JP6195777B2 - 複屈折の測定方法、マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

複屈折の測定方法、マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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本発明は、透光性物品における複屈折の測定方法に関する。また、本発明は、マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程では、露光装置を用いて、転写対象物(例えば、ウェハ上のレジスト膜)に露光転写している。具体的に、露光装置では、露光光源から照明光学系を経由した露光光を転写用マスクに照射して透過させ、縮小光学系を経て、転写対象物に縮小された転写パターン像を露光することで、パターンを転写することを行っている。
また、この露光光の光源は、短波長化が進んでおり、近年の半導体デバイスを製造する工程では、ArFエキシマレーザー(波長193nm)が露光光として主に使用されている。近年の半導体デバイスは、パターンの微細化が進んだ結果、転写対象物に転写されるパターン像の解像度向上トレンドが停滞してきていた。
この問題を解消するために、ArFエキシマレーザー露光光の偏光状態を照明光学系で直線偏光等に制御してから、転写用マスクに入射させる偏光照明技術が開発された。しかし、この偏光照明技術を用いた場合、使用される転写用マスクによっては、所望の転写像が得られない場合がある。
例えば、偏光照明技術が開発される以前から、転写用マスクに使用されている基板としては、合成石英ガラス基板が主に用いられている。そして、それまでの合成石英ガラス基板では、複屈折について、特に考慮されていなかった。しかし、露光光に偏光照明が用いられる場合、基板の複屈折量が大きい部分が存在すると、その部分を透過した露光光の偏光状態が、その他の正常部分を透過した露光光の偏光状態とは変わってしまい、縮小光学系で結像したときに焦点位置が合わなくなったり、結像した像が本来転写すべき像から変わってしまったりする問題が生じる。
このため、従来、偏光照明技術が用いられる転写用マスクの基板については、複屈折測定装置によって、基板の複屈折量を測定し、所定値以下(例えば、4nm/cm)のものを選定して使用することで対応していた(例えば、特許文献1、参照)。また、従来、基板の複屈折量を測定する装置としては、例えば、特許文献2に記載されているような装置が知られている。
この複屈折測定装置は、基準軸から所定角度の偏光した状態の検査光を測定対象物(基板)の一方の面(主表面)に照射する。そして、対向するもう一方の面(対向する主表面)から出射してきた検査光をビームスプリッターで2つに分離する。そして、分離した2つの検査光を、基準軸からの偏光の角度がそれぞれ異なる光を分析する2つの分析器にそれぞれ入射させ、各分析結果を基に、測定箇所の複屈折量とその複屈折量が最大となる角度を算出するようになっている。
また、従来、マスクブランクを用いて作製した転写用マスクに対しては、その形成したパターンが基準を満たしているかを、マスク検査装置を用いて検査している。しかし、転写用マスクのパターンの微細化が進んだ結果、マスク検査の場合においても、解像性向上が停滞し、検査精度向上が停滞する問題が生じていた。このため、近年、マスク検査に用いる検査光についても、偏光された光(円偏光等)の適用が始まっている(例えば、特許文献3、参照)。
特開2006−267997号公報 特表2002−504673号公報 特開2009−003172号公報
上記背景の下、本発明者は、円偏光を用いた検査手法を開発している(特願2013−081860号)。具体的には、円偏光の検査光を透光性基板に対して照射し、透過した検査光を互いに波面が直交する2つの直線偏光に分離し、分離した2つの直線偏光から光量比率を算出することを行う。その光量比率を基準(波長193nmの検査光を用いるマスク検査装置で測定したときの相対透過率が95%以上、複屈折が20nm/cmに相当、となる光量比率を基準値とする。)に、マスクブランク用基板として適する透光性基板を選定する発明である。
本発明者は、鋭意検討した結果、以下のことがわかった。すなわち、上記発明で導き出される光量比率を用いて、複屈折が5nm/cm以下、さらには、2nm/cm以下の透光性基板を選定することは、光量比率の測定精度が低すぎて困難であることが判明した。
上記発明では、検査光の光源の光量が、測定箇所ごと、あるいは枚葉ごとで変動することを技術的課題としており、光量比率の概念を導入することである一定の解決を図ることはできている。しかし、光量比率を導入しても、2つの光量測定器(受光器)の精度、検査光源(レーザー光源)から照射される光(直線偏光)を円偏光に変換する1/4波長板の精度、透光性基板を透過した検査光を2つの直線偏光に分離するウォラストンプリズムや偏光ビームスプリッターの精度等の誤差が存在するため、より低い複屈折の基準値で透光性基板を選定することは、困難であることがわかった。
また、上記発明では、透光性基板を透過した検査光をウォラストンプリズム等に入射させる際、検査光の偏光面とウォラストンプリズム等の相対位置が常に同じ状態にしかならない。よって、透光性基板を透過して楕円偏光に偏光した検査光を、ウォラストンプリズム等で最大の振幅の直線偏光と最小の振幅の直線偏光に分離できるとは限らない。上記発明では、2つの直線偏光から算出される光量比率の最大値と最小値が算出されているとは限らないため、正確な複屈折値を算出することが困難であった。
本発明の目的は、複屈折が低い傾向を有する透光性物品(透光性基板等)の複屈折値をより高い精度で測定することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)
対向する1組の表面を有する透光性物品における複屈折の測定方法であって、
光源ユニットから出射される円偏光の検査光を一方の前記表面の測定箇所から前記透光性物品の内部に入射し、他方の前記表面から出射した検査光を1/2波長板を透過させてから、光分離器によって波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、2つの光量測定器で前記2つの直線偏光をそれぞれ受光して光量を測定し、前記2つの直線偏光の光量測定値のうち、いずれか一方の光量測定値を、前記2つの直線偏光の光量測定値の和で除して光量比率を算出する工程を、同じ前記測定箇所で、前記1/2波長板を回転させることにより前記光分離器に入射する検査光の偏光面の角度の条件を変えて複数回行い、前記1/2波長板の回転角度と前記光量比率との対応関係である第1対応関係を取得する工程と、
前記光源ユニットと前記1/2波長板の間に前記透光性物品を配置しない状態とすることを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である基準対応関係を取得する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第1対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
前記第1対応関係の相対光量比率を用い、予め取得して置いた相対光量比率と複屈折値との対応関係から前記測定箇所の複屈折値を取得する工程と
を有することを特徴とする複屈折の測定方法。
(構成2)
対向する1組の表面を有する透光性物品における複屈折の測定方法であって、
光源ユニットから出射される円偏光の検査光を一方の前記表面の測定箇所から前記透光性物品の内部に入射し、他方の前記表面から出射した検査光を1/2波長板を透過させてから、光分離器によって波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、2つの光量測定器で前記2つの直線偏光をそれぞれ受光して光量を測定し、前記2つの直線偏光の光量測定値のうち、いずれか一方の光量測定値を、前記2つの直線偏光の光量測定値の和で除して光量比率を算出する工程を、同じ前記測定箇所で、前記1/2波長板を回転させることにより前記光分離器に入射する検査光の偏光面の角度を変えて複数回行い、前記1/2波長板の回転角度と前記光量比率との対応関係である第1対応関係を取得する工程と、
前記光源ユニットと前記1/2波長板の間に前記透光性物品を配置しない状態とすることを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である基準対応関係を取得する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第1対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
