以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2に、本発明の第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1の全体構成を示す。
両図から分かるように、本実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1は、ハンドピース10のヘッド11の下方においてドリル30に移動可能に係合されたガイドストッパー20と、ヘッド11とガイドストッパー20の間に配置されたバネ50とを備えている。ガイドストッパー20は、バネ50の弾性力に抗して、ドリル30に沿って上下に移動可能である。ガイドストッパー20は、金属等の剛性材から形成されている。
ガイドストッパー20は、ここでは、所望の最大深度を超えてインプラント埋設穴が形成されるのを防止するための「ストッパー部材」としての機能と、サージカルガイドのガイド溝に沿ってドリル30をガイドするための「ガイド体」としての機能を持つ。しかし、ガイドストッパー20は、「ストッパー部材」としての機能のみを持つようにしてもよい。この場合、ガイドストッパー20は、「ストッパー部材」と呼ぶことができる。
ハンドピース10のヘッド11には、給水部13が設けられている。給水部13には、連結チューブ14が接続可能であり、連結チューブ14を介してドリル30に水を供給可能である。その水をドリル30の外周面に沿って放出・流動させることで、ドリル30の埋設穴形成箇所に水を供給することが可能である。
ドリル30は、図1及び図2では上下方向に延在しており、その上端(基端)がヘッド11の内部に挿入・係止されている。ドリル30は、ヘッド11とネック12に内蔵された公知の駆動機構(図示せず)によって、その軸心Xの周りに回転せしめられる。ドリル30は、必要に応じて、サイズの異なる他のドリル等と交換可能である。
バネ50は、ドリル30の外周を取り囲むように、ドリル30と同心状に配置されている。バネ50は、ガイドストッパー20を下方に付勢(押圧)する圧縮バネ(つるまきバネ)であり、ガイドストッパー20を常時、ヘッド11から引き離す作用をする。このため、ヘッド11を押圧してバネ50に外力を印加していない時は、常に、図1及び図2に示すように、ガイドストッパー20とヘッド11との距離は最大となる。
ガイドストッパー20は、図3A及び図3Bに示すように、全体が略円筒形であって、中心部にその長軸方向に貫通する円形の第1透孔21及び第2透孔22を有している。図3では、第1透孔21が上位にあり、第2透孔22が下位にあって、二段重ねとなっている。上位の第1透孔21の直径の方が、下位の第2透孔22のそれよりも大きい。第2透孔22の直径は、ドリル30のシャンク32が挿通可能なように、シャンク32の直径より少し大きく設定されている。第1透孔21の直径は、バネ50が嵌入可能なように、バネ50の外径の直径より少し大きく設定されている。第1透孔21の底面はバネ受け面23となっている。
ガイドストッパー20の上端部には、円環状の鍔部24が形成されている。鍔部24の外径は、その下方にある外側面20cの直径よりも大きい。鍔部24の外径は、後述するサージカルガイド100のガイド部材101のテーパー状ガイド溝102の最大内径よりも大きい。このため、サージカルガイド100のガイド溝102にガイドストッパー20を嵌入させた時に、鍔部24がガイド溝102の上端に当接する。こうして、ガイドストッパー20がガイド溝102内を過剰に移動するのを防止しているのである。
ガイドストッパー20の鍔部24より下方にある外側面20cは、全体がテーパー状になっていて、その上端(鍔部24側の端)からその下端(鍔部24側とは反対側の端)まで、外径(直径)が単調に減少している。これは、ガイドストッパー20をサージカルガイド100のガイド溝102に嵌入・嵌合しやすくするためである。
外側面20cには、一対の切除面20dが形成されている。これら二つの切除面20dは、平坦で、互いに平行である。切除面20dは、テーパー状の外側面20cをその両側から部分的に切除することで形成されたものであり、ガイドストッパー20の中心軸に対して対称な位置にある。図3(a)では、手前にある一方の切除面20dのみが描かれており、他方の切除面20dはガイドストッパー20の裏側にあるため描かれていない。一対の切除面20dは、それらの間の距離をテーパー状の外側面20cの外径よりも小さくすることで、ガイドストッパー20をサージカルガイド100のガイド溝102にいっそう嵌入・嵌合しやすくするために設けられている。
ガイドストッパー20の第1端面(上端面)20aは、ガイドストッパー20が最大限に変位した時に、スペーサ40の下端に当接する。
ガイドストッパー20の第2端面(下端面)20bの内側には、図3B(a)に明瞭に示すように、第2透孔22と同軸の支持面20eが形成されている。支持面20eは、第2透孔22の内壁面を部分的に斜めに切欠することで形成されたもので、テーパー状になっている。支持面20eを設けた理由は、図2に明瞭に示すように、ガイドストッパー20を、ドリル30の刃部31の基部にある鋭利な支持端33と「線接触」させるためである。こうすると、両者の間に作用する摩擦力が非常に小さくなるため、ドリル30の回転に伴ってガイドストッパー20が回転する可能性が非常に小さくなるからである。
テーパー状の支持面20eは、ガイドストッパー20の内部すなわち、第1透孔21及び第2透孔22にドリル30が挿通された際に、ガイドストッパー20がドリル30に沿ってその刃部31を越えて移動するのを防止する移動防止機構を構成する。
支持面20eを形成せずに、ガイドストッパー20の第2端面(下端面)20bを直接、ドリル30の刃部31の基部の端面に接触させてもよいが、そうすると「面接触」になるから、摩擦力が増加し、ドリル30の回転に伴ってガイドストッパー20が回転する可能性が増加する難点がある。したがって、支持面20eの省略は、この難点を解消する何らかの方策が施される場合や、この難点が問題にならない構成の場合に可能である。この場合は、ガイドストッパー20の変位がゼロの時に、第2端面20bは刃部31の基部の端面に当接する。
なお、ガイドストッパー20の内部にバネ50の一端(下端)が挿入されない構成の場合は、第1透孔21とバネ受け面23は省略可能である。この場合、ガイドストッパー20の内部には、第2透孔22のみがガイドストッパー20の全長にわたって形成される(例えば図7の構成を参照)。
鍔部24は省略可能である。その場合、テーパー状の外側面20cがガイドストッパー20の全体にわたって形成されるが、例えば、外側面20cのテーパー形状を調整して、外側面20cの上側(ヘッド11の側)の端部に直径が最大となる箇所を設け、且つ、その箇所の直径がガイド溝102の内面の最大直径よりも大きくなるようにする(例えば図23の構成を参照)。こうすると、ガイド溝102の内部を移動中のガイドストッパー20は、前記箇所で引っかかって、それ以上の移動が防止される。
さらに、外側面20cは、必ずしもテーパー状でなくてもよい。つまり、ストレート状でもよい(例えば図20(a)の構成を参照)。この場合、直径の異なる二つの外側面があればよい。
ドリル30のシャンク32は、図2に示すように、第1透孔21の全体を貫通し、第2透孔22のほぼ全体を貫通している。シャンク32の下端、すなわちシャンク32と刃部31の接合部は、支持面20eの位置にある。
バネ50の下端部は、第1透孔21に嵌入されていると共に、第1透孔21の底面にあるバネ受け面23に当接している。したがって、バネ50の下端部はバネ受け面23によって支持されている。
ヘッド11の直下には、一側面を開口した略筒状のスペーサ40が設けられている。スペーサ40は、簡易にインプラント埋設穴の最大深度を調整するためのものである。スペーサ40は、図25に示すように、略C字形(あるいは略U字形)の断面形状を持っているので、また、スペーサ40の内径はバネ51の直径よりも大きくされているので、歯科医師が水平に(ドリル30に直交する方向に)押し込み、あるいは、引っ張ることで、ドリル30をハンドピース10から外すことなく、スペーサ40をドリル30の外側に容易に装着あるいは離脱することができる。
スペーサ40は、金属等の剛性材から形成されているが、ここでは円環状の磁石42を端部に備えており、磁石42の磁気吸引力によってヘッド11の下面に密着・保持されている。
バネ50の上端部は、図2に示すように、スペーサ40の内部を貫通して磁石42の下面に当接し、その下面によって支持されている。バネ50の上端部は、ヘッド11の下面に当接するようにしてもよい。
