JP6204212B2 - 熱伝導複合材料 - Google Patents

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本発明は、熱伝導率が1.0W/m・K以上で、耐熱温度が300℃以上の熱伝導複合材料に関する。
高速大容量の情報を取り扱う電子機器類の小型・軽量・薄型化に伴い、電子機器からの発熱は増加し、放熱性の向上が重要な課題となっている。
例えば、鉄道、自動車、一般向け家電などの様々な分野で、パワーエレクトロニクスの需要が高まっている。パワーエレクトロニクスでは、高電圧、大電流を高速で開閉するスイッチングを行うが、スイッチングに際して電力エネルギーが熱に変わり、発熱を伴うため、放熱性対策が重要となる。
更に最近では、照明や表示装置などの分野で水銀レス、低消費電力、長寿命のLED(発光ダイオード)の使用が急増している。LEDは点光源であり、一般的な蛍光灯と比べて発熱密度が高いため、放熱性に優れることが極めて重要である。
放熱性に優れた材料として、酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末などの高い熱伝導性を示すフィラーを有機樹脂へ含有する複合材料が提案されている。例えば特許文献1には、平均粒子径が20〜60μm、配向性指数が2〜20の六方晶窒化ホウ素の凝集粉末と、平均粒子径が0.1〜1μmの酸化アルミニウム粉末の熱伝導性フィラー60〜73体積%、シリコーン樹脂27〜40体積%を含有してなる、電子部品用放熱部材として好適な樹脂組成物が開示されている。上記特許文献1によれば、高熱伝導性を示し、600Vの直流電圧において体積抵抗率1013〜1014Ω・cmを示す樹脂組成物を提供することができる旨記載されている。
特開2011−144234号公報
しかし、前述した特許文献1では、シリコーン樹脂をベースに用いているため、耐熱性に劣り、使用される温度域が限定されるという問題がある。
例えば、LED素子などが搭載される絶縁放熱基板には、配線部材として、融点の低い銅(純銅の融点は約1084℃)やアルミニウム(純アルミニウムの融点は約660℃)などの材料が使用されている。特に最近では、軽量化を目的に、熱伝導性の高いアルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム材料が利用されている。しかし、純アルミニウムの融点は、上述したとおり約660℃であり、配線部材として純アルミニウムを用いる場合、上記基板は、少なくとも純アルミニウムの融点よりも低い温度で焼成できることが必要である。また、アルミニウム合金が溶融し始める温度は、1000系アルミニウム合金で約650℃、2000系アルミニウム合金で約500℃、3000系アルミニウム合金で約640℃、5000系アルミニウム合金で約570℃、6000系アルミニウム合金で約580℃、7000系アルミニウム合金で約480℃であるため、これらのアルミニウム合金の使用も考慮した場合には、基板の焼成温度は出来るだけ低い方が良い。特に工業的に汎用される6000系アルミニウム合金の使用を考慮すると、上記基板は、おおむね、約550℃以下の温度で焼成できることが推奨される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱伝導性および耐熱性の両方に優れた熱伝導複合材料を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の熱伝導複合材料は、非晶質無機酸化物、および放熱材料を含有し、前記非晶質無機酸化物の焼成温度は550℃以下、前記放熱材料の平均粒子径D50は1.0〜100μm、前記非晶質無機酸化物および前記放熱材料の合計量に対する前記放熱材料の含有率は10体積%以上、70体積%未満であり;前記熱伝導複合材料の体積空孔率は5〜20%、熱伝導率は1.0W/m・K以上、耐熱温度は300℃以上を満足するところに要旨を有するものである。
本発明の好ましい実施形態において、前記非晶質無機酸化物を構成する最も多い成分はリン酸化合物である。
本発明の好ましい実施形態において、前記放熱材料は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、およびダイヤモンドよりなる群から選択される少なくとも一種である。
