JP6205119B2 - 2系統光学系を有する距離方向自動測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は測量用に多く用いられる光学機器の構造とその設定に関わるものであり、特に対象物の方向と距離の測定に使われる望遠鏡とそれに組み合わされるレーザ受発光距離計測システムに関わる
一般に測量においては測定用の基準点から、対象とする目標点との距離の測定および方向の測定が必要である。
近年の測量用機器等の方向・距離測定装置では、操作者が望遠鏡で目標点を定め、当該目標点に向けた望遠鏡の水平面内、垂直面内の方向検出用角度測定機構で角度を測定し、定めた目標点に向けて光波計測用のレーザ光線を発射し、その反射光を受光することで、光波の位相差などから距離を正確に計測するEDM計測手法が主流となっている。
特開2008−32699号公報 特開2010−286281号公報
(ア)旧来ディジタルカメラを補助的に組み込み、この広域画像と望遠鏡の狭域画像との関連を自動的に画像上で設定することにより、実用時において、操作者が目標点を容易に選定可能とする装置は前記特許文献1「測量機」等で知られている。(イ)また、操作者が測量装置の設置場所から離れた場所で、ディスプレイを見ながら望遠鏡をリモート操作する装置は特許文献2「画像送信機能付き測量装置、および測量方法」にも記載されている。
まず旧来型のシステムについて説明する。旧来型のシステムの一般的な原理的構造は図1、図2に示すようなものが多い。すなわち長焦点対物レンズLTで、捉えた測定対象物よりの光線をフォーカシンググラスGF上に結像させるが、その時の焦点合わせをフォーカシング用レンズLMの移動操作で行う。フォーカシンググラスGF上に結像した対象物の実像は倒立像となるので、プリズムや反射鏡を組み合わせた正立像化ユニットUPを経由して正立像とし、接眼鏡LEで操作者が視認するのである。(正立像化した後にフォーカシンググラスを設けることもある)。
一方光波距離計測システムEDMは、レーザ発光部SRより発光されたレーザ光線が望遠鏡の光軸近くに設けた半透明プリズムP1によって望遠鏡の光軸上を進み、対象物に照射されてその近軸反射光が全反射プリズムP2によってレーザ受光部RRで検出されて位相差算定から距離測定が行われる。一方周辺反射光は長焦点対物レンズLTで、捉えた測定対象物よりの光線の一部として対象物の実像に表示されるので接眼鏡LEで操作者が視認できるため、対象物中のどの位置にレーザ光線が当たっているかを確実に把握できる。
この計測システムEDMと、視認用望遠鏡のセットで地形・建物などの目的とする部分を測定するためには、望遠鏡の向きを自在に変更する必要があるので、一般に図3に示す如く、望遠鏡に取り付けた上下回転軸SVを設けて、これを望遠鏡ホルダBTで支持することにより目標点位置の高さが異なっても自由に方向を設定できる。また望遠鏡ホルダBTは水平回転ベースBHに固定され、その全体を固定ベースBBに設けた水平回転軸SRHによって水平回転可能に保持されているので、望遠鏡は上下・水平いずれにも回転できて、任意の位置の対象物を測定することができるようになっている。
更にこの上下・水平回転ともに、ロータリエンコーダなどの角度検出機構によって精密に光軸方向角度の測定ができるようになっている。
したがって、操作者は図4の接眼鏡視野VWEに示すように望遠鏡で第1目標点TGP1の映像を視野内の十字線CRFGに一致するように設定し、照射したレーザ光線で第1目標点TGP1までの距離を測定し、角度検出機構で方向を検出すればその目標点の測定は完了する。
次の目標点に移るには、望遠鏡を左右・上下に振ることで操作者は容易に図5のごとく次の目標点TGP2が設定できる。
以上のごとく、旧来型のシステムは容易に高精度の測量ができるように工夫されているが、そのための問題点も存在する。
