JP6202809B2 - 土石流氾濫域高速シミュレーション方法及び土石流氾濫域高速シミュレーション装置 - Google Patents

土石流氾濫域高速シミュレーション方法及び土石流氾濫域高速シミュレーション装置 Download PDF

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Description

本発明は、LPデータを用いて渓流を流れる土石流の平野部における氾濫を高速にシミュレーションする土石氾濫高速シミュレーション方法に関する。
電子情報の処理技術は、ソフト、ハード共に飛躍的に進歩してきている。近年、砂防分野においても国土地理院や直轄砂防事務所等によって、レーザプロファイラにより計測された高精度地形情報が多量に取得されてきている。この高精度地形情報は、一般に航空機に搭載されたレーザプロファイラを用いて対象物にレーザ光を高速にスキャンし、得られた2m範囲のデータの中から1点以上のデータをLPデータとし、このLPデータに基づいて生成している。
しかし、レーザプロファイラからのLPデータに基づいた高精度地形情報を容易に利用するためのアプリケーションがない。
このため、この高精度地形情報は特別なシステムあるいは特別なコンサルタント会社でしか扱えないのが現状である。
これまで砂防分野においても、多数のシミュレーションモデルが提案されてきたが、適用範囲が限定されていること、データの入出力等に効果的なインターフェースが実装されていない等ということから高精度地形情報は十分に活用されることが少なかった。
そこで、このような問題を解決する砂防分野の一つのツールとして土石流シミュレーションツールがある。
この土石流シミュレーションツールは、災害規模の予測や効果的な砂防構造物の検討において有効であり、効果的なGUI(グラフィックユーザインターフェース)を実装してマウスによる入出力を可能とすると共に、既存のモデルを集約・統合・改良することでユーザに扱いやすいツールである。
一方、平成20年6月の岩手宮城内陸地震の際、多数形成された天然ダムの調査等において、レーザプロファイラによる計測データの有効性が確認された。これが契機となり、平成20年度・21年度に全国の直轄砂防区域とその周辺地域を中心として全国統一の規格による精密かつ広範囲の砂防用のLPデータが整備された。
LPデータによって得られる三次元地形データ(DEM:Digital Elevation Model)は、全国統一の規格と精度(JPJIS、1m×1m以内)を持ち、また中山間地域を中心に国土面積の約15%(5万5千Km)をカバーしており、今後の機器管理や砂防調査において幅広い利用が期待されている。
「中谷加奈、和田孝志、里深好文、水山高久:GUIを実装した汎用土石流シミュレータ開発、第4回土砂災害に関するシンポジュウム論文集、p149−154,2008」
特開2009−251250号公報 特開2008−84243号公報
しかしながら、従来の土石流シミュレーションツールは、実地形を対象として他の土石流シミュレーションシステムを適用する際は、高精度地形情報を手作業で入力して設定する必要がある。
また、従来の土石流シミュレーションツールは、高精度地形情報の作成を担当者が地形図を見ながら必要なデータを手作業で入力する手法或いは地形図を作るためのデータを半自動で読み込むことができるソフトウェアを利用して入力する手法等があるが、これらの手法は煩雑な手間を要する。
また、手間を軽減するために一般的に入手可能な地形図を用いて必要なデータを入力した場合には、その地形図は精度が粗いので課題が残る。
より正確なシミュレーションを行うためには、DEM等の詳細な三次元地形データを利用することが必須となる。
しかしながら、DEMから必要とされる領域のデータを抽出し、土石流シミュレーションツールに対応した形式へのデータ変換を行う場合には特別な技術が必要となる。
一方、LPデータを用いた高精度地形情報で必要なデータを入力する場合は、LPデータは、容量が膨大(例えば一渓流で10GB程度)であるので、このLPデータを用いてシミュレーションを行った場合には、シミュレーションの処理に長時間を要する。
すなわち、LPデータを手軽に利用できるシミュレーションソフトウェアの開発が進んでいないのでLPデータを用いた高精度地形情報は十分に活用されていないのが現状である。
従って、LPデータで計測された高精度地形情報を用いてシミュレーションを実行したとしても、そのシミュレーション結果を得るにはLPデータは容量が膨大であるから非常に時間がかかっていた。
また、そのシミュレーション結果を、管理・適用するには多くの作業工程が必要で、これらを統合的に行えるシステム環境は整っていない。
すなわち、LPデータとGIS(地理情報システム:Geographic Information Systems)の地図とを繋げて、GUI(グラフィックユーザインターフェース)で操作するような氾濫シミュレーション装置は開発されていなかった。
本発明は以上の課題を鑑みてなされたもので、地図上に指定された氾濫シミュレーション枠の氾濫を、LPデータを用いて高速にGUI上で展開できる土石流氾濫域高速シミュレーション方法を得ることを目的とする。
本発明の土石流氾濫域高速シミュレーション方法は、地域の地理情報を記憶し、該地理情報に含まれている渓流域を含む地形図を読み込んで画面に表示するGIS部と、
前記渓流域を流れる土石流情報を求める土石流情報算出ツール部と、
前記地域にレーザを照射して得た、テキスト形式の三次元座標を含むLPデータを記憶したデータベースと、
前記LPデータの内で一定間隔を有するLPデータ同士が繋げられてメッシュ化されたメッシュのデータが記憶された第1の記憶手段と、
指定範囲二次元地形モデルが記憶される第2の記憶手段と
を用意して、
コンピュータが、
