JP6199569B2 - 高強度鋼線の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度鋼線の製造方法に関する。なかでも、熱処理及びめっき処理工程の生産性が優れた製造方法に関する。
タイヤを初めとするゴム物品等の補強材に、従来から、スチール素線を撚り合わせた、又は撚り合わせずに束ねたスチールコードが用いられている。このスチール素線として用いられる高炭素鋼線は、一般的な例では、次の工程により製造されている。
炭素を0.70〜0.95質量%程度で含有し、線材メーカによるステルモア冷却処理によりパーライト組織を有する直径5.5mm程度の高炭素鋼線材を用意する。この高炭素鋼線材に、所定の中間線径まで乾式伸線による中間伸線を施した後にパテンティングといわれる熱処理を施す工程、すなわち伸線−熱処理工程を少なくとも1回行う。伸線−熱処理工程の最終熱処理を行ってパーライト組織を有する鋼線材に銅めっきを施し、更に、銅めっき上に亜鉛めっきを施し、その後、加熱装置にて銅と亜鉛とを熱拡散させてブラスめっきとする。所定の中間線径を有しブラスめっきが被覆された鋼線に湿式伸線による最終伸線を施して所望の最終線径と引張強さとを有する高炭素鋼線を得る。
この高炭素鋼線の製造過程におけるパテンティング処理は、伸線加工に適した均一で微細なパーライト組織を得るために行う処理である。しかし、パテンティング処理を行っていても、高炭素鋼の伸線加工限界は、通常、伸線前後の線径により求められる真歪の値で4.1以下であった。したがって、ゴム物品等の補強材用のスチール素線のように最終線径が小さい鋼線を製造する場合には、最終伸線前に行うパテンティング処理、すなわち最終パテンティング処理時及び当該最終パテンティング処理後のめっき時の鋼線の直径は相対的に小さいものであった。
特許文献1には、優れた伸線加工性をもたらす金属組織を得る熱処理を行う鋼材の製造方法が提案されていて、伸線加工歪、すなわち本発明でいう真歪が3.5を超えるような大きな伸線加工を施した場合でも内部クラック等の発生を抑制することができる旨が記載されている。しかし、特許文献1の方法で行われる伸線加工は、せいぜい真歪が4.1程度である。したがって、最終パテンティング処理とその後のめっき処理時の鋼線の直径は、従来の方法と同様に小さいままである。
特許文献2には、中炭素鋼で高強度と高延性を具備する極細鋼線の製造方法が提案されていて、真歪で4.5以上の引き抜き加工を施すことが記載されている。しかし、特許文献2の方法は、炭素含有量が0.30〜0.60質量%の中炭素鋼に伸線を行う方法であり、熱処理での金属組織の制御が難しく、且つ、容易に材料を入手するには困難である。
特開平10−287955号公報 特開平6−2039号公報
高炭素鋼線の製造過程において、乾式や湿式の伸線の処理に比べて、パテンティングと当該パテンティングに引き続くめっきの処理は、格段に処理速度が低い。したがって、鋼線の生産性を高めるためには、パテンティング処理と当該パテンティング処理に引き続くめっき処理の生産性を高めるのが望ましい。パテンティング処理及びめっき処理の生産性を高める方法には、熱処理設備やめっき設備で連続的に処理される中間線材の移動速度を上げるか、パテンティング処理及びめっき処理を施す中間線材の直径を太くすることが考えられる。しかし、パテンティング処理中の中間線材の移動速度を上げようとすると長大な設備を要する。また、パテンティング処理時の中間線材の線径は、最終伸線における伸線加工限界による制約を受けるため、現状では中間線材の直径を太くして最終伸線での厳しい加工を行うのが困難であった。仮に、中間線材の直径を太くして最終伸線での厳しい加工を行った場合、延性が低下し、伸線途中で断線などを起こすか、仮に断線が起きなくても得られた鋼線は所定の強度よりも強度が高く、破断し易い鋼線となってしまい、よって所望の特性の鋼線が得られなかった。更に、めっき処理の場合も中間線材の移動速度を上げようとすると、限界電流密度の制約を受けて、長いめっき設備を必要とする。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、熱処理設備やめっき処理設備の長大化を生じさせることなく高強度鋼線の生産性を高めることのできる高強度鋼線の製造方法を提供することを目的とする。