すなわち、必然的に望遠鏡で求めた目標点と、EDM計測機器の出力レーザビームの照射点とが、正しく同一点であることが保証されなければならない。そのためには測量用の機器として、望遠鏡の光軸中心を示す十字線CRFGを設け、これとレーザ照射光軸中心を正しく一致させるよう、製造工程での「光軸調整作業」が必要である。
もちろん光学部品の精度向上、および光学部品取付け用の機構部品の精度向上によって、できる限り光軸調整量を小さくするべく、製造工程上で各種の工夫がなされているが、なお、組付後の誤差を消去できず、最終工程で厳密な「光軸調整作業」を行うのが通例でありこれが第1の問題点である。
また上下回転軸SVの回転軸芯と、望遠鏡の光軸中心とが完全に直交しなければならないため、コリメータで光軸を確認しつつ上下回転軸SVの調整によって望遠鏡を180度回転しても光軸の振れがなくなるまで調整する「光軸調整作業」を必要とする。これが第2の問題点である。
更に、オートフォーカス用のレンズ駆動機構やレーザ光の送出、受信など、望遠鏡の回転に伴って一体的に回転する電気・電子的機構は、水平回転ベースBHに固定されている制御用電子回路との通電が不可欠であり、そのために複数の通電用スリップリングを必要とすることもコスト上昇の要因となっている。これが第3の問題点である。
また、上記の操作説明の通り、操作者は毎回望遠鏡を覗く動作を必要とするので、例えば、悪天候で、操作者が雨に晒されたり、炎天下では日除けの手段を必要とするなどの問題があり、また測定対象物が近距離の高層建造物の高位置にあるような場合、下から上に向かって望遠鏡を覗きこむ必要があり、姿勢がとりにくいこともある。
更に、多くの測量用装置では装置本体の基準設置場所の設定のために本体下方に設置した位置基準ターゲットを視認する別の光学系(求心望遠鏡と称する)を設けている。これは操作者が望遠鏡を真上から覗く姿勢がとりにくいことも大きな理由である。
すなわち操作者が望遠鏡を覗く必要がある事が第4の問題点である。
本発明は上記の「光軸調整作業」を不要とし、望遠鏡本体の回転も行わずスリップリングの組み込みも不要として、製造コストを大きく低下させるとともに、操作者が望遠鏡を覗く動作を不要として、操作上の利便性を向上することを目的としたものである。
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を有する。すなわち、測定基準点に設置した測定装置によって、測定対象物の映像を操作者が視認し、測定目標点を選定し、その方向と距離とを測定する自動測定装置であって、測定対象物の映像は対物レンズによる画像センサ上への結像で得たものをディスプレイ上に表示すること、距離測定機構は対物レンズの光軸に沿って設けたレーザ光線の発・受光機構によることの2系統以上の光学系を有し、対物レンズの前面側に光軸折り曲げ用45度反射鏡を有する回転ミラー部を設けること、これにより両光軸を鉛直面内に回転すること、この回転により対物レンズが画像センサ上に結像する測定対象物の映像も回転するが、当該映像を表示するディスプレイ機構上では当該映像の回転分を逆回転して表示する正立表示ソフトを有すること、の各条件を満たす測定装置に於いて、回転ミラー部以外の光学系を水平回転ベースに固定的に設置することにより、レーザ光線の発・受光機構を含む複数の光学系操作機構とその制御・処理用の電気・電子回路との接続を固定的に構成可能とすることを特徴とする2系統光学系を有する距離方向自動測定装置である。
また、本発明の別の構成は、測定基準点に設置した測定装置によって、測定対象物の映像を操作者が視認し、測定目標点を選定し、その方向と距離とを測定する自動測定装置であって、測定対象物の映像は対物レンズによる画像センサ上への結像で得たものをディスプレイ上に表示すること、距離測定機構は対物レンズの光軸に沿って設けたレーザ光線の発・受光機構によること、