前記データベースから前記地域のLPデータを読み込んで、これらを一定間隔で繋げてメッシュ化し、これらのメッシュの各々の頂点を形成する前記テキスト形式のLPデータを前記メッシュのデータとしてメッシュに関連付けて前記第1の記憶手段に記憶する工程と、
前記第1の記憶手段のメッシュを順に指定し、該指定毎に、このメッシュの各頂点のデータのテキスト形式のZ座標をバイナリ変換する工程と、
前記地形図の渓流域の上端と下端とを指定させて、この上端と下端との間に渓流線を求めて前記地形図に重ね表示させる工程と、
前記渓流線の下端を基準にして、該下端から予め設定されているエリアの枠を氾濫シミュレーション枠として前記地形図に重ね表示させる工程と、
前記地形図上の前記下端の二次元座標を有する前記メッシュを前記第1の記憶手段から検索し、該検索したメッシュに前記下端の二次元座標の位置を定義する工程と、
前記メッシュに投影された下端の位置を基準位置とし、この基準位置から前記氾濫シミュレーション枠を前記第1の記憶手段のメッシュ群上に定義し、この氾濫シミュレーション枠内のメッシュの塊をLPデータ用シミュレーション領域として定義する工程と、
前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの各頂点に割り付けられている各々のZ座標のバイナリデータの平均値を求め、これを前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの標高データとする工程と、
前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュあたりの標高データが求められる毎に、このメッシュの二次元座標とメッシュのサイズとその標高データとを関連付け、これを前記指定範囲二次元地形モデルとして前記第2の記憶手段に記憶する工程と、
前記一定時間あたりに前記渓流域を流れる土石流情報を前記土石流情報算出用ツール部によって求めさせ、この算出結果を前記第2の記憶手段の指定範囲二次元地形モデルの前記下端に対応するメッシュから順に反映させてその結果を色別表示させる工程と
を行うことを要旨とする。
本発明の土石流氾濫域高速シミュレーション装置は、地域の地理情報を記憶し、該地理情報に含まれている渓流域を含む地形図を読み込んで画面に表示するGIS部と、
前記渓流域を流れる土石流情報を求める土石流情報算出ツール部と、
前記地域にレーザを照射して得た、テキスト形式の三次元座標を含むLPデータを記憶したデータベースと、
前記LPデータの内で一定間隔を有するLPデータ同士が繋げられてメッシュ化されたメッシュのデータが記憶された第1の記憶手段と、
指定範囲二次元地形モデルが記憶される第2の記憶手段と
前記データベースから前記地域のLPデータを読み込んで、これらを一定間隔で繋げてメッシュ化し、これらのメッシュの各々の頂点を形成する前記テキスト形式のLPデータを前記メッシュのデータとしてメッシュに関連付けて前記第1の記憶手段に記憶する手段と、
前記第1の記憶手段のメッシュを順に指定し、該指定毎に、このメッシュの各頂点のデータのテキスト形式のZ座標をバイナリ変換する手段と、
前記地形図の渓流域の上端と下端とを指定させて、この上端と下端との間に渓流線を求めて前記地形図に重ね表示させる手段と、
前記渓流線の下端を基準にして、該下端から予め設定されているエリアの枠を氾濫シミュレーション枠として前記地形図に重ね表示させる手段と、
前記地形図上の前記下端の二次元座標を有する前記メッシュを前記第1の記憶手段から検索し、該検索したメッシュに前記下端の二次元座標の位置を定義する手段と、
前記メッシュに投影された下端の位置を基準位置とし、この基準位置から前記氾濫シミュレーション枠を前記第1の記憶手段のメッシュ群上に定義し、この氾濫シミュレーション枠内のメッシュの塊をLPデータ用シミュレーション領域として定義する手段と、
前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの各頂点に割り付けられている各々のZ座標のバイナリデータの平均値を求め、これを前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの標高データとする手段と、
前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュあたりの標高データが求められる毎に、このメッシュの二次元座標とメッシュのサイズとその標高データとを関連付け、これを前記指定範囲二次元地形モデルとして前記第2の記憶手段に記憶する手段と、
前記一定時間あたりに前記渓流域を流れる土石流情報を前記土石流情報算出用ツール部によって求めさせ、この算出結果を前記第2の記憶手段の指定範囲二次元地形モデルの前記下端に対応するメッシュから順に反映させてその結果を色別表示させる手段と
を備えたことを要旨とする。
以上のように本発明によれば、テキスト形式のLPデータを一定間隔で繋げてメッシュ化し、このメッシュの各頂点のZ座標をバイナリデータに変換しておく。
そして、画面に表示した等高線図上において、指定された上流端と下流端との間に自動的に渓流線を生成し、この下流端を基準にして氾濫シミュレーション枠を生成する。
次に、氾濫シミュレーション枠に対応するメッシュの塊を検索し、この検索したメッシュの塊内のメッシュ毎に各頂点をバイナリデータに変換し、これらのバイナリデータの平均値をメッシュあたりの標高データとして求め、この標高データをそのメッシュに割り付けた指定範囲二次元地形モデルを生成する。
この指定範囲二次元地形モデルのメッシュ毎に、渓流線を流れる土石流情報が流入したときのシミュレーションを行い、この結果をメッシュ単位で表示させる。
このため、LPデータを用いても、短時間で所望のシミュレーションの結果をLPデータの解像度で得ることが可能となる。
