JP6205991B2 - 車椅子乗降用スロープ板 - Google Patents

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Description

本発明は、バスに車椅子利用者が乗降するための車椅子乗降用スロープ板に関するものである。
バリアフリー化の推進に伴って路線バスは、床面が低床にされてきており、床面から路面にかけて車椅子乗降用スロープ板を掛け渡すことで、車椅子での乗降ができるようになっている。
車椅子乗降用スロープ板としては、上記のように掛け渡すものから、バスの乗降口の縁部にヒンジなどで回動自在に連結し、常時は床面に折り畳んだ状態とし、車椅子の乗降の際に、これを床面から反転させて路面に掛け渡すもの(特許文献1)、乗降口に、昇降ステップを昇降自在に設け、乗降の際に昇降ステップを路面まで降下させて乗降させるもの(特許文献2)など種々のものが提案されている。
図5は、バスの床面から反転して展開する車椅子乗降用スロープ板の構造を示したもので、バスBの乗降口Pの床面Fの縁部51に、スロープ板50をヒンジ52にて回動自在に設けたものである。乗降口Pの床面Fには、スロープ板50を折り畳んだときに格納する凹部53が形成される。
この車椅子乗降用スロープ板は、不使用時にはスロープ板50が凹部53に格納されるように折り畳まれて、スロープ板50の裏面が床面Fと略同じ高さとなり、使用時には、乗降口PのドアDを開けたときに運転手がスロープ板50を図示のように床面Fから反転させてスロープ板50の先端54を路面Rに着地させることで、車椅子での乗降ができるようになっている。
この車椅子乗降用スロープ板は、特許文献2のようにバスの乗降口の床を昇降するものに比べて、構造が簡単であり、不使用時のスロープ板を、そのままバスの床面として使用できるメリットがある。
欧州特許出願公開第1837233号(A1)明細書 特開平11−48867号公報
しかしながら、スロープ板50はヒンジ52にて床面Fの縁部51に固定されているため、バスBの床面Fとスロープ板50を展開したときの路面Rが平行でない場合、図6に示すように、スロープ板50の先端54の一方が路面Rから浮いてしまい、これが段差となって車椅子で簡単に乗り移れない問題がある。
すなわち車椅子の前輪の寸法は、6インチ(152.4mm)や5インチ(127mm)であり、しかも前輪は、首振り自在に設けられているため、スロープ板50の先端54の一方が浮き上がっていると、前輪が、浮き上がった先端54に当たって乗り越えられなかったり、前輪が、首を振って横を向いてしまうなど、車椅子利用者にとっては、容易に乗り越えられない問題となる。
また、車椅子でスロープ板50に乗り移れても、車椅子とその利用者の重量で、浮き上がっている箇所が路面Rと接触したときには、ヒンジ52に局部応力が集中したり、スロープ板50が変形してしまう問題がある。
特許文献2では、乗降口の昇降ステップを直接降下させ、その昇降ステップにスライド自在にステップ延長板を設け、そのステップ延長板の乗降側の先端に車椅子用のスロープを設けており、構造は複雑となるもののバスの床面と路面が平行でなくても支障なく乗り移れる優位性があるが、構造が複雑である。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、路面から反転式のスロープ板に乗り移る際に、バスの床面と路面が平行でない場合でも簡単に乗り移ることができる車椅子乗降用スロープ板を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、バスの乗降口の床面の縁部と路面に掛け渡される車椅子乗降用スロープ板において、複数の分割部材を並べてすだれ状のスロープ板を形成したことを特徴とする車椅子乗降用スロープ板である。
前記すだれ状のスロープ板は、平行な揺動部材と接地部材間に複数の分割部材がピンで連結されて形成され、前記揺動部材がヒンジを介して前記乗降口の床面の縁部に取り付けられるのが好ましい。
スロープ板側のヒンジ取付板に対して前記揺動部材が揺動軸で水平方向揺動自在に取り付けられるのが好ましい。
