JP6198807B2 - 操作され立体構造的に安定化されたタンパク質 - Google Patents

操作され立体構造的に安定化されたタンパク質 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は2012年3月16日に出願された米国仮特許出願第61/612,228号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書において提供されるのは、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質並びにそれを含む組成物など、立体構造的に動的なタンパク質の立体構造的に安定化された型のスクリーニング及びそれを使用するための方法である。
タンパク質は、機械的作用を生み出す、酵素反応を実施する、及びシグナル伝達を媒介するなどの多様なプロセスでその役割を果たすコンフォーメーションの動きを持った、非常に動的な巨大分子である。分子の様々な状態が、異なる機能を増強し得るので、特異的に個別の構造状態を認識する試薬を生み出す能力にかなりの関心が持たれている1,2
ユビキチンは、真核生物のほぼ全ての組織に(普遍的に)見出される小さな調節タンパク質である。タンパク質のユビキチン化は、細胞周期制御、アポトーシス、エピジェネティクス、及び転写調節など、多数の細胞プロセスを媒介する
しかしながら、ユビキチンは破壊され、細胞のタンパク質分解機構によってリサイクルされるべきタンパク質の標識化において果たす役割で恐らく最も知られている。タンパク質がユビキチンによって共有結合で「タグ付け」されると、ユビキチン分子は、破壊のためにタグ付けされたタンパク質を分解しリサイクルする、細胞内の巨大多成分タンパク質複合体であるプロテアソームにタンパク質を導く。ユビキチンタンパク質自体は、約8.5kDaの分子質量を有する76個のアミノ酸からなる。主な特長はそのC末端尾部と7つのリジン残基を含む。ユビキチンのアミノ酸配列は、真核生物種間で高度に保存されており、ヒトと酵母ユビキチンは、約96%の配列同一性を共有している。哺乳類では、ユビキチンは、4つの別個の遺伝子によりコードされる。遺伝子UBA52とRPS27Aは、それぞれリボソームタンパク質L40及びS27Aに融合したユビキチンの単一コピーをコードし、一方UBBとUBC遺伝子は、ポリユビキチン前駆体タンパク質をコードする。
ユビキチン化とは、活性化されたユビキチンのユビキチンC末端ジグリシンモチーフからの末端グリシンが、修飾タンパク質のリジン残基のεアミンへのアミド結合を形成する、酵素による翻訳後修飾のプロセスである。ユビキチンは、エネルギー源としてATPを必要とするプロセスにおいて、E1ユビキチン活性化酵素による二段階反応で活性化される。これは、ユビキチン−アデニル酸中間体の産生と、続くE1活性部位システイン残基へのユビキチンの転移を含み、ユビキチンのC末端カルボキシル基とE1システインのスルフヒドリル基との間のチオエステル結合をもたらす。次に、ユビキチンは、トランス(チオ)エステル化反応を介して、E1酵素から、E2ユビキチン結合酵素の活性部位システインへ転移される。ユビキチン化酵素カスケードの最終ステップは、標的タンパク質のリジンとユビキチンのC末端グリシンとの間にイソペプチド結合を作成する。一般に、このステップは、数百個の既知のE3ユビキチン−タンパク質リガーゼ(しばしば単に「ユビキチンリガーゼ」と呼ばれる)の何れか一の活性を必要とする。E3酵素は、システムの基質認識モジュールとして機能し、E2及び修飾タンパク質基質の両方と相互作用することが可能である。
タンパク質(モノユビキチン化)に対する単一ユビキチンの付加後、更なるユビキチンタンパク質が、最初のユビキチン分子に、その7つのリジン残基の一以上において付加することができ、ポリユビキチン鎖を得る。更に、いくつかの基質は、マルチユビキチン化と呼ばれるプロセスで複数のリジン残基へのユビキチン分子の付加により修飾される。最も研究されてポリユビキチン鎖−リジン48結合型−は、プロテアソームにおけるタンパク質分解のためのタンパク質を標的とする。不良品と定められたタンパク質は、それが細胞のタンパク質分解機構によって認識されるようにするために、少なくとも4つのユビキチン分子によって修飾されねばならない。ユビキチン分子は破壊の直前にタンパク質を切断され、脱ユビキチン化酵素のユビキチンC末端加水分解酵素(UCH)ファミリーに属する酵素により更に使用するためにリサイクルされる。
脱ユビキチン化酵素(DUB)は、ユビキチン鎖を分解又は基質からモノユビキチン化を取り除くことにより、ユビキチン媒介性シグナル伝達を調節する、特殊なプロテアーゼの一つのクラスである。また一般にDUBは、脱ユビキチン化ペプチダーゼ、脱ユビキチン化イソペプチダーゼ、脱ユビキチン化酵素、ユビキチンプロテアーゼ、ユビキチンヒドロリアーゼ、ユビキチンイソペプチダーゼ、又はDUbと称される。ヒトゲノムは、5の遺伝子ファミリーにユビキチンに特異性を持つほぼ100のDUBをコードしている。DUBはユビキチンシステムの負と正の調節因子として作用し得る。ユビキチンのリサイクルに加えて、それらはユビキチン前駆体の初期プロセッシング、タンパク質ユビキチン化の校正、及び抑制性ユビキチン鎖の分解に関与している。更に、DUBのユビキチン特異的プロテアーゼと(USP)ファミリーなどのDUBは、標的タンパク質のユビキチン化又はユビキチン様修飾を逆転させ、一方、DUBのUCHファミリーのメンバーなどのDUBは、アンカーされないポリユビキチン、即ち、コンジュゲート機構によって新たに合成されるか又は他のDUBによって標的タンパク質から遊離される遊離ポリユビキチンからのモノユビキチンの再生に関与している。
DUBの大半は、未だに広範囲に特性を明らかにされていない。唯一の例外は、腫瘍発生において十分に確立された役割を持っているUSP7(HAUSP)である。USP7の重要な機能は、腫瘍性タンパク質Mdm2を脱ユビキチン化し、安定化し、それによって、p53腫瘍抑制をダウンレギュレーションすることによって、細胞の生存を調節することである8,9。USP7は、間接的にp53を不安定化し、FOXO4及びPTENを含む付加的な腫瘍抑制因子を調節することから、SP7の阻害は、魅力的な治療戦略である8,9。別の例は、アミロイド形成性神経変性に関与するタンパク質の分解に役割を果たすと考えられているUSP14である32
全ての特許、特許出願、刊行物、文書、ヌクレオチド及びタンパク質配列データベースの受託番号、それらが参照する配列、及び本明細書に引用した論文は、全て参照によってその全体が本明細書に援用される。
要約
本明細書で提供される発明は、とりわけ立体構造的安定化されたにユビキチンタンパク質を含む組成物、及びこれらのタンパク質の安定化された形態に結合する一又は複数の酵素の作用を阻害するためにそれを使用する方法、並びにこれらの安定化されたタンパク質に結合する薬剤を同定するための方法を開示する。また、本明細書において提供されるのは、タンパク質の立体構造的に安定化された形態をスクリーニングするための方法である。
本出願は、一態様において、野生型ユビキチンタンパク質に対して一以上のアミノ酸置換を含む立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を提供する。幾つかの実施態様において、前記一又は複数のアミノ酸置換は、β1/β2ループが、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6Å平均二乗偏差以内の領域に制限されるように、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループを安定化する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、より遅いコンフォーメーションダイナミックスを示す。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大40倍大きい。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、前記立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、位置がA1−A76(配列番号1)に関することを特徴とする、A7、A8、A13、A34、A36、A69、及びA71からなる群から選択される位置にて、一又は複数のアミノ酸置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、(a)置換A7(C)又は置換A8(C);及び置換A69(C)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A36(Y、F、L、H、A、V、W、I、M又はN)、及びA71(R、K、A、Q、W、G、H、I、R又はG)からなる群から選択される一又は複数の置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A7(D、F、R、又はS)、A8(Y、A、G、Q、R、又はY)、A13(R、Y、E、又はP)、A34(I、L、又はT)、A36(L、Y、A、又はN)、A69(A、G、W、K、Y、又はI)、及びA71(A、R、Q、R、又はG)からなる群から選択される一又は複数の置換を含む。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1の位置に対応する、A42、A46、A49、A62、A65、A68、又はA70に位置する一又は複数のアミノ酸置換を更に含む。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1の位置に対応する、A40、A42、A46、A47、A49、A62、A65、A68、A70、A71、A72、A73、A74、A75、又はA76に位置する一又は複数のアミノ酸置換を更に含む。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)ファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合の増加を示す。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、ナノモル領域でのKdで脱ユビキチン化酵素に結合する。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型タンパク質よりも少なくとも1000倍高い親和性で脱ユビキチン化酵素に結合する。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、脱ユビキチン化酵素の活性を阻害する。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、ユビキチンC末端加水分解酵素(UCH)ファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合の減少あるいは消失を示す。
一態様において、上述の実施態様の何れかの立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質をコードする核酸が提供される。
一態様において、上述の実施態様の何れかの核酸を含むベクターが提供される。幾つかの実施態様において、ベクターは発現ベクターである。
一態様において、上述の実施態様の何れかの核酸又はベクターを含む細胞が提供される。幾つかの実施態様において、細胞は、動物細胞、細菌細胞、昆虫細胞、線虫細胞、及び酵母細胞からなる群から選択される。幾つかの実施態様において、動物細胞は、ヒト細胞又は非ヒト細胞である。
一態様において、上述の実施態様の何れかの立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質及びUSPファミリーのメンバーの脱ユビキチン化酵素を含むタンパク質複合体が提供される。幾つかの実施態様において、脱ユビキチン化酵素は、USP7、USP5、又はUSP14である。幾つかの実施態様において、脱ユビキチン化酵素はUSP7である。
一態様において、上述の実施態様の何れか一の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の一又は複数に共有結合で連結したタンパク質が提供される。
一態様において、上述の実施態様の何れか一の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を表面上に固定化して含む固体支持体が提供される。幾つかの実施態様において、固体支持体は、表面プラズモン共鳴に適した表面である。幾つかの実施態様において、固体支持体は、ナノ粒子、ビーズ、またはガラスである。
一態様において、細胞の表面上に発現された、上述の実施態様の何れか一の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を含む細胞の集団が提供される。
一態様において、上述の実施態様の何れか一の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と脱ユビキチン化酵素を接触させることを含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素を阻害する方法が提供される。幾つかの実施態様において、阻害は、インビボ又はインビトロである。
一態様において、a)上述の実施態様の何れかの立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と薬剤を接触させ;及びb)薬剤が前記立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質に結合するかどうかを決定することを含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合に好適であるユビキチンタンパク質の立体構造形態に結合する薬剤を同定する方法が提供される。幾つかの実施態様において、薬剤は、小分子化学化合物、抗体、タンパク質、阻害性核酸、又はそれらの任意の組み合わせである。
一態様において、方法が、a)請求項21−23の何れかのタンパク質複合体と薬剤を接触させ;及びb)薬剤が、前記タンパク質複合体に結合することができるかどうかを決定することを含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素とユビキチンを含むタンパク質複合体に結合する薬剤を同定する方法が提供される。幾つかの実施態様において、薬剤は、小分子化学化合物、抗体、タンパク質、阻害性核酸、又はそれらの任意の組み合わせである。幾つかの実施態様において、薬剤は脱ユビキチン化酵素とユビキチン蛋白質間の相互作用を破壊する。
一態様において、上述の実施態様の何れか一の方法により同定された薬剤が提供される。
一態様では、立体構造的に安定化された形態は、野生型タンパク質と比較して、結合パートナーに対する増大した結合親和性を有するか、又は結合パートナーの活性を調節する増大した能力を有することを特徴とする、タンパク質の立体構造的に安定化された形態をスクリーニングする方法が提供され、該方法は、a)タンパク質の変異型のライブラリーと結合パートナーとを接触させ、そこでは変異型の前記ライブラリーは、立体構造的に動的なタンパク質中のアミノ酸残基を一又は複数の予め選択された位置で別のアミノ酸残基と置換することによって生成され、前記予め選択された位置はタンパク質の内部に位置することを特徴とし;及びb)野生型タンパク質と比較して、結合パートナーへの結合又は結合パートナーの活性を調節する能力の増大に基づく立体構造的に安定化された形態を同定することを含む。幾つかの実施態様において、予め選択される位置は、タンパク質内部又はタンパク質のある領域内のコンフォーメーションダイナミックスに対する各位置におけるアミノ酸残基の寄与に基づいて選択される。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、前記ライブラリーは、タンパク質の前記変異型をコードする核酸のライブラリーである。幾つかの実施態様において、前記ライブラリーはファージディスプレイライブラリーである。幾つかの実施態様において、ファージディスプレイライブラリーのためのベクターは、M13バクテリオファージ、f1ファージ、fdファージ、Ikeファージ、N1ファージ、腸内細菌ファージT4、バクテリオファージT7、及び腸内細菌ファージλからなる群から選択される。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、本方法は、一又は複数の表面アミノ酸残基を他のアミノ酸残基と置換することにより、立体構造的に安定化されたタンパク質の表面で一又は複数のアミノ酸残基を変異させること、及び一又は複数の置換された表面アミノ酸残基を含まない立体構造的に安定化されたタンパク質と比較して、結合親和性又は調節能力が増加したタンパク質をスクリーニングすることを更に含む。上述の実施態様の何れかの幾つかの実施態様において、タンパク質は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、核ホルモン受容体、チロシンキナーゼ受容体、及びリガンド依存性イオンチャネルからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、タンパク質はユビキチンである。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、脱ユビキチン化酵素、E1ユビキチン活性化酵素、E2ユビキチン結合酵素、E3ユビキチン−タンパク質リガーゼ、及び細胞プロテアソーム複合体の一又は複数のメンバーからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、脱ユビキチン化酵素は脱ユビキチン化酵素のユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)ファミリーのメンバーである。幾つかの実施態様において、脱ユビキチン化酵素は、USP7、USP5、及びUSP14からなる群から選択される。幾つかの実施態様において、脱ユビキチン化酵素はUSP7である。
図1は、コンフォメーションディスプレイによる、USP7(U7Ubs)に対して高い親和性を有する2種類のユビキチンの同定を示す。A)コンフォメーションディスプレイは、単一状態への立体構造的平衡を破壊するコア変異を探る。ユビキチンの場合、既存の立体構造的平衡は、幾つかのタンパク質の相互作用を媒介し、そして単一のコンフォーメーションを選択することは、結合のエントロピー消費を減少させ、特異性を提供すると予測される。B)上:ほとんどのU7Ubは、位置7又は8と位置69の間のジスルフィド結合を含み、共有結合性分子内架橋を介していかにコンフォーメーションの安定化が媒介されるかを強調している。下:U7Ubの少数はジスルフィド結合を含まず、非共有結合性の再パッキングを介して同じ終点を達成する。C)ジスルフィド結合ベース(例えば−クローン7)及び非ジスルフィド結合ベース(例えば、クローン25)のU7Ubは両方ともファージスポットELISAによりUSP7に特異的に結合する。D)非ジスルフィド結合U7Ub25変異体は、USP7の触媒コアに、193±17.3nM(ΔH=−16.67±0.1562kcal/mol,ΔS=−7.48kcal/mol,N=0.92±0.0062)の親和性で結合する。 図2は、DUB結合に影響する2つの異なるコンフォメーションを明らかにする、タンパク質複合体内のユビキチンのβ1−β2領域のクラスター平均二乗偏差(RMSD)解析を示す。A)球状コアの残りのペアワイズアラインメント後のユビキチン複合体の全ての高分解能構造におけるユビキチンのβ1−β2領域(残基6−10)のクラスター化ヒートマップ。B)クラスタ化されたRMSDを探査することなく、β1−β2領域により採られたコンフォーメーションは可能な立体構造異性体の標本(smear)として見える。C)「アップ」及び「ダウン」β1−β2立体構造異性体の比較。D)UCH−タイプのDUBは、β1−β2の「アップ」立体構造異性体(UCHL3−Ub複合体;PDBコード1xd3)に結合するが、USP−タイプのDUBは、「ダウン」状態(USP14−Ub複合体;PDBコード2ayo)に結合する。ユビキチンは赤で描かれ、DUBは青で示されている。β1−β2に対してパッキングしそれによってそのコンフォーメーションを制限するDUB残基(UCHL3−Leu220、USP14−Phe168)は、球で示される。E)UCH(ラベンダー、PDBコード1cmx、1xd3及び3ifw)及びUSP(ピンク、PDBコード2ayo、2hd5及び2ibi)との複合体として解かれた3つのユビキチン構造の重ね合わせ。ファージライブラリーにおいて変異させることが許される残基の側鎖が示されている。 図3は、可変表面化学を用いて、ユビキチン(オレンジ)のβ1−β2ループ領域と接触するUSPタイプの脱ユビキチン化酵素(青)を示す。ユビキチンと接触する脱ユビキチン化酵素残基とコンフォメーションディスプレイの間に変わることを許容されたユビキチン残基はスティックとして示されている。脱ユビキチン化酵素は、USP7(PDBコード1NBF)、USP14(PDBコード2AYO)、USP2(PDBコード2IBI)、及びUSP21(PDBコード3I3T)である。 図4は、A)バイオレイヤー干渉法によるU7Ub変異体のスクリーニングを示す。USP7触媒ドメイン活性部位変異体(USP7catC223A)の等量を各センサーチップに結合し、各U7Ubの一定濃度に浸した。変異体は、定常状態応答及び見かけの会合速度定数と解離速度定数に基づいて選択される。B)USP7catC223Aに対するU7Ub7変異体の滴定は、約200nMの解離定数を示している。 図5は、非ジスルフィド結合U7Ubの表面の親和性成熟は、USP7に対する親和性を更に向上させることを示している。A)U7Ub25スキャフォールドに基づいた親和性成熟型クローンの配列は少数の表面変異を含む。B)親和性成熟クローンU7Ub25.2540は、タンパク質のELISAアッセイにおいてUSP7触媒ドメインの最も強力な結合剤である。C)バイオレイヤー干渉法は、U7Ub25は、90nMの解離定数でUSP7の触媒ドメインに結合するが、親和性成熟型U7Ub25.2540は3倍に増強された親和性を持つことを示す。 図6は、A)U7Ub7及びB)U7Ub25.2540について、1σで等高線を引いた2Fo−Fc電子密度を示す。最終的な精密化されたモデルが参考のために示される。 図7は、変化したバックボーンコンフォメーション又はコアパッキングを明らかにするU7Ubの結晶構造を示している。A)野生型ユビキチンの構造が参考のために示され、もともと選択された変異体において変異された位置をスティックとして示し、β1−β2領域は標識されている。B)U7Ub7の構造は、β1−β2ループの立体構造を歪め、位置8と69の間に形成されたジスルフィド結合を明らかにしている。C)U7Ub25.2540変異体の主鎖コンフォーメーションは、野生型ユビキチンとほぼ同じであるが、β1−β2領域の周囲でパッキングが変わっている。親和性成熟表面の変異は黄色で示される。 図8はU7Ub変異体の構造解析を示す。A)U7Ub7のβ1−β2ループはUSP7結合ユビキチンと同様に下向きにねじれており、アポユビキチンとは異なる。B)U7Ub7のC末端とタンパク質の残りの部分との間のパッキング及び水素結合相互作用。C)U7Ub25.2540のβ1−β2ループのコンフォメーションはアポユビキチンのそれと同様である。 図9は、Ub7.7のC末端は、野生型と比較して限定されるものの、溶液中で可動的であることを示す異種核{{H}−15N NOEデータを示している。 図10は、U7Ub25が高い親和性を達成するのに、コアの再パッキング及び溶媒露出型の変異の両方が必要であることを示している。U7Ub25コア(U7Ub25_L71及びU7Ub25.2540_L71)の関連で、Leu71Arg変異をその野生型アイデンティティへ戻すと親和性が強力に減少するが、野生型ユビキチン(Ubwt_R71)にArg71を導入することは強固な結合のためには不十分である。同様に、表面変異のすべての組み合わせを持つ野生型ユビキチンコアがは、SP7(Ubwt_R71、Ubwt.2540_L71、Ubwt.2540_R71)への結合を損なう。野生型ユビキチン表面と再パックされたコア(U7Ub25_L71)を組み合わせることはまた強固な結合に不十分である。このため、新たに選択されたコア及び再配置された表面の両方が高親和性結合のために必要とされる(U7Ub25_R71、U7Ub25.2540_R71)。 図11はU7Ub25が野生型ユビキチンに類似してマイクロ秒の動きを持つことを示している。U7Ub25について決定されたR値はCPMGのリフォーカスパルスの周波数には依存性を示さないため(データ非表示)、U7Ub25はミリ秒の時間スケールでの検出可能な動きを持たない。 図12は、酵素アッセイはU7Ub25及びU7Ub25.250が全長USP7の強力な阻害剤であることを明らかすることを示している。A)U7Ub25とU7Ub25.2540の両方が、完全長USP7を強く阻害する(それぞれIC50は172nM及び104nM)。C末端のジグリシンモチーフ(U7Ub25dGG)の欠失は、阻害能力には影響を与えない。B)U7Ubは高活性なUSP2触媒ドメインを阻害しない。C)細胞機能がUSP7のそれに直接的に対抗するUSP10は、U7Ubによって阻害されない。D)USP47は、USP7に対して、最も密接に関連した脱ユビキチン化酵素であるが、U7UbはUSP7よりもこのDUBの大して強力な阻害剤ではない(IC50〜10μM)。E)上U7Ubは373nM(U7Ub25)及び253nM(U7Ub25.2540)のIC50で、完全長USP5を阻害する。しかしながら、C末端ジグリシン(U7Ub25dGG)の欠失は、USP5の阻害を抑止する。下:USP5は、野生型ユビキチンによって強力に活性化されるが、U7Ubによっては活性化されない。全ての活性は、初期の誘導期後に測定された最大速度に正規化される「USP5(最大速度(Max rate)」を除いて、ゼロ濃度ユビキチンでの初期速度に正規化される。 図13は、抗USP7変異体はE1およびE2酵素によってLys48又はLys63−結合鎖の何れにも効率的には取り込まれないことを示している。E1 UBE1及びE2 Cdc34(K48ポリユビキチン化を促進する)又はUev 1a/UbcH13(K63ポリユビキチン化を促進する)を利用する生化学ライゲーションアッセイにおいて、U7Ub3又はU7Ub7の何れもK48又はK63結合鎖に効率的には取り込まれず;単量体ユビキチンプールの枯渇は、変異体は、評価されるE1及び/又はE2酵素に部分的に結合することを裏付けている。対照的に、検出可能な重合はU7Ub25で達成されていない。 図14は、U7Ub25.2540変異体は、細胞環境における内因性USP7の選択的阻害剤であることを示している。A)U7Ub25.2540は細胞内でポリユビキチン鎖に弱く取り込まれ;U7Ub25.2540ΔGGは鎖の取り込みを抑止する。特定のユビキチン鎖結合の調査が図15に示される。HTC116細胞を、示された発現構築物でトランスフェクトし、そして示されるように、溶解物をブロットし又は示された抗体で免疫沈降した;アイソタイプ対照(C)抗体は、細胞培養等級ハーセプチンである。B)U7Ub25.2540ΔGGは、他の細胞のDUBに比べて内因性USP7に選択的に結合する。抗HA又はアイソタイプ抗体対照(抗c−myc)免疫沈降物又は細胞溶解物を、示されたタンパク質に対する抗体でブロットした。HCT116 USP7−/−細胞株を、USP7会合についての追加対照として用いた。C)細胞内のU7Ub25.2540ΔGGの発現は、内因性USP7阻害の兆候であるMDM2のポリユビキチン化を促進する。U2OS細胞は示された構築物でトランスフェクトし、細胞溶解物は対照(トラツヅマブ)又はK48結合選択的抗体で免疫沈降し、MDM2のユビキチン化を明らかにするためにブロットした。D)細胞内のU7Ub25.2540ΔGGの発現は、内因性USP7阻害の反映であるMDM2の代謝回転を促進する。U2OS細胞を、示された構築物でトランスフェクトし、100μMのシクロヘキシミドで処理し、示された時点で採取し、溶解物を示した抗体でブロットした。E)細胞内のU7Ub25.2540ΔGGの発現は、p53を安定化させ、その後p53応答遺伝子のp21を上方制御する。U2OSまたはSiHa細胞は、示された発現構築物でトランスフェクトし、溶解物を示した抗体でブロットした。 図15は、U7Ub25.2540は細胞内でポリユビキチン鎖に弱く取り込まれ;U7Ub25.2540ΔGGは鎖の取り込みを抑止することを示す。HTC116細胞を、示された発現構築物でトランスフェクトし、溶解物を示された抗体で免疫沈降した;アイソタイプ対照(C)抗体はトラツヅマブである。 図16は、他の細胞DUBと比較して、内因性USP7及びUSP5へ結合するU7Ub25.2540を示す。HCT116細胞を示したようにトランスフェクトし、抗HA免疫沈降物又は細胞溶解物を、示されたタンパク質に対する抗体でブロットした。 図17は、U7Ub25.2540ΔGGは細胞溶解物中の内因性USP7を濃縮することを示す。図14Bに対応する抗HA免疫沈降物は、質量分析によって分析した。示されたDUBについて検出された全ペプチドの数は、括弧内に示される固有のペプチドの数で示される。 図18は、A)USP14に対する5ラウンドのファージパニングの後に単離した23ファージクローンの配列優先度を示す。B)タンパク質ELISAは、U14Ubは、UCHL3とUCHL1に対する親和性の相応の減少を伴って、USP14に対する親和性が増加していることを示している。野生型ユビキチン曲線は青で示され、様々なU14Ubsは黒で示される。C)USP14の、U14Ub2及びU14Ub14によるバイオレイヤー干渉滴定二相性会合速度の遅い成分は、誘導適合結合機構を示すU14Ubの濃度への依存を示す40。定常状態によって決定された解離定数及び速度論的適合は一致している。 図19は、U14Ubアポダイナミクスは、野生型と比較し遅いことを示す。A)U14Ub対野生型のH−15N HSQCスペクトルにおけるアミド共鳴の強度の比率。比率は全く交換を示さなかった共鳴に対して規格化した。挿入図は、野生型ユビキチン(PDBコード1ubi)の構造上にプロットされたこれらの比率を示し;最も有意な変化は、β1−β2領域で発生する。B)U14Ub14、U14Ub2及び野生型ユビキチンについて、Rex測定によって定量化したミリ秒(青)運動及びマイクロ秒(赤)運動。U14Ub14及びU14Ub2プロットにおける挿入図は、ms及びμsのRex測定それぞれの生データの例を示す。交換ブロードニング又はスペクトルの重なりに起因するデータを欠損する共鳴はXで示される。野生型ユビキチンは、これらの条件でmsのRexを全く示さない。 図20は、ユビキチンのエネルギーランドスケープの摂動がUSP14結合のメカニズムに影響を与え、生体内での成長をサポートすることができない、ユビキチンの変異をもたらす。A)ユビキチンの結合は、コンフォーメーションの選択又は誘導適合のどちらかを介して起こり得る。野生型ユビキチンのコンフォーメーションのサブ状態間の相互変換は速く、従って、サブ状態を分離するエネルギー障壁は適度である。B)U14Ubの運動は、野生型よりもはるかに遅く、経路のコンフォーメーション選択のアームを通じた流れ(flux)を減少させ、誘導適合によって支配される結合メカニズムを引き起こす。C)Lys48−結合鎖中に連結されるそれらの能力にもかかわらず、ヒトユビキチンとは異なり、U14Ubは、酵母の内因性ユビキチンを置換できない。 図21は、PDBにある全てのUbパートナー構造に対するβ1−β2のRMSDのクラスター化ヒートマップを示す。結果と方法に記載したように構造は整列されてクラスタ化された。各軸に沿ってリストされる複合体は、<PDBコード><ユビキチン鎖文字>−<パートナー鎖文字>の形式である。例えば、2ibiB−Aは、PDBコード2ibiのUSP2(A鎖)に結合したユビキチン(B鎖)からのβ1−β2ループを表す。 図22は、U14Ub操作実験から生じるデザインを示す。A)単一状態のデザイン及びB)多重状態のデザインに対するコンセンサス配列の優先度。 図23は、5つのU14Ub及び野生型ユビキチンのアサインされたH−15N HSQCスペクトルを示す。有意な交換ブロードニングを示すβ1−β2領域の周囲の選択された残基が強調表示される。U14Ub14は最も厳しい交換ブロードニングを示し、それがmsのRexについて最大値を有することと一致する。 図24は、全5つのU14UbのCS−ロゼッタモデルを示す。全5つのU14Ub(リボン)のCS−ロゼッタモデルは野生型ユビキチン(カートーン)のCS−ロゼッタモデルと重ね合わされた。各変異体について2つの最低エネルギーモデルが示される。U14Ubは図19の様式に従って色分けされる:1は紫、2は青、14は赤、22はオレンジ、24が緑。各変異体の折れ畳みは、野生型ユビキチンと区別がつかない。 図25は、全変異体についてマイクロ秒のRex値及びミリ秒のRex値を示す。Rex値は18.8T及び279Kで測定された。ミリ秒のRexは、50及び950HzのCMPG場でのR2obsの間の差によって各残基について見積もられる。 図26は、2つの磁場でのR分散データのグループフィッティングを示す。非常にノイズが多くフィッティングできないR分散を示す残基は、U14Ub1、U14Ub2及びU14Ub14の野生型ユビキチンの結晶構造上にマッピングされたオレンジの球として示される。有意なmsRexの値を示す残基は構造中で一緒にクラスタ化する。カーバー・リチャーズ方程式への適合は、U14Ub1とU14Ub2について強調表示された全ての残基で包括的に得られた。U14Ub14について強調表示された残基の3つのクラスターは、それらの空間的分離のために独立したグループとして、及び包括的に適合され、kexについて類似の値を得た。ここに示されるU14Ub14についての適合は、残基4、14及び15のクラスターのためである。 図27は、微分静的光散乱を用いたU14Ub及び野生型ユビキチンの熱安定性の測定は、野生型に比べて変異体の何れも劇的には不安定化されないことを示すことを示している。キナーゼの遷移が明確にするために示されている。野生型ユビキチン及びU14Ubの遷移は、機器の高温限界である81℃まで観測されない。データは、低温のベースラインの強度に規格化した。 図28は、二相性会合モデルへのバイオレイヤー干渉滴定を示している。バイオレイヤー干渉法によって検出されたU14UbによるUSP14の滴定(黒)は、二相性会合モデル(赤)に対して良好に適合する。アッセイで使用したU14Ubの濃度は0.068、0.206、0.618、1.85、5.17、16.7及び50μMである。 図29は、定常状態応答から平衡K及び誘導適合モデルフィッティングによるU14Ubの濃度対kslowのプロットを示している。会合の遅い相は、Hammes, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 106, 13737−13741 (2009)によって概説される誘導適合モデルによく適合する。 図30は、交差(Cross)ドッキングはユビキチンの状態がUSP型とUCH型脱ユビキチン化酵素を区別できることを示している。A)各ユビキチン−脱ユビキチン化酵素の組合わせについてのスコア対Cαプロット;各モデルのPDBコードは各プロットの上部にリストされる。ユビキチン部分が最初の(<PDBコード>B)で脱ユビキチン化酵素が2番目の(<PDBコード>A)である。例えば、2ibiB_2ayoAは2ayo(USP14)からの脱ユビキチン化酵素にドッキングした2ibi(USP2−結合型Ub)からのユビキチンであり、一方1xd3B_2ayoAは2ayo(USP14)からの脱ユビキチン化酵素にドッキングした1xd3(UCHL3−結合型Ub)からのユビキチンである。構造は、方法に記載したように用意し、結晶バイアスを回避するためにユビキチンのC末端尾部を除いてドッキングされた。B)パネルAの交差ドッキングの結果の要約。各交差ドッキング実験からの最小の5つのRMSDが平均化され、クラスター化ヒートマップとして表される。USP結合型ユビキチンからの全てのユビキチンはより容易にUSP型DUBに交差ドッキングされ(より低いRMSD)、UCH結合型ユビキチンはより容易にUCH型DUBにドッキングされるが、交差ファミリードッキングは一般的には成功しないことに留意されたい。 図31は、U14Ub2の結晶構造を示している。A)野生型ユビキチン(小麦色:PDBコード:1UBI)とU14Ub2(青)の重ね合わせ。U14Ub2の全体的な折り畳みは、恐らく結晶パッキングに起因してβ1−β2領域にばらつきを伴うが、野生型と同じである。B)トリプトファン71は、非対称ユニット内の隣接する分子の疎水性コアにパッキングし、β1−β2のコンフォーメーションを歪める。U14Ub2の構造は、パネルAと同じ向きの表面表示として示されている。非対称単位内の隣接する分子はサーモン色で示されている。 図32は、K48結合鎖への取り込みを示している。UBE1及びcdc34により野生型と類似する程度にK48結合鎖への取り込みを示すU14UbのSDS−page。U14Ubと野生型ユビキチンの間の分子量の不一致は、変異体から切断されていない6×Hisタグの存在に起因する。 図33は、U7Ub25の親和性成熟の2番目の生成から由来する高親和性クローンを示す。用語「S/N比」はシグナル:ノイズ比を言い、ここで「シグナル」は、384ウェルMaxisorpプレート上にコーティングされたニュートラアビジン(NeutrAvidin)によって捕捉されたビオチン化USP7catC223Aに対して検出されるスポットファージELISAシグナルであり;「ノイズ」は、ニュートラアビジン単独に対するELISAシグナルである。ユビキチン内の位置番号が示されている。 図34は、ELISAによるU7Ub25親和性成熟変異体の親和性の順位を示す。 図35は、バイオレイヤー干渉滴定(黒)は単相性解離モデル(赤)に適合しないことを示している。アッセイで使用したU14Ubの濃度は0.068、0.206、0.618、1.85、5.17、16.7及び50μMである。 図36は、バイオレイヤー干渉滴定(黒)は単相性解離モデル(赤)に適合することを示している。アッセイで使用したU14Ubの濃度は0.068、0.206、0.618、1.85、5.17、16.7及び50μMである。
詳細な説明
本発明は、一以上の結合パートナーに高い親和性で結合することができる立体構造的に安定化されたタンパク質について同定及び/又はスクリーンするために使用することができる方法(「コンフォーメーションディスプレイ(Conformational Display)」(CD)と称す)を提供する。新しいエンタルピー的な接触を見出すべく、表面のアミノ酸位置を典型的に変異させる、従来のファージディスプレイとは対照的に、CDは、結合に最適なコンフォーメーションをもたらす新たな充填配置を同定するために、タンパク質の三次構造内に埋め込まれているアミノ酸残基を変える方法を提供する。本出願の方法は、本明細書で開示される方法が、タンパク質のコンフォーメーションダイナミクスのエネルギー論を調節する能力を提供するという点で以前に当分野で実施されてきたものとは異なり、これにより、エンタルピー的接触のみではなく、接触面のダイナミクスを調節することによって、タンパク質−タンパク質相互作用の親和性および選択性の両方を調節する手段を表す。
CDは、ユビキチンタンパク質の内部に位置するアミノ酸置換を有する立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を同定し、それによって、野生型タンパク質の優勢なコンフォメーション状態に比して「ダウン」コンフォメーションにユビキチンのβ1−β2ループ領域を変えるために使用される。ユビキチンのこれらの立体構造的に安定化された形態は、脱ユビキチン化酵素のユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)ファミリーの脱ユビキチン化酵素に、野生型ユビキチンと比較してはるかに高い親和性で、結合することが可能である。さらに、CDによって生成された立体配座的に安定化されたユビキチンタンパク質は、1)ユビキチンの特定の立体構造形態に結合することができ;2)優先的にユビキチンの特定の立体構造形態に結合するユビキチンプロセシング酵素に結合し;又は3)USP−脱ユビキチン化酵素/ユビキチンタンパク質複合体を破壊することが可能である一又は複数の薬剤を同定しスクリーニングするための新規のツールとして使用することができる。
I.一般的技術
本発明の実施は、特に明記しない限り、当業者の技術範囲内である(組換え技術を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来技術を使用するであろう。そのような技術は文献、例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook et al., 1989); “Oligonucleotide Synthesis" (M. J. Gait, ed., 1984); “Animal Cell Culture" (R. I. Freshney, ed., 1987); “Methods in Enzymology" (Academic Press, Inc.); “Current Protocols in Molecular Biology" (F. M. Ausubel et al., eds., 1987, 及び定期的な更新);“PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis et al., ed., 1994); “A Practical Guide to Molecular Cloning" (Perbal Bernard V., 1988)に完全に説明がなされている。
本発明に用いられ及び記載されるオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド及び小分子は、当技術分野で公知の標準的な技術を用いて生成することができる。
II.定義
「単離される」とは、分子に対して言及される場合、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収された分子を指す。その自然環境の汚染成分は、診断又は治療的使用を妨害する物質である。
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、タンパク質、ポリペプチドの断片、及び融合ポリペプチドを含む。