本実施の形態の土石流氾濫域高速シミュレーション装置10の概略構成図である。 メッシュ化したLPデータの説明図である。 1次渓流の設定を説明する説明図である。 氾濫範囲の設定を説明する説明図である。 本実施の形態の指定範囲二次元地形モデルWMiの生成過程を説明するフローチャートである。 図5の詳細を説明するフローチャートである。 指定範囲二次元地形モデルを説明する説明図である。 本実施の形態の「HyperKANAKO」を用いた土石流氾濫域高速シミュレーション装置の動作を説明するフローチャートである。 渓流線に対しての堰堤の設定を説明する説明図である。 渓流の横断図を説明する説明図である。 堆砂勾配を設定するための縦断面図を説明する説明図である。 本実施の形態による堆砂域の表示図である。 GIS画像(地図画像)上でのシミュレーション結果の表示を説明する説明図である。 鳥瞰図上にシミュレーション結果の表示を説明する説明図である。 二次元地形モデルのメッシュサイズを10mとした場合の説明図である。 二次元地形モデルのメッシュサイズを20mとした場合の説明図である。 指定範囲二次元地形モデルWMiの標高データに応じた氾濫シミュレーション結果を色別表示例の説明図である。
本実施の形態の土石流氾濫域高速シミュレーション装置は、LPデータを使用して土石流シミュレーションツールを簡便かつ精度良く実行するための統合的なシステムである。
また、土石流氾濫域高速シミュレーション装置は、一次元及び二次元河床変動計算を連続して計算できるGUI対応の土石流シミュレーションツールのプログラムをベースとして、メモリ管理方法や計算処理アルゴリズムを見直し、シミュレーション時間を大幅に短縮すると共にLPデータを基にした高精度地形情報のメッシュサイズに柔軟に対応できるよう改良している。
さらにGISを利用することで、初期の地形条件設定及び結果の可視化等にも配慮している。
今回の土石流氾濫域高速シミュレーション装置は、容易に高精度地形情報を設定でき、かつ迅速に合理的な解析結果を得られる。
このため、土石流の氾濫・堆積予測或いは砂防計画の策定にあたっては非常に有効なツールとなる。このツールを本実施の形態では土石流高速シミュレーションツール部と称する。
また、LPデータは、詳しくはGPS、IMU等を搭載した航空機からレーザプロファイラを使って対象地域に数センチ間隔でレーザを照射して得た対象物の三次元座標(Xi,Yi,Zi)及び反射強度等を有するテキスト形式のデータである。
また、土石流高速シミュレーションツール部の一つの特徴は、GISとの連携による操作性・視認性の向上である。
GISは、地理的な指標を持つ対象物を、地図を背景として簡単に指示することや、対象物を分かりやすく表示するのに最適な道具である。
土石流高速シミュレーションツール部は、一次元渓流線を用いて二次元地形データを作成する際には、GIS上で容易にLPデータを設定できる。
また、高精度地形情報のソースとなるLPデータが平面直角座標系の三次元座標を持っているので、高精度地形情報にも標高データと共に二次元座標(平面座標ともいう)も付加されている。
さらに、高精度地形情報にはワールドファイル形式で地理情報が付加されている。
このワールドファイルを用いて土石流高速シミュレーションツール部では、LPデータの三次元座標を地形図に付加することができる。
また、氾濫シミュレーション枠におけるシミュレーションの結果は、高精度地形情報(以下地形データともいう)のメッシュ毎に、数値の羅列として出力されるが、土石流高速シミュレーションツール部は、堆積深等の計算結果を深さによって色分けした地理情報を持つ時系列画像も同時に出力させることが可能である。このため、シミュレーション計算終了後すぐにGIS上で結果を確認することができる。
また、砂防基盤図等他の地形図にオーバレイが可能で、どの建物に氾濫が及ぶかを容易に確認できる。
さらに、土石流高速シミュレーションツール部は、GISが持っている鳥瞰図表示機能にシミュレーション結果画像を重ね合わせることで、時系列の三次元表示も可能となっている。
前述のGISは、図示しないSabo・D−MACというシステムに備わっている機能である。このシステムは、電子化された多様な砂防関連情報を「地理的な位置情報」を指標として一元管理することができるので、事務所職員が各自の机上パソコンで情報を呼び出して利用することが可能なイントラネット型システムである。
また、Sabo・D−MACの基本的な機能は、地図とデータベース、フォルダ等の連携検索機能であり、
(1) 監視・観測データ管理システム
(2) 事業進捗管理システム
(3) 三次元データ解析システム等をオプションとして追加することが可能な拡張型システムとなっている。
ここでは土石流高速シミュレーションツール部と密接に関連する三次元データ解析機能について以下に述べる。
三次元データ解析機能は、
1)任意測線の縦横断面図表示機能
2)任意範囲の鳥瞰図表示機能
3)最低河床線(縦断)探索機能
4)任意の堆砂勾配による堆砂域表示及び堆砂量計算機能
等である。
ここで使用する三次元データはシミュレーションで用いるLPデータと、砂防基盤図で作成されているTIN(Triangulated Irregular Network:地表面を三角形の集合で表現するデジタルデータ)とを使用している。
また、シミュレーションを適用する渓流の設定や結果の可視化、あるいは後述する天然ダムの越流決壊を想定したLADOF(Landslide Dam Overflow Flood)モデルは、天然ダムの越流侵食に関する数値シミュレーションモデルである。
このLADOFモデルを使用してのハイドログラフ計算等は、これらの三次元解析機能を活用して実行される。
以下に本実施の形態の土石流氾濫域高速シミュレーション装置の構成について図1を用いて説明する。