発明者が鋭意検討した結果、パテンティング処理及びめっき処理を行う鋼線の直径を大きくすること、パテンティング後の鋼線の引張強さを低く制御して、これによりパテンティングに引き続くめっき処理後に、引張強さが低い鋼線を得ること、最終伸線工程では引張強さが低い鋼線に強加工を行って最終伸線工程後に所望の線径と引張強さを得ることにより、パテンティング処理及びめっき処理の生産性を改善しつつ、高強度鋼線を製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の高強度鋼線の製造方法は、パーライト組織を有する高炭素鋼線材を、中間線径まで伸線加工し中間線材を得る前伸線工程と、該中間線材に対して、パテンティング処理と該パテンティング処理に引き続くブラスめっき処理とを施して最終熱処理線材を得る最終熱処理めっき工程と、該最終熱処理線材を伸線加工して鋼線を得る最終伸線工程と、を含み、該最終伸線工程により、直径Dfが0.10mm〜0.40mmであって、引張強さZ(MPa)が直径Dfとの関係で次の(1)式:
Z≧2250−1450logDf (1)
を満たす高強度鋼線を得るにあたり、前記前伸線工程に供する高炭素鋼線材が、0.62質量%ないし0.95質量%の炭素を含有するものであり、前記中間線材の線径が2.8〜4.0mmであり、前記最終熱処理めっき工程のブラスめっき処理により、厚みが2.0〜5.0μmのめっき層を形成し、前記最終熱処理めっき工程後の最終熱処理線材の引張強さを800〜1100MPaに調整し、前記最終伸線工程にて、該最終伸線工程前の最終熱処理線材の線径と該最終伸線工程後の鋼線の線径とで求められる真歪が4.2以上となる引抜き加工を行う、ことを特徴とする。
本発明の高強度鋼線の製造方法において、最終伸線工程においては、乾式伸線を経てから湿式伸線を行うことができる。更に、ブラスめっき処理後、乾式伸線前の最終熱処理線材に、下地コーティング剤の皮膜を形成してもよい。
本発明によれば、パテンティング処理とブラスめっき処理とを従来よりも太径で実施することにより、従来よりも熱処理効率及びめっき処理の生産性を高めることができ、また、パテンティング処理により引張強さを低くして、めっき処理後に行う最終伸線工程で強加工を行うことにより高強度鋼線を得ることができることから、熱処理とめっき処理を効率的に施した高強度鋼線の製造方法を実現することが可能となった。
本発明の高強度鋼線の製造方法による製造工程の一例のフロー図である。 本発明の高強度鋼線の製造方法による製造工程の別の例のフロー図である。 従来の高強度鋼線の製造方法による製造工程の一例のフロー図である。
図1は、本発明の高強度鋼線の製造方法による製造工程の一例のフロー図である。図1において、パーライト組織を有する高炭素鋼線材を用意する。高炭素鋼線材は、炭素を0.60質量%ないし0.95質量%の範囲の炭素を含む材料とすることができ、この範囲の鋼材は、亜共析鋼から過共析鋼までを包含し、鋼材メーカでのステルモア冷却処理によりパーライト組織を有している。炭素は、鋼の強度を向上させる成分であるため、炭素含有量は、最終的に得ようとする鋼線の引張強さに応じて含有させるが、0.60質量%に満たないような炭素含有量では、鋼線の所望の強度を得るのが難しい。また、0.95質量%を超えるような炭素含有量では、健全なパーライト組織を得るのが難しくなるおそれがある。高強度鋼線の引張強さは、製造工程中の最終伸線で加えられる歪の量によっても変動するので、高強度鋼線の所定の強度と、最終伸線で加える歪量とを勘案して上記の炭素含有量の範囲内で選択することができる。例えば、上記の炭素含有量の範囲内で、炭素量が少ないほど最終伸線の歪量を大きくすることができ、めっき処理時の生産性を高めることができる。
