JP6196547B2 - 光電極及びその製造方法、色素増感太陽電池 - Google Patents

光電極及びその製造方法、色素増感太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、光電極及びその製造方法、色素増感太陽電池に関する。
近年、化石燃料に代わるクリーンエネルギーの発電装置として太陽電池が注目され、シリコン系太陽電池及び色素増感太陽電池の開発が進められている。とりわけ色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を有するとともに安価で量産しやすいため、その構造及び製造方法が広く研究されている。
一般に、色素増感太陽電池は、光電極と、対向電極と、電解液又は電解質層とを備えて構成される(例えば、特許文献1を参照)。また、光電極としては、基材、透明導電層、半導体層、色素で構成されることが一般的であり、これらのうち、半導体層は、ほとんどの場合において多孔質構造とされる。
この場合、色素で光励起された電子は半導体層を10〜20μm程度で拡散する必要があるが、上記の拡散過程において半導体層から電解液(電解質層)や色素への再結合反応(暗電流)が発生し、これが、変換効率の低下の主要因となっている。
上記の問題を解決するため、例えば、透明導電層の表面積、あるいは表面上の長さ(距離)を増加させ、半導体層の長さ(距離)を縮めることが考えられる。より具体的には、例えば、導電材料を用いて多孔質構造の透明導電層を形成し、この透明導電層の表面を半導体層で被覆することにより、透明導電層の表面積を増加させる一方で、この上に形成される半導体層の厚みもしくは長さを抑制する方法が考えられ、これによって変換効率が向上することが報告されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、特許文献2に記載の構成を採用した場合であっても、半導体層と電解液(電解質層)との界面が存在することから、半導体層又は透明導電層を電子が拡散する際に、電解液(電解質層)又は色素への再結合反応が発生し、変換効率が低下するという問題がある。
特開2000−021460号公報 特許第4415481号公報
一方、仮に、透明導電層を半導体層で被覆しない構成とすることも考えられるが、半導体層を設けない場合においても、やはり、透明導電層と色素との界面において、酸化還元反応(レドックス)への電子の再結合や、色素への電子の再結合が生じ易いことから、上記同様、変換効率が低下してしまう。
また、透明導電層を半導体層で被覆しない構成だと、ITO等の透明導電材料からなる透明導電層には色素が吸着し難いことから、光電極、ひいては太陽電池としての特性や歩留まりが低下するおそれがあった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、電解液(電解質層)や色素への電子の再結合反応が生じるのを抑制し、高い電流値が得られるとともに、変換効率に優れた光電極及びその製造方法、並びに、光電極を備えてなる色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、光電極であって、基材上に、少なくとも、導電層、無機材料層及び色素がこの順で連続する複合層を有してなり、前記導電層は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなる芯材が、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化インジウム/酸化亜鉛、及びガリウムドープ酸化亜鉛のうちの何れかからなる導電材料膜で被覆されたコアシェル構造の粒子からなる透明の導電膜であり、さらに、前記無機材料層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、光電極であって、基材上に、少なくとも、導電層、無機材料層及び色素がこの順で連続する複合層を有してなり、前記導電層は、有機材料からなる芯材が、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化インジウム/酸化亜鉛、及びガリウムドープ酸化亜鉛のうちの何れかからなる導電材料膜で被覆されたコアシェル構造の粒子からなる透明の導電膜であり、さらに、前記無機材料層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなることを特徴とする。
本発明によれば、導電層上に無機材料層及び色素が連続してなる複合層を有してなるので、色素で光励起された電子が無機材料層を経由して導電層に移動する一方、無機材料の遮蔽効果により、導電層に一度移動した電子が、電解質や色素と再結合反応するのを抑制することが可能となる。従って、高い電流値が得られるとともに、変換効率に優れた光電極が実現できる。
また、本発明によれば、導電層を、無機材料又は有機材料からなる芯材が導電材料膜で被覆された、絶縁材料と導電材料とからなる構成とすることで、芯材によって導電層における光屈折率を調整することが可能となる。これにより、導電層から電解質や色素への電子の再結合反応が生じるのを抑制しながら、色素による光励起が顕著に得られる。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の光電極であって、前記導電層が前記無機材料層で被覆されていることを特徴とする。
本発明によれば、導電層が無機材料層で被覆され、導電層と色素との間に無機材料層が介在することで、色素で光励起された電子が無機材料層を経由して導電層に移動する一方、導電層から電解質や色素への電子の再結合反応が生じるのを確実に防止できる。