前記透光性物品と検査光とを、前記検査光の進行方向を回転軸として相対的に90度回転させたことを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である第2対応関係を取得する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第2対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である第2対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の相対光量比率と前記第2対応関係の相対光量比率で平均値を算出する工程と、
前記第1対応関係の相対光量比率と前記平均値との差から、または前記第2対応関係の相対光量比率と前記平均値との差から補正相対光量比率を算出する工程と、
前記補正相対光量比率を用い、予め取得して置いた補正相対光量比率と複屈折値との対応関係から前記測定箇所の複屈折値を取得する工程と
を有することを特徴とする複屈折の測定方法。
(構成3)
前記第1対応関係の相対光量比率または前記第2対応関係の相対光量比率から算出された補正相対光量比率と前記1/2波長板の回転角度の対応関係からフィッティング関数を取得する工程をさらに有し、前記複屈折値を取得する工程は、前記フィッティング関数から算出される補正相対光量比率を用いて前記測定箇所の複屈折値を取得する工程であることを特徴とする構成2記載の複屈折の測定方法。
(構成4)
前記フッティング関数は、三角関数の項を含む関数であることを特徴とする構成3記載の複屈折の測定方法。
(構成5)
前記第1対応関係、第2対応関係および基準対応関係は、同じ前記1/2波長板の回転角度に対応する光量比率を3方位以上の角度でともに取得していることを特徴とする構成3または4に記載の複屈折の測定方法。
(構成6)
前記フィッティング関数の取得は、最小2乗法を用いて行われることを特徴とする構成3から5のいずれかに記載の複屈折の測定方法。
(構成7)
対向する1組の表面を有する透光性物品における複屈折の測定方法であって、
光源ユニットから出射される円偏光の検査光を一方の前記表面の測定箇所から前記透光性物品の内部に入射し、他方の前記表面から出射した検査光を1/2波長板を透過させてから、光分離器によって波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、2つの光量測定器で前記2つの直線偏光をそれぞれ受光して光量を測定し、前記2つの直線偏光の光量測定値のうち、いずれか一方の光量測定値を、前記2つの直線偏光の光量測定値の和で除して光量比率を算出する工程を、同じ前記測定箇所で、前記1/2波長板を回転させることにより前記光分離器に入射する検査光の偏光面の角度を変えて複数回行い、前記1/2波長板の回転角度と前記光量比率との対応関係である第1対応関係を取得する工程と、
前記光源ユニットと前記1/2波長板の間に前記透光性物品を配置しない状態とすることを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である基準対応関係を取得する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第1対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
前記透光性物品と検査光とを、前記検査光の進行方向を回転軸として相対的に90度回転させたことを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である第2対応関係を取得する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第2対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である第2対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の相対光量比率と前記第2対応関係の相対光量比率で平均値を算出する工程と、
前記透光性物品における別の測定箇所または別の透光性物品における測定箇所に対し、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である第3対応関係を取得する工程と、
前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第3対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第3対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
前記第3対応関係の相対光量比率と前記平均値との差から、前記第3対応関係の補正相対光量比率を算出する工程と、
前記補正相対光量比率を用い、予め取得して置いた補正相対光量比率と複屈折値との対応関係から、前記透光性物品における別の測定箇所または前記別の透光性物品における測定箇所の複屈折値を取得する複屈折値取得工程と
を有することを特徴とする複屈折の測定方法。
(構成8)
前記第3対応関係の相対光量比率から算出された補正相対光量比率と前記1/2波長板の回転角度の対応関係からフィッティング関数を取得する工程をさらに有し、前記複屈折値を取得する工程は、前記フィッティング関数から算出される補正相対光量比率を用いて前記測定箇所の複屈折値を取得する工程であることを特徴とする構成6記載の複屈折の測定方法。
(構成9)
前記フッティング関数は、三角関数の項を含む関数であることを特徴とする構成8記載の複屈折の測定方法。
(構成10)
前記第1対応関係、第2対応関係、第3対応関係および基準対応関係は、同じ前記1/2波長板の回転角度に対応する光量比率を3方位以上の角度でともに取得していることを特徴とする構成8または9に記載の複屈折の測定方法。
(構成11)
前記フィッティング関数の取得は、最小2乗法を用いて行われることを特徴とする構成8から10のいずれかに記載の複屈折の測定方法。
(構成12)
前記光源ユニットは、レーザー光源と1/4波長板を備え、前記円偏光の検査光は、レーザー光源から射出された直線偏光を、1/4波長板を透過させて得られたものであることを特徴とする構成1から11のいずれかに記載の複屈折の測定方法。
(構成13)
前記透光性物品は、透光性基板であり、前記透光性基板に対して、構成1から12のいずれかに記載の複屈折の測定方法を適用して取得した複屈折値が所定値以下の透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を有することを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
(構成14)
構成13記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成15)
構成14記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクのパターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成16)
構成15記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
本発明によれば、複屈折が低い傾向を有する透光性物品(透光性基板等)の複屈折値をより高い精度で測定することができる。
測定装置100の構成の一例を示す図である。 透光性基板10を用いて製造されるマスクブランク20及び転写用マスク30の一例を示す図である。図2(a)は、マスクブランク20の構成の一例を示す。図2(b)は、転写用マスク30の構成の一例を示す。 1/2波長板104の回転角度θと、光量比率R10,R190,R1aとの各対応関係を示す図である。 1/2波長板104の回転角度θと、相対光量比率R10s,R190sおよび平均値R1avとの各対応関係を示す図である。 相対光量比率R10s,R190sに対して、近似関数でフィッティングを行った結果を示す図である。 補正相対光量比率R10sc,R190scに対して、近似関数でフィッティングを行った結果を示す図である。 相対光量比率R10sまたは補正相対光量比率R10scの最大値と、相対光量比率R190sまたは補正相対光量比率R190scの最大値を、種々の条件で取得し、比較した図である。 種々の回転角度θの測定数(方位数)で取得した1/2波長板104の回転角度θと相対光量比率R10sまたは補正相対光量比率R10scとの各対応関係から取得した各近似関数からそれぞれ算出した相対光量比率R190sまたは補正相対光量比率R190scの最大値を比較した図である。 複屈折値と相対光量比率または補正相対光量比率との相関を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[測定装置]
