JP6197725B2 - 二次電池用スラリー組成物の製造方法 - Google Patents

二次電池用スラリー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池用スラリー組成物の製造方法に関するものである。
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能な二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、その特性を活かして急速に需要を拡大している。また、リチウムイオン二次電池に代表される二次電池は、エネルギー密度、出力密度が大きいことから、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータの小型用途から、車載などの大型用途での利用が期待されている。そのため、これらの二次電池には、用途の拡大や発展に伴い、低抵抗化、高容量化、高耐電圧特性及び機械的特性の向上、サイクル寿命の長期化など、よりいっそうの改善が求められている。
二次電池用電極は、通常、電極活物質と、必要に応じて用いられるカーボン粒子とを結着剤で結着することにより形成された電極活物質層を集電体上に積層してなるものであり、電極活物質層は、例えば、電極活物質と、必要に応じて用いられるカーボン粒子と、結着剤を含むバインダー組成物とを分散媒に分散させた電極活物質層用スラリーを集電体上に塗布、乾燥することにより形成される。
ここで、バインダー組成物に含まれる粒子状金属成分がバインダー組成物の経時での増粘や沈降の原因となり、電極活物質層用スラリーを集電体に塗布する際の塗布厚を安定させることが困難となる。そのため、得られる電極(正極や負極)の特性バランスが崩れ、製造される電池の寿命や品質が製品ごとに異なり、一定品質の電池を得ることが困難となる。そのため、特許文献1においては、磁気フィルターを用いてバインダー組成物に含まれる粒子状金属成分を除去している。
ところで、リチウムイオン二次電池等の二次電池は、有機系電解液を用いることで作動電圧を高め、かつ、エネルギー密度を高めることができるが、一方では電解液の粘度が高いために、内部抵抗が大きくなる傾向があった。そこで、内部抵抗を低減させるため、及び電極活物質層と集電体との密着性向上のために、電極活物質層と集電体との間に導電性接着剤層を設けることが提案されている。また、導電性接着剤層は、例えば、集電体用基材上にカーボン粒子と結着剤とを含むスラリー組成物を塗布、乾燥することにより得られる。
特許第4687833号公報
特許文献1においては、電極活物質層を形成するために用いるバインダー組成物から粒子状金属の除去を行っているが、この方法をそのまま用いて導電性接着剤層を形成するためのスラリー組成物から粒子状金属成分の除去を行うと、磁気フィルターに用いられているマグネットのカバーであるステンレス(SUS)が摩耗されることにより微小金属異物が発生し、スラリー組成物に混入する虞があった。そのため、リチウムイオン二次電池を製造する際にこのスラリー組成物により形成される導電性接着剤層を含む集電体を捲回すると、微小金属異物が集電体用基材に食い込むため破れが発生する可能性があった。従って、良好な品質の二次電池を安定して製造することが困難であった。
本発明の目的は、二次電池の製造を安定して行うことができる二次電池用スラリー組成物の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を続けた結果、マグネットのカバーに所定の材料を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、
(1) 体積平均粒子径が0.01μm以上20μm未満のカーボン粒子、粒子状結着剤及び分散媒を含む二次電池用スラリー組成物の粘度を分散処理によって5〜3,000mPa・sとする分散工程、および前記分散工程により分散処理が行われた前記二次電池用スラリー組成物中の、Fe、NiおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む粒子状金属成分を、ビッカース硬度が10GPa以上25GPa未満のマグネットカバーを有するマグネットにより除去する粒子状金属除去工程、を含む二次電池用スラリー組成物の製造方法、
(2) 前記マグネットカバーがセラミックスであることを特徴とする(1)に記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法、
(3) 前記セラミックスがアルミナまたはジルコニアのいずれかであることを特徴とする(2)に記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法、
(4) 前記二次電池用スラリー組成物が前記マグネットに接触する際の流速が1〜50L/minであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法、
(5) 二次電池用スラリー組成物が導電性接着剤組成物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法
が提供される。
本発明の二次電池用スラリー組成物の製造方法によれば、二次電池の製造を安定して行うことができる。