高炭素鋼線材の線径は、例えば直径5.5mm程度のものとすることができる。
この高炭素鋼線材を伸線加工して(S1)、中間線材を得る。この伸線加工は、一次伸線工程と称する伸線加工であり、前伸線工程として行われる。前伸線工程とは、めっき処理の後に行われる最終伸線工程と区別する伸線加工であって、めっき処理の前に行われる伸線加工をいう。一次伸線工程は、複数のダイスを有する乾式伸線装置によって実施することができる。一次伸線工程により所定の線径の中間線材が得られる。中間線材の線径は、後工程の最終伸線工程において最終熱処理線材に加えられる真歪が4.2以上を満足するように定められる。具体的には、中間線材の線径は、最終伸線後の鋼線の直径が0.10mmの場合には0.82mm以上、0.40mmの場合には3.2mm以上とする。真歪が4.2以上を満たす範囲内で、好適な中間線材の線径は、例えば2.8〜4.0mmとすることができる。このような範囲の中間線材の線径は、従来の製造方法における中間線材の線径と比べて、十分に太い。
中間線材に対して、最終熱処理めっき工程を行う(S2)。この最終熱処理めっき工程は、パテンティング処理と該パテンティング処理に引き続くブラスめっき処理とを施して最終熱処理材を得る工程である。パテンティング処理は、加熱してオーステナイト化した鋼を急冷する熱処理のことである。パテンティング処理により、後で行われる最終伸線工程での伸線を容易にし、また、鋼線の破断を抑制する。ブラスめっき処理は、バテンティング処理後の中間線材の表面に黄銅(ブラス)めっきを形成する処理である。めっきの前処理として酸洗等を行うことができる。またブラスめっき処理は、中間線材に銅めっきを施した後、施された銅めっき上に亜鉛めっきを施し、その後、加熱装置にて銅と亜鉛とを熱拡散させてブラスめっきとする処理であってもよいし、合金化めっき処理であってもよい。また、ブラスめっき処理は、電解めっき、無電解めっきのいずれでもよい。ブラスめっき処理により中間線材の表面に形成された黄銅めっきは、後に行われる最終伸線工程時にダイスに対する潤滑を高める効果を有し、また、高強度鋼線がタイヤなどのゴム物品補強用に用いられるときにゴムとの接着性を向上させる効果があり、また、鋼線の耐食性を向上させる効果がある。
めっき処理により中間線材の表面に形成されたブラスめっきの厚みは、2.0〜5.0μmの範囲が好ましい。めっきの厚みが2.0μm未満では、後で行う最終伸線加工中にめっきが脱落してしまい、最終伸線後に所望のめっき厚が得られない。また、5.0μm以上の厚みを形成するには、既存のめっき設備では銅めっきの限界電流密度を超えるため、新たに長いめっき設備が必要となってしまう。また、銅めっきと亜鉛めっきを熱拡散させるため、十分な拡散を得るには大きな拡散設備となってしまう。
本発明の高強度鋼線の製造方法は、この最終熱処理めっき工程後に得られる最終熱処理線材の引張強さを800〜1100MPaに調整する。この引張強さは、従来の最終熱処理線材の強度と比べると、相対的に低い値である。最終熱処理線材の引張強さを800〜1100MPaに調整するためには、パテンティング処理時の変態温度を従来よりも上げることが好ましい。従来のパテンティング処理では、オーステナイト化した鋼を急冷してバーライト変態させる変態温度が550〜600℃程度の、パーライト組織が微細化する温度領域であった。本発明では、変態温度は、中間線材を熱処理するときの恒温変態曲線において、従来の変態温度よりも高温の、パーライト組織(中のセメンタイトラメラー)が粗大化する温度領域とする。このようなパーライト組織(中のセメンタイトラメラー)が粗大化する温度領域において、最終熱処理線材の引張強さが800〜1100MPaになるように、変態温度を、中間線材の炭素含有量等を考慮して適切に定めることができる。
