JP6207561B2 - 断熱壁構造、断熱壁構造組立方法、及び建築構造物 - Google Patents

断熱壁構造、断熱壁構造組立方法、及び建築構造物 Download PDF

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Description

本発明は、建築構造物の壁に断熱材を設けることによって屋内の温度調整を行うための断熱壁構造、断熱壁構造組立方法、及び建築構造物に関する。
従来から、建築構造物の室内の温度調整が行われている。また、この温度調整を行うための断熱材を有する断熱壁構造についての出願が行われている(例えば、特許文献1又は2参照。)。特許文献1及び2の断熱壁構造は、内装パネルと外装パネルとの間に、断熱材及び通気層が設けられている。
断熱壁構造の施工は、通常、建築構造物の建築現場において、外装パネルを設置した後に、外装パネルの屋内側に断熱材の原材料を吹き付けることによって断熱材を設けて、断熱材を内装パネルで覆うことによって行われる。
しかし、屋外である建築現場で断熱材の原材料を吹き付ける作業は、天気、外気温又は湿度に影響を受ける。例えば、雨天の場合には、断熱材の原材料を吹き付ける作業を中止する必要が生じる。このため、建築現場において迅速な作業ができず、建築現場における作業コストが嵩むこととなっていた。
特開2011−6915号公報 特開2012−251340号公報
本発明は、建築現場における施工作業を迅速に行うことができ、建築現場における作業コストを低減できる断熱壁構造及び断熱壁構造組立方法を提供することを目的とする。
本発明の断熱壁構造は、建築構造物の基礎の上に設けられ、屋内と屋外とを仕切る断熱壁構造であって、中空部を有する内装パネルと、前記内装パネルの屋外側に固定された係合器具と、断熱材が内部に設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルと、を備え、前記外装パネルの係合部を前記内装パネルに固定された係合器具に係合することにより、該外装パネルが該内装パネルの屋外側に垂設されたことを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造は、前記内装パネルが、前記基礎の上に固定される土台横木と、該土台横木の上に垂設された複数本の内装パネル柱と、該複数本の内装パネル柱の上端部に固定された上横木と、屋内側を覆う内板とを有し、前記外装パネルが、下枠材と、該下枠材に対して垂直に延びる複数本の外装パネル柱と、該複数本の外装パネル柱の上端部に固定された上枠材と、該下枠材及び該上枠材と平行であり前記係合部を構成する係合棒と、前記複数本の外装パネル柱の間に設けられる前記断熱材と、屋外側を覆う外板とを有し、前記係合器具が、前記内装パネル柱に固定されたことを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造は、前記断熱壁構造において、前記外装パネルの下枠材は前記基礎に載置され、該外装パネルの重量による荷重は該基礎に加わることを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造は、建築構造物の基礎の上に設けられ、屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造であって、中空部を有する内装パネルと、前記内装パネルの屋外側に固定される係合器具と、断熱材が内部に設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルと、を備え、前記外装パネルの係合部を前記係合器具に係合し、該係合器具を前記内装パネルに固定することにより、該外装パネルが該内装パネルの屋外側に垂設されたことを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造は、建築構造物の基礎の上に設けられ、屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造であって、中空部を有する内装パネルと、前記内装パネルの屋外側に固定された係合器具と、断熱材が内部に設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルと、を備え、前記外装パネルの係合部が、前記内装パネルに固定された係合器具に係合された状態で、建築現場において土台横木上に垂設されたことを特徴とする。
本発明の断熱壁構造は、前記断熱壁構造において、前記内装パネルと前記外装パネルとの間に隙間を有することを特徴とする。
本発明の建築構造物は、前記断熱壁構造、及び、全部又は一部が埋設される埋設部と、前記埋設部と熱伝達可能に該埋設部上に配置される中間部と、前記中間部に熱伝達可能に接続され、床下空間に露出するフィンを有する地表部と、から構成された熱伝達器具、を含むことを特徴とする。