以下、本発明の二次電池用スラリー組成物の製造方法について説明する。本発明の二次電池用スラリー組成物の製造方法は、体積平均粒子径が0.01μm以上20μm未満のカーボン粒子、粒子状結着剤及び分散媒を含む二次電池用スラリー組成物の粘度を分散処理によって5〜3,000mPa・sとする分散工程、および前記分散工程により分散処理が行われた前記スラリー組成物中の、Fe、NiおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む粒子状金属成分を、ビッカース硬度が10GPa以上25GPa未満のマグネットカバーを有するマグネットにより除去する粒子状金属除去工程、を含む。
(カーボン粒子)
本発明の二次電池用スラリー組成物(以下、「スラリー組成物」ということがある。)の製造方法に用いるカーボン粒子は、炭素のみからなるか、又は実質的に炭素のみからなる粒子である。その具体例としては、非局在化したπ電子の存在によって高い導電性を有するグラファイト(具体的には天然黒鉛、人造黒鉛など)、黒鉛質の炭素微結晶が数層集まって乱層構造を形成した球状集合体であるカーボンブラック(具体的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、その他のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなど)、炭素繊維やカーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。これらのカーボン粒子は、単独で用いてもよいが、二種類を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、導電性が良い導電性接着剤層を形成することができ、高速塗工可能なスラリー組成物を得ることができる点で、グラファイト、カーボンブラックが好ましく、グラファイト及びカーボンブラックを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
本発明に用いるカーボン粒子の体積平均粒子径は、スラリー組成物の流動性が良好となる観点から、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.03〜18μm、さらに好ましくは0.05〜15μmである。ここで、カーボン粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(例えば、SALD−3100島津製作所製)により測定することができる。
(粒子状結着剤)
本発明のスラリー組成物の製造方法に用いる粒子状結着剤は、カーボン粒子を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。好適な粒子状結着剤は、分散媒に分散する性質のある分散型結着剤である。分散型結着剤として、例えば、フッ素系重合体、ジエン系重合体、アクリル系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン系重合体等の高分子化合物が挙げられる。
フッ素系重合体はフッ素原子を含む単量体単位を含有する重合体であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂が挙げられる。また、ジエン系重合体は、共役ジエンの単独重合体もしくは共役ジエンを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体、またはそれらの水素添加物である。
ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBR等が挙げられる。
アクリル系重合体は、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの単独重合体またはこれらと共重合可能な単量体との共重合体である。前記共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸類;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアミド系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル化合物;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物等が挙げられる。
これらのなかでも、集電体への密着性が良く、得られる電池の高温サイクル特性に優れる観点から、アクリル系重合体、SBR、ポリブタジエン、PTFEを用いることが好ましく、アクリル系重合体、SBRを用いることがより好ましい。
(粒子状結着剤の製造)
粒子状結着剤の製法は特に限定はされないが、重合体を構成する単量体を含む単量体混合物を乳化重合して得ることができる。乳化重合の方法としては、特に限定されず、従来公知の乳化重合法を採用すれば良い。
(分散媒およびその他の成分)
本発明のスラリー組成物は、上記したカーボン粒子及び粒子状結着剤が分散媒に分散されたスラリー状の組成物である。ここで分散媒は、上記各成分を均一に分散でき、安定的に分散状態を保ちうる限り、水、各種有機溶媒が特に制限されることなく使用できる。製造工程の簡素化の観点から、例えば、上記の粒子状結着剤の製造における乳化重合後に溶媒置換などの操作を行うことなく、直接スラリー組成物を製造することが好ましく、分散媒としては乳化重合時の反応溶媒を使用することが望ましい。乳化重合時には、水が反応溶媒として用いられることが多く、また作業環境の観点からも水を分散媒とすることが特に好ましい。
さらに本発明により得られるスラリー組成物には、上記各成分を分散させるための分散剤が含まれていても良い。