インプラント埋設穴形成補助装置1により得られるインプラント埋設穴の最大深度が、所望の最大深度よりも大きい場合がしばしばある。そのような場合には、ガイドストッパー20とヘッド11との間に、所望の最大深度に最適な高さ(厚さ)を持つスペーサ40を装着することで、容易に所望の最大深度を実現することができる。さらに、高さ(厚さ)が段階的に異なるスペーサ40を複数個用意しておけば、必要に応じて最適な高さ(厚さ)のスペーサ40を交換しながら選択使用することで、容易に、種々の所望の最大深度に対応することが可能である。スペーサ40は省略してもよいことは言うまでもない。
歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と共に使用されるサージカルガイド100は、図1に示したようなガイド部材101を有している。ガイド部材101は、図3A(b)に示したように、テーパー(上端から下端に向かうにつれて外形が減少している)の付いた略円筒形、すなわち、テーパーの付いた円筒の側面の一部を切欠してスリットを形成した形状であり、その長軸方向(上下方向)に貫通するガイド溝102を有している。ガイド溝102の内側面105は、ガイドストッパー20のテーパー状外側面20cと同様のテーパー状になっている。つまり、ガイド溝102の外径は、その上端から下端に向かって徐々に減少している。ガイドストッパー20は、ガイド溝102の内部に嵌入されてから下方に移動可能である。
ガイド部材101は、その側面に、スリット状の第1挿入口103と第2挿入口104を有している。第1挿入口103の両側には、一対の突出部106が形成されていて、ガイドストッパー20の外側面20cよりも少し狭くなっている。換言すれば、テーパー付き円筒形からの切欠量が相対的に小さい部分が第1挿入口103であり、テーパー付き円筒形からの切欠量が相対的に大きい部分が第2挿入口104である。このため、ガイドストッパー20が、第2挿入口104を通ってガイド溝102の内部に挿入された後、少し下方に移動されて第1挿入口103の位置に達すると、もはや第1挿入口103を通ってガイド溝102から外れることはない。ガイドストッパー20の外側面20cが一対の突出部106に当接するからである。
ここで、図3B(b)に示すように、ガイド部材101の第1挿入口103の開口量(スリット幅)をc、第2挿入口104の開口量(スリット幅)をa、ガイド部材101の中心軸に対する第1挿入口103の位置の非開口角度をα、同中心軸に対する第2挿入口104の位置の非開口角度をβとする。また、図3B(a)に示すように、ガイドストッパー20の一対の切除面20dの間の距離をb、テーパー状の外側面20cの最小直径(外側面20cの下端の直径)をd、テーパー状の外側面20cの最大直径(外側面20cの上端の直径)をeとする。すると、これらの値は、以下のような関係を満たしている。
e > a > d > c > b (1)
180° < α < 360°、180°< β < 360° (2)
ガイドストッパー20の一対の切除面20dのある部分を、ガイド部材101の相対的に小さい第1挿入口103にその側方から挿入できるように、また、ガイドストッパー20の切除面20d以外の部分を、ガイド部材101の相対的に大きい第2挿入口104にその側方から挿入できるようにするためには、c>b、且つ、a>dであることが必要である。また、こうしてガイドストッパー20をガイド部材101のガイド溝102に嵌入(係合)させた後に、ガイドストッパー20がガイド溝102から側方に抜け出ないようにするためには、e>a、且つ、d>cであることが必要である。したがって、上記関係式(1)を満たすことが必要となる。
第1挿入口103の非開口角度α及びβの関係式(2)は、ガイドストッパー20のテーパー状外側面20cがガイド溝102によって確実に案内されるために必要なものである。
上記関係を満たすことで、ガイドストッパー20を、第1挿入口103と第2挿入口104を通ってガイド部材101のガイド溝102にその側方から嵌入させると共に、ガイドストッパー20をガイド溝102の長軸方向に沿って案内することが可能となる。この点について、図4を参照しながら説明する。
図4は、本第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1をガイド部材101のガイド溝102に嵌入(係合)させる方法、換言すれば、本第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助システムの使用方法を示す斜視図である。
最初に、図4(a)に示すように、ガイドストッパー20の一対の切除面20dのある部分を、ガイド部材101の相対的に小さい第1挿入口103とほぼ同じ高さに配置し、第1挿入口103にその側方から挿入する。この時、一対の切除面20dの向きを調節して、一対の切除面20dが第1挿入口103の開口面に直交するように、換言すれば、一対の切除面20dがガイドストッパー20の移動方向(図4(a)の矢印の方向)に平行になるようにする。一対の切除面20dがある部分の切除面20d以外の箇所の直径は、第1挿入口103の開口量(スリット幅)cより少し大きいので、こうしないと、ガイドストッパー20の切除面20dのある部分が第1挿入口103を通過できないからである。
この時、ガイドストッパー20の切除面20dのある部分の全体が、第1挿入口103にその側方から挿入されるようにする。また、ガイドストッパー20の切除面20dより上方の部分は、第2挿入口104にその側方から挿入されるようにする。これは、ガイドストッパー20の切除面20dより上方の部分は、第1挿入口103を通過できないからである。
ガイドストッパー20のガイド溝102への挿入動作は、図4(b)に示すように、ガイドストッパー20の外側面20cがガイド部材101の内側面105に当接するまで行えばよい。この当接により、これ以上の挿入動作が必要ないこと、換言すれば、ガイドストッパー20のガイド溝102への嵌入(係合)が完了したことを確認できるので、歯科医師にとって好都合である。
その後、図4(c)に示すように、ガイド溝102の内部に入ったガイドストッパー20を、徐々に下方に移動させる。この時、ガイドストッパー20の外側面20cがガイド溝102の内側面105に接触するので、ガイドストッパー20はガイド溝102によって的確に案内されることができる。その結果、ガイドストッパー20は、ガイド溝102によって所望の位置で所望の方向に正確に移動するようになる。なお、ガイドストッパー20は、そのテーパー状外側面20cがガイド溝102の内側面105に接触して案内されるので、切除面20dはガイドストッパー20の案内動作に悪影響を与えない。
その後、インプラント埋設穴を形成するプロセスが実行されるが、ガイドストッパー20は、その鍔部24がガイド溝102の上端に当接すると、それ以上の移動ができなくなるので、ガイドストッパー20がガイド溝102の内部に過剰に入り込む恐れはない。
ガイドストッパー20をガイド溝102から引き抜くときは、ガイド溝102に沿ってハンドピースをそのまま上向きに移動させてから、挿通動作とは逆方向の動作をすればよい。
なお、本発明の第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助システムは、以上のような構成を持つ本発明の第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と、ガイド部材101とを含んで構成される。
次に、以上のような構成を持つ本発明の第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1の動作(使用状態)について、図26を参照しながら説明する。図26は、同装置1によってインプラント埋設穴を形成するプロセスを示す一部断面正面図である。
まず、歯科医師は、ハンドピース10を保持して、図26(a)に示すように、サージカルガイド100のガイド部材101のガイド溝102に、ガイドストッパー20を嵌入して係合させる。この動作は、図4を参照して上述したとおりである。
図26(a)は、回転しているドリル30の先端の刃部31が、患者の顎骨Bの表面に接触する前の状態を示している。この状態では、ガイド部材20とヘッド11の相対位置は、図1及び図2に示した初期状態のままである。換言すれば、ガイド部材20とヘッド11の相対距離が最大の位置にある。
次に、図26(b)に示すように、歯科医師は、ドリル30を回転させながら、ハンドピース10のヘッド11に下向きの押圧力を加え、除去した粘膜Mを透過してから、少しずつ顎骨Bを穿孔していく。図26(b)において、Hは形成途中のインプラント埋設穴を示す。この時、ガイドストッパー20の鍔部24の下端は、ガイド部材101の上端に当接しており、したがって、ガイドストッパー20はそれ以上、下降することができない。その後は、ヘッド11が、バネ50を撓ませながら押し下げられる。