「活性」ポリペプチド又はその断片は、活性ポリペプチドの天然又は天然に存在する対応物の生物学的活性を保持する。生物学的活性は、活性ポリペプチドの天然又は天然に存在する対応物によって媒介される機能を指す。例えば、結合又はタンパク質−タンパク質相互作用は、生物学的活性を構成する。
「親和性」は、分子の単一結合部位(例えば、ユビキチンの立体構造的に安定化された形態などのユビキチン)とその結合パートナーの間の非共有結合性相互作用の総和の強度を言う。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー間の1:1の相互作用を反映している本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例示であって典型的な実施態様は、以下で説明される。
用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。幾つかの実施態様において、抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化、及び/又は親和性成熟型であり得る。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原を結合するインタクトな抗体の一部を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’);ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
参照抗体として「同一のエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて50%以上、参照抗体のその抗原への結合をブロックする抗体、逆に競合アッセイにおいて50%以上、その抗体のその抗原への結合をブロックするその参照抗体を指す。典型的な競合アッセイが、本明細書において提供される。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体の5つの主要なクラスがあり:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、及びこれらの幾つかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgGに、IgG、IgG、IGA、及びIgAに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
任意の脊椎動物種からの抗体の軽鎖には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つが割り当てられる。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる変異を含み、又はモノクローナル抗体製剤の製造時に発生し、一般的に少量で存在している変異体などの、可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を一般的に含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。従って、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来する抗体を指す。
「ヒト化」抗体は、非ヒト超可変領域(HVR)由来のアミノ酸残基、及びヒトプレームワーク領域(FR)由来アミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。所定の実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、全てまたは実質的にFRの全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又は他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のそれに対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「親和性成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、その一又は複数のHVRにおいて一又は複数の改変を持つものである。
「エピトープタグ」ポリペプチドは、「タグポリペプチド」に融合したキメラポリペプチドを指す。そのようなタグは、抗体が作ることができるか又は利用可能であるが、しかし、実質的にポリペプチド活性を妨害しないエピトープを提供する。内因性のエピトープとの抗タグ抗体反応性を低減するために、タグポリペプチドは通常固有である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基、好ましくは8から20のアミノ酸残基を有する。エピトープタグ配列の例には、インフルエンザAウイルスからのHA、GD、及びc−myc、ポリHis及びFLAGを含む。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、互換的に本明細書で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、もしくは合成反応によりポリマー中に組み込むことができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの会合の前又は後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば標識とのコンジュゲーションなどによって、合成後に修飾することができる。他の型の修飾は、例えば天然に存在するヌクレオチド1つ以上の類縁体による「キャップ」置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結による(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カーバメート等)、及び、荷電連結(例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)によるもの、ペンダント部分を含有するもの、例えば蛋白(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジン等)、インターカレーターを有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート形成剤を含有するもの(例えば金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属等)、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結部を有するもの(例えばアルファ芳香族核酸等)、並びに、未修飾形態のポリヌクレオチドを包含する。更に、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されてもよく、又は付加的なヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体又は半固体担体に結合していてもよい。5’及び3’末端のOHはホスホリル化可能であり、又は1〜20の炭素原子を有する有機キャップ基部分又はアミンで置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されてもよい。またポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをさらに含み得、これらには例えば2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ又は2’−アジド−リボース、炭素環式糖の類似体、α−アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の結合基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのRまたはR’は独立して、H又は、エーテル(−O−)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1−20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド中の全ての架橋が同一である必要はない。先の記述において、RNA及びDNAを含む、ここで引用された全てのポリヌクレオチドに適用される。
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」とは、短く、一般的に単鎖であり、また必ずしもそうではないが、一般的に約200未満のヌクレオチド長さの、一般的に合成のポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
タンパク質の一部分又は領域に関連した「運動」又は「ダイナミクス」とは、タンパク質の一部分又は領域の立体構造変化を指す。
本明細書で使用される「立体構造的にダイナミックなタンパク質」とは、一以上の運動を経験することができるタンパク質の一部分又は一領域を指す。
本明細書で使用される場合、「立体構造的に安定化された」とは、野生型タンパク質又はタンパク質の領域と比べるとより小さな運動を経験するように、野生型タンパク質に関して変更されたタンパク質の任意の部分又は領域を指し及び含む。例えば、タンパク質主鎖立体構造的安定性の程度は、R分散実験(ミリ秒時間スケールでの運動に敏感である) 及び/又はH1ρ ex測定(マイクロ秒時間スケールでの運動に敏感である)によって測定することができる。
本明細書で使用される場合、「立体構造的に安定化されたユビキチン」とは、β1−β2ループ領域の運動に関して、野生型ユビキチンのこの領域の運動と比較して、一又は複数の立体構造状態で存在する任意のユビキチンを指し及び含む。
用語「野生型ユビキチン」は、本明細書においては天然配列ユビキチンポリペプチドを指す。本明細書に記載のユビキチンポリペプチドは、種々の供給源から、例えば、ヒト組織型から又は別の供給源から単離され、又は組換え又は合成方法によって調製され得る。「天然配列ユビキチンポリペプチド」は、天然由来の対応するユビキチンポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
タンパク質の「内側」に位置するアミノ酸残基は、本明細書中で使用される場合、タンパク質の表面上に存在しないアミノ酸残基を意味する。アミノ酸残基がタンパク質の表面に位置するか否かは、例えば、溶媒接触性調査、X線結晶構造、NMR構造、又は一次アミノ酸配列に基づく予測によってによって決定することができる。
「変異」は、アミノ酸欠失、アミノ酸の挿入、及び定まった一次アミノ酸配列中への少なくとも一のアミノ酸のアミノ酸置換を含む。幾つかの態様において、一次アミノ酸配列における一以上のアミノ酸の変異は、細胞内の活性又は発現レベルの変化を有するアミノ酸配列によってコードされるタンパク質を得ることができる。他の態様において、一次アミノ酸配列における一以上のアミノ酸の変異(保存的変異など)は、細胞内の活性又は発現レベルにおける実施的変化を有するアミノ酸配列によってコードされるタンパク質をもたらさない場合がある。
アミノ酸「置換」は、定義された一次アミノ酸配列の少なくとも一のアミノ酸成分が別のアミノ酸で置換されていることを意味する。本明細書で使用される「A(x、y、又はz)の置換を含むタンパク質」は、定義されたアミノ酸配列に関して位置nに位置するアミノ酸残基置換を含むタンパク質を意味し、野生型アミノ酸残基はx、y、又はzで置換される。
「小分子」は、例えば、約5kD未満、4kD未満、及び0.6kD未満の分子量を有する組成物を指す。
用語「ペプチド」は、一般に、ペプチジル結合によって結合したアミノ酸の連続する比較的短い配列を指す。典型的には、必ずしもそうではないが、ペプチドは、約2から約50アミノ酸、約4から40アミノ酸、又は約10から30個のアミノ酸の長さを有する。用語「ポリペプチド」は、一般に、ペプチドの長い形態を指すが、2つの用語は、本明細書の幾つかの文脈において互換的に使用することができる。
用語「アミノ酸」及び「残基」は、本明細書において互換的に使用される。
ポリペプチドの「領域」は、2又はそれ以上のアミノ酸の連続配列である。幾つかの実施態様において、領域は、少なくとも約3、5、10、15の連続するアミノ酸の何れかである。「C末端領域」又はその変異体は、ポリペプチドのC末端の最近接に位置する1−5の残基を含むポリペプチドの領域を言う。「N末端領域」又はその変異体は、ポリペプチドのN末端の最近接に位置する1−5の残基を含むポリペプチドの領域を言う。ポリペプチドの「内部」領域は、ポリペプチドのN末端又はポリペプチドのC末端のいずれも配置されていないポリペプチドの領域を指す。
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用することによって生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作製され、ソースコードは米国著作権庁、ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2もまた、ジェネンテック社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニアから公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIXのV4.0Dを含む、UNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(或いは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して所定の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍、
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一と一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値が、直前の段落で説明したようにALIGN−2コンピュータプログラムを使用して得られる。
「融合タンパク質」は、各々の部分が異なるタンパク質から由来し、共有結合で一緒に結合した2つの部分を有するポリペプチドを指す。2つの部分は単一のペプチド結合によって、又は一以上のアミノ酸残基を含むペプチドリンカーを介して直接連結されてもよい。一般に、二つの部分とリンカーはお互いにリーディングフレーム内にあり、組換え技術を用いて生成されるであろう。
「障害」又は「病理学的状態」は本明細書に記述される物質/分子又は方法による治療から利益を得る任意の状態である。これには、哺乳動物に問題の疾患に罹らせる病的状態を含む慢性及び急性の障害又は疾患が含まれる。ここで治療されるべき障害の非限定的な例としては、悪性及び良性腫瘍;リンパ系の悪性腫瘍;神経細胞、グリア、星状細胞、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮、間質及び胞胚腔の障害;及び炎症性、免疫性、その他の血管新生に関連する障害を含む。
本明細書で用いられるように、「治療」(及び「治療する(treat)」または「治療している(treating)」など文法上の変形)は、治療されている個体の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の過程においての何れかで実行できる。治療の望ましい効果は、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的または間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善を含む。
用語「抗癌治療法」は、癌を治療するのに有用な治療法を指す。抗癌治療剤の例には、限定されないが、例えば、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害性薬剤、放射線療法に用いられる薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び癌を治療するための他の薬剤、抗CD20抗体、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、GleevecTM(メシル酸イマチニブ))、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、次の標的、PDGFR−β、BlyS、APRIL、BCMA受容体、TRAIL/Apo2の一以上に特異的に結合するアンタゴニスト(例えば中和抗体)、及び他の生物活性薬剤及び有機化学薬剤などが含まれる。その組合せもまた本発明に含まれる。
本明細書で用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を指す。その用語は、放射性同位体(例えば、At211、 I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体)、化学療法剤(例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤)、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素など、抗生物質、小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素(それらの断片及び/又はその変異体を含む)、及び以下に開示される様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を包含する。他の細胞傷害性薬物は以下に記述される。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物を指す。化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン(piposulfan);アジリジン類、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa);アルトレトアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標);βラパチョーネ;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトセシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標)、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標)を含む)、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)及び9−アミノカンプトテシン;ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドゥオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばNicolaou et al., Agnew Chem Intl. Ed. Engl. 33:183-186(1994)参照);CDP323、経口α−4インテグリン阻害剤;ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射剤(DOXIL(登録商標)、リポソームドキソルビシンTLCD−99(MYOCET(登録商標))、ペグ化リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標)、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート、ゲムシタビン(gemcitabine) (GEMZAR(登録商標))、テガフル(tegafur)(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(capecitabine) (XELODA(登録商標))、エポチロン(epothilone)、及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン;エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン類(ansamitocins)のようなメイタンシノイド類(maytansinoids);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantron);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T−2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANETM)、及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロランブシル;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;プラチナ剤、例えばシスプラチン、オキサリプラチン(例えばELOXATIN(登録商標))及びカルボプラチン;ビンカ類でチューブリン重合の微小管形成を阻害するもの、例えばビンブラスチン(VELBAN(登録商標)、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))、及びビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボビン(leucovovin);ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロナート(ibandronate);トポイソメラーゼ阻害薬RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド、例えば、ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えばBONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロン酸(DIDROCAL(登録商標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロン酸(AREDIA(登録商標))、チルドロン酸(SKELID(登録商標))、又はリセドロン酸(ACTONEL(登録商標));トロキサシタビン(troxacitabine)(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に結びつくシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC−α、Raf、及びH−Ras、及び上皮増殖因子受容体(EGF−R);THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン等のワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害薬(例えばLURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えばABARELIX(登録商標));BAY439006(ソラフェニブ;Bayer);SU−11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリフォシン(perifosine)、COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオゾーム阻害剤(例えばPS341);ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));CCI−779;チピファルニブ(tipifarnib)(R11577);オラフィニブ(orafenib)、ABT510;BCL−2阻害剤、例えばオブリメルセンナトリウム(oblimersen sodium)(GENASENSE(登録商標));ピクサントロン;EGFR阻害剤(以下の定義を参照);チロシンキナーゼ阻害剤;セリン−スレオニンキナーゼ阻害剤、例えばラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標));ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばロナファーニブ(SCH6636,SARASARTM);及び上述したものの何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体:並びに上記のうち2以上の組合せ、例えば、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニソロンの併用療法の略称であるCHOP;及び5−FU及びロイコボリンとオキサリプラチン(ELOXATINTM)を組合せた治療法の略称であるFOLFOXが含まれる。
ここで定義された化学療法剤には、癌の増殖を促進しうるホルモンの作用を調節、低減、遮断、又は阻害するように働く「抗ホルモン剤」又は「内分泌治療剤」が含まれる。それらはそれ自体がホルモンであってもよく、限定するものではないが、混合アゴニスト/アンタゴニストプロファイルを持つ抗エストロゲン、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、4−ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)(EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、及びSERM3などの選択的なエストロゲン受容体調節因子(SERM);アゴニスト特性を有さない純粋な抗エストロゲン類、例えばフルベストラント(FASLODEX(登録商標))、及びEM800(このような薬剤はエストロゲン受容体(ER)二量体化をブロックし、DNA結合を阻害し、ER代謝回転を増加させ、及び/又はERレベルを抑制しうる);アロマターゼインヒビター、例えば、ホルメスタン及びエキセメスタン(AROMASIN(登録商標))などのステロイド系アロマターゼインヒビター、及びアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))及びアミノグルテチミドなどの非ステロイド性アロマターゼインヒビター、及びボロゾール(RIVISOR(登録商標))、メゲストロールアセテート(MEGASE(登録商標))、ファドロゾール及び4(5)−イミダゾールを含む他のアロマターゼインヒビター;黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、例えばロイプロリド(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、及びトリプトレリン;性ステロイド、例えばプロゲスチン、例えばメゲストロールアセテート及びメドロキシプロゲステロンアセテート、エストロゲン、例えばジエチルスチルベストロール及びプレマリン、及びアンドロゲン/レチノイド、例えばフルオキシメステロン、全てのトランスレチオニン酸及びフェンレチニド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御因子(ERD);抗アンドロゲン類、例えばフルタミド、ニルタミド及びビカルタミド;及び上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体;並びに、上記のうちの2以上の組合せを含む。
この出願で用いられる用語「プロドラッグ」なる用語は、親薬剤と比較して腫瘍細胞に対する細胞障害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換されうる薬学的に活性な物質の前駆体又は誘導体の形態を指す。例として、Wilman, "Prodrugs in Cancer Chemotherapy" Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)及びStella et al., "Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery," Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), 頁247-267, Humana Press (1985)を参照のこと。本発明のプロドラッグには、限定するものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定はしないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害性剤の例には、前記の化学療法剤が含まれる。
ここで用いられる際の「増殖阻害剤」は、細胞の増殖を阻害する化合物又は組成物を意味する。増殖阻害剤の例は、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーには、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、及び例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤が含まれる。G1を停止させるそれらの薬剤はまた、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、及びアラ−Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle regulation, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakami等,(WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は、共にイチイに由来する抗癌剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合を促進し、細胞の有糸分裂を阻害する結果となる脱重合を防ぐことによって微小管を安定化にする。
「放射線療法」とは、正常に機能する能力を制限するか、又は完全に細胞を破壊するために、細胞に十分な損傷を誘導するために指定されたγ線又はβ線の使用を意味する。治療の用量及び持続時間を決定するための当技術分野で公知の多くの方法が存在することが理解されるであろう。典型的な治療法は一回の投与として与えられ、典型的な投与量は、1日あたり10から200単位(グレイ)の範囲である。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」とは、所望の治療的又予防的結果を達成するために必要な用量及び期間での、有効な量を指す。本発明の物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、及び物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に従って変化し得る。治療的有効量はまた、治療上の有益な効果が、物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの任意の毒性又は有害作用を上回るものである。「予防的有効量」は、所望の予防結果を達成するために必要な用量及び期間において有効な量を指す。一般的には必ずしもそうではないが、予防的用量は、疾患の初期段階で又は前に被験体に使用されるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。
用語「薬学的製剤」は、その中に有効で含有される活性成分の生物学的活性を許容するような形態であって、製剤を投与する被検体にとって許容できない毒性である他の成分を含まない調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、被検体に非毒性であり、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は保存剤を含む。
「個体」又は「被検体」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、サルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む。所定の実施態様において、個体又は被検体はヒトである。
用語「パッケージ挿入物」は、効能、用法、用量、投与、併用療法、禁忌についての情報、及び/又はそのような治療用製品の使用に関する警告を含む、治療用製品の商用パッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。
当業者によって理解されるように、本明細書における値又はパラメータの「約」への言及は、その値又はパラメータそれ自体を対象としている実施態様を含む(及び記述する)。例えば、「約X」を言及する記述は、「X」の記述を含む。
本明細書に記載される本発明の態様及び実施態様は、態様及び実施態様「からなる」及び/又は「本質的になる」を含む。本明細書で使用される単数形の「a」、「an」、及び「the」は、特に指示がない限り、複数の参照が含まれる。
III.発明の組成物
本明細書中に提供されるのは、野生型ユビキチンのアミノ酸配列に対する一以上のアミノ酸置換を有する立体構造的に安定化したユビキチンタンパク質である。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンのユビキチンプロセシング酵素への結合親和性と比較して、一以上のユビキチンプロセシング酵素(限定されないが、脱ユビキチン化酵素のユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)ファミリーの一以上のメンバー)への結合親和性の増加を示す。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンにおけるこの領域のダイナミクスと比較して、より遅いコンフォーメーションダイナミックスを示す。また、本明細書で提供されるのは、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質をコードする核酸、これを発現させ単離するためのベクター及び細胞、並びに立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質とユビキチンの特定のコンフォーメーション形態に高い親和性で結合する結合パートナーとを含むタンパク質複合体である。
A.立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質
幾つかの態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナー(例えば、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素)に対してナノモル範囲のKdで結合する。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナー(例えば、USP7などのUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素)に対して、野生型タンパク質のそれよりも少なくとも1000倍高い親和性で結合する。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一以上のユビキチンプロセシング酵素又は脱ユビキチン化酵素の活性を阻害する。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型タンパク質の結合と比較して、結合パートナー(例えば、脱ユビキチン化酵素のUCHファミリーのメンバー)への結合を全く示さないか又は減少を示す。
幾つかの実施態様において、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナー(例えば、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素)に対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満のを包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。幾つかの実施態様において、結合親和性は、当技術分野で公知の任意の方法、特に本明細書に記載の方法により決定される。
幾つかの態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンへの結合パートナーの結合と比較してより高い親和性を有する結合パートナーに結合する。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは結合パートナーに、野生型ユビキチンへの結合パートナーの結合と比較して少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、1500倍、2000倍、2500倍、3000倍、3500倍、4000倍、4500倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、又は10,000倍の何れかを包括し、これらの数字の間の任意の値を含む、高い親和性で結合パートナーに結合する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、結合倍率親和性は、当技術分野で公知の任意の方法、特に本明細書に記載の方法により決定される。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型タンパク質の結合と比較して、結合パートナーへの結合を全く示さないか又は減少を示す。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは結合パートナーに、野生型ユビキチンへの結合パートナーの結合と比較して少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、1500倍、2000倍、2500倍、3000倍、3500倍、4000倍、4500倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、又は10,000倍の何れかを包括し、これらの数字の間の任意の値を含む、減少した親和性で結合パートナーに結合する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに、野生型ユビキチンへの結合パートナーの結合と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%の何れかを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含む、低い親和性で結合パートナーに結合する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに結合しない。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUCHファミリーのメンバーである。幾つかの実施態様において、本明細書に提供される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、脱ユビキチン化酵素のUCHファミリーのメンバーへの結合を全く示さないか又は結合の減少を示し、一方同時に脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーへの結合の増加を示す。幾つかの実施態様において、Kdにより決定される結合親和性は、当技術分野で公知の任意の方法、特に本明細書に記載の方法により決定される。
別の態様において、本明細書に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数のユビキチンプロセシング酵素又は一又は複数の脱ユビキチン化酵素の活性を阻害(例えば完全に阻害)する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数のユビキチンプロセシング酵素(限定されないが、E1、E2またはE3ユビキチンプロセシング酵素)又は一又は複数の脱ユビキチン化酵素の活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質はポリユビキチン鎖に組み込まれることができないか又は標的タンパク質をモノユビキチン化することができない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質はポリユビキチン鎖に組み込まれることができるか又は標的タンパク質をモノユビキチン化することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、ポリユビキチン鎖に組み込まれることができるが、野生型ユビキチンのポリユビキチン鎖への組み込みと比較して少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含む、低い効率で組み込まれる。
立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかの幾つかの実施態様において、一又は複数のアミノ酸置換は、タンパク質のβ1/β2ループのコンフォーメーションダイナミクスが、野生型ユビキチンタンパク質のこの領域の運動に比べて遅くなるように、β1/β2ループを安定化する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、野生型ユビキチンタンパク質のこの領域により示されるコンフォーメーションダイナミクスと比較して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%の何れかを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含む、より遅いコンフォーメーションダイナミクスを示す。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8Åの平均二乗偏差の何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。幾つかの実施態様において、本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含み、大きい。特定の実施態様において、本明細書に開示される何れかの立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、野生型ユビキチンと比較して、最大で約40倍大きい。幾つかの実施態様において、本明細書に開示されるβ1/β2ループ領域の、より遅いコンフォーメーションダイナミクスの程度は、当該分野で公知の任意の方法、特に本明細書に記載の方法によって決定される。一実施態様において、方法はNMRのR分散である。