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れかに記載の光電極であって、前記複合層が、前記無機材料層に前記色素が吸着し、且つ、前記無機材料層の表面の少なくとも一部が前記色素で被覆されるように連続してなる層であることを特徴とする。
本発明によれば、無機材料層に色素が吸着することで無機材料層が被覆された構成なので、上述した無機材料層から電解質や色素への電子の再結合反応が生じるのをより効果的に抑制することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光電極であって、前記複合層が、前記導電層と前記無機材料層とからなる多孔質構造とされていることを特徴とする。
本発明によれば、複合層を、前記導電層と前記無機材料層とからなる多孔質構造とすることで、無機材料層上への色素が吸着可能な面積が増加し、色素の吸着量を増加させることができるので、変換効率が向上し、高い電池特性を得ることが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光電極であって、前記無機材料層の厚みが0.2〜5nmの範囲であることを特徴とする。
本発明によれば、無機材料層の厚みを上記の適正範囲に制限することで、色素で光励起された電子を導電層に確実に拡散させながら、導電層から電解質や色素への電子の再結合反応が生じるのを確実に防止することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の光電極であって、前記無機材料層を構成する無機材料が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、酸化ジルコニウムのうちの何れかであることを特徴とする。
本発明によれば、無機材料層が上記材料からなる構成とすることで、色素で光励起された電子が導電層を効果的に拡散するとともに、導電層から電解質や色素への電子の再結合反応が生じるのを確実に防止することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の光電極を製造する方法であって、少なくとも、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料、又は有機材料からなる芯材が、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化インジウム/酸化亜鉛、及びガリウムドープ酸化亜鉛のうちの何れかからなる導電材料膜で被覆されたコアシェル構造の粒子からなる透明の導電層の表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなる無機材料層を積層した後、該無機材料層に色素を吸着させる工程を備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の光電極の製造方法であって、前記導電層を、粉体吹付法により、前記コアシェル構造の粒子を前記基材上に吹き付け、多孔質構造で形成することを特徴とする。
本発明によれば、導電層、無機材料層及び色素がこの順で連続する複合層を形成するにあたり、無機材料層に色素を吸着させることで、上述したように、導電層から電解質や色素への電子の再結合反応が生じるのを抑制し、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れた光電極を製造することが可能となる。
請求項10に記載の発明は、色素増感太陽電池であって、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の光電極を備えてなることを特徴とする。
本発明によれば、上記の光電極を備えた構成なので、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れ、電池特性に優れた色素増感太陽電池が実現できる。
本発明に係る光電極及びその製造方法、並びに、色素増感太陽電池によれば、上記した解決手段によって以下の効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、導電層上に無機材料層及び色素が連続してなる複合層を有してなるので、色素で光励起された電子が無機材料層を経由して導電層に移動する一方、無機材料の遮蔽効果により、導電層に一度移動した電子が、電解質や色素と再結合反応するのを抑制することが可能となるので、高い電流値が得られるとともに、変換効率が向上する。
従って、上記光電極を色素増感太陽電池に適用することにより、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れ、電池特性に優れた色素増感太陽電池が実現できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態である光電極について説明する図であり、光電極の層構造を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態である光電極について説明する図であり、光電極に備えられる無機材料層への色素の吸着状態を示す模式図である。 本発明の一実施形態である光電極が用いられてなる色素増感太陽電池について説明する模式断面図である。 本発明の一実施形態である光電極に用いられる導電層の一例について説明する図であり、導電層を構成する粒子をコアシェル構造とした際の層構造を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態である光電極の製造方法について説明する図であり、(a)は、基材上に導電層を積層する工程、(b)は、導電層上に無機材料層を積層する工程、(c)は、無機材料層に色素を吸着する工程を示す模式断面図である。