歯科医師は、ドリル30を回転させながら、さらに、ヘッド11に下向きの押圧力を加えて顎骨Bの穿孔を進めていくが、やがて、図26(c)に示すように、ヘッド11の下面に装着されたスペーサ40の下端が、それに対向するガイドストッパー20の第1端面20a(上端面)に当接する。この時、ヘッド11の下面とそれに対向するガイドストッパー20の第1端面20aとの間の距離は、スペーサ40の高さ(厚さ)に等しくなっている。
図26(c)の状態になると、押圧力を加えても、ハンドピース10はそれ以上の下降ができないので、埋設穴Hの最大深度は、スペーサ40の高さ(厚さ)とドリル30の全長とで規定される深度に等しくなる。したがって、顎骨Bの穿孔がそれ以上に進行することがなく、埋設穴Hの所望の最大穿度を越えて穿孔が進行するのを確実に防止することができる。
本発明の第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1は、上述したような構成を有するので、ガイドストッパー20の長軸方向にドリル30を挿通してから、ドリル30をハンドピース10に装着すると、バネ50により、ガイドストッパー20はドリル30の刃部31に向かって付勢される。ドリル30は、刃部31の径がシャンク32の径よりも大きいので、ガイドストッパー20は、ドリル30の刃部31に最も近い位置(ハンドピース10からは最も遠い位置)に保持される。
このため、ドリル30の刃部31をガイド部材101のガイド溝102に挿通させる際に、歯科医師は、ガイドストッパー20を手で移動させて刃部31に最も近い位置に移動させたり、静止させたりする必要がない。歯科医師は、ドリル30が装着されたハンドピース10を患者の口内に移動させて、所定位置に配置されているサージカルガイド100のガイド部材101のガイド溝102にガイドストッパー20を位置合わせするだけでよく、両手がふさがっている歯科医師が一方の手を空けてガイドストッパー20を移動させるという面倒な作業を省略できる。
また、ガイドストッパー20のテーパー状の(つまり長軸方向に沿って外形サイズが変化する)外側面20cは、外形サイズが最も小さい一対の切除面20dのある箇所(第1部分に対応する)が、ガイド部材20の第1挿入口103より小さいサイズであるため、ガイド部材101の側面にある第1挿入口103を通って前記箇所(第1部分に対応する箇所)をガイド溝102に挿入可能であると共に、切除面20dのある箇所の向きを挿入時の向きとは異ならせれば、ガイド溝102への挿入後にガイドストッパー20が第1挿入口103から外れることもない。また、この時、ガイドストッパー20の外側面20cの切除面20dより上方にある箇所(第2部分に対応する)は、ガイド部材20の第2挿入口104より小さいサイズであるため、ガイド部材101の側面にある第2挿入口104を通って前記箇所(第2部分に対応する箇所)をガイド溝102に挿入可能である。よって、ガイド溝102に対するガイドストッパー20の位置合わせ(嵌合)、換言すれば、ガイド部材101へのドリル30の挿通を容易に行うことができる。
また、ガイドストッパー20の上端に形成された、外形サイズが最も大きい鍔部24は、ガイド溝102より大きいため、ガイドストッパー20の長軸方向への移動は鍔部24によって制限される。このため、ガイドストッパー20ひいてはドリル30の過剰な移動が確実に防止され、したがって、適切な高さ(厚さ)のスペーサ40を配置することによって、所望の最大深度を超えてインプラント埋設穴Hが形成されるという事態を確実に防止できる。
以上述べたように、本第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1を使用すれば、所望の最大深度を超えてインプラント埋設穴Hが形成されるという事態を確実に防止できるだけでなく、ドリル30等の回転器具を用いたインプラント埋設穴Hの形成時に、サージカルガイド100のガイド部材101への前記回転器具の挿通を容易に行うことができる。
また、ガイドストッパー20の長軸方向にドリル30等の回転器具を挿通してから、当該回転器具をハンドピース10に装着するだけでよいので、歯科医師が既に所有しているハンドピースやドリル等の回転器具に装着して使用できると共に、取り扱いも容易である。
さらに、歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1は、ガイドストッパー20とバネ50を構成要素としていて、ガイドストッパー20にその長軸方向に沿って外形サイズが変化する外側面20cを形成し、外側面20cの外形サイズが最も小さい、一対の切除面20dのある箇所(第1部分に対応する)を、ガイド部材101の第1挿入口103より小さいサイズとするだけで足りるので、簡単な構成であるだけでなく、特別に高価な材料や特別な製法を使用する必要もないから、低いコストで製造することができる。
ガイドストッパー20とガイド部材101とバネ50の材料は、特に限定されない。必要な剛性が得られるものであれば、アルミニウム、ステンレス等の任意の金属を使用できるし、十分な強度があれば、合成樹脂も使用可能である。この点は、以下の各実施形態についても同様である。
なお、本実施形態では、ガイド部材101の透孔が、側面に挿入口を持つガイド溝102になっているが、これに限定されない。ガイド部材101の透孔が、側面に挿入口を持たないもの(ガイド孔)になっているものを使用してもよい。この場合、ガイドストッパー20はガイド部材の透孔(ガイド孔)にその上端から挿入されることになる。これは以下の第2実施形態以降においても同様である。
本明細書では、説明の便宜のために、歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1の構成を、その回転器具(例えばドリル30)を上下方向に配置した状態として説明し、下顎の骨Bにインプラント埋設穴Hを形成すると仮定して説明している。しかし、本発明はこれに限定されるわけではない。上顎の骨にインプラント埋設穴を形成する場合では、ここにした説明と図面とは上下が反転して、ハンドピースが下位に位置し、ドリル等の回転器具が上位に位置することは言うまでもない。
(第2実施形態)
図5及び図6は、本発明の第2実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Aの全体構成を示す。
同図から分かるように、本第2実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Aの構成は、ガイドストッパー20に代えてガイドストッパー20Aを設けられている点を除き、上述した第1実施形態の装置1と同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
ガイドストッパー20Aは、図6(a)に明瞭に示すように、略円筒形の本体部26Aと、本体部26Aの側面から突出形成された係合部25Aとを有している。本第2実施形態では、サージカルガイド100Aのガイド部材101Aが偏心型であるため、サージカルガイド100Aのガイド部材101Aのガイド溝102Aに係合せしめられるのは、略円筒形の本体部26Aではなく、帯状の係合部25Aである。
本体部26Aは、上述した第1実施形態と同様に、内部に第1透孔21Aと第2透孔22Aとバネ受け面23Aを有し、上端に第1端面20Aa、下端に第2端面20Abを有している。
ガイド部材101Aのガイド溝102Aに係合される係合部25Aは、連結部27Aによって本体部26Aの側面に接合された構造になっており、全体がドリル30に平行に延在する帯状である。係合部25Aは、断面が略台形であり、その下端部の両側に一対の平坦な切除面20Adが形成されている。係合部25Aは、ストレート状であり、上記第1実施形態のようなテーパーは付いていない。係合部25Aの上端部には、止めネジ29Aによってストッパー28Aが固定されている。これは、係合部25Aすなわちガイドストッパー20Aが、ガイド溝102Aの内部を過剰に移動しないようにするためである。また、係合部25Aの側面には、ガイドストッパー20Aの移動量が分かるようにするために、目盛り25Aaが形成されている。
