JP6208994B2 - コンクリート構造物およびコンクリート構造物の復旧方法 - Google Patents
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Description
また、このような高架橋において、柱を長くし、橋桁を高い位置に架設する場合には、柱の中間部と隣り合う柱の中間部との間に中層梁を架設するようにしている(特許文献1参照)。
このようにすれば、長周期の揺れの影響を受け易い、柱の長いコンクリート構造物に対しても、効果的な免震性能を発揮することが出来る。
一般に、橋桁の延設方向と直交する方向に立設される柱は少ないので、コンクリート構造物はこの方向に揺れ易くなり、この方向に沿って設けられる梁は破壊され易くなるが、このようにすれば、破壊後の梁の耐力の低下が食い止められるので、梁の両端に接合される柱の、橋桁の延設方向と直交する方向への変位が過大になるのを抑えることができる。
また、芯部や鉄筋は再利用できるので、全く新規に梁を製造する場合に比べ、梁取替えの手間やコストを低減することができる。
まず、本実施形態のコンクリート構造物である、鉄道用ラーメン高架橋(以下、高架橋10)の構造について説明する。
高架橋10は、図1に示すように、地中に設けられるフーチング1、フーチング1から下方に延設された杭2、フーチング1と隣り合うフーチング1との間に設けられた地中梁3、各フーチング1から上方へと立設された複数の柱4、複数の柱4の上に跨って架設された上層部5、柱4の中間部と隣り合う柱4の中間部との間に設けられた中層梁6等からなる。
柱4は、上層部5の延設方向に沿って2列に並ぶように複数立設されている。例えば図1の最も手前に図示された柱4(A)を本実施形態における第1の柱とすると、柱4(A)から上層部5の幅方向(所定の方向)に所定間隔離間して立設された柱4(B)が第2の柱、柱4(A)および柱4(B)から上層部5の延設方向(所定の方向と直交する方向)に所定間隔離間して複数立設された柱4(C)が第3の柱ということになる。
主鉄筋622は、図2(a)に示すように、芯部61の上方および下方、すなわち、RC部62の上部および下部に、中層梁6の長手方向に沿って複数本配設されている。各主鉄筋622は、図2(b)に示すように、RC部62の上面および下面に沿って一列に並べて配設されている。また、各主鉄筋622の一端は一方の柱4に定着し、他端は他方の柱4に定着している。
次に、上記中層梁6の荷重変位特性について説明する。
まず、中層梁6の両端部を図示しない測定装置の台に乗せ、中層梁6の上面中央部に下向きの荷重をかけていき、中層梁6中央部の下方への変位(変形)量を測定した。そのときの荷重と変位の関係をグラフにしたものが図3である。
なお、本発明では、芯部61の表面の状態を特に指定していない。これは、芯部61の表面をなだらかにすることで、芯部61とRC部62の付着強度は低下するが、表面が粗い場合と同等の効果が得ることができると考えられるためである。
また、ここで示したグラフは一例であり、芯部61の材料、長さ、断面寸法、表面の粗さ、配設位置、配設個数等の設計を変更することにより、中層梁6の荷重変位特性(曲線が描く極値の位置)は適宜調節可能である。
次に、上記高架橋10の中層梁3や地中梁6が損傷した場合の復旧方法について、図4(a)に示すように、中層梁6が損傷した場合を例に説明する。
また、芯部61や鉄筋622,623は再利用できるので、全く新規に梁3,6を製造する場合に比べ、取替えの手間やコストを低減することができる。
例えば、上記実施形態では、本発明を梁3,6に適用した場合について説明したが、柱4や上層部5などの他の鉄筋コンクリート部材に適用しても良い。
また、上記実施形態では、芯部61の、主鉄筋622の延設方向と直行する方向に切断したときの断面形状を矩形としたが、この断面形状は、梁3,6を同方向に切断したときの断面形状と相似しているのが好ましく、例えば、梁3,6の断面形状を円形とした場合には、芯部61の断面形状も円形にするとよい。
また、上記実施形態では、損傷した中層梁6を撤去した箇所に型枠を組み、コンクリートを現場打ちするようにしたが、損傷した中層梁6を切断・撤去し、コンクリートを破砕して芯部61を取り出し、取り出した芯部61を再利用してプレキャストの中層梁6を製造した後に取り付けるようにしてもよい。
3 地中梁
4 柱
4(A) 第1の柱
4(B) 第2の柱
4(C) 第3の柱
5 上層部
6 中層梁
61 芯部
611 固化部
612 骨材
62 鉄筋コンクリート部
621 コンクリート
622 主鉄筋
623 せん断補強鉄筋
Claims (4)
- 地面に所定間隔を空けて複数立設されたコンクリート製の柱と、
前記柱と、前記柱と隣り合う柱との間に設けられたコンクリート製の梁と、からなるラーメン構造を有するコンクリート構造物であって、
前記梁は、
コンクリート内に、前記柱から、前記柱と隣り合う柱へと配設された主鉄筋と、前記コンクリートよりも引張強度が高い材料で形成され、前記主鉄筋に沿って配設され、かつ表面がなだらかな芯部とを備え、
前記コンクリートにひび割れが生じた時点で、前記芯部と前記コンクリートとの付着が切れるようになっていることを特徴とするコンクリート構造物。 - 前記梁は、前記柱の中間部と、前記柱と隣り合う柱の中間部との間、および/または前記柱の下部と、前記柱と隣り合う柱の下部との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物。
- 前記柱は、第1の柱と、前記第1の柱から所定の方向に所定距離離間して立設された第2の柱と、前記第1の柱および前記第2の柱から、前記所定の方向と直交する方向に所定距離離間して順次立設された複数の第3の柱からなり、
各柱の上に、前記所定の方向と直交する方向に沿って延びるように架設された橋桁を備え、
前記梁が、前記第1の柱と前記第2の柱との間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート構造物。 - 地面に所定間隔を空けて複数立設されたコンクリート製の柱と、
前記柱と、前記柱と隣り合う柱との間に設けられたコンクリート製の梁と、からなるラーメン構造を有するコンクリート構造物の復旧方法において、
前記梁が損傷し、かつ、損傷した梁が、前記コンクリート内に前記コンクリートよりも引張強度が高い材料で形成され、前記主鉄筋に沿って配設され、かつ表面がなだらかな芯部を備え、前記コンクリートにひび割れが生じた時点で、前記芯部と前記コンクリートとの付着が切れるようになっているものであった場合に、
前記損傷した梁のコンクリートを破砕して前記芯部を露出させ、
前記損傷した梁の、前記コンクリートを除去した箇所にコンクリートを補填して、前記芯部を取り替えることなく修復することを特徴とするコンクリート構造物の復旧方法。
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