JP6198332B2 - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents
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Description
(1)
着色剤として、下記式(1)で表される色素又はその塩、若しくはそれらの混合物、及び、実質的に水に不溶性の色素の両者を含有するインク組成物。
R1、R2、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;ホスホ基;ニトロ基;ウレイド基;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、及びアルコキシ基から選択される基で置換されたアルキル基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アシル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;スルホ基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたN−アルキルアミノスルホニル基;アルキルスルホニル基;スルホ基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたアルキルスルホニル基;アシルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表す。
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;ヒドロキシ基、及びアルコキシ基から選択される基で置換されたアルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルチオ基;スルホ基、及びカルボキシ基から選択される基で置換されたアルキルチオ基;アシルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表す。
nは0または1の整数を表す。]
(2)
さらに、少なくとも1種類の分散剤を含有する上記(1)に記載のインク組成物。
(3)
分散剤の重量平均分子量が3000〜50000である上記(2)に記載のインク組成物。
(4)
R1乃至R7のうち、5つ以上がイオン性親水性基である上記(1)に記載のインク組成物。
(5)
R1乃至R7のうち、3つ以上がイオン性親水性基である、請求項1又は4に記載のインク組成物。
(6)
イオン性親水性基が、スルホ基、及びカルボキシ基から選択される任意の基である上記(4)又は(5)に記載のインク組成物。
(7)
式(1)において、
R1及びR2が、それぞれ独立に、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;及びヒドロキシ基;よりなる群から選択される基;であり、
R3及びR4が、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシ基;スルホ基;スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたアルコキシ基;及び、スルホ基、及びカルボキシ基から選択される基で置換されたアルキルチオ基;であり、
R5乃至R7が、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基;及びアルコキシ基;よりなる群から選択される基であり、
nが1である、
上記(1)に記載のインク組成物。
(8)
式(1)において、
R1がカルボキシ基、又はスルホ基であり、
R2が水素原子であり、
R3がスルホ基であり、
R4が水素原子であり、
R5が水素原子、カルボキシ基又はスルホ基であり、
R6がカルボキシ基又はスルホ基であり、
R7が水素原子であり、
nが1である、上記(1)に記載のインク組成物。
(9)
インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量が、3質量%以上15質量%以下である上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(10)
インク組成物が含有する着色剤の総量中、実質的に水に不溶性の色素の含有量が50質量%以上90質量%以下である上記(1)乃至(9)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(11)
さらに水溶性有機溶剤を含有する上記(1)乃至(10)いずれか一項に記載のインク組成物。
(12)
インクジェット記録に用いる上記(1)乃至(11)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(13)
上記(1)乃至(12)のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
(14)
被記録材が情報伝達用シートである上記(13)に記載のインクジェット記録方法。
(15)
情報伝達用シートが普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである上記(14)に記載のインクジェット記録方法。
(16)
上記(13)乃至(15)のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
(17)
上記(1)乃至(11)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子がより好ましい。
これらのアルコキシ基は、いずれも、上記「R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7におけるアルコキシ基」と具体例、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。その具体例としては、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシ−n−プロポキシ、ヒドロキシ−n−ブトキシ等の、ヒドロキシアルコキシ基;メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、メトキシ−n−プロポキシ、メトキシ−n−ブトキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ、エトキシ−n−プロポキシ、エトキシ−n−ブトキシ、(n−プロポキシ)メトキシ、(n−プロポキシ)エトキシ、(n−プロポキシ)−n−プロポキシ、(n−プロポキシ)−n−ブトキシ、(n−ブトキシ)メトキシ、(n−ブトキシ)エトキシ、(n−ブトキシ)−n−プロポキシ、(n−ブトキシ)−n−ブトキシ、イソプロポキシメトキシ、イソプロポキシエトキシ、イソプロポキシ−n−プロポキシ、イソプロポキシ−n−ブトキシ、(tert−ブトキシ)メトキシ、(tert−ブトキシ)エトキシ、(tert−ブトキシ)−n−プロポキシ、(tert−ブトキシ)−n−ブトキシ等の、アルコキシアルコキシ基;スルホメトキシ、スルホエトキシ、スルホ−n−プロポキシ、スルホ−n−ブトキシ等のスルホアルコキシ基;カルボキシメトキシ、カルボキシエトキシ、カルボキシ−n−プロポキシ、カルボキシ−n−ブトキシ等のカルボキシアルコキシ基;等が挙げられる。これらの中では、スルホ−n−プロポキシ、スルホ−n−ブトキシ、カルボキシ−n−プロポキシ、カルボキシ−n−ブトキシが好ましく、スルホ−n−プロポキシ、スルホ−n−ブトキシがより好ましい。