ガイド部材101Aは、その側面に、スリット状の第1挿入口103Aと第2挿入口104Aを有している。第1挿入口103Aと第2挿入口104Aは、いずれもストレート状であり、上記第1実施形態のようなテーパーは付いていない。第1挿入口103Aの両側には、一対の突出部106Aが形成されていて、ガイドストッパー20Aの係合部25Aの幅よりも少し狭くなっている。換言すれば、帯状体からの切欠量が相対的に小さい部分が第1挿入口103Aであり、帯状体からの切欠量が相対的に大きい部分が第2挿入口104Aである。このため、ガイドストッパー20Aが、第2挿入口104Aを通ってガイド溝102Aの内部に挿入された後、少し下方に移動されて第1挿入口103Aの位置に達すると、もはや第1挿入口103Aを通ってガイド溝102Aから外れることはない。係合部25Aの両端部が一対の突出部106Aに当接するからである。
ガイドストッパー20Aは、第2挿入口104Aを通ってガイド部材101Aのガイド溝102Aにその側方から嵌入させることが可能である。すなわち、最初に、ガイドストッパー20Aの一対の切除面20Adのある部分を、ガイド部材101Aの相対的に小さい第1挿入口103Aに挿入する。(相対的に大きい第2挿入口104Aにも挿入可能である。)この時、一対の切除面20Adの向きを調節して、一対の切除面20Adが第1挿入口103Aを通ってガイド溝102Aの内側面105Aに直交するように、換言すれば、一対の切除面20Adがガイドストッパー20Aの移動方向にほぼ平行になるようにする。これは、一対の切除面20Adがある部分の切除面20Ad以外の箇所は、一対の切除面20Ad間の距離より少し大きいので、こうすることで、第1挿入口103Aの挿通が可能になるからである。
この時、係合部25Aは、第1挿入口103Aには挿入できないので、第1挿入口103Aには接触しないように、ガイドストッパー20Aとガイド部材101Aの相対高さを調整する。
ガイドストッパー20Aの係合部25Aの一対の切除面20Adがある部分の挿通動作は、係合部25Aの外側面がガイド部材101Aの内側面105Aに当接するまで行えばよい。この当接により、これ以上の挿通動作が必要ないこと、換言すれば、ガイドストッパー20Aのガイド溝102Aへの嵌入が完了したことを確認できるので、歯科医師にとって好都合である。
その後、第1挿入口103Aを通ってガイド溝102Aの内部に入った、係合部25Aの一対の切除面20Adのある部分を、徐々に下方に移動させる。この時、切除面20Adがある部分の切除面20Ad以外の箇所の幅は、切除面20Ad間の距離より少し大きいので、この箇所がガイド溝102Aの内側面105Aに接触し、係合部25Aひいてはガイドストッパー20Aは、ガイド溝102Aによって的確に案内されることができる。その結果、ガイドストッパー20Aは、ガイド溝102Aによって所望の位置で所望の方向に正確に移動するようになる。切除面20Adは、ガイドストッパー20Aの案内動作に悪影響を与えない。
その後、インプラント埋設穴を形成するプロセスが実行されるが、ガイドストッパー20Aは、そのストッパー28Aがガイド溝102Aの上端に当接すると、それ以上の移動ができなくなるので、必要に応じて適切な高さのスペーサ40を用いることで、インプラント埋設穴の最大深度が過大になる恐れがなくなる。
ガイドストッパー20Aの係合部25Aをガイド溝102Aから引き抜くときは、ガイド溝102Aに沿ってハンドピース10をそのまま上向きに移動させてから、挿通動作とは逆方向の動作をすればよい。
なお、本発明の第2実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助システムは、以上のような構成を持つ本発明の第2実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Aと、ガイド部材101Aとを含んで構成される。
以上のような構成を持つ本発明の第2実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Aの動作(使用状態)は、図26に示したものと同じであるから、その説明は省略する。
本第2実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Aは、上述したような構成を有するので、ガイドストッパー20Aの長軸方向にドリル30を挿通してから、ドリル30をハンドピース10に装着すると、バネ50により、ガイドストッパー20Aはドリル30の刃部31に向かって付勢される。ドリル30は、刃部31の径がシャンク32の径よりも大きいので、ガイドストッパー20は、ドリル30の刃部31に最も近い位置(ハンドピース10からは最も遠い位置)に保持される。
このため、ドリル30の刃部31を位置決めするために、ガイドストッパー20Aをガイド部材101Aのガイド溝102Aに挿通させる際に、歯科医師は、ガイドストッパー20Aを手で移動させて刃部31に最も近い位置に移動させたり、静止させたりする必要がない。歯科医師は、ドリル30が装着されたハンドピース10を患者の口内に移動させて、所定位置に配置されているサージカルガイド100Aのガイド部材101Aのガイド溝102Aにガイドストッパー20Aを位置合わせするだけでよく、両手がふさがっている歯科医師が一方の手を空けてガイドストッパー20Aを移動させるという面倒な作業を省略できる。
また、ガイドストッパー20Aの係合部25Aのストレート状の(つまり長軸方向に沿って外形サイズが変化しない)外側面は、外形サイズが最も小さい、一対の切除面20Adのある箇所(第1部分に対応する)が、ガイド部材101Aの第1挿入口103Aと第2挿入口104Aより小さいサイズであるため、ガイド部材101Aの側面にある第1挿入口103Aを通って前記箇所をガイド溝102Aに挿入可能であると共に、係合部25Aを下方に移動することにより、ガイド溝102Aへの挿入後にガイドストッパー20Aが第1挿入口103Aから外れることもない。よって、ガイド溝102Aに対するガイドストッパー20Aの位置合わせ(嵌合)、換言すれば、ガイド部材101Aによるドリル30の位置決めを容易に行うことができる。
また、ガイドストッパー20Aの上端に形成された、サイズが最も大きいストッパー28Aは、ガイド溝102Aより大きいため、ガイドストッパー20Aの移動はストッパー28A及びスペーサ40によって制限される。このため、ガイドストッパー20Aひいてはドリル30の過剰な移動が確実に防止され、したがって、所望の最大深度を超えてインプラント埋設穴Hが形成されるという事態を確実に防止できる。
以上述べたように、本第2実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Aを使用すれば、所望の最大深度を超えてインプラント埋設穴Hが形成されるという事態を確実に防止できるだけでなく、ドリル30等の回転器具を用いたインプラント埋設穴Hの形成時に、サージカルガイド100Aのガイド部材101Aへのドリル等の回転器具の位置決めを容易に行うことができる。
また、ガイドストッパー20Aの本体部26Aの長軸方向にドリル30等の回転器具を挿通してから、当該回転器具をハンドピース10に装着するだけでよいので、歯科医師が既に所有しているハンドピースやドリル等の回転器具に装着して使用できると共に、取り扱いも容易である。
さらに、歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Aは、ガイドストッパー20Aとバネ50を構成要素としていて、ガイドストッパー20Aの係合部25Aにその長軸方向に沿って外形サイズが変化する外側面を形成し、外側面の外形サイズが最も小さい、一対の切除面20Adのある箇所(第1部分に対応する)を、ガイド部材101Aの第1挿入口103A及び第2挿入口104Aより小さいサイズとするだけで足りるので、簡単な構成であるだけでなく、特別に高価な材料や特別な製法を使用する必要もないから、低いコストで製造することができる。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Bの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Bは、ガイドストッパー20に代えてガイドストッパー20Bが設けられており、また、円筒形のバネ50に変えてワイヤ状のバネ50Bが使用されていて、そのバネ50Bがバネ装着部材80Bを用いてハンドピース10のヘッド11の下面に装着(固定)されている点を除き、上述した第1実施形態の装置1と同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
ガイドストッパー20Bの中心には、全長にわたって、ドリル30のシャンク32が貫通する透孔21Bが形成されており、上述した第1実施形態のインプラント埋設穴形成補助装置1のガイドストッパー20のようにサイズの異なる第1透孔21と第2透孔22を有していない。これはガイドストッパー20Bでバネ50Bを受ける必要がないからである。ガイドストッパー20Bの構成は、これ以外は、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