本明細書に提供されるのは、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質である。幾つかの態様において、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、タンパク質を特定の立体構造状態へ安定化する、ユビキチンタンパク質の三次元構造の内部において一又は複数のアミノ酸置換を有する。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1に関することを特徴とする、A7、A8、A13、A34、A36、A69、及びA71からなる群から選択されるアミノ酸位置にて、一又は複数のアミノ酸置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。幾つかの実施態様において、置換は、ユビキチンタンパク質において一又は複数のジスルフィド結合の形成を生じる。別の実施態様において、置換は、ユビキチンタンパク質において一又は複数のジスルフィド結合の形成を生じない。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1に関することを特徴とする、A7(C)、A8(C)、及びA69(C)からなる群から選択されるアミノ酸位置にて、一又は複数のアミノ酸置換を含む。特定の実施態様において、タンパク質はA7(C)又はA8(C)及びA69(C)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質はA13に更なる置換を有する。一実施態様において、A13での置換は極性アミノ酸残基に対する。別の実施態様において、タンパク質はA13(R、N、D、C、E、Q、H、K、S、T、又はY)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質はA13(N、R、G、K、Y、A、S、又はH)を含む。更に別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質はA71に更なる置換を有する。一実施態様において、A71での置換は塩基性アミノ酸である。別の実施態様において、タンパク質は、A71(R、K、又はH)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A13(R又はK)を含む。更なる実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A13及びA71の両方で更なる置換を有し、ここでA13での置換は極性アミノ酸残基に対してであり、A71での置換は塩基性アミノ酸残基に対してである。幾つかの実施態様において、タンパク質はA13(R、N、D、C、E、Q、H、K、S、T、又はY)及びA71(R、K、又はH)を含む。別の実施態様において、タンパク質はA13(N、R、G、K、Y、A、S、又はH)及びA71(R又はK)を含む。更なる実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(C)、又はA69(C)を含み、A36(Y、F、L、又はH)、A34(I、F、L、又はV)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、又はH)、又はA71(R又はK)の一又は複数において更なる置換を有することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。幾つかの実施態様において、置換は、ユビキチンタンパク質において一又は複数のジスルフィド結合の形成を生じる。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A71で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質はA71(R、K、A、Q、G、W、H、I、又はR)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A71(K)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A71(W)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A71(G)を含む。幾つかの実施態様において、A71での置換を持つタンパク質は、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、A36(Y、F、L、H、A、V、W、I、M又はN)、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、A8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)及び/又はA7(C、N、F、S、R、G、V、又はD)の一又は複数において更なる置換を有することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍を包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A34で置換を含む。幾つかの実施態様において、A34での置換は疎水性アミノ酸である。幾つかの実施態様において、タンパク質はA34(A、V、I、L、M、F、Y、又はW)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A34(I、F、L、V、T、S、M又はT)を含む。幾つかの実施態様において、A34での置換を持つタンパク質は、A71(R、K、A、Q、W、G、H、I、R又はG)、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、A36(Y、F、L、H、A、W、I、M、又はN)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、A8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)、及び/又はA7(C、N、F、S、R、G、V、又はD)の一又は複数において更なる置換を有することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍を包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7で置換を含む。一実施態様において、タンパク質はA7(C、N、F、S、D、F、R、G、又はV)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(G)を含む。幾つかの実施態様において、A7での置換を持つタンパク質は、A71(R、K、A、Q、W、G、H、I、R又はG)、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、A8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)及び/又はA36(Y、F、L、H、I、A、又はN)の一又は複数において更なる置換を有することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍を包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A36で置換を含む。幾つかの実施態様において、A36での置換は芳香族アミノ酸である。一実施態様において、タンパク質は、A36(W又はY)を含む。別の実施態様において、タンパク質は、A36(L、F、W、M、Y、H、I、A、又はN)を含む。幾つかの実施態様において、A34での置換を持つタンパク質は、A71(R、K、A、Q、W、G、H、I、R又はG)、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、A8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)及び/又はA7(C、N、F、S、R、G、V、又はD)の一又は複数で更なる置換を有することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍を包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7又はA8、及びA69及びA71で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)又はA8(C)を含み、A71での置換は塩基性アミノ酸に対してである。一実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A71(R又はK)、及びA8(T、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)を含む。別の実施態様において、タンパク質は、A8(C)、A71(R又はK)、及びA7(N、F、S、R、G、V、又はD)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、及び/又はA36(Y、F、L、H、I、A、又はN)の何れかで一又は複数の置換を含む。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7又はA8、並びにA69及びA34で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質はA7(C)又は69(C)及びA34(I)を含む。一実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A7(C)、及びA8(T、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)を含む。別の実施態様において、タンパク質は、A8(C)、及びA7(N、F、S、R、G、V、又はD)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、A71(R、K、A、Q、W、G、H、I、R又はG)、及び/又はA36(Y、F、L、H、I、A、又はN)の何れかで一又は複数の置換を更に含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7又はA8、並びにA69、A34及びA36で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)又はA8(C)、A69(C)、A34(I)を含み、A36での置換は塩基性アミノ酸に対してである。一実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A36(F又はY)、及びA8(T、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、またはY)を含む。一実施態様において、タンパク質は、A8(C)、A36(F又はY)、及びA7(N、F、S、R、G、V、またはD)を含む。更に別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)及び/又はA71(R、K、A、Q、W、G、H、I、R又はG)で一又は複数の置換を更に含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7、A13、及びA71で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A13(Y)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、A8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)及び/又はA36(Y、F、L、H、I、A、又はN)で一又は複数の置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7、A13、A34、A36、及びA71で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A13(Y)、A71(R)、A34(I又はL)、及びA36(I又はL)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A34(L)及びA36(I)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A34(I)及びA36(L)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、及び/又はA8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)で一又は複数の置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7、A13、A34、A36、A69、及びA71で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A13(Y)、A71(R)、A34(I又はL)、A36(I又はL)、及びA69(G又はW)を含む。一実施態様において、タンパク質は、A69G)、A34(L)、及びA36(I)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A69(G)、A34(I)、及びA36(L)を含む。一実施態様において、タンパク質は、A69(W)、A34(L)、及びA36(I)を含む。別の実施態様において、タンパク質はA69(W)、A34(I)、及びA36(L)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A8(T、C、D、R、G、C、T、A、Q、F、L、又はY)で置換を更に含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、アミノ酸残基A7及びA71で置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(G)及びA71(W)を含む。一実施態様において、タンパク質は、A8において、Fへ又はLへの何れかに対する更なる置換を有する。その他の実施態様において、タンパク質は、A8(L)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A34(I、F、L、V、S、M、又はT)、A69(C、G、A、W、K、Y、V、F、又はI)、A13(N、R、G、K、Y、A、S、H、E、L、T、V、I、M、又はP)、及び/又はA36(Y、F、L、H、I、A、又はN)で一又は複数の置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴とし、該置換は少なくとも一のジスルフィド結合の形成を生じることを特徴とする、アミノ酸残基A7、A8、A13、A34、A36、A69、及びA71からなる群から選択される一又は複数の置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(L)、A13(N)、A34(I)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(T)、A13(R)、A34(I)、A36(F)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(N)、A8(C)、A13(G)、A34(F)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(L)、A13(N)、A34(I)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(D)、A13(K)、A34(I)、A36(L)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(D)、A13(K)、A34(I)、A36(F)、A69(C)、及びA71(K)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(T)、A13(R)、A34(I)、A36(F)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A8(R)、A13(Y)、A34(L)、A36(I)、A69(G)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(T)、A13(R)、A34(L)、A36(F)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(T)、A13(R)、A34(I)、A36(F)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(G)、A13(A)、A34(V)、A36(H)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(R)、A13(S)、A34(L)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(L)、A13(N)、A34(I)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(D)、A13(K)、A34(I)、A36(F)、A69(C)、及びA71(K)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(R)、A13(S)、A34(L)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(C)、A8(D)、A13(K)、A34(I)、A36(L)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの態様において、タンパク質は、A7(S)、A8(C)、A13(H)、A34(I)、A36(Y)、A69(C)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。幾つかの態様において、タンパク質は、表1に示されるクローンの何れかの置換を含む。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴とし、該置換は少なくとも一のジスルフィド結合の形成を生じないことを特徴とする、アミノ酸残基A7、A8、A13、A34、A36、A69、及びA71からなる群から選択される一又は複数の置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(D)、A8(Y)、A13(R)、A34(L)、A36(I)、A69(A)及びA71(A)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A8(A)、A13(Y)、A34(L)、A36(I)、A69(G)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A8(G)、A13(Y)、A34(I)、A36(L)、A69(W)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A8(Q)、A13(Y)、A34(L)、A36(I)、A69(G)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(F)、A8(R)、A13(Y)、A34(L)、A36(I)、A69(G)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(R)、A8(Q)、A13(E)、A34(L)、A36(Y)、A69(K)、及びA71(Q)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(R)、A8(R)、A13(P)、A34(T)、A36(A)、A69(Y)、及びA71(R)を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、A7(S)、A8(Y)、A13(Y)、A34(I)、A36(N)、A69(I)、及びA71(G)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP14に結合することはできない。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンと比較して、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍の何れかを包括し、これらの値の間の任意の数を含む大きな倍率である親和性でUSP7に結合する。幾つかの態様において、タンパク質は、表2に示されるクローンの何れかの置換を含む。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1に関することを特徴とする、アミノ酸残基A7、A8、A13、A34、A36、A69、及びA71からなる群から選択される一又は複数の置換を含む。幾つかの態様において、タンパク質は、A7(G)、A8(L)、A13(T)、A34(T)、A36(L)、A69(I)、及びA71(W)を含む。幾つかの態様において、タンパク質は、A7(G)、A8(F)、A13(L)、A34(T)、A36(L)、A69(S)、及びA71(W)を含む。幾つかの態様において、タンパク質は、A7(G)、A8(L)、A13(V)、A34(V)、A36(L)、A69(I)、及びA71(W)を含む。幾つかの態様において、タンパク質は、A7(G)、A8(L)、A13(L)、A34(S)、A36(L)、A69(V)、及びA71(W)を含む。幾つかの態様において、タンパク質は、A7(G)、A8(F)、A13(L)、A34(T)、A36(W)、A69(Y)、及びA71(H)を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP14に結合するが、USP7に結合することはできない。幾つかの態様において、タンパク質は、表3に示されるクローンの何れかの置換を含む。
幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、クローンU7Ub25、U7Ub7、又はU14Ub2の何れかの置換を含む。
更なる態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかは、一又は複数の結合パートナーに対するその親和性を増加させる、タンパク質の表面上の一又は複数のアミノ酸置換を更に有し得る。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1のA1−A76に対応する、A42、A46、A49、A62、A65、A68、又はA70において一又は複数の表面アミノ酸置換を有する。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A42(K、T、又はW)、A46(G又はS)、A49(T、N、L、又はR)、A62(E)、A65(T又はA)、A68(R)、又はA70(I)の一又は複数にて表面アミノ酸置換を有する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A42(K、T、又はW)、A46(G又はS)、A49(T、N、L、又はR)、A62(E)、A65(T又はA)、A68(R)、又はA70(I)にて表面アミノ酸置換を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたタンパク質は、クローンU7Ub25.2540の置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、選択的に阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍を包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。幾つかの態様において、タンパク質は、表4に示されるクローンの何れかの置換を含む。
更に他の態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかは、一又は複数の結合パートナーに対するその親和性を増加させる、タンパク質のC末端領域の表面上の一又は複数のアミノ酸置換を更に有し得る。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたタンパク質は、アミノ酸残基の位置が配列番号1のA1−A76に対応する、A40、A42、A46、A47、A49、A62、A65、A68、A70、A71、A72、A73、A74、A75、又はA76において一又は複数の表面アミノ酸置換を有する。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A42(M)、A46(L又はN)、A49(V、Y、L、又はT)、A62(G又はR)、A65(A)、A68(Q)、A70(R)、A72(W又はH)、A73(A、R、又はK)、A74(S、V、G、Y、又はW)、A75(A、R、P、E、V、H、又はY)、又はA76(R、S、V、A、又はL)の一又は複数にて表面アミノ酸置換を有する。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、A42(M)、A49(V)、A70(R)、A72(W)、A73(K)、A74(K)、A75(R)、及びA76(V)にて表面アミノ酸置換を有する。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたタンパク質は、クローンUb7.25.216の置換を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、結合パートナーに対する約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数の酵素的ユビキチン結合パートナーの活性を、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、選択的に阻害する。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。一実施態様において、結合パートナーはUSP7である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ周辺領域におけるマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散により測定される場合、野生型ユビキチンと比較して、最大で約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、又は約1000倍を包括し、これらの値の間の任意の数を含み大きい。特定の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチン蛋白質のβ1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大約40倍大きい。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の、約0.7から2.7Å、約1.0から2.4Å、約1.3から2.1Å、約1.6から1.8ÅのRMSDの何れかを含む、約0.5から3Å以内の領域に制限される。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域は、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6ÅRMSD以内の領域に制限される。幾つかの態様において、タンパク質は、表5に示されるクローンの何れかの置換を含む。
立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に対する本明細書に開示された特定のアミノ酸残基の置換に加えて、ユビキチンタンパク質はまた、立体構造の安定性に特異的に影響を及ぼさない更なる変異を含み得る。これらの変異は、本明細書に開示される天然配列ユビキチンポリペプチド配列の何れかと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する、本明細書で定義されるユビキチンポリペプチドを生じる。そのようなユビキチンポリペプチド変異体は、例えば、一以上のアミノ酸残基が天然アミノ酸配列のN又はC末端(ユビキチンC末端ジグリシンモチーフなど)にて、追加、又は削除されることを特徴とする、ユビキチンポリペプチドを含む。通常、ユビキチンポリペプチド変異体は、本明細書に開示される天然配列ユビキチンポリペプチド配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有する。任意で、ユビキチン変異体ポリペプチドは、天然ユビキチンポリペプチド配列と比較して、一以下の保存的アミノ酸置換を有し、あるいは天然ユビキチンポリペプチド配列と比較して、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以下の保存的アミノ酸置換を有する。
一般に、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチン変異体は、配列中の特定の位置の残基が他のアミノ酸によって置換され、親タンパク質/ペプチドの二つの残基の間に追加の残基又は残基(複数)を挿入する可能性、並びに親配列から一又はそれ以上の残基を欠失させ又は親配列に一以上の残基を付加する可能性を更に含む変異体を含む。任意のアミノ酸置換、挿入、又は欠失が本発明に含まれ得る。幾つかの実施態様において、置換は、好ましくは、タンパク質のコンフォーメーションの一部又は全てが保存されて安定化される、本明細書に記載される保存的置換である。
幾つかの態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、一又は複数のアミノ酸置換を含む。幾つかの実施態様において、タンパク質は、アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、A75及びA76で欠失を含む。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP7に結合するが、USP5に結合することはできない。別の実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、USP7の酵素活性を、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害するが、USP5の酵素活性は阻害しない。幾つかの態様において、立体構造的に安定化されたタンパク質は、クローンU7Ub25ΔΔGGの置換及び欠失を含む。
ペプチド/ポリペプチドの保存的置換は、表6の「好ましい置換」の見出しの下に示されている。そのような置換が生物活性の変化を生じるならば、表6において「例示的置換」と命名され、又はアミノ酸クラスを参照して以下に更に記載されるより実質的な変化が導入され、その産物がスクリーニングされる。
ペプチド/ポリペプチドの生物学的性質の実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド主鎖の構造、例えばシート又は螺旋コンフォーメーション、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持することに対するそれらの影響において有意に異なる置換基を選択することにより達成される。非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.
(7)大きな疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
更なる実施態様において、本発明のペプチド又はポリペプチドは、一以上の非天然型アミノ酸又は修飾されたアミノ酸含むことができる。「非天然型アミノ酸残基」とは、上に列挙される天然に生じるアミノ酸残基以外のもので、ポリペプチド鎖中で隣接するアミノ酸残基に共有結合することができる残基を意味する。非天然アミノ酸は、限定されないが、ホモ−リシン、ホモアルギニン、ホモ−セリン、アゼチジンカルボン酸、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、第三級ブチルグリシン、2,4−ジアミノイソ酸、デスモシン、2,2’−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルペンチルグリシン、N−メチルバリン、ナフタラニン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、シトルリン、ペンチルグリシン、ピペコリン酸及びチオプロリンを含む。修飾されたアミノ酸は、化学的に可逆的または不可逆的にブロックされ、又はそれらのN−末端アミノ基又はそれらの側鎖基上で修飾された天然及び非天然アミノ酸、例えばNメチル化D及びLアミノ酸、化学的に別の官能基に修飾された側鎖官能基を含む。例えば、修飾されたアミノ酸は、メチオニンスルホキシド;メチオニンスルホン;アスパラギン酸−(β−メチルエステル)、アスパラギン酸の修飾アミノ酸;N−エチルグリシン、グリシンの修飾アミノ酸;又はアラニンカルボキサミド及びアラニンの修飾されたアミノ酸を含む。非天然及び修飾されたアミノ酸、及びタンパク質及びペプチドにそれらを組み込む更なる方法は、当技術分野において公知である(例えば、Sandberg et al., (1998) J. Med. Chem. 41: 2481-91; Xie and Schultz (2005) Curr. Opin. Chem. Biol. 9: 548-554; Hodgson and Sanderson (2004) Chem. Soc. Rev. 33: 422-430を参照)。
本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかの実施態様において、タンパク質は単離され得る。本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかの実施態様において、タンパク質は、合成タンパク質、又は化学合成を介して作成されたポリペプチド鎖である。
幾つかの実施態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いた適切な精製スキームによって細胞から単離することができる。別の実施態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、組換えDNA技術により生成される。組換え発現の別法として、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、標準的なペプチド合成技術により化学的に合成することができる。
幾つかの実施態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、実質的に単離された(例えば分離された)ポリペプチドである。混入成分は、ポリペプチドの診断的又は治療的用途を典型的には妨害するであろう物質を含み、酵素、ホルモン、および他のタンパク質様または非タンパク質様溶質を含み得る。所望されない汚染物質(汚染物質(contaminant))の乾燥重量で好ましくは約30%未満、好ましくは約20%、約10%未満、そして好ましくは約5%未満の汚染物質を有する調製物は実質的に単離されたと見なされる。単離され、組換え的に産生されるペプチド/ポリペプチドあるいは生物学的に活性なその一部は、好ましくは実質的に培養培地を含まず、すなわち、培養培地は、ペプチド/ポリペプチド調製物の体積の好ましくは約20%未満、好ましくは約10%未満、好ましくは約5%未満を示す。汚染物質の例としては、細胞破片、培養培地、及びペプチド/ポリペプチドのインビトロ合成の最中に使用され産生された物質が挙げられる。
B.立体構造的に安定化されたユビキチン融合体
さらに本明細書で提供されるのは、担体にコンジュゲートした本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを含む、立体構造的に安定化されたユビキチン融合体である。立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンがコンジュゲートする担体は生分解性ポリマーである。生分解性又は生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、PEG、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、炭水化物、ポリペプチド、コラーゲン、デンプン、セルロース、キチン、リグニン、及びそれらの共重合体などを使用することができる。このような物質は、ALZAコーポレーション(Mountain View, CA)及びNOVA製薬(Lake Elsinore, CA)から商業的に入手するか、当業者によって調製することができる。リポソーム懸濁液も薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、(Eppstein等、米国特許第4522811号、1985)にあるような当業者に公知の方法に従って調製することができる。幾つかの実施態様において、担体はポリペプチドである。幾つかの実施態様において、ポリペプチドはアルブミンである。幾つかの実施態様において、ポリペプチドはFcである。幾つかの実施態様において、担体はPEGである。
立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、担体は立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のC末端にコンジュゲートされる。立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、担体は立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のN末端にコンジュゲートされない。
立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、担体は立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に共有結合でコンジュゲートされる。立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、担体は立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に直接的にコンジュゲートされる。立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、担体は立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に、リンカー配列を介して共有結合でコンジュゲートされる。幾つかの実施態様において、担体は立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質との融合タンパク質としてコンジュゲートする。
立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質融合体の何れかの幾つかの実施態様において、担体に対する立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のコンジュゲーションは、担体にコンジュゲートしていない立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と比べて、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の半減期及び/又は生物学的利用能を増加させる。
C.タンパク質複合体
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかと結合パートナーを含むタンパク質複合体である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。幾つかの実施態様において、タンパク質複合体内のタンパク質は、約1.0mM、約500μM、約100μM、約50μM、約25μM、約10μM、約5μM、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、約5nM、約又は1nMの何れか未満を包括し、これらの数字の間の任意の値を含むKdによって決定される結合親和性でお互いに結合する。幾つかの実施態様において、結合パートナーが酵素中にあるとき、タンパク質複合体を形成するための、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と酵素の結合は、酵素の酵素活性を選択的に阻害する(例えば完全に阻害する)。別の実施態様において、酵素と立体構造的に安定化されたユビキチンがタンパク質複合体を形成するとき、立体構造的に安定化されたユビキチンは、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、酵素の酵素活性を阻害する。
また本明細書において提供されるのは、本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に直接的に(例えば、直接的に(例えば、共有結合により)又は間接的に)連結した、ユビキチン化タンパク質複合体である。幾つかの実施態様において、タンパク質はモノユビキチン化される。別の実施態様において、タンパク質は、複数(2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上など)のリジン残基上でマルチユビキチン化される。別の実施態様において、タンパク質に共有結合した立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、ユビキチンタンパク質の任意のリジン残基上(1、2、3、4、5、6又は7の何れか等)でポリユビキチン鎖を形成する。幾つかの実施態様において、ポリユビキチン鎖は、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に加えて、一又は複数の野生型ユビキチンタンパク質を含むことができる。
