JP6197829B2 - 表面実装インダクタ - Google Patents
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この様な状況の中、従来の表面実装インダクタは、外部端子104が成形体102の5つの面に形成されているため、上面に形成された外部端子がシールド板と接触するという問題があった。この様な問題を解決するために、外部端子をL字状に形成することが行われる(例えば、特開2013−98282号公報、特開2013−98283号公報)。しかしながら、この様な従来の表面実装インダクタは、外部端子が成形体の端面や側面にも形成されているために、端面や側面に形成された外部電極が周囲の電子部品の外部電極と接触したり、表面実装インダクタを電子機器の基板に実装し、回路パターンに半田付けした際に、はんだフィレットが形成されて隣接する電子部品との間にはんだブリッジが発生したりしてショートする可能性があった。
従って、従来の表面実装インダクタは、電子部品が高密度で実装される電子機器に用いることができなかった。
従って、本発明の表面実装インダクタは、成形体の底面以外に外部端子が形成されることがなく、しかも底面に隣接する面に外部端子が露出することがないので、外部端子がシールド板や周囲の電子部品の外部電極と接触したり、電子機器の基板の回路パターンに半田付けした際に、はんだフィレットが形成されたりすることがない。
図1は本発明の表面実装インダクタの実施例を示す斜視図、図2は本発明の表面実装インダクタの第1の実施例で使用されるコイルの斜視図である。
図1、図2において、11はコイル、12は成形体である。
コイル11は、導線をその両端部が外周に位置するように2段の外外巻きに巻回した巻回部11aと、巻回部11aから引き出された引き出し端部11bを備えた空芯コイルが形成される。導線は断面が平角状の平角線が用いられる。引き出し端部11bは、巻回部11aの同側面から引き出され、巻回部11aの底面側に一度折り曲げた後、先端部が巻回部11aの底面と平行に巻回部11aから離れる方向に延在する様に折り曲げられる。これにより引き出し端部11bに段差が形成される。
成形体12は、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、その巻軸が実装面と垂直になる様にコイル11を内包する様に形成される。封止材としては、磁性材料として例えば鉄系の金属磁性粉末を、樹脂として例えばエポキシ樹脂をそれぞれ用い、これらを混合したものが用いられる。この成形体12の実装面には、コイル11の引き出し端部11bの先端部の表面が露出する。この時、コイル11の巻回部11aの底面から引き出し端部11bの先端部の成型体12の実装面に露出する面までの距離Aと、コイル11の巻回部11aの上面から成形体12の上面までの距離Bが同じになる様に形成される。また、成形体12の実装面には、このコイル11の引き出し端部11bの先端部の表面を覆い、かつ、実装面のいずれの辺からも離間して1対の外部端子14が形成され、それぞれコイル11の引き出し端部11bと接続される。
次に、コイル11の上面を下にした状態で、図4に示す様に、巻回部11aの空芯部分をタブレット13の凸部13aに挿入し、引き出し端部11bの先端部を壁部13bの上面に配置することにより、コイル11をタブレット13内に収納する。この時、コイル11の巻回部11aとタブレット13の内底面間には空間が形成される。
続いて、図5(A)に示す様に、このコイル11が収納されたタブレット13を成型金型50内に配置する。成型金型50は、本実施例では、第1の上型51a、第2の上型51b、下型52を有し、これらを組み合わせることによりキャビティが形成されるものを用いた。また、タブレット13は、壁部13bの上面が上に向いた状態で金型内に配置される。