また、本発明の建築構造物は、前記本発明の建築構造物において、屋外から床下空間内へ空気を流入させるとともに、屋内から屋外へ空気を流出させるように構成し、屋外から床下空間内へ流入させる空気と、屋内から屋外ヘ流出させる空気との間で、熱交換を行う熱交換器を含むことを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造組立方法は、建築構造物の屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造を組み立てるための断熱壁構造組立方法であって、中空部を有する内装パネルを形成するステップと、前記内装パネルの屋外側に係合器具を固定するステップと、前記内装パネルを土台横木上に垂設するステップと、複数本の外装パネル柱を有し該外装パネル柱の間に断熱材が設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルを形成するステップと、前記外装パネルの係合部を前記内装パネルの係合器具に係合することにより、該外装パネルを該内装パネルの屋外側に垂設するステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造組立方法は、建築構造物の屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造を組み立てるための断熱壁構造組立方法であって、中空部を有する内装パネルを形成するステップと、前記内装パネルを土台横木上に垂設するステップと、複数本の外装パネル柱を有し該外装パネル柱の間に断熱材が設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルを形成するステップと、前記外装パネルの係合部を前記係合器具に係合し、該係合器具を前記内装パネルに固定することにより、該外装パネルを該内装パネルの屋外側に垂設するステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の断熱壁構造組立方法は、建築構造物の屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造を組み立てるための断熱壁構造組立方法であって、中空部を有する内装パネルを形成するステップと、複数本の外装パネル柱を有し該外装パネル柱の間に断熱材が設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルを形成するステップと、前記内装パネルの屋外側に係合器具を固定するステップと、前記外装パネルの係合部を前記内装パネルの係合器具に係合して該外装パネル及び該内装パネルを連結するステップと、前記内装パネル及び前記外装パネルを土台横木上に垂設するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の断熱壁構造及び断熱壁構造組立方法によれば、建築構造物の建築現場において、中空部を有し係合器具が固定された内装パネルを基礎の上に設置しておき、工場において、断熱材が内部に設けられ係合部を有する外装パネルを製造し、製造した外装パネルを建築現場まで運搬し、内装パネルに固定された係合器具に外装パネルの係合部を係合することにより、断熱壁構造の全体を形成することができる。このため、建築現場において断熱材の原材料を吹き付ける等によって外装パネルを形成することなく、中空部及び断熱材を有する断熱壁構造を形成できる。これにより、建築現場における施工作業を迅速に行うことができ、建築現場における作業コストを低減できる。
本発明に係る断熱壁構造を示す正面断面図である。 図1の断熱壁構造を構成する内装パネルを示す斜視図である。 図1の断熱壁構造を構成する係合器具を示す図であり、同図(a)は斜視図であり、同図(b)正面図である。 図1の断熱壁構造を構成する外装パネルを示す斜視図である。 図1の断熱壁構造を組み立てる状態を示す正面断面図である。 図1の断熱壁構造を組み立てた状態を示す拡大正面断面図である。 本発明に係る断熱壁構造の他の実施形態を示す正面断面図である。 図7の断熱壁構造とともに配置する熱伝達器具を示す拡大正面断面図である。 本発明に係る断熱壁構造の更に他の実施形態を示す正面断面図である。 本発明に係る断熱壁構造の更に他の実施形態を示す正面断面図である。 図1の断熱壁構造を構成する係合器具の他の実施形態を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図であり、同図(c)は正面図である。 本発明に係る断熱壁構造の更に他の実施形態を示す正面断面図である。 本発明に係る断熱壁構造の更に他の実施形態を示す正面断面図である。
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1において、符号10は、本発明の断熱壁構造を示す。