以下、図面を参照して本発明に係る光電極及びその製造方法、並びに、光電極が用いられてなる色素増感太陽電池の一実施形態について、図1〜図5を適宜参照しながらその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[光電極]
図1及び図2は、本発明の一実施形態である光電極1を示す模式断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光電極1は、少なくとも、導電層12、無機材料層13及び色素14がこの順で連続する複合層10を有してなり、概略構成される。また、図1に例示する光電極1は、基材11上に、上記層構造とされた複合層10が積層されてなる。
基材11は、後述の導電層12の基台となる透明部材であり、光電極並びに光電極が用いられる色素増感太陽電池等の製造及び利用に適用可能であって、且つ、透明な材質で構成されていれば、その材質等は特に限定されない。例えば、湾曲部や凹凸部等を有する場所への設置自由度を高める点から、基材11としては、透明な樹脂材料からなるフィルム基材を用いることが好ましい。このような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等が挙げられる。このような樹脂材料を基材11に用いることにより、軽量で薄くフレキシブルな光電極、並びに、それが用いられてなる色素増感太陽電池等を製造することが可能となる。
本実施形態において複合層10を構成する導電層12は、例えば、スパッタリング法や印刷法等の方法により、基材11の一方の板面上に形成される透明の導電膜である。
このような導電層12には、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化スズ(SnO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の透光性を有する各種導電材料を用いることができる。
複合層10を構成する無機材料層13は、導電層12を覆うように形成され、例えば、金属酸化物等の絶縁性を備える無機材料から構成される。
本発明に係る光電極に備えられる無機材料層13は、従来の光電極に備えられていた半導体層に代えて設けられるものであり、従来の半導体材料を用いた層に比べ、絶縁性が高い点で異なるものである。
無機材料層13を構成する無機材料としては、特に限定されるものではないが、上述した金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(Mg)、酸化ケイ素(SiO)、酸化バナジウム(V)、酸化ジルコニウム(ZrO)等のうちの何れかを用いることができる。無機材料層13を上記材料から構成することで、詳細を後述するような、色素で光励起された電子を導電層12に移動させながら、絶縁体としての特性を併せ持ち、電子を通し難い無機材料層13が、導電層12に一度移動した電子による、後述の色素14や電解質への再結合反応が生じるのを抑制する効果が顕著に得られる。
また、複合層10において、無機材料層13及び導電層12は多孔質構造とされていることが好ましい。このように、複合層10を構成する無機材料層13及び導電層12が、少なくともその表面が多孔質構造とされていることで、後述の色素14の無機材料層13上への吸着可能面積が増加し、色素の吸着量を増加させることができる。これにより、変換効率が向上し、高い電池特性を得ることが可能となる。
また、無機材料層13の厚みは、0.2〜5nmの範囲であることが好ましい。
無機材料層13の厚みが上記範囲内であれば、後述の色素14で光励起された電子を導電層12に確実に拡散させながら、導電層12から色素14や電解質への再結合反応が生じるのを確実に防止することができる。
無機材料層の厚みが0.2nm未満だと、無機材料層であっても絶縁性が低下することから、導電層に受け渡された電子が再び無機材料層を通ることで、色素や電解質への再結合反応が生じ易くなる。
また、無機材料層の厚みが5nmを超えると、無機材料層が厚すぎて電子が通りにくくなり、色素で光励起された電子を導電層まで受け渡すのが困難になり、電池機能が得られ難くなる。
本実施形態においては、無機材料層13により、導電層12の表面の少なくとも一部が被覆されていればよいが、大部分が被覆されていることが好ましく、全体が被覆されていることがより好ましい。
導電層12が無機材料層13で被覆され、導電層12と色素14との間に無機材料層13が介在することで、色素14で光励起された電子が導電層12をより効果的に拡散してゆくとともに、導電層12から、色素14や、色素増感太陽電池に備えられる電解質(図3の電解質23を参照)への電子の再結合反応が生じるのを確実に防止できる。
なお、本発明において説明する無機材料層とは、上述したように無機材料から構成され、絶縁性の高い層であるが、従来の光電極において用いられていた半導体層に比べて、光励起して導電層12へ移動した電子が再結合反応するのを抑制する機能に優れているため、電池機能が高められるという効果が得られる。
なお、本実施形態においては、導電層12を、例えば、図4に示す例のように、無機材料又は有機材料からなる芯材12aが導電材料膜12bで被覆されたコアシェル構造の粒子から形成したうえで、この導電層12を覆うように、図1等に示す無機材料層13を形成することも可能である。
本実施形態では、導電層12を、上述のようなコアシェル構造の粒子から形成し、さらに、導電層12を覆うように後述の無機材料層13を形成することで、まず、無機材料層13の遮蔽効果により、導電層12に一度移動した電子が色素14や電解質と再結合反応するのを抑制することができる。