図1は、本発明の実施の形態にかかる測定装置の装置構成を説明する図である。
図1に示すように、測定装置100は、検査光のルート順に、検査光の光源であるレーザー光源102と1/4波長板(λ/4板)103とを備えた光源ユニット101、複屈折の測定対象物である透光性物品(透光性基板等)10、1/2波長板(λ/2板)104、偏光ビームスプリッター(光分離器)108、2つのパワーメーター(光量測定器)106a,106bで構成される。
詳しい説明は、後述する[測定装置]と同様である。
光源ユニット101は、検査光を発生する光源を有し、透光性物品(透光性基板)10の一方の表面(主表面)の測定箇所へ向けて、円偏光に偏光された単一波長の光を発生する。本例において、光源ユニット101は、主に、レーザー光源102と、1/4波長板(円偏光変換器)103とからなる。レーザー光源102から発生したレーザー光(直線偏光)は1/4波長板(円偏光変換器)103で円偏光に変換され、検査光として、支持部材(基板ホルダー)に載置された透光性物品(透光性基板)10の表面(主表面)の測定箇所へ垂直に入射する。
レーザー光源102から発せられるレーザー光の波長は、特に制限されない。測定対象物である透光性物品が、転写用マスクに用いられる透光性基板の場合であっても、その転写用マスクが適用される露光光の波長と同じである必要はない。また、転写用マスクのパターン検査の際に使用される検査光の波長と同じである必要もない。レーザー光源の波長は、可視光域(波長360nm〜830nm)の範囲であると好ましく、波長450nm〜750nmの範囲であるとより好ましい。レーザー光源に、ArFエキシマレーザーやKrFエキシマレーザー等のDUV光を適用すると、1/4波長板103、1/2波長板104、パワーメーター106a,106b等、全ての機材をそれに対応したものにする必要があり、測定装置100の製造コストが高くなる。また、DUV光用の機材は、一般に、可視光用の機材に比べて比較的寿命が短い。
光源ユニット101と透光性物品10とは相対的に移動できる。これにより、検査光の入射位置を透光性物品10の表面内で走査できる。これにより、光源ユニット101は、透光性物品10の表面の各位置を、順次検査対象位置(測定箇所)とすることができる。
偏光ビームスプリッター108は、透光性物品10から出射する検査光を2つの直線偏光に分離する光学部材の一例であり、支持部材に載置された透光性物品10を挟んで光源ユニット101と反対側に設けられ、透光性基板10を透過し、さらに1/2波長板104を透過した検査光を波面が互いに直交する2つの直線偏光(直線偏光ビーム)に分割して取り出す。また、複数のパワーメーター106a,106bは、偏光ビームスプリッター108により分割された各直線偏光の光量をそれぞれ測定(計測)する光量測定器である。2つのパワーメーター106a,106bは、偏光ビームスプリッター108から出射するP偏光及びS偏光の光のそれぞれの方向に設けられている。
このように構成した場合、光源ユニット101から照射された円偏光の検査光は、偏光ビームスプリッター108に入射するまでの間に、透光性物品10内で光学的特性が不均一な領域が存在するとその影響を受けることとなる。より具体的には、例えば、検査光の経路において、透光性物品10内に複屈折が大きい領域が存在し、その影響を受けた場合、透光性物品10を透過した後の検査光は楕円偏光になる。この場合、偏光ビームスプリッター108により分割される2つの直線偏光の光量に差が生じる。また、パワーメーター106a,106bの光量測定値に差が生じる。そして、2つのパワーメーター106a,106bの光量測定値に基づいて、透光性物品10内の複屈折を適切に検出できる。
円偏光の検査光が透光性物品10内で複屈折の影響を受けていない場合、理論上、円偏光の状態のままで偏光ビームスプリッター108に入射する。そして、偏光ビームスプリッター108により分割される2つの直線偏光の光量は等しくなる。また、パワーメーター106a,106bの光量測定値も等しくなる。光学ユニット101では、レーザー光源102から発せられるレーザー光(直線偏光)が円偏光に変換されるように、それに適した1/4波長板103が選定され、レーザー光の入射角度等も調整されている。しかし、実際には、1/4波長板104自体にも公差が存在し、調整角度等にも微小な誤差が生じることが避けられない。このため、1/4波長板103を透過したレーザー光は、完全な円偏光でなくわずかに楕円偏光となっている。
本発明では、このような1/4波長板103の公差や調整の誤差に基づく影響を効果的に補正できる。このため、1/4波長板103の公差(直線偏光の位相を90[deg]だけシフトさせる機能に対する公差)の許容範囲に特に制約はないが、公差が±3[deg]の範囲であると好ましく、±2[deg]の範囲であるとより好ましい。
1/2波長板104においても、それ自体に公差が存在し、調整角度等にも微小な誤差が生じることも避けられない。本発明では、このような1/2波長板104の公差や調整の誤差に基づく影響を効果的に補正できる。このため、1/2波長板104の公差(円偏光の位相を180[deg]だけシフトさせる機能に対する公差)の許容範囲に特に制約はないが、公差が±3[deg]の範囲であると好ましく、±2[deg]の範囲であるとより好ましい。
完全な円偏光の検査光が偏光ビームスプリッター108に入射した場合であっても、その偏光ビームスプリッター108で分割された2つの直線偏光の光量が完全に同じとすることは難しい。偏光ビームスプリッター109自体に公差が存在し、調整角度等にも微小な誤差が生じることが避けられないためである。本発明では、このような偏光ビームスプリッター108の公差や調整の誤差に基づく影響を効果的に補正できる。
また、2つの直線偏光の光量を測定する2つのパワーメーター106a,106bにおいて、機器間の公差が存在することは避けられない。本発明では、2つのパワーメーター106a,106bで2つの直線偏光の光量を測定する工程と、その工程で測定された2つの直線偏光の各光量測定値から、例えばコンピュータによって、光量比率を算出する工程を備えている。より具体的には、例えば、パワーメーター106aの光量測定値をM1、パワーメーター106aの光量測定値をM2とした場合、光量比率R1=M1/(M1+M2)、光量比率R2=M2/(M1+M2)の少なくともいずれか一方の計算を行う。この光量比率を算出する工程を適用することで、パワーメーター106a,106bにおける機器間の公差の問題は軽減できる。一方、1/4波長板103の公差や調整の誤差に基づく影響を効果的に補正できる。
なお、測定装置100の構成については、上記図1を用いて説明した構成以外に、各種変更が可能である。図1では、光分離器108として偏光ビームスプリッターを適用しているが、これに代えて、ウォラストンプリズムを用いることができる。1/2波長板104は、1/4波長板を2枚、光学軸の向きを揃えて重ね合わせたものとしてもよい。このように、1/2波長板104は、直交する偏光成分の間に180[deg]の位相差を生じさせる複屈折素子であればよい。
光分離器108は、偏光ビームスプリッターやウォラストンプリズムと同等の光学的作用が得られる構成を用いることも考えられる。例えば、ビームスプリッターまたはハーフミラー等を用い、透光性物品10を透過した検査光を、偏光状態を維持したまま分割することも考えられる。この場合、分割した光の一方から1/4波長板等でP偏光の光を取り出し、他方から1/4波長板等でS偏光の光を取り出せばよい。この場合も、P偏光及びS偏光のそれぞれの光量をパワーメーター106a,106bで測定することにより、光量比率を算出することができる。
レーザー光源102から出射された段階でのレーザー光は、その拡がり角は小さいが拡散光の状態である。このレーザー光を本発明の透光性物品における複屈折の測定方法で使用するには、検査光として適用可能な範囲の平行性を有する平行光にする処理が望まれる。このため、レーザー光源102と1/4波長板(円偏光変換器)103の間にコリメータレンズ等の平行光変換器を配置することが好ましい。
一方、パワーメーター106a,106bによる2つの直線偏光の光量を測定する工程時、レーザー光源102から安定した光量でレーザー光が出射されることが望まれる。しかし、レーザー光の反射光がレーザー光源102に戻るような状態になっていると、その反射光(戻り光)によってレーザー光源102からのレーザー光の発振が不安定になる傾向がある。このため、レーザー光源102に対し、いずれかで反射されたレーザー光が戻らないような手段を講じることが望ましい。