本発明の断熱壁構造10は、図1に示すように、家屋(建築構造物)12の基礎38の上に設けられ、屋内14と屋外16とを仕切る。断熱壁構造10は、中空部20を有する内装パネル22と、内装パネル22が有する内装パネル柱32の屋外16側に固定された係合器具24と、断熱材18が内部に設けられ、係合器具24に係合される係合棒(係合部)26を有する外装パネル28と、を備えている。
内装パネル22は、図2に示すように、土台横木30の上に垂設された9本(複数本)の内装パネル柱32と、9本の内装パネル柱32の上端部に固定された上横木34と、土台横木30、内装パネル柱32及び上横木34の屋内14側である片面を覆う内板36とを有する。一の内装パネル柱32と他の内装パネル柱32との間は、中空部20を構成し、空気の通路となり得るように断熱材は設けられない。土台横木30には、所定間隔で貫通孔が設けられている。貫通孔は、後述する基礎38に埋設された埋め込みボルト31を挿通させるためである。
係合器具24は、金属から形成され、図3に示すように、螺子40により内装パネル柱32に固定する板状の固定部42と、コの字断面を有し固定部42に対して垂直なコの字部44と、固定部42と平行にコの字部44から延びる2本の係合突起部46と、各係合突起部46の先端から斜めに延びる傾斜部48とが一体に形成されて構成されている。係合器具24は、係合突起部46を係合棒26に係合できるように、係合突起部46の突起長さT2が、係合棒26の幅T1(図4に示す)と同一になるように形成される。但し、突起長さT2が幅T1よりも大きくてもよい。
外装パネル28は、図4に示すように、下枠材50と、下枠材50に対して垂直に延びる9本(複数本)の外装パネル柱52と、9本の外装パネル柱52の上端部に固定された上枠材54と、下枠材50及び上枠材54の間に下枠材50及び上枠材54と平行に設けられた2本の係合棒(係合部)26と、9本の外装パネル柱52の間に設けられた断熱材18と、屋外16側である片面を覆う外板56とを有する。外装パネル柱52の横幅W1は、図3に示す2本の係合突起部46及び傾斜部48の間の幅W2よりも小さくなるように構成されている。これにより、外装パネル柱52と係合突起部46及び傾斜部48とが干渉しないで、係合棒26を係合突起部46及び傾斜部48に係合できる。上下の係合棒26の上下位置は、内装パネル22に固定された係合器具24の位置に合致する位置である。
上述の構成の断熱壁構造10の組立方法(断熱壁構造組立方法)を以下に示す。
建築現場においては、図2に示すように、ボルト31が固定され又はボルト31用の穴が設けられた基礎38が形成される。なお、基礎38は、上面39の正面視左右方向の幅が、内装パネル22及び外装パネル28を設置できる幅になるように形成される。
工場においては、9本の内装パネル柱32の上端部に、上横木34が、L字金具等を使用して固定される。
また、工場において、図3に示すように、係合器具24が螺子40により、例えば5本の内装パネル柱32の各々に上下2箇所で固定される。但し、係合器具24が固定される内装パネル柱32は特に限定されない。係合器具24が内装パネル柱32に固定される高さは、外装パネル28の2本の係合棒26を係合突起部46及び傾斜部48に係合できる高さである。また、このようにして、内装パネル柱32、上横木34及び係合器具24から構成される内装パネル用部品が製造される。また、工場において、この内装パネル用部品に、内板36を貼り付けてもよい。
さらに、工場において、図4に示す外装パネル28が製造される。外装パネル28の製造は、例えば、下枠材50に9本の外装パネル柱52をL字金具等によって固定して垂設し、9本の外装パネル柱52の上端部に上枠材54をL字金具等によって固定し、下枠材50、外装パネル柱52及び上枠材54に外板56を釘等によって貼り付け、外板56に断熱材18の原材料である発泡硬質ウレタン等を吹き付けた後、2本の係合棒26を9本の外装パネル柱52に釘等によって固定することにより行われる。外板56は構造用合板等の強固な板により構成されることが好ましい。
建築現場においては、内装パネル22及び外装パネル28を受けるために、土台横木30が、基礎38に、床材33を介して、ボルト(アンカーボルト)31により固定される。
製造された外装パネル28と、内装パネル用部品とは、建築現場へ運搬される。
建築現場において、内装パネル用部品が、土台横木30にL字金具等により固定されて垂設される。また、内板36が内装パネル柱32及び上横木34に貼り付けられる。なお、内板36に通気孔を設けてもよい。
また、建築現場において、外装パネル28が、図5に示すように、係合棒26が内装パネル22の係合器具24に係合されることにより、内装パネル22の屋外16側に垂設される。また、一の内装パネル22と隣接する他の内装パネル22との接続部、及び、一の外装パネル28と他の外装パネル28との接続部には、ゴム等から成り弾性を有し、一の外装パネル及び他の外装パネルにより圧縮されるシール部材を設ける。シール部材は断熱部材であることが好ましい。この時、図1に示すように、垂設された外装パネル28の下枠材50は土台横木30を介して基礎38の上面39上の気密性パッキン72に密着し、外装パネル28の重量による荷重の全ては気密性パッキン72を介して基礎38に加わる。このため、図6に示すように、外装パネル28の係合棒26と係合器具24のコの字部44との間には、隙間58が生じ、外装パネル28の重量による荷重は係合器具24に一切加わることはなく、外装パネル28の重量による荷重によって係合器具24が破損することはない。