分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
(混合方法)
また、スラリー組成物に含まれる上記各成分の混合方法は、特に限定はされず、上記各カーボン粒子及び粒子状結着剤等の固形成分を分散媒に分散させることができればいかなる手段であってもよい。たとえば、粒子状結着剤の分散液、カーボン粒子および必要に応じ添加される任意成分を一括して混合し、その後必要に応じ分散媒を添加し、分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、カーボン粒子を何等かの分散媒に分散した状態で添加してもよい。また、分散性の良好なスラリー組成物を得る観点から、粒子状結着剤とカーボン粒子とを接触させた後に、他の成分を添加してもよい。
また、スラリー組成物における各成分の含有割合は特に限定はされないが、スラリー組成物の全固形分濃度は、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは17〜32重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。スラリー組成物の全固形分濃度が高すぎるとスラリー組成物の粘度が高くなるため分散処理ができず、スラリー組成物の全固形分濃度が低すぎると集電体用基材上にスラリー組成物を塗布する際に均一な塗膜(導電性接着剤層)を得ることができない。
(分散工程)
本発明に係るスラリー組成物の製造方法の分散工程においては、上記カーボン粒子、結着剤及び分散媒を含むスラリー組成物の粘度を、分散処理によって5〜3,000mPa・s、好ましくは10〜2,500mPa・s、より好ましくは20〜2,000mPa・sとする。スラリー組成物の粘度を上記範囲とすることによりスラリー組成物の流動性が良好となる。
また、ビーズ等のメディアからの不純物の混入を抑制することができ、電池のサイクル特性が良好である観点から高圧分散機を用いた高圧分散処理を行うことが好ましい。高圧分散機は、スラリー組成物を高圧にしてノズル等の細い間隙から噴出させる装置であれば特に限定されないが、衝突型湿式ジェットミル(例えば、スギノマシン社製(スターバースト))、せん断型湿式ジェットミル(例えば、常光社製ジェットミル(JN−100)、吉田機械興業社製ナノヴェイダ(C−ES)、美粒社製(BERYU MINI))を用いることが好ましい。
(粒子状金属除去工程)
本発明のスラリー組成物の製造方法は、上記分散工程により分散処理が行われたスラリー組成物中の、Fe、NiおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む粒子状金属成分を、ビッカース硬度が10GPa以上25GPa未満のマグネットカバーを有するマグネットにより除去する粒子状金属除去工程を含む。
本発明において、粒子状金属成分とは、スラリー組成物中に粒子状で存在しているものを指し、溶解し金属イオン状態で存在しているものは含まれない。また、粒子状金属成分としては、Fe、NiおよびCr等が挙げられる。
粒子状金属除去工程における、粒子状金属成分を除去する方法としては、磁力により粒子状金属成分を除去する方法等が挙げられる。
磁力により除去する方法としては、粒子状金属成分が除去できる方法であれば特に限定はされないが、生産性および除去効率を考慮すると、好ましくは、スラリー組成物の製造ライン中に、磁気フィルターを配置して、スラリー組成物を通過させることにより除去する方法が好ましい。
磁気フィルターにおいては、スラリー組成物がマグネットに接触することにより粒子状金属成分が除去される。マグネットはマグネットカバーにより被覆され、マグネットカバーのビッカース硬度は10GPa以上25GPa未満、好ましくは12GPa以上23GPa未満である。
マグネットカバーは、スラリー組成物中の粒子がマグネットカバーを摩耗することによる微小金属異物の発生を低減することができる観点から、セラミックスであることが好ましい。また、マグネットカバーに用いられるセラミックスとしては、アルミナ、ジルコニアが好ましい。
また、スラリー組成物がマグネットに接触する際の流速は、粒子状金属成分の除去効率が高く、処理効率も高い観点から、好ましくは1〜50L/min、より好ましくは3〜40L/min、さらに好ましくは5〜30L/minである。
粒子状金属除去工程は、100ガウス以上の磁束密度以上の磁場を形成する磁気フィルターを通過させることにより行われることが好ましい。磁束密度が低いと粒子状金属成分の除去効率が低下するため、好ましくは1000ガウス以上、磁性の弱いステンレスを除去することを考慮するとさらに好ましくは2000ガウス以上、最も好ましくは5000ガウス以上である。
製造ライン中に磁気フィルターを配置する際には、磁気フィルターの上流側に、カートリッジフィルターなどのフィルターにより粗大な異物、あるいは粗大な粒子状金属成分を除去する工程を含ませることが好ましい。粗大な粒子状金属成分は、濾過する流速によっては、磁気フィルターを通過してしまう虞があるためである。
また、磁気フィルターは、一回濾過するのみでも効果はあるが、循環式であることがより好ましい。循環式とすることで、粒子状金属成分の除去効率が向上するためである。
スラリー組成物の製造ライン中に、磁気フィルターを配置する場合は、磁気フィルターの配置場所は特に制限されないが、好ましくはスラリー組成物を容器に充填する直前、容器への充填前に濾過フィルターによる濾過工程が存在する場合には、濾過フィルターの前に配置することが好ましい。これは、磁気フィルターから粒子状金属成分が脱離した場合に、製品への混入を防止するためである。