本発明によれば、熱伝導性および耐熱性に優れた複合材料を提供することができる。本発明の複合材料を用いれば、550℃以下の低温で焼成できるため、例えば、純アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム材料を同時に焼成可能である。よって、アルミニウム材料のような低融点金属基板に直接形成することができる。更に加工性に優れるため、プレス成型などによって任意の形状に加工することができる。
図1は、実施例1において、試料中に占める放熱材料の含有率(体積%)と熱伝導率(W/m・K)との関係を示すグラフである。 図2は、実施例1において、試料中に占める放熱材料の含有率(体積%)と体積空孔率(%)との関係を示すグラフである。
上述したように本発明の熱伝導複合材料は、非晶質無機酸化物、および放熱材料を含有し、前記非晶質無機酸化物の焼成温度は550℃以下、前記放熱材料の平均粒子径D50は1.0〜100μm、前記非晶質無機酸化物および前記放熱材料の合計量に対する前記放熱材料の含有率は10体積%以上、70体積%未満であり;前記熱伝導複合材料の体積空孔率は5〜20%、熱伝導率は1.0W/m・K以上、耐熱温度は300℃以上を満足するところに特徴がある。
以下、各要件について、詳細に説明する。
本発明において非晶質無機酸化物は、放熱材料同士を繋ぐバインダーとして作用する。本発明では、焼成温度が550℃以下の非晶質無機酸化物を用いているため、複合材料の耐熱性が向上する。本発明の複合材料を用いれば、配線材料などに汎用される銅のみならず、銅に比べて融点が低い純アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム材料も使用することができる。また、本発明の複合材料を、銅やアルミニウムなどの低融点金属からなる基板上へ直接形成することが可能である。また、本発明の複合材料に配線部材などを接合するに当たり、はんだやろう付けなどのような低融点材料による接合も可能となる。また、プレス成型が可能となり、任意の形状へ形成することができる。非晶質無機酸化物の焼成温度が550℃を超えると、アルミニウムの融点を超えてしまい、アルミニウム材料を用いることができない。
ここで、焼成温度は、非晶質無機酸化物を実際に焼成するときの温度であり、電気炉内部の雰囲気を熱電対で測定して算出される。具体的には焼成温度は、非晶質無機酸化物が軟化して流動性が出現する温度であり、ガラスなどの特性を示す指標である軟化点やガラス転移点に比べて、温度は高い。本実施例では、屈伏点近傍での焼成を行なっている。屈伏点とは、ガラスを加熱して、凝固状態から液状に変化した(このときの温度が、一般にガラス転移点と呼ばれる。)とき、この温度で熱膨張率は大きくなるが、更に温度をあげると、熱膨張率が増加しなくなる点が現れるが、それを屈伏点と呼ぶ。非晶質無機酸化物の焼成温度は低い程良く、500℃以下であることが好ましい。なお、非晶質無機酸化物の焼成温度の下限は特に限定されないが、低すぎると非晶質無機酸化物が溶融しないため、おおむね、400℃以上であることが好ましい。
上記要件を満足する非晶質無機酸化物として、リン酸化合物を主成分とするものが好ましい。ここで「主成分とする」とは、非晶質無機酸化物を構成する最も多い成分として、リン酸化合物を含むという意味である。一般にガラスは、ケイ酸塩を主成分として含み、焼成温度は550℃を遥かに超えるが、本発明では、このようなガラスは使用しない。本発明に用いられる、リン酸化合物を主成分とする非晶質無機酸化物は、リンの酸化物(例えばP25など)を、非晶質無機酸化物中に最も多く含み(例えば50質量%以上)含み、残部:Si、Ti、B、Zn、Sn、Ba、Li、K、Sb、Naなどの少なくとも一種の酸化物であることが好ましい。このような酸化物として、例えば、SiO2、TiO2、B23、ZnO、SnO、BaO、Li2O、K2O、Sb23、Na2Oなどが挙げられる。