レーザー光源102から出射したレーザー光がコリメータレンズの表面に当たった時に、そのレーザー光の一部が反射し、それが戻り光となる場合がある。この場合の解決手段としては、例えば、レーザー光源102とコリメータレンズを、レーザー光の光軸からコリメータレンズの中心を平行に微小にシフトさせた位置関係とすることが考えられる。そのような位置関係にあると、コリメータレンズに入射したレーザー光はその光軸から傾斜した角度で反射され、レーザー光源に戻ることはない。また、1/4波長板等の円偏光変換器103からの反射光が戻り光になる場合がある。この場合の解決手段としては、例えば、1/4波長板103の入射面を、その表面に対して入射するレーザー光の光軸に対して垂直な位置から微小に傾斜させた位置に配置することが考えられる。
測定対象物である透光性物品10の表面からのレーザー光の反射光が戻り光になる場合がある。この場合の解決手段としては、例えば、透光性物品10の表面を、その表面に対して入射するレーザー光の光軸に対して垂直な位置から微小に傾斜させた位置に配置することが考えられる。偏光ビームスプリッターやウォラストンプリズム等の光分離器108からのレーザー光の反射光が戻り光になる場合がある。この場合の解決手段としては、例えば、偏光ビームスプリッターやウォラストンプリズム等の表面を、その表面に対して入射するレーザー光の光軸に対して垂直な位置から微小に傾斜させた位置に配置することが考えられる。
[第1の実施形態に係る測定方法]
次に、本発明の第1の実施形態にかかる複屈折の測定方法について説明する。
上記測定装置を用いたこの第1の実施形態に係る複屈折の測定方法(算出方法)の手順は、以下のようになる。
(1−1) レーザー光源102から照射された検査光は、1/4波長板103を透過する際に円偏光に偏光される。
(1−2) 円偏光の検査光を、測定対象物10の対向する2つの表面のうちの一方の表面における測定箇所から入射し、他方の表面から出射させる。
(1−3) 他方の表面から出射した検査光は、1/2波長板104を透過した後、偏光ビームスプリッター108で互いに波面が直交する2つの直線偏光に分離される。
(1−4) 分離された2つの直線偏光は、それぞれパワーメーター106a,106bで受光され、各光量値M10,M20が計測される。
(1−5) 計測された直線偏光の光量値M10,M20から、光量比率R10[%]=M10/(M10+M20)、または光量比率R20[%]=M20/(M10+M20)を算出する。
(1−6) 1/2波長板104を所定角度Δθで回転させることで、他方の表面から出射した検査光の偏光方位(偏光面の角度)を所定角度Δ2θだけ回転させた状態での光量比率が取得できる。この工程を1つの測定箇所で繰り返し行うことで、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と光量比率R10またはR20との対応関係(第1対応関係)を取得する。
(1−7) 光源ユニット101(1/4波長板103)と1/2波長板104との間に測定対象物10を配置しない状態とすることを除いて同じ条件で、(1−1)〜(1−6)の工程を行う。この場合、1/4波長板103を透過した円偏光の検査光は、空気中のみを通過した状態のままで1/2波長板104に入射することになる。これにより、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と空気中のみを通過した光量比率である基準光量比率R1a[%]=M1a/(M1a+M2a)またはR2a[%]=M2a/(M1a+M2a)との対応関係を取得する。理論上では、基準光量比率R1a,R2aはともに50[%]になるはずであるが、実際には後述の理由で50[%]にはならない。
(1−8) 各対応関係から、同じ1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)に対応する、測定対象物10を透過した検査光から算出された光量比率(第1対応関係の光量比率)R10またはR20と、空気中のみを透過した検査光から算出された光量比率である基準光量比率R1aまたはR2aとの差を算出し、これを相対光量比率R10s[%](R10s=R10−R1a、またはR1a−R10)またはR20s[%](R20s=R20−R2a、またはR2a−R20)とし、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と対応付けする(第1対応関係と対応付けする。)。
(1−9) 上記本発明の測定装置自体では、複屈折の数値を直接測定することはできない。そこで、本発明の第1の実施形態にかかる測定方法では、複屈折値(複屈折量)を測定できる複屈折測定装置(例えば、HINDS社製 HINDS Exicor(R) 193 DUV等)で測定して複屈折値が既知の透光性物品の特定箇所に対し、本発明の測定装置で相対光量比率R10sb[%]またはR20sb[%]を取得する作業を行い、複屈折値と相対光量比率R10sbまたはR20sbとの対応関係を予め取得しておく。そして、測定対象物10の測定箇所に対して上記本発明の測定装置で取得した相対光量比率R10sまたはR20sを、その対応関係にあてはめることで、複屈折値を取得する。
測定箇所に複屈折が全くない場合を除き、相対光量比率R10sまたはR20sの数値は、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)の数値の変化に連動して上下に振動する。複屈折値と相対光量比率R10sbまたはR20sbとの対応関係にあてはめる相対光量比率R10sまたはR20sの数値は、取得した1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と相対光量比率R10sまたはR20sとの対応関係(第1対応関係)の最大値(振動の最大および最小ピーク値の絶対値の中で最大値)とすることが好ましい。また、相対光量比率R10sまたはR20sの振幅における各ピークの絶対値の平均値を複屈折値の取得に用いてもよい。
(1−10) さらに、マスクブランク用基板の製造方法に適用する場合は、マスクブランク用基板の形状に加工され、表面が研磨された透光性基板(ガラス基板)に対して上記測定方法を適用して取得した複屈折値(あるいは相対光量比率R10sまたはR20s)が所定値以下の透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を含める。この場合、円偏光の検査光が透光性基板における一方の主表面の所定測定箇所から入射し、他方の主表面から出射するように、透光性基板を配置することが好ましい。
本発明の複屈折の測定方法で測定対象とする透光性物品は、複屈折が小さい(例えば、5nm/cm以下)材料で形成されたものである。この測定対象となる透光性物品としては、ガラス材料で形成されていることが好ましく、合成石英ガラスで形成されているとより好ましい。偏光照明技術が適用される転写用マスクに用いられる透光性基板においても、同様に複屈折が小さい材料(例えば、5nm/cm以下)で形成されている。本発明は、このような複屈折が小さい材料で形成されている透光性物品や透光性基板の複屈折値をより高い精度で測ろうとする発明である。
本発明で測定する複屈折値の領域では、その複屈折値の領域内にある透光性物品に対して、上記の測定装置100で光量比率R10,R20を取得した場合、その透光性物品の複屈折に起因する光量比率R10,R20の変化量よりも、測定装置100自体の公差に起因する光量比率R10,R20への影響の方が大きくなる傾向がある。このため、光量比率R10,R20と複屈折測定装置での複屈折値との対応関係を用いて、透光性物品の複屈折値を取得してもその精度は低くなってしまう。この測定装置100自体の公差には、例えば、1/4波長板103や1/2波長板104の部品自体のリタデーションに起因する公差や、部品を装置に設置した際の回転角に起因する公差などがあり、これらをゼロにすることは困難である。
図3は、複屈折が低い透光性基板において、その主表面の複屈折値が既知(1.5nm/cm)である測定箇所に対し、測定装置100を用い、この第1の実施形態の測定方法における(1−1)〜(1−6)までの工程を行って取得した1/2波長板104の回転角度θ[deg]と光量比率R10[%]との対応関係をプロット(図中のR10)したものである(詳細については、[実験例]で後述する。)。また、図3には、(1−7)の工程を行って取得した、1/2波長板104の回転角度θ[deg]と空気中のみを通過した光量比率である基準光量比率R1a[%]との対応関係もプロット(図3中のR1a)されている。