隣接する分割部材同士がいんろう継ぎ手で、相互に長手方向移動可能に設けられるのが好ましい。
前記すだれ状のスロープ板は、複数の分割部材が、それぞれ前記乗降口の床面の縁部に取り付けられたヒンジに対してそれぞれ揺動自在に取り付けられるのが好ましい。
隣接する分割部材の面には、隣接する分割部材の回動を規制する回動規制手段が設けられるのが好ましい。
本発明は、バスの床面と車椅子がスロープ板に乗り上げる際の路面が平行でなくても、すだれ状に形成したスロープ板にて、その先端を路面に合わせることができるという優れた効果を発揮する。
本発明の一実施の形態を示し、(a)は全体斜視図、(b)は図1(a)のD部の拡大断面図である。 図1の詳細図を示し、(a)は図1(a)の平面図、(b)は図2(a)の要部拡大図、(c)は、図2(a)でスロープ板が変形した状態を示す平面図、(d)は図2(c)の要部拡大図、(e)は、スロープ板の要部断面である。 本発明の使用状態を示し、(a)はバスの床面と路面が平行なとき、(b)、(c)は、バスの床面と路面が平行でないときの使用状態を示す図である。 本発明の他の実施の形態を示し、(a)は全体斜視図、(b)は図4(a)の詳細斜視図、(c)は図4(b)のA−A線の拡大断面図である。 従来例を示す斜視図である。 従来例において、バスの床面と路面が平行でないときの状態を示す図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1〜図4に示した実施の形態においては、バスBの乗降口Pの床面Fの縁部11と路面Rに掛け渡される車椅子乗降用スロープ板を、複数の分割部材15を並べてすだれ状のスロープ板10で形成したものである。
このすだれ状のスロープ板10は、隣接する分割部材15が相互に長手方向に移動可能或いは上下方向に移動可能に連結され、一方が縁部11に掛けられ、他方が路面Rに接地され、縁部11と路面Rとが平行でなくても、縁部11と路面Rに掛け渡すことで、すだれ状のスロープ板10を構成する分割部材15が相互に移動して、縁部11と路面Rに合わせた形状に変形することができるようにしたものである。
このすだれ状のスロープ板10は、床面Fと別個に設けておき、縁部11と路面Rに直接掛け渡すようにしても、また縁部11にヒンジで回動自在に設けるようにしてもいずれでもよい。
以下の実施の形態では、すだれ状のスロープ板10は、縁部11をヒンジ12で連結する例で説明する。
図1(a)、図1(b)において、バスВの乗降口Pの床面Fの縁部11には、すだれ状のスロープ板10がヒンジ12にて回動自在に設けられる。乗降口Pの床面Fには、スロープ板10を折り畳んだときに格納する凹部13が形成される。
このスロープ板10は、不使用時はスロープ板10が凹部13に格納されるように折り畳まれて、スロープ板10の裏面が床面Fと略同じ高さとなり、使用時には、乗降口PのドアDを開けたときに運転手や乗務員等がスロープ板10を図示のように床面Fから反転させてスロープ板10の先端部14を路面Rに着地させることで、車椅子(図示せず)での乗降ができるようになっている。
スロープ板10は、図2(a)〜図2(d)に示すように、短冊状に形成された分割部材15が並べられたすだれ状に形成され、その分割部材15のヒンジ12側が、ピン16にて揺動部材17に連結され、分割部材15の先端側が、ピン18にて先端部14となる接地部材20に連結される。これにより平行な揺動部材17と接地部材20間をピン16、18で連結したすだれ状のスロープ板10が形成される。
図1(b)に示すようにヒンジ12は、軸22と、その軸22に対して回転自在に設けられた一対の取付板21a、21bとを備え、その一対の取付板21a、21bに一体に、軸22を覆う軸筒23a、23bが、軸22に沿って交互に形成され、図示の矢印のように回動されたとき、一対の取付板21a、21bが重なるように取り付けられる。