(導電性接着剤層)
本発明のスラリー組成物は、電極活物質層と集電体との間に導電性接着剤層を形成するための導電性接着剤組成物であることが好ましい。以下、スラリー組成物を導電性接着剤組成物として用いる場合について説明する。
(集電体)
集電体は、例えば、上記のスラリー組成物を集電体用基材上に塗布乾燥することにより得られる。即ち、集電体用基材上に導電性接着剤層を形成することにより得られる。
集電体用基材の材料は、例えば、金属、炭素、導電性高分子などであり、好適には金属が用いられる。集電体用金属としては、通常、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、銅、その他の合金等が使用される。これらの中で導電性、耐電圧性の面から銅、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用するのが好ましい。
集電体用基材の厚みは、1〜100μmで、好ましくは2〜70μm、特に好ましくは5〜50μmである。
導電性接着剤層の形成方法は、特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗りなどによって、集電体用基材上に導電性接着剤層を形成することができる。また、剥離紙上に、導電性接着剤層を形成した後に、これを集電体用基材に転写してもよい。
導電性接着剤層の乾燥方法としては、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、熱風による乾燥法、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、集電体用基材上に塗布した接着剤組成物中の分散媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度は好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜250℃である。乾燥時間は、好ましくは2時間以下、より好ましくは5秒〜30分である。
導電性接着剤層の厚みは、導電性接着剤層を介して電極活物質層と集電体とが良好に密着し、得られる二次電池の出力特性が良好となる観点から、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは0.6〜4μm、さらに好ましくは0.7〜3μmである。
導電性接着剤層は、スラリー組成物の固形分組成に応じた組成を有し、カーボン粒子、粒子状結着剤、及び必要に応じて用いられる成分を含む。
(二次電池用電極)
二次電池用電極は、上記集電体の導電性接着剤層上に電極活物質層を有する。電極活物質層は、電極活物質と電極用導電材および電極用バインダーとからなり、これら成分を含む電極活物質層用スラリーから調整される。
(電極活物質)
電極活物質は負極活物質であってもよく、また正極活物質であってもよい。電極活物質は、電池内で電子の受け渡しをする物質である。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な化合物である。正極活物質は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn等が使用される。正極活物質に使用される無機化合物の具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、LiFePO4、LiFeVO4などのリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS2等の遷移金属硫化物;Cu223、非晶質V2O−P25、MoO3、V25、V613などの遷移金属酸化物が挙げられる。これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。
有機化合物からなる正極活物質としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N−フルオロピリジニウム塩などが挙げられる。なお、正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。
負極活物質としては、グラファイトやコークス等の炭素の同素体が挙げられる。前記炭素の同素体からなる負極活物質は、金属、金属塩、酸化物などとの混合体や被覆体の形態で利用することも出来る。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の酸化物や硫酸塩、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコーン等を使用できる。
電極活物質の体積平均粒子径は、正極活物質、負極活物質ともに好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜50μm、さらに好ましくは0.1〜20μmである。これらの電極活物質は、それぞれ単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(電極用導電材)
電極用導電材は、導電性を有し、電気二重層を形成し得る細孔を有さない、粒子状の炭素の同素体からなり、具体的には、カーボンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベルケミカルズベスローテンフェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが好ましい。