基準光量比率R1aは、空気中のみを通過した検査光から算出された光量比率であるので、理論上は、1/2波長板104を回転させても光量比率は50%で一定となるはずである。2つのパワーメーター106a,106bの間の機差があったとしても、1/2波長板104の回転角θにかかわらず光量比率は一定値となるはずである。しかし、実際には、図3のR1aのプロットで示されているように、装置100自体の公差の影響を受けて、1/2波長板104の回転角θによって大きく振動してしまっている。
図3における光量比率R10のプロットは、1/2波長板104の回転角θによって54%台〜47%台の間で大きく振動している。しかし、この振動は、測定装置100自体の公差によって生じている基準光量比率R1aの振動の影響を大きく受けたものであり、この光量比率R10を用いて複屈折値を取得しても正確な値にはならない。透光性基板の複屈折に起因する光量比率R10の変動は、基準光量比率R1aの振動の影響を除去した、同じ1/2波長板104の回転角θにおける光量比率R10と基準光量比率R1aとの差になる。この光量比率R10と基準光量比率R1aとの差は、基準光量比率R1aの振動の振幅に比べて大幅に小さい。
これらのことから、本発明の第1の実施形態に係る複屈折の測定方法では、測定対象物である透光性物品の測定箇所における光量比率R10またはR20と、空気中のみを透過した検査光から算出された光量比率である基準光量比率R1aまたはR2aとの差である相対光量比率R10sまたはR20sを算出し、これと1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と対応付けしている。そして、複屈折値が既知の透光性物品に対して、測定装置100を用いて相対光量比率R10sbまたはR20sbを算出し、相対光量比率R10sbまたはR20sbと複屈折値との対応関係を予め取得しておく。さらに、この相対光量比率R10sbまたはR20sbと複屈折値との対応関係から、算出した測定対象物の透光性物品の相対光量比率R10sまたはR20sの最大値(振動のピーク値、複数ピークの平均値等)に対応する複屈折値を取得し、これをその測定対象物である透光性物品の測定箇所における複屈折値としている。
図4は、図3で示した1/2波長板104の回転角度θ[deg]と光量比率R10[%]との対応関係と、1/2波長板104の回転角度θ[deg]と基準光量比率R1a[%]との対応関係とから、(1−8)の工程を行って取得した1/2波長板104の回転角度θ[deg]と相対光量比率R10s[%]との対応関係をプロット(図中のR10s)したものである(詳細については、[実験例]で後述する。)。図4における相対光量比率R10sのプロットは、1/2波長板104の回転角θによって−0.3%台〜+0.3%台の間で振動している。振動の振幅に多少の差はあるが、この振動成分のほとんどは、測定対象物の透光性物品の複屈折に起因するものである。相対光量比率の概念を導入したことで、装置100自体の公差による影響を大幅に低減できている。これにより、測定対象物の透光性物品の測定箇所における複屈折値を高い精度で取得できる。例えば、複屈折値が5nm/cm以下の透光性物品(透光性物品)を合格品(マスクブランク用基板)として選定する製法などに適用できる。
本発明では、測定対象物10を透過した検査光から算出された光量比率から空気中のみを透過した検査光から算出される光量比率である基準光量比率を差し引いて相対光量比率を算出することを行うため、測定装置100自体の公差に起因する影響の大部分をキャンセルできる。このため、測定装置100の内部で使用される部品(1/4波長板103,1/2波長板104等)の精度が過剰に高いものとしなくても、透光性物品の複屈折を高い精度で導出できる。
上記の本発明の第1の実施形態に係る複屈折の測定方法では、先に(1−1)〜(1−6)の工程を行って測定対象物10を透過した検査光から算出された光量比率を取得してから、(1−7)の工程を行って空気中のみを透過した検査光から算出される光量比率である基準光量比率を取得している。しかし、これに限らず、先に(1−7)の工程を行って空気中のみを透過した検査光から算出される光量比率である基準光量比率を取得してから、(1−1)〜(1−6)の工程を行って測定対象物10を透過した検査光から算出された光量比率を取得するようにしてもよい。また、測定装置100で複数の透光性物品に対して複屈折の測定をする場合や、透光性物品の表面の複数箇所で複屈折を測定する場合、(1−7)の空気中のみを透過した検査光から算出される光量比率である基準光量比率を取得する工程は一度行うだけでもよい。検査光から算出される光量比率である基準光量比率は、測定毎の取得値の差が非常に小さいためである。
第1の実施形態に係る複屈折の測定方法において、1/2波長板104の回転角θと光量比率R10との各対応関係は、回転角θの数値が所定角度Δθ刻みで取得され、対応する光量比率R10等も取得されている。(1−6)の工程等で行われる1/2波長板104を回転させる所定角度Δθは、2[deg]以下であることが好ましく、1[deg]以下であるとより好ましく、0.5[deg]以下であるとさらに好ましい。1/2波長板104をΔθ回転させると、この1/2波長板104を透過した検査光の方位はΔ2θだけ回転することになる。よって、検査光の偏光方位(偏光面の角度)の刻みΔ2θは、それぞれ、4[deg]以下(Δθ=2[deg]以下のとき)、2[deg]以下(Δθ=1[deg]以下のとき)、1[deg]以下(Δθ=0.5[deg]以下のとき)となる。
また、第1の実施形態に係る複屈折の測定方法において、1/2波長板104の回転角θと光量比率R10との各対応関係は、最初に光量比率R10を取得したとき(最初に光量値M10,M20を取得したとき)の1/2波長板104の回転角θを0[deg]とした場合、回転角θが45[deg]以上になるまで取得することが好ましく、90[deg]以上になるまで取得するとより好ましく、180[deg]以上になるまで取得するとさらに好ましい。
1/2波長板104の回転角θの範囲を0〜45[deg]とした場合、1/2波長板104を透過した検査光の偏光方位(偏光面の角度)2θは、0〜90[deg]となる。第1の形態に係る複屈折の測定方法では、透光性物品を透過した検査光は楕円偏光になっており、この楕円偏光を波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、その2つの直線偏光の光量値M10,M20を測定している。分離される楕円偏光の検査光の偏光方位(偏光面の角度)2θを0〜90[deg]の範囲で回転させ、光量値M10,M20を測定すると、各光量値M10,M20で振幅の最大ピークあるいは最小ピークのいずれかは測定することができる。そして、この光量値M10,M20の最大ピークあるいは最小ピークから最終的に取得できる相対光量比率R10またはR20を用いれば、高い精度で複屈折値を取得することができる。
また、1/2波長板104の回転角θの範囲を0〜90[deg]とした場合、1/2波長板104を透過した検査光の偏光方位(偏光面の角度)2θは、0〜180[deg]となる。楕円偏光の検査光の偏光方位(偏光面の角度)2θを0〜180[deg]の範囲で回転させ、光量値M10,M20を測定すると、各光量値M10,M20ともに振幅の最大ピークと最小ピークの両方を測定することができる。このため、さらに高い精度で複屈折値を取得することができる。
[第2の実施形態に係る測定方法]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる複屈折の測定方法について説明する。
上記測定装置を用いたこの第2の実施形態に係る複屈折の測定方法(算出方法)の手順は、以下のようになる。
(2−1)〜(2−8) 第1の実施形態に係る複屈折の測定方法における(1−1)〜(1−8)の工程を行い、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と光量比率R10またはR20との対応関係(第1対応関係)、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と空気中のみを通過した光量比率である基準光量比率R1aまたはR2aとの対応関係、波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と相対光量比率R10sまたはR20sとの対応関係をそれぞれ取得する。
(2−9) 透光性物品10と検査光(光源ユニット101)とを、検査光の進行方向を回転軸として相対的に90度回転させた(透光性物品10を検査光の進行方向を回転軸に90回転させた位置に設置した、あるいは、光源ユニット101を検査光の進行方向を回転軸に90回転させた)ことを除いて同じ条件で、(2−1)〜(2−6)の工程を行い、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と光量比率R190またはR290との対応関係(第2対応関係)を取得する。