ワイヤ状のバネ50Bは、図7に示すように、その下端が略U字状に屈曲せしめられていて、ガイドストッパー20Bに形成されたL字状の貫通孔に挿通・係止されている。バネ50Bの上端は、下端と同様に略U字状に屈曲せしめられていて、バネ装着部材80Bに形成されたL字状の貫通孔に挿通・係止されている。
バネ50Bとしては、公知のバネ鋼による弾性ワイヤが使用可能であるが、超弾性合金製の超弾性ワイヤも使用可能である。
バネ装着部材80Bは、ワイヤ状のバネ50Bをドリル30のシャンク32に装着するために設けられている。上述した第1実施形態のインプラント埋設穴形成補助装置1では、円筒形のバネ50がシャンク32の外側に巻き付けられた形で、且つシャンク32と同心となるように装着されていたが、本第3実施形態では、ワイヤ状のバネ50Bを使用するため、このような構成をとることができない。そこで、バネ装着部材80Bを設け、これをハンドピース10のヘッド11の下面に装着するようにしたものである。
バネ装着部材80Bは、バネ50Bを挿入・係止できる程度の肉厚を持つ円筒形で、そのヘッド11側の端部には、円筒形の磁石82が内蔵されている。バネ装着部材80Bは、図7に示すように、その透孔81にシャンク32を挿通させた状態で、磁石82の磁気吸引力によってヘッド11の下面に装着される。
バネ50Bの弾性力に抗してガイドストッパー20Bが上方に移動した時は、バネ50Bは図8のように外側に撓む。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Bは常時、バネ50Bにより図7の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
本第3実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Bは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
(第4実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Cの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Cは、ワイヤ状のバネ50Cそれ自体に形成された係止部51Cを用いてハンドピース10のヘッド11の直下でシャンク32に係止されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1Bと同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上述した第3実施形態の装置1Bでは、バネ装着部材80Bを使用してワイヤ状のバネ50Bをヘッド11の下面に装着(固定)していたが、本実施形態では、バネ装着部材80Bに代えて、図10に示すような、ヘッド11側の端部に形成された円形の係止部51Cを使用している。係止部51Cは、バネ50Bの一方の端部を円形に湾曲させることで容易に形成される。これにより、構成が簡単になる利点が得られる。
係止部51Cがヘッド11の下面に当接しているため、バネ50Cの弾性力に抗してガイドストッパー20Bが上方に移動した時は、バネ50Cは図8の場合と同様に外側に撓む。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Bは常時、バネ50Cにより図9の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
本第4実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Cは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Dの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Dは、ワイヤ状のバネ50Dが、その中央部をハンドピース10のネック12に巻き付けることで係止(装着)されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1Bと同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上述した第3実施形態の装置1Bでは、バネ装着部材80Bを使用してワイヤ状のバネ50Bをヘッド11の下面に装着(固定)していたが、本実施形態では、バネ装着部材80Bを使用せず、図12Aに示すように、バネ50Bの中央部をハンドピース10のネック12に一回巻き付け、その部分を係止部51Dとしている。これにより、構成が簡単になる利点が得られる。
係止部51Dの大きさはヘッド11より小さいが、係止部51Dそれ自体が弾性を持つので、少し手で広げれば、ヘッド11の外側を通ってネック12の所定箇所に装着することが可能である。
係止部51Dがネック12に係止されているため、バネ50Dの弾性力に抗してガイドストッパー20Cが上方に移動した時は、バネ50Dは図8の場合と同様に外側に撓む。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Cは常時、バネ50Dにより図11の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
本実施形態で使用されているガイドストッパー20Cは、第1端面20a側に磁石25が内蔵されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1Bのガイドストッパー20Bと同じであるから、その説明は省略する。
ガイドストッパー20Cに対するバネ50Dの係止方法は、図11及び図12Bに示す通りである。すなわち、ワイヤ状のバネ50Dは、その両端が略U字状に屈曲せしめられていて、ガイドストッパー20Cに形成された略L字状の貫通孔に挿通・係止されている。こうすることで、バネ50Dの端部付近は、図11に波線で示したように、支障なく外側に撓むことができる。
本第5実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Dは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Eの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Eは、ワイヤ状のバネ50Eが、その中央部をハンドピース10のネック12に掛け渡してから、バネ固定具60で固定されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1Bと同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上述した第3実施形態の装置1Bでは、バネ装着部材80Bを使用してワイヤ状のバネ50Bをヘッド11の下面に装着(固定)していたが、本実施形態では、バネ装着部材80Bを使用せず、図13に示すように、バネ50Eの中央部をハンドピース10のネック12に掛け渡し、その掛け渡した部分をバネ固定具60で固定している。バネ50Eは、上述した第5実施形態の装置1Dのように、ネック12に巻き付けられてはいない。
バネ固定具60は、図14Bに示す構成を持つ。すなわち、バネ固定具60は、図14B(a)に示すように、帯状の剛性材の中央部をネック12の外面に沿って湾曲させたものであり、その両端部をその反対方向に少し湾曲させてOリング係止部62としている。ワイヤ状のバネ50Eは、図14B(b)に示すように、バネ固定具60の中央部に形成された窪み63に埋め込まれた状態で、ネック12に係止されている。図13に示したように、バネ50Eの中央部をネック12にその上方から掛け渡した後、その上にバネ固定具60を載せ、二つのOリング係止部62にネック12の下方からOリング61を係止すれば、装着完了である。
バネ50Eの中央部がネック12に係止されているため、バネ50Eの弾性力に抗してガイドストッパー20Cが上方に移動した時は、バネ50Eは図8の場合と同様に外側に撓む(図14A(b)を参照)。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Cは常時、バネ50Eにより図13の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