幾つかの態様において、任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はタンパク質複合体は、当該技術分野で既知の任意の方法を用いて、固体支持体上に固定化することができる。別の態様において、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを発現する細胞又は細胞の集団もまた固体支持体上に固定化することができる。従って、本出願はまた、1)本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかと結合した固体支持体、及び2)本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを発現する細胞又は細胞の集団に結合した固体支持体を提供する。
また本明細書において提供されるのは、(限定されないがUSP7など)USPファミリーの脱ユビキチン化酵素と複合体形成した、(本明細書に開示されるような)立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を含むタンパク質複合体を有する固体支持体である。適切な固体支持体の例は、限定されないが、ガラス、プラスチック、金属、ラテックス、ゴム、セラミック、例えば、ポリプロピレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリエチレン、ポリスチレン等のポリマー、及びポリアクリルアミド、デキストラン、セルロース、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、アミロース、などが挙げられる。固体支持体は、平坦、凹状、又は凸状、球状、円筒状などとすることができ、(例えば、ナノ粒子などの)粒子、(例えば、磁気ビーズなどの)ビーズ、膜、ストランド、沈殿物、ゲル、シート、容器、ウェル、毛細管、フィルム、プレート、スライドなどが挙げられる。固体支持体は、磁性体、又はカラムとすることができる。幾つかの実施態様において、固体支持体は、表面プラズモン共鳴を実施するのに適した表面である。特定の一実施態様において、本明細書に記載される立体構造的に安定化された任意のユビキチンタンパク質又はタンパク質複合体が固体支持体の表面上に固定化することができる、タンパク質マイクロアレイが調製され得る。一実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はタンパク質複合体は、固体支持体へのタンパク質固定化のために、単一タンパク質、タンパク質の機能又は構造クラス、又は一般にタンパク質に結合する一以上の官能基を含むように修飾される。例えば、チオレドキシンパッチなどの融合タンパク質系、インテインに基づくアプローチ又は他の方法は、立体構造的に安定化されたユビキチン化タンパク質又はタンパク質複合体を固定化するために使用することができる。立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はタンパク質複合体は、特定のクラスのタンパク質を固定化するために、スクシンイミジルエステル/アルデヒド(タンパク質の一般的な固定化のため)、グルタチオン(GST融合タンパク質を固定化するため)、NTA又は金属(Hisタグ化タンパク質を固定化するため)、又は特異的リガンド(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーからの脱ユビキチン化酵素など)で修飾してもよい。同様に、タンパク質複合体を単離することを含む、タンパク質−タンパク質相互作用を研究するために、本明細書に開示されるものの何れかのような立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質、タンパク質複合体又は修飾されたタンパク質は、磁性粒子又は非磁性粒子、例えばMagneSil粒子上に固定化することができる。
D.核酸
本明細書において提供されるのは、本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質をコードする単離された核酸である。本開示は、核酸分子が、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を持つアミノ酸配列を含むタンパク質をコード化する、単離された核酸分子である。
E.ベクター
本明細書に記載される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質をコードするポリヌクレイチド配列は、標準的な合成技術及び/又は組換え技術を用いて得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列を、適切な供給源細胞から単離し、配列決定することができる。抗体、ペプチド、及び/又はポリペプチドの源細胞は、抗体、ペプチド、及び/又はポリペプチドを産生する細胞、例えばハイブリドーマ細胞を含むであろう。あるいは、ポリヌクレオチドをヌクレオチド合成装置又はPCR技術を使用して合成することができる。一たび得られると、抗体、ペプチド、及び/又はポリペプチドをコードする配列は、宿主細胞において異種ポリヌクレオチドを複製し発現することができる組換えベクターに挿入される。入手可能で当該技術分野で公知のベクターが本発明の目的用に使用することができる。適切なベクターの選別はベクターに挿入される核酸の大きさ及びそのベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主に依存するであろう。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅又は発現、或いは両方)、及びそれが属する特定の宿主細胞との適合性に依存して、様々な成分を含有する。ベクターの成分は、限定されないが、一般的に、複製起点(特に、ベクターが原核細胞に挿入されたとき)、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入及び転写終結配列を含む。幾つかの実施態様において、ベクターは発現ベクターである。
一般に、宿主細胞と適合した種に由来するレプリコン及び制御配列を含むプラスミドベクターが、これらの宿主に関連して使用される。ベクターは通常、複製部位、並びに形質転換細胞の表現型選択を提供することができるマーキング配列を運ぶ。例えば、大腸菌は典型的には、大腸菌種から由来したプラスミドであるpBR322を使用して形質転換される。pBR322は、アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tetリ)耐性をコードする遺伝子を含有し、従って形質転換された細胞を同定するための簡便な手段を提供する。pBR322、その誘導体、又は他の微生物プラスミド又はバクテリオファージもまた含んでいてもよく、又は内因性タンパク質の発現用に微生物生物体によって使用することができるプロモーターを含むように改変され得る。
更に宿主微生物と適合するレプリコン及び制御配列を含むファージベクターは、これらの宿主と関連して形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、γGEM.TM.−11などのバクテリオファージは、例えば大腸菌LE392などの感受性宿主細胞を形質転換するために使用することができる組換えベクターの作成に利用することができる。
当業者によって確認することができる特定の状況の必要に応じて、構成的又は誘導性プロモーターの何れかを、本発明において使用することができる。様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが知られている。選択したプロモーターは、機能制限酵素消化を介して供給源のDNAからプロモーターを除去し、選択したベクターに単離したプロモーター配列を挿入することにより、本明細書に記載のポリペプチドをコードするDNAをシストロンに作動可能に連結することができる。天然プロモーター配列及び多くの異種プロモーターの両方が、標的遺伝子の直接増幅及び/又は発現に用いることができる。しかしながら、一般的に、天然の標的ポリペプチドプロモーターに比べて、発現された標的遺伝子のより大きな転写と高収量を可能にするので異種プロモーターが好ましい。
原核生物宿主での使用に適したプロモーターは、PhoAプロモーター、βガラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びtac又はtrcプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが挙げられる。細菌内で機能している他のプロモーター(例えば、他の既知の細菌又はファージプロモーター)も適している。それらのヌクレオチド配列は公表されており、それによって、当業者が、任意の必要な制限部位を供給するためのリンカー又はアダプターを使用して、標的軽鎖及び重鎖をコードするシストロン (Siebenlist et al. (1980) Cell 20: 269)にそれらを作動可能に連結することを可能にする。
幾つかの実施態様において、組換えベクター内の各シストロンは、膜を貫通して発現されるポリペプチドの転位を指示する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、又はベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であってもよい。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識され処理される(即ち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。異種ポリペプチドに天然のシグナル配列を認識せずプロセスしない原核生物宿主細胞では、シグナル配列は、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp又は熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から例えば選択される原核生物シグナル配列によって置換されている。
F.宿主細胞
ポリペプチドを発現させるための適切な原核生物宿主細胞には、古細菌及び真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物などが含まれる。有用な細菌の例としては、大腸菌(例えば、大腸菌)、桿菌(例えば、枯草菌)、腸内細菌、シュードモナス種(例えば、緑膿菌)、ネズミチフス菌、セラチア・マルセスキャンス(Serratia marcescans)、クレブシエラ、プロテウス、赤痢菌、根粒菌、ビトレオシラ、又はパラコッカスを含む。好ましくは、グラム陰性細胞が使用される。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌しなければならず、更なるプロテアーゼ阻害剤を、望ましくは、細胞培養物に組み込むことができる。
一実施態様において、宿主細胞は、サッカロミセス、ピチア、及びカンジダからなる群から選択される酵母細胞である。別の実施態様において、細胞は、カエノラブディティス・エレガンス線虫の細胞である。別の実施態様において、細胞は、ショウジョウバエ細胞などの昆虫細胞である。更に別の実施態様において、細胞はゼブラフィッシュ細胞である。
本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を発現することができる哺乳動物細胞の例は、ハムスター細胞、マウス細胞、ラット細胞、ウサギ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ウシ細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞、ウマ細胞、ヒツジ細胞、サル細胞、チンパンジー細胞、及びヒト細胞からなる群から選択することができる。別の実施態様において、動物細胞は、神経細胞(例えば、限定されるものではないが、末梢神経系細胞又は中枢神経系細胞)、筋細胞(例えば、心臓、骨格、又は平滑筋細胞など)、配偶子(例えば、精子細胞又は卵母細胞など)、癌細胞、免疫細胞(限定されるものではないが、例えばマクロファージ、T細胞、又はB細胞)、幹細胞(限定されるものではないが、例えば、胚性幹細胞又は成体幹細胞)、又は内分泌細胞(限定されるものではないが、甲状腺細胞、視床下部細胞、下垂体細胞、副腎細胞、精巣細胞、卵巣細胞、膵臓細胞(β細胞など)、胃細胞、又は腸細胞)である。幾つかの実施態様において、細胞は、細胞培養物中のヒト細胞である。幾つかの実施態様において、細胞は、細胞培養物中の非ヒト細胞である。幾つかの実施態様において、細胞は、癌細胞である。
G.立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の生成
宿主細胞は、上記の発現ベクターで形質転換又はトランスフェクトされ、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された常套的栄養培地で培養される。
トランスフェクションは、如何なるコード配列が実際に発現されるか否かによらず、宿主細胞による発現ベクターの受け入れを指す。トランスフェクションの多くの方法、例えば、CaPO4沈殿及び電気穿孔が、当業者に知られている。このベクターの作動の兆候が宿主細胞内で発生したときに、トランスフェクションの成功が一般的に認識される。
形質転換は、DNAが、染色体外要素として、又は染色体組み込みによってのどちらかで、複製可能であるように、原核生物の宿主内にDNAを導入することを意味する。使用される宿主細胞に依存して、形質転換はそのような細胞に適した標準的技術を用いて行われる。塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は、一般に、実質的な細胞壁障壁を含む細菌細胞で使用される。形質転換について別の方法はポリエチレングリコール/DMSOを用いる。使用される別の手法は、電気穿孔である。
本発明のポリペプチドを産生するために使用される原核生物細胞は当該分野で既知であり、選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖させる。適切な培地の例には、ルリア培地(LB)プラス必須栄養分サプリメントが含まれる。好ましい実施態様において、培地は、発現ベクターを含む原核生物細胞の増殖を選択的に可能にする発現ベクターの構成に基づいて選択される選択剤を含有する。例えば、アンピシリンは、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖用培地に加えられる。
炭素、窒素及び無機リン酸源の他に任意の必要な補充物質もまた、単独で、または複合窒素源等の他のサプリメント又は培地との混合物として導入される適切な濃度で含まれてもよい。任意で、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール及びジチオスレイトールからなる群から選択される一以上の還元剤を含有することができる。
原核生物宿主細胞は適切な温度で培養される。大腸菌の増殖では、例えば、好ましい温度は、約20℃から約39℃、より好ましくは約25℃から約37℃の範囲であり、更により好ましくは約30℃である。培地のpHは、宿主生物に主に依存して、約5から約9の範囲の任意のpHであってもよい。大腸菌では、pHは好ましくは約6.8から約7.4であり、より好ましくは約7.0である。
誘導性プロモーターが発現ベクターで使用される場合、タンパク質の発現はプロモーターの活性化に適した条件下で誘導される。例えば、PhoAプロモーターが転写を制御するために使用される場合、形質転換される宿主細胞は、誘導のためにリン酸限定培地で培養することができる。当技術分野で知られているように、用いられるベクター構築物に応じて、様々な他の誘導因子を使用することができる。
微生物で発現される本明細書に記載のポリペプチドは、宿主細胞のペリプラズム中に分泌され、回収することができる。タンパク質の回収は、典型的には微生物を、一般的には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解のような手段により破壊することを含む。ひとたび細胞が破壊されると、細胞片又は全細胞は、遠心分離又は濾過によって除去することができる。タンパク質は、例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって、更に精製することができる。あるいは、タンパク質は培養培地に運搬され、そこから単離することができる。細胞は、培養物から除去することができ、培養上清は濾過され、生成したタンパク質の更なる精製のため濃縮される。発現されたポリペプチドは、更に単離して、免疫親和性又はイオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はDEAEなどの陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、セファデックスG−75を用いたゲル濾過;疎水性アフィニティー樹脂、マトリックス上に固定化された適切な抗原を用いたリガンド親和性及びウエスタンブロットアッセイなど一般的に知られている方法を用いて同定することができる。
原核生物宿主細胞に加えて、真核宿主細胞系もまた、当技術分野において十分に確立されている。適切な宿主は、例えば、CHOなどの哺乳動物細胞株、及び下に記載されるような昆虫細胞が含まれる。
H.ポリペプチド/ペプチドの精製
生成されるポリペプチド/ペプチドは、更なるアッセイと使用のため実質的に均質な調製物を得るために精製することができる。当技術分野で知られている標準的なタンパク質精製方法を用いることができる。以下の手順は適切な精製手順の例である:免疫親和性又はイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ又はDEAEなどのカチオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、例えば、セファデックスG−75を用いたゲル濾過。
IV.本発明の方法
本明細書中において、選択的にUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素を阻害するための方法が提供される。更に提供されるのは、1)ユビキチンタンパク質の立体構造形態(例えば、脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素に好ましく結合するユビキチンの立体構造形態)に結合し;2)USP−脱ユビキチン化酵素/ユビキチンタンパク質複合体に結合し;3)USPファミリーの脱ユビキチン化酵素に結合し;及び/又は4)USP−脱ユビキチン化酵素/ユビキチンタンパク質複合体を破壊することができる薬剤を同定するための方法である。本明細書において更に提供されるのは、タンパク質の野生型形態と比較して、タンパク質の立体構造的に安定化された形態は、結合パートナーへの結合親和性が増加していることを特徴とする、タンパク質の立体構造的に安定化された形態をスクリーニングするための方法である。また本明細書において提供されるのは、本明細書に開示される任意の請求項に記載される方法により同定される薬剤である。
A.USPファミリーの脱ユビキチン化酵素を選択的に阻害するための方法
本明細書中において提供されるのは、選択的にUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素を阻害するための方法である。幾つかの態様において、本方法は、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかと脱ユビキチン化酵素とを接触させることを含む。幾つかの実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、USP1、USP2、USP3、USP4、USP5、USP6、USP7、USP8、USP9X、USP9Y、USP10、USP11、USP12、USP13、USP14、USP15、USP16、USP17、USP17L2、USP17L3、USP17L4、USP17L5、USP17L7、USP17L8、USP18、USP19、USP20、USP21、USP22、USP23、USP24、USP25、USP26、USP27X、USP28、USP29、USP30、USP31、USP32、USP33、USP34、USP35、USP36、USP37、USP38、USP39、USP40、USP41、USP42、USP43、USP44、USP45、又はUSP46の何れかである。別の実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、USP7、USP5、又はUSP14である。一実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素はUSP7である。幾つかの実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、本明細書に記載される任意のアミノ酸置換を含むことを特徴とする、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と接触される。一実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、インビトロで立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と接触される。別の実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、(例えば、本明細書に開示された立体構造的に安定化されたユビキチン化タンパク質の何れかとのUSPの脱ユビキチン化酵素の共発現によって、又は当該分野で公知の任意の手段によって、又は脂溶性担体中の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の投与によって等)インビボで立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と接触される。別の実施態様において、阻害はインビボにおいてである。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質はUSP脱ユビキチン化酵素アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素と本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質とを接触させると、USP脱ユビキチン化酵素の酵素活性を選択的に阻害(例えば完全に阻害)する。幾つかの実施態様において、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかと、USP脱ユビキチン化酵素とを接触させると、野生型ユビキチンにより引き起こされるこれらの酵素の阻害と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%の何れかだけを包括し、これらの値の間の任意のパーセンテージを含み、阻害する。
B.ユビキチンの立体構造形態へ結合する薬剤を同定するための方法
本発明はまた、ユビキチンの特定の立体構造形態(例えば、一又は複数のアミノ酸置換は、β1/β2ループが、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6Å平均二乗偏差以内の領域に制限されるように、ユビキチンタンパク質のβ1/β2ループ領域を安定化することを特徴とする、ユビキチンの立体構造形態)へ結合する(例えば優先的に結合する)一又は複数の薬剤を同定する(又はスクリーニングする)ための方法を提供する。このようなアッセイは、(例えば、ペプチドライブラリー又は化学ライブラリーなど)のライブラリーのハイスループットスクリーニングに適用可能なアッセイを含むことができる。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質(本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)と薬剤を接触させ、及び薬剤がユビキチンの前記立体構造的に安定化された形態に結合できるかどうかを決定することを含む、結合パートナーへの結合に適したユビキチンタンパク質の立体構造形態に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤を同定する方法が提供される。
結合アッセイに有用な立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、その断片が、β1/β2ループ領域に関して、完全長安定化タンパク質と同様の立体構造の安定化を維持することができる限り、安定化されたユビキチンタンパク質又はその断片であることができる。あるいは、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はその断片は、ポリペプチドのなかに含めることができ、すなわち、結合アッセイに用いられるポリペプチドは、立体構造的に安定化された単量体ユビキチンタンパク質には存在しない付加的アミノ酸残基を含むことができる。
本明細書中に記載される結合アッセイは、一般的にこれらの成分が相互作用することを可能にする条件下で十分な時間、結合について試験される二つの成分(例えば、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質、例えば、脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合について好適な安定化されたユビキチンタンパク質、及び薬剤)を接触させることを必要とする。形成された複合体は、反応混合物中で単離されるか、又は検出することができる。典型的な一実施態様において、一成分(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質、例えば、本明細書に開示される任意のもの)が固相上に、例えば、共有結合又は非共有結合により、マイクロタイタープレート上に固定化される。非共有結合は、一般に、薬剤の溶液で固体表面をコーティングすることによって又は乾燥によって達成される。あるいは、固定化すべき薬剤に特異的な抗体、例えばモノクローナル抗体等の固定化された親和性分子は、固体表面に係留させるために使用することができる。アッセイは、検出可能な標識によって標識されていてもよい非固定化成分(例えば、薬剤)を、固定化された成分に、例えば、係留成分を含むコーティングされた表面に加えることにより行われる。反応が完了したとき、未反応成分は例えば洗浄することによって除去され、固体表面に係留された複合体が検出される。もとの非固定化成分が検出可能な標識を持つ場合、表面上に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示している。もとの非固定化成分が標識を持たない場合は、結合は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識化抗体を用いることによって、検出することができる。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と結合パートナー(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーなど)の結合を阻害する薬剤は、以下のように試験される:立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はその断片、及び結合パートナー又はその断片を含む反応混合物は、2つの成分の相互作用及び結合を可能にする条件下及び時間で調製される。結合を阻害する候補薬剤の能力を試験するために、反応は、候補薬剤の非存在下及び存在下で実行される。更に、偽薬を、陽性対照として機能する別の反応混合物に添加してもよい。候補薬剤、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質及び結合パートナー(又はその等価物)との間の結合(複合体形成)は上記のように監視される。候補化合物を含む反応混合物中でなく対照反応における複合体の形成は、候補化合物は、結合パートナーに対する立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の結合を阻害することを示している。更に、異なる量の候補薬剤が、結合の阻害は競合的であるかどうかを決定するために試験することができる。
別法において、反応は液相中で行うことができ、非反応成分から分離した反応生成物、及び例えば、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質、結合パートナー又はその断片(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー又はその断片など)、又は溶液中で形成された任意の複合体を係留する候補薬剤に特異的な固定化抗体、及び可能な複合体の他の成分に特異的な標識された抗体を用いて検出された複合体は、係留された複合体を検出するために使用することができる。あるいは、細胞ベースのアッセイは、結合アッセイに使用することができる。具体的には、(例えば、ユビキチン変異体DNAなどとのトランスフェクションまたは形質導入によって)立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を発現するように操作された細胞株(例えば、COS細胞、CHO3J細胞、線維芽細胞等)を使用することができる。
上記の方法によって同定される薬剤は、以下に更に記載するように、その結合特異性について更にアッセイすることができる。特異的結合部位に結合する薬剤を同定する方法は、上記のスクリーニング方法と独立に、又は阻害スクリーニングアッセイと組み合わせて行うことができる。言い換えれば、本明細書に記載される結合パートナー(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーなど)の酵素活性を阻害する(部分的又は完全阻害など)薬剤を同定する方法は、最初に結合パートナーへの立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の結合を阻害(例えば、競合的阻害)する薬剤をスクリーニングし(「阻害に基づくスクリーニング」とも称する)、続いて前記スクリーニング結果から立体構造的に安定化されたユビキチンの特異的結合部位に結合する薬剤を同定する(「結合に基づくスクリーニング」とも称する)ことによって行うことができる。あるいは、最初に結合に基づくスクリーニングを行うことなく(又は続く阻害に基づくアッセイを行うことなく)、立体構造的に安定化されたユビキチン上の特異的結合部位に結合する薬剤をスクリーニングすることができる。
幾つかの実施態様において、阻害に基づくスクリーニング及び/又は結合に基づくスクリーニングは、薬剤の機能読み取りに基づいたスクリーニング/同定方法と組み合わせて実施することができる。ユビキチンと相互作用することが知られている酵素の活性を阻害する薬剤の機能読み取りは、限定されるものではないが、標的タンパク質からのユビキチンの切断、ポリユビキチン鎖へのユビキチンモノマーの除去又はユビキチンモノマーの組み込み、プロテアソーム複合体を介した標的タンパク質の分解、又はユビキチンプロセシング酵素の作動を含む、ユビキチン/プロテアソームのプロセシング機構に関連する生物学的活性の知識に基づいて、考案することができる。機能的スクリーニング/同定方法は、阻害に基づくスクリーニング及び/又は結合に基づくスクリーニングの前又は後の何れかで行うことができる。
従って、幾つかの態様では、本明細書に開示されるユビキチンの立体構造的に安定化された形態の何れかなど、とユビキチンの立体構造的に安定化された形態に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤を同定するための方法が本明細書に提供される。薬剤は、小分子化学化合物、阻害核酸、タンパク質(例えば、非抗体阻害ペプチド又は抗体)、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。幾つかの実施態様において、本方法は本明細書に開示された立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかと薬剤を接触させ、薬剤が立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に結合することが可能であるかどうかを決定することを含む。
幾つかの実施態様において、ユビキチンの立体構造的に安定化された形態は、一又は複数の結合パートナーに結合するのに好適である立体構造形態である。幾つかの実施態様において、薬剤の結合は、ユビキチンの立体構造形態に結合する(例えば優先的に結合する)一又は複数の結合パートナーの結合を阻害することができる(例えば、その間の相互作用を破壊することができる)。一実施態様において、結合パートナーは、限定されないが、任意のE1、E2又はE3ユビキチンプロセシング酵素などのユビキチンプロセシング酵素、又は脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、結合パートナーは脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバー(限定されないが、例えば、USP7、USP5、及び/又はUSP14)である。幾つかの実施態様において、薬剤は、結合パートナーの、ユビキチンの特定の立体構造形態(例えば、一又は複数のアミノ酸置換は、β1/β2ループが、プロテインデータバンクコード3NHEのB鎖の約1.6Å平均二乗偏差以内の領域に制限されるように、安定化されたユビキチンタンパク質のβ1/β2ループを安定化することを特徴とする、ユビキチンの立体構造形態)への結合を競合的に阻害するが、ユビキチンの他の立体構造形態への結合パートナーの結合には影響を与えない。更なる実施態様において、薬剤は、競合ELISAアッセイの下、IC50が約40nM未満(例えば、約35nM未満、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約14nM未満、約13nM未満、約12nM未満、約11nM未満、約10nM未満、約9nM未満、約8nM未満、約7nM未満、約6nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、又は約1nM未満)で、ユビキチンの特定の立体構造形態への結合パートナーの結合と競合する。幾つかの実施態様において、ユビキチンに結合した薬剤は、一又は複数の結合パートナーの酵素活性、例えば、脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素の酵素活性などを抑制する。
また本明細書において提供されるのは、本明細書に開示される任意の請求項に記載される方法により同定される薬剤である。
C.ユビキチン/USP−脱ユビキチン化酵素タンパク質複合体を破壊又は結合する剤を同定するための方法
本発明はまた、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素(限定されないがUSP7)及びユビキチンを含むタンパク質複合体に結合する一又は複数の薬剤を同定する(又は関してスクリーニングする)ための方法を提供する。一態様において、ユビキチン/USP脱ユビキチン化酵素タンパク質複合体を破壊することができる一又は複数の薬剤を同定する(又は関してスクリーニングする)ための方法が提供される。このようなアッセイは、(例えば、ペプチドライブラリー又は化学ライブラリーなど)のライブラリーのハイスループットスクリーニングに適用可能なアッセイを含むことができる。
幾つかの実施態様において、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素及び本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを含むタンパク質複合体と薬剤とを接触させ、及び薬剤が前記脱ユビキチン化酵素に結合できるかどうかを決定することを含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤を同定する方法が提供される。幾つかの態様において、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素及び本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを含むタンパク質複合体と薬剤とを接触させ、及び薬剤がユビキチンに結合できるかどうかを決定することを含む、ユビキチンに結合する(例えば優先的に結合する)薬剤を同定する方法が提供される。
USPファミリーの脱ユビキチン化酵素及び立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を含むタンパク質複合体は、成分として本明細書に開示される安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを含む、本明細書に開示されるタンパク質複合体の何れかとすることができる。タンパク質複合体のUSP脱ユビキチン化酵素成分は、限定されないが、USP1、USP2、USP3、USP4、USP5、USP6、USP7、USP8、USP9X、USP9Y、USP10、USP11、USP12、USP13、USP14、USP15、USP16、USP17、USP17L2、USP17L3、USP17L4、USP17L5、USP17L7、USP17L8、USP18、USP19、USP20、USP21、USP22、USP23、USP24、USP25、USP26、USP27X、USP28、USP29、USP30、USP31、USP32、USP33、USP34、USP35、USP36、USP37、USP38、USP39、USP40、USP41、USP42、USP43、USP44、USP45、又はUSP46の何れか等の、USPファミリーの任意のメンバーとすることができる。別の実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、USP7、USP5、又はUSP14である。あるいは、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はその断片又はUSP脱ユビキチン化酵素は、ポリペプチドのなかに含めることができ、すなわち、結合アッセイに用いられるタンパク質複合体を含むポリペプチドの何れも、立体構造的に安定化された単量体ユビキチンタンパク質には存在しない付加的アミノ酸残基を含むことができる。
本明細書中に記載される結合アッセイは、一般的にこれらの成分が相互作用することを可能にする条件下で十分な時間、結合について試験される二つの成分(例えば、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質及びUSP脱ユビキチン化酵素を含むタンパク質複合体及び薬剤)を接触させることを必要とする。形成された複合体は、反応混合物中で単離されるか、又は検出することができる。典型的な一実施態様において、一成分(例えば、本明細書に開示される任意のものなどのタンパク質複合体)が固相上に、例えば、共有結合又は非共有結合により、マイクロタイタープレート上に固定化される。非共有結合は、一般に、薬剤の溶液で固体表面をコーティングすることによって又は乾燥によって達成される。あるいは、固定化すべき薬剤に特異的な抗体、例えばモノクローナル抗体等の固定化された親和性分子は、固体表面に係留させるために使用することができる。アッセイは、検出可能な標識によって標識されていてもよい非固定化成分(例えば、薬剤)を、固定化された成分に、例えば、係留成分を含むコーティングされた表面に加えることにより行われる。反応が完了したとき、未反応成分は例えば洗浄することによって除去され、固体表面に係留された複合体が検出される。もとの非固定化成分が検出可能な標識を持つ場合、表面上に固定化された標識の検出は複合体形成が起こったことを示している。もとの非固定化成分が標識を持たない場合は、結合は、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識化抗体を用いることによって、検出することができる。
幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーとの間に形成されるタンパク質複合体を破壊する薬剤は、以下のように試験される:立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質又はその断片、及び脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーを含む反応混合物は、タンパク質複合体を形成する2つの成分の相互作用及び結合を可能にする条件下及び時間で調製される。脱ユビキチン化酵素と立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を含むタンパク質複合体の間の相互作用を破壊する候補薬剤の能力を試験するために、反応は候補薬剤の非存在下又は存在下で実行される。更に、偽薬を、陽性対照として機能する別の反応混合物に添加してもよい。候補薬剤とUSP脱ユビキチン化酵素の間の結合は、上述されるように監視される。候補化合物を含む反応混合物中でなく対照反応における複合体の形成は、候補化合物は、結合パートナーに対する立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の結合を阻害することを示している。更に、異なる量の候補薬剤を、結合の阻害は競合的であるかどうかを決定するために試験することができる。
別法において、反応は液相中で行うことができ、非反応成分から分離した反応生成物、及び例えば、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質、USP脱ユビキチン化酵素、又は溶液中で形成された任意の複合体を係留する候補薬剤に特異的な固定化抗体、及び可能な複合体の他の成分に特異的な標識された抗体を用いて検出された複合体は、係留された複合体を検出するために使用することができる。あるいは、細胞ベースのアッセイは、結合アッセイに使用することができる。具体的には、(例えば、ユビキチン変異体DNAなどとのトランスフェクションまたは形質導入によって)立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を発現するように操作された細胞株(例えば、COS細胞、CHO3J細胞、線維芽細胞等)並びにUSP脱ユビキチン化酵素を天然に発現し、又は発現するように操作された細胞を使用することができる。