以下に示す本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法の一例を示すものであって、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載されたものであり、この技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
図1は本実施の形態の土石流氾濫域高速シミュレーション装置10の概略構成図である。
図1に示すように、土石流氾濫域高速シミュレーション装置10は、表示部30と、マウス20と、土石流高速シミュレーションツール部100と、LPデータを記憶したLPデータ用データベース200と、地理情報用データベース300と、県又は地域単位の砂防基盤図を記憶したデータベース400と、GISのレイヤー化部500と、土石流情報算出ツール部600と、GUI部140(グラフィックユーザインターフェース部)と、最低河床線自動描画部150等を備え、GISの等高線図上において指定された氾濫シミュレーション枠(二次元地形データともいう)におけるLPデータのZ座標をバイナリ変換して後述する指定範囲二次元地形モデルを作成し、このモデルの各メッシュに標高データに応じた氾濫のシミュレーション結果を色別表示する。
前述の土石流情報算出ツール部600は、任意側線の縦横断面図表示機能、任意範囲の鳥瞰図表示機能、最低河床線(縦断)探索機能、任意の堆砂購買による堆砂域表示及び堆砂量計算機能等を含んでいる。
LPデータ用データベース200には、対象物の三次元座標(Xi、Yi、Zi)及び反射強度等を有するLPデータ(DEM:数センチ間隔)がテキスト形式で保存されている。
地理情報用データベース300には、対象地域の等高線図、道路地図、河川地図、住居地図、オルソ画像等が記憶されている。
これらはベクター形式又はラスタ形式である。ラスタ形式の場合はテキスト形式のワールドファイルが対応させられている。
GISのレイヤー化部500(以下単にレイヤー化部500という)は、地理情報用データベース300又は各メモリに記憶されているデータを重ねて表示部30に表示する。
また、GISのレイヤー化部500は、土石流情報算出ツール部600で作成された画像を重ねて表示部30に表示させる。
土石流高速シミュレーションツール部100は、図1に示すように、メッシュ化部101とバイナリ化部103と氾濫シミュレーション範囲設定部110と指定範囲二次元地形モデル算出部120と土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160等を有する。また、各種メモリを有する。
これらは、ROM、RAM、CPU等で実行されるプログラムであり、プログラミング言語をVB.NETからC++にコンバートすることで、より高速化を実現している。
これによって、氾濫シミュレーション枠においてLPデータを生かした詳細な解析が可能なプログラムとなっている。
そして、C++を用いることで、
(1) 動的なメモリ確保とメモリ操作
(2) ポインタによる配列アクセスの高速化
(3) 新たなクラス作成機能
(4) 既存の画像処理ライブラリの利用
が可能となる。
(動的なメモリ確保とメモリ操作)
C++はプログラム実行中必要に応じて動的にメモリ(配列)を確保可能な機能を持っており、その機能を用いることにより二次元地形データのメッシュ数に対してフレキシブルに対応できる。また、一般的なシミュレーションプログラムは配列間のデータコピーが頻繁に発生するが、C++はメモリ間のコピーに対して高速な関数を持っており処理の高速化を実現できる。
(ポインタによる配列アクセスの高速化)
C++が持つポイント機能を用いることにより配列の任意位置へのアクセスを高速に行うことができる。
(新たなクラス作成機能)
C++は必要に応じて新たなクラス(言語に新たな機能を付加する仕組み)を作成する機能を持っており、本実施の形態のシミュレーションの処理(プログラム)では指定範囲二次元地形モデルWMiを作成するため、巨大ファイルアクセスクラスや行列処理クラスを用いる。
(既存の画像処理ライブラリの利用)
また、本実施の形態のシミュレーションの処理は、処理結果を時系列的に確認できるようPNGフォーマットの読み込みや作成に関しては高速なライブラリが既に公開されており、このような資産を活用することによりバグが少ない高速なプログラムを作成することができる。
<各部の説明>
メッシュ化部101は、LPデータ用データベース200から指定された地域のLPデータをメモリ102aに全て記憶する。このメモリ102aは平面直角座標系で定義されている。
そして、メモリ102aの原点を基準にし、入力された解像度(1m又は2.5m・・・:任意)に基づいて一定間隔でLPデータを繋げたメッシュ群をメモリ102aに生成する(図2参照)。本実施の形態では1mとして説明する。
なお、解像度が2.5mの場合は2.5mのメッシュLiを作成する。また、メッシュLiの作成に伴って、このメッシュ番号とメッシュLiの縦横座標とメッシュLiのサイズ(1m)等を含むワールドファイルをメモリ102bに生成する。
バイナリ化部103は、メッシュ化部101によってメモリ102aにLPデータのメッシュ群が生成されると、メッシュLi(グリッドともいう)の各頂点を形成するテキスト形式のZ座標をバイナリ変換し(4バイト)、このバイナリデータLpbiをメッシュ番号に関連付けてメモリ106に記憶する。つまり、メッシュLiの各頂点にはバイナリ化されたZ座標が割り付けられていることになる。
なお、本実施の形態のバイナリ変換を行うのは画像ファイル形式に変換するためであり、ファイル形式は、TIFF、BMP、JPEG又はPNG等のファイル形式である。本実施の形態ではPNGファイルにしている。