(電極用バインダー)
電極用バインダーは、電極活物質、電極用導電材を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。
電極用バインダーの量は、得られる電極活物質層と導電性接着剤層との密着性が充分に確保でき、リチウムイオン二次電池の容量を高く且つ内部抵抗を低くすることができる観点から、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。
(電極活物質層)
電極活物質層は、導電性接着剤層上に設けられるが、その形成方法は制限されない。電極活物質層用スラリーは、電極活物質、及び電極用バインダーを必須成分として、必要に応じて電極用導電材その他の分散剤および添加剤を配合することができる。その他の分散剤の具体例としては、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの分散剤の量は、格別な限定はないが、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは0.8〜2重量部である。
電極活物質層を形成する場合、ペースト状の電極活物質層用スラリー(正極活物質層用スラリーまたは負極活物質層用スラリー)は、電極活物質及び電極用バインダーの必須成分、必要に応じて用いられる電極用導電材、その他の分散剤および添加剤を、水またはN−メチル−2−ピロリドンやテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で混練することにより製造することができる。
電極活物質層用スラリーを得るために用いる溶媒は、特に限定されないが、上記の分散剤を用いる場合には、分散剤を溶解可能な溶媒が好適に用いられる。具体的には、通常水が用いられるが、有機溶媒を用いることもできるし、水と有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のアルキルケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類;ジメチルスルホキサイド、スルホラン等のイオウ系溶剤;等が挙げられる。この中でも有機溶媒としては、アルコール類が好ましい。電極活物質層用スラリーは、電極活物質層の乾燥の容易さと環境への負荷に優れる点から水を分散媒とした水系スラリーが好ましい。水と、水よりも沸点の低い有機溶媒とを併用すると、乾燥速度を速くすることができる。また、水と併用する有機溶媒の量または種類によって、電極用バインダーの分散性または分散剤の溶解性が変わる。これにより、電極活物質層用スラリーの粘度や流動性を調整することができ、生産効率を向上させることができる。
電極活物質層用スラリーを調製するときに使用する溶媒の量は、各成分を均一に分散させる観点から、電極活物質層用スラリーの固形分濃度が、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは10〜80重量%となる量である。
電極活物質、電極用導電材、電極用バインダー、その他の分散剤や添加剤を溶媒に分散または溶解する方法または手順は特に限定されず、例えば、溶媒に電極活物質、電極用導電材、電極用バインダーおよびその他の分散剤や添加剤を添加し混合する方法;溶媒に分散剤を溶解した後、溶媒に分散させた電極用バインダーを添加して混合し、最後に電極活物質および電極用導電材を添加して混合する方法;溶媒に分散させた電極用バインダーに電極活物質および電極用導電材を添加して混合し、この混合物に溶媒に溶解させた分散剤を添加して混合する方法等が挙げられる。混合の手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機器が挙げられる。混合は、好ましくは室温〜80℃で、10分〜数時間行う。
電極活物質層用スラリーの粘度は、生産性を上げることができる観点から、室温において、好ましくは10〜100,000mPa・s、より好ましくは30〜50,000mPa・s、さらに好ましくは50〜20,000mPa・sである。
電極活物質層用スラリーの導電性接着剤層上への塗布方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。電極活物質層用スラリーの塗布厚は、目的とする電極活物質層の厚みに応じて適宜に設定される。
乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。乾燥温度と乾燥時間は、集電体の導電性接着剤層上に塗布した電極活物質層用スラリー中の溶媒を完全に除去できる温度と時間が好ましく、乾燥温度としては好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃である。乾燥時間としては、好ましくは5分〜100時間、より好ましくは10分〜20時間である。
電極活物質層の密度は、特に制限されないが、好ましくは0.30〜10g/cm3、より好ましくは0.35〜8.0g/cm3、さらに好ましくは0.40〜6.0g/cm3である。また、電極活物質層の厚みは、特に制限されないが、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは30〜300μmである。
(二次電池)