アルキルカルボニル基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。アルキル部分の炭素数は、C1−C4が好ましい。その具体例としては例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
上記の中では、アルキルカルボニル基、フェニルカルボニル基が好ましく、メチルカルボニル基がより好ましい。
上記の群から選択される基が置換する位置は特に制限されない。置換する基の数は特に制限されないが通常1つ乃至3つ、好ましくは1つである。
その具体例としては、N−スルホメチルアミノスルホニル、N−(2−スルホエチル)アミノスルホニル、N−(3−スルホ−n−プロピル)アミノスルホニル、N−(4−スルホ−n−ブチル)アミノスルホニル等のスルホアルキルアミノスルホニル基;N−カルボキシメチルアミノスルホニル、N−(2−カルボキシエチル)アミノスルホニル、N−(3−カルボキシ−n−プロピル)アミノスルホニル、N−(4−カルボキシ−n−ブチル)アミノスルホニル等のカルボキシアルキルアミノスルホニル基;N−ヒドロキシメチルアミノスルホニル基、N−(2−ヒドロキシエチル)アミノスルホニル、N−(3−ヒドロキシ−n−プロピル)アミノスルホニル、N−(4−ヒドロキシ−n−ブチル)アミノスルホニル等のヒドロキシアルキルアミノスルホニル基;等が挙げられる。これらの中では、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されたものが好ましく、具体例の中ではN−(2−スルホエチル)アミノスルホニル、N−(2−カルボキシエチル)アミノスルホニルが好ましい。
上記の軍から選択される基が置換する位置は特に制限されない。置換する基の数は特に制限されないが通常1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つである。
その具体例としては、スルホメチルスルホニル、2−スルホエチルスルホニル、3−スルホ−n−プロピルスルホニル、4−スルホ−n−ブチルスルホニル等のスルホアルキルスルホニル基;カルボキシメチルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシ−n−プロピルスルホニル、4−カルボキシ−n−ブチルスルホニル等のカルボキシアルキルスルホニル基;ヒドロキシメチルスルホニル、2−ヒドロキシエチルスルホニル、3−ヒドロキシ−n−プロピルスルホニル、4−カルボキシ−n−ブチルスルホニル等のヒドロキシアルキルスルホニル基;等が挙げられる。これらの中では、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されたものが好ましい。また、具体例の中では2−スルホエチルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニルが好ましい。
上記のうち、アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ等の直鎖のアルキルカルボニルアミノ基;イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ等の分岐鎖のアルキルカルボニルアミノ基;が挙げられる。これらの中では直鎖のものが好ましい。
これらの中ではメチルカルボニルアミノ、及びフェニルカルボニルアミノから選択される基が好ましい。
その具体例としては、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ等の直鎖のアルキルスルホニルアミノ基;イソプロピルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ等の分岐鎖のアルキルスルホニルアミノ基;等が挙げられる。これらの中では直鎖のものが好ましい。また、具体例の中ではメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノが好ましい。
上記の群から選択される少なくとも1種類の基が置換する位置は特に制限されない。置換する基の数は特に制限されないが通常1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つである。
ハロゲン原子としては、上記「R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7におけるハロゲン原子」と具体例、好ましいもの、より好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
アルキル基としても同様に、上記「R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7におけるアルキル基」と具体例、好ましいもの、より好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
上記の群より選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基の具体例としては、2−クロロフェニルスルホニルアミノ、3−クロロフェニルスルホニルアミノ、4−クロロフェニルスルホニルアミノ、2−ブロモフェニルスルホニルアミノ、4−フルオロフェニルスルホニルアミノ等のハロゲン原子で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;2−メチルフェニルスルホニルアミノ、3−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、2−エチルフェニルスルホニルアミノ、3−(n−プロピル)フェニルスルホニルアミノ、4−(n−ブチル)フェニルスルホニルアミノ等のアルキル基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;2−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−ニトロフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ等のニトロ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;等が挙げられる。これらの中ではアルキル基で置換されたものが好ましい。また、具体例の中では4−メチルフェニルスルホニルアミノがより好ましい。