ここで、最終熱処理線材の引張強さを800MPa未満にしようとすると、最終伸線前の引張強さを制御するために変態温度を高く設定したパテンティング処理で、変態させる時間を長く必要とする。そのため、引張強度は800MPa以上となる温度で制御する。また、引張強度を1100MPa以上とすると、最終伸線工程で延性が低下してしまい断線が発生し、所望の鋼線が得られない。そのため引張強度の上限を1100MPa以下とする。
最終熱処理線材を伸線加工して(S3)、鋼線を得る。この工程は、最終伸線工程と称する。この最終伸線は、直径Dfが0.10mm〜0.40mmである。このような線径の鋼線は、そのまま又は撚り合わせて、コードとしてタイヤ等のゴム物品補強に用いられる。鋼線の直径Dfが0.10mmに満たないと、鋼線が細すぎるために撚り合わせてコードとしてタイヤの補強に用いられるときに必要とする強力が得難い。また、鋼線の直径Dfが0.40mmを超えると、同じ曲げ変形応力の下では、鋼線の直径が太いほど歪が大きくなることから、実用的でない。
この鋼線は、引張強さZ(MPa)が、直径Df(mm)との関係で次の(1)式:
Z≧2250−1450logDf (1)
を満たすものとする。
引張強さZ(MPa)を、上記式(1)を満足する範囲とするのは、タイヤの補強材として鋼線が用いられる場合に必要な強力を確保するためであり、鋼線の線径が太いほど破断強力は高くなる。もっとも、所定の引張強さを確保できれば、鋼線は線径が太くなるほど製造難易度が増す。これらを総合的に勘案して、上記式(1)を満足させることとした。より好ましくは、Z≧2843−1450logDfである。
最終伸線工程では、最終伸線工程前の最終熱処理線材の線径と、該最終伸線加工後の鋼線の線径とで求められる真歪が4.2以上となる引抜き加工を行う。より具体的には、最終熱処理線材の線径をD0、鋼線の線径をDfとするとき、真歪εは、次式
ε=2ln(D0/Df)
で表され、この真歪εが4.2以上となる引抜き加工を行う。
最終伸線工程で加えられる加工による鋼線の真歪が4.2未満では、最終熱処理めっき工程で行うパテンティング処理やめっき処理時の中間線材の線径が、従来と比べて大差ないので、パテンティング処理やめっき処理において大きな生産性改善が見込めない。本発明は、真歪が4.2以上となる引抜き加工を行うことから、所定の最終線径に対する中間線材の線径が従来よりも太く、よって従来よりも太い線径の中間線材にパテンティング処理及びブラスめっき処理を施すことから、従来と同等又はそれ以上の所定の高強度を有する鋼線を製造する場合のパテンティング処理及びめっき処理の生産性を向上させることができる。また、最終伸線に供する中間線材の引張強さを800〜1100MPaに調整していることから、最終伸線工程で真歪が4.2以上となる引抜き加工を行っても、断線を抑制することができ、また、必要以上の鋼線の強度上昇を回避できる。
図2は、本発明の高強度鋼線の製造方法による製造工程の別の例のフロー図であり、図1と同じ工程には同じ符号を付していて、以下では重複する説明を省略する。図2に示した製造工程は、最終伸線工程(S3)が、乾式伸線装置による乾式伸線工程(S31)と、湿式伸線装置による湿式伸線工程(S32)との組み合わせからなる点で、図1に示したフロー図と相違し、それ以外の工程は図1と同じである。最終伸線工程(S3)は、湿式伸線装置による湿式伸線のみを行っても良いが、図2に示すように、乾式伸線装置による乾式伸線工程(S31)と、湿式伸線装置による湿式伸線工程(S32)との見合わせにより行ってもよい。