二次電池用電極の使用態様としては、かかる電極を用いたリチウムイオン二次電池が好適である。リチウムイオン二次電池は、上記二次電池用電極、セパレーターおよび電解液で構成される。
(セパレーター)
セパレーターは、二次電池用電極の間を絶縁でき、陽イオンおよび陰イオンを通過させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、(a)気孔部を有する多孔性セパレーター、(b)片面または両面に高分子コート層が形成された多孔性セパレーター、または(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレーターが挙げられる。これらの例としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、またはアラミド系多孔性セパレーター、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルまたはポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体などの固体高分子電解質用またはゲル状高分子電解質用の高分子フィルム;ゲル化高分子コート層がコートされたセパレーター;無機フィラーと無機フィラー用分散剤とからなる多孔膜層がコートされたセパレーター;などが挙げられる。セパレーターは、上記一対の電極活物質層が対向するように、二次電池用電極の間に配置され、二次電池が得られる。セパレーターの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは10〜80μm、より好ましくは15〜60μmである。
(電解液)
電解液は、特に限定されないが、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liは好適に用いられる。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。支持電解質の量は、電解液に対して、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、また、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。支持電解質の量が少なすぎても多すぎてもイオン伝導度は低下し電池の充電特性、放電特性が低下する。
電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解させるものであれば特に限定されないが、通常、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびメチルエチルカーボネート(MEC)などのアルキルカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類、1,2−ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、およびジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が用いられる。特に高いイオン伝導性が得易く、使用温度範囲が広いため、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。これらは、単独、または2種以上を混合して用いることができる。また、電解液には添加剤を含有させて用いることも可能である。また、添加剤としてはビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系の化合物が好ましい。
上記以外の電解液としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、硫化リチウム、LiI、Li3N、Li2S−P25ガラスセラミックなどの無機固体電解質を挙げることができる。
リチウムイオン二次電池は、負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて捲回する、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口して得られる。本発明においては、所定のビッカース硬度を有するマグネットカバーを用いるため、スラリー組成物中の粒子がマグネットカバーを摩耗することによる微小金属異物の発生を低減することができる。そのため、リチウムイオン二次電池を製造する際にこの導電性接着剤層を含む集電体を捲回した場合でも、微小金属異物の集電体用基材への食い込みを防ぐことができる。
さらに必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をすることもできる。電池の形状は、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
本発明に係る二次電池用スラリーの製造方法によれば、二次電池の製造を安定して行うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。各特性は、以下の方法により評価した。なお、本実施例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ、「重量部」および「重量%」である。
(スラリー組成物中の粒子状金属成分含有量測定)
誘導結合プラズマ発光分光分析装置ICP−AES(SPS−5100:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、スラリー組成物に含まれる粒子状金属成分を定量分析した。