また、内装パネル22と外装パネル28との間には、図1に示すように、隙間62が生じ、隙間62を通して複数の中空部20の間で空気が円滑に流れ、断熱壁構造10全体に渡って均一な温度に断熱できる。また、隙間62が生じることにより、断熱壁構造10全体が有する中空部20の体積を増加させて、断熱効果を向上させることができる。
このようにして、家屋12の1階部分へ断熱壁構造10が設置されると、更に2階部分へ断熱壁構造10が設置される。2階部分への断熱壁構造10は、1階部分の断熱壁構造10の上に直接設置される。2階部分の内装パネル22は、1階部分の内装パネル22の上に、1階天井材(2階床材)を介して設置される
このような本発明の断熱壁構造10及び断熱壁構造組立方法によれば、家屋12の建築現場において、中空部20を有し係合器具24が固定された内装パネル22を設置しておき、工場において、断熱材18が内部に設けられ係合棒26を有する外装パネル28を製造し、製造した外装パネル28を建築現場まで運搬し、内装パネル22に固定された係合器具24に外装パネル28の係合棒26を係合することにより、断熱壁構造10の全体を形成することができる。このため、建築現場において断熱材18の原材料を吹き付けることなく、中空部20及び断熱材18を有する断熱壁構造10を形成できる。よって、建築現場における施工作業を迅速に行うことができ、建築現場における作業コストを低減できる。
なお、本発明の断熱壁構造10によれば、内装パネル22及び外装パネル28を重ね合わせて係合器具24及び係合棒26で固定した状態で、耐力壁としての試験を行った結果、耐力Pwは通常の1枚パネルから成る壁の2.5倍であった。複数本の縦方向の内装パネル柱32を設けたこと、及び複数本の横方向の係合棒26を設けたこと等が要因となって、耐力を向上させることができた。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されない。例えば、図7に示す断熱壁構造10であってもよい。断熱壁構造10は、内装パネル22と、係合器具24と、外装パネル28と、を備え、1階部64及び2階部66の両方の壁を1枚で構成している。この場合、内装パネル22が、複数のパッキン68を介して基礎38上に固定され、複数のパッキン68同士の間に生じる隙間が通気孔を形成してもよい。また、パッキン68の内板36の上端部に通気孔70が設けられている。外装パネル28は、気密性パッキン72を介して基礎38上に固定されている。2階天井74には、通気孔76が設けられている。
図7の断熱壁構造10によれば、図示しない空気循環器を作動させることにより、1階床78の下の空気を、複数のパッキン68同士の間に生じる隙間を介して隙間62及び中空部20へ送り、隙間62及び中空部の空気を通気孔70を介して2階天井74の上へ送り、2階天井74の上の空気を通気孔76を介して屋内14へ送り、屋内の空気を1階床78の下へ送ることができる。このため、四季を通じて比較的に温度が安定している1階床78の下の空気を屋内14へ送り循環させることができる。
図7の断熱壁構造10の場合、基礎38に貫通孔80を設け、貫通孔80内に図8に示す熱伝達器具82を配置することが好ましい。熱伝達器具82は、基礎38の下方の地中84に埋設される埋設部86と、埋設部86に熱伝達可能に接続された中間部88と、中間部88に熱伝達可能に接続され、1階床78の下の空間へ露出するフィン90を有する地表部92とから構成されている。より詳しくは、本出願人による特願2014−011510に開示される。
貫通孔80内に熱伝達器具82を配置することにより、地中の温度が1年を通じて約18℃と安定していることを利用し、夏には、1階床78の下の空間から地中84へ熱を移動させ、冬には、地中84から1階床78の下の空間へ熱を移動させることができる。このため、1階床78の下の空気を断熱壁構造10を介して屋内14へ送ることができるとともに、夏には、1階床78の下の空間の気温を下げ、冬には、1階床78の下の空間の気温を上げることができる。このため、1年を通じて効率良く屋内14の温度調整を行うことができる。
また、本発明の断熱壁構造10において、図9に示すように、窓94を設けてもよい。窓94は、内装パネル22に嵌め込まれる屋内側窓部材96と、外装パネル28に嵌め込まれる屋外側窓部材98とから構成される。屋内側窓部材96と屋外側窓部材98とは、一体に構成してもよい。また、断熱性を高めるために窓ガラスを二重に設けてもよい。