さらに、図5(B)に示す様に、この成型金型50のキャビティにパンチPをセットし、加熱した状態で圧縮することにより、タブレットのスペースに封止材を充填すると共に、磁性材料の密度を上昇させてコイル11が埋設された成形体12が形成される。この成形体12のパンチPが接する面には、コイル11の引き出し端部11bの先端部の表面が露出する。このとき、コイル11の引き出し端部11bの先端部は、その表面が成形体12の表面と同一面に位置した状態で成形体12のパンチPが接する面の幅方向に延在する。なお、コイル11が収納されたタブレット13を成型金型50内に配置する際に、成型金型50を封止材の軟化温度以上に予熱しておいてもよい。
次に、得られた成形体12を成形金型50より取り出し、成形体12の表面に露出するコイル11の引き出し端部11bの先端部の表面の絶縁被膜を剥離した後、図5(C)に示す様に、成形体12のコイル11の引き出し端部11bの先端部が露出した面に外部端子14が形成される。外部端子14は、コイル11の引き出し端部11bの先端部の表面を覆った状態で、成形体12の幅方向に延在し、両端が隣接する面に露出しない様に成形体12の幅方向の長さよりも短く形成される。この時、外部端子14は、成形体12に銀等の導電材料を用いて下地電極を形成し、これにニッケルと錫を含有する導電材料によりメッキを施して形成すると良い。
この様に形成された成形体12は、外部端子14が形成された面が底面として用いられ、この面が電子機器の基板等に実装され、外部端子14が基板等の配線にはんだ付けされる。
コイル61は、断面が平角状の絶縁被覆が施された導線を、幅広面が巻軸と垂直な状態で巻回した巻回部61aと巻回部61aから引き出された1対の引き出し端部61bを備えた空芯コイルが形成される。1対の引き出し端部61bは、巻回部61aから巻軸と垂直な方向に互いに平行に延在する様に引き出され、巻回部61aの底面側に一度折り曲げた後、先端部が巻回部61aの底面と平行になる様に折り曲げられる。これにより引き出し端部61bに段差が形成される。
タブレット63は、樹脂と磁性材料を混合した封止材を用いて、図7に示す様に、平板上にコイルの巻軸を挿入するための凸部63aと凸部63aの周囲に位置する壁部63bを設け、コイル61を収納するための有底のスペースを有する形状に予備成形して形成される。この時、壁部63bは部分的に高さの高い部分63b1を有する様に形成され、タブレット63の内底面から壁部の高い部分63b1の上面までの距離が、コイル61の引き出し端部61bの先端部の上面から巻回部61aの上面までの距離と同じになる様に形成される。また、タブレット63の内底面から壁部63bの高さの高い部分以外の部分の上面までの距離と、タブレット63の内底面から凸部63aの上面までの距離は、巻回部61aの高さと同じに形成される。
コイル61は、上面を下にした状態で、図8(A)に示す様に、巻回部61aの空芯部分をタブレット63の凸部63aに挿入し、引き出し端部61bの先端部を壁部の高い部分63b1の上面に配置することにより、タブレット63内に収納される。この時、コイル61の巻回部61aとタブレット63の内底面は接触した状態となる。このタブレット63の開口面に、タブレット63と同じ材料を用い、図8(B)に示す様に、壁部の高い部分63b1以外の部分を覆うことができる大きさに形成された板状のタブレット65を配置する。この時、板状のタブレット65の厚みは、後述の成型金型で成型する際に、コイル61の巻回部61aの底面から引き出し端部61bの先端部の表面までの距離と、コイル61の巻回部61aの上面から成形体の上面までの距離が同じになる様に、圧縮する分だけコイル11の引き出し端部11bの先端部の上面から巻回部11aの上面までの距離よりも大きく形成される。
このコイル61が内部に収納されたタブレット63、65は、図9(A)に示す様に、タブレット65が上に位置する状態で、第1の上型91a、第2の上型91b、下型52を有し、これらを組み合わせることによりキャビティが形成される成型金型90内に配置される。
この成型金型90のキャビティにパンチPをセットし、加熱した状態で圧縮してタブレット63とタブレット65を一体化し、タブレットのスペースに封止材を充填すると共に、磁性材料の密度を上昇させることにより、コイル61を内包する成形体62が形成される。この成形体62のパンチPが接する面には、図9(B)に示す様に、コイル61の引き出し端部61bの先端部の表面が露出する。このとき、コイル61の引き出し端部61bの先端部は、その表面が成形体62の表面と同一面に位置した状態で成形体62のパンチPが接する面の幅方向に延在する。なお、コイル61が収納されたタブレット63、65を成型金型90内に配置する際に、成型金型90を封止材の軟化温度以上に予熱しておいてもよい。