その具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオといった直鎖のもの;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオといった分岐鎖のもの;等が挙げられる。具体例の中ではメチルチオが好ましい。
R1及びR2としてより好ましいものは、いずれか一方が水素原子又はスルホ基であり、他方がカルボキシ基、スルホ基又はアルコキシ基の場合であり、さらに好ましくは、いずれか一方が水素原子で、他方がカルボキシル基又はスルホ基の場合である。
これらの中では、R1がカルボキシ基、又はスルホ基であり、R2が水素原子であるのが特に好ましい。
R3及びR4としてより好ましいものは、一方がスルホ基、カルボキシ基、又はスルホアルコキシ基であり、他方が水素原子、スルホ基又はアルキル基の場合であり、さらに好ましくは、一方がスルホ基で他方が水素原子の場合である。
これらの中では、R3がスルホ基であり、R4が水素原子であるのが特に好ましい。
R5、R6及びR7として好ましいものは、いずれか1つがハロゲン原子、スルホ基、カルボキシ基、又はアルコキシ基の場合であり、これらの中ではスルホ基がより好ましい。
これらの中では、R5が水素原子、カルボキシ基又はスルホ基であり、R6がカルボキシ基又はスルホ基であり、R7が水素原子であるのが特に好ましい。
上記式(1)で表される色素の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
実質的に水に不溶性の色素とは、25℃において、100部の水に対する色素の溶解量が通常2g以下、好ましくは1g以下、より好ましくは0.1g以下の色素を意味する。
実質的に水に不溶性の色素としては、例えば分散染料及び顔料等が挙げられる。これらの中では顔料が好ましく、黒色の顔料がより好ましく、カーボンブラックがさらに好ましい。カーボンブラックを含有することにより、高い発色性を実現できる上、耐湿性、耐水性、耐オゾンガス性等の各種堅牢性を格段に向上することができる。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等を挙げることができる。当該カーボンブラックの具体例としては、例えばRaven760ULTRA、Raven780ULTRA、Raven790ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven1080ULTRA、Raven1170、Raven1190ULTRA II、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500ULTRA、Raven3500、Raven5000ULTRA II、Raven5250、Raven5750、Raven7000(コロンビア・カーボン社製);Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Regal1330R、Regal1400R、Regal1660R、Mogul L(キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、 Printex 140U、 Printex 140V、 SpecIal Black 4、SpecIal Black 4A、SpecIal Black 5、Special Black 6(デグサ社製);MA7、MA8、MA100、MA600、MCF−88、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300(三菱化学社製);及び、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。なお、本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。
また、上記インク組成物が含有する着色剤の総質量中における、実質的に水に不溶性の色素の含有量は通常50%以上90%以下、好ましくは60%以上80%以下である。
調色用色素の色相は特に制限されないが、例えば、イエロー(例えばC.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー161等);オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ29、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ49等);ブラウン、スカーレット(例えばC.I.ダイレクトレッド89等);レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド84、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド226等);マゼンタ(例えばC.I.ダイレクトレッド227等);バイオレット、ブルー、ネイビー、シアン(例えばC.I.ダイレクトブルー199、C.I.アシッドブルー249等);グリーン(例えばアシッドグリーン1);ブラック(例えばC.I.アシッドブラック2);等の種々の色相を有する色素が挙げられる。
上記水性インク組成物の調整において用いられる水溶性有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C6アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,2−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4アルキルエーテル;γーブチロラクトン;及び、ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
これらの中では、環式尿素類、ポリオール(トリオール)、C2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコールが好ましい。
上記の具体例の中では2−ピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,2−へキシレングリコールが好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリールアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール等のアセチレングリコール系;等が挙げられる。