の2系統以上の光学系を有し、90度方向を向いた対物レンズとその背面側に配置した光軸折り曲げ用45度反射鏡とを有する回転ミラー部を設けること、これにより両光軸を鉛直面内に回転すること、この回転により対物レンズが画像センサ上に結像する測定対象物の映像も回転するが、当該映像を表示するディスプレイ機構上では当該映像の回転分を逆回転して表示する正立表示ソフトを有すること、の各条件を満たす測定装置に於いて、回転ミラー部以外の光学系を水平回転ベースに固定的に設置することにより、レーザ光線の発・受光機構を含む複数の光学系操作機構とその制御・処理用の電気・電子回路との接続を固定的に構成可能とすることを特徴とする2系統光学系を有する距離方向自動測定装置である。
以下、本発明の実施例の原理図である図6によって上記の問題点の解決手段を述べる。
図6に構造を示す如く、本発明の基本原理は
望遠鏡本体を回転せず、対物レンズLTの前面に設けた回転ミラーMRVのみを矢印ARVのように回転することで光軸を鉛直面内に回転させて目標物の上下方向に対応する。
上下方向に回転する。
フォーカシンググラスGFに代えて画像センサCCDを用いる。
接眼鏡LEに代えて画像センサCCDのデータを表示するディスプレイDSP1をリモコンユニットDSPに設けることで接眼鏡を不要とする。これが構造上の主要3項目である。
また、電子回路的・ソフトウエア的には、望遠鏡本体を固定したことにより、レーザ、ロータリエンコーダ、オートフォーカスなどの電気・電子制御を要するユニットとコントロール回路PCBとの配線の固定化が可能となる。
ミラー回転による画像センサCCD上の映像の回転・傾斜は、画像逆回転ソフトウエアで処理してディスプレイ上には回転・傾斜なしの正立像で表示することで光学的な正立象化ユニットUPを不要とする。
望遠鏡光軸とEDM用レーザ発受光系の光軸との誤差、及びミラーMRVの回転による回転軸と光軸との直交性の誤差を容認して精密な測定を可能とする自動修正ソフトウエアを組み込む、の3項目である。
次に、各項目について詳細を述べる。
1 望遠鏡本体を回転せず、対物レンズLTの前面に設けた回転ミラーMRVのみの回転で光軸を鉛直面内の上下方向に回転する。
これは図6の光軸回転用ミラーMRVとロータリエンコーダ用コードディスクCDVとを回転ミラーホルダHMVに一体的に取り付けて回転ミラー部を構成し、回転ミラーホルダHMVは対物レンズホルダHLTに回転可能に取り付けてある。
光軸回転用ミラーMRVは当然望遠鏡光軸に対して45度に設定され、光軸縦回転の矢印ARVのように回転することで、光軸は鉛直面内(上下方向)に360度回転される。
当然、ミラーや対物レンズの汚れを防止するためのダストカバーは必要である(図示せず)。またそのダストカバーの片面には光線の妨げにならないように透明プレートを用いたダストカバーグラスGCVを設置することもできる
必要に応じて手動回転を容易にするためのつまみ(図示せず)などをミラー背面または回転ミラーホルダHMVの一部に取り付けてもよい。また自動回転のための駆動機構(図示せず)を設けることを妨げない。
光軸回転用ミラーMRVの回転角は、ロータリエンコーダ用コードディスクCDVの目盛を光電センサPEVで常時検出し、現状の光軸設定方向を、コントロール用電子回路PCB内で把握していることは当然である。
2 フォーカシンググラスGFに代えてCCDなどの画像センサCCDを用いる。
文字通り、旧型システムでフォーカシンググラスGFを置いた位置に、画像センサCCDを設置するものである。
画像センサCCD上の測定対象物の映像は、ミラーによる反転を伴う倒立映像となっているが、これをディスプレイ上に上下反転表示すればそのまま正立像となることは言うまでもない。
しかし、上記のミラー回転によって、光軸が上下回転するに伴い測定対象物の映像も当然、回転することになるので、そのままではディスプレイDSP1上では傾斜画像となり、使用に耐えないものとなる。
そこで、画像センサCCDに入った映像信号を、その時のロータリエンコーダにより検出された現状の光軸角度データを参照し、コントロール用電子回路PCB内でソフトウエア的に画像逆回転処理して、映像回転による傾斜角を完全に修正した正立像としてディスプレイDSP1に送り込む。