本発明では、上記要件を満足する非晶質無機酸化物として、市販品を用いることもできる。例えば、後記する実施例のように、日本フリット株式会社製VQ0028の低融点ガラス粉末(基準焼成温度:520℃)を用いることができる。その他、例えば、日本フリット株式会社製VQ0028M5(基準焼成温度はVQ0028と同じで、520℃)を用いることもできる。このVQ0028M5は粉末タイプであり、これにより、上記VQ0028を使用した場合に比べて粉砕時間を短縮することができる。
或いは、後記する実施例のように、関谷理化(株)製のフリットガラス(粉末ガラス)のうち、焼成温度が550℃以下のものを使用することができる。上記フリットガラスには、例えば、リン酸系ガラスフリットのような、リン酸を主成分とするガラスのほか;ビスマス珪酸系ガラスフリット、ホウ珪酸系ガラスフリット、低温焼成用ガラスフリットなどが挙げられる。なお、上記のカタログには、ガラス転移点(Tg)または軟化点(Ts)が記載されており、焼成温度は記載されていない。この場合、前述したように焼成温度はTgやTsに比べて高いため、少なくとも、TgやTsが、本発明で規定する焼成温度の上限である550℃以下を下回るものを選択して用いることが必要である。
本発明において、放熱材料は、熱伝導率の向上に寄与するものであり、平均粒子径D501.0〜100μm、および体積空孔率5〜20%を満足する。
まず、放熱材料の平均粒子径D50(メディアン径)は、1.0〜100μmである。放熱材料の平均粒子径D50が1.0μmを下回ると、放熱材料が凝集し易くなり、凝集した放熱材料内部に空孔が存在するため、複合材料形成時の空孔が大きくなる。また、複合材料形成時に非晶質無機酸化物が放熱材料の内部に侵入し難いため、複合材料が所定の形状に固まり難い。一方、放熱材料の平均粒子径D50が100μmを超えると、放熱材料と非晶質無機酸化物との間の空隙率が少なくなり、複合材料に占める、緻密性の高い非晶質無機酸化物の割合が増加するため、割れが伸展し易くなる。上記平均粒子径D50について、好ましい下限は2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、好ましい上限は80μm以下であり、より好ましくは40μm以下である。
放熱材料の平均粒子径D50は、公知の方法によって測定することができる。例えば、マイクロトラックなどの粒度分布測定装置を用いて、半導体レーザの照射により得られた散乱光から粒子径分布を測定し、粒子の全体積を100%としたとき、粒子の体積分率の累積カーブにおいて50体積%となるときの粒子径を求めることにより算出することができる。或いは、後記する実施例のように、所定の粒子径D50を有する市販の放熱材料を用いることもできる。
本発明に用いられる放熱材料は、高い熱伝導率を有するものが好ましい。このような放熱材料として、例えば、酸化アルミニウム(Al23の熱伝導率は約20〜40W/m・K)、窒化アルミニウム(AlNの熱伝導率は約70〜270W/m・K)、窒化ケイ素(Siの熱伝導率は約30〜80W/m・K)、炭化ケイ素(SiCの熱伝導率は約270W/m・K)、窒化ホウ素(BNの熱伝導率は約30〜150W/m・K)、酸化マグネシウム(MgOの熱伝導率は約40〜70W/m・K)、ダイヤモンド(熱伝導率は約300〜2000W/m・K)などが挙げられる。これらの放熱材料は、熱伝導率だけでなく、絶縁性にも優れている。これらのうち、酸化アルミニウムは安価であり、材料コストを低減できるため、最も好ましく用いられる。
上述した非晶質無機酸化物および放熱材料の合計量に対する放熱材料の含有率は、10体積%以上、70体積%未満である。放熱材料の上記含有率の下限が10体積%を下回ると、放熱材料の添加効果が有効に発揮されず、複合材料の熱伝導率が所定レベル(1.0W/m・K以上)を下回る。また、表面割れが発生する虞がある。一方、放熱材料の上記含有率が70体積%以上になると、放熱材料同士を繋ぐバインダー作用を有する非晶質無機酸化物の含有量が少なくなり、表面に割れや欠けが生じる虞がある。放熱材料の上記含有率の下限は、より好ましくは、15体積%以上、更により好ましくは20体積%以上であり、上限は、より好ましくは、65体積%以下、更により好ましくは60体積%以下である。
上記構成からなる本発明の熱伝導複合材料は、熱伝導率1.0W/m・K以上で、且つ、耐熱温度300℃以上を満足する。好ましくは、熱伝導率1.3W/m・K以上であり、より好ましくは1.5W/m・K以上である。また、好ましくは、耐熱温度325℃以上であり、より好ましくは350℃以上である。なお、実操業レベルなどを考慮すると、これらの好ましい上限は、熱伝導率:約25W/m・K以下であり、耐熱温度:約550℃以下である
