆状体32の他端部の側面が当接面(弁体側当接面X1)である。この杆状体32は、弁体本体31の外周部において周方向に等間隔で複数個所(具体的には4箇所)、弁体本体31と一体的に形成されている。
第4実施形態の杆状体32は、周方向に隣り合う連結部23,23の間の空間部Sに挿入され、他端部がガイド部22の側方に対応する位置(より詳しくはガイド部22の側方を越える位置)まで延長されている。この杆状体32の断面形状は扇状に形成されている。
他の構成は、第1実施形態における逆止弁1と同様であるので、図面に同一の符号を付してその説明を繰返さない。第4実施形態の逆止弁1では、ガイド部22の外側面、およびガイド部22における連結部23が接続される肩部223の側面が当接面(ハウジング側当接面X2)となる。各当接面X1,X2が弁体3の軸心3Cに対し偏心しているから、各当接面X1,X2が当接することにより、弁体3(弁体本体31)の、軸心3Cを中心とした周方向(図10及び図12に示す矢印Rの方向)での回転が抑制される。
以上、第4実施形態の回転規制手段Xは、一端部を弁体3に連結され他端部をガイド部22の側方に沿わすよう、弁体3の軸心3Cに対し偏心して配置された複数の杆状体32を備える。そして第4実施形態における当接面X1,X2は、複数の杆状体32の各々での他端部における、当接離反の際にガイド部22に沿う範囲の側面である。
以上、本発明につき第1~第4実施形態を取り上げて説明した。しかし、本発明は前記第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
例えば、前記実施形態の逆止弁1は水道管の途中に固定されるものであったが、水道水以外の種々の流体配管(特に液体配管)に固定されることができる。
また、杆状体32に関し、第1実施形態では軸心3Cと同心で断面形状が集合円形状である1本の杆状体32で構成されていた。第2実施形態では軸心3Cと同心で断面形状が矩形(正方形)状である1本の杆状体32で構成されていた。第3実施形態では軸心3Cに対して偏心し断面形状が円形である1本の杆状体32で構成されていた。第4実施形態では軸心3Cに対して偏心し断面形状が扇形である4本の杆状体32で構成されていた。しかし、杆状体32はこれらに限られず、種々の断面形状及び数量とすることができる。
軸心3Cと同心で1本の杆状体32で構成する場合、断面形状は例えば、長円形、楕円形、三角形、長方形、十字形とすることができる。いずれの場合でも、軸心3Cに対し径方向に位置ずれした位置に当接面X1,X2を形成することができる。また、断面形状において寸法の大きな部分が長径部分32Lとなり、断面形状において寸法の小さな部分が短径部分32Sとなる。
また、軸心3Cに対して偏心した杆状体32で構成する場合、例えば第3実施形態の杆状体32を、軸心3Cを基準に回転対称で複数設けることもできる。この場合、複数の杆状体32の各々の断面形状についても、円形に限られず種々の形状とできる。
1 逆止弁
2 ハウジング
21 基部
22 ガイド部
23 連結部
24 弁座部
241 弁座
3 弁体
3C 弁体の軸心
31 弁体本体
32 被ガイド部、杆状体
32C 杆状体の軸心
32L 長径部分
32S 短径部分
4 付勢部
5 パッキン
X 回転規制手段
X1 当接面(弁体側当接面)
X2 当接面(ハウジング側当接面)

Claims (5)

  1. 弁座を有して流体配管の途中に固定されるハウジングと、該ハウジング内において前記弁座に当接離反自在な弁体とを備え、該弁体が前記弁座から離反することで、前記弁座と前記弁体との間に、流体を通過させる通過空間が形成され、前記弁体が前記弁座に当接することで、前記通過空間が閉じられる逆止弁であって、
    前記弁体に連動し、該弁体を前記弁座に対し前記当接離反する方向に移動させる被ガイド部と、
    前記被ガイド部を、前記当接離反する方向に案内するガイド部と、
    前記ガイド部と前記被ガイド部とに及んで形成され前記弁体の軸心回りでの回転を規制する回転規制手段と、を備え
    前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記弁体が当接及び離反する弁座部と、を備え、
    前記ハウジング本体は、
    前記流体の流れ方向の上流側に位置し、前記弁座部が取付けられる基部と、下流側に位置するガイド部と、前記基部及び前記ガイド部を連結し、前記弁体の往復方向に沿って延びる連結部と、を備え、
    前記連結部には、前記弁座と前記弁体の間を通った前記流体が通り抜けて下流へと向かうように貫通する空間部が確保されるよう形成されている逆止弁。
  2. 前記連結部は、前記流体の流れ方向に沿って延びる複数の棒状部分で構成され、各棒状部分は周方向に離れて複数設けられ、
    前記空間部は、周方向で隣り合う前記連結部同士の間に形成される請求項1に記載の逆止弁。
  3. 前記基部は、基端側に径方向外方に突出する鍔状部分を有し、
    前記弁座部は、基端側に径方向外方に突出する鍔状部分を有し、
    前記基部と前記弁座部の各々の鍔状部分には、全周覆うパッキンが取付けられ、
    前記パッキンは、上流側の配管の端部と下流側の管端の端部に挟まれることで、前記流体配管の途中に固定される請求項1又は2に記載の逆止弁。
  4. 前記ガイド部は、前記連結部が接続される肩部を有し、
    前記肩部は、前記流体の流れ方向の上流側から下流側に向けて縮径する円弧面とした外形を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の逆止弁。
  5. 前記弁体は、前記弁座部に着座する弁体本体を備え、
    前記弁体本体は、前記流体の流れ方向で上流側に位置する底部を閉じられた有底筒状に形成され、下流側の外形は、下流側ほど縮径するテーパ面に形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の逆止弁。
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