また、本発明の断熱壁構造10において、図10に示すように、1枚の内装パネル22に対して上下2枚の外装パネル28を設置してもよい。この場合、外装パネル28の体積及び重量は、図1に示す外装パネル28に対して半分であり、外装パネル28の工場から建築現場への運搬が容易である。
また、発明の断熱壁構造10に使用する係合器具は、図11に示す一対の係合器具24であってもよい。この係合器具24は、金属から形成され、螺子40により内装パネル柱32に固定される平面視L字形状の固定部42と、外装パネル28の係合棒26を係合する係合凹部43と、底部45とから構成されている。係合凹部43の長さT3が、係合棒26の幅T1(図4に示す)と同一又は大きく構成されている。この係合器具24の場合、外装パネル28の係合棒26を係合凹部43に係合した後に、係合器具24を内装パネル柱32に固定する。
また、図12に示すように、上記断熱壁構造10を含む家屋(建築構造物)102において、屋外16から床下空間170内へ空気を流入させるとともに、家屋102の1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2から屋外16へ空気を流出させるように構成し、屋外16から床下空間170内へ流入させる空気と、家屋102の1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2から屋外16へ流出させる空気との間で、熱交換を行う熱交換器136を備えてもよい。
この場合、床下空間170内においては、屋外16の空気をポンプ160により熱交換器136まで強制的に流動させる流入パイプ146と、流入パイプ146から流動し熱交換器136で熱交換された空気を床下空間170内へ流出する流出口148と、が配設されている。また、床下空間170内において、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の空気を集流する集流器150と、集流器150から熱交換器136へ空気を流動させる流動パイプ152と、流動パイプ152から流動し熱交換器136で熱交換された空気を屋外16へ排出する排出パイプ154と、が配設されている。集流器150には、図12に示すように、1階の屋内134−1の空気が1階集流パイプ156から流動し、2階の屋内134−2の空気が2階集流パイプ158から流動する。
すなわち、床下空間170内においては、屋外16から熱交換器136まで流動させられた空気が、熱交換器136において1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の空気との間で熱交換されて、流出口148から流出される。冬においては、屋外16から熱交換器136まで流入させられた空気が、熱交換器136において温度上昇して流出口148から流出され、夏においては、屋外16から熱交換器136まで流入させられた空気が、熱交換器136において温度下降して流出口148から流出される。
このような構成の家屋102の作用について以下に説明する。
季節が夏であり、屋外16の温度T1が30℃であり、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の温度T4が25℃であり、地中172の温度T0が18℃であるとして、熱交換器136、集流器150、及びポンプ160が作動中の作用について以下に説明する。なお、屋内の温度T4は、熱交換機136等が既に作動していることにより25℃であるとして、以下に、夏における作用を説明する。
熱交換器136等を備えた家屋102の場合、床下空間170、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の空気の流れが1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の温度T4に影響を与えるため、まず、床下空間170、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の空気の流れについて説明する。
屋外16の30℃の空気は、図12に示すように、ポンプ160により強制的に熱交換器136へ流入される。熱交換器136へ流入した空気は熱交換されて流出口148から床下空間170へ流出する。空気が流出口148から床下空間170へ流出することにより、床下空間170の空気は流動孔140−1から1階の屋内134−1へ流入する。空気が1階の屋内134−1へ流入することにより、1階の屋内134−1の空気は、1階と2階との間の流動孔140−2から2階の屋内134−2に流入する。
1階の屋内134−1においては、流動孔140−1から空気が流入することにより、図12に示すように、空気が循環し、1階の屋内134−1の空気が流入口162−1から1階集流パイプ156へ流入する。2階の屋内134−2においても、流動孔140−2から空気が流入することにより、空気が循環し、2階の屋内134−2の空気が流入口162−2から2階集流パイプ158へ流入する。1階集流パイプ156及び2階集流パイプ158へ流入した空気は、集流器150を介して流動パイプ152から熱交換器136へ流入する。流動パイプ152から熱交換器136へ流入した空気は熱交換して排出パイプ154から屋外16へ排出される。