さらに、コアシェル構造の粒子を構成する芯材12aにより、導電材料膜12bにおける光屈折率を適正に調整できる効果が得られる。
従って、導電層12を、図4に例示するようなコアシェル構造の粒子から形成し、さらに、導電層12を無機材料層13で覆うことにより、導電層12に一度移動した電子が色素14や電解質と再結合反応するのを抑制しながら、コアシェル構造とされた粒子によって光屈折率が適正化されることで、色素14における光励起が顕著となり、変換効率が向上する効果が得られる。
なお、コアシェル構造を構成する芯材12aの材料としては、無機材料層13をなす無機材料として例示した上記材料を何ら制限無く用いることができる。
また、導電材料膜12bとしても、上記にて例示した透明材料等を何ら制限無く用いることができる。
色素14は、複合層10において無機材料層13に吸着するように形成される、増感色素からなる層である。色素14は、例えば、図3(色素増感太陽電池2)中に示す矢印のように、照射された光によって励起され、電子を放出する作用を有する。そして、色素14から放出された電子は、バンドギャップが広い無機材料層13に受け渡され、この無機材料層13内を拡散して導電層12に円滑に移動する。
上述のように、照射された光によって電子を放出する色素14としては、例えば、ルテニウム錯体、シアニンやクロロフィルといった有機色素が挙げられる。また、色素14としては、吸収する波長域が広い点と、光励起の寿命が長く、無機材料層13に受け渡された電子が安定する点から、ルテニウム錯体が好適であり、より具体的には、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)(N3と呼ばれることがある)、該シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のビス−テトラブチルアンモニウム塩(N719と呼ばれることがある)、トリ(チオシアナト)−(4,4’,4’’−トリカルボキシ−2,2’:6’,2’’−ターピリジン)ルテニウムのトリス−テトラブチルアンモニウム塩等が好適である。
複合層10を構成する色素14は、無機材料層13に吸着するように設けられることが好ましく、且つ、無機材料層13の表面が色素14で被覆されるように形成されることが好ましい。
図2の模式図に示すように、導電層12の表面には、この導電層12を覆うように無機材料層13が形成されている。そして、色素14は、図2中に示すようなカルボン酸基からなる色素吸着基14aが、無機材料層13を構成する金属酸化物の金属(M:メタル)と結合することで、色素主骨格Aが無機材料層13に吸着され、色素14で無機材料層13の表面を被覆した状態となる。
上述の如く、無機材料層13に色素14が吸着することで無機材料層13が被覆された構成とすることで、無機材料層13を設けることによる色素14や電解質への電子の再結合反応が生じるのを抑制する効果が、より顕著に得られる。
本実施形態の光電極1によれば、導電層12上に無機材料層13及び色素14が連続してなる複合層10を有してなるので、色素14で光励起された電子が無機材料層13を経由して導電層12に移動する一方、無機材料層13の遮蔽効果により、導電層12に一度移動した電子が、色素14や電解質と再結合反応するのを抑制できる。これにより、高い電流値が得られるとともに、変換効率に優れた光電極1とすることが可能となる。
また、本実施形態の光電極1は、基材11上に上記の複合層10が備えられたシンプルな構成とすることで、優れた変換効率を有する光電極1が、高い生産性で歩留まり良く得られる。
なお、本実施形態の光電極に備えられる複合層の用途は、光電極に限らず、他の用途に適用することもでき、本実施形態の複合層が備える物理的特性や化学的特性を利用した用途において、幅広く適用することが可能である。
[光電極の製造方法]
次に、本発明に係る光電極の製造方法の一実施形態について、主に図5(a)〜(c)の工程図を参照しながら説明する(図1及び図3も適宜参照)。
本実施形態の製造方法は、図1に示すような光電極1を製造するにあたり、少なくとも、導電層12の表面に無機材料層13を積層した後、この無機材料層13に色素14を吸着させる工程を備える。
以下、本実施形態の製造方法に備えられる各工程について詳述する。
(導電層形成工程及び無機材料層形成工程)
まず、導電層形成工程においては、図5(a)に示すように、PENフィルム又はPETフィルム等からなる基材11の一方の面に、スパッタリング法や印刷法等により、ITO等からなる透明の導電層12を形成する。
より具体的には、例えば、ITO等の透明導電膜材料を含むペーストを作製し、基材11上に上記ペーストを所定面積で塗布した後、大気雰囲気下において所定温度及び時間での焼成もしくは乾燥を行うことで、基材11上に多孔質構造の導電層12を積層することができる。
次に、無機材料層形成工程においては、図5(b)に示すように、導電層12の上に、AlOまたはMgOからなる無機材料層13を形成する。
無機材料層13の形成方法としては、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている成膜方法を用いることができる。具体的には、例えば、上記手順で得られた基材11及び導電層12の積層物を、アルミニウムテトライソプロポキシドを0.5質量%で含有したイソプロパノール溶液に浸漬させ、この状態において70℃・30分間の条件で処理した後、エタノール溶液で上記の積層物を洗浄することにより、導電層12上にAlOからなる無機材料層13を形成することが可能である。