PNGファイルの場合は、カラー値が埋め込まれるフィールドにバイナリ変換されたZ座標を埋め込んでいる。
最低河床線自動描画部150は、表示部30の画面に表示されている地形図上において一次渓流線の設定が指示され、かつ上流端P1及び下流端P2が指示されると、一次渓流用のメモリ162(平面直角座標系を定義)を生成する。
そして、この両方の端点までの一次渓流線を求めて一次渓流用のメモリ162に記憶し、これをレイヤー化部500で重ね表示させる(図3参照)。
氾濫シミュレーション範囲設定部110は、表示部30の下流端P2の設定に伴ってメモリ165(平面直角座標系)を生成する。
次に、この下流端P2を基準にして1km×1kmの四角枠(氾濫シミュレーション枠Wiという)をメモリ165(平面直角座標系)に生成して、これをレイヤー化部500により重ね表示させる(図4参照)。
また、氾濫シミュレーション範囲設定部110は、下流端P2が指定されると、メモリ113を生成し、下流端P2に対応する地図上の位置(Xi,Yi)をメモリ113に読み込む。本実施の形態ではメモリ113に記憶された下流端P2の位置(X,Y)を基準位置P2aと称する。
指定範囲二次元地形モデル算出部120は、メモリ113に記憶された基準位置P2a(下流端P2)と、氾濫シミュレーション枠Wi(例えば1km×1km又は1km×2km・・)とを読み込む。
そして、メモリ102bのワールドファイルに基づいて、基準位置Pa2(下流端P2)をメモリ102aのメッシュLiに投影し、この投影位置を投影基準位置PQ2とし、この投影基準位置PQ2から氾濫シミュレーション枠Wiをメモリ102aに定義する。 次に、この氾濫シミュレーション枠Wi内のメッシュLiの塊をLPデータ用シミュレーション領域LWiとしてメモリ106に読み出す。
さらに、指定範囲二次元地形モデル算出部120は、メモリ106のLPデータ用シミュレーション領域LWiの投影基準位置PQ2から1m間隔で各メッシュLiに位置LBi(X,Y)を順次定義する。
そして、各メッシュLiの最小二次元座標(Ximin,Yimax)と最大二次元座標(Ximax,Yimax)とを直線TLiで結んで各メッシュLiに三角形を形成し、この三角形の各頂点に割り付けられているZ座標(バイナリデータ)の平均値を求める。
これを、LPデータ用シミュレーション領域LWiのメッシュLiにおける標高データHiと称する。
次に、メッシュ番号とこのメッシュLiの二次元座標(X,Y)とメッシュLiのサイズと標高データHiとを関連付けたデータを指定範囲二次元地形モデルWMiとしてメモリ130に記憶する。
つまり、指定範囲二次元地形モデルWMiは二次元座標が割り付けられているからワールドファイルで定義されていることになる。このワールドファイルはメッシュ番号に関連付けてメモリ131に記憶するのが好ましい。
土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160は、GUI部140を介して入力された指示に基づいて、土石流情報算出ツール部600(任意側線の縦横断面図表示機能、任意範囲の鳥瞰図表示機能、最低河床線(縦断)探索機能、任意の堆砂購買による堆砂域表示及び堆砂量計算機能等)を起動させ、これらの解析結果をメモリ163(163a、163b・・)に記憶して、レイヤー化部500によって重ね表示させる。
また、必要に応じてメモリ130の指定範囲二次元地形モデルWMiに、解析結果を反映させたデータをメモリ164に記憶する。
<動作説明>
図5は本実施の形態の指定範囲二次元地形モデル算出部120の指定範囲二次元地形モデルWMiの生成過程を説明するフローチャートである。図6は図5の補足説明図である。
本実施の形態1では、既にLPデータのZ座標がバイナリ化部103によって、バイナリ変換されてメモリ106に記憶されているとする。
また、画面に表示した地形図において、上流端P1、下流端P2が指定されて、最低河床線自動描画部150によって一次渓流線が描かれたとして説明する。
氾濫シミュレーション範囲設定部110は、表示部30の画面の地図上に下流端P2が設定されると、この下流端P2を基準にして氾濫シミュレーション枠Wiを画面の地図上に表示する(S1:図4参照)。
次に、氾濫シミュレーション範囲設定部110は、下流端P2の指定に伴ってメモリ113を生成し、この下流端P2の地図上の位置(Xi,Yi)をメモリ113に記憶する(S2)。
次に、指定範囲二次元地形モデル算出部120は、下流端P2がメモリ113に記憶されると、この下流端P2の位置(Xi,Yi)を読み出してメモリ102aのメッシュ群に投影する(S3)。
そして、この投影基準位置PQ2を基準にして、メモリ102aのメッシュ群に氾濫シミュレーション枠Wiを定義する(S4)。
次に、メモリ102aの氾濫シミュレーション枠Wi内のメッシュLiの塊をメモリ106に読み出す(S5)。このメモリ106に読み出されたメッシュの塊を本実施の形態ではLPデータ用シミュレーション領域LWiと称する。
次に、指定範囲二次元地形モデル算出部120は、メモリ106のLPデータ用シミュレーション領域LWiの投影基準位置PQ2から1m間隔で各々のメッシュに位置LBi(Xi,Yi)を順次定義する(S6)。
そして、この位置LBi(投影基準位置PQ2を含む)を有するLPデータ用シミュレーション領域LWiのメッシュLiを順次指定する(S7)。
次に、この指定したメッシュLi毎に、三頂点のバイナリデータLpb1、Lpb2、Lpb3を平均化して、このメッシュLiにおける標高データHiを求める(S8)。
この標高データHiの求め方について図6を参照して説明する。図6(a)には、メモリ106のLPデータ用シミュレーション領域LWiにおけるメッシュ群等を示している。なお、メッシュの頂点に割り付けられているm,nはメモリ102bのワールドファイルが示す座標(X,Y)を意味する。