上記の方法によって同定される薬剤は、以下に更に記載するように、その結合特異性について更にアッセイすることができる。特異的結合部位に結合する薬剤を同定する方法は、上記のスクリーニング方法と独立に、又は阻害スクリーニングアッセイと組み合わせて行うことができる。言い換えれば、脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーの酵素活性を阻害する(部分的又は完全阻害など)薬剤を同定する方法は、最初に、脱ユビキチン化酵素及び立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を含むタンパク質複合体を破壊する薬剤をスクリーニングし、続いて前記スクリーニング結果から、脱ユビキチン化酵素の特異的結合部位に結合する薬剤を同定する(「結合に基づくスクリーニング」とも称する)ことによって行うことができる。あるいは、最初に結合に基づくスクリーニングを行うことなく(又は続く阻害に基づくアッセイを行うことなく)、脱ユビキチン化酵素上の特異的結合部位に結合する薬剤をスクリーニングすることができる。
幾つかの実施態様において、阻害に基づくスクリーニング及び/又は結合に基づくスクリーニングは、薬剤の機能読み取りに基づいたスクリーニング/同定方法と組み合わせて実施することができる。ユビキチンと相互作用することが知られている酵素の活性を阻害する薬剤の機能読み取りは、限定されるものではないが、標的タンパク質からのユビキチンの切断、ポリユビキチン鎖へのユビキチンモノマーの除去又はユビキチンモノマーの組み込み、又はプロテアソーム複合体を介した標的タンパク質の分解を含む、ユビキチン/プロテアソームのプロセシング機構に関連する生物学的活性の知識に基づいて、考案することができる。機能的スクリーニング/同定方法は、阻害に基づくスクリーニング及び/又は結合に基づくスクリーニングの前又は後の何れかで行うことができる。
従って、幾つかの態様では、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素及びユビキチンを含むタンパク質複合体に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤を同定するための方法が本明細書中で提供される。薬剤は、小分子化学化合物、阻害核酸、タンパク質(例えば、阻害ペプチド又は抗体)、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。幾つかの実施態様において、本方法は本明細書に開示された立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質及びUSP脱ユビキチン化酵素を含むタンパク質複合体の何れかと薬剤を接触させ、薬剤が脱ユビキチン化酵素へ又は立体構造的に安定化されたユビキチンへ結合することが可能であるかどうかを決定することを含む。幾つかの実施態様において、薬剤は、立体構造的に安定化されたユビキチンと脱ユビキチン化酵素の間の相互作用を破壊し、それによってタンパク質複合体を破壊する。幾つかの実施態様において、タンパク質複合体のUSP脱ユビキチン化酵素成分は、限定されないが、USP1、USP2、USP3、USP4、USP5、USP6、USP7、USP8、USP9X、USP9Y、USP10、USP11、USP12、USP13、USP14、USP15、USP16、USP17、USP17L2、USP17L3、USP17L4、USP17L5、USP17L7、USP17L8、USP18、USP19、USP20、USP21、USP22、USP23、USP24、USP25、USP26、USP27X、USP28、USP29、USP30、USP31、USP32、USP33、USP34、USP35、USP36、USP37、USP38、USP39、USP40、USP41、USP42、USP43、USP44、USP45、又はUSP46の何れか等の、USPファミリーの任意のメンバーとすることができる。幾つかの実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素は、USP7、USP5、又はUSP14である。一実施態様において、USP脱ユビキチン化酵素はUSP7である。幾つかの実施態様において、薬剤は、競合ELISAアッセイの下、IC50が約40nM未満(例えば、約35nM未満、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約14nM未満、約13nM未満、約12nM未満、約11nM未満、約10nM未満、約9nM未満、約8nM未満、約7nM未満、約6nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、又は約1nM未満)で、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に対する脱ユビキチン化酵素の結合と競合する。幾つかの実施態様において、ユビキチンに結合した薬剤は、一又は複数の結合パートナーの酵素活性、例えば、脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素の酵素活性などを抑制する。
幾つかの態様において、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素に結合する薬剤は、抗体である。抗体は、本明細書に開示されるUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素の何れかに結合する(例えば優先的に結合する)ポリペプチドである。幾つかの実施態様において、抗体は、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素(例えば、USP7、USP5、又はUSP14)アンタゴニストである。
幾つかの態様において、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素に結合する薬剤は、非抗体結合ポリペプチドである。結合ポリペプチドは、本明細書に開示されるUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素の何れかに結合する(例えば優先的に結合する)ポリペプチドである。幾つかの実施態様において、結合ポリペプチドは、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素(例えば、USP7、USP5、又はUSP14)アンタゴニストである。
幾つかの態様において、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤は、小分子化学化合物である。小分子化学化合物は、本明細書に開示されるUSPファミリーの脱ユビキチン化酵素の何れかに結合する(例えば優先的に結合する)化合物である。幾つかの実施態様において、小分子化学化合物は、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素(例えば、USP7、USP5、又はUSP14)アンタゴニストである。
また本明細書において提供されるのは、本明細書に開示される任意の請求項に記載される方法により同定される薬剤である。
D.立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質、USP脱ユビキチン化酵素、又はそのタンパク質複合体に結合する薬剤
本明細書において提供される任意の方法の幾つかの態様において、ユビキチンタンパク質の立体構造的に安定化された形態(本明細書において提供されるユビキチンの立体構造的に安定化された形態の任意のものなど)に結合する(例えば優先的に結合する)、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素に結合する(例えば優先的に結合する)、又はUSP脱ユビキチン化酵素/立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の複合体に結合し及び/又は破壊する薬剤は、抗体、非抗体結合ポリペプチド、又は小分子化学化合物とすることができる。
抗体
幾つかの態様において、ユビキチンタンパク質の特定の立体構造形態(本明細書において提供されるユビキチンの立体構造的に安定化された形態の任意のものなど)に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤は、抗体である。抗体は、本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に結合するポリペプチドである。幾つかの実施態様において、抗体は、ユビキチンプロセシング酵素(ユビキチンプロセシング酵素のE1、E2、又はE3ファミリーの任意のメンバーなど)アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、抗体は脱ユビキチン化酵素(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーなど、例えばUSP7、USP5、又はUSP14)アンタゴニストである。
抗体の変異体はまた、実質的に抗体の活性に影響を与えることなく、当技術分野で知られている情報に基づいて作成することができる。例えば、抗体変異体は、少なくとも一のアミノ酸残基を異なる残基によって置換されることができる。抗体については、置換変異誘発について最も関心ある部位は、一般に、超可変領域を含むが、フレームワーク領域(FR)の改変もまた考慮される。
置換変異体の一つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体など)の一以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、更なる開発のために得られた変異体は、それらが生成された親抗体と比較して改善された生物学的特性を有しているであろう。そのような置換変異体を生成するための便利は方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を含む。簡潔には、幾つかの超可変領域部位(例えば6−7部位)を変異させ、各部位において全ての可能なアミノ酸置換を生成する。このようにして生成された抗体は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物への融合体として、繊維状ファージ粒子から示される。ファージディスプレイされた変異体は、その後、本明細書に開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定することができる。代わりに、又は更に、抗体と抗原との接触点を同定するために、抗原抗体複合体の結晶構造を解析することは有益であり得る。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書中で詳述した技術に従った置換の候補である。そのような変異体がいったん生成されると、本明細書に記載されるように、変異体パネルがスクリーニングに供され、そして一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体が更なる開発のために選択され得る。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードしている核酸分子は当該分野で知られている様々な方法により調製される。これらの方法は、限定されないが、天然源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、そして抗体の以前に調製された変異体又は非変異体バージョンのカセット変異誘発による調製を含む。
本発明の免疫グロブリンポリペプチドのFc領域に一以上のアミノ酸修飾を導入し、それにより、Fc領域変異体を生成することが望まれ得る。Fc領域の変異体は、ヒンジシステインの位置を含む一又は複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば置換)を含んでなるヒトFc領域の配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含んでもよい。
一実施態様において、Fc領域変異体は、改変された新生児Fc受容体(FcRn)結合親和性を示し得る。そのような変異体Fc領域は、Fc領域のアミノ酸位置238、252、253、254、255、256、265、272、286、288、303、305、307、309、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、386、388、400、413、415、424、433、434、435、436、439又は447の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。FcRnへの結合が低下したFc領域変異体は、Fc領域のアミノ酸位置252、253、254、255、288、309、386、388、400、415、433、435、436、439又は447の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。あるいは、上述したFc領域変異体は、FcRnへの結合の増加を示し、Fc領域のアミノ酸位置238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。
FcγRへの結合が低下したFc領域変異体は、Fc領域のアミノ酸位置238、239、248、249、252、254、265、268、269、270、272、278、289、292、293、294、295、296、298、301、303、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、437、438又は439の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。
例えば、Fc領域変異体は、FcγRIへの結合の低下を示し、Fc領域のアミノ酸位置238、265、269、270、327又は329の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。
Fc領域変異体は、FcγRIIへの結合の低下を示し、Fc領域のアミノ酸位置238、265、269、270、292、294、295、298、303、324、327、329、333、335、338、373、376、414、416、419、435、438又は439の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。
目的のFc領域変異体は、FcγRIIIへの結合の低下を示し、Fc領域のアミノ酸位置238、239、248、249、252、254、265、268、269、270、272、278、289、293、294、295、296、301、303、322、327、329、338、340、373、376、382、388、389、416、434、435又は437の何れか一又はそれ以上でアミノ酸修飾を含むことができ、ここでFc領域における残基の番号付けは、Kabatにある通りのEUインデックスのものである。
改変された(即ち、改善され又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を有するFc領域変異体は、国際特許出願番号:WO99/51642号に記載されている。このような変異体は、Fc領域のアミノ酸270、322、326、327、329、331、333又は334の一又は複数の位置でのアミノ酸置換を含んでもよい。Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び、Fc領域の変異体の他の例に関しては国際特許出願番号:WO94/29351号も参照のこと。
非抗体結合ポリペプチド
幾つかの態様において、ユビキチンタンパク質の特定の立体構造形態(本明細書において提供されるユビキチンの立体構造的に安定化された形態の任意のものなど)に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤は、非抗体結合ポリペプチドである。結合ポリペプチドは、本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に結合するポリペプチドである。幾つかの実施態様において、結合ポリペプチドは、ユビキチンプロセシング酵素(ユビキチンプロセシング酵素のE1、E2、又はE3ファミリーの任意のメンバーなど)アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、結合ポリペプチドは脱ユビキチン化酵素(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーなど、例えばUSP7、USP5、又はUSP14)アンタゴニストである。
結合ポリペプチドは既知のオリゴペプチド合成手法を用いて化学的に合成することができるか、又は組換え技術を用いて調製され、精製することができる。結合ポリペプチドは、通常長さが少なくとも5個のアミノ酸であり、あるいは長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸かそれ以上であり、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の任意のものなどの標的に結合することが可能である。結合ポリペプチドは、周知の技術を用いて過度の実験なしに同定することができる。この点に関して、標的ポリペプチドに結合することができる結合ポリペプチドについてポリペプチドライブラリーをスクリーニングするための技術が、当技術分野において周知であることが留意される(例えば、米国特許第5,556,762号、第5,750,373号、第4,708,871号、第4,833,092号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,571,689号、第5,663,143号;PCT公開番号国際公開第84/03506号及び国際公開第84/03564号; Geysen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:3998-4002 (1984); Geysen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985); Geysen et al., in Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986); Geysen et al., J. Immunol. Meth., 102:259-274 (1987); Schoofs et al., J. Immunol., 140:611-616 (1988), Cwirla, S. E. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378; Lowman, H.B. et al. (1991) Biochemistry, 30:10832; Clackson, T. et al. (1991) Nature, 352: 624; Marks, J. D. et al. (1991), J. Mol. Biol., 222:581; Kang, A.S. et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363, and Smith, G. P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668)。
この点に関して、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは1つの周知の技術であり、c−metポリペプチドなどの標的ポリペプチドに結合することができるこれらのライブラリのメンバーを同定するため、大規模なポリペプチドライブラリーをスクリーニングすることができる。ファージディスプレイは、変異体ポリペプチドが、バクテリオファージ粒子の表面上のコートタンパク質への融合タンパク質として提示される技術である(Scott, J.K. and Smith, G. P. (1990) Science, 249: 386)。ファージディスプレイ法の有用性は、選択的にランダム化されたタンパク質変異体(またはランダムにクローニングされたcDNA)の大規模なライブラリーを、高親和性で標的分子に結合するそれらの配列について迅速かつ効率的にソートすることができるという事実にある。ファージ上のペプチド (Cwirla, S. E. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378)又はタンパク質 (Lowman, H.B. et al. (1991) Biochemistry, 30:10832; Clackson, T. et al. (1991) Nature, 352: 624; Marks, J. D. et al. (1991), J. Mol. Biol., 222:581; Kang, A.S. et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363)ライブラリーの提示は、特定の結合特性を有するものについて、何百万ものポリペプチドまたはオリゴペプチドをスクリーニングするために使用されている (Smith, G. P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668)。ランダム変異体のファージライブラリーをソートすることは、多数の変異体を構築して増殖するための戦略、標的受容体を用いた親和性精製のための手順、及び結合濃縮の結果を評価する方法が必要である。米国特許第5,223,409号、第5,403,484号、第5,571,689号、及び第5,663,143号。
ほとんどのファージディスプレイ法は、糸状ファージ、λファージディスプレイシステムを使用していたが(国際公開第95/34683号;米国特許第5,627,024号)、T4ファージディスプレイシステム(Ren et al., Gene, 215: 439 (1998); Zhu et al., Cancer Research, 58(15): 3209-3214 (1998); Jiang et al., Infection & Immunity, 65(11): 4770-4777 (1997); Ren et al., Gene, 195(2):303-311 (1997); Ren, Protein Sci., 5: 1833 (1996); Efimov et al., Virus Genes, 10: 173 (1995))及びT7ファージディスプレイシステム(Smith & Scott, Methods in Enzymology, 217: 228-257 (1993);米国特許第5,766,905号)も知られている。
更なる改善は、選択された標的分子への結合についてペプチドライブラリーをスクリーニングし、及び所望の特性について、これらのタンパク質をスクリーニングする可能性を持つ機能性タンパク質を提示するディスプレイシステムの能力を増強する。ファージディスプレイ反応のためのコンビナトリアル反応装置が開発され(国際公開第98/14277号)、ファージディスプレイライブラリーは二分子相互作用(国際公開第98/20169号;国際公開第98/20159号)及び束縛されたヘリカルペプチドの性質(国際公開第98/20036号)を分析し、調節するために使用されてきた。国際公開第97/35196号は、ファージディスプレイライブラリーが、リガンドが標的分子に結合する第一の溶液及びアフィニティーリガンドが標的分子に結合しないであろう第二の溶液と接触されて、結合するリガンドを選択的に単離する、アフィニティーリガンドを単離する方法を記載している。国際公開第97/46251号は、アフィニティ精製抗体でランダムファージディスプレイライブラリーをバイオパニングし、次いで結合ファージを単離し、その後マイクロプレートウェルを使用するマイクロパニングプロセスにより高親和性結合ファージを単離する方法を記載している。アフィニティータグとしての黄色ブドウ球菌プロテインAの使用もまた報告されている(Li et al. (1998) Mol Biotech., 9:187)。国際公開第97/47314号は、ファージディスプレイライブラリーでもよいコンビナトリアルライブラリーを用いて酵素特異性を識別するための基質サブトラクションライブラリーの使用を記載している。ファージディスプレイに用いる界面活性剤における使用に適した酵素を選択する方法は、国際公開第97/09446号に記載されている。特異的結合タンパク質を選択する更なる方法が、米国特許第5,498,538号、第5,432,018号及び国際公開第98/15833号に記載されている。
ペプチドライブラリーを作製し、これらのライブラリーをスクリーニングする方法もまた、米国特許第5,723,286号、第5,432,018号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,498,530号、第5,770,434号、第5,734,018号、第5,698,426号、第5,763,192号、及び第5,723,323号に開示されている。
結合ポリペプチドは、(例えば、親和性の強化、半減期、安定性、及びクリアランス速度などの薬物動態学特性の改善、毒性の低減などを含む)それらの阻害効果及び/又は治療効果を増強するために修飾することができる。このような修飾には、例えば、グリコシル化、ペグ化、天然に存在しないが、機能的に等価なアミノ酸、結合基などとの置換が含まれる。
小分子
幾つかの態様において、ユビキチンタンパク質の特定の立体構造形態(本明細書において提供されるユビキチンの立体構造的に安定化された形態の任意のものなど)に結合する(例えば優先的に結合する)薬剤は、小分子化学化合物である。小分子化学化合物は、本明細書に開示される任意の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に結合する化合物である。幾つかの実施態様において、小分子化学化合物は、ユビキチンプロセシング酵素(ユビキチンプロセシング酵素のE1、E2、又はE3ファミリーの任意のメンバーなど)アンタゴニストである。幾つかの実施態様において、小分子化学化合物は脱ユビキチン化酵素(脱ユビキチン化酵素のUSPファミリーのメンバーなど、例えばUSP7、USP5、又はUSP14)アンタゴニストである。
小分子化学化合物は、好ましくは、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかに結合する(例えば優先的に結合する)、本明細書において定義される結合ポリペプチド又は抗体以外の有機分子である。有機小分子が同定され、化学的に既知の方法論を用いて合成することができる(例えば、PCT公開番号国際公開第00/00823号及び国際公開第00/39585号を参照)。有機小分子は、通常約2000ダルトン未満の大きさであり、あるいは、約1500、約750、約500、約250又は約200ダルトンより小さい大きさであって、本明細書に記載されるように、ポリペプチドに結合することができるそうした有機小分子は、周知の技術を用いて過度の実験なしに同定することができる。この点に関して、標的ポリペプチドに結合することができる分子について、有機小分子ライブラリーをスクリーニングするための技術は、当技術分野において周知であることが特記される(例えば、PCT公開番号国際公開第00/00823号及び国際公開第00/39585号を参照)。有機小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、第一アミン、第二級アミン、第3級アミン、N−置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カーボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、アリールスルホン酸塩、アルキルハライド、アルキルスルホン酸塩、芳香族化合物、複素環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、酸塩化物等であり得る。
幾つかの態様において、小分子化学化合物は、コンビナトリアル化学ライブラリーの構成要素である。コンビナトリアル化学ライブラリーは、より小さなサブユニット又はモノマーからなる多数の種類の化合物のコレクションである。コンビナトリアルライブラリーは、化学化合物の数百から数十万の異なる種に及び、大きさは様々である。また、炭水化物、オリゴヌクレオチド、及び小有機分子などの化合物からなる、オリゴマーライブラリー及び高分子ライブラリーを含む様々なライブラリーのタイプがある。このようなライブラリーは、化学化合物の固定化及びクロマトグラフィー分離などの様々な用途、並びにアクセプター分子(例えば、c−metタンパク質など)に結合することができ、又は目的の生物学的活性(限定されないが細胞増殖の阻害など)を媒介することができるリガンドを同定し、特徴付けるための用途を有する。
固相支持体上の化合物のライブラリーを合成するための様々な技術が当技術分野で知られている。固相支持体は、典型的には、ライブラリーの化合物を形成するサブユニット又はモノマーに結合するように官能性をもたせた表面を有する高分子物体である。一のライブラリーの合成は、典型的には、多数の固相支持体を含む。コンビナトリアルライブラリーを作製するために、固相支持体は、化学反応の注意深く制御された、所定の順序で、化合物の一又は複数のサブユニット及び一又は複数の試薬と反応させられる。言い換えれば、ライブラリーサブユニットは、固相支持体上で「成長させ」ている。ライブラリーが大きいほど、より多数の反応が要求され、ライブラリーを構成する化合物の複数種の化学組成を追跡する課題を複雑にしている。幾つかの実施態様において、小分子は、大きさが約2000ダルトン未満、あるいは、大きさが約1500、750、500、250又は200ダルトン未満である。
本明細書中の任意の態様に記載の小分子薬剤は、固体支持体上で実施することができる化学反応の任意のタイプに由来することができる。このような化学反応としては、限定されないが、ブタジエンのトラッピングを含む2+2環化付加;イソオキサゾリン、フラン及び修飾ペプチドの合成を含む[2+3]環化付加;ジオール、アルデヒド及びケトンの固定化を含むアセタール形成;アルデヒドの誘導体化、プロパンジオールの合成を含むアルドール縮合;アルデヒドの誘導体化を含むベンゾイン縮合;ベンゾジアゼピン及びヒダントイン、チアゾリジン、ターン模倣物、ポルフィリン、フタロシアニンを含む縮合環化;ジエステルの環化を含むディークマン環化;アクリル酸の誘導体化を含むディールス・アルダー反応;アルケンへのアルコールの付加を含む求電子付加;アルデヒドの誘導体化を含むグリニャール反応;二置換アルケンの合成を含むヘック反応;ニトリルオキシドのインサイツ合成を含むヘンリー反応(2+3環化付加を参照);フェロモン及びペプチドの合成を含む接触水素化(アルケンの水素付加);スルファニルケトン、ビシクロ[2.2.2]オクタンの合成を含むマイケル反応;アリールエーテル、ペプチジルホスホネート及びチオエーテルの合成を含むミツノブ反応;キノロンの合成を含む芳香族求核置換;アルデヒド及びケトンの合成を含む酸化;ペンタノールとノルボルナジエンの環化を含むポーソン・カンド(Pauson-Khand)環状付加;ヘリセンの合成を含む光化学的環化;アルデヒド及び塩化アシルの誘導体化を含む有機金属化合物との反応;カルボニル、カルボン酸、エステル及びニトロ基の還元を含む、ヒドリド錯体(complex hydrides)とスズ化合物による還元;カルボキシル基の還元を含むソアイ反応;ビフェニル誘導体の合成を含むスティル反応;置換シクロヘキサノンの合成を含むストーク反応;キノロンの合成を含む還元的アミノ化;フェニル酢酸誘導体の合成を含むスズキ反応;及びアルデヒド、フェロモン、及びスルファニルケトンの反応を含むウィッティヒ−ホーナー反応が含まれる。
化学ライブラリーの合成並びに個別の固相支持体上へのこれらのライブラリの各化合物のデコンボリューションを開示する参照は、米国特許出願番号2009/0032592号;Needels et al., (1993), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10700-10704;及び国際公開第97/15390号に見いだすことができる。
E.ユビキチン関連タンパク質複合体の成分を決定するためにの立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を使用する方法
幾つかの態様において、本明細書に提供されるのは、動物細胞におけるユビキチン結合タンパク質複合体の成分を決定するための本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを用いる方法である。ユビキチン結合タンパク質及びプロセシング酵素との野生型ユビキチン結合の一過性の性質を考えると、上述の安定化されたユビキチンタンパク質は、細胞中のユビキチン結合タンパク質複合体の一又は複数の構成要素を確認するのに有用であり得る。本質的に全ての動物細胞はユビキチンを発現するので、本方法は、この方法が、インビトロ、インビボ、又はエキソビボで行われようが、全ての動物細胞での使用に適用可能である。幾つかの実施態様において、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかをコードする核酸は動物細胞中にトランシフェクトされることができる。幾つかの実施態様において、核酸は、誘導性又は構成的プロモーターの何れかの制御下で動物細胞のゲノムに組み込まれる。幾つかの実施態様において、核酸は誘導性又は構成的プロモーターの何れかの制御下で動物細胞に一過性にトランスフェクトされる。更に別の実施態様では、核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物は、当該分野で周知の方法に従って製造することができる。上記実施態様の何れにおいても、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質をコードする核酸は、更にアフィニティータグを含むことができる。幾つかの実施態様において、親和性は、限定されないが、Hisタグ(例えば、タグが少なくとも6ヒスチジン残基を含む)、マルトース結合タンパク質タグ、HAタグ、又はGSTタグとすることができる。幾つかの実施態様において、本明細書に開示された立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかを含む動物細胞は溶解することができ、ユビキチン結合タンパク質複合体は、当技術分野で公知の任意の数の方法によって得られる。これらは、限定されないが、免疫沈降、アフィニティー精製、限定されないがサイズ排除クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法を含む。次いで、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかと結合したタンパク質の同一性は、限定されないが、2Dゲル電気泳動及び質量分析法などの周知の方法によって確認することができる。
幾つかの態様において、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかは、ユビキチンプロセシング/タンパク質分解経路の下流成分をスクリーニングするための機能獲得型遺伝的手段として使用することができる。例えば、本明細書に開示される任意のタンパク質は、例えば、当技術分野で公知の方法に従って、例えば、ユビキチンコンジュゲーション機構の酵素、ユビキチン特異的プロテアーゼ、及びプロテアソームの成分と相互作用するタンパク質を探索するために酵母で発現させることができる。
このように、本明細書で提供されるのは、ユビキチン結合タンパク質複合体の成分を決定するための、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質(本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の何れかなど)を使用する方法である。幾つかの実施態様において、本方法は、1)動物細胞において立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を発現し;2)ユビキチン結合タンパク質複合体を単離し;及び3)動物細胞において立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と結合した一又は複数のタンパク質の同定を確認することを含む。幾つかの実施態様において、動物細胞、ヒト細胞、非ヒト霊長類細胞、げっ歯類細胞、酵母細胞、ショウジョウバエ細胞、又はゼブラフィッシュ細胞である。幾つかの実施態様において、動物細胞は、癌細胞である。幾つかの実施態様において、ユビキチン結合タンパク質複合体は、免疫沈降、アフィニティータグクロマトグラフィ、又は他のクロマトグラフィー法(限定されないが、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、又は疎水性クロマトグラフィー)により単離される。
F.タンパク質の立体構造的に安定化された形態をスクリーニングするための方法
本発明はまた、野生型タンパク質と比較して、立体構造的に安定化されたタンパク質は、結合パートナーへの結合親和性が増加し又は結合パートナーの活性(例えば、酵素活性など)を調節する能力が増加していることを特徴とする、タンパク質の立体構造的に安定化された形態についてスクリーニングするための方法を提供する。一態様において、この方法は、変異形態のライブラリーは、一又は複数の予め選択された位置で、立体構造的に動的タンパク質の一又は複数のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基と置換することによって産生され、予め選択された前記位置は、タンパク質の内部に配置されることを特徴とする、タンパク質の変異型のライブラリーと結合パートナーとを接触させること、及び野生型タンパク質と比較して、結合パートナーへの結合、又は結合パートナーの活性(例えば、酵素活性など)を調整する(例えば、増加させる又は減少させるなど)能力の増加に基づいて、立体構造的に安定化されたタンパク質を同定することを含む。一実施態様では、置換は、ランダムな置換である。タンパク質は、複数の構造状態を天然で示す任意のタンパク質であってもよい。幾つかの実施態様において、タンパク質の複数の立体構造状態は、NMR又はX線結晶学又は結合アッセイなどの機能的アッセイなどの構造アッセイによって評価することができる。幾つかの実施態様において、立体構造的に動的なタンパク質は、そのアポ状態で運動を有する。幾つかの実施態様において、立体構造的に動的なタンパク質は、NMR又はX線結晶学によって評価される運動を有する。複数の立体構造状態を示すタンパク質は、限定されないが、ユビキチンタンパク質、酵素(例えば、HIVプロテアーゼ又はRas)、核ホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体又はアンドロゲン受容体)、又はG−タンパク質共役受容体(GPCR)を含むことができる。幾つかの実施態様において、置換は、タンパク質において一又は複数のジスルフィド結合の形成を生じる。別の実施態様において、置換は、タンパク質において一又は複数のジスルフィド結合の形成を生じない。幾つかの実施態様において、タンパク質の内部にて予め選択された残基の置換に加えて、(ランダム又は予め選択された場所で)更なる置換が作られる。
幾つかの態様において、他のアミノ酸残基による置換に適したタンパク質の内部の予め選択されたアミノ酸残基は、タンパク質内部又はタンパク質のある領域内での全体的なコンフォーメーションダイナミックスに対する各位置におけるアミノ酸残基の寄与に基づいて選択することができる。一実施態様において、立体構造的に動的なタンパク質の一連の解かれた高分解能結晶構造は、動的なタンパク質が溶液中で又は結合パートナーに結合した場合の何れかで採る一以上の優先的な立体構造状態(複数)を明らかにするために使用することができる。結晶構造を使用して同定されたタンパク質の位置又はタンパク質の領域に基づいて、立体構造的に動的なタンパク質の内部に位置するアミノ酸残基は、計算による検索を用いて同定することができる。一実施態様において、計算による検索は、単一状態のロゼッタデザイン(RosettaDesign)である。一実施態様において、計算による検索は、複数状態のロゼッタデザイン(RosettaDesign)である。
候補の立体構造的に安定化されたタンパク質は、任意の数の方法によって評価することができる。立体構造的に安定化されたタンパク質の特性は、野生型タンパク質と結合パートナーの間の相互作用を調節する立体構造的に安定化されたタンパク質の能力を決定することによって評価することができる。重要な特性の一つは結合親和性である。目的の立体構造的に安定化されたタンパク質の結合特性は、当技術分野で公知の多数の方法の何れかで評価することができる。候補の立体構造的に安定化されたタンパク質を評価する他の方法は、R分散実験(ミリ秒時間スケールでの運動に敏感である)及び/又はH1ρ ex測定(マイクロ秒時間スケールでの運動に敏感である)などの技術を用いてそのタンパク質の主鎖の立体構造的安定性の程度を調べることである。
また本明細書において提供されるのは、野生型ユビキチンと比較して、立体構造的に安定化されたユビキチンは、結合パートナーへの結合親和性が増加し又は結合パートナーの活性を調節する(増加又は減少させるなどの)能力が増加していることを特徴とする、立体構造的に安定化されたタンパク質をスクリーニングするための方法である。幾つかの実施態様において、この方法は、変異形態のライブラリーは、タンパク質の内部の一又は複数の予め選択された位置で、野生型ユビキチンのアミノ酸配列中のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基とランダムに置換することによって産生されることを特徴とする、ユビキチンタンパク質の変異型のライブラリーと結合パートナーとを接触させること、及び野生型ユビキチンと比較して、結合パートナーへの結合、又は結合パートナーの活性を調整する能力の増加に基づいて、立体構造的に安定化されたユビキチンを同定することを含む。幾つかの実施態様において、結合パートナーはUSP脱ユビキチン化酵素である。幾つかの実施態様において、立体構造的に安定化されたユビキチンは、USP脱ユビキチン化酵素の酵素活性を選択的に阻害(例えば完全に阻害)する。一実施態様において、脱ユビキチン化酵素はUSP7である。また本明細書において提供されるのは、ユビキチンタンパク質のライブラリーである。アミノ酸残基の位置は配列番号1に対することを特徴として、ライブラリー中のユビキチンタンパク質は、A7、A8、A13、A34、A36、A69、及びA71に位置するアミノ酸残基位置で別のアミノ酸と一又は複数の置換を含む、ユビキチンタンパク質のライブラリーである。