また、無機材料層13の形成方法としては、例えば、上述の導電層12を、粉体吹付法によって多孔質構造で形成した後、基材11及び導電層12の積層物に対して上記浸漬処理を行うことで、多孔質構造の無機材料層13を形成することができる。あるいは、まず、導電微粒子の表面に無機材料膜が形成されたコアシェル構造の粒子を作製した後、この粒子を導電層12もしくは基材11に吹き付けることにより、導電層12及び無機材料層13を多孔質構造で形成する方法が挙げられる。
上述の粉体吹付法は、室温プロセスで工程を実施でき、また、成膜から焼成の2工程を吹付工程のみとすることができ、プロセスが簡易になる観点から好ましい。この粉体吹付法とは、製膜原料粒子(以下、原料粒子ということがある)を搬送ガスとともに製膜対象物に吹き付けることで、衝突エネルギーや熱、電気等の補助エネルギーを利用して、室温プロセスにおいて後処理等を必要とすることなく、製膜対象物上に原料粒子の結着膜を成膜する方法である。このような粉体吹付法としては、例えば、エアロゾルデポジション法(以下、AD法ということがある)、スプレー法、コールドスプレー法、静電スプレー法、溶射法等が知られている。
上記のAD法は、ヘリウム等の搬送ガスにより、セラミック等の原料粒子を亜音速〜超音速程度まで加速して基材に吹き付ける方法である。基材表面に衝突した原料粒子は、少なくともその一部が基材表面に食い込んで、容易には剥離しない状態となる。また、原料粒子の基材表面への衝突により、基材表面と原料粒子表面に新生面が形成されて、主に、この新生面において、基材と原料粒子とが接合する。さらに、原料粒子の吹き付けを継続することにより、基材表面に食い込んだ原料粒子に対して、別の原料粒子が衝突する。このような原料粒子同士の衝突により、互いの原料粒子表面に新生面が形成され、主に、この新生面において原料粒子同士が接合する。この原料粒子同士の衝突においては、原料粒子が溶融するような温度上昇は発生し難いため、原料粒子同士が接合した界面には、ガラス質からなる粒界層は実質的に存在しない。そして、さらに、原料粒子の吹き付けを継続することにより、次第に、基材表面に多数の原料粒子が接合してなる層又は膜が形成される。形成された層又は膜は、原料粒子同士の接合により充分な強度を有するので、従来の多孔質構造膜の成膜方法のように、数百℃の高温焼成による焼き締めを必要としない。特に、原料粒子の吹き付け時の条件を調整することにより、良好な多孔質構造の層を形成することができることから、無機材料層13は、AD法を用いて形成されていることがさらに好ましい。
具体的には、詳細な図示は省略するが、まず、例えば、ヘリウム等からなる搬送ガス雰囲気内に、図5(a)に示すような基材11及び導電層12の積層物を設置する。
次に、原料粒子である無機材料からなる粒子を搬送ガス中に分散させて、亜音速〜超音速程度まで加速させ、導電層12の表面に吹き付ける。この際に吹き付ける無機材料の粒子の平均粒径は、例えば、10nm以上500nm未満であることが好ましい。無機材料からなる粒子の平均粒径を500nm未満とすることにより、導電層12又は既に堆積している無機材料の粒子に衝突した際に、この粒子を砕くことなく、吹き付け時の粒径を保持した状態で成膜することができる。また、無機材料からなる粒子の平均粒径を10nm以上とすることにより、色素14を吸着するための十分な表面積の確保が可能な連通孔を有する多孔質膜として、無機材料層13を形成することができる。
上述のような無機材料層形成工程により、図5(b)に示すように、導電層12の上に無機材料からなる粒子が結合されてなる、所定の膜厚の無機材料層13を形成する。
なお、粒子の平均粒径を求める方法としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた測定で得られた体積平均径の分布のピーク値を平均粒径とする方法や、SEM観察によって複数の粒子の長径を測定して平均する方法等が挙げられる。このように、平均粒径を算出する際の測定数は多いほど好ましいが、例えば、30〜100個の粒子の長径を測定して平均値を算出する方法が好適である。また、粒子の1次粒子径は、SEM観察によって測定することが好ましい。
(無機材料層に色素を吸着させる工程)
次に、図5(c)に示すように、無機材料層13の表面に色素14を吸着させる。
具体的には、例えば、まず、アセトニトリルとtert−ブタノールとを1:1で混合させた混合溶液中に、増感色素N719を0.3mMの濃度で溶解させた色素溶液を調整する。
次いで、この色素溶液中に、上記の無機材料層13までが形成された積層物を、例えば、20時間で浸漬させることにより、色素14を無機材料層13の表面に吸着させる。
なお、無機材料層13に色素14を吸着させる方法としては、上記の浸漬法の他、予め色素を吸着させた微粒子を、無機材料層13の表面に吹き付ける方法も例示できる。
本実施形態の製造方法によれば、導電層12、無機材料層13及び色素14がこの順で連続する複合層10を形成するにあたり、無機材料層13に色素14を吸着させることで、導電層12から電解質や色素14への電子の再結合反応が生じるのを抑制し、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れた光電極を製造できる。
[色素増感太陽電池]
図3は、本発明の一実施形態である色素増感太陽電池2を示す模式断面図である。
図3に示すように、本実施形態の色素増感太陽電池2は、上述した本実施形態の光電極1を備えてなるものであり、光電極1の複合層10の上に、さらに、光電極1の基材11との間で一定の厚み寸法を有するように配置された対向基材21と、この対向基材21の板面上に形成された対向電極22と、複合層10と対向電極22との間の空隙部に重点された電解質23とを備えて構成される。