本明細書において耐熱温度とは、被験物質に対して溶融などの問題が見られない温度を意味する。例えば後記する実施例1の方法で耐熱性を評価したとき、溶融や変色が見られないときの温度を意味する。
更に、本発明に係る熱伝導複合材料の体積空孔率は、5〜20%である。上記体積空孔率の下限が5%を下回ると、複合材料が緻密になり過ぎてしまい、本発明のように非晶質無機酸化物と放熱材料を含む複合材料では、割れを招く虞がある(後記する実施例を参照)。本発明の複合材料では、放熱材料の体積空孔率を5%以上とし、非晶質無機酸化物と放熱材料との接触部分の一部に微小な空隙を設ける構成とすることにより、当該複合材料に複数の欠陥が生じた場合でも、それぞれの欠陥に加わる力が分散されて、当該欠陥を起点にした割れや割れの拡大を抑制することができる。上記体積空孔率の好ましい下限は6%以上であり、より好ましくは7%以上である。一方、上記体積空孔率の上限が20%を超えると、放熱材料添加による熱伝導率向上効果が有効に発揮されない。また、上記体積空孔率が大きくなり過ぎると、複合材料が固まらなくなり、任意形状の複合材料を形成できなくなる虞がある。上記体積空孔率の好ましい上限は18%以下であり、より好ましくは15%以下である。
上記体積空孔率は、放熱材料や非晶質無機酸化物の粒径、含有量;非晶質無機酸化物のガラス特性温度(軟化点やガラス転移点など)などを変えることによって上記範囲に調整することができる。例えば、放熱材料の含有量が一定値を超えると体積空孔率が減少する傾向にある。また、非晶質無機酸化物のガラス特性温度に比べて、より高い温度で焼成すると、体積空孔率は減少する傾向にある。
本発明の複合材料には、上述した非晶質無機酸化物および放熱材料のほか、本発明の作用を損なわない範囲で、メチルセルロールやエチルセルロースなどの添加剤を含有しても良い。上記添加剤の含有量(添加剤を単独で含むときは単独の含有量であり、二種以上の添加剤を含むときは合計量である。)は、複合材料全体に対して0.1体積%以上、5体積%以下であることが好ましい。上記添加剤の含有量が0.1体積%未満では、所望とする効果が発揮されない虞がある。一方、上記添加剤の含有量が5体積%を超えると、焼成後にカーボンが残存して電気絶縁性が消失するなどの問題がある。
本発明の複合材料は、上述した非晶質無機酸化物および放熱材料(更には、必要に応じて上記添加剤)が所定の比率となるように混合することによって得られる。混合方法は本発明の技術分野で通常用いられる方法であれば特に限定されず、例えば、乳鉢などを用いて混合する。
上記複合材料を用いて任意の形状に加工する方法も特に限定されず、通常、用いられる方法を採用することができる。上記方法の一例として、例えば、上記の方法によって得られた混合粉末を、必要に応じて加熱して溶融した後、粉砕し、金型に入れてプレスする方法が挙げられる。溶融時の加熱条件として、例えば、大気炉内で、400〜500℃で10〜120分間行なうことが好ましい。また、非晶質無機酸化物を放熱材料と混合する前に、公知の分級処理(例えば乾式分級、湿式分級、ふるい分け分級、水溶媒中の沈殿効果を利用した分級など)を行い、上記非晶質無機酸化物の粒径や密度などを揃えることも有用である。更に、上記の金型によるプレスの後、必要に応じて、焼成を行なっても良い。焼成条件として、例えば、400〜500℃で10〜90分間行なうことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
本実施例では、以下のようにしてタブレット形状の試料を作製した。
まず、非晶質無機酸化物として、日本フリット株式会社製VQ0028の低融点ガラス粉末(基準焼成温度:520℃、屈伏点:470℃)を用意し、ボールミルで6時間粉砕した後、92μmメッシュの篩によって分級を行い、非晶質無機酸化物粉末を得た。
次に、放熱材料として、(株)高純度化学研究所のαアルミナ粉末(平均粒子D50:20μm)を所定量秤量した。