なお、定量対象の粒子状金属成分は、電池性能への影響が懸念されるCa、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Znとし、合計量を粒子状金属成分の含有量とした。得られた粒子状金属成分の含有量を以下の基準に基づき評価した。結果を表1に示す。
A:10ppm未満
B:10ppm以上30ppm未満
C:30ppm以上50ppm未満
D:50ppm以上70ppm未満
E:70ppm以上
(高温サイクル特性)
実施例および比較例で製造したラミネート型セルのリチウムイオン二次電池を24時間静置させた後に、4.25V、0.1Cの充放電レートにて充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。さらに、60℃の環境下で充放電を繰り返し、100サイクル後の容量C2を測定した。高温サイクル特性は、ΔCC=C2/C0×100(%)で示す充放電容量保持率ΔCCを用いて、下記基準により評価した。結果を表1に示す。この充放電容量保持率ΔCCの値が高いほど、高温サイクル特性に優れることを示す。
A:充放電容量保持率が80%以上
B:充放電容量保持率が75%以上80%未満
C:充放電容量保持率が70%以上75%未満
D:充放電容量保持率が70%未満
(実施例1)
(スラリー組成物の製造)
イオン交換水および分散剤(ポリビニルアルコール)を溶かした水溶液に、カーボン粒子(カーボンブラック+グラファイト、体積平均粒子径3μm)を添加し、さらに粒子状結着剤として、ガラス転移温度が−15℃、数平均粒子径が0.31μmのアクリル系重合体の40%水分散体を添加し、混合した。この混合物の温度を20℃まで冷却し、ジェットミル(株式会社常光社製 JN−100)にてノズル径が150μmのX型ノズルを用い、150MPaの圧力で3パス処理することにより高圧分散処理を行った。高圧分散処理を行った後のスラリー組成物の粘度は、50mPa・sであった。
次に、高圧分散処理を行ったスラリー組成物をプレフィルターに通した後、さらに磁気フィルターを通すことにより粒子状金属除去工程を行い、スラリー組成物を得た。ここで、磁気フィルターに用いるマグネットとしては、セラミックであるアルミナからなるマグネットカバー(ビッカース硬度15.2GPa)を有するマグネットを用い、また、スラリー組成物をマグネットに15L/minの流速で接触させることにより粒子状金属除去工程を行った。なお、室温、磁束密度8000ガウスの条件で粒子状金属除去工程を行った。
(導電性接着剤層の形成)
アルミニウムからなる集電体用基材に前記スラリー組成物を、キャスト法を用いてロールバーにて20m/分の成形速度で集電体用基材上に塗布し、60℃で1分間、引き続き120℃で2分間乾燥して、厚さ1.2μmの導電性接着剤層を有する集電体を得た。
(電極の作製)
プラネタリーミキサーにコバルト酸リチウム100部、アセチレンブラック2部(電気化学工業社製、HS−100)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)2部(クレハ社製、KF−1100)、さらに全固形分濃度が67%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えて混合し、正極用の電極活物質用スラリーを調製した。
集電体の導電性接着剤層上に正極用の組成物を20m/分の成形速度で正極用の電極活物質用スラリーを塗布し、120℃で5分間乾燥した後、5cm正方に打ち抜いて、片面厚さ100μmの電極活物質層を有する正極を得た。
一方、負極活物質として、体積平均粒子径が3.7μmであるグラファイト(KS−6:ティムカル社製)を100部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースアンモニウムの1.5%水溶液(DN−800H:ダイセル化学工業社製)を固形分相当で2.0部、電極用導電材としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状:電気化学工業社製)を5部、電極用バインダーとしてガラス転移温度が−48℃で、数平均粒子径が0.18μmのジエン系重合体の40%水分散体を固形分相当で3.0部、およびイオン交換水を全固形分濃度が35%となるように混合し、負極用の電極活物質層用スラリーを調製した。
上記負極用の電極活物質層用スラリーをコンマコーターを用いて、集電体としての厚さ18μmの銅箔の片面に乾燥後の膜厚が100μm程度になるように塗布し、60℃で20分乾燥後、150℃で20分間加熱処理して負極活物質層を形成した。次いで、ロールプレスで圧延して5.2cm正方に打ち抜いて、厚さ50μmの負極を得た。
(リチウムイオン二次電池の製造)
前記正極、負極及びセパレーターを用いて、積層型ラミネートセル形状のリチウムイオン二次電池を作製した。電解液としてはエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを体積比で1:2とした混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。
(実施例2)
スラリー組成物の製造の粒子状金属除去工程において、磁気フィルターに用いるマグネットとして、セラミックであるジルコニアからなるマグネットカバー(ビッカース硬度13.2GPa)を有するマグネットを用いた以外は、実施例1と同様にスラリー組成物の製造を行った。また、実施例2で得られたスラリー組成物を用いた以外は、実施例1と同様に導電性接着剤層の形成、電極の作製及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