本実施形態で使用されているガイドストッパー20Cは、第1端面20aに磁石25が内蔵されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1Bのガイドストッパー20Bと同じであるから、その説明は省略する。
ガイドストッパー20Cに対するバネ50Eの係止方法は、図14Aに示す通りである。すなわち、ワイヤ状のバネ50Eは、その両端が略L字状に屈曲せしめられていて、ガイドストッパー20Cに形成された略L字状の貫通孔に挿通・係止されている。こうすることで、バネ50Eの端部付近は、図14A(b)に波線で示したように、支障なく外側に撓むことができる。
本第6実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Eは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
図15に示したバネ固定具60Aは、バネ固定具60の変形構成例である。ゴム等の弾性を持つ材料で形成され、中央部に略U字状のバネ挿通孔63を有している。ワイヤ状のバネ50Eは、バネ固定具60Aのバネ挿通孔63に挿通された状態で、ネック12に係止される。この場合、Oリング61は使用されない。このように、バネ固定具には種々の変形構成例が考えられる。
(第7実施形態)
図16は、本発明の第7実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Fの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Fは、ワイヤ状のバネ50Fが、ヘッドキャップ70によってハンドピース10のヘッド11に固定されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1B(図7参照)と同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上述した第3実施形態の装置1Bでは、バネ装着部材80Bを使用してワイヤ状のバネ50Bをヘッド11の下面に装着(固定)していたが、本実施形態では、バネ装着部材80Bを使用せず、図16に示すように、バネ50Fの中央部を、ヘッド11に固定されたヘッドキャップ70に掛け渡している。バネ50Fは、上述した第5実施形態の装置1Dのように、ヘッド11に巻き付けられてはいない。
ヘッドキャップ70は、金属等の剛性材から形成されており、図17に示す構成を持つ。すなわち、ヘッドキャップ70は、略U字状の第1係合部70aと、直線状の第2係合部70bと、第1係合部70aと第2係合部70bを連結する直線状の連結部70cとを有している。
第2係合部70bには、ドリル30のシャンク32を挿通させる透孔72が形成されており、透孔72の内側には、透孔72と同心状に円環状の磁石71が装着されている。図17に示すように、第2係合部70bひいてはヘッドキャップ70は、磁石71の磁気吸引力によってヘッド11の下面に係止される。この時、連結部70cはヘッド11の外側面に沿って延在し、第1係合部70aはヘッド11の上面に沿って延在する。
第1係合部70aは、先端に一対のOリング係止部71を有している。第1係合部70aは、ヘッド11の中央にある円柱形の突出部11aを挟むようにヘッド11に係止されるので、一対のOリング係止部73は突出部11aに対して連結部70cとは反対側に位置する。この状態で一対のOリング係止部73にOリング74を架け渡して係止すると、連結部70cとOリング74で突出部11aを挟む形になるため、ヘッドキャップ70はヘッド11から外れなくなる。
ワイヤ状のバネ50Fは、全体が略U字状をなしていて、その中央部が、ヘッド11の上面と第1係合部70aの間に架け渡される。この時、バネ50Fは、第1係合部70aの内面(下面)に形成された窪み70aaに埋め込まれる形で保持されるので、バネ50Fに下方から力が加わっても、それに耐えることができるし、位置がずれることもない。
バネ50Fの中央部がヘッド11に係止されているため、バネ50Fの弾性力に抗してガイドストッパー20Bが上方に移動した時は、バネ50Fは図8の場合と同様に外側に撓む。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Bは常時、バネ50Fにより図16の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
本実施形態で使用されているガイドストッパー20Bは、上述した第3実施形態の装置1Bのガイドストッパー20Bと同じであるから、その説明は省略する。
ガイドストッパー20Bに対するバネ50Fの係止方法は、図16に示す通りである。すなわち、ワイヤ状のバネ50Fは、その両端が略U字状に屈曲せしめられていて、ガイドストッパー20Bに形成された略U字状の貫通孔に挿通・係止されている。こうすることで、バネ50Fの端部付近は、図16に波線で示したように、支障なく外側に撓むことができる。
本第7実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Fは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
(第8実施形態)
図18は、本発明の第8実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Gの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Gは、板状のバネ50Gが、ドリル30のシャンク32に係止されている点を除き、上述した第3実施形態の装置1Bと同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上述した第3実施形態の装置1Bでは、バネ装着部材80Bを使用してワイヤ状のバネ50Bをヘッド11の下面に装着(固定)していたが、本実施形態では、バネ装着部材80Bを使用せず、図19に示すように、屈曲させた板状のバネ50Gを用いている。バネ50Gは、略矩形の第1係合部50Gaと、略矩形の第2係合部50Gbと、連結部50Gcとを有しており、全体形状がZ字状になっている。
第1係合部50Gaには、ドリル30のシャンク32が挿通される円形の透孔50Geが形成されており、その内部には同心状に円環状の磁石50Gdが装着されている。第2係合部50Gbには、シャンク32が挿通される細長い透孔50Gfが形成されている。連結部50Gcには、シャンク32が挿通される細長い透孔50Ggが形成されている。こうして、シャンク32がバネ50Gの全体を貫通できるようにしている。
シャンク32が、三つの透孔50Ge、透孔50GF及び透孔50Ggを貫通していることは、逆に、バネ50Gがシャンク32に係止されていることになるので、バネ50Gは、図18の状態で保持される。
バネ50Gの第1係合部50Gaは、磁石50Gdの磁気吸引力によってヘッド11の下面に係止・固定される。このため、バネ50Gは、図18の状態で安定して保持される。バネ50Gの第2係合部50Gbは、ガイドストッパー20Bの第1端面20aに当接する。
バネ50Gの弾性力に抗してガイドストッパー20Bが上方に移動した時は、バネ50Gは上下方向に撓み、第1係合部50Gaと第2係合部50Gbの間の距離が短くなる。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Bは常時、バネ50Gにより図18の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
本実施形態で使用されているガイドストッパー20Bは、上述した第3実施形態の装置1Bのガイドストッパー20Bと同じであるから、その説明は省略する。
バネ50Gは、ガイドストッパー20Bに対して係止されていてもよいし、係止されていなくてもよい。第2係合部50Gは、ガイドストッパー20Bの第1端面20aに接触・押圧しているだけでよい。
本第8実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Gは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
(ガイドストッパーの変形構成例1)
図20は、本発明の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置に使用可能なガイドストッパーとガイド部材の変形構成例を示す。