上記の非晶質無機酸化物および放熱材料を、これらの合計量に対する放熱材料の含有率(体積%)が表1の含有率となるように混合し、乳鉢で30分間混合した。混合した粉末を直径10mmφの金型に入れてプレスし、直径10mmφ、厚み5mm前後のタブレット形状の試料を作製した。得られた試料を電気炉内に入れて、450℃1時間焼成を行った。
焼成後の試料について、以下の測定および評価を行なった。
(割れの有無)
焼成後の試料表面を目視で観察し、割れの有無を評価した。本実施例では、長さ0.1mm以上の亀裂があるが、その形状が保持されている場合を「割れ有り」と評価した。
(欠けの有無)
焼成後の試料表面を目視で観察し、欠けの有無を評価した。本実施例では、タブレットの角部分が取れてしまい、その形状が保てなくなっている場合を「欠け有り」と評価した。
(熱伝導率の測定)
焼成後の試料について、アルバック理工(株)製の熱定数測定装置TC−7000を用いて、レーザーフラッシュ法にて測定した。本実施例では、上記熱伝導率が1.0W/m・K以上のものを合格とした。
(体積空孔率の測定)
(1)上記試料が放熱材料を含まない場合(表1のNo.1)
上記No.1の試料を、φ10mm、5tのサイズに切断したタブレット体を作製し、その表面を研磨した後、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で断面の観察を行って空孔を観察し、試料中の体積空孔率を算出した。
(2)上記試料が放熱材料を含む場合(表1のNo.2〜10)
この場合は、以下のようにして体積空孔率を測定した。
まず、非晶質無機酸化物材料の密度をD1、放熱材料の密度をD2とする。これらを所定の重量混合比(%)、すなわち、非晶質無機酸化物材料をA%:放熱材料を(100−A)%で混合して、タブレット体を作製する。
次に、上記のようにして作製したタブレット体の重量Mを測定する。理想的なタブレット体であって、そのタブレット体の重量がM(g)となる場合の原料重量比を算出すると、非晶質材料無機酸化物の重量=(A×M)/100、放熱材料の重量=(1−A)×M/100である。各材料の理想体積は、非晶質材料無機酸化物の理想体積=(A×M)/100/D1、放熱材料の理想体積=(1−A)×M/100/D2となるため、全体の理想体積は、
Vr=(A×M)/100/D1+(1−A)×M/100/D2
となる。
次に、実際のタブレット体の体積Veを測定して、上述した理想体積Vrとの比較を行い、下式に基づいて、体積空孔率を算出した。
体積空孔率=[(Ve−Vr)/Vr]×100
本実施例では、体積空孔率は、放熱材料の含有率を制御することによって調整した。
(耐熱性)
本実施例では、はんだに対する耐熱性を評価した。具体的には、はんだごて(太陽電気産業製のX1000)を300℃に加熱し、これを上記試料に1分間押し付けて、試料の溶融の有無や、変色の有無を調べた。本実施例では、いずれの試料も、溶融や変色は見られず、耐熱性は良好であった。
これらの結果を表1に併記する。参考のため、試料中に占める放熱材料の含有率(体積%)と熱伝導率との関係を図1に示す。また、試料中に占める放熱材料の含有率(体積%)と体積空孔率との関係を図2に示す。
まず、No.3〜8は本発明の要件を満たす例であり、熱伝導率、体積空孔率、および耐熱性の全てが良好であった。また、表面の割れや欠けも見られなかった。これらのうち、試料中に占める放熱材料の含有率が40〜65体積%と高い例は、熱伝導率が2.5W/m・Kを超えており、熱伝導性に極めて優れている。
これに対し、No.1は放熱材料を含まない例であり、熱伝導率が低下した。また、試料の表面に0.1mm以上の亀裂が生じており、割れが発生した。
No.2は、試料中に占める放熱材料の含有率が少ない例であり、体積空孔率が小さく、熱伝導率も低くなった。また、表面に割れが発生した。
No.9は、試料中に占める放熱材料の含有率が多い例であり、試料中の体積空孔率が大きくなり、試料表面に欠けが発生した。
No.10は、試料中に占める放熱材料の含有率が多い例であり、体積空孔率が大きく、熱伝導率も低くなった。また、表面に、割れおよび欠けが発生した。
実施例2
本実施例では、表2に示すように、試料中に占める放熱材料の含有率を一定(20体積%)とし、放熱材料の平均粒子径D50(μm)を変化させたときの特性を評価した。