対向基材21は、後述の対向電極22の基台となる部材であり、色素増感太陽電池2の製造及び利用に適用可能な材質で構成されていれば、その材質等は特に限定されない。例えば、湾曲部や凹凸部等を有する場所への設置自由度を高める点から、対向基材21には、樹脂材料からなるフィルム基材を用いることが好ましい。このような樹脂材料としては、光電極1の基材11と同様に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等が挙げられる。
このような樹脂材料を対向基材21に用いることにより、軽量で薄く、フレキシブルな色素増感太陽電池2を製造することが可能となる。
対向電極22は、例えば、スパッタリング法や印刷法により、対向基材21の基材11側の板面上に形成される。この対向電極22としては、後述する電解質23の酸化還元反応に対して触媒能を有する材料が選ばれ、例えば、金(Au)、白金(Pt)等の金属触媒の他に、カーボンナノチューブ、グラファイト(黒鉛)等の導電性炭素や、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等、p型半導体として機能する導電性高分子等が挙げられる。あるいは、対向電極22としては、対向基材21板面上に導電性を有するITO膜やFTO膜を成膜した後、この上にPt等の金属触媒が成膜されたものを用いることも可能である。
なお、対向基材21及び対向電極22は、色素増感太陽電池2に照射される光に対して透明でなくてもよいが、例えば、光照射方向の自由度確保の観点からは、透明であることが好ましい。
電解質23は、光電極1(複合層10)と対向電極22との間で、図視略の封止材で囲まれた空間に充填されている。電解質23は、色素増感太陽電池2において、継続的に電気を流すための酸化還元反応を生ずる酸化還元対を含む物質からなる。このような酸化還元対としては、例えば、ヨウ素レドックス等が挙げられる。ヨウ素レドックスを含む電解質23には、例えば、アセトニトリルやプロピオニトリル等の非水系溶媒、又は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムやヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム等のイオン性液体等に、ヨウ化リチウムとヨウ素とが混合されてなる溶液が用いられる。また、電解質23には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、フィラーや増粘剤等の他の添加剤が含有されていても良い。
また、本実施形態では、液体状の電解質に代えて、半固体状(ゲル状)又は固体状のものを電解質23に用いても良い。このような電解質23としては、例えば、電解液にゲル化剤又は増粘剤を添加し、必要に応じて溶媒を除去することにより、電解液をゲル化又は固体化したものと適用できる。このように、液体状の電解質に代えて、ゲル状又は固体状の電解質23を用いることにより、色素増感太陽電池2から電解液が漏出するリスクが無くなる。
また、上述した図視略の封止材としては、電解質23を電池セル内部に保持できる部材であることが好ましい。このような封止材としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の合成樹脂からなるものを適用することができる。
本実施形態の色素増感太陽電池2を製造する方法としては、特に限定されず、光電極として上述した本実施形態の光電極1を使用する点以外は、常法によって製造することができる。
例えば、まず、光電極1と、対向基材21上に形成された対向電極22との間に電解質23を配置して封止し、必要に応じて、光電極1及び/又は対向電極22に図視略の引き出し配線を電気的に接続することにより、本実施形態の色素増感太陽電池2を製造することができる。
本実施形態の色素増感太陽電池2によれば、上記構成を有する光電極1を備えた構成なので、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れ、電池特性に優れたものとなる。
[作用効果]
以上説明したように、本発明に係る光電極1によれば、導電層12上に無機材料層13及び色素14が連続してなる複合層10を有してなるので、色素14で光励起された電子が無機材料層13を経由して導電層12に移動する一方、無機材料層13の遮蔽効果により、導電層12に一度移動した電子が、色素14や電解質と再結合反応するのを抑制することが可能となるので、高い電流値が得られるとともに、変換効率が向上する。
従って、光電極1を色素増感太陽電池2に適用することにより、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れ、電池特性に優れた色素増感太陽電池2が実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る光電極1の製造方法によれば、導電層12、無機材料層13及び色素14がこの順で連続する複合層10を形成することで光電極1を製造するにあたり、少なくとも、導電層12の表面に無機材料層13を積層した後、この無機材料層13に色素14を吸着させる工程を備える方法なので、導電層12から電解質23や色素14への電子の再結合反応が生じるのを抑制し、高い電流値が得られるとともに変換効率に優れた光電極1を製造することが可能になるという効果を奏する。
次に、本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
(多孔質構造を有する導電層の形成)