図20(a)のガイドストッパー20Dは、外径が相対的に大きく内部に第1透孔21が形成されたい円筒形の上部と、外径が相対的に小さく内部に第2透孔22が形成された円筒形の下部とを有している。上部の外側面20Dc1と、下部の外側面20Dc2は、いずれもテーパーが付いていない、ストレートな面である。外側面20Dc1と外側面20Dc2には、テーパーが付いている方がガイド溝への挿入・係合は容易であるが、必ずしもテーパーは必要ではない。
図20(a)のガイドストッパー20Dは、図20(b)のガイド部材101Bと共に使用される。ガイド部材101Bは、外径が相対的に大きく側面の一部が切欠された円筒形の上部と、外径が相対的に小さく側面の一部が切欠された円筒形の下部とを有している。下部には、開口量が相対的に小さい第1挿入口103Bが形成され、上部には、開口量が相対的に大きい第2挿入口104Bが形成されている。
ガイドストッパー20Dの下部の外側面20Dc2の外径は、ガイド部材101Bの第2挿入口104Bを通過可能であるが、第1挿入口103Bは通過できない大きさである。このため、ガイドストッパー20Dをガイド部材101Bにその側面方向から近づけて、外側面20Dc2を第2挿入口104Bを介してガイド溝102Bに嵌入させることができる。その後、ガイド溝102Bの内部で外側面20Dc2を下降させて、ガイド部材101Bの下部に嵌合させると、外側面20Dc2は第1挿入口103Bを通過できないので、外側面20Dc2が外れることはない。このため、ガイドストッパー20Dの下部の外側面20Dc2は、ガイド部材101Bの下部に嵌合し、ガイドストッパー20Dの上部の外側面20Dc1は、ガイド部材101Bの上部に嵌合する。このようにして、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
(ガイドストッパーの変形構成例2)
図21は、本発明の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置に使用可能なガイドストッパーとガイド部材の他の変形構成例を示す。
図21(a)のガイドストッパー20Eは、外径が異なる四つの円筒形部分を持つ。最上部から最下部まで順に、外側面20Ec1、外側面20Ec2、外側面20Ec3、外側面20Ec4が形成されており、いずれもテーパーが付いていない、ストレートな面である。それらの大きさは、最上部の外側面20Ec1が最大であり、三段目の外側面20Ec3が最少である。二段目の外側面20Ec2と最下部の外側面20Ec4は、同じであり、外側面20Ec1と外側面20Ec3の間の大きさである。ガイドストッパー20Eの内部には、一つの透孔21Eがその全長にわたって形成されている。
図21(a)のガイドストッパー20Eは、図21(b)のガイド部材101Cと共に使用される。ガイド部材101Cは、外径が一定であり、その側面の一部が切欠されていて、最下部から最上部まで順に、三つの挿入口が形成されている。すなわち、第1挿入口103C、第2挿入口104Ca、第3挿入口104Cbが、この順に形成されている。
ガイドストッパー20Eの最小サイズの外側面20Ec3は、ガイド部材101Cの第3挿入口104Cbを通過可能であるので、ガイドストッパー20Eをガイド部材101Cにその側面方向から近づけて、外側面20Ec3を第3挿入口104Cbを介してガイド溝102Cに嵌入させることができる。その後、ガイド溝102Cの内部で外側面20Ec2と20Ec4を下降させて、ガイド部材101Cの下部に嵌合させると、外側面20Ec2と20Ec4は第1挿入口103Cと第3挿入口104CBを通過できないので、外側面20Ec2と20Ec4が外れることはない。このため、ガイドストッパー20Eの最上部(20Ec1)と最小サイズの外側面20Ec3以外の部分が、ガイド部材101Cに嵌合する。このようにして、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第9実施形態)
図22は、本発明の第9実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Hの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Hは、ガイドストッパー20に代えてガイドストッパー20Fが設けられており、また、円筒形のバネ50がドリル30のシャンク32ではなく、ガイドストッパー20Fに形成されたバネ保持部20Faに係止されている点を除き、上述した第1実施形態の装置1と同じ構成である。したがって、構成が同一の部分については、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみについて説明する。
ガイドストッパー20Fの中心には、全長にわたって、ドリル30のシャンク32が貫通する透孔21Fが形成されており、上述した第1実施形態のインプラント埋設穴形成補助装置1のガイドストッパー20のようにサイズの異なる第1透孔21と第2透孔22を有していない。これはガイドストッパー20Fでバネ50を受ける必要がないからである。
ガイドストッパー20Fに形成されたバネ保持部20Faは、連結部20Fbによってガイドストッパー20Fの側面に接続されている。バネ保持部20Faは、シャンク32に平行である。バネ保持部20Faの上端部は、バネ装着部材80Cによって保持されている。
バネ装着部材80Cは、シャンク32が挿通される透孔81Cを有しており、透孔81Cの内側には磁石82Cが内蔵されている。バネ装着部材80Cは、この磁石82Cの吸引力によって、ヘッド11の下面に固定されている。バネ装着部材80Cは、バネ保持部20Faまで延在していて、その先端に係合部83Cが形成されている。バネ保持部20Faの先端部(上端部)は、係合部83Cに設けた透孔を貫通していて、係合部83Cより上方の箇所に止めネジ84Cが設けられている。止めネジ84Cが係合部83Cに当接することで、バネ保持部20Faひいてはガイドストッパー20Fの落下が防止される。
バネ50の下端は、連結部20Fbに当接して支持され、バネ50の上端は、係合部83Cに当接して支持されている。バネ50の弾性力に抗してガイドストッパー20Fが上方に移動した時は、バネ50Bは圧縮される。外力が作用しない限り、ガイドストッパー20Fは常時、バネ50により図22の初期状態に保持される。これは、上述した第1実施形態の装置1のガイドストッパー20と同じである。
なお、本実施形態のインプラント埋設穴形成補助装置1Hの使用時には、バネ保持部20Faと連結部20Fbが、ガイド部材101の第1挿入口103と第2挿入口104を通過するように位置決されるので、バネ保持部20Faと連結部20Fbによって問題は生じない。
本第9実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Hは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じ効果が得られることが明らかである。
(ガイドストッパーの変形構成例3)
図23は、本発明の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置に使用可能なガイドストッパーのさらに他の変形構成例を示す。
図23のガイドストッパー20Gは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1で使用されたガイドストッパー20の鍔部24をなくし、代わりに突起ないし突条24Gを設けたものに相当する。それ以外の構成は、ガイドストッパー20と同じである。
ガイドストッパー20Gには、鍔部24はないが、それと同じ位置に、円環状の小さな突起24Gが形成されているので、ガイドストッパー20Gの全体がガイド溝102を通り抜ける恐れはない。したがって、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
(ガイドストッパーの変形構成例4)
図24は、本発明の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置に使用可能なガイドストッパーのさらに他の変形構成例を示す。
図24のガイドストッパー20Hは、上述した第1実施形態の歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1で使用されたガイドストッパー20の鍔部24と切除面20dをなくし、代わりに、鍔部24の位置に突起24Gを設け、さらに、下端に誘導面20Hcを追加したものに相当する。それ以外の構成は、ガイドストッパー20と同じである。