(2−10) 各対応関係から、同じ1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)に対応する、測定対象物10を透過した検査光から算出された光量比率(第1対応関係の光量比率)R190またはR290と、空気中のみを透過した検査光から算出された光量比率である基準光量比率R1aまたはR2aとの差を算出し、これを相対光量比率R190s[%](R190s=R190−R1a、またはR1a−R190)またはR290s[%](R290s=R290−R2a、またはR2a−R290)とし、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と対応付けする(第2対応関係と対応付けする。)。
(2−11) 各対応関係から、同じ1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)に対応する、第1対応関係の相対光量比率R10sまたはR20sと、第1対応関係の相対光量比率R190sまたはR290sとの間で平均値R1av(R1av=(R10s+R190s)/2)またはR2av(R2av=(R20s+R290s)/2)を算出する。
(2−12) 第1対応関係の相対光量比率R10sまたはR20sと平均値R1avまたはR2avとの差から、補正相対光量比率R10sc(R10sc=R10s−R1av)またはR20sc(R20sc=R20s−R2av)を算出する。または、第2対応関係の相対光量比率R190sまたはR290sと平均値R1avまたはR2avとの差から、補正相対光量比率R190sc(R190sc=R190s−R1av)またはR290sc(R290sc=R290s−R2av)を算出する。
(2−13) 上記本発明の測定装置自体では、複屈折の数値を直接測定することはできない。そこで、本発明の第2の実施形態にかかる測定方法では、複屈折値(複屈折量)を測定できる複屈折測定装置(例えば、HINDS社製 HINDS Exicor(R) 193 DUV等)で測定して複屈折値が既知の透光性物品の特定箇所に対し、本発明の測定装置で補正相対光量比率R1sbc[%]またはR2sbc[%]を取得する作業を行い、複屈折値と補正相対光量比率R1sbcまたはR2sbcとの対応関係を予め取得しておく。そして、測定対象物10の測定箇所に対して上記本発明の測定装置で取得した補正相対光量比率R10scまたはR20scを、その対応関係にあてはめることで、複屈折値を取得する。または、複屈折値と補正相対光量比率R190sbcまたはR290sbcとの対応関係を予め取得しておく。そして、測定対象物10の測定箇所に対して上記本発明の測定装置で取得した補正相対光量比率R190scまたはR290scを、その対応関係にあてはめることで、複屈折値を取得する。
(2−14)さらに、マスクブランク用基板の製造方法に適用する場合は、マスクブランク用基板の形状に加工され、表面が研磨された透光性基板(ガラス基板)に対して上記測定方法を適用して取得した複屈折値(あるいは補正相対光量比率R10sc,R20sc,R190sc,またはR290sc)が所定値以下の透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を含める。この場合、円偏光の検査光が透光性基板における一方の主表面の所定測定箇所から入射し、他方の主表面から出射するように、透光性基板を配置することが好ましい。
図3のプロットR190は、複屈折が低い透光性基板において、その主表面の複屈折値が既知(1.5nm/cm)である測定箇所に対し、測定装置100を用い、この第2の実施形態における測定方法の(2−1)〜(2−10)までの工程を行って取得した1/2波長板104の回転角度θ[deg]と光量比率R190[%]との対応関係をプロットしたものである(詳細については、[実験例]で後述する。)。プロットR190は、プロットR10と同様、1/2波長板104の回転角θによって54%台〜47%台の間で大きく振動している。この振動の理由は、プロットR10の場合と同様である。
図4のプロットR190Sは、図3で示した1/2波長板104の回転角度θ[deg]と光量比率R190[%]との対応関係と、1/2波長板104の回転角度θ[deg]と基準光量比率R1a[%]との対応関係とから、(2−10)の工程を行って取得した1/2波長板104の回転角度θ[deg]と相対光量比率R190s[%]との対応関係をプロットしたものである(詳細については、[実験例]で後述する。)。図4における相対光量比率R190sのプロットは、1/2波長板104の回転角θによって−0.3%台〜+0.3%台の間で振動している。この振動の理由は、プロットR10sの場合と同様である。
プロットR10sとR190sは、ともに同じ透光性基板の主表面における同じ測定箇所に対して検査光を入射させている。しかし、プロットR10sを取得したときの透光性基板の位置とR190sを取得したときの透光性基板の位置とでは、検査光の進行方向を回転軸にφ=90度回転した関係にある。透光性基板の他方の主表面から出射した検査光は、1/2波長板104を透過するため、プロットR10sを取得したときの検査光とR190sを取得したときの検査光とは2φ=180度の位相差が生じることになる。
図4をみると、プロットR10sとR190sは、両者間の振動の位相がほぼ180度シフトしている。しかし、プロットR10s、R190sともに各振幅の上下ピークに小さな差がある。また、プロットR10sとR190sは、互いに交わる点がグラフ縦軸の相対光量比率でゼロの位置にない場合が多い。プロットR10sとR190sは、1/4波長板103、1/2波長板104と透光性物品10の測定箇所との相対位置を90回転させた関係となっている。光源ユニット101ではレーザー光を1/4波長板103で円偏光に変換しているが、1/4波長板103の精度上の限界や測定装置内での設計上の設置位置との間における微小な誤差などの影響からレーザー光(検査光)を完全な円偏光にすることは難しい。完全な円偏光ではない検査光を透光性物品10に入射するため、1/2波長板104と透光性物品10の測定箇所との相対位置を90回転させるとそれに起因する誤差が生じることが避けがたい。
また、透光性物品の対向する表面から出射した楕円偏光の検査光は、1/2波長板を透過して検査光の位相がシフトするが、1/2波長板104の精度上の限界や測定装置内での設計上の設置位置との間における微小な誤差などの影響を受け、設計通り位相角でシフトさせることは難しい。プロットR10sを取得したときとR190を取得したときとでは、1/2波長板104と透光性物品10の測定箇所との相対位置をφ=90回転させた関係となっているが、プロットR10sとR190sとが2φ=180度の位相差から全くずれていない関係にはなり難い。
これらのことから、本発明の第2の実施形態に係る複屈折の測定方法では、第1の実施形態と同様の手順で1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と相対光量比率R10sまたはR20sとの対応関係(第1対応関係)を取得することに加え、測定対象物である透光性物品10と検査光(光源ユニット101)とを、検査光の進行方向を回転軸として相対的に90度回転させたことを除いて同じ条件で、透光性物品10の測定箇所に検査光を入射し、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と相対光量比率R190sまたはR290sとの対応関係(第2対応関係)を取得している。その上で、同じ1/2波長板104の回転角度θにおける相対光量比率R10sとR190sとの平均値R1av(または相対光量比率R20sとR290sとの平均値R2av)を算出する。さらに、相対光量比率R10sまたはR190sから平均値R1avを差し引く補正を行い(相対光量比率R20sまたはR290sから平均値R2avを差し引く補正を行い)、補正相対光量比率R10scまたはR190sc(補正相対光量比率R20scまたはR290sc)を算出する。そして、予め取得しておいた複屈折値と補正相対光量比率R1sbcまたはR2sbcとの対応関係に、補正相対光量比率R10scまたはR190sc(補正相対光量比率R20scまたはR290sc)を、その対応関係にあてはめることで、複屈折値を取得している。