以上のような床下空間170、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の空気の流れにより、熱交換器136においては、流入パイプ146から流入した30℃の空気が、流動パイプ152から流入した25℃の空気との間で熱交換し、例えば、27℃(T2)となって、流出口148から流出する。
ここで、貫通孔80に配置されている熱伝達器具82においては、流出口148から床下空間170へ流出する空気の温度T2が27℃であり、地中172の温度T0が18℃であり、地中172に埋設部86を埋設している熱伝達器具82の温度も18℃であることにより、高温側の床下空間170から低温側の熱伝達器具82のフィン90へ熱Q0が移動する。
このため、流出口148から床下空間170へ流出した27℃の空気の熱の一部は、フィン90に移動し、中間部88で一旦滞留した後、埋設部86から地中172へ放熱していく。これにより、流動孔140−1から1階の屋内134−1へ流入する空気の温度T3は、例えば、27℃と18℃の間の25℃となる。このようにして、1階の屋内134−1の温度T4は25℃となる。
また、1階の屋内134−1の空気が、流動孔140−2から2階の屋内134−2へ流動することにより、2階の屋内134−2の温度T4も25℃となる。このようにして、1階の屋内134−1及び134−2の換気及び空気の循環を行いながら、温度T4が25℃に維持される。
次に、季節が冬であり、屋外16の温度T1が5℃であり、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の温度T4が15℃であり、地中172の温度T0が18℃であるとして、熱伝達器具82及び家屋102が作動中の作用について以下に説明する。なお、屋内の温度T4は、熱伝達器具82及び家屋102が既に作動していることにより15℃であるとして、以下に、冬における作用を説明する。
まず、床下空間170、1階の屋内134−1及び2階の屋内134−2の空気の流れについては、季節が夏の場合と同じである。
熱交換器136においては、流入パイプ146から流入した5℃の空気が、流動パイプ152から流入した15℃の空気との間で熱交換し、例えば、12℃(T2)となって、流出口148から流出する。
ここで、貫通孔80に配置されている熱伝達器具82においては、流出口148から床下空間170へ流出する空気の温度T2が12℃であり、地中172の温度T0が18℃であり、地中172に埋設部86を埋設している熱伝達器具82の温度も18℃であることにより、高温側の地中172及び熱伝達器具82から低温側の床下空間170へ18℃の熱Q0が移動する。
ここで、流出口148から床下空間170へは、12℃の空気が流出しているが、地中172の18℃の熱が、フィン90から床下空間170へ放熱されている。このため、流動孔140−1から1階の屋内134−1へ流入する空気の温度T3は、例えば、12℃と18℃の間の15℃となる。このようにして、1階の屋内134−1の温度T4は15℃となる。
また、1階の屋内134−1の空気が、流動孔140−2から2階の屋内134−2へ流動することにより、2階の屋内134−2の温度T4も15℃となる。このようにして、1階の屋内134−1及び134−2の換気及び空気の循環を行いながら、温度T4が15℃に維持される。
家屋102によれば、熱伝達器具82及び熱交換器136を備えることにより、熱伝達器具82及び熱交換器136の相乗作用により、1階の屋内134−1及び134−2の換気及び空気の循環を行いながら、夏においては温度T4を例えば25℃に維持することができ、冬においては温度T4を例えば15℃に維持することができる。
また、家屋102によれば、断熱壁構造10を備えることにより、壁構造を通しての屋内134−1及び134−2と屋外16との熱移動を遮断することができる。このため、屋内134−1及び134−2と屋外16との熱移動は、熱交換器136による上述の作用を生じさせる流入パイプ146及び排出パイプ154を通してのみ行われ、屋内134−1及び134−2の温度T4を、各季節において確実に一定に維持することができる。
また、内装パネル22及び外装パネル28を含む断熱壁構造10を建築現場へ運搬し、断熱壁構造10を、図13に示すように、土台横木30上に固定できるように構成してもよい。