3 接眼鏡LEに代えて画像センサCCDのデータを表示するディスプレイDSP1をリモコンユニットDSPに設ける。
上述のとおり画像センサCCDの映像信号は、ミラー角度の如何にかかわらず正立像として送られて来るので、ディスプレイDSP1上では常に測定対象物の正しい映像を目視できる。
ディスプレイDSP1を持ったリモコンユニットDSPは、コントロール用電子回路PCBから配線でフレキシブルに接続されているが、これにはリモート操作機構DSP2に設けたスイッチ・可変抵抗器等との往復信号も含まれている。
当然、これを無線方式での信号伝送とすれば、操作者はシステム本体から離れたところでディスプレイ画像を視認しながら本体をリモート操作できる。
4 望遠鏡本体を固定したことにより、レーザ、ロータリエンコーダ、オートフォーカスなどの電気・電子制御を要するユニットとコントロール回路PCBとの配線を固定化することが可能となる。
旧来型の図3においては、水平回転ベースBHに取り付けた制御用電子回路(図示せず)とEDM用発光部SR、EDM用受光部RRとを信号線あるいは電源線などで接続すると望遠鏡の回転に伴って線が引っ張られ、大きく回転すると破断する可能性さえあることは明白である。そのために、通電用のスリップリングを用いて、望遠鏡を360度以上自在に回転可能にするのが一般的である。
これに対し、本発明による図6では、望遠鏡本体は水平回転ベースBHに完全に固定されているので、EDM用発光部SR、EDM用受光部RRなどとコントロール用電子回路PCBとを接続するには固定的な配線方法で容易に行えることは、当然である。ロータリエンコーダ用光電センサPEH、PEV、オートフォーカス用レンズ駆動機構その他の電気・電子機構とコントロール用電子回路PCBとの接続も全く同様である。
5 ミラーMRVの回転による画像センサCCD上の映像の回転は、画像逆回転ソフトウエアで処理してディスプレイ上には傾斜なしの正立像で表示する。
ミラーMRVと対物レンズLTで結像した画像センサCCD上の映像は、当然ミラーによる反転を含む倒立画像の「1枚の絵」に相当するものである。それを得た時のミラーの回転角を参照すれば、どれだけ傾斜しているかを確定できるので、その傾斜分に相当するだけ画像を逆回転表示することは、ソフトウエア的にはカーナビゲーション等で一般的に広く行われている。しかし旧来のシステムでは、回転ミラーによる光軸の上下回転手法を用いなかったので、画像逆回転ソフトウエアを必要としなかったのである。
6 望遠鏡光軸とEDM用レーザ発受光系の光軸との誤差、及びミラー回転による機構的回転軸と光軸との直交性の誤差を容認して精密な測定を可能とするソフトウエアを組み込む。
旧来のシステムでは、測定目標点確認のための十字線をフォーカシンググラス上に固定的に設定してあり、これが望遠鏡を回転してもその光軸中心に常に正しく一致するように、コリメータなどの光学的標準光線に対しての厳密な調整を行っていた。
同時に、EDM用レーザ光線の送信用の光学系も、その照射点が選定した目標点に正しく一致するよう望遠鏡の光軸中心と完全に一致させなければならず、その調整に大きな工数を要していた。
これに対し本発明では、望遠鏡光軸とレーザ系光軸とが完全に一致しなくても、またミラー回転による回転軸と光軸とが完全に直交しなくても、目標点を的確に測定できる手法を与えるものである。
例えば、本システムの調整工程において、図7に示すように、望遠鏡を標準目標物TGSに向けて画像センサCCD上の映像を得たとする。
望遠鏡の光軸中心を標準目標物TGSの十字線交点に一致させた(十字線交点の映像を画像センサCCDの中央画素PXCの位置に来るように望遠鏡方向を定めた)場合、レーザ光の照射点の映像IMRの位置が、光軸誤差分dX、dZだけずれていたとする。これのずれは望遠鏡の光軸中心とレーザ光線の光軸との誤差によって生じる。