プロセスの最初の段階は、目的の配列を含む一又は複数の候補の立体構造的に安定化されたタンパク質を生成することを含めることができ、それらは次いで結合パートナーに対する結合特性を決定するのに適した条件下で提示される。例えば、候補の立体構造的に安定化されたタンパク質は、p3又はp8のようなコートタンパク質との融合タンパク質を用いて、ファージ又はファージミド、例えば、繊維状ファージ(ミド)の表面上にペプチドのカルボキシル末端(C−末端)ディスプレイライブラリーとして提示することができる。C−末端ディスプレイは、当該技術分野において知られている。例えば、Jespers et al., Biotechnology (N Y). 13:378-82及び国際公開第00/06717号を参照。これらの方法は、本明細書に記載される、融合遺伝子、融合タンパク質、ベクター、組換えファージ粒子、宿主細胞、及びそれらのライブラリーを調製するために使用され得る。本明細書に記載のように、幾つかの実施態様において、ファージ又はファージミドの表面上にペプチドのアミノ末端(N−末端)ディスプレイライブラリーとして、候補の立体構造的に安定化されたタンパク質をディスプレイすることが有用であり得る。N−末端ファージ(中期)ディスプレイの方法は、本明細書に記載されるもの、及び当技術分野で周知されているもの、例えば、米国特許第5,750,373号(及びそこに引用される参考文献)に記載されるものが挙げられる。これらの方法により得られたバインダー分子を特徴付ける方法もまた、上記に引用した参考文献に開示されたもの(Jespersら、国際公開第00/06717号&米国特許第5,750,373号)及び本明細書に記載されるように当技術分野で知られている。
1.結合ファージの単離
提示される候補の立体構造的に安定化されたタンパク質を含むファージディスプレイライブラリーは、ポリペプチドに結合するライブラリーのメンバーを決定するためにインビトロで結合パートナー又はその断片と接触させる。当業者に公知の任意の方法は、インビトロ結合タンパク質をアッセイするために使用することができる。例えば、1、2、3、4又は5回またはそれ以上の結合選択(別名「パニング」)を行うことができ、その後個々のファージを単離し、任意でファージELISAで分析される。固定化されたポリペプチドに対するペプチドをディスプレイするファージ粒子の結合親和性は、ファージELISAを用いて決定することができる(Barrett et al., Anal Biochem. 204:357-64 (1992))。
候補が、既知の立体構造的に安定化されたタンパク質とポリペプチドに対する結合について競合する能力について評価されるべき状況において、適切な結合競合条件が提供される。例えば、一実施態様において、一以上の濃度の既知の立体構造的に安定化されたタンパク質の存在下で、スクリーニング/選別/バイオパニングを行うことができる。別の実施態様において、ライブラリーから単離された立体構造的に安定化されたタンパク質は、続いて、既知の立体構造的に安定化されたタンパク質の存在下で競合的ELISAアッセイで評価されることができる。
2.立体構造的に安定化されたタンパク質の調製
立体構造的に安定化されたタンパク質は、安定化ドメインを含むタンパク質断片として又は融合ポリペプチドとして、従来の合成又は組換え技術を用いて簡便に製造することができる。融合ポリペプチドは、ポリペプチドは、発現の研究、細胞局在化、バイオアッセイ、ELISA(結合競合アッセイを含む)などにおいて、標的である、ファージ(ミド)ディスプレイにおいて有用である。融合タンパク質は、次いで、アフィニティークロマトグラフィー及び第二のポリペプチドに特異的に結合する捕捉試薬を用いて既知の方法に従って精製することができる。ポリペプチドは、親和性配列、例えばGST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)配列のC末端に融合することができる。このような融合タンパク質は、例えば、固体支持体へ結合し及び/又は固体支持体に付着したグルタチオン(例えば、ペプチドスクリーニング/選択/バイオパニングのためのマトリックス)を用いて、組換えポリペプチドの精製を容易にする。更なる例示的な融合体は、このような融合のための幾つか一般的な用途を含め、表7に示す。
融合タンパク質は、組換え法を使用して容易に作成することができる。ポリペプチド(又はその一部)をコードする核酸は、ポリペプチドのN末端、C末端又は内部で、核酸をコードする第二のドメインとインフレームで融合することができる。幾つかの実施態様において、第二のドメインはポリペプチドのC末端に融合される。融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。続いてキメラ遺伝子配列を生成するためにアニーリングして再増幅されうる二つの連続した遺伝子断片の間に相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを用いたPCR増幅もまた有用である。融合タンパク質にインフレームでポリペプチドのサブクローニングを容易にする多くのベクターが市販で入手可能である。
融合タンパク質の例として、GST−ペプチド融合体を、以下のように目的の遺伝子から調製することができる。鋳型として目的の完全長遺伝子を用いて、PCRは、サブクローニングを容易にするのに好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位を導入するプライマーを用いて、ポリペプチドをコードするDNA断片を増幅するために使用される。各増幅断片を適切な制限酵素で消化し、同様に消化したプラスミド、例えばGSTを含み、サブクローン化された断片がGSTとともにインフレームにあり、プロモーターに作動可能に連結するように設計されたpGEX6P−3又はpGEX−4T−3などにクローニングし、GSTポリペプチドをコードするプラスミドを得る。
融合タンパク質を生成するために、適切な発現プラスミドを有する大腸菌の培養物は、一般に、LBブロスなどで対数期中期(A600=1.0)まで約37℃で増殖させ、IPTGで誘導することができる。細菌は、遠心分離によってペレット化し、PBSに再懸濁し、超音波処理により溶解される。懸濁液を遠心分離し、GST−ポリペプチドは、0.5mlのグルタチオンセファロース上でのアフィニティークロマトグラフィーによって上清から精製される。
多くのバリエーションが、立体構造に安定化されたタンパク質を単離するという目標を達成し、本発明で使用することができることは当業者には明らかであろう。例えば、エピトープタグに融合された立体構造的に安定化されたタンパク質は上記のように構築することができ、そのタグは立体構造的安定化されたタンパク質をアフィニティー精製するために使用される。立体構造的に安定化されたタンパク質はまた、いかなる融合体をも含まずに調製され得る;加えて、立体構造的に安定化されたタンパク質を産生する微生物ベクターを使用する代わりに、インビトロでの化学合成を用いてもよい。他の細胞、例えば他の細菌、哺乳動物細胞(例えば、COSなど)、又はバキュロウイルス系などが、立体構造的に安定化されたタンパク質を産生するために使用することができる。様々な融合体を生産する多種多様のポリヌクレオチドベクターも利用可能である。立体構造的に安定化されたタンパク質の最終精製は、一般的に融合パートナーに依存し;例えば、ポリ−ヒスチジンタグ融合体は、ニッケルカラム上で精製することができる。
3.立体構造的に安定化されたタンパク質の配列の決定
所望の特性を有する結合パートナーに結合し(及び任意で、関連しない配列に結合しない)ファージ(ミド)は配列分析に供することができる。候補の立体構造的に安定化されたタンパク質を提示するファージ(ミド)粒子が宿主細胞中で増幅され、DNAが単離され、(候補のペプチドをコードする)ゲノムの適切な部分が任意の適切な既知の配列決定法を用いて配列決定される。
4.親和性成熟を介する結合の更なる増強
幾つかの態様において、結合パートナーへの立体構造的に安定化されたタンパク質の結合は、親和性成熟を介して更に増強することができる。親和性成熟において (Levin and Weiss, Mol. BioSyst. 2:49, 2006)、タンパク質の表面の残基は、変異誘発を用いて多様化され、得られた変異タンパク質は、結合パートナーへの改善された結合についてスクリーニングされる。親和性成熟の複数の方法は、当該技術分野で知られている。これらは、ファージを介した親和性成熟(Gram et al. PNAS 89:3576, 1992; Lowman et al., J. Mol. Biol., 1993, 234, 564)、リボソームディスプレイ (Lipovsek et al. J. Immunol. Methods 290 (2004), 頁51-67)、酵母表面ディスプレイ(Graff et al. Protein Eng. Des. Sel. 17 (2004), 頁293-304)、エラープローンPCR (Schlapschy et al. Protein Eng. Des. Sel. 17 (2004), 頁847860)、ミューテーターの細菌株(Low et al. J. Mol. Biol. 260: 359, 1996)、段階的にフォーカスされた変異誘発(stepwise focused mutagenesis) (Wu et al. PNAS 95:6037, 1998) 及び飽和変異誘発(saturation mutagenesis) (Nishimiya et al. J. Biol. Chem. 275:12813, 2000; Yang et al. J. Mol. Biol. 254:392, 1995; Chowdhury and Pastan, Nat. Biotechnol. 17:568, 1999)を含む。他の技術は、多くの場合、特定の変異体の限定されたコレクションを生成するために、アラニンスキャニング又は部位特異的変異誘発を使用する。
5.結合アッセイ
立体構造的に安定化されたタンパク質と結合パートナーの複合体の形成は、非複合体形態から及び不純物からの複合体形態の分離を容易にする。立体構造的に安定化されたタンパク質は、溶液中において、又は結合パートナーの片方が不溶性支持体に結合される場所で形成され得る。複合体は溶液から、例えばラムクロマトグラフィーを用いて分離することができ、周知の技術を用いて、濾過、遠心分離などにより固体支持体に結合させつつ分離することができる。従って、立体構造的に安定化されたタンパク質の固体支持体への結合は、ハイスループットアッセイを容易にする。
試験化合物は、候補の結合化合物の存在下および非存在下で、立体構造的に安定化されたタンパク質の結合パートナーとの相互作用及び/又は活性を調節する(例えば、増加する)能力についてスクリーニングすることができ、スクリーニングは、例えば、マイクロタイタープレート、試験管、及び微小遠心管などの任意の適切な容器内で達成することができる。融合タンパク質が一又は両方のタンパク質がマトリックスに結合するのを可能にする追加のドメインを含む場合、融合タンパク質はまた試験または分離を容易にするために調製することもできる。例えば、GST−立体構造的に安定化されたタンパク質融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(SIGMA Chemical, St. Louis, MO)上又は又はグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、これらは次に試験化合物又は試験化合物と組み合わされ、その混合物は複合体形成を可能にする条件下(例えば、塩及びpHの生理学的条件で)でインキュベートされる。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄し、任意の未結合成分を除去し、ビーズの場合はマトリックスを固定化し、そして複合体は直接的又は間接的に決定される。あるいは、融合体をマトリックスから解離することができ、結合又は活性のレベルは、標準的な技術を用いて決定することができる。
マトリックス上にタンパク質を固定化するための他の融合ポリペプチド技術は、スクリーニングアッセイにおいて使用することができる。立体構造的に安定化されたタンパク質又は結合パートナーの何れかを、ビオチン−アビジン又はビオチン−ストレプトアビジンシステムを使用して固定化することができる。ビオチン化は、多くの試薬、例えばビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS; PIERCE Chemicals, Rockford, IL)などを用いて達成され、ストレプトアビジンでコーティングされた96ウェルウェルプレート(Pierce Chemical)に固定化することができる。あるいは、立体構造的に安定化されたタンパク質又は結合パートナーと反応性であるが、結合ペプチドのその標的分子への結合を妨げない抗体は、プレートのウェルに誘導体化することができ、未結合の立体構造的に安定化されたタンパク質又は結合パートナーは、抗体コンジュゲーションによってウェルに捕捉される。GST固定化融合体について説明されるものに加え、このような融合体を検出するための方法は、結合パートナー又は立体構造的に安定化されたタンパク質と反応性である抗体を用いる、融合体の免疫検出を含む。
6.結合についてのアッセイ:ELISA
立体構造的に安定化されたタンパク質の結合親和性を評価するため、結合パートナーと結合する立体構造的に安定化されたタンパク質の能力(及び必要に応じて、結合親和性)が評価され、立体構造的に安定化されたタンパク質、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイによって決定される高親和性結合剤ペプチドに結合することが知られている化合物のものと比較される、競合結合アッセイを用いてもよい。
多くの方法が知られており、結合パートナーに対する立体構造的に安定化されたタンパク質の結合親和性を同定するために用いることができ;例えば、結合親和性はELISAを用いてKd値として決定することができる。例えば、固相アッセイにおいて、アッセイプレートはマイクロウェルプレート(好ましくは、効率的にタンパク質を吸着するように処理された)をニュートラアビジン又はストレプトアビジンでコーティングすることによって調製することができる。非特異的結合部位は、その後、ウシ血清アルブミン(BSA)又は他のタンパク質(例えば、無脂肪乳)の溶液の添加によりブロックされ、次いで、好ましくは、例えば、Tween−20等の界面活性剤を含有する緩衝液で洗浄される。ビオチン化された既知の立体構造的に安定化されたタンパク質(例えば、精製及び検出を容易にするために、GST又は他のそのような分子との融合体としてのファージペプチド)を調製し、プレートに結合させる。試験されるべき結合パートナーの段階希釈が調製され、結合した立体構造的に安定化されたタンパク質と接触される。ウェルにそれぞれの結合反応物を加える前に、固定化された立体構造的に安定化されたタンパク質でコーティングされたプレートを洗浄し、短時間インキュベートした。更に洗浄した後、多くの場合、融合パートナーを認識する抗体により、及び標識化された(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)又はフルオレセインのような蛍光タグ)、一次抗体を認識する二次抗体により結合反応を検出した。次いで、プレートを(標識に応じて)適切な基質を用いて開発し、そしてシグナルは、分光光度プレートリーダーを使用するなどして定量化する。吸収シグナルは、最小二乗法適合を用いて、結合曲線に適合され得る。このようにして、立体構造的に安定化されたタンパク質に結合する様々な結合パートナーの能力を測定することができる。
V.使用の例
本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の同定及び特性評価は、野生型タンパク質の細胞機能への価値ある洞察を提供し、これらのタンパク質とその結合パートナーとの間のインビボでの相互作用を調節するための組成物及び方法を提供する。例えば、これらの立体構造的に安定化されたタンパク質は、インビボでの結合相互作用を増強し、そして一以上の結合パートナーのを活性(例えば、酵素活性)を変化させるために利用することができる。ホモログは、本明細書で提供される、十分に特性評価された立体構造的に安定化されたタンパク質に対するそれらの結合及び/又は機能的特性に基づいて都合良く生成することができる。これらの立体構造的に安定化されたタンパク質のホモログは、インビボでタンパク質複合体にて存在する、野生型の立体構造的に動的なタンパク質と関連する細胞タンパク質及びそれらの結合パートナーを同定するために更に利用されることができる。
十分に特性評価された、中程度から高親和性の立体構造的に安定化されたタンパク質(例えば本明細書に記載のものの何れかのような、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)は、結合パートナー自体の重要な構造的特徴を解明するために使用することができる。本発明は、一又は複数の結合パートナー標的に結合し及び/又は活性化する能力を増加させた、本明細書に開示されるような立体構造的に安定化されたタンパク質変異体を提供する。他の変異体も同様に同定することができる。
本明細書に記載される方法に基づいて開発された立体構造的に安定化されたタンパク質は、目的の調節効果を達成するために使用することができる。例えば、このような操作は、立体構造的に安定化されたタンパク質とその同族結合パートナー(ユビキチンの場合は、例えば、脱ユビキチン化酵素)の間の結合の活性化を含むことができる。別の例においては、このような操作は、このような操作は、例えば、立体構造的に安定化されたタンパク質の結合の結果としての細胞機能の誘導を通じた、又は立体構造的に安定化されたタンパク質とその同族結合パートナーの間の結合の増加を通じた調節(増減などの)効果を含むことができる。
立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の他の用途は、タンパク質の野生型形態(例えば、タンパク質の野生型の立体構造的に動的な形態)とそれに結合するパートナーに関連する疾患のための診断アッセイ、精製ハンドル及び基質に対するアンカーとしての、融合タンパク質中の立体構造的に安定化されたタンパク質と結合パートナーの使用が含まれる。
本明細書に記載されるように、様々な親和性で、結合パートナー(USPファミリーの脱ユビキチン化酵素など)に結合することができる立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の同定は、生体内で生物学的に重要な相互作用を調節するのに有用な手段を提供する。従って、これらの相互作用を調節することが可能である立体構造的に安定化されたタンパク質の同定は、治療及び/又は診断的適用の手段、及びこのような分子及び相互作用の知識無くしては不可能である戦略を指し示す。
立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)は、特定の組織、細胞、器官又は病的状態において、タンパク質の立体構造的に安定化された形態と一又は複数の結合パートナーとのその相互作用を調節し、そしていくつかの場合において、その生理学的重要性を検証するために、当技術分野で既知の適切な投与経路を使用して、例えば、マイクロインジェクション、アンテナペディア(antenapedia)ペプチド又は脂質トランスフェクション試薬を介して、生きた細胞内に送達することができる。結合パートナーと立体構造的に安定化されたタンパク質の相互作用、及び該相互作用の調節の生理学的効果を監視するための適切なアッセイが存在する。最後に、安定化されたタンパク質は、目的の結合パートナーとの結合又は相互作用が治療上の利益への期待と一致した転帰を与えるかどうかを判断するために、生きた細胞又は疾患のモデルである(すなわち、疾患の所定の特性を模倣する)動物モデルに送達され得る。
インビボでのタンパク質−タンパク質(又はペプチド)の相互作用を検出する方法は、当該分野で公知である。例えば、Michnickらにより米国特許第6,270,964(B1)号&第6,294,330(B1)号に記載される方法は、立体構造的に安定化されたタンパク質(本明細書に記載される任意を含む)及び同族結合パートナー(本明細書に記載される任意を含む)の相互作用及び/又は活性を分析するために用いることができる。
立体構造的に安定化されたタンパク質は、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質のために上述された任意の方法のツールとして用いることができる。例えば、立体構造的に安定化されたタンパク質は、1)立体構造的に安定化されたタンパク質に結合する(優先的に結合する等)薬剤をスクリーニングする;2)立体構造的に安定化されたタンパク質/結合パートナータンパク質複合体を破壊する薬剤をスクリーニングする;3)一又は複数の結合パートナーの酵素活性を阻害する;又は4)安定化されたタンパク質の野生型形態を発現する細胞中で、立体構造的に安定化されたタンパク質と結合するタンパク質複合体の一又は複数の成分の同一性を決定するためのツールとして用いることができる。更に、立体構造的に安定化されたタンパク質は、これらの用途のみに限定されず、当技術分野で既知の任意の他の方法に従ってツールとして使用することができる。
本明細書に記載される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、インビボで、脱ユビキチン化酵素標的タンパク質の脱ユビキチン化を阻害するために用いることができる。例えば、標的タンパク質に特異的な脱ユビキチン化酵素の酵素活性に関して阻害性である立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、動物細胞で発現される場合、その標的タンパク質のユビキチン化を防ぐために使用することができる。このようにして立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を使用することは、標的タンパク質が、例えば、プロテオソーム中でタンパク質分解を受けるであろう可能性を高めることができる。同様に、本明細書に開示される立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、インビボで、標的タンパク質の一又は一クラスのユビキチン化状態を高める又は維持するために使用することができる。例えば、そのような一の標的タンパク質は、軟部組織肉腫及び骨肉腫並びに乳腺腫瘍を含む幾つかのタイプの癌の発生に関与している、腫瘍性タンパク質Mdm2である。脱ユビキチン化酵素USP7は、順にp53腫瘍抑制タンパク質の下方制御をもたらす、Mdm2を特異的に脱ユビキチン化する。従って、USP7の酵素活性を阻害する立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質(例えば、本明細書に記載の任意のものなど)の使用は、間接的にp53腫瘍抑制タンパク質の維持へとつながる。
VI.薬学的製剤
本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するその立体構造的に安定化されたタンパク質と任意の薬学的に許容される一以上の担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.: Williams and Wilkins PA, USA (1980))とを、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形態で混合することによって調製される。薬学的に許容される担体は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに毒性でなく、そしてこれには、限定しないが、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン;マンノサッカライド、ジサッカライド、およびグルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における典型的な薬学的に許容される担体は、水溶性の中性アクティブヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)などの介在性薬物分散剤、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International, Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質を更に含む。所定の典型的なsHASEGP及び使用法は、rHuPH20を含み、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968に開示されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つまたは複数の追加のグルコサミノグリカンと組み合わされる。
本明細書の製剤はまた、治療を受けている特定の徴候のために必要な一以上の活性成分、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものが含まれる場合がある。このような活性成分は、意図した目的のために有効な量で組み合わされ適切に存在する。
立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合法によって、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルによって、コロイド薬物送達系で(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロ・エマルジョンで調製されたマイクロカプセルに封入されてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示される。
徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性製剤の好適な例は、立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリックスが成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形をしている。
インビボ投与に使用される製剤は、一般的に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通して濾過することにより、達成することができる。
VII.スクリーニングから得られた立体構造的に安定化されたタンパク質及び薬剤の治療的用途
立体構造的に動的なタンパク質(例えば、ユビキチン)の結合パートナーの活性(酵素活性など)を増加又は減少させる特性を有する薬剤は有用である。この活性の調節は、様々な方法で、例えば、本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の一又は複数の有効量を、それを必要とする被験体に投与することによって、又は本明細書に記載されるスクリーニング方法の何れかから得られた薬剤の何れかを投与することによって起こり得る。
立体構造的に安定化されたタンパク質の何れか又は本明細書に記載のスクリーニング方法の何れかを用いて得られた薬剤の何れかは、治療方法で使用することができる。一態様において、医薬として使用のための本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)が提供される。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の追加の治療薬の有効量を個体に投与することを更に含む。上記実施態様の何れかに記載の「個体」は、好ましくはヒトである。更なる態様にて、本発明は、医薬の製造又は調製における、立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の使用を提供する。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の追加の治療薬の有効量を個体に投与することを更に含む。上記実施態様の何れかに記載の「個体」は、ヒトであり得る。
別の態様において、医薬として使用のための、本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤が提供される。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の追加の治療薬の有効量を個体に投与することを更に含む。上記実施態様の何れかに記載の「個体」は、好ましくはヒトである。更なる態様にて、本発明は、医薬の製造又は調製において、本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤の使用を提供する。一つのそのような実施態様において、本方法は、例えば後述するように、少なくとも一の追加の治療薬の有効量を個体に投与することを更に含む。
更なる態様において、本明細書において提供されるのは、例えば上記治療法の何れかにおいて使用のための、立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)の何れか、又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤を含む薬学的製剤である。一実施態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される立体構造的に安定化されたタンパク質の何れかと薬学的に許容される担体とを含む。一実施態様において、薬学的製剤は、本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤及び薬学的に許容される担体とを含む。別の実施態様において、薬学的製剤は、本明細書に提供される立体構造的に安定化されたタンパク質又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤、及び下記に記載されるような少なくとも一の更なる治療剤を含む。
本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤は、治療において、単独又は他の薬剤と併用の何れかで使用することができる。例えば、本発明の立体構造的に安定化されたタンパク質は少なくとも一の更なる治療剤と同時投与することができる。
上記のこうした併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が、同一または別々の製剤に含まれている)、及び、本明細書に記載の立体構造的に安定化されたタンパク質の投与が、追加の治療剤の投与の前、同時、及び/又はその後に起きうる分離投与を包含する。
本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤(及び任意の追加の薬剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、及び局所治療のために必要であれば、病巣内投与、局所投与、又は眼内投与を含む、任意の適切な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。投薬は、その投与が短期間か又は長期であるかどうかに部分的に依存し、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。限定されないが、様々な時間点にわたる、単一または複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含む様々な投与スケジュールが本明細書で考えられている。
立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)及び/又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤は、適正な医療行為と一致したやり方で処方され、服用され、及び投与されるべきである。この観点において考慮すべき要因は、治療すべき特定の障害、治療すべき特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与日程及び医療従事者が知る他の要因を包含する。立体構造的に安定化されたタンパク質又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤は、必要ではないが任意で、問題となる障害の予防又は治療のために、現在使用中の一又は複数の薬剤ともに処方される。かかる他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する立体構造的に安定化されたタンパク質の量、疾患又は治療のタイプ、及び上で検討した他の因子に依存する。これらは一般的には本明細書に記載されるのと同じ用量及び投与経路において、又は、本明細書に記載された用量の1%から99%で、又は経験的に/臨床的に妥当であると決定された任意の用量及び任意の経路により使用される。
疾患の予防又は治療のために、立体構造的に安定化されたタンパク質又は明細書に記載のスクリーニング方法の何れかから得られた薬剤の適切な用量は(単独で、又は一又は複数の他の更なる治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療する疾患のタイプ、立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)のタイプ又は本明細書に開示されるスクリーニング方法の何れかから得られた薬剤(例えば、抗体又は小分子化学化合物)、疾患の重症度及び経過、(立体構造的に安定化されたタンパク質又は本明細書に開示されるスクリーニング方法の何れかから得られた薬剤が、予防目的又は治療目的のために投与されるかに関わらず)、以前の治療、患者の病歴及び立体構造的に安定化されたタンパク質又は薬剤に対する応答、及び担当医の裁量に依存することとなる。立体構造的に安定化されたタンパク質及び本明細書に開示される法の何れかから得られる薬剤は、一時に又は一連の治療にわたって、患者に適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一回以上の別個の投与によるか、連続注入によるかに関わらず、立体構造的に安定化されたタンパク質又は薬剤の約10ng/kgから100mg/kg(例えば0.01mg/kgから50mg/kg)が患者への投与のための初期候補用量となり得る。好ましくは、投与量レベルは、1日あたり約0.1から約250mg/kg;より好ましくは1日あたり約0.5から約100mg/kgであろう。適切な投与量レベルは、1日あたり約0.01から約250mg/kg、1日あたり約0.05から約100mg/kg、又は1日あたり約0.1から約50mg/kgであり得る。この範囲において、投与量は1日あたり約0.05から0.5mg/kg、0.5から5mg/kg又は5から50mg/kgの何れかであり得る。経口投与の場合、組成物は、好ましくは、活性成分の約1.0から約1000ミリグラムを、具体的には治療される患者への投薬量の症候に応じた調節のため、活性成分を約1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0ミリグラムの何れかを含有する錠剤の形態で提供される。化合物は1日あたり1から4回のレジメンで、好ましくは1日あたり1回又は2回投与されうる。このような用量は断続的に、例えば毎週又は3週毎(例えば患者が立体構造的に安定化されたタンパク質の約2から約20投与量、又は例えば約6投与量を受けるように)投与してよい。初期の高負荷用量の後、1つ以上の低用量を投与してよい。しかしながら、他の用量用法も使用してよい。この治療法の進行は従来の技術及びアッセイにより容易にモニタリングされる。
VIII.製造品
別の実施態様において、上述した疾患及び障害の治療、予防、及び/又は診断に有用な材料を含む製造品が提供される。製造品は、容器と容器上ないしは容器に付随するラベルないしはパッケージ挿入物を含んでなる。好適な容器は、例としてボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグ等を含む。容器はガラス又はプラスチックなどの様々な物質から形成されうる。容器は、疾患及び/又は障害の治療、予防、及び/又は診断に有効である、それ自体か、又はその他の組成物と併用される化合物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針による穴あきストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一の活性薬剤は、立体構造的に安定化されたタンパク質(立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質など)又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られた薬剤である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が選択した疾患及び/又は障害の治療のために使用されることを示す。更に、製造品は、(a)組成物が本明細書に記載される立体構造的に安定化されたタンパク質又は本明細書に開示されるスクリーニング法の何れかから得られる薬剤を含む組成物を含む第一の容器;および(b)組成物が更なる治療的薬剤を含む組成物を含む第二の容器を含み得る。本発明の本実施態様における製造品は、組成物が特定の疾患及び/又は障害を治療することに用いることができることを示すパッケージ挿入物をさらに含んでいてもよい。別法として、又は加えて、製造品は、薬学的に許容されるバッファー、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、リンガー溶液およびデキストロース溶液を含む第二(または第三)の容器をさらに含んでもよい。これは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的およびユーザーの立場から望まれる他の物質をさらに含んでもよい。
以下は本発明の方法および組成物の例である。上記提供される一般的な説明を前提として、他の様々な実施態様が実施され得ることが理解される。
実施例1:立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を操作する
この例は、立体構造的に安定化されたタンパク質の同定及び操作のためのコンフォメーションディスプレイの新規技術を示す。新しいエンタルピー的接触を見出すために表面の位置を典型的に変異させる従来のファージディスプレイとは対照的に、コンフォメーションディスプレイは埋没したアミノ酸残基をスクリーニングし、結合するのに最適な立体構造を生じる新しい充填配置を同定する。強固に結合する少数のコンフォメーションを持つ柔軟な分子は、その結果、高親和性のコンフォーメーションを主に採る安定化した分子へ変換される(図1A)。
細胞シグナル伝達カスケードは、しばしば、多数の結合パートナーによって認識される「ハブ」タンパク質上の集中する。23ユビキチンは、ユビキチンのカルボキシ末端とのイソペプチド結合を介して、翻訳後に基質タンパク質のリジンに結合される、高度に保存された真核生物のシグナル伝達のハブである。ユビキチン結合型の各々は、異なるシグナルを運び、そしてユビキチン鎖の厳密に制御されたプロセシングは、細胞の様々な情報を伝えるために使用されている。24従って、ユビキチンプロセシングの誤調節は、発癌及び神経変性を含む、複数の疾患状態に関与している25−26
ユビキチンは、3部分E1−E2−E3酵素カスケードを通じて基質に規則的に結合される。ユビキチンの除去は脱ユビキチン化酵素(DUB)として知られているイソペプチダーゼの幾つかのファミリーによって触媒される。およそ100のヒトDUBがあり、各々は異なる基質特異性と酵素特性を持ち、シグナル伝達制御の大部分が未開拓の富を暗示している。2つの著名なDUBファミリーは、ユビキチンC末端加水分解酵素(UCH)及びユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)酵素である。UCHは、ユビキチンを、細胞内求核剤などの小さな部分及びそのカルボキシ末端からの短いペプチドを除去することにより、リサイクルすることに主に関与する。USPは、典型的には、ユビキチンに大きな部分(例えば、全タンパク質)を連結するイソペプチド結合を切断することによりユビキチン鎖の長さを調節する、シグナル伝達調節因子として働く。
アポユビキチンの最近のNMRと計算の研究は、残余双極子カップリング(RDC)の大規模な一組の徹底的な分析に大きく依存し、ユビキチンの立体構造の可塑性は、特定のパートナーによるその認識に必須であり得ることを示唆している28。ユビキチンの相互作用は、単にコンフォメーション選択結合メカニズムに起因しえないとする幾つか競合する報告がなされているものの、この研究はβ1−β2ループ領域は、高速マイクロ秒の時間スケールで可動的であり、結合パートナーは、この既存の平衡状態から異なるコンフォーメーションを選択できることを示した29−30。これらの研究は、ユビキチンの認識におけるコンフォーメーションダイナミックスの重要性を強調してきたが、これらのコンフォーメーション変化が、ユビキチン−パートナー相互作用の生物学的機能に影響を与えるパターンは同定されておらず、若しくはそのような動きを乱すことの影響は対処されていない。
ユビキチンの場合には、親の主鎖コンフォメーションは、多種多様な折れ畳みを持つ
幾つかの結合パートナー(例えば−脱ユビキチン化酵素、リガーゼなど)に対する妥協を恐らくは表しているので、単一のパートナーを受け入れる配列の選択は、自然界では見られない高親和性コンフォーメーションを同定することもできる。従って、この研究は、一部には、異なるDUBが、そのコンフォメーションアンサンブルのユニークなサブ状態を認識することによって、ユビキチンダイナミクスを利用するかどうかを判断することを求める。このような区別は、概念的には、単一の実体からユビキチンハブを、関連するが立体構造的にユニークな結合パートナーの一組に分離するだろう。
材料と方法
脱ユビキチン化酵素の発現及び精製