(実施例3)
スラリー組成物の製造において、高圧分散処理を行った後のスラリー組成物の粘度を200mPa・sとし、さらに粒子状金属除去工程においてスラリー組成物をマグネットに接触させる際の流速を45L/minとした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物の製造を行った。なお、であった。また、実施例3で得られたスラリー組成物を用いた以外は、実施例1と同様に導電性接着剤層の形成、電極の作製及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
(比較例1)
スラリー組成物の製造において、用いるカーボン粒子の体積平均粒子径を30μmとし、また、分散処理を行った後のスラリー組成物の粘度を100mPa・sとし、さらに、粒子状金属除去工程における磁気フィルターに用いるマグネットとして、セラミックであるジルコニアからなるマグネットカバー(ビッカース硬度13.2GPa)を有するマグネットを用い、スラリー組成物をマグネットに接触させる際の流速を40L/minとした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物の製造を行った。また、比較例1で得られたスラリー組成物を用いた以外は、実施例1と同様に導電性接着剤層の形成、電極の作製及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
(比較例2)
スラリー組成物の製造において、分散処理を行った後のスラリー組成物の粘度を4,000mPa・sとし、また、粒子状金属除去工程における磁気フィルターに用いるマグネットとして、セラミックであるジルコニアからなるマグネットカバー(ビッカース硬度13.2GPa)を有するマグネットを用い、スラリー組成物をマグネットに接触させる際の流速を10L/minとした以外は、実施例1と同様にスラリー組成物の製造を行った。また、比較例2で得られたスラリー組成物を用いた以外は、実施例1と同様に導電性接着剤層の形成、電極の作製及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
(比較例3)
スラリー組成物の製造において、分散処理を行った後のスラリー組成物の粘度を45mPa・sとし、粒子状金属除去工程における磁気フィルターに用いるマグネットとして、金属であるステンレス(SUS316)からなるマグネットカバー(ビッカース硬度2GPa)を有するマグネットを用いた以外は、実施例1と同様にスラリー組成物の製造を行った。また、比較例3で得られたスラリー組成物を用いた以外は、実施例1と同様に導電性接着剤層の形成、電極の作製及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
Figure 0006197725
表1に示すように体積平均粒子径が0.01μm以上20μm未満のカーボン粒子、粒子状結着剤及び分散媒を含む二次電池用スラリー組成物の粘度を分散処理によって5〜3,000mPa・sとする分散工程、および前記分散工程により分散処理が行われた前記スラリー組成物中の、Fe、NiおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む粒子状金属成分を、ビッカース硬度が10GPa以上25GPa未満のマグネットカバーを有するマグネットにより除去する粒子状金属除去工程、を含むスラリー組成物のスラリー組成物の粒子状金属成分含有量は少なく、また、このスラリー組成物により形成される導電性接着剤層を有するリチウムイオン二次電池の高温サイクル特性は良好であった。

Claims (5)

  1. 体積平均粒子径が0.01μm以上20μm未満のカーボン粒子、粒子状結着剤及び分散媒を含む二次電池用スラリー組成物の粘度を分散処理によって5〜3,000mPa・sとする分散工程、および
    前記分散工程により分散処理が行われた前記二次電池用スラリー組成物中の、Fe、NiおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む粒子状金属成分を、ビッカース硬度が10GPa以上25GPa未満のマグネットカバーを有するマグネットにより除去する粒子状金属除去工程、
    を含む二次電池用スラリー組成物の製造方法。
  2. 前記マグネットカバーがセラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法。
  3. 前記セラミックスがアルミナまたはジルコニアのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法。
  4. 前記二次電池用スラリー組成物が前記マグネットに接触する際の流速が1〜50L/minであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法。
  5. 二次電池用スラリー組成物が導電性接着剤組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用スラリー組成物の製造方法。
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