まず、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)粒子(粒径φ19nm):19質量%、エチルセルロース:9質量%、テルピネオール:72質量%からなるペーストを作成した。
次いで、透明導電材料からなる基材として、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜を配したガラス基板を準備し、上記手順で得られたペーストを、スクリーン印刷法を用いて4mm×4mmの面積でFTO膜上に塗布した。
次いで、上記手順でペーストが塗布された積層物を、大気雰囲気下で500℃・30分間の焼成処理を行うことにより、表層が多孔質層とされた導電層を形成した。
(絶縁性を有する無機材料層の形成)
次に、上記手順で多孔質構造の導電層までが形成された積層物を、アルミニウムテトライソプロポキシドを0.5質量%で含有するイソプロパノール溶液に浸漬させ、この状態で70℃・30分間の条件で処理した。
そして、浸漬後の積層物をエタノール溶液で洗浄することにより、導電層上に、AlOからなる無機材料層を形成した。
(無機材料層への色素の吸着)
次に、アセトニトリルとtert−ブタノールとを1:1の割合で混合した混合溶液に、増感色素N719を0.3mMの濃度で溶解させた色素溶液を調整した。
そして、この色素溶液中に、無機材料層までを形成した積層物を20時間で浸漬させることにより、上記の増感色素を無機材料層に吸着させた。
上記各手順により、AlOからなる無機材料層に色素が吸着した、実施例1の光電極を作製した。
[実施例2]
(絶縁性を有する無機材料層の形成)
上記実施例1と同様の手順で導電層までが形成された積層物を、酸化マグネシウム(MgO)を0.5質量%で含有したイソプロパノール溶液に浸漬させ、この状態で、70℃・30分間で処理した。
その後、上記処理後の積層物をエタノール溶液で洗浄し、MgOからなる無機材料層までが形成された積層物を得た。
そして、その後の工程は上記実施例1と同様として、MgOからなる無機材料層に色素が吸着した、実施例2の光電極を作製した。
[比較例1]
(半導体層の形成)
FTO膜を配したガラス基板上に、ソラロニクス社の酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide TL)を、ブレード法を用いて印刷した。
そして、120℃・30分間で低温乾燥させることで多孔質構造の半導体層を形成した後、この半導体層に、実施例1と同様の手順で色素を吸着させることにより、比較例1の光電極を作製した。
[比較例2]
(半導体層の形成)
上記実施例1と同様の手順で導電層までが形成された積層物を、チタンテトライソプロポキシドを0.5質量%で含有したイソプロパノール溶液に浸漬させ、この状態で、70℃・30分間で処理した。
その後、上記処理後の積層物をエタノール溶液で洗浄し、TiOからなる半導体層までが形成された積層物を得た。
そして、その後の工程は上記実施例1と同様として、半導体層に色素が吸着した比較例2の光電極を作製した。
[比較例3]
無機材料層を形成せずに、導電層に色素を吸着させた点以外は、実施例1と同様の手順で、比較例3の光電極を作製した。
下記表1に、上記実施例1、2及び比較例1〜3で作製した光電極の層構成の一覧を示す。
Figure 0006196547
なお、表1中において、比較例1〜3は無機材料層を使用しなかった例であり、これらのうち、比較例1〜2は、導電層上に無機材料層を形成するのではなく、従来と同様の半導体層を形成した例である(比較例2は、特許文献2と同様の層構造とされている)。また、比較例3は、無機材料層や半導体層を形成せず、導電層に色素を吸着させた例である。
[評価項目及び評価方法]
(色素増感太陽電池の作製)
上記実施例1、2及び比較例1〜3で作製した光電極と、白金製の対向電極とを、厚さ30μmの樹脂性ガスケット(セパレーター:商品名;ハイミラン)を介して重ね合せてクリップ止めした。
そして、光電極と対向電極との間に電解液を注入することにより、各例の色素増感太陽電池を組み立てた。なお、上記の対向電極は、ガラス基板の表面に白金がコーティングされた構成を有する。また、電解液としては、0.05M:ヨウ素、0.6M:ジメチルプロピルイミダゾリウムヨージド、0.1M:ヨウ化リチウムを、溶媒であるアセトニトリルに溶解して得られた電解液を用いた。
(色素増感太陽電池の暗電流の測定)
次に、上記手順で得られた色素増感太陽電池の暗電流を測定した。
この暗電流とは、太陽光が入射しない状態で測定した電流値であり、通常の太陽光を照射した状態で測定した場合とは逆の電流値特性を確認するものである。
再結合頻度を評価するための指標として、暗状態(太陽光が入射しない状態)でのIV曲線を実測で取得し、0Vにおける傾きを並列抵抗として評価した。この並列抵抗は、電圧をδV微小変化させた場合のリーク電流δIで、[並列抵抗]=δV/δIで表され、並列抵抗が大きいほどリーク電流δIが小さくなる。同一バイアスにおけるリーク電流の流れやすさは、逆反応(即ち再結合反応)の発生のしやすさを示すものであり、並列抵抗が大きいほど逆反応が発生しにくいことを意味する。
下記表2に、各実施例及び比較例の評価試験結果を示す。
Figure 0006196547
[評価結果]
表2の結果に示すように、本発明に係る構成、即ち、導電層、無機材料層及び色素がこの順で連続する複合層を有してなる光電極を用いて作製した実施例1、2の色素増感太陽電池は、比較例1〜3に比べて並列抵抗が大きな値となり、再結合(逆反応)頻度が低いことが明らかとなった。
これに対し、比較例1で作製した色素増感太陽電池は、導電層上に多孔質の半導体層が形成された構成の光電極を用いたため、並列抵抗が803(Ω)と、実施例1、2に比べて低く、再結合頻度が高いものであることが確認された。