また、図6(a)には、メモリ106のLPデータ用シミュレーション領域LWiにおける投影基準位置PQ2を示している。
そして、図6(a)に示すように、LPデータ用シミュレーション領域LWiの枠線を含む各々のメッシュLiにおいて、最小座標(Ximin,Yimi)と最大座標(Ximax,Yimax)とを結ぶ直線TLiを定義する(Aステップという)。
次に、LPデータ用シミュレーション領域LWi内の投影基準位置PQ2が定義されているメッシュLiを指定する(Bステップという)。
次に、投影基準位置PQ2を位置LBiとして、この位置LBiから1m間隔で各々のメッシュに位置LBiを順次定義する(Cステップという)。
次に、位置LBiがメッシュに定義される毎に、このメッシュの三頂点に割り付けられているZ座標であるバイナリデータLpb1、Lpb2、Lpb3を読み込み、平均化処理(重み付け係数を用いる)によって図6(b)に示すように標高データHiを決定する(Dステップという)。
なお、図6(b)に示す標高データHiは、三頂点に割り付けられているバイナリデータLpb1、Lpb2、Lpb3の平均値が三角形内に割り付けられたことを示すものである。
次に、指定範囲二次元地形モデル算出部120は、図5に示すように、これらのメッシュの番号と、ワールドファイルの二次元座標(X,Y)と、標高データHi等を指定範囲二次元地形モデルWMiのデータとしてメモリ130に記憶する(S9)。
従って、図7に示すような、指定範囲二次元地形モデルWMiがメモリ130に生成されることになる。
すなわち、図7に示すように、指定範囲二次元地形モデルWMiの各メッシュには標高データ(Hi)のみが割り付けられていることになるから、土石流の氾濫シミュレーションを行った場合には、処理速度が非常に早い。1km×1kmの氾濫範囲では数分で処理が終了する。
上記のようにして生成した指定範囲二次元地形モデルWMiを用いて前述の土石流氾濫シミュレーション結果表示ツール、土石流情報算出ツール部600を起動した例を本実施の形態の土石流氾濫域高速シミュレーション装置の動作として説明する。
図8は本実施の形態の土石流氾濫域高速シミュレーション装置の動作を説明するフローチャートである。
図8に示すように、マウス20を操作してGISの画像上(地図)で解析対象渓流を設定する(S31)。
この解析対象渓流の設定は一次元渓流線の設定とも称する。
一次元渓流線の設定は、渓流の上下端を地図上に指定し、最低河床線自動描画機能を用いて設定する(図3参照)。
つまり、表示部30の画面に表示された地図(等高線が含まれている地図)において、マウス20で上流端P1と下流端P2とを設定して、最低河床線自動描画部150によって一次元渓流線を描かせる。
具体的には、上端及び下端を指定すると最低河床線自動描画部150は基準となる座標を中心とした半径5mの円周上で最も低い座標を自動的に検索する。この処理を再帰的に行うことにより渓流の最低河床線(縦断)を探索・描画する。
なお、一次元渓流線上の構造物及び観測点の設定についても、同様にGISの画像上に設定できる。
また、天然ダム等を対象にした氾濫シミュレーションを行う場合は、天然ダム等の位置と高さを設定し、さらに貯水量の算出、LADOFモデル等によるハイドログラフを画面に表示する(S32、S33、S34)。
前述のLADOFモデルによるハイドログラフの設定は、本実施の形態の土石流高速シミュレーションツール部100は、計算に必要なパラメータファイルをエクセルやテキストエディタを使って作成する仕組みを持っている。
このため外部で計算されたデータ、例えばLADOFモデルで計算されたハイドログラフデータを指定範囲二次元地形モデルWMiに反映させて土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160が利用することができる。このような組み合わせで、天然ダムの越流決壊による土石流シミュレーションを簡便かつ高精度に実施することが可能となった。
LADOFモデルは、土石流から掃流状集合流動への遷移過程を解析する手法として、流動層を二層に分けて解析する2層流モデルをベースとした一次元計算モデルである。側岸侵食速度式は流速の1乗に比例するという考え方に基づき、2層流モデルに側岸侵食速度式を導入して天然ダムの越流・決壊過程を計算するモデルである。
LADOFモデルの計算には、地形モデルや湛水域、湛水量等のデータが必要となるが、Sabo・D―MACは、天然ダムの規模を与えて湛水量・湛水面積を自動計算する機能を有している。これらの機能と連携させることで、天然ダム決壊に伴う任意地点のハイドログラフ、土砂濃度を算出させる。
そして、氾濫シミュレーション範囲設定部110が入力された範囲(100m×100m、20m×200m、500m×500m、1km×1km・・)に対応する氾濫シミュレーション枠Wi(二次元地形範囲ともいう)の下流端P2を基準にして設定する(S35:図4参照)。
なお、氾濫シミュレーション枠Wiの設定は、縦横のメッシュ数とメッシュサイズを指定するとそれに応じた枠の大きさになり、さらに変更する場合はマウス20を用いて、その枠を上下、又は左右に動かすことで範囲を設定することが可能である。
また、図9に示すように、堰堤ダム等の構造物の位置である観測点の位置を入力する(S36、S37)。そして、土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160は、渓流線(最低河床線ともいう)とシミュレーション用一次元地形モデル(図示せず)を作成する(S38)。
前述の観測点は、図9に示すように最低河床線を横切るように堰堤を指示すると、土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160が図10に示すようにこの堰堤における横断面図を表示する。