この様にして得られた成形体62を成形金型90より取り出し、成形体62の表面に露出するコイル61の引き出し端部61bの先端部の表面の絶縁被膜を剥離した後、図9(C)に示す様に、成形体62のコイル61の引き出し端部61bの先端部が露出した面に外部端子64が形成される。外部端子64は、コイル61の引き出し端部61bの先端部の表面を覆った状態で、成形体62の幅方向に延在し、両端が隣接する面に露出しない様に成形体62の幅方向の長さよりも短く形成される。この時、外部端子64は、成形体62に銀等の導電材料を用いて下地電極を形成し、これにニッケルと錫を含有する導電材料によりメッキを施して形成すると良い。
この様な成形体62は、外部端子64が形成された面が底面として用いられ、この面が電子機器の基板等に実装され、外部端子64が基板等の配線にはんだ付けされる。
さらに、第1の実施例において、タブレットの開口面に、コイルの引き出し端部の先端部が露出する様に、タブレットと同じ材質で板状に形成されたタブレットを搭載し、成形金型で加熱、圧縮することにより、コイルが埋設された成形体が形成されてもよい。また、第1の実施例において、タブレットの開口面からタブレットと同じ材質の封止材を粉状にしたものを充填し、これを成形金型で加熱、圧縮することにより、コイルが埋設された成形体が形成されてもよい。
またさらに、第2の実施例において、板状のタブレットの厚みは、凸部63aと壁部63bの高さの高い部分以外の部分の高さを調整することにより、コイルの巻回部の底面から引き出し端部の先端部の成型体の実装面に露出する面までの距離Aと、コイルの巻回部の上面から成形体の上面までの距離Bが同じになる範囲で、自由に変更することができる。さらに、板状のタブレットの変わりに、タブレットと同じ材質の封止材を粉状にしたものを充填し、これを成形金型で加熱、圧縮することにより、コイルが埋設された成形体が形成されてもよい。
12 成形体
Claims (5)
- 導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いて形成され、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタにおいて、
該コイルは、巻回部と、該巻回部から引き出された引き出し端部を備え、該巻回部の巻軸が該成形体の実装面と垂直に該成形体内に埋設され、該引き出し端部に、該巻回部から該成形体の実装面側に引き出され、先端部の表面が該成形体の実装面に露出、延在する様に段差が形成され、
該コイルの引き出し端部の該先端部が、該成形体の実装面において、縁部に露出してその先端がコイルの巻軸から離間する方向に、該成形体の実装面のいずれの辺からも離間して延在し、
該成形体の実装面に該コイルの引き出し端部の該先端部を覆い、該成形体の実装面のいずれの辺からも離間する外部端子が形成されたことを特徴とする表面実装インダクタ。 - 前記コイルの巻回部の底面から前記引き出し端部の先端部の前記成形体の実装面に露出する面までの距離が、該コイルの該巻回部の上面から前記成形体の上面までの距離とほぼ同じである請求項1に記載の表面実装インダクタ。
- 前記コイルは、導線の両端が巻回部の外周に位置する様に巻回された請求項1又は請求項2に記載の表面実装インダクタ。
- 前記導線が平角線である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表面実装インダクタ。
- 前記コイルは、前記導線として平角線が用いられ、該平角線はその幅広面が該コイルの巻軸に対して垂直になる様に巻回されて巻回部が形成された請求項1又は請求項2に記載の表面実装インダクタ。
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