縁部11には、ヒンジ12の取付板21aを収容すると共に取り付ける取付溝24aが形成される。スロープ板10側の取付板21bには、揺動部材17を保持するために支持部材24が形成され、その取付板21bと支持部材24で形成される取付溝24b内に、揺動部材17が、揺動軸25にて、取付板21bの面に沿って水平方向に揺動するように設けられる。揺動部材17は、図1(b)に示すように、断面コ字状に形成され、その基部側17cが揺動軸25にて、取付板21bと支持部材24に連結される。分割部材15は、そのヒンジ側が揺動部材17の溝17dに挿入される凸片26が形成され、その凸片26がピン16にて揺動部材17に支持されて、揺動自在に連結される。また図2(a)に示すように分割部材15の先端側にも凸片27が形成され、コ字状に形成される接地部材20に挿入されると共にピン18で揺動自在に連結される。
分割部材15の上面は、ヒンジ12の取付板21bの面と、展開したときの接地部材20の上面と同じ高さになるように形成される。また接地部材20の上面から先端部14にかけて、車椅子が乗り上げ易くするために傾斜面19が形成される。
分割部材15は、図2(e)に示すように、隣接する分割部材15同士がいんろう継ぎ手28で、相互に長手方向に移動可能に設けられる。このいんろう継ぎ手28は、分割部材15の一方に形成した凹溝28aと、分割部材15の他方に形成した突条28bとからなり、その突条28bが、凹溝28aに係合すると共に分割部材15同士が幅方向に若干移動できるように設けられる。
図2(a)、図2(b)に示すように隣接する分割部材15同士は、平行な揺動部材17と接地部材20間にピン16、18で、隙間sをもって平行四辺形状に連結され、図2(c)、図2(d)に示すように分割部材15が、ピン16、18にて揺動した際の分割部材15同士の間隔変化を隙間sで吸収できるようになっている。
次に本実施の形態の作用を説明する。
スロープ板10は、バスBの走行時は、折り畳まれて床面Fの凹部13に格納された状態にあり、スロープ板10の裏面側は床面Fと略同一面となっている。
バスBが停車し、乗降口PのドアDが開けられた後、運転手が、凹部13に格納されたスロープ板10を持ち上げて回動して反転し、その先端部14を路面Rに着地させる。
この場合、図3(a)に示すようにバスBの床面Fと路面Rとが平行であれば、スロープ板10の先端部14は、路面Rに線接触するため、車椅子利用者は、スロープ板10を通して乗車できる。
次に、図3(b)、図3(c)に示すようにバスBの床面Fと路面Rとが平行でなく、床面Fに対して路面Rが前後方向のいずれかに傾斜している場合、先ず先端部14の接地部材20が路面Rの傾斜に合わせて傾動し、これに伴って、分割部材15が、それぞれピン16、18で揺動部材17と接地部材20に対して傾くと共に揺動部材17が揺動軸25を中心に略水平方向で回動することで、スロープ板10がヒンジ12で連結されていても、揺動部材17は、接地部材20の傾きに併せて接地部材20と平行に、また路面Rと床面Fとの傾きのズレは、揺動部材17がヒンジ12の取付板21bに対して回動して、その傾きのズレを吸収することができる。
この状態で、車椅子利用者は、スロープ板10に乗り移り、スロープ板10を登って、床面Fに乗り移ることができる。この際、ヒンジ12では若干の段差が生じるが、車椅子は登り傾斜を登っている状態で、後輪側に荷重があるため、前輪の寸法が小さくても前輪にかかる荷重は小さいため段差を容易に乗り越えることができる。
このように、乗降が終了したならば、着地状態のスロープ板10を持ち上げ、分割部材15の揺動を直しつつ、折り畳んで凹部13に格納する。
また降車する際にも、バスBの床面Fと路面Rとが平行でなく、床面Fに対して路面Rが前後方向のいずれかに傾斜していても、接地部材20が傾きに応じて路面Rに接地し、それに応じて分割部材15が揺動すると共に揺動部材17が回動することで、スロープ板10の先端部14は、路面Rと線接触することができ、円滑な降車ができる。
図4(a)〜図4(c)は本発明の他の実施の形態を示したものである。