担当者が堰堤の高さを入力すると図10の赤線で示す堰堤を設定し、堰堤と地形断面との交点座標を計算したモデルをメモリ163a、・・のいずれかに作成する。
次に、土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160は、設定した堰堤高と最低河床線から図11に示す堆砂勾配を設定するための縦断面図を表示する。任意の堆砂勾配を設定することにより堆砂勾配線と最低河床線との交点座標を算出する。さらに堰堤軸両端の座標と堆砂末端座標から堆砂面の式を算出する。
これによって、堆砂域と堆砂量の算出が可能である。例えば、堆砂勾配の設定で算出した堆砂面の式とLPデータを用いて堆砂域と堆砂量を算出する。
堆砂域は、LPデータの格子点座標と堆砂面の式から、その平面座標における堆砂面での標高データを算出し、LPデータに基づく標高データと比較することにより堆砂域の判定を行ってその結果を表示する(図12参照)。
この機能を活用して、以下の解析が可能となる。なお、図12はラスタ画像で示している。なお、地理情報用データベース300にはこのラスタ画像のワールドファイルを関連付けて記憶している。
次に、LPデータから前述の指定範囲二次元地形モデルWMiを作成する(S40)。
つまり、指定範囲二次元地形モデル算出部120がテキスト形式のLPデータをメッシュ化して、このメッシュの各頂点のZ座標をバイナリ変換して各々のメッシュの標高データを求め、この標高データHiを割り付けた指定範囲二次元地形モデルWMiを生成している。
次に、シミュレーション用緒言データを作成してメモリ166に記憶する(S41)。
このような工程を終えた後で、実行ボタンを押すと、メモリ166のシミュレーション緒言データを用いて土石氾濫シミュレーション結果表示ツール160が土石流氾濫シミュレーションを実施する(S42)。
次に、シミュレーション計算結果の画像をメモリ163に生成して(S43)、レイヤー化部500でこの画像を重ね表示させる(S44)。このシミュレーション結果を時刻毎に三次元的に表示させて(S45)、このときの計算結果をメモリ(図示せず)に記憶して管理し、必要に応じて表示する(S46)。
なお、図13は、指定範囲におけるシミュレーション結果の表示を示している。色値に応じて土石堆積量が分かるようになっている。
また、ハイドログラフや土質定数等のパラメータを変更したい場合は専用のエクセルシートから行う。シミュレーション結果は指定した時間間隔で数値データと共に画像データとしても出力される。画像データは地理座標を有しているのでGIS上に表示することができる。
また、Sabo・D−MACの機能を利用した三次元(鳥瞰図)表示も可能である。結果の出力状況を図14に示す。
以下に天然ダム越流決壊を想定したシミュレーションの結果を示す(図15、図16)。
図15は二次元地形モデルのメッシュサイズを10mとした場合、図16はメッシュサイズを20mとした場合の氾濫想定区域図である。両図とも同じ計算パラメータで1.500秒間の計算を行なっているが、メッシュサイズが大きいほど流速が早くなって氾濫想定区域が広くなる。このケースでは図16のほうが実態を反映している。
なお、図17には地図を表示しないで、指定範囲二次元地形モデルWMiの標高データに応じた氾濫シミュレーション結果を色別表示した例を示している。
すなわち、図8の各工程を踏んだ場合には、マウスによる氾濫シミュレーション枠WiのLPデータを用いて作成したメッシュの各頂点のZ座標値がバイナリ変換されて、これらの平均値をメッシュの標高データHiとしているので処理は短時間ですむことになる。
従って、砂防堰堤の計画規模や配置計画の検討、大規模災害発生時(天然ダム形成時)の諸量の算定、既設砂防堰堤の維持管理(アセットマネジメント)等を高速に行うことができる。
10 土石流氾濫域高速シミュレーション装置
30 表示部
100 土石流高速シミュレーションシステム
101 メッシュ化部
103 バイナリ化部
110 氾濫シミュレーション範囲設定部
120 指定範囲二次元地形モデル算出部
150 最低河床線自動描画部
160 土石氾濫シミュレーション結果表示ツール
200 LPデータ用データベース
500 レイヤー化部
600 各種解析ツール部

Claims (8)

  1. 地域の地理情報を記憶し、該地理情報に含まれている渓流域を含む地形図を読み込んで画面に表示するGIS部と、
    前記渓流域を流れる土石流情報を求める土石流情報算出ツール部と、
    前記地域にレーザを照射して得た、テキスト形式の三次元座標を含むLPデータを記憶したデータベースと、
    前記LPデータの内で一定間隔を有するLPデータ同士が繋げられてメッシュ化されたメッシュのデータが記憶された第1の記憶手段と、
    指定範囲二次元地形モデルが記憶される第2の記憶手段と
    を用意して、
    コンピュータが、
    前記データベースから前記地域のLPデータを読み込んで、これらを一定間隔で繋げてメッシュ化し、これらのメッシュの各々の頂点を形成する前記テキスト形式のLPデータを前記メッシュのデータとしてメッシュに関連付けて前記第1の記憶手段に記憶する工程と、
    前記第1の記憶手段のメッシュを順に指定し、該指定毎に、このメッシュの各頂点のデータのテキスト形式のZ座標をバイナリ変換する工程と、
    前記地形図の渓流域の上端と下端とを指定させて、この上端と下端との間に渓流線を求めて前記地形図に重ね表示させる工程と、
    前記渓流線の下端を基準にして、該下端から予め設定されているエリアの枠を氾濫シミュレーション枠として前記地形図に重ね表示させる工程と、
    前記地形図上の前記下端の二次元座標を有する前記メッシュを前記第1の記憶手段から検索し、該検索したメッシュに前記下端の二次元座標の位置を定義する工程と、