また、上記インク組成物の製造においては、実質的に水に不溶性の色素の分散液を調製し、これと、他の各成分とを混合してインク組成物を調製するのが好ましい。
また、分散液の調製後に、濾過及び/又は遠心分離等により、ビーズ等を除去するのとともに、目的とする平均粒径からの乖離が大きい色素を除去することも好ましく行われる。
また、黒色着色分散液を調製時に泡たち等を生じるときは、これを抑える目的で、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量添加してもよい。但し、消泡剤には、カーボンブラックの分散や微粒子化を障害するものもあり、分散や分散後の安定性に影響を及ぼさないものを適宜使用するのが好ましい。
また、必要に応じインク組成物の調製後に、メンブランフィルター等を用いて精密濾過を行って、インク組成物中の夾雑物を除いてもよい。特に、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合には、精密濾過を行うことが好ましい。
精密濾過に使用するフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは0.8μm〜0.1μmである。
インクジェット記録を行うときのインクノズル、及びプリンタの吐出方式等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させるドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力によりインクを吐出させるサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式;等のいずれの方式をも用いることができる。
なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数吐出させる方式;実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び、無色透明のインクを用いる方式;等も含まれる。
上記の物質としては、上記インク組成物により着色される物質であれば特に制限されない。その一例としては、例えば、紙、フィルム等の情報伝達用シート;繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等);皮革;及び、カラーフィルター用基材;等が挙げられる。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが挙げられる。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること;多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工すること;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。その市販品としては、例えば、ピクトリコ(旭硝子株式会社製);プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー、光沢ゴールド、プラチナグレード(いずれもキヤノン株式会社製);写真用紙(光沢)、フォトマット紙、写真用紙クリスピア(高光沢)(いずれもセイコーエプソン株式会社製);プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙、アドバンストフォトペーパー(いずれも日本ヒューレット・パッカード株式会社製);フォトライクQP(コニカ株式会社製)、画彩写真仕上げPro(富士フイルム株式会社製)等が挙げられる。
また、インク受容層を有しない被記録材としては、普通紙、上質紙、コート紙等が挙げられる。
上記インクジェット記録方法では、上記の黒色インク組成物の他に、公知のマゼンタインク組成物、シアンインク組成物、イエローインク組成物、及び、必要に応じてグリーンインク組成物、ブルー(又はバイオレット)インク組成物及びレッド(又はオレンジ)インク組成物と併用することができる。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その容器を、上記インク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定の位置に装填することにより、インクジェット記録を行うことができる。
また、上記インク組成物は長期間保存後の固体の析出、物性変化、色相変化等もなく、保存(貯蔵)安定性が極めて良好である。
上記インク組成物はインクジェット記録用、筆記具用として用いられ、特にインクジェットインクとして使用しても、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体の析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもない。
また、上記インク組成物は、連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用するとき;又は、オンデマンド式インクジェットプリンタにより断続的に使用するとき;のいずれにおいても、物理的性質の変化を起こさない。
さらに、上記インク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性、特に耐水性、耐オゾンガス性が良好である。この理由から、写真調の画像の長期保存安定性にも優れている。
また、従来のインクと比較して、普通紙上での彩度、明度、及び印字濃度等の発色性、演色性、特に近赤外光領域のセンサー対応特性および発色性の高さにも優れる。
また、下記の各式において、スルホ及びカルボキシ等の酸性官能基は、遊離酸の形で表記した。
ジョンクリル678(MW:8500)4.2部、及びトリエタノールアミン2.4部をイオン交換水65.4部に溶解し、一時間撹拌した。得られた溶液にC.I.ピグメントブラック7(28部)を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行った。得られた分散液にイオン交換水100部を滴下した後、この液を濾過することにより、実質的に水に不溶性の色素の含有量が14.4%、平均粒径83nmである分散液を得た。これを「分散液1」とする。
なお、平均粒径の測定には、動的光散乱式粒径分布測定装置、LB−500、株式会社堀場製作所製を用いた。
[実施例1及び2]
下記表4に記載の各成分を混合し、おおよそ1時間攪拌した後、0.80μmのメンブランフィルター(商品名、セルロースアセテート系濾紙、アドバンテック社製)で濾過することにより、評価試験用の実施例1及び実施例2のインク組成物を調製した。
下記式(3)で表される色素の代わりに、C.I.Direct Black 19を用いる以外は実施例2と同様にして、比較用のインク組成物を調製した。これを比較例1とする。
[比較例2]