ガイドストッパー20Hには、鍔部24はないが、それと同じ位置に、円環状の小さな突起ないし突条24Gが形成されているので、ガイドストッパー20Gの全体がガイド溝を通り抜ける恐れはない。したがって、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、第2端面20B及びガイド部材の第1及び第2挿入口より小さい外径を持つ誘導面20Hcが、下端に追加されており、ガイドストッパー20Hをガイド部材に嵌入する際に誘導面20Hcを側方からガイド溝に係合する。よって、誘導面20Hcがない場合よりも、ガイドストッパー20Hの嵌入が容易になる。
さらに、誘導面20Hcの先端を骨表面に接触させることにより、ガイドストッパー20Hはストッパとして機能させることができる。すなわち、骨表面の一部を選択して、所望の深度でインプラント埋設穴を形成することができる。この場合は、円環状の小さな突起ないし突条24Gは省略し、ガイド部材のガイド溝を通り抜けるようにする方が、所望の深度を得るためには好都合である。
(第10実施形態)
図27は、本発明の第10実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置の要部構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置は、ガイドストッパー20に代えてガイドストッパー20Iが設けられている。ガイドストッパー20Iは、円筒形の外側面20cを有しているが、その一部が切除されて切除面20dが形成されていると共に、切除面20dに隣接する位置に突起20Iaが形成されている。突起20Iaの内部には、磁石29Iが埋め込まれている。それ以外の構成は、上述した第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じである。
本10実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置では、最初に、図28(a)に示すように、ガイドストッパー20Iの切除面20dのある部分を、ガイド部材101Dの第1挿入口103に挿入する。この時、切除面20dの向きを調節して、切除面20dが第1挿入口103の開口面に直交するようにする。これは、切除面20dがある部分の外形サイズが小さいため、こうすることで、第1挿入口103の挿通が最も容易になるからである。ガイドストッパー20Iの切除面20dがある部分の挿通動作は、ガイドストッパー20Iの外側面20cがガイド部材101Dの内側面に当接するまで行えばよい。
その後、図28(b)に示すように、第1挿入口103Dを通ってガイド溝102Dの内部に入ったガイドストッパー20Iを、ドリル30の正回転方向に所定角度(例えば30°程度)回動させると、突起20Iaがガイド部材101Dの対向する端縁に当接し、回動が停止する。この時、突起20Iaの内部に磁石29Iが埋め込まれているので、突起20Iaは当該端縁に対して容易に吸着することができる。その後、その状態のままでドリル30を下方に移動させることで、インプラント埋設穴を形成するプロセスを実行できるようになる。
(第11実施形態)
図29は、本発明の第11実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置の要部構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置は、ガイドストッパー20に代えてガイドストッパー20Jが設けられている。ガイドストッパー20Jは、円筒形の外側面20cを有しているが、その一部に係合部25Jが突出形成されている。係合部25Jは、外側面20cと同心の円弧状である。それ以外の構成は、上述した第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じである。
ガイドストッパー20Jと共に使用されるガイド部材101Eは、係合部25Jがほぼ嵌合する形のガイド溝102Eを有している。
本11実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置では、まず、図29の右側の矢印で示すように、ガイドストッパー20Jの係合部25Jを第1挿入口103Eに挿入する。この時、係合部25Jの向きを調節して、係合部25Jが第1挿入口103Eの開口面に直交するようにする。係合部25Jの挿通動作は、係合部25Jの外側面がガイド部材101Eの内側面に当接するまで行えばよい。
その後、図29の左側の矢印で示すように、第1挿入口103Eを通ってガイド溝102Eの内部に入った係合部25Jを、ドリル30の正回転方向に所定角度(例えば20〜30°程度)回動させると、係合部25Jの先端がガイド部材101Eの対向する端部に当接し、回動が停止する。その後、その状態のままでインプラント埋設穴を形成するプロセスを実行できるようになる。
(第12実施形態)
図30は、本発明の第12実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1Kの全体構成を示す。
本実施形態に係るインプラント埋設穴形成補助装置1Kは、ガイドストッパー20に代えてガイドストッパー20Kが設けられている。ガイドストッパー20Kは、内部にバネ50を収容できるように、全体がガイドストッパー20より長い円筒形になっている。ガイドストッパー20Kは、同じく円筒形のバネ装着部材80Dによってヘッド11の下面に装着されている。バネ装着部材80Dの上端には磁石82Dが固着されており、バネ装着部材80Dは、この磁石82Dによる磁気吸引力によって固定されている。
ガイドストッパー20Kとバネ装着部材80Dは、ガイドストッパー20Kの上端に形成されたネジ部28Kと、バネ装着部材80Dの下端に形成されたネジ部83Dとによって、互いに移動可能に係合している。すなわち、ガイドストッパー20Kとバネ装着部材80Dを相対的に回転させると、両者は図30のように互いに移動可能に係合され、脱落しない。しかし、反対方向に回転させると、ガイドストッパー20Kとバネ装着部材80Dは互いに分離することができる。バネ50は、このように分離した状態で、第1透孔21の内部に配置される。それ以外の構成は、上述した第1実施形態に係る歯科用インプラント埋設穴形成補助装置1と同じである。
本実施形態では、バネ装着部材80Dの外側面に目盛りを入れることができる、ガイドストッパー20Kとバネ装着部材80Dの分離・組立が容易である、ガイドストッパー20Kの内部にバネ50が内蔵されて見えないため、歯科医師の操作に影響が出にくい、といった利点がある。
(他の変形例)
上述した第1〜第12実施形態は、本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、ガイドストッパーの第1端面側に設けられた鍔部や突起の外径をガイド溝の直径より大きくすることで、ガイドストッパーの過剰の移動を防止しているが、本発明はこれに限定されない。前記鍔部や突起を設けずに、テーパー状の外側面の適当な箇所でその外径をガイド溝の直径より大きくしてもよい。この場合でも、ガイドストッパーの過剰な移動を防止できる。また、前記鍔部や突起を設けずに、ガイドストッパーの過剰な移動を許容するようにしてもよい。さらに、磁石はあってもなくてもよい。
また、ガイドストッパーの外側面には、テーパーを付けてもよいし付けなくてもよい。この時、一緒に使用されるガイド部材のガイド溝には、テーパーを付けてもよいし付けなくてもよい。すなわち、ガイドストッパーの外側面にテーパーがある場合、これと一緒に使用されるガイド部材のガイド溝には、テーパーを付けてもよいし付けなくてもよい。また、ガイドストッパーの外側面にテーパーがない(ストレートである)場合、これと一緒に使用されるガイド部材のガイド溝には、テーパーを付けてもよいし付けなくてもよい。
また、スペーサを使用せず、ドリルのシャンクにドリル固定用のドリルストッパを設けてもよい。要は、ガイドストッパー(ひいてはドリル等の回転器具)がガイド部材のガイド溝によって的確に案内され、且つ、インプラント埋設穴が所望の最大深度を越えないものであればよい。
さらに、上述した実施形態では、使用するドリル等の回転器具として、刃部の外径がシャンクより大きいものを使用しているが、刃部の外径がシャンクに等しいか、シャンクより小さいものも使用可能である。この場合、ドリル等の回転器具は、刃部やシャンクに、ガイド部材が当接する突起や突条などを有しているものを使用することも可能である。さらに、ガイドストッパーをハンドピースに保持できるようにして、ガイドストッパーが当接する突起や突条などがない、刃部の外径の小さなドリル等の回転器具を使用することも可能である。
なお、上述した実施形態では、サージカルガイドのガイド部材として、側面に挿入口をガイド溝を有するものを使用しているが、側面に挿入口を持たないガイド孔を有するものも使用可能である。