図4には、1/2波長板104の回転角度θ[deg]に対する相対光量比率R10s[%]とR190s[%]との平均値R1a[%]の変化が示されている(図4中のR1aのプロット)。図5は、1/2波長板104の回転角度θ[rad]に対応する相対光量比率R10s[%]とR190s[%]の各プロットに対し、三角関数の項を含んだ関数のフィッティングをおこなった結果(図5中のF10s、F190sの各曲線)を示したものである。図6は、1/2波長板104の回転角度θ[rad]に対応する補正相対光量比率R10scとR190scの各プロットに対し、三角関数の項を含んだ関数のフィッティングをおこなった結果(図6中のF10sc、F190scの各曲線)を示したものである。
図5をみると、平均値R1avで補正を行っていない相対光量比率R10sやR190sに対して三角関数の項を含んだ近似関数で精度よくフィッティングすることは困難であることがわかる(三角関数の項を含まない他の近似関数に対しても精度よくフィッティングすることは困難。)。一方、図6をみると、平均値R1avで補正を行った補正相対光量比率R10scやR190scに対しては、三角関数の項を含んだ近似関数を精度よくフィッティングできることがわかる。以上のように、補正相対光量比率の概念を導入したことで、装置100自体の公差による影響をさらに低減できている。これにより、測定対象物の透光性物品の測定箇所における複屈折値をより高い精度で取得できる。例えば、複屈折値が2nm/cm以下の透光性物品(透光性物品)を合格品(マスクブランク用基板)として選定する製法などに適用できる。
本発明の第2の実施形態に係る複屈折の測定方法におけるその他の事項については、上記の第1の実施形態に係る複屈折の測定方法の場合と同様である。本発明の第2の実施形態に係る複屈折の測定方法においても、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と空気中のみを通過した光量比率である基準光量比率R1aまたはR2aとの対応関係を取得する(2−7)の工程は、(2−1)〜(2−6)の工程よりも先に行ってもよい。
[第3の実施形態に係る測定方法]
次に、本発明の第3の実施形態にかかる複屈折の測定方法について説明する。第2の実施形態に係る複屈折の測定方法とは、第1対応関係の補正相対光量比率R10scまたはR20sc、あるいは第2対応関係の補正相対光量比率R190scまたはR290scと1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)との対応関係から、フィッティング関数(近似関数)を取得する工程と、そのフィティング関数から算出された補正光量比率R10scf、R20scf、R190scfまたはR290scfを用いて、透光性物品の測定箇所における複屈折値を取得する工程を備える点が大きく異なる。
この第3の実施形態に係る複屈折の測定方法(算出方法)の手順は、以下のようになる。
(3−1)〜(3−12) (2−1)〜(2−12)と同様の工程を行い、第1対応関係の補正相対光量比率R10scまたはR20scを算出する。または、第2対応関係の補正相対光量比率R190scまたはR290scを算出する。
(3−13) 1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と補正相対光量比率R10scまたはR20sc(R190scまたはR290sc)における第1対応関係(第2対応関係)に対し、関数のフィッティングを行い、フィッティング関数F10scまたはF20sc(F190scまたはF290sc)を取得する。このフィッティング関数F10scまたはF20sc(F190sc,またはF290sc)は、回転角度θと補正光量比率R10scまたはR20sc(R190scまたはR290sc)を変数とする2変数関数である。
(3−14) フィッティング関数F10scまたはF20sc(F190scまたはF290sc)から、振幅の最大値を算出し、これを補正光量比率R10scfまたはR20scf(R190scfまたはR290scf)とする。
(3−15) (2−13)と同様の工程で、予め取得しておいた複屈折値と補正相対光量比率R1sbcまたはR2sbcとの対応関係に、補正相対光量比率R10scfまたはR20scf(R190scfまたはR290scf)をあてはめることで、複屈折値を取得する。
(3−16)さらに、マスクブランク用基板の製造方法に適用する場合は、マスクブランク用基板の形状に加工され、表面が研磨された透光性基板(ガラス基板)に対して上記測定方法を適用して取得した複屈折値(あるいは補正相対光量比率R10scf,R20scf,R190scf,またはR290scf)が所定値以下の透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を含める。この場合、円偏光の検査光が透光性基板における一方の主表面の所定測定箇所から入射し、他方の主表面から出射するように、透光性基板を配置することが好ましい。
第2の実施形態での説明や図6で示されているように、1/2波長板104の回転角度θ[rad]と補正相対光量比率R10sc[%](第1対応関係)やR190sc[%](第2対応関係)との対応関係に対して、フィッティング関数(近似関数)F10sc,F190scは高い精度でフィッティングできている。図6で示されている1/2波長板104の回転角度θ[rad]と補正相対光量比率R10sc[%]やR190sc[%]との対応関係は、回転角度θの刻みΔθが1[deg](検査光の偏光方位の刻みが2[deg]刻み)で取得されたものである。しかし、この第3の実施形態においては、補正相対光量比率を導出する工程を導入したことにより、1/2波長板104の回転角度θ[rad]と補正相対光量比率R10sc[%]やR190sc[%]との対応関係を取得する際に行う、1/2波長板104の回転角度θ[rad]の回転角度の刻みΔθを大きくすることができる。回転角度の刻みΔθを大きくすることによって、拡大する補正相対光量比率R10sc[%]やR190sc[%]の空白(補正相対光量比率R10sc等の振動における振幅の最大値や最小値)を前記のフィッティング関数で十分に補完できるからである。
本発明では、第1対応関係や第2対応関係とのフィッティングに用いられるフィッティング関数(近似関数)は、1/2波長板104の回転角度θと補正相対光量比率R10sc等を変数とする2変数関数であれば、どのような項で表現されてもよい。回転角度θの変数が2次以上の項を有する2次以上の関数や、回転角度θを角度の項とする三角関数の項を含む関数などが挙げられる。フィッティング関数は、三角関数(特に、sin関数やcos関数であると好ましい。)の項を含む関数であることが好ましい。1/2波長板104の回転角度θと補正相対光量比率R10sc等の対応関係(第1対応関係や第2対応関係)は、いずれも1/2波長板104の回転角度θの増加に伴い、補正相対光量比率R10sc等はある一定範囲の振幅かつある一定範囲の周期で振動する関係を有しており、三角関数の項を含む関数が最もフィッティングしやすいためである。なお、フィティング関数の取得は、最小2乗法を用いて行うことが好ましい。
上記のフィッティング関数を導き出すためには、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)が3方位以上の角度(好ましくは4方位以上の角度)で、補正光量比率R10sc(第1対応関係の場合)やR190sc(第2対応関係の場合)が少なくとも必要である。このため、補正光量比率を算出するために必要な、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)が同じ方位での第1対応関係の光量比率R10(またはR20)、第2対応関係の光量比率R190(またはR290)および基準光量比率R1a(またはR2a)のセットを、異なる1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)で3セット以上(好ましくは4セット以上)、取得されていることが求められる。
以上のように、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と補正光量比率R10sc等との対応関係をフィッティング関数化することにより、同じ測定箇所に対して少ない測定回数で、装置100自体の公差による影響を低減できる。これにより、測定対象物の透光性物品の測定箇所における複屈折値をより高い精度で取得できる。例えば、複屈折値が2nm/cm以下の透光性物品(透光性物品)を合格品(マスクブランク用基板)として選定する製法などに適用できる。なお、本発明の第3の実施形態に係る複屈折の測定方法におけるその他の事項については、上記の第1の実施形態および第2の実施形態に係る複屈折の測定方法の場合と同様である。
[第4の実施形態に係る測定方法]
次に、本発明の第4の実施形態にかかる複屈折の測定方法について説明する。