また、比較例2で作製した色素増感太陽電池も、導電層を半導体層で被覆した構成の光電極を用いたため、並列抵抗が407(Ω)と、比較例1よりもさらに低く、再結合頻度が非常に高いものであることが確認された。
また、比較例3で作製した色素増感太陽電池は、導電層上に直接色素を積層した構成の光電極を用いたため、並列抵抗が615(Ω)と、実施例1、2に比べて低く、上記同様、再結合頻度が高いものであることが確認された。
上記実施例の結果により、本発明に係る光電極及びこれを備えてなる色素増感太陽電池は、再結合反応が発生するのが抑制されるので、高い電流値が得られ、変換効率に優れることが明らかである。
以上で説明した各実施形態及び各実施例における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態及び各実施例によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明に係る光電極及びその製造方法、並びに、光電極を備えてなる色素増感太陽電池は、太陽電池の分野において広く適用可能である。
1…光電極、
10…複合層、
11…基材、
12…導電層、
12a…芯材、
12b…導電材料膜、
13…無機材料層、
14…色素、
14a…色素吸着基、
A…色素主骨格、
2…色素増感太陽電池、
21…対向基材、
22…対向電極、
23…電解質、

Claims (10)

  1. 基材上に、少なくとも、導電層、無機材料層及び色素がこの順で連続する複合層を有してなり、
    前記導電層は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなる芯材が、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化インジウム/酸化亜鉛、及びガリウムドープ酸化亜鉛のうちの何れかからなる導電材料膜で被覆されたコアシェル構造の粒子からなる透明の導電膜であり、
    さらに、前記無機材料層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなることを特徴とする光電極。
  2. 基材上に、少なくとも、導電層、無機材料層及び色素がこの順で連続する複合層を有してなり、
    前記導電層は、有機材料からなる芯材が、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化インジウム/酸化亜鉛、及びガリウムドープ酸化亜鉛のうちの何れかからなる導電材料膜で被覆されたコアシェル構造の粒子からなる透明の導電膜であり、
    さらに、前記無機材料層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなることを特徴とする光電極。
  3. 前記導電層が前記無機材料層で被覆されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電極。
  4. 前記複合層は、前記無機材料層に前記色素が吸着し、且つ、前記無機材料層の表面の少なくとも一部が前記色素で被覆されるように連続してなる層であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光電極。
  5. 前記複合層は、前記導電層と前記無機材料層とからなる多孔質構造とされていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか一項に記載の光電極。
  6. 前記無機材料層の厚みが0.2〜5nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか一項に記載の光電極
  7. 前記無機材料層を構成する無機材料が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、酸化ジルコニウムのうちの何れかであることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の光電極。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の光電極を製造する方法であって、
    少なくとも、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料、又は有機材料からなる芯材が、スズドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化スズ、アルミドープ酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化インジウム/酸化亜鉛、及びガリウムドープ酸化亜鉛のうちの何れかからなる導電材料膜で被覆されたコアシェル構造の粒子からなる透明の導電層の表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化バナジウム、及び酸化ジルコニウムのうちの何れかの無機材料からなる無機材料層を積層した後、該無機材料層に色素を吸着させる工程を備えることを特徴とする光電極の製造方法。
  9. 前記導電層を、粉体吹付法により、前記コアシェル構造の粒子を前記基材上に吹き付け、多孔質構造で形成することを特徴とする請求項8に記載の光電極の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の光電極を備えてなることを特徴とする色素増感太陽電池。
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