具体的には、前述した実施例1において、平均粒子径D50の異なる酸化アルミニウム粉末として、(株)高純度化学研究所の酸化アルミニウム粉末(平均粒径0.8μm、5μm、20μm)を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして各試料を作製し、体積空孔率、熱伝導率、並びに、割れおよび欠けの有無を調べた。本実施例では、放熱材料の平均粒子径を変化させることによって体積空孔率を調整した。
これらの結果を表2に併記する。
No.2、3は本発明の要件を満たす例であり、熱伝導率、体積空孔率、および耐熱性の全てが良好であった。また、表面の割れや欠けも見られなかった。
これに対し、No.1は、平均粒子径が小さい放熱材料に、溶融した非晶質材料が充分に接触しなかったため、うまく焼成できず、表面に割れが発生した。
実施例3
本実施例では、表3に示すように、試料中に占める放熱材料の含有率および平均円相当径粒子径D50を一定とし、非晶質無機酸化物の焼成温度を変化させたときの特性を評価した。
具体的には、前述した実施例1において、焼成温度の異なる非晶質無機酸化物として、関谷理化(株)製のリン酸塩系ガラスフリット(ガラス転移点:470℃、530℃、570℃、630℃)を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして各試料を作製し、体積空孔率、熱伝導率、並びに、割れおよび欠けの有無を調べた。上述したように焼成温度はガラス転移点よりも高くなるため、No.3、4は、本発明で規定する「焼成温度550℃以下」を超える比較例である。また、No.1、2は、本発明で規定する「焼成温度550℃以下」を満足する本発明例である。
本実施例では、非晶質無機酸化物材料のガラス転移点を変えることによって体積空孔率を調整した。
これらの結果を表3に併記する。
No.1、2は本発明の要件を満たす例であり、熱伝導率、体積空孔率、および耐熱性の全てが良好であった。また、表面の割れや欠けも見られなかった。
これに対し、No.3は、焼成温度が高い非晶質無機酸化物を用いた例であり、熱伝導率が高くなり、表面に割れおよび欠けが発生した。また、充分に非晶質材料が軟化しなかったため、放熱材料を包み込むことが出来ず、体積空孔率も大きくなった。
No.4も上記No.3と同様、焼成温度が高い非晶質無機酸化物を用いた例であり、表面に割れおよび欠けが発生した。なお、No.4では、非晶質材料が溶融せず、粉状のままのため、全く焼成できず、体積空孔率及び熱伝導率は測定しなかった(表3中、「−」と記載)。
実施例4
本実施例では、金属基板の両面に本発明の複合材料を接合した複合体の表面性状を観察した。
具体的には、10mm×10mm×1mmの純Al板の上下に、表1のNo.5の試料(片面あたり、5mmずつ)を有する積層体をスプレー法で作製した後、500℃で再度焼成を行って、Al板と接合させた。このようにして得られた複合体の表面性状について、上記実施例1と同様にして割れおよび欠けを測定した。その結果、新たな割れや欠けは、全く認められなかった。
上記結果より、本発明の複合材料を用いれば、アルミニウムのような低融点金属基板に直接形成することが可能であることがわかった。

Claims (2)

  1. 非晶質無機酸化物、および放熱材料を含有する熱伝導複合材料であって、
    前記非晶質無機酸化物を構成する最も多い成分はリン酸化合物であり、
    前記非晶質無機酸化物の焼成温度は550℃以下、
    前記放熱材料の平均粒子径D50は1.0〜100μm、
    前記非晶質無機酸化物および前記放熱材料の合計量に対する前記放熱材料の含有率は20体積%以上、70体積%未満であり、
    前記熱伝導複合材料の体積空孔率は〜20%、熱伝導率は1.5W/m・K以上、耐熱温度は300℃以上を満足することを特徴とする熱伝導複合材料。
  2. 前記放熱材料は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、およびダイヤモンドよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項に記載の熱伝導複合材料。
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