上記の第2の形態に係る複屈折の測定方法では、相対光量比率の平均値R1avまたはR2avを算出しているが、この平均値R1avまたはR2avは、同じ透光性物品の同じ測定箇所だけでしか適用できないものではなく、ほかの測定箇所(同じ透光性物品のほかの測定箇所だけでなく、ほかの透光性物品の測定箇所も)でも適用できるものである。この平均値R1av,R2avは、測定装置の微小な公差がほとんどを占める補正値であり、測定箇所や測定する透光性物品が変わってもほとんど変わらない数値であるためである。
この第4の実施形態に係る複屈折の測定方法は、平均値R1avまたはR2avをほかの測定箇所でもそのまま適用することを特徴としている。第4の実施形態に係る複屈折の測定方法は、以下のとおりである。
(4−1)〜(4−11) (2−1)〜(2−11)と同様の工程を行い、平均値R1avまたはR2avを算出する。
(4−12)〜(4−20) 同じ透光性物品の別の測定箇所、あるいは、別の透光性物品の測定箇所に対して、(2−1)〜(2−8)と同じ工程を行い、1/2波長板104の回転角度θ(検査光の偏光方位、偏光面の角度2θ)と相対光量比率R13sまたはR23sとの対応関係(第3対応関係)を取得する。
(4−21) (2−12)と同様の工程で、第3対応関係の相対光量比率R13sまたはR23sとの差から、補正相対光量比率R13sc(R13sc=R13s−R1av)またはR23sc(R23sc=R23s−R2av)を算出する。
(4−22) (2−13)と同様の工程で、予め取得しておいた複屈折値と補正相対光量比率R1sbcまたはR2sbcとの対応関係に、補正相対光量比率R13scまたはR23scをあてはめることで、複屈折値を取得する。
(4−23)さらに、マスクブランク用基板の製造方法に適用する場合は、マスクブランク用基板の形状に加工され、表面が研磨された透光性基板(ガラス基板)に対して上記測定方法を適用して取得した複屈折値(あるいは補正相対光量比率R13sc,R23sc)が所定値以下の透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を含める。この場合、円偏光の検査光が透光性基板における一方の主表面の所定測定箇所から入射し、他方の主表面から出射するように、透光性基板を配置することが好ましい。
なお、本発明の第4の実施形態に係る複屈折の測定方法におけるその他の事項については、上記の第1の実施形態から第3の実施形態に係る複屈折の測定方法の場合と同様である。
[マスクブランク用基板の製造方法]
本発明の一実施形態に係るマスクブランク用基板の製造方法は、基板準備工程、および基板検査工程を備える。
基板準備工程は、対向する2つの主表面を有する透光性基板を準備する工程であり、マスクブランク用基板となるように加工された透光性基板を準備する。基板準備工程は、公知の方法と同一又は同様の方法により、マスクブランク用基板となる透光性基板を準備する工程であってよい。透光性基板は、ガラス基板が好ましく、合成石英ガラス基板がより好ましい。
透光性基板の形状は、矩形形状の対向する2つの主表面と、両主表面に直交して、両主表面の各辺をつなぐ4つの端面(側面および面取り面)とを有する形状である。この透光性基板において、検査光を入射させる主表面と、透光性基板の内部を透過して出射する主表面は、少なくとも鏡面に研磨する必要がある。また、透光性基板の両主表面、各側面、及び各面取り面を全て鏡面に研磨するとより好ましい。鏡面研磨により、例えば、合成石英ガラス基板の両主表面の表面粗さRa(算術平均粗さ)を約0.5nm以下とし、各側面及び各面取り面の表面粗さRa(算術平均粗さ)を約2nm以下とする。また、主表面の表面粗さは、自乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下とすることが好ましい。また、基板準備工程において、更に、主表面や端面に対し、精密研磨や超精密研磨を行ってもよい。尚、この鏡面研磨が行われた後における透光性基板の寸法は、例えば、約152.1mm×約152.1mm×約6.35mmである。
基板検査工程は、基板準備工程で準備された透光性基板の検査を行う工程である。
本例において、基板検査工程は、測定対象物である透光性基板の複屈折を測定する工程とマスクブランク用基板を選定する工程を有する。透光性基板の複屈折を測定する工程に関しては、上記の透光性物品の複屈折の測定方法に係る各実施形態で記載した事項と同様の工程を行う。そして、その工程で得られた複屈折値が、予め定められた複屈折の基準値以下である透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を行う。
基板検査工程において、マスクブランク用基板として選定される透光性基板は、その基板の主表面の中心を基準とした一辺が132mmである四角形の内側領域における複屈折量が所定値以下であることが好ましい。これは、選定されたマスクブランク用基板から製造されたマスクブランクを用いて転写用マスクを作製する際、転写パターンが形成される可能性のある領域が、基板の主表面の中心を基準とした一辺が132mmである四角形の内側領域であることに理由がある。また、マスクブランク用基板として選定される透光性基板は、その基板の主表面の中心を基準とした一辺が142mmである四角形の内側領域における複屈折量が所定値以下であるとより好ましい。
本例において、複屈折値は、マスクブランク用基板から製造される転写マスクの使用時に用いられる露光波長(例えば、波長193nm)の光に対する複屈折値である。複屈折値は、例えば、透光性基板の各点において、進相軸に平行な方向の直線偏光と、その進相軸に直交する遅相軸に平行な方向の直線偏光とがその基板を通過する際に生じる光路長の差と定義できる。また、以下の説明において、複屈折値は、透光性基板における厚さ1cmあたりの複屈折値(nm)である。例えば、透光性基板の厚さが6.35mmの場合、透光性基板の各点において、厚さ6.35mmでの複屈折の大きさを求め、それを厚さ1cmあたりに換算することで、厚さ1cmあたりの複屈折値を算出できる。上記のマスクブランク用基板を選定するときに用いられる複屈折値の基準値は、5nm/cmであることが好ましく、2nm/cmであるとより好ましく、1nm/cmであるとより好ましい。
なお、上記のマスクブランク用基板の製造方法では、基板検査工程において、透光性基板の複屈折値を取得する工程を行い、複屈折値を選定基準としたマスクブランク用基板を選定する工程を行っている。しかし、基板検査工程はこれに限らず、透光性基板の補正相対光量比率の最大値または最小値を取得する工程を行い、その取得された透光性基板の補正相対光量比率の最大値または最小値と、予め定めた補正相対光量比率の選定基準値とを比較してマスクブランク用基板を選定する工程を行うようにしてもよい。選定されたマスクブランク用基板の複屈折値が必要な場合は、そのマスクブランク用基板の補正相対光量比率の最大値または最小値から、予め取得されていた補正相対光量比率と複屈折との対応関係から導き出せばよい。
上記のように算出される補正相対光量比率は、透過率に換算することもできる。この場合、例えば、透光性材料の複屈折値が0nm/cmのときの補正相対光量比率である基準補正相対光量比率を予め算出しておく。また、基準補正相対光量比率における透過率を100%の透過率とする。これにより、例えば、各測定ポイントにおける補正相対光量比率を基準補正相対光量比率で除した値を、その補正相対光量比率に対応する透過率(規格化透過率)とすることができる。
図2は、透光性基板10を用いて製造されるマスクブランク20及び転写用マスク30の一例を示す。図2(a)は、マスクブランク20の構成の一例を示す。基板検査工程で合格品となり、マスクブランク用基板として選定された透光性基板10は、その後、マスクブランク20の製造に用いられる。マスクブランク20の製造工程では、マスクブランク用基板として選定された透光性基板10の主表面に、例えば公知の方法により、パターン形成用薄膜12を形成する。これにより、低複屈折の透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクを製造することができる。
前記のパターン形成用薄膜12は、単層構造、複数層の積層構造、組成傾斜した構造のいずれの構成でもよい。ここでいうマスクブランクは、パターン形成用薄膜12上に、パターン形成用薄膜12をパターニングする際にエッチングマスクとして使用されるハードマスク膜が形成されている構成も含まれる。また、ここでいうマスクブランクには、パターン形成用薄膜12上やハードマスク膜上に、有機系材料からなるレジスト膜が形成されている構成も含まれる。このように製造されたマスクブランク20は、転写用マスク30の製造に用いられる。
図2(b)は、転写用マスク30の構成の一例を示す。転写用マスク30の製造工程では、例えば公