その時の光軸回転用ミラーMRVの上下回転角θVはロータリエンコーダ用光電センサPEVで読み取れるが、光学系・機構系の誤差により、θVと画像の回転角dVとは必ずしも一致しない。その誤差「θV−dV」を、dθで表すとして、これらの誤差分、dX、dZ、及びdθを、「標準誤差要素」として記録用のメモリ−に記録しておくのである。
現実には標準目標物TGSに相当するコリメータ系のような標準光学系を光軸回転用ミラーMRVに半固定的に設置し、水平回転ベースBHを微小角度ずつ回転しながら、全ての回転角について「標準誤差要素」を自動記録するなどの方法もある。
実用時には、その時々のミラー角度に対応した「標準誤差要素」を自動的に参照できる。したがって図8のように、操作者向けのディスプレイ上には、dX、dZ、を補正した「測定中心」PXSと、それを交点としてdθを補正した仮想十字線を表示することで、操作者は常にディスプレイ上の測定対象物を視認しながら、的確に目標点を設定できる。ここで仮想十字線は、「測定中心」PXSに対し同一X座標の画素群と同一Y座標の画素群を意味するので、これらの色調や輝度レベルを変更するなど、各種の方法で表示できる。
本発明によれば、旧来困難とされていたミラーのみの鉛直面内回転で、望遠鏡の上下回転と同様の効果が得られ、しかも望遠鏡本体部の完全固定化ができるので、制御用の配線等が固定的に接続できる。したがって、旧来の方式の製品と比較して、製作が容易でコストの削減効果も大きい。
これに加えて光軸調整工程がほとんど不要となるような誤差容認方式で、製造工程中の調整工数が激減すること、ミラー回転によって光軸を真下に向けることができるので、測定装置本体の設置場所の視認のための別の光学系(求心望遠鏡)が不要となり、さらに大幅なコストダウンが可能となるものである。
しかも、スマートフォン世代の操作者の要求に沿うような、ディスプレイによる目標物確認ができるので、装置本体から離れた場所で、リモート操作が容易に行えることも大きな利点である。
また、望遠鏡を覗く姿勢の関係で困難であった設置場所の真上に近い目標点も容易に選定可能であることも大きな利点である。
本発明の実施形態の一例を示す原理図である図9によって説明する。
対物レンズLTを保持する対物レンズホルダHLTはミラーユニットホルダHMRと一体的に構成され、水平回転ベースBHに固定されている。
光軸回転用ミラーMRVとダストカバーグラスGCV及びロータリエンコーダ用コードディスクCDVとは回転ミラーホルダHMVに一体的に取り付けられ、対物レンズホルダHLTに回転可能に保持されている。(回転ミラーホルダHMVは回転ノブNMVでの手動回転も駆動用アクチュエータAMVによる自動回転もできる)。
対物レンズLT以降の光学系は、固定ミラーMRF1ほか2枚の固定ミラーによって光軸を折り曲げられ、光路を伸ばしてある。
対物レンズLTによる対象物映像は、フォーカシングレンズLMを経由してリレーレンズLLYに結像し、再投影レンズLRPによって画像センサCCD上に再結像する。
固定ミラーMRF1の中央部孔にはレーザ用半透明プリズムP1が設けてありこれによりレーザ発光部SRとレーザ受光部RRとがレーザ光の送受信を行うようになっている。
当然、これらの光学系は、フォーカシングレンズLMの焦点調節の小移動以外はすべて固定であり、オートフォーカシングにおいても、フォーカシングレンズLMの駆動用アクチュエータAFC或いは回転ミラーホルダHMVの駆動用アクチュエータAMVも固定可能であり、全体の制御回路(図示せず)との配線接続も固定的に行えることは、自明である。
また、図9の固定ベースBBには中空の水平回転軸SRHが設けてある。水平回転ベースBHには水平回転軸受ブロックSBHが取り付けてあり、これによって水平回転ベースBHは水平面内に360度任意に回転可能である。ここで、図のごとく回転ミラーMRVを真下に向けた場合、望遠鏡は固定本体BB直下の映像をディスプレイDSP1に表示するので、直下に設置位置基準ターゲットが設置してあれば、ディスプレイDSP1によって本体設置位置の確認が行えることは述べるまでもない。