下記式(3)で表される色素の代わりに、C.I.Acid Black 2を用いる以外は実施例2と同様にして、比較用の黒色インクを調製した。これを比較例2とする。
DB19:C.I.ダイレクトブラック19。
AB2:C.I.アシッドブラック2。
DEGMBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル。
防腐剤:ArchChemicals社製、商品名プロキセルGXL(S)。
界面活性剤:日信化学株式会社製、商品名サーフィノール440。
上記の各実施例、及び比較例のインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX−105)により、下記の被記録材にインクジェット記録を行った。
普通紙1:日本製紙株式会社製、Npi70。
普通紙2:王子製紙株式会社製、OKH−Jオフ。
インクジェット記録は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%濃度の10段階の階調の画像パターンが得られるように行い、濃黒色〜淡黒色のグラデーションの記録物を得た。得られた各記録物を24時間自然乾燥し、これらを試験片とし、以下の発色性評価試験を実施した。
各試験片の発色性(印字濃度:OD)を、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて測定した。測色は、いずれも光源にD50、濃度基準にANSIA、視野角2°の条件で行なった。
測定値を結果を下記表5に示す。
Claims (17)
- 着色剤として、下記式(1)で表される色素又はその塩、若しくはそれらの混合物、及び、カーボンブラックの両者を含有するインク組成物。
R1、R2、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;ホスホ基;ニトロ基;ウレイド基;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、及びアルコキシ基から選択される基で置換されたアルキル基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アシル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;スルホ基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたN−アルキルアミノスルホニル基;アルキルスルホニル基;スルホ基、カルボキシ基、及びヒドロキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたアルキルスルホニル基;アシルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表す。
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;ヒドロキシ基、及びアルコキシ基から選択される基で置換されたアルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルチオ基;スルホ基、及びカルボキシ基から選択される基で置換されたアルキルチオ基;アシルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表す。
nは0または1の整数を表す。] - さらに、少なくとも1種類の分散剤を含有する請求項1に記載のインク組成物。
- 分散剤の重量平均分子量が3000〜50000である請求項2に記載のインク組成物。
- R1乃至R7のうち、5つ以上がイオン性親水性基である請求項1に記載のインク組成物。
- R1乃至R7のうち、3つ以上がイオン性親水性基である、請求項1又は4に記載のインク組成物。
- イオン性親水性基が、スルホ基、及びカルボキシ基から選択される任意の基である請求項4又は5に記載のインク組成物。
- 式(1)において、
R1及びR2が、それぞれ独立に、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;及びヒドロキシ基;よりなる群から選択される基;であり、
R3及びR4が、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシ基;スルホ基;スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたアルコキシ基;及び、スルホ基、及びカルボキシ基から選択される基で置換されたアルキルチオ基;であり、
R5乃至R7が、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基;及びアルコキシ基;よりなる群から選択される基であり、
nが1である、
請求項1に記載のインク組成物。 - 式(1)において、
R1がカルボキシ基、又はスルホ基であり、
R2が水素原子であり、
R3がスルホ基であり、
R4が水素原子であり、
R5が水素原子、カルボキシ基又はスルホ基であり、
R6がカルボキシ基又はスルホ基であり、
R7が水素原子であり、
nが1である、請求項1に記載のインク組成物。 - インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量が、3質量%以上15質量%以下である請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インク組成物が含有する着色剤の総量中、カーボンブラックの含有量が50質量%以上90質量%以下である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物。
- さらに水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至10いずれか一項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録に用いる請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
- 被記録材が情報伝達用シートである請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 情報伝達用シートが普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである請求項14に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴が付着した着色体。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器を有するインクジェットプリンタ。
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