脱ユビキチン化酵素コードしするをDNAはTEV切断可能なN末端6×Hisタグ及びC末端Aviタグを有するPET派生ベクターにクローニングされ、BirAを含有する発現プラスミドとの共発現により、ビオチン化タンパク質として大腸菌で発現された。ビオチン化は質量分析法によって確認した。ビオチン化触媒ドメインの構築物は、USP7の残基208−554、SP14の残基91−494、及びUCHL5の残基1−228であった。UCHL1とUCHL3は、全長タンパク質として精製した。触媒部位の変異は、USP7 C223A、C114A USP14、UCHL1 C90A、C95A UCHL3、及びUCHL5 C88Aであった。発現後、タンパク質は、Ni−NTAカラムを通過させ、TEVプロテアーゼによりHisタグを切断し、ッケルカラム上を再通過させ、及びS−200又はS−75ゲル濾過カラム上で精製することにより、均質になるまで精製された(GE Life Sciences)。酵素アッセイのために、脱ビオチン化USP2触媒ドメイン、USP5、USP10、USP47、及びUSP7は、Boston Biochemから得た。
ユビキチン変異体の発現及び精製
ユビキチン変異体をコードするDNAは、以前に記述されたように、N末端の6×Hisタグを含むpET誘導体ベクターにクローニングされ、大腸菌で発現された。45タンパク質は、Ni−NTAアフィニティークロマトグラフィーにより、続いてS75サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
M13ファージ上でのユビキチンの提示
ユビキチンは、前述したファージミドpS2202bを修飾することにより、M13バクテリオファージの表面に提示された。標準的な分子生物学技術が、Erbin PDZドメインをコードするpS2202bの断片を、ユビキチンをコードするDNA断片と置換するために使用された。得られたファージミドp8Ubは、マルトース結合タンパク質分泌シグナル、gDタグ及びユビキチン、そして最後に主要コートタンパク質P8をコードするオープンリーディングフレームを含んでいた。p8Ubを保有する大腸菌M13−KO7ヘルパーファージに同時感染させ、標準的なプロトコールに従って増幅した。伝播されたファージを標準的なプロトコールに従って精製し、1mlのPBTバッファー(PBS、0.5%BSA及び0.1%Tween20)中に再懸濁し、p8Ub DNAを封入し、ユビキチンを提示するファージ粒子の産生をもたらした。提示レベルは、次のようにファージELISAを用いて分析した。2μg/mlの抗gD抗体をマキシソープイムノプレート上に固定化し、ブロックし、gD−ユビキチンを提示するファージの1:3段階希釈をウェルにアプライした。プレートを洗浄し、結合したファージを、抗M13−HRP、続くTMB基質で検出した。
ライブラリーの構築と選別
ユビキチンライブラリーは、キュンケル突然変異誘発法を用いて構築した。残基T7、L8、I13、E34、I36、L69及びL71は、NNKコドンで無作為化した停止鋳型(stop template)(T7−I13、E34−I36及びL69−L71の領域で3つの停止コドンを含有するp8Ubの一本鎖DNA)は、〜5×1010のユニークなメンバーが含まれるライブラリーを構築するために使用された。ライブラリーは、USP7のC223A変異を有するC末端モノユビキチン化触媒ドメイン(残基208−554)(USP7catC223Aとして指定される)に対して、溶液中で複数ラウンドの結合選択を繰り返した。第一ラウンドでは、20μgのビオチン化USP7catC223Aの20gを1mlのファージライブラリー(〜1×1013pfu/ml)とともに2時間4℃でインキュベートし、以前にブロッキング緩衝液(PBS、1%BSA)でブロックされているDynabeads(登録商標)MyOneストレプトアビジンの200μlにより室温で15分間捕捉した。上清を廃棄し、ビーズはPBS、0.1%のTween20で3回洗浄した。結合したファージは、400μlの0.1MのHClで7分間溶出し、直ちに1Mのトリス、pH13の60μlで中和した。溶出されたファージはTonikianら(2007)によって記載されるように増幅した。第2ラウンドでは、プロトコールは、10μgのビオチン化USP7catC223Aと100μlのDynabeadsを用いた以外は第1ラウンドと同じであった。第3ラウンドと第5ラウンドにおいて、2μgのビオチン化USP7catC223Aは、前のラウンドからの増幅されたファージとともにインキュベートされ、ファージUSP7catC223A複合体は、以前にブロッキング緩衝液で処置されたニュートラアビジンコーティングプレートにより捕獲された。ラウンド4は、ビオチン−USP7catC223A−ファージ複合体を捕獲するためにストレプトアビジンでコーティングしたプレートを用いた以外は、ラウンド3と同一であった。ファージは、標準プロトコールに従い、30℃でM13−KO7ヘルパーファージにより大腸菌XL1−blueで増殖した。
結果
全てのDUBはユビキチンのβ1/β2領域に結合するが、幾つかの構造的ファミリーに分離可能であるので、一部のタイプのDUBは、ユビキチンの別個の構造状態を認識し得ると仮定された。この問題に対処するために、入手可能な56個の複合体中のユビキチンの高分解能結晶構造全てのペアワイズアラインメントを、少なくとも一方のパートナーを用いて行い、結果は、β1/β2の平均二乗偏差(RMSD)に基づいて結果をクラスター化された。クラスター解析は、β1−β2ループコンフォーメーションの明らかな「標本(smear)」を(図2A)、ファミリー内に僅かな違いを有する、コンフォーメーションファミリーに分類する(図2B)。これらの原子の「スナップ写真」は、ユビキチンのβ1−β2ループは、サブ状態間の速い遷移に従って、各サブ状態間に適度なエネルギー障壁を有する、一連のサブ状態にアクセスすることを意味している28。最大のクラスター(クラスター1)は、β1−β2領域の「アップ」コンフォメーションを表し、UCH型のDUBとの複合体中の全てのユビキチン構造を含み、UCHは「アップ」コンフォメーションを結合することを示している(図2C−D)。これとは対照的に、クラスター2は「ダウン」β1−β2コンフォメーションを表し、これまでに結晶化した全てのUSP型DUB−ユビキチンの複合体を含んでいる。注目すべきことに、UCH型のDUBは、典型的にはナノモル親和性でユビキチンを結合し、またUCH−結合状態はアポユビキチンとクラスター形成し、「アップ」状態が溶液中に優勢であることを示唆している。逆に、USP型のDUBは、一般的に、ユビキチンに対するマイクロモルの高親和性を有し、USP−結合状態は、アポユビキチンの結晶構造中で観測されず、ナノ秒からマイクロ秒の時間スケールにわたる運動に感受性であるNMR測定によってのみ検出可能である。従って、「ダウン」状態は、溶液中で弱くにしか存在し得ない。「アップ」コンフォーメーション及び「ダウン」コンフォーメーションの比較は、DUBへの結合に影響を与え得る方法でβ1−β2からC末端に伝えられる長距離効果により、各状態の著しく異なるパッキングを明らかにしている。例えば、「ダウン」コンフォメーションは、Leu71の方にLeu8を突きだし、USP型のDUBの活性部位と相互作用するように配置するコンフォーメーションに向かって、レバーアームとしてC末端を押している(図2E)。計算ドッキングはまた、「アップ」又は「ダウン」のユビキチン立体構造異性体の何れかに対するDUBの結合はが相互に排他的であることを示しており:UCH−ファミリーの酵素は、「アップ」状態に結合するように配置され、一方USPファミリーの脱ユビキチン化酵素は「ダウン」状態に結合する(図30)。
所望のコンフォーメーションにユビキチンを安定させるために、全長ヒトユビキチンが、そのN末端に融合したgDタグを有する。M13ファージのメジャー(P8)またはマイナー(P3)コートタンパク質上に提示された。ファージ表面上のgDタグの検出によって示されるように、両方のコートタンパク質上の提示レベルは類似している(データ非表示)。タンパク質のコア(core)は広範囲かつ協同的であるため、効果的なコンフォメーションディスプレイは、目的の領域内の運動にどの位置が寄与するの知識を前提としています。従って、USP−結合状態を採るために最適でないように見え、かつ異なるUSP間の可変表面に接触する、ユビキチン内の埋没アミノ酸位置を同定するために、計算によるタンパク質設計が、使用された。得られた7つの位置(Thr7、Leu8、Ile13、Glu34、Ile36、Leu69、及びLeu71)はp8又はp3−提示型ユビキチンライブラリーにおいて無作為化され、USP7の触媒ドメインの触媒的に不活性な変異体に対して選択された。
総数69のユニークな配列がP8−提示型ユビキチンライブラリーから同定された。これらのクローンの約90%は位置7と69の両方でシステインを含み、その一部はCys8をCys7と置換している(図1B)。位置7/8と69は、ユビキチンの三次構造において並置されているので、このことは直ちにUSP7結合コンフォーメーションを安定化するジスルフィドの存在を示唆した。7つのユニークなクローンのみが、ジシステインモチーフを欠いており、以後は「非ジスルフィド」バインダーと表される(図1B)。ジスルフィド及び非ジスルフィドバインダーの両方とも、野生型ユビキチンと比較して、幾つかの有意な配列変化を示している。塩基性残基(大部分はArgで少数がLys)は、全てのクローンにおいて位置71で高度に保存されており;位置34は、野生型において、排他的にGluから疎水性残基(Ile、Leu又Val)に改変され;位置36は、ジスルフィド結合したクローン中で主に芳香族(Tyr及びPhe)であった。ジスルフィド含有バインダーにおいて、位置13は極性残基(Arg、His、Ser、Lys、及びAsn)を好み、一方、非ジスルフィドクローンはチロシンを好んだ。
USP7選択型コンフォーメーションバインダーの特異性を試験するため、「U7UbXX」(ここでXXはクローン番号)、24のファージディスプレイされたクローンがファージスポットELISAでDUBのパネルに対して試験された。図1Cに示されるように、これらのクローンの全ては、USP7に特異的に結合し、USP14、UCHL1、UCHL3及びUCHL5に対する検出可能な結合性シグナルを示さない。
精製されたタンパク質としてU7Ub変異体の結合を定量するために、8個のクローンを、N末端Hisタグ付きpET発現ベクターに移した。発現し均質になるまで精製した後、 バイオレイヤー干渉法を介した相対的親和性は、ユビキチン変異体の単一濃度での定常状態の応答を測定することにより決定した(図4A)。フォローアップバイオレイヤー干渉滴定は、最も強個な2つのバインダー、U7Ub7(ジスルフィド)とU7Ub25(非ジスルフィド)は、200nM未満のUSP7の触媒コアに対する親和性を有することを明らかにした(表8及び9;図4B)。等温滴定熱量測定は、U7Ub25は1:1の複合体中のUSP7の触媒コアに強固に結合し(図1C)、約190nMでの親和性を有することを確認した。注目すべきことに、USP7と野生型ユビキチンの結合は、上限200μMまでの濃度ではほぼ検出不可能であり(データ非表示10)、はじめに選択されたこれらのユビキチン変異体は親和性が1000倍以上改善されていることを明らかにしている。
この実施例は、コンフォメーションディスプレイの新規な技術を検証し、本来であれば天然には見出されない立体構造的に異種構造のユビキチンタンパク質立体構造的に安定化されたの変異体を同定する。更に、この新規な安定化されたユビキチン蛋白質は、野生型ユビキチンに対して1000倍高い親和性で脱ユビキチン化酵素USP7に結合する。
実施例2:立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の表面の成熟
立体構造を設計されたライブラリーは、野生型ユビキチンの表面の残基には焦点をあてないので、そうすることは、さらにUSP7に対する親和性を改善し得ると考えられた。従って、この例では、表面成熟は、立体構造的に安定化されたタンパク質の基質への結合を更に増強するのに用いることができることを実証している。
材料と方法
U7Ub25の親和性成熟
親和性成熟ライブラリーは、キュンケル突然変異誘発法を用いて構築した。表面残基のQ2、F4、T14、Q40、R42、A46、G47、Q49、Q62、E64、S65、T66、H68、V70及びR72は、各塩基位置は、アミノ酸レベルで約50%の突然変異率をもたらすであろう、70%の野生型塩基と10%の他の3つの塩基の混合物であるドーピングコドンを使用して「ソフトランダム化(soft randomize)」された。停止鋳型(stop template)(7−13、34−36及び69−71の領域で3つの停止コドンを含有するp8U7Ub25の一本鎖DNA)は、〜4×1010のユニークなメンバーが含まれるライブラリーを構築するために使用された。上記のように、ライブラリーはUSP7catC223Aに対して5ラウンド繰り返され、第3〜5ラウンドを除いて、低下させたUSP7catC223Aの濃度(それぞれ10、5及び2nM)が使用された。
スポットファージELISA
5ラウンドの結合選択の後、個別のファージクローンを採取し、50μg/mlのカルベニシリン及びM13−KO7ヘルパーファージを96ウェルブロック中に含む450μlの2YT培地に播種し、これを37℃で一晩増殖させた。以下のように上清をスポットファージELISAで分析した:ビオチン化USP7catC223A、USP14触媒ドメイン(C114A)、UCHL1、UCHL3、又はUCHL5触媒ドメインは、ニュートラビジンをコーティングした384ウェルのMaxisorpイムノプレートに捕獲され、PBT緩衝液で希釈した(1:3)ファージ上清(1:3)をウェルに添加した。プレートを洗浄し、結合したファージを、抗M13−HRP、続くTMB基質で検出した。これらのアッセイにおいて、バックグラウンド結合の評価と平行して、ニュートラアビジンのみに対するファージ結合が試験された。USP7catC223Aに対する結合シグナルが、ニュートラアビジン(バックグランド)に対するよりも5倍以上高いクローンは陽性とみなした。陽性クローンをDNA配列分析に供した。
等温滴定熱量測定
U7Ub25及びUSP7catC223Aは、50mMのHEPES pH7.5及び150mMのNaCl中に一晩透析され、MicroCal ITC200上で滴定された。細胞内のU7Ub25の濃度は200μMであり、シリンジ内のUSP7catC223Aの濃度は20μMであった。実験は、0.2μLの最初の注入、データ解析中に廃棄され、続いて250秒間隔で20回の2μLの注入により行われた。細胞は25℃で1000rpmで攪拌した。結合は、Microcal Originの1部位結合モデルに対してフィットさせた。
ELISAによる結合アッセイ
ビオチン化USP7catC223Aは、以前にブロッキング緩衝液によってブロックされたニュートラアビジンをコーティングしたMaxisorp(登録商標)プレート上で捕獲され、PBT緩衝液中で4℃で1時間、0〜20μMの濃度範囲で、Hisタグ付きユビキチン変異体の1:3連続希釈とともにインキュベートした。次いで、プレートをPT緩衝液で洗浄し、結合したHisタグ付きタンパク質は、抗ペンタHis−HRPコンジュゲート(Qiagen, Cat. No. 34460, Germantown, MD)、続いてTMB基質によって検出された。
バイオレイヤー干渉法による親和性測定
USP7catC223Aへのユビキチン変異体の結合親和性はOctetRed384上でバイオレイヤー干渉法により測定した(Fortebio, Menlo Park, CA)。ストレプトアビジンバイオセンサー(Fortebio、カタログ番号18−5020)は、0.05%のTween20及び0.1%のBSAを含有するPBS緩衝液中でビオチン化USP7catC223Aとロードされ、同じ緩衝液中で洗浄され、同じ緩衝液中で0〜2μMの範囲の濃度で、ユビキチン変異体を含むウェルに移された。解離定数は、オクテット(Octet)ソフトウェアを使用して、定常状態のアルゴリズムに対する応答の非線形フィッティングにより得た。類似の親和性は、速度論的フィッティングにより得られた。
結果
β1−β2の周辺のコアパッキングを通して高い親和性と特異性を達成し得る、最も高い親和性非ジスルフィド変異体であるU7Ub25を、表面成熟のために選択した。USP7との複合体中の野生型ユビキチンの結晶構造(PDBコード1NBF15)に基づいて、ユビキチンとUSP7の相互作用に関与することが予測されるU7Ub25の表面残基をランダム化することにより親和性成熟ライブラリーを設計した(図5A)。
改善されたバインダーを単離するために、ライブラリーはUSP7の濃度を減少させることに対して選択された。4回パニングを行った後、USP7に強く結合した6つのユニークなクローンを同定した(図5A)。ユニークな全ての親和性成熟クローンが発現され、Hisタグ付きタンパク質として精製され、それらの相対的親和性はELISAによって測定され、EC50によってランク付けされた。図5Bに示すように、U7Ub25.2540は最も強固なUSP7−バインダーであり、U7Ub25に対して3つの変異:Gln42Trp、Gln49Arg、及びHis68Argを含んでいる(図5A)。USP7の触媒コアについてのU7Ub25.2540の親和性は、バイオレイヤー干渉法によって測定される場合、約30nMであり、親のU7Ub25対して数倍の改善を表している(図5C;表8及び9)。
この実施例は、更なる基質結合親和性は、基質タンパク質の表面上の残基と直接相互作用するアミノ酸残基の表面成熟を介して、立体構造に安定化されたタンパク質変異体において達成することができることを示している。
実施例3:立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の結晶構造
この実施例では、USP7結合変異体のジスルフィドクラス及び非ジスルフィドクラス内の変異が、これらの分子の構造にどのように影響するかを理解するために、U7Ub7(ジスルフィド)及びU7Ub25.2540(非ジスルフィド、親和性成熟型)の両方の結晶構造が解かれた。
材料と方法
結晶化及びデータ収集
細胞ペーストを、25mMのトリスpH8.0、150mMのNaCl中に再懸濁し;還元剤(0.5mMのTCEP)はU7Ub25.2540の精製全体にわたって添加された。細胞は、Ni−キレートアフィニティーカラム上で精製され、タグは、一晩、6×Hisタグ付きTEVプロテアーゼ用いて除去した。切断された混合物は第二のNi−キレートアフィニティーカラム上で更に精製し、最後に、25mMのトリスpH8.0、150mMのNaCl中でSuperdexTM75(GE Healthcare)サイズ排除カラム上で精製した。
U7Ub7及びU7Ub25.2540の回折品質結晶は、精製緩衝液中の10mg/mlのタンパク質1μlと、2.4MのAmSO及び0.1Mのクエン酸pH4.0を含む結晶化溶液1μlを混合し、シッティング及びハンギングドロップ蒸気拡散法を用いて、18℃で成長させた。結晶は3日後に成長し、2.4MのAmSO及び0.1Mのクエン酸pH4.0を含む抗凍結剤溶液中に移した。結晶は、1.4Åまで回折し、空間群P32に属し、非対称単位中に4つ分子を含む。単一ユビキチン鎖(PDB−ID1UBQ)を、分子置換のためのサーチモデルとして用いた。
NMR分光法
サンプルはNMR分光法用に、細胞を遠心沈殿し、U−H,13C−D−グルコース及び2/3 Oを含有するM9培地に移される修正を伴ったCaiら47の方法に従って行われた標識化により調製された。約50%の重水素化がμs Rex実験の実施のために必要とされる48。NMRサンプルは、10%のO及び0.1mMのトリメチルシリルプロピオン酸を含んでいた。重水素取り込みは、質量分析により、およそ50%であると決定した。
野生型ユビキチン、U7Ub7及びU7Ub25の共鳴アサインメントは、PINEを使用してH−15N HSQC、HNCA、HNCACB及びHNcoCAスペクトルのピーク位置の半自動化分析から得られた49。化学シフトはトリメチルシリルプロピオン酸を基準とした。野生型ユビキチン及びU7Ubに対して、ほとんど完全な主鎖のアサインメントが得られた。E24及びG53のアミド共鳴は全てのタンパク質において観測されない。全てのNMRデータセットは、ブルカーDRX分光計により18.8Tで、又はブルカーアバンスIII分光計により14.1Tで収集した。特に断りのない限り、NMR実験は、24℃で行い、重水素化メタノールに対して較正した50
野生型ユビキチンと7.7についての{H}−15N異種核NOE値は、Grzesiek及びBaxの方法に従って測定した51。全ての実験における待ち時間(recycle delay)及びH照射時間は、それぞれ5秒と1に設定した。マイクロ秒Rex値は、H’N、H’、H’N’、及びHρ測定から抽出し、ここでプライムは緩和遅延の間のスピン・ロックフィールドの存在を表す48,52。用いられるスピンロック・フィールドは、H及び15Nの周波数において、それぞれ10kHz及び2kHzであった。スピンロッック照射による全ての実験において遅延時間は2msと32msの間であり、照射の無い場合に記録されるHにおいて4及び128msであった。これらの実験の各々は、各面において64のコンプレックス(complex)15Nポイント(points)による疑似3Dとして記録され、9つの緩和遅延時間が、示差試料加熱による潜在的なアーチファクトを軽減するために、インタリーブ方式で記録された。エボリューションカーブ(Evolution curve)は、nmrPipe53を用いてフィットさせ、データ解析はHansenら52に従って行った。より完全に分散曲線をサンプリングするため、R分散データセットは、2点フィッティングから決定されたR2obsを用いてTollingerら54の方法に従って収集した55。データセットは、各面及び約15のCPMG周波数において64のコンプレックス(complex)15Nポイント(points)により、インターリーブされた擬似3Dとして収集された。サンプリングされたCPMG周波数は50と950Hzの間であり、2つの周波数がエラー解析のために反復された。R分散曲線は14.1T及び6℃で7.25について収集された。
結果
位置7位と69位でのシステインに対する強い優先性から疑われたように、U7Ub7の1.8Åの構造は、これらの残基がβ1−β2ループのベースでジスルフィド結合を形成することを明らかにしている(図6〜7;表10)。このジスルフィドの配向は、USP7に結合された野生型ユビキチンについて観測されるのと似た様式で、アポ野生型の立体構造に対して下向きにβ1−β2をねじる(図8A)。Ile36Tyrも、Arg71の主鎖への水素結合及びLeu73とのスタッキング相互作用を形成することによりにより、このねじれに寄与している(図8B)。Tyr36−Leu73のスタックは、野生型ユビキチンのそれに直交して配向し、β1−β2ループに主鎖水素結合を形成するようにU7Ub7のC末端を押し出す(図8A)。しかし、速いタイムスケールのダイナミクスを探索する異種核NOE NMR測定は、U7Ub7のC末端は野生型ユビキチンより僅かに可動性が低いが、完全に拘束されてはいないことを示している(図9)。従って、U7Ub7のC末端の異常な位置がUSP7に対するその高い親和性で決定的な役割を果たしていない場合がある。
U7Ub7と対照的に、U7Ub25.2540の1.3Å分解能の構造は、その主鎖がアポ体の野生型ユビキチンにほぼ同一であることを示している(図8C及び図10)。コアの変異した残基(Thr7Phe、Leu8Arg、Ile13Tyr、Glu34Leu、Leu69Gly、及びLeu71Arg)は密にパッキングされているが、野生型とは様式が異なる(図7A、C)。親和性成熟によって導入された突然変異(Arg42Trp、Gln49Arg、及びHis68Arg)は全て変異体のUSP7と接触するシート上にクラスター化し、途切れない相互作用面を形成している。U7Ub25.2540の主鎖構造は、野生型ユビキチンのそれに非常に類似しているため、緩和分散の測定値がアポ状態のダイナミクスが乱されていたかどうかを決定するために使用されたが、野生型ユビキチンと比較して有意な差は認められなかった(図11)。
この実施例は、立体構造的には安定化されたU7Ub25及びU7Ub25.2540ユビキチンタンパク質は、USP7に対して有意に増加した親和性、及びβ1−β2因子周辺の顕著に異なるパッキングを有するが、それらの主鎖は野生型ユビキチンと比較して、影響は最小限であることを示している。
実施例4:U7Ub25におけるコアの変異及び表面の変異は、USP7に対する親和性に対して協同する。
この実施例は、非ジスルフィドの立体構造的に安定化されたユビキチンクローンについて観察されたβ1−β2周辺の別のパッキングが親和性を決定するかどうかを評価する。
結果
U7Ub25及び野生型ユビキチンに関連した復帰及び付加変異体の結合が最初に測定された(図10)。U7Ub変異体は、三次構造の局所領域内に一致した埋もれた変化を含むため、単一の復帰は、クラッシュを生成し、不完全に折り畳まれたタンパク質を生じることが予期される。例外は、ほとんどすべてのU7Ub2(図1B)の間で共有され、溶媒に露出し、β1−β2周辺の新規パッキングに比較的無関係であるLeu71Arg変異である(図7B−C)。従って、埋もれた非天然型のコアが、一変異単位として追加又は差し引かれ、同様に位置71が選択されたArg又は野生型Leuへ改変された。U7Ub25.2540に見出される親和性成熟表面残基の重要性も調べた。以下の説明において、クローン名は、コア変異のアイデンティティー、ドットの後に何かが示されていた場合には表面変化を示し、71位の残基のアイデンティティーはアンダースコアが前についている。例えば、Ubwt.2540_L71は、野生型ユビキチンコアを含む変異体、U7Ub25.2540に見いだされた親和性成熟表面変異、及び位置71でのロイシン(野生型アイデンティティー)を示している。
新たにパッキングされたコアの関連では、Arg71がUSP7への結合に重要である(図10、U7Ub25_L71対U7Ub25_R71)。しかし、ユビキチンの野生型コアと対合したArg71変異は、強固な結合のためには不十分である(Ubwt_R71対Ubwt_L71)。従って、β1−β2周辺の埋もれた変異によって生まれたパッキングは、Arg71の適切な配置のために重要であると思われる。同様に、親和性成熟表面全体の複数の変異は、野生型コアとの関連で幾つかの親和性を付与するが(図10、Ubwt.2540_L71対Ubwt_L71)、これらの変化は、付随する再パッキングされたコア及びArg71の両方の存在下で最も効果的である(図10、U7Ub25.2540_R71対Ubwt.2540_L71)。注目すべきことに、再パッキングされたコアを除いてあらゆる変異を保有する変異体はそのUSP7への結合において強く妥協される(図10、U7Ub25.2540_R71対Ubwt.2540_R71)。
要するに、この例では、U7Ub25及びU7Ub25.2540で見出された、埋もれた表面の変異は、USP7に対する親和性の強力な増加を得るために密接に協働することを示している。
実施例5:U7Ubの立体構造的に安定化されたユビキチン変異体は、USP7触媒活性を阻害する
この例では、USP7に対するU7Ub25とU7Ub25.2540の結合がUSP7のタンパク質分解性脱ユビキチン化酵素の酵素活性に関して阻害性であるかどうかを決定する。
材料と方法
0〜20μMの濃度範囲でのユビキチン変異体を、250nMのユビキチン−AMCと混合した(Boston Biochem, Boston, MA、カタログ番号U−550)。0.05%のTween20、0.1%のBSA及び1mMのDTTを含むPBS緩衝液中で、USP7、USP47、USP2及びUSP5に対してDUBがそれぞれ2nM、5nM、3nM及び5nMのパネルは、30分間、ユビキチン−AMC/ユビキチン変異体混合物に添加され、初期速度を、340nmで励起した蛍光及び465nmでの発光をSpectraMax(登録商標)M5e(Molecular Device, Sunnyvale, CA)を使用してモニタリングすることにより、直ちに測定した。初期速度を、増加する蛍光シグナルの勾配に基づいて算出した。また酵素活性は、濃度を増加させたユビキチン変異体を、20nMのUSP10又は1.7nMのUSP7、及び2μMのユビキチン−AMCと1時間インキュベートし、その後、蛍光強度を測定することにより、USP10及び全長USP7のエンドポイント蛍光強度として測定した。両方の場合において、速度は最大速度のパーセンテージに対して正規化され(阻害剤の濃度がゼロである場合)、データは、カレイダグラフを用いて以下の式に当てはめることにより処理した。
ここでvは最大速度のパーセンテージであり;Iは阻害剤(ユビキチン変異体)の濃度であり;v0及びvmaxはそれぞれ最小と最大のパーセンテージである。
結果
速度論的アッセイにおいて野生型ユビキチンについて競争するU7Ub25とU7Ub25.2540変異体の能力を評価した。図12Aに示すように、7Ub25とU7Ub25.2540は、同様のIC50(それぞれ250nM及び160nM)により完全長USP7活性を阻害し、これは、USP7を阻害する野生型ユビキチンの能力に対して1,000倍以上の改善を示している(表11)。これは、バイオレイヤー干渉法及びITCによって測定されるKd値と一致している(図1D、5C、及び表9)。
U7Ub25及びU7Ub25.2540がUSP型酵素を阻害する特異性を試験するために、USP2触媒ドメイン、USP5、USP10及びUSP47に対するこれら二つのユビキチンの変異体のIC50を測定した(図12B−E及び表11)。USP2は、一般的な高活性脱ユビキチン化酵素として選択され、一方、USP5は、異なる機能を持つ複数のユビキチン結合部位を含むために選択された16。USP47は、USP7に最も密接に関連した脱ユビキチン化酵素であり、特異性の厳密な試験である。USP10は、p53を脱ユビキチン化及び安定化させることが知られており、従って、USP7の作用に直接対向している。p53を安定化するUSP7を標的とする分子は、従って、USP10との交差反応性を避けなければならない。
U7Ub25及びU7Ub25.2540の両方とも、最高20μMの濃度までUSP2及びUSP10の活性に影響を与えず(図12B、C)、USP47の阻害において野生型ユビキチンに類似している(図5D)。驚くべきことに、U7Ub25及びU7Ub25.2540の両方とも、野生型ユビキチン(IC50=8.27μM)と比較して、USP5の比較的強力な阻害剤である(それぞれIC50=373nM及び251nM)(図12E、上)。しかし、阻害のメカニズムは、野生型と比較して、これらの二つの変異体において異なる。抑制濃度以下のユビキチンは、ジンクフィンガー(ZnF4)ドメインへの結合を介してUSP5を強く活性化し、これは線状ユビキチン鎖に対してUSP5の細胞機能を調節すると提唱される活性である。特記すべきは、U7Ub25及びU7Ub25.2540のどちらもアロステリックにUSP5を活性化せず(図12E、下)、これらは調節性ZnF4ドメインに結合せず、触媒性USPドメインにのみ結合することを示唆している。USP5のZnF4ドメインは主にユビキチンのC末端に結合するので、USP5の阻害を抑制する試みにおいて、U7Ub25の最後の2つのグリシンを削除した。得られた変異体、U7Ub25ΔGGは、全長USP7に対してその効力を保持するが、もはやUSP5を阻害しない(図12A、E)。
要約すれば、この例では、U7Ub25及びU7Ub25.2540の立体構造的に安定化されたユビキチン変異体は両方とも、USP7及びUSP5の酵素活性を阻害するが、USP2又はUSP10には影響を与えないことを示している。
実施例6:U7Ub25.2540の立体構造的に安定化されたユビキチン変異体は、ヒト細胞での強力かつ選択的なUSP7阻害剤である
U7Ub変異体はユビキチンススキャフォールドに基づいているので、この実施例では、安定化されたユビキチン変異体は、細胞ユビキチン連結機構と相互作用し及び/又は妨害するかどうか、並びにその変異体がポリユビキチン鎖に組み込まれることが可能であるかどうかを調べる。
材料と方法
哺乳動物発現コンストラクト及び細胞培養
3XHA−野生型ユビキチンコンストラクトを、3XHAユビキチン(MCLAB)を合成し、pcDNA3.1(Invitrogen)にサブクローニングすることによって作製した。3XHA−U7Ub25.2540コンストラクトを、ファージ溶液からU7Ub25.2540をPCR増幅し、その生成物を、N末端に3X HAタグを含む修飾されたpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen)にサブクローニングすることにより作成した。3XHA pcDNA3.1ベクターは、次のような制限部位であるNheI及びHindIIIを使用して、コザック配列を含む3XHA配列で連結することにより生成された:gctagcGCCGCCACCatggagTACCCATACGACGTACCAGATTACGCTTACCCATACGACGTACCAGATTACGCTTACCCATACGACGTACCAGATTACGCTaagctt
U7Ub25.2540はその後、BamHI及びEcoRI制限部位を用いて、3XHApcDNA3.1(+)ベクターにクローニングした。ΔGGバージョン(UbΔGG及びU7Ub25.2540ΔGG)は、Gly75及び76(GGTGGT)を停止コドン(TGATGA)に変異させることによって生成した。ヒト細胞株であるHEK293T、U2OS、及びSiHa細胞はATCCから入手し、HCT116親細胞株及びUSP7−/−細胞株は、Horizon Discoveryから得た。細胞は、標準的なプロトコールに従って維持され、DNAトランスフェクションは、リポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して達成された。
イムノブロッティング分析及び免疫沈降
以下のタンパク質に対する抗体を指定業者から購入し、前述のように、標準的なプロトコールを用いて免疫ブロッティングに使用した56。HA−HRP(Sigma HA-7)、ユビキチン−HRP(Santa Cruz Biotech P4D1)、USP7(Bethyl A300-034A)、USP47 (AbCam ab72143)、USP14(Bethyl A300-919A)、USP10(AbCam ab70895)、USP5(AbCam ab84695)、UCHL1ウサギポリクローナル(Invitrogen)、チューブリンマウスモノクローナル(MP biomedical)、MDM2(Calbiochem Ab-1)、p53(Neomarkers Ab-8)、p21(AbCam ab7960)、及びGAPdH(Assay Designs, 1D4)。標準的な免疫沈降を、示された抗体又は抗体結合アガロース:抗HAアガロース(Roche 3F10)又は抗myc(Covance 9E10)を用いて、前述のように行った(Wertz et al Nature 2004)。ユビキチンの結合選択的抗体の作製及びこれらの抗体を用いた免疫沈降のために最適化された固有のプロトコールは、以前に記載されている57−59
プロテオミクスと質量分析
抗HA免疫沈降物は、上記のように精製した。タンパク質複合体は、SDSサンプル緩衝液中に溶出し、SDS−PAGEによって分離し、次いで、トリプシンで消化した。ペプチドを、逆相クロマトグラフィーによって分離し、続いてLTQ−Orbitrap Velos(Thermo Fisher)でタンデム質量分析を行った。MS/MSデータは、Mascot60(Matrix Science, London, UK)を用いて、50ppmの前駆イオンの許容値及び完全なトリプシン特異性を使用して、Uniprotデータベースから抽出されたヒトタンパク質及び一般的な汚染物質を含む、連結された標的−おとり(target-decoy)データベースに対して探索された。ペプチドスペクトルの一致は、線形判別分析を用いて1%FDRに対してフィルターをかけた。
結果
E1 UBE1及びE2 Cdc34(K48ポリユビキチン化を促進する)又はUev1a/UbcH13(K63ポリユビキチン化を促進する)を利用する生化学ライゲーションアッセイにおいて、U7Ub3又はU7Ub7の何れもK48又はK63結合鎖に効率的には取り込まれず;単量体ユビキチンプールの枯渇は、変異体は、評価されるE1及び/又はE2酵素に部分的に結合することを裏付けている(図13)。対照的に、生化学的アッセイにおいてE3タンパク質を含めるとU7Ub変異体の重合を高め得ることは依然として可能であるが、検出可能な重合はU7Ub25で達成されていない。
次に細胞性ユビキチン化酵素とU7Ub変異体の相互作用を調べた。この目的を達成するために、野生型ユビキチンのHAエピトープタグ化バージョン、ユビキチンΔGG、U7Ub25.2540、及びU7Ub25.2540ΔGGをヒト細胞で発現させた(図14A)。生化学的アッセイと同様に、U7Ub25.2540は、細胞環境で発現したユビキチンリガーゼの存在にも関わらず、ポリユビキチン鎖にはほとんど取り込まれなかった(図14A及び15)。細胞性ユビキチン化パターンの変化は、ウエスタンブロット分析によって検出されず、U7Ub変異体の発現は、内因性ユビキチン連結反応機構への影響を最小限に抑えることを示している(図14A)。
次に、細胞環境におけるU7UbsのDUB結合選択性及びDUB阻害効果を調べた。内因性USP7は、HA−野生型ユビキチンと結合できないが、用量依存的にHA−U7Ub25.2540の免疫沈降が検出された(図16)。USP5は、HA−U7Ub25.2540免疫沈降で検出された唯一の他のDUBであった(図16)。U7Ub25からC末端のジグリシンを削除すると酵素阻害アッセイでUSP7に対する更なる特異性を提供したので、親和性成熟型変異体のC末端を除去した(U7Ub25.2540ΔGG)。ヒト細胞株にトランスフェクトされた場合、このクローンは、見かけ上USP5に結合することなく内因性USP7を特異的に免疫沈降する(図14B)。これらのデータは、質量スペクトル分析により確認される:USP7は、実質的に、2つの細胞株からのHA−U7Ub25.2540ΔGG免疫沈降物中で(最大15倍まで)濃縮されるが、他のほとんどのDUBは、ジグリシン欠失型野生型ユビキチンと比較して、同等又はより少ない程度に、HA−U7Ub25.2540ΔGGによって、プルダウンされる。(図17)。内因性USP7の結合と一致して、HA−U7Ub25.2540ΔGGの発現は、増強されたMDM2のユビキチン化(図14C)及び代謝回転(図14D)によって示されるように、USP7の触媒活性を阻害する。USP7の活性を阻害しMDM2タンパク質レベルを減少させることの最終帰結はp53腫瘍抑制因子の安定化である(図14E)。
従って、この例では、集団生物物理学的データ、生化学的データ及び細胞データは、コンフォメーションディスプレイは、選択的に結合し、それにより発癌性DUB USP7の細胞作用を阻害するユビキチン変異体を操作するために使用されうる強力なツールであることを実証することを示している。
実施例7:立体構造的に安定化しUSP14結合ユビキチン変異体を同定するためのコンフォメーションディスプレイの使用
細胞内シグナル伝達の調節におけるその重要な役割のため、DUBは有望な新規治療標的として現れた31。例えば、プロテアソーム結合性USP14DUBの小分子阻害は、アミロイド形成神経変性に関与しているタンパク質の分解を増強し、腫瘍の進行を防止することが最近示されている。USP型DUB機構と調節の研究は、それらの比較的弱い活性によって複雑化される:USP型DUBの触媒ドメインは、典型的には、10から10−1−1の酵素効率と高マイクロモル基質親和性を有し、構造研究における共有結合性の自殺「弾頭」の使用を必要としている34。対照的に、UCH型DUBは、最大10−1−1の酵素効率及び低ナノモル範囲でのユビキチンに対する親和性を有し、しばしば高度に活性である35-36。この例では、コンフォメーションディスプレイは、USP14に強固に結合する安定化されたユビキチン変異体を生成するために使用することができるかどうかを検討する。
材料と方法
「アップ」及び「ダウン」β1−β2コンフォーメーションの同定
2.5Å以上の分解能で決定されたパートナータンパク質に結合したユビキチンの全結晶構造はPDBから入手し、単一のユビキチンパートナー対をそれぞれ含む個別のモデルに分割する。β1−β2の優勢なアポコンフォメーションを決定するために二つのアポユビキチン構造(1ubi及び1ubq)も含まれた。各構造の手動探索の後、モデルは、β1−β2ループが明らかに結晶のパッキングに関与する場合には、除かれた。残りの56の構造(表12)は、球状コアsans β1−β2(残基1〜5と11〜70)のCα上でペアワイズアラインメントし、β1−β2ループ(残基6〜10)CαのRMSDが計算された。これらのペアワイズRMSDはマトリックスに整理しMATLABを用いてクラスター化した(clustergram, Bioinformatics toolbox)。2つの主要なクラスターの各々の構造を目視探索により、それらがβ1−β2の「アップ」及び「ダウン」コンフォーメーションを表していることを明らかにした。各複合体についてのPDBコードと各パートナーの鎖識別子を含む、完全ラベル付きclustergramは図21で利用可能である。
β1−β2コンフォーメーションに重要な残基を決定する計算による設計
β1−β2のコンフォーメーションに影響を与える位置は計算による設計戦略を用いて同定した。簡潔には、ユビキチンのβ1−β2領域及び疎水性コア内の残基は、計算で、アップ又はダウンのどちらかの状態に変異させ、野生型ユビキチンと比較して別の好適なアイデンティティを採る位置及び逆の状態は、ファージディスプレイ実験における変異が考慮される。
次の鋳型の結晶構造が計算による設計のために選択された:アポ野生型ユビキチン(1ubi)、結合型「アップ」状態(1cmx、1xd3、3ifw)、及びUSP結合型「ダウン」状態(2ayo、2hd5、2ibi)。単一状態と多状態の設計戦略の両方を用い、位置3、5、7、8、13、15、23、26、30、34、36、43、50、56、61、67、69、及び71を変異させた。単一状態のプロトコールでは、各鋳型はロゼッタデザイン(RosettaDesign) (Kuhlman, et al., Science 302, 1364-1368 (2003))を用いて独立して10000回設計され、系の全エネルギーによる上位1000の配列が他の鋳型と比較された(図22A)。多状態プロトコールでは、遺伝的アルゴリズムを用いて設計された各鋳型は、150世代の2000のメンバーの集団全体にわたって3つの「ダウン」正状態(2ayo、2hd5、2ibi)を好み、3つの「アップ」負状態(1cmx、1xd3、3ifw)を嫌う適合度関数を最適化するために使用された (Havranek & Harbury, Nat. Struct. Biol. 10, 45-52 (2003))。このプロトコールは、各正状態の主鎖の鋳型について3回独立に繰り返し、位置特異的スコア行列は、配列適合度のボルツマンの重み付けを用いて構築された(図22B)(Smith & Kortemme, PLoS ONE 6, e20451 (2011))。単一状態及び多状態の方法は両方とも、位置7、8、13、34、36、61、及び71における野生型残基は、「ダウン」USP結合状態にとって準最適であることを示した(図22)。これらの位置は、隣接する位置69とともに、その後のファージディスプレイ実験においてNNKコドンへ無作為化された。