この実施例の応用として、図11に示すように対物レンズLTと対物レンズホルダHLTも光軸回転用ミラーMRVとともに鉛直面内の回転を行う回転ミラー部の構成により、対物レンズ部のメンテナンスの容易化や固定部分の光学系の光路の短縮による小型化も考えられる。
本発明の実施形態の他の一例の原理図を図10に示す。
本実施例では、対物レンズLTに代えてズームレンズLTZを用いたものである。
一般の35mmカメラ用のズームレンズと同様、ズーミングによる焦点移動はないと考えてよいので、フォーカシング決定後は常に目標点を含む対象物の映像はリレーレンズLLY中に結像している。したがってズームを広角にして周辺画像を確認し、測定時には望遠にして測定精度の向上を実現できる。
当然、ミラー回転アクチュエータAMV、フォーカシングアクチュエータAFC、ズーミングアクチュエータAZM、ロータリエンコーダ用光電センサPEH,PEVも、レーザ光線送・受ユニットSR,RRなどとともに水平回転ベースBHに固定的に設置されるので、これらのコントロール用電子回路、PCB1,PCB2との配線接続も固定的に設置することができる。
なお、図9,図10の構成に於いては、水平回転軸受ブロックSBHと固定ベースBBとを水平回転ベースBHから一時的に取り外すことにより、ダストカバーグラスGCVの部分にコリメータなどの標準光学装置を光学的に接続して、水平回転ベースBHを360度回転できるので「標準誤差要素」の測定がきわめて簡便に行える利点も大きい。
図1-図3 :旧来型装置の原理と構成概要を示す
図4-図5 :旧来型装置による望遠鏡視野と目標点を示す
図6 :本発明によるミラー回転式光軸上下機構の概要図を示す
図7-図8 :本発明による光軸誤差とディスプレイ表示の関係を示す
図9 :本発明の実施形態の例を示す
図10 :対物レンズにズームを用いた実施例を示す
図11 :本発明の実施形態図9の応用例を示す
AFC :フォーカシングアクチュエータ
AMV :ミラー回転アクチュエータ
AZM :ズーミングアクチュエータ
BB :固定ベース
BH :水平回転ベース
CCD :画像センサ
CDH CDV :角度検出用ロータリエンコーダのコードディスク
CRFG :接眼鏡視野内の十字線
DSP :リモコンユニット
DSP1 :リモコンユニット内のディスプレイ
DSP2 :リモコンユニット上の操作機構
GCV :ダストカバーグラス
HLT :対物レンズホルダ
HMV :回転ミラーホルダ
LLY :リレーレンズ
LRP :リレーレンズ中の実像を再投影するレンズ
NFC :フォーカシング用つまみ
NMV :ミラー回転ツマミ
MRV :光軸垂直面内回転用ミラー
P1 :半透明プリズム
P2 :プリズム
SBH :水平回転軸受ブロック
SH :水平回転軸
SR,RR :レーザ光による距離計測ユニット
TGS :標準ターゲット例
LT :対物レンズ
VWCD :画像センサの画面
VWE :接眼鏡視野

Claims (7)

  1. 測定基準点に設置した測定装置によって、測定対象物の映像を操作者が視認し、測定目標点を選定し、その方向と距離とを測定する自動測定装置において、
    測定対象物の映像は対物レンズによる画像センサ上への結像で得たものをディスプレイ上に表示すること、
    距離測定機構は対物レンズの光軸に沿って設けたレーザ光線の発・受光機構によること、の2系統以上の光学系を有し、
    対物レンズの前面側に光軸折り曲げ用45度反射鏡を有する回転ミラー部を設けること、これにより両光軸を鉛直面内に回転可能とすること、
    この回転による画像センサ上に結像する測定対象物の映像の回転を、当該映像を表示するディスプレイ機構上では当該回転分を逆回転して表示する正立表示ソフトを有すること、の各条件を満たす測定装置であって、