図13の断熱壁構造10の場合、内装パネル22と外装パネル28とが、係合器具24及び係合棒26により連結された状態で、クレーン等によって建築現場へ運搬される。なお、断熱壁構造10に管柱又は梁を固定した状態で運搬してもよい。建築現場においては、基礎38上に、土台横木30が予め設置されている。内装パネル22及び外装パネル28を含む断熱壁構造10は、建築現場において、金具を用いたピン工法により、通し柱又は土台横木等に固定される。内装パネル22と外装パネル28とを連結した状態で建築現場へ運搬するため、建築現場における施工作業を更に迅速に行うことができ、建築現場における作業コストを更に低減できる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本発明は図示した実施形態に限定されない。例えば、1枚の内装パネル22に対して3枚以上の外装パネル28を設置してもよい。
また、外装パネル1枚当たりに使用する係合器具の数は、外装パネルを内装パネルに固定できれば、何ら限定されない。
また、本発明の断熱壁構造10を備えた家屋12において、土台横木30及びパッキン72の屋外16側に外シール部材を密着固定してもよい。外シール部材を備えることにより、断熱壁構造10による断熱効果を更に高めることができる。
本発明の断熱壁構造及び断熱壁構造組立方法によれば、建築現場において外装パネルを形成することなく、中空部及び断熱材を有する断熱壁構造を形成でき、建築現場における施工作業を迅速に行うことができ、建築現場における作業コストを低減できる。このため、建築構造物の形成のために広く利用できる。
10:断熱壁構造
12:家屋
14:屋内
16:屋外
18:断熱材
20:中空部
22:内装パネル
24:係合器具
26:係合棒(係合部)
28:外装パネル
30:土台横木
32:内装パネル柱
34:上横木
36:内板
38:基礎
50:下枠材
52:外装パネル柱
54:上枠材
56:外板
62:隙間

Claims (7)

  1. 建築構造物の基礎の上に設けられ、屋内と屋外とを仕切る断熱壁構造であって、
    中空部を有する内装パネルと、
    前記内装パネルの屋外側に固定された係合器具と、
    断熱材が内部に設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルと、
    を備え、
    前記外装パネルの係合部を前記内装パネルに固定された係合器具に係合することにより、該外装パネルが該内装パネルの屋外側に垂設され
    前記内装パネルと前記外装パネルとの間に隙間を有する断熱壁構造。
  2. 前記内装パネルが、前記基礎の上に固定される土台横木と、該土台横木の上に垂設された複数本の内装パネル柱と、該複数本の内装パネル柱の上端部に固定された上横木と、屋内側を覆う内板とを有し、
    前記外装パネルが、下枠材と、該下枠材に対して垂直に延びる複数本の外装パネル柱と、該複数本の外装パネル柱の上端部に固定された上枠材と、該下枠材及び該上枠材と平行であり前記係合部を構成する係合棒と、前記複数本の外装パネル柱の間に設けられる前記断熱材と、屋外側を覆う外板とを有し、
    前記係合器具が、前記内装パネル柱に固定された請求項1に記載する断熱壁構造。
  3. 前記外装パネルの下枠材は前記基礎に載置され、該外装パネルの重量による荷重は該基礎に加わる請求項2に記載する断熱壁構造。
  4. 建築構造物の基礎の上に設けられ、屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造であって、
    中空部を有する内装パネルと、
    前記内装パネルの屋外側に固定される係合器具と、
    断熱材が内部に設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルと、
    を備え、
    前記外装パネルの係合部を前記係合器具に係合し、該係合器具を前記内装パネルに固定することにより、該外装パネルが該内装パネルの屋外側に垂設され
    前記内装パネルと前記外装パネルとの間に隙間を有する断熱壁構造。
  5. 建築構造物の基礎の上に設けられ、屋内と屋外とを仕切り、断熱材を有する断熱壁構造であって、
    中空部を有する内装パネルと、
    前記内装パネルの屋外側に固定された係合器具と、
    断熱材が内部に設けられ、前記係合器具に係合される係合部を有する外装パネルと、
    を備え、
    前記外装パネルの係合部が、前記内装パネルに固定された係合器具に係合された状態で、建築現場において土台横木上に垂設され
    前記内装パネルと前記外装パネルとの間に隙間を有する断熱壁構造。
  6. 前記請求項1〜のいずれかに記載する断熱壁構造、
    及び、
    地中に全部又は一部が埋設される埋設部と、前記埋設部と熱伝達可能に該埋設部上に配置される中間部と、前記中間部に熱伝達可能に接続され、床下空間に露出するフィンを有する地表部と、から構成された熱伝達器具、
    を含む建築構造物。
  7. 屋外から床下空間内へ空気を流入させるとともに、屋内から屋外ヘ空気を流出させるように構成し、屋外から床下空間内へ流入させる空気と、屋内から屋外ヘ流出させる空気との間で、熱交換を行う熱交換器を含む請求項に記載する建築構造物。
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