計算によるクロスドッキング
USP−又はUCH型脱ユビキチン化酵素に結合したユビキチンの構造(PDBコード3IFW、2AYO、2HD5、1CMX、1XD3、及び2IBI)は、ユビキチン(B鎖)、および脱ユビキチン化酵素(A鎖)成分に分離された。柔軟なC末端尾部の配置に起因する結晶バイアスを回避するため、ユビキチンの球状構造部分(残基1−70)のみがドッキングされた。結合型複合体の記憶はアポ状態における全側鎖を事前にパッキングすることによって除いた。各ユビキチンの構造は、同種のユビキチン上にアラインすることによって全ての脱ユビキチン化酵素の結合部位に配置され、次いで、3Åと8Åの小さなランダムな摂動後に、ロゼッタドック(RosettaDock)(Gray, et al., J. Mol. Biol. 331, 281-299 (2003))を用いて脱ユビキチン化酵素にドッキングした。ユビキチン−脱ユビキチン化酵素複合体あたり18000の軌跡が実行され、各組み合わせの系の全エネルギーは、ゼロのスコアに設定された最も低いスコアリングモデルに対して正規化した。残基1〜70についてのCαのRMSDは、問題の脱ユビキチン化酵素に結合したユビキチンの同種構造に対して計算された。
M13ファージ上でのユビキチンの提示
ユビキチンは、前述したファージミドpS2202dを改変することによってM13バクテリオファージの表面に提示された(Skelton, N. J. et al., J. Biol. Chem. 278, 7645-7654 (2003))。標準的な分子生物学の技術が、Erbin PDZドメインをコードするpS2202dの断片を、ユビキチンをコードするDNA断片と置換するために使用された。得られたファージミドp3Ubは、マルトース結合タンパク質分泌シグナル、gDタグ及びユビキチン、そして最後に主要コートタンパク質p3のC末端ドメインをコードするオープンリーディングフレームを含んでいた。p3Ubを保有する大腸菌は、M13−KO7ヘルパーファージと共感染させ、標準的なプロトコールに従って、増幅した(Tonikian et al., Nat Protoc., 2(6):1368-86 (2007))。伝播されたファージを標準的なプロトコールに従って精製し(Tonikian et al., Nat Protoc., 2(6):1368-86 (2007))、1mLのPBTバッファー(PBS、0.5%BSA及び0.1%Tween20)中に再懸濁し、p3Ub DNAを封入し、ユビキチンを表示するファージ粒子の産生をもたらした。提示レベルは、ファージELISAを用いて分析した。
ライブラリーの構築と選別
ユビキチンライブラリーは、キュンケル突然変異誘発法を用いて構築した(Kunkel, et al., Meth. Enzymol. 154, 367-382 (1987))。野生型ユビキチン残基T7、L8、I13、E34、I36、L69及びL71は、NNKコドンで無作為化した停止鋳型(stop template)(7−13、34−36及び69−71の領域で3つの停止コドンを含有するp3Ubの一本鎖DNA)は、〜2×1010のユニークなメンバーが含まれるライブラリーを構築するために使用された。ライブラリーは、USP14のC114A変異を有するC末端モノユビキチン化触媒ドメイン(残基D91−Q494)(USP14catC114Aとして指定される)に対して、溶液中で複数ラウンドの結合選択を繰り返した。第一ラウンドでは、20μgのビオチン化USP14catC114Aの20gを1mlのファージライブラリー(〜1×1013pfu/mL)とともに2時間4℃でインキュベートし、以前にブロッキング緩衝液(PBS、1%BSA)でブロックされているDynabeads(登録商標)MyOneストレプトアビジンの200μlにより室温で15分間捕捉した。上清を廃棄し、ビーズはPBS、0.1%のTween20で3回洗浄した。結合したファージは、400μLの0.1MのHClで7分間溶出し、直ちに1Mのトリス、pH13の60μLで中和した。溶出したファージはTonikian et al., Nat Protoc., 2(6):1368-86 (2007)により記載されるように増幅した。ラウンド2では、プロトコールは10μgのビオチン化USP14catC114Aと100μLのダイナビーズを用いた以外はラウンド1と同じであった。第3ラウンドと第5ラウンドにおいて、2μgのビオチン化USP14catC114Aは、前のラウンドからの増幅されたファージとともにインキュベートされ、ファージUSP14catC114A複合体は、以前にブロッキング緩衝液で処置されたニュートラアビジンコーティングプレートにより捕獲された。ラウンド4は、ビオチン−USP14catC114A−ファージ複合体を捕獲するためにストレプトアビジンでコーティングしたプレートを用いた以外は、ラウンド3と同一であった。ファージは、30℃でM13−KO7ヘルパーファージによって大腸菌XL1−blueにより標準的なプロトコールに従って伝播された(Tonikian et al., Nat Protoc., 2(6):1368-86 (2007))。
スポットファージELISA
5ラウンドの結合選択の後、個別のファージクローンを採取し、50μg/mlのカルベニシリン及びM13−KO7ヘルパーファージを96ウェルブロック中に含む450μlの2YT培地に播種し、これを37℃で一晩増殖させた。以下のように上清をスポットファージELISAで分析した:ビオチン化USP14catC114Aは、ニュートラビジンをコーティングした384ウェルのMaxisorpイムノプレートに捕獲され、PBT緩衝液で希釈した(1:3)ファージ上清(1:3)をウェルに添加した。プレートを洗浄し、結合したファージを、抗M13−HRP、続くTMB基質で検出した。これらのアッセイにおいて、バックグラウンド結合の評価と平行して、ニュートラアビジンのみに対するファージ結合が試験された。USP14catC114Aに対する結合シグナルが、ニュートラアビジン(バックグランド)に対するよりも5倍以上高いクローンは陽性とみなした。陽性クローンをDNA配列分析に供した。
ユビキチン変異体の発現及び精製
ユビキチン変異体をコードするDNAを、N末端の6×Hisタグを有するpET誘導体ベクター(EitNTHベクター)にクローニングし、前述のようにし大腸菌で発現させた(Dueber, et al., Science 334, 376-380 (2011))。簡潔には、BL21(DE3)ゴールド大腸菌細胞をプラスミドを含有するU14Ubで形質転換し、50mg/Lのカルベニシリンを含有するLB培地中でOD600が〜0.7まで増殖させ、0.2−0.5mMのイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシドで16℃で16時間誘導し、次いで遠心分離により回収した。細胞をPBS+ロシュ完全プロテアーゼ阻害剤(EDTA無し)及び10mMのイミダゾールに再懸濁し、超音波処理により溶解した。可溶性画分をNi−NTA樹脂(Qiagen)にロードし、PBS+20mMのイミダゾールの約10カラム容量で洗浄し、次いでPBS+300mMのイミダゾールで溶出した。その後、6xHisタグは、結晶学及びNMR分光法のために、TEVプロテアーゼの添加によりタンパク質から切断され、4℃で一晩PBSに対して透析した。次いで、この溶液をNi−NTA樹脂上に流して、切断されたタグとTEVを除去した。次いで、サンプルは、3kDaのMWCO−ウルトラフリー15遠心フィルター装置(Amersham)を用いて濃縮し、ゲル濾過カラムに流した(S75スーパーデックス16/60、GE Healthcare)。画分をプールし、SDS−PAGEにより分析し、1−20mg/mLまで濃縮した。
サンプルはNMR分光法用に、細胞を遠心沈殿し、U−H,13C−D−グルコース及び2/3 Oを含有するM9培地に移される修正を伴ったCai et al. (J Biomol NMR 11, 97-102 (1998))の方法に従って行われた標識化により調製された。約50%の重水素化がμsのRexの実験の実施のために必要とされる(Hansen, et al., J. Am. Chem. Soc. 129, 11468-11479 (2007))。NMRサンプルは、10%のO及び0.1mMトリメチルシリルプロピオン酸を含んでいた。重水素取り込みは、き質量分析により、およそ50%であると決定した。
ELISAによる結合アッセイ
ビオチン化USP14catC114A、UCHL3、又はUCHL1は、以前にブロッキング緩衝液によってブロックされたニュートラアビジンをコーティングしたMaxisorp(登録商標)プレート上で捕獲され、PBT緩衝液中で4℃で1時間、0〜20μMの濃度範囲で、Hisタグ付きユビキチン変異体の1:3連続希釈とともにインキュベートした。次いで、プレートをPT緩衝液で洗浄し、結合したHisタグ付きタンパク質は、抗ペンタHis−HRPコンジュゲート(Qiagen、カタログ番号34460, Germantown, MD)、続いてTMB基質によって検出された。
バイオレイヤー干渉法による親和性測定
USP14catC114Aへのユビキチン変異体の結合親和性はOctetRed384上でバイオレイヤー干渉法により測定した(Fortebio, Menlo Park, CA)。ストレプトアビジンバイオセンサー(Fortebio、カタログ番号18−5020)は、0.05%のTween20及び0.5%のBSAを含有するPBS緩衝液中でビオチン化USP14catC114Aとロードされ、同じ緩衝液中で洗浄され、同じ緩衝液中で0〜50μMの範囲の濃度で、ユビキチン変異体を含むウェルに移された。緩衝液のみを含む基準細胞に対するシグナを全ての結合データから差し引いた。リガンドの各濃度について、2つのバイオセンサーが、ロードされたビオチン化USP14catC114Aの有無にかかわらず、並行して結合を検出するために使用された。むき出しのバイオセンサによって検出されたシグナルは、USP14catC114Aをロードされたバイオセンサーからの結合シグナルから差し引いた。解離定数Kは、オクテット(Octet)ソフトウェアを使用して、定常状態のアルゴリズムに対する応答の非線形フィッティングにより得た。
反応速度について、結合データは、二相性会合モデルの以下の式に対してカレイダグラフソフトウェアを使用してフィッティングされた。
maxは最大応答である。
fastは、総Rmaxに対する急速相からの寄与の画分である。
fastは、急速相結合についての会合定数である。
fastは、緩徐相結合についての会合定数である。
rは任意の時点での応答でtは時間である。
解離定数koffは、オクテットソフトウェアを使用して、解離データを1:1モデルにフィッティングすることによって得た。
急速相においては、kon=(kfast−koff)/[L](式2)であり、ここで[L]はリガンドの濃度である。緩徐相において、kslow=k+k/(1+[L]/K)(式3)は「コンフォーメーション選択」用であり、kslow=k+k/(1+K/[L])(式4)は、「誘導適合」モデル用である(Hammes, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 106, 13737-13741 (2009); James et al., Science 299, 1362-1367 (2003))。
速度論的フィッティングに由来するKは、koff/konとして算出され、ここでkonは式2から計算した。
様々なリガンド濃度で式1から得たkslowの依存性の形から、誘導適合モデル(式4)は、実験データを説明することは明らかであった。フィッティングの過程において、Kは自由なパラメーターであり、kslowのフィッティングから得た値は、定常状態及び速度論的フィッティングの両方から得たKの値に対して比較された(表13)。
示差静的光散乱を用いた熱安定性の測定
Vedadi et al (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103, 15835-15840 (2006)により概説されるように、U14Ubの熱安定性は、市販の示差静的光散乱装置(Stargazer, Harbinger Biotech)を用いて野生型ユビキチンに対して比較された。各タンパク質の濃度は0.2mg/mLであった。
結果
ユビキチンのβ1−β2ループのダイナミクスを改変するため、突然変異によってUSP−結合「ダウン」状態を安定化することが予測されるコアの位置が、単一状態と多状態ロゼッタデザイン(RosettaDesign)の両方を使用して、計算上で探索された37−39。両方のタイプ設計実験が、変異はUSP−結合状態を好むことが予測される、一致した一組の位置を同定した。この情報は、ユビキチン変異体のファージディスプレイされたライブラリに組み込まれ、これはUSP14のUSPドメインの触媒的に不活性な変異体に対してパンニングした(図22)。
USP14結合ユビキチン変異体(U14Ub)を選択すると、位置7のグリシンのほぼ不変な導入など、幾つかの強い配列優先性が得られた(図18A)。40を超えるU14Ub(U14UbXXと指定;XXはクローン番号を示す)がクローニング、発現、精製され、そしてELISA及び/又はバイオレイヤー干渉法により、USP14、UCHL1、及びUCHL3に結合するそれらの能力をスクリーニングした。解析は、USP14:U14Ub1、2、14、22、及び24に対する最高の見かけの親和性を有する5つのクローンに焦点を合わせた。熱安定性測定は、U14Ubは、野生型に関して有意には不安定化されていないことを示している(図27)。これらのユビキチン変異体のELISA及びバイオレイヤー干渉滴定は、各々が野生型ユビキチンと比較して100〜500倍改善された親和性でUSP14と結合することを明らかにした(図18B)。反対に、各変異体は、野生型よりも40〜2000倍弱い親和性でUCHL1とUCHL3と結合する(図18B、表14)。U14UbによるUSP14の滴定の厳密な調査は最初に、会合速度論の単一パラメータフィッティングはデータを説明するには不十分であることを明らかにした。実際、二相性会合が観察され、U14Ubの濃度に対する遅い速度の依存性は結合の誘導適合機構を示している(図18C及び28−29)40
U14Ubがコンフォーメーション選択機構によりUSP14を結合する場合、USP14結合に適したU14Ubの集団状態は野生型と比較して濃縮されるであろうことが予想され;その最も極端では、これはU14Ubの基底状態の構造の変化をもたらす可能性がある。しかしながら、U14Ubが、誘導適合機構を介してUSP14を結合する場合、U14Ub−USP14の遭遇複合体と完全に結合した状態との間の遷移はより有利に働くことが予想される。コンフォメーション選択及び誘導適合結合モデルは、単一の反応サイクルの両極端を表しており40、従って、経路の一方のアームを不利にする任意の摂動は、他に有利に働くであろう。両方の結合機構は、野生型ユビキチン結合相互作用において役割を果たしているように見えるので2930、誘導適合によって支配される結合機構と一致した結合反応速度の観察は、アポU14Ubの立体構造のアンサンブルでのサブ状態間の遷移における摂動に連結され得る。
バイオレイヤー干渉法により検出された、U14UbによるUSP14の滴定の更なる探索は、1000秒の測定を通じて単一相会合モデルに適合しなかった(図35)。しかし、測定時間が1,800秒まで延長されると、バイオレイヤー干渉法により検出される、U14UbによるUSP14の滴定は、単一相解離モデルに合理的に良好にフィットすることがわかった(図36)。早い時点でU14Ubの高濃度で、理想化された挙動からの小さな偏差があり、理論に束縛されることなく、U14Ub−USP14結合事象の誘導適合性質に連結される可能性がある。しかしながら、これらのデータは、早期の相を十分にサンプリングするために利用可能な限られたデータに起因して、二相性の解離モデルに適合しなかった。
この例では、コンフォメーションディスプレイの技術は、野生型ユビキチンと比較して100〜500倍に改善された親和性でUSP14に結合する、立体構造的に安定化されたユビキチン変異体を首尾良く識別できることを実証している。このユビキチン変異体は、USP14に関して誘導適合機構と一致した結合反応速度を示している。
実施例8:U14Ub2の結晶構造
この実施例では、誘導適合結合機構を目的とする変化とアポU14Ubの構造及びダイナミクスとの間の関連を調査する。
材料と方法
X線結晶学及び構造決定
結晶学のためのU14Ub2は、100mMのNaClを含む25mMのHEPES pH7.2中で行われた最終的なゲル濾過工程を通って上記のように精製された。最終プールは、15ミリグラム/mLに濃縮し、−80℃で凍結した。U14Ub2は、母液に対するタンパク質(15mg/mL)の比率が1:1からなるハンギングドロップ中で、母液(0.1MのMES pH6.1、1%の2−メチル−2,4−ペンタンジオール、及び3.5Mの硫酸アンモニウム)上につり下げられ、19℃で結晶化した。結晶は2日後に現れ、1週間で最大の大きさに成長した。データ収集のために結晶は、新鮮な母液に移した後、液体窒素中で急速冷凍した。結晶は、2.54Åまで回折し、空間群P2に属し、非対称単位中に8つ分子を含む。単一ユビキチン鎖(PDBコード:1UBQ)を、分子置換のためのサーチモデルとして用いた。結晶学的統計は表15に示される。
結果
U14Ub2の結晶構造が解かれ、全5つのU14Ubの主鎖NMR共鳴がアサインされた。結晶構造及びNMR由来のCS−ロゼッタモデル41の両方とも、変異体のそれぞれの基底状態の折り畳みは、野生型と区別できないことを示している(図24及び31)。しかし、U14Ubの全てのH/15N HSQCスペクトルにおいて、主鎖アミド共鳴の多くは、野生型に対して広幅化している(図19A)。広幅化した残基は、β1−βループ周辺と近接するβ3及びβ5ストランドにおいて空間的にクラスター化しており、これらの領域における高次構造ダイナミクスの調節を示している。反対に、{H}−15N異種核NOEは、大部分が変化ないままであり、速い、サブナノ秒の運動は摂動を受けないことを示している42
野生型ユビキチンのβ1−β2の領域は、サブ50μsの時間スケールで可動的であるとする観察とともにまとめると28、この実施例において観察された線の広幅化は、小規模の高速運動は変化することなく、アポU14Ubのこの領域における大規模なコンフォーメーションダイナミクスの減速を示している。
実施例9:立体構造的に安定化されたユビキチン変異体におけるβ1−β2領域のコンフォーメーションダイナミクス
この実施例では、立体構造的に安定化されたタンパク質のβ1−β2構造モチーフは、野生型ユビキチンのこの領域で観測可能な運動と比較して、ダイナミクスの減速を示すかどうかを調べるために、R分散実験を利用する。
材料と方法
NMR分光法
野生型ユビキチン及びU14Ubについての共鳴アサインメントは、PINE(Bahrami et al., PLoS Comput. Biol. 5, e1000307 (2009))を使用してH−15N HSQC、HNCA、HNCACB及びHNcoCAスペクトルのピーク位置の半自動化分析から得られた。化学シフトは、トリメチルシリルプロピオン酸を基準とした。野生型ユビキチン及びU14Ubに対して、ほとんど完全な主鎖のアサインメントが得られた。E24及びG53のアミド共鳴は全てのタンパク質において観測されない。以下に説明され、図19および図23に示されているように、U14Ubの全ては、化学交換に起因するNMRの共鳴の広幅化を示している。これは、残基間の連結性を確立するためにより高い温度で行われる三重共鳴実験を必要としたU14Ub14で最も顕著である。要約すると、全てのタンパク質において残基24と53に加えて、U14Ub1においては残基9と12は観測されず;U14Ub2においては残基9と73は観測されず;U14Ub14においては残基8−12、41及び72は観測されず;U14Ub24においては残基9と10は観測されない。アミノ酸配列と共に、H、15N、13Cα及び13Cβの化学シフトが、CS−ロゼッタモデルの発生のための入力として用いられた(Shen, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105, 4685-4690 (2008))。各U14Ubについて、最下限エネルギーのCS−ロゼッタモデルは、野生型と区別できない単一のフォールドにに収束した(図24)。全てのNMRデータセットは、ブルカーDRX分光計により18.8Tで、又はブルカーアバンスIII分光計により14.1Tで収集した。NMR実験は24℃で行い、重水素化メタノールに対して較正された(Findeisen, et al., Magn Reson Chem 45, 175-178 (2007))。
H}−15Nの異種核NOE値は、Grzesiek及びBaxの方法に従って決定した(Grzesiek & Bax, J. Am. Chem. Soc. 115, 12593-12594 (1993))。全ての実験における待ち時間(recycle delay)及びH照射時間は、それぞれ5秒と1に設定した。マイクロ秒Rex値は、H’N、H’、H’N’、及びH1ρ測定から抽出し、ここでプライムは緩和遅延の間のスピン・ロックフィールドの存在を表している(Hansen, et al., J. Am. Chem. Soc. 129, 11468-11479 (2007); Hansen et al., J. Am. Chem. Soc. 131, 16257-16265 (2009))。用いられるスピンロック・フィールドは、H及び15Nの周波数において、それぞれ10kHz及び2kHzであった。スピンロッック照射による全ての実験において遅延時間は2msと32msの間であり、照射の無い場合に記録されるHにおいて4及び128msであった。これらの実験の各々は、各面において64のコンプレックス(complex)15Nポイント(points)による疑似3Dとして記録され、9つの緩和遅延時間は、示差試料加熱による潜在的なアーチファクトを軽減するために、インタリーブ方式で記録された。エボリューションカーブ(Evolution curve)は、nmrPipe53を用いてフィットさせ(Delaglio, et al., J Biomol NMR 6, 277-293 (1995))、データ解析はHansen et al. (J. Am. Chem. Soc. 131, 16257-16265 (2009))に従って行った。
より完全に分散曲線をサンプリングするため(Mulder, et al., J. Am. Chem. Soc. 123, 967-975 (2001))、R分散データセットは、2点フィッティングから決定されたR2obsを用いて、Tollinger et al. (J. Am. Chem. Soc. 123, 11341-11352 (2001))の方法論に従って収集した。データセットは、各面及び約15のCPMG周波数において64のコンプレックス(complex)15Nポイント(points)により、インターリーブされた擬似3Dとして収集された。サンプリングされたCPMG周波数は50と950Hzの間であり、2つの周波数がエラー解析のために反復された。結果及び図25に記載される、msのRex対配列のプロットは、50及び950HzのCPMG周波数で決定されたR2obsの違いから導かれた推定値である。R分散曲線は、全てのU14Ubに対して18.8T及び14.1Tで収集された。U14Ub1、2及び14は、GUARDDプログラム(Kleckner & Foster, J Biomol NMR 52, 11-22 (2012))を介してMATLABの中に実装されたカーバー・リチャーズ(Carver-Richards)の式(Richards & Carver, Journal of Magnetic Resonance (1972))に対して適合されるべき十分な分散を持っていた。分散データは、物理的にクラスタ化し、同様の交換挙動を示す残基のグループに対して適合させた(図26)。U14Ub2を除く全てのU14Ubは、交換速度が速く(fast exchange regime);従って状態間の集団と化学シフトの違いは区別することができない。U14Ub1、U14Ub2、及びU14Ub14について決定された交換速度は、それぞれ4700±1200s−1、1250±260s−1、及び1870±190s−1である。U14Ub2の基底状態の集団は99.6±0.05%である。R分散は、より低い温度で調べられたが、データセットは、目的の領域における広幅化の増大に起因して一般には分析に適していなかった。
結果
安定化されたユビキチン変異体が、β1−β2領域では、大規模なコンフォーメーションダイナミクスの減速を示すことを確認するために、そして、これらの運動の性質に対するより深い洞察を提供するために、ミリ秒の時間スケールでの動きに敏感である、R分散実験(ms Rex42、並びにマイクロ秒の時間スケール(μs Rex)における主鎖アミドのダイナミクスを探索するH1ρex測定が行われた43。これらの測定では、Rexの値が高くなると、実験によって探索される時間スケール上での可動的セグメントのコンフォメーション交換が遅くなることを意味する。野生型ユビキチンに存在する運動は大部分が非常に速くms Rexによって観察することができないが44、U14Ubの幾つかは室温で有意なR分散(ms Rex)を示し、最も劇的にはU14Ub14において示した(図19B)。R分散データは、二部位交換モデル(two-site exchange model)によく適合するが42、しかし、U14Ubの大半は速い交換限界にあり、励起状態の集団は、化学シフト変化と分離できないことを意味する。例外は、U14Ub2であり、これは、まばらにしか存在しない励起状態と適合することができる(0.4±0.05%)。三次構造中のβ1−β2ループを囲む領域におけるμs Rexの値は、U14Ubにおいては野生型の対応する位置よりも最大40倍大きく、最も特記すべきはU14Ub2においてである(図19B)。
この実施例は、野生型ユビキチンの運動は、観察するために複雑なRDCベースの分析を必要とするほど高速であるが28、U14Ubのダイナミクスはかなり遅いμs−msの時間スケールに支配されていることを実証する。アポU14Ubの運動が野生型に比べて減速するので、サブ状態の間のエネルギー障壁が増加していることになる。理論に縛られることなく、誘導適合によって支配される結合機構をもたらす経路のコンフォーメーション選択アームを通じた流れ(flux)が低下していると仮定することができる。
実施例10:ポリユビキチン鎖へのU14Ubの組み込み
まとめると、前の例のデータは、基底状態の構造よりもアポ状態のコンフォーメーションダイナミクスを調節することによってU14Ubは親和性の変化を達成することを示している。USP−結合「ダウン」コンフォメーションを安定化するために設計された変異は、コンフォーメーションのサブ状態の間のエネルギー障壁の増加をもたらし、それによって反応サイクルの誘導適合アームを通してU14Ub−USP14相互作用を駆動した(図20A−B)。この実施例の実験は、U14Ubにおけるコンフォーメーションダイナミクスの減速が、ユビキチンプロセシングの他の態様に影響を与えたかどうかを決定することを目的とする。従って、鎖へと構築されるそれらの能力が検証された。
材料と方法
酵母におけるU14Ubの形質転換及び増殖
ガラクトース制御プロモーター上で野生型ユビキチンを発現する、pUB146 URA3標識プラスミドを含む、SUB328(MATa lys2−801 leu2−3、2−112 ura3−52 his3−Δ200 trp1−1 ubil−Δ1::TRP1 ubi2−Δ2::URA3 ubi3Δub−2 ubi4−Δ2::LEU2)コンピテント酵母細胞(Spence, et al., Mol. Cell. Biol. 15, 1265-1273 (1995))は、30℃でYPDRafGal中で増殖させ、ザイモリサーチ凍結−EZ酵母形質転換キットIIを用いて調製された。各U14Ubと野生型ユビキチンは、BglII/Kpn1制限部位を使用して、銅誘導性プロモーター上でYep96 TRP1標識プラスミドにクローニングした(Hanna & Finley, Mol. Cell. Biol. 23, 9251-9261 (2003))。各プラスミドの400ngが、コンピテント細胞とインキュベートし、キットのプロトコルごとに形質転換した。細胞をペレット化し、連続希釈される前にYPDRafGal培地に再懸濁し、Yep96を発現するプラスミドの選択用にドロップがYEPD+5’FOAプレート上に蒔かれた。プレートを、3日間30℃でインキュベートし、画像化した。
Ub14鎖の重合
ユビキチン鎖の重合は以前に記載したように(Dong, et al., Structure 19, 1053-1063 (2011)、100mMのトリス(pH8)、20mMのATP、20mMのMgCl、及び1.2mMのDTT中で行った。各反応は30μMのユビキチン又は変異体、125nMのUBE1、及び1.25μMのCdc34を含んでいた。反応は20時間37℃で進行させ、次いで還元性SDSローディング緩衝液中で消光させ、18%のトリス−グリシンSDS−PAGEを介して視覚化した。
結果
U14UBは、野生型ユビキチンと類似の程度にUBE1及びCdc34によってLys48結合型鎖に構築され(図32)、β1−β2周りの変異は、ユビキチンシグナル伝達を全体的に中断することなく、DUBの相互作用に影響を及ぼし得ることを示唆している。興味深いことに、U14Ubは、増殖に必要な唯一の鎖結合であるLys48−結合型鎖へとプロセスされるにもかかわらず、酵母においてインビボでの増殖を支持することができない(図20C)。
この実施例では、コンフォーメーションのエネルギーランドスケープの摂動は、どのようにして生体内での劇的な結果をもたらすことができるのかを初めて明らかにする。従って、多様なグループの結合パートナーと相互作用する能力を維持するのに必要な、見事に調整されたユビキチンのコンフォーメーションの可塑性は、真核生物におけるその広範囲の保存に密接に連結される。
結論
要約すると、ファージディスプレイは、ランダム又は標的化突然変異誘発と併用して、足場と目的の標的との親和性を向上させる表面の変異を選択するための有効な手法であるが、これらのアプローチは、コンフォメーション特異的効果を選択するために、ダイナミックスを偶然に利用することができるけれども、通常、タンパク質−タンパク質相互作用の際のダイナミクスとコンフォメーション変化の影響を無視している18。柔軟な標的を所与の状態に「固定する」小分子を使用する方法が最近記述されており、特定のコンフォメーションに結合する抗体を操作することを可能としている。しかし、これは、タンパク質のコンフォメーションの平衡状態に影響を与える化学的ツールの存在を前提としている。これらの研究は、配列多様性の方法が、所望のコンフォーメーションを好む配列を意図的に発見するために使用されている最初の例を表すと考えられている。
タンパク質のコアに変異を導入し高い親和性相互作用を選択することにより、コンフォメーションディスプレイは標的のアポ状態のエントロピーの減少を暗に促進する。巨大分子の結合は、しばしば特定のコンフォーメーションを締め出すので、アポ状態のエントロピーの減少は、複合体形成の際に小さなエントロピーペナルティへとつながる。これは最初のパニングで見いだされた分子内ジスルフィド結合型U7Ubクローンの優勢から明らかである(図1B)。特記すべきは、ジスルフィドによる安定化は、柔軟なねじれを持つ小分子は、嵩高い基の添加、不飽和化、又は環化によりより剛性にされる、医薬品化学で一般的に使用される戦略を連想させる19。タンパク質は一般的に小分子よりもより多くの自由度を有し、その主鎖の柔軟性の決定要因はあまり良く確定されていないので、コンフォメーションディスプレイは、高親和性相互作用を促進するための柔軟性を低下させる埋没アミノ酸の組み合わせを見いだすために多くの配列を効率的にスクリーニングする。
更に、治療に関連したUSP−及びUCH型脱ユビキチン化酵素との相互作用に影響を与えるユビキチンの機能的なコンフォメーションが同定されており、USP14に対する親和性を高め、他のDUBとの親和性を減少させるために、これらの状態を連結するエネルギーランドスケープが調節されている。これは、これらは、タンパク質界面におけるコンホメーションの運動に影響を与える第一の機能獲得型変異を表すと考えられている。
実施例11:U7Ub25について第二世代の親和性成熟
U7Ub7のアポ構造は、C末端領域は、表面相互作用によってUSP7への結合に関与している可能性があることを示唆している。従って、表面残基の更なる成熟がこの領域で実行された。
材料と方法
親和性成熟及びスポットファージELISAは上記のように行った。第二世代の親和性成熟ライブラリーは、ドーピングコドンを用いた表面残基Q40、R42、A46、G47、Q49、Q62、E64、S65、T66、H68、V70及びR72のソフトランダム化(各アミノ酸において約50%の突然変異率)及びNNKコドンを使用したR72−G76のC末端残基のハードランダム化を組み合わせることによって設計された。停止鋳型(stop template)(34−36及び69−76の領域で2つの停止コドンを含有するp8U7Ub25の一本鎖DNA)は、〜2×1010のユニークなメンバーが含まれるライブラリーを構築するために使用された。ライブラリーはUSP7catC223Aに対して4ラウンド繰り返され、61個のユニークなバインダーが同定された。
結果
10個のクローンは、スポットファージ競合ELISA(データ非表示)によって20nMの範囲のIC50を示し、更なる特徴付けのために選択された(図33)。10個のクローンのうち5つが発現され、タンパク質として精製し、親和性は、hisタグ付けしたU7Ubの段階希をUSP7catC223Aを固定化したプレートにアプライされるELISAを使用してランク付けし、結合したU7Ubは抗His−HRPを用いて検出した。図34に示すように、親和性成熟型U7Ub25の第一世代であるU7Ub25.2540と比較すると、第二世代のU7Ub25変異体の全ては結合親和性の改善を示した。最強のバインダー、U7Ub25.216は、U7Ub25.2540に比較すると、約100倍の親和性の改善を有するように見えた。
前述の発明は、理解を明確にするために説明と実施例によって少し詳細に説明してきたが記述及び実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照することによりその全体が援用される。
参考文献
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配列
配列番号1−−野生型ユビキチン
MQIFVKTLTGKTITLEVEPSDTIENVKAKIQDKEGIPPDQQRLIFAGKQLEDGRTLSDYNIQKESTLHLVLRLRGG

Claims (27)

  1. 配列番号1の7、8、13、34、36、69、及び71からなる群から選択される一又は複数の位置でのアミノ酸置換を含む、立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質であって、
    i.ユビキチンタンパク質が、(a)アミノ酸位置7にてシステイン、又はアミノ酸位置8にてシステイン、及び(b)アミノ酸位置69にてシステインを含み;又は
    ii.ユビキチンタンパク質が、アミノ酸位置7にてG、D、F、R、又はS;アミノ酸位置8にてA、G、Q、R、又はY;アミノ酸位置13にてR、Y、E、又はP;アミノ酸位置34にてI、L、又はT;アミノ酸位置36にてL、Y、A、又はN;アミノ酸位置69にてA、G、W、K、Y、又はI;及びアミノ酸位置71にてA、Q、R、又はGを含み;
    タンパク質のβ1/β2ループ領域が、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、より遅いコンフォーメーションダイナミックスを示す、ユビキチンタンパク質。
  2. β1/β2ループの周辺領域のマイクロ秒Rex値は、NMRのR分散によって測定される場合、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、最大40倍大きい、請求項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質。
  3. 立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)ファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合の増加を示す、請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質。
  4. 立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、ナノモル領域でのKdで脱ユビキチン化酵素に結合する、請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質。
  5. 立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型タンパク質よりも少なくとも1000倍高い親和性で脱ユビキチン化酵素に結合する、請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質。
  6. 立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、脱ユビキチン化酵素の活性を阻害する、請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質。
  7. 立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質は、野生型ユビキチンタンパク質と比較して、ユビキチンC末端加水分解酵素(UCH)ファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合の減少あるいは消失を示す、請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質。
  8. 請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質をコードする核酸。
  9. 請求項に記載の核酸を含むベクター。
  10. ベクターが発現ベクターである、請求項に記載のベクター。
  11. 請求項に記載の核酸又は請求項又は10に記載のベクターを含む細胞。
  12. 細胞は、動物細胞、細菌細胞、昆虫細胞、線虫細胞、及び酵母細胞からなる群から選択される、請求項11に記載の細胞。
  13. 動物細胞は、ヒト細胞又は非ヒト細胞である、請求項12に記載の細胞。
  14. 請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質及びUSPファミリーのメンバーの脱ユビキチン化酵素を含むタンパク質複合体。
  15. 脱ユビキチン化酵素がUSP7、USP5、又はUSP14である、請求項14に記載のタンパク質複合体。
  16. 脱ユビキチン化酵素がUSP7である、請求項14に記載のタンパク質複合体。
  17. 請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の一又は複数、及び前記立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質の一又は複数に共有結合で連結した少なくとも1のタンパク質を含むタンパク質複合体
  18. 請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を、表面上に固定化して含む固体支持体。
  19. 固体支持体は、表面プラズモン共鳴に適した表面である、請求項18に記載の固体支持体。
  20. 固体支持体は、ナノ粒子、ビーズ、又はガラスである、請求項19に記載の固体支持体。
  21. 細胞の表面上に発現された、請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質を含む細胞の集団。
  22. 請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と脱ユビキチン化酵素をヒトを除くインビボ又はインビトロで接触させることを含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素を阻害する方法。
  23. a)請求項1からの何れか一項に記載の立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質と薬剤を接触させること;及び
    b)薬剤が前記立体構造的に安定化されたユビキチンタンパク質に結合するかどうかを決定すること
    を含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素への結合に好適であるユビキチンタンパク質の立体構造形態に結合する薬剤を同定する方法。
  24. 薬剤は、小分子化学化合物、抗体、タンパク質、阻害性核酸、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項23に記載の方法。
  25. a)請求項14から16の何れか一項に記載のタンパク質複合体と薬剤を接触させること;及び
    b)薬剤が前記タンパク質複合体に結合できるかどうかを決定すること
    を含む、USPファミリーの脱ユビキチン化酵素及びユビキチンを含むタンパク質複合体に結合する薬剤を同定する方法。
  26. 薬剤は、小分子化学化合物、抗体、タンパク質、阻害性核酸、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項25に記載の方法。
  27. 薬剤は脱ユビキチン化酵素とユビキチンタンパク質間の相互作用を破壊する、請求項25に記載の方法。
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