    回転ミラー部以外の光学系を水平回転ベースに固定的に設置することにより、レーザ光線の発・受光機構を含む複数の光学系操作機構とその制御・処理用の電気・電子回路との接続を固定的に構成可能とすることを特徴とする2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
  2. 測定基準点に設置した測定装置によって、測定対象物の映像を操作者が視認し、測定目標点を選定し、その方向と距離とを測定する自動測定装置において、
    測定対象物の映像は対物レンズによる画像センサ上への結像で得たものをディスプレイ上に表示すること、
    距離測定機構は対物レンズの光軸に沿って設けたレーザ光線の発・受光機構によることの2系統以上の光学系を有し、
    対物レンズとその背面側に配置した光軸折り曲げ用45度反射鏡とを有する回転ミラー部を設けること、
    これにより両光軸を鉛直面内に回転可能とすること、
    この回転による対物レンズが画像センサ上に結像する測定対象物の映像の回転を、当該映像を表示するディスプレイ機構上では当該回転分を逆回転して表示する正立表示ソフトを有すること、
    の各条件を満たす測定装置であって、
    対物レンズを含む回転ミラー部以外の光学系を水平回転ベースに固定的に設置することにより、レーザ光線の発・受光機構を含む複数の光学系操作機構とその制御・処理用の電気・電子回路との接続を固定的に構成可能とすることを特徴とする2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
  3. 対物レンズを焦点距離可変範囲の充分大きいズームレンズとし、その結像部以降の光学系を水平回転ベースに固定的に設置することを特徴とする請求項1又は2記載の2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
  4. 対物レンズ光学系の光軸中心とレーザ光線の光軸との方向に誤差を含むこと、及び/または、回転ミラー部の機構的な回転軸と、回転された両光軸との直交性に誤差を含むこと、を前提として、回転ミラー部の鉛直面内の各回転位置に於いて、誤差内容を「標準誤差要素」として記録するとともに、個々の製品の制御回路の記録素子に記録して組み込み、実用時には記録した「標準誤差要素」の誤差内容に基づく位置修正・角度修正を自動的に行うことにより、ディスプレイ上の表示も、測定対象物上の実在の目標点に対するレーザ光照射も、すべて正しい状態を保つことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
  5. 前記回転ミラー部は光軸を真下を超えて回転することを可能とし、本体下方に設置した位置基準ターゲットをディスプレイ上に表示できるようにして測定基準点の設定を容易にしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
  6. 水平回転ベースには、水平回転軸または水平回転軸受を設けて、本体すなわち固定ベースの回転軸受または回転軸と係合して固定ベースに対する水平回転を可能とし、当該回転軸を中空とすることで、回転ミラー部の回転により光軸を鉛直下向きにした場合、本体下方に設置した位置基準ターゲットをディスプレイ上に表示できるようにして測定光軸の水平回転基準点の設定を容易にしたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
  7. 前記回転ミラー部は光軸を真上を超えて回転することを可能とし、本体設置部の真上の、または真上を超えた場所の目標対象物をディスプレイ上で視認選定可能とすることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の2系統光学系を有する距離方向自動測定装置。
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