図1〜図3では、スロープ板10を複数の分割部材15を並べてすだれ状に形成する際に、揺動部材17と接地部材20間にピン結合し、揺動部材17をヒンジ12の取付板21bに回動自在に設ける形態を示したが、図4(a)〜図4(c)の実施の形態においては、複数の分割部材35が、それぞれ乗降口Pの床面Fの縁部11に取り付けられたヒンジ32に対してそれぞれ揺動自在に取り付けてスロープ板30を形成したものである。
このヒンジ32は、図4(b)に示すように、軸42と、その軸42に対して回転自在に設けられた一対の取付板41a、41bとを備え、縁部11の取付板41aが一枚で形成され、スロープ板30側の取付板41bが、分割部材35に対応してそれぞれ独立して回動自在に設けられ、各分割部材35を、それぞれ独立して回動する取付板41bに取り付けて構成したものである。
またヒンジ32の軸42を覆う軸筒43a、43bは、軸42に沿って交互に形成されるが、分割部材35の取付板41bと一体の軸筒43bは、分割部材35の幅に対して短く形成され、その縁部11側の取付板41aと一体に形成された軸筒43a、43a間に位置すると共にその軸筒43a、43a間に支持される軸42に対して回転するように設けられる。
また図4(c)に示すように、隣接する分割部材35の面には、隣接する分割部材35の回動を規制する回動規制手段36が設けられる。回動規制手段36は、一方の分割部材35の面に形成した規制溝36aと他方の分割部材35の面に設けられ、規制溝36a内に上下移動可能に嵌められた突起36bからなり、突起36bが規制溝36a内で移動することで、各分割部材35が隣接する分割部材35に対して所定角度回動できるようにされる。
また各分割部材35の先端部34には傾斜面39が形成される。
この図4の実施の形態においては、各分割部材35は、ヒンジ32に対してそれぞれ揺動自在に取り付けられるため、その先端部34は路面Rの傾斜に合わせた回動角となる。この際、分割部材35で形成されるすだれ状のスロープ板30は、路面Rの傾斜に合わせて階段状の段差となるが、路面Rと床面Fとの角度差は、実際には10度以下であり、分割部材35で形成される段差は僅かであり、車椅子の乗降に支障を来すことはない。
10、30 スロープ板
11 縁部
12 ヒンジ
15 分割部材
17 揺動部材
20 接地部材
21a、21b 取付板
B バス
F 床面
P 乗降口

Claims (5)

  1. 車両の乗降口の床面の縁部と路面に掛け渡される車椅子乗降用スロープ板において、
    複数の分割部材を並べてすだれ状のスロープ板を形成し
    前記床面と前記路面とが平行でないときに、前記縁部と前記複数の分割部材の路面側の一端との距離が、車椅子が前記路面から前記スロープ板に乗り移る方向から見た場合の最左端の分割部材と最右端の分割部材とで異なる
    ことを特徴とする車椅子乗降用スロープ板。
  2. 前記すだれ状のスロープ板は、平行な揺動部材と接地部材間に複数の分割部材が連結されて形成され、前記揺動部材がヒンジを介して前記乗降口の床面の縁部に取り付けられる請求項1記載の車椅子乗降用スロープ板。
  3. スロープ板側のヒンジ取付板に対して前記揺動部材が揺動軸で水平方向揺動自在に取り付けられる請求項2記載の車椅子乗降用スロープ板。
  4. 隣接する分割部材同士がいんろう継ぎ手で、相互に長手方向移動可能に設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の車椅子乗降用スロープ板。
  5. 車両の乗降口の床面の縁部と路面に掛け渡される車椅子乗降用スロープ板において、
    複数の分割部材を並べてすだれ状のスロープ板を形成し、
    前記すだれ状のスロープ板は、複数の分割部材が、それぞれ前記乗降口の床面の縁部に取り付けられたヒンジに対してそれぞれ揺動自在に取り付けられ
    隣接する分割部材の面には、隣接する分割部材の回動を規制する回動規制手段が設けられ、
    前記回動規制手段は、一端に規制溝を、他端に突起を有し、隣接する規制溝に対する突起の上下方向の位置によりスロープ板を路面の傾斜に合わせる
    ことを特徴とする車椅子乗降用スロープ板。
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