乾式伸線工程と湿式伸線工程との組み合わせの場合に、鋼線に加えられる4.2以上の真歪は、乾式伸線前の線材の直径と湿式伸線後の鋼線の直径とから求められる。中間線材はパテンティング処理によって十分に軟化していることから、最終伸線工程で乾式伸線と湿式伸線との間に、パテンティング処理等の熱処理をあらためて行う必要はない。
最終伸線工程で乾式伸線工程を経てから湿式伸線工程を行う場合に、乾式伸線前に、最終熱処理線材の表面に、下地コーティング剤の皮膜を形成することが好ましい。下地コーティング剤は、乾式伸線時に用いられる乾式潤滑剤の下地コーティングとなるものであって、この乾式潤滑剤の担体としての機能を有して当該乾式潤滑剤の付着性を向上させる。下地コーティング剤は、例えばボラックス(ほう砂)がある。この下地コーティング剤の皮膜を形成することによって、乾式潤滑剤の付着性不良を防止することができる。下地コーティング剤にボラックスを用いる場合の付着量は、例えば、1.0g/m以上とすることができる。ボラックスの付着量を1.0g/m以上とすることにより、下地コーティング剤としての効果を十分に得ることができる。
図3は、本発明との比較のために示す、従来の高強度鋼線の製造方法による製造工程の一例のフロー図である。図3に示す製造工程においては、まず線材を用意する。この線材は、図1及び図2に示した本発明の製造工程に用いられる材料、線径と同じであって、例えば炭素を0.60質量%ないし0.95質量%の範囲の炭素を含む高炭素線材、線径は径5.5mm程度のものとすることができる。線材は、一次伸線(S101)を行い、必要に応じて更に二次伸線(S103)を行う。この二次伸線(S103)を行う場合は、一次伸線(S101)後、二次伸線(S103)の前に、必要に応じて熱処理(S102)を行うことができる。二次伸線(S103)後の線材に、パテンティング処理及びブラスめっき処理を行う、最終熱処理めっき工程を行う(S104)。この最終熱処理めっき工程に供する線材の線径は、例えば0.8〜2.0mm程度であり、本発明の製造方法における中間線材の線径よりも細いものである。最終熱処理めっき工程後に、湿式伸線装置により最終伸線を行う(S105)。この最終伸線により所定の強度を有する鋼線が得られるが、真歪は4.2未満であった。
図3に示した従来の製造方法と比べて、図1及び図2に示した本発明の製造方法は、中間線材の線径が太く、最終伸線工程での真歪が大きいことから、パテンティング処理及びめっき処理の生産性が高いという効果を有する。
図2に示した製造工程に従って、表1〜4の実施例1〜14に示す線径0.30〜0.36mmの極細の鋼線を製造した。これらの鋼線を製造するに当たっては、前伸線工程としての一次伸線に使用する原材料に、炭素を0.72質量%及び0.62%質量%をそれぞれ含有する二種類の高炭素鋼線材を使用した。これらの高炭素鋼材に一次伸線を行った。一次伸線後にパテンティング処理を行い、この際に、最終熱処理材の引張強さを850〜1020MPaとするように変態温度を制御した。その後、銅めっきと亜鉛めっきを順次に施し、更に、熱拡散装置で銅と亜鉛を合金化させてブラスめっきを有する最終熱処理材得た。最終熱処理材に最終伸線加工として、まず乾式伸線にて1.4mmの直径へ伸線し、次いで湿式伸線にて0.30〜0.36mmの直径を有する鋼線に仕上げた。なお、一部の実施例は、めっき後に乾式伸線をする際、ボラックスの皮膜処理を施したものも実施した。また、表3の実施例11には最終熱処理材に最終伸線加工として、湿式伸線のみで仕上げた。更に、比較例1〜4として図3に示した製造工程に従って、一次伸線、熱処理、二次伸線、最終熱処理めっき、最終伸線を行ったもの、または一次伸線、最終熱処理めっき、最終伸線を行ったものも実施した。