    前記メッシュに投影された下端の位置を基準位置とし、この基準位置から前記氾濫シミュレーション枠を前記第1の記憶手段のメッシュ群上に定義し、この氾濫シミュレーション枠内のメッシュの塊をLPデータ用シミュレーション領域として定義する工程と、
    前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの各頂点に割り付けられている各々のZ座標のバイナリデータの平均値を求め、これを前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの標高データとする工程と、
    前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュあたりの標高データが求められる毎に、このメッシュの二次元座標とメッシュのサイズとその標高データとを関連付け、これを前記指定範囲二次元地形モデルとして前記第2の記憶手段に記憶する工程と、
    前記一定時間あたりに前記渓流域を流れる土石流情報を前記土石流情報算出用ツール部によって求めさせ、この算出結果を前記第2の記憶手段の指定範囲二次元地形モデルの前記下端に対応するメッシュから順に反映させてその結果を色別表示させる工程と
    を行うことを特徴とする土石流氾濫域高速シミュレーション方法。
  2. 前記色別表示は、
    前記指定範囲二次元地形モデルのメッシュの標高データに基づいて氾濫の度合いを色別表示することを特徴とする請求項1記載の土石流氾濫域高速シミュレーション方法。
  3. 前記検索されたメッシュの各頂点は、該メッシュのいずれかの互いに対する頂点同士であることを特徴とする請求項1又は2記載の土石流氾濫域高速シミュレーション方法。
  4. 前記コンピュータが、
    前記GIS部から前記地理情報に含まれている砂防基盤図を読み出して前記地形図に重ね表示する工程と
    を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の土石流氾濫域高速シミュレーション方法。
  5. 地域の地理情報を記憶し、該地理情報に含まれている渓流域を含む地形図を読み込んで画面に表示するGIS部と、
    前記渓流域を流れる土石流情報を求める土石流情報算出ツール部と、
    前記地域にレーザを照射して得た、テキスト形式の三次元座標を含むLPデータを記憶したデータベースと、
    前記LPデータの内で一定間隔を有するLPデータ同士が繋げられてメッシュ化されたメッシュのデータが記憶された第1の記憶手段と、
    指定範囲二次元地形モデルが記憶される第2の記憶手段と
    前記データベースから前記地域のLPデータを読み込んで、これらを一定間隔で繋げてメッシュ化し、これらのメッシュの各々の頂点を形成する前記テキスト形式のLPデータを前記メッシュのデータとしてメッシュに関連付けて前記第1の記憶手段に記憶する手段と、
    前記第1の記憶手段のメッシュを順に指定し、該指定毎に、このメッシュの各頂点のデータのテキスト形式のZ座標をバイナリ変換する手段と、
    前記地形図の渓流域の上端と下端とを指定させて、この上端と下端との間に渓流線を求めて前記地形図に重ね表示させる手段と、
    前記渓流線の下端を基準にして、該下端から予め設定されているエリアの枠を氾濫シミュレーション枠として前記地形図に重ね表示させる手段と、
    前記地形図上の前記下端の二次元座標を有する前記メッシュを前記第1の記憶手段から検索し、該検索したメッシュに前記下端の二次元座標の位置を定義する手段と、
    前記メッシュに投影された下端の位置を基準位置とし、この基準位置から前記氾濫シミュレーション枠を前記第1の記憶手段のメッシュ群上に定義し、この氾濫シミュレーション枠内のメッシュの塊をLPデータ用シミュレーション領域として定義する手段と、
    前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの各頂点に割り付けられている各々のZ座標のバイナリデータの平均値を求め、これを前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュの標高データとする手段と、
    前記LPデータ用シミュレーション領域のメッシュあたりの標高データが求められる毎に、このメッシュの二次元座標とメッシュのサイズとその標高データとを関連付け、これを前記指定範囲二次元地形モデルとして前記第2の記憶手段に記憶する手段と、
    前記一定時間あたりに前記渓流域を流れる土石流情報を前記土石流情報算出用ツール部によって求めさせ、この算出結果を前記第2の記憶手段の指定範囲二次元地形モデルの前記下端に対応するメッシュから順に反映させてその結果を色別表示させる手段と
    を有することを特徴とする土石流氾濫域高速シミュレーション装置。
  6. 前記色別表示は、
    前記指定範囲二次元地形モデルのメッシュの標高データに基づいて氾濫の度合いを色別表示することを特徴とする請求項5記載の土石流氾濫域高速シミュレーション装置。
  7. 前記検索されたメッシュの各頂点は、該メッシュのいずれかの互いに対する頂点同士であることを特徴とする請求項5又は6記載の土石流氾濫域高速シミュレーション装置。
  8. 前記GIS部から前記地理情報に含まれている砂防基盤図を読み出して前記地形図に重ね表示する手段と
    を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の土石流氾濫域高速シミュレーション装置。
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