実施例1〜14の鋼線を製造するときの原材料の炭素含有量、前伸線工程での真歪、最終熱処理線材の引張強さ、めっき厚、ボラックスの付着量、鋼線の直径、最終伸線工程での真歪の値を、比較例1〜4の鋼線の値と共に表1〜4に示す。また、実施例1〜14及び比較例1〜4の鋼線の引張強度、捻り特性、熱処理及びめっき処理の生産性について調べた結果を表1〜4に併記する。
<捻り特性評価方法>
各例において得られた鋼線の捻り特性は、鋼線の長さ100d(d:鋼線の直径)あたりの破断までの捻り回転数(破断までの捻り回転数/100d)により評価した。結果は各表における比較例を100とした指数にて示し、数値が大なるほど捻り特性に優れている。
<熱処理工程及びめっき工程の生産性評価方法>
各例において単位時間あたりの処理重量により評価した。結果は、各表における比較例を100とした指数にて示し、数値が大なるほど生産性に優れている。
Figure 0006199569
Figure 0006199569
Figure 0006199569
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表1〜4における実施例と比較例との対比から分かるように、各実施例の鋼線は、比較例と同じ直径を有する場合に、同等以上の引張強度を有し、かつ、比較例よりも優れた捻り特性を有していた。しかも、生産性は比較例に比べて格段に優れていた。
以上、本発明の高強度鋼線の製造方法を、実施例及び図面を用いて説明したが、本発明の高強度鋼線の製造方法は、上記実施例及び図面の規定に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、幾多の変形が可能である。
S1: 一次伸線工程
S2: 最終熱処理めっき工程
S3: 最終伸線工程
S31: 乾式伸線
S32: 湿式伸線

Claims (3)

  1. パーライト組織を有する高炭素鋼線材を、中間線径まで伸線加工し中間線材を得る前伸線工程と、
    該中間線材に対して、パテンティング処理と該パテンティング処理に引き続くブラスめっき処理とを施して最終熱処理材を得る最終熱処理めっき工程と、
    該最終熱処理線材を伸線加工して鋼線を得る最終伸線工程と、
    を含み、
    該最終伸線工程により、直径Dfが0.10mm〜0.40mmであって、引張強さZ(MPa)が直径Dfとの関係で次の(1)式:
    Z≧2250−1450logDf (1)
    を満たす高強度鋼線を得るにあたり、
    前記前伸線工程に供する高炭素鋼線材が、0.62質量%ないし0.95質量%の炭素を含有するものであり、
    前記中間線材の線径が2.8〜4.0mmであり、
    前記最終熱処理めっき工程のブラスめっき処理により、厚みが2.0〜5.0μmのめっき層を形成し、
    前記最終熱処理めっき工程後の最終熱処理線材の引張強さを800〜1100MPaに調整し、
    前記最終伸線工程にて、該最終伸線工程前の最終熱処理線材の線径と該最終伸線工程後の鋼線の線径とで求められる真歪が4.2以上となる引抜き加工を行う、
    ことを特徴とする高強度鋼線の製造方法。
  2. 前記最終伸線工程において、乾式伸線を経てから湿式伸線を行う請求項1記載の鋼線の製造方法。
  3. 前記ブラスめっき処理後、前記乾式伸線前の最終熱処理線材に、下地コーティング剤の皮膜を形成する請求項2記載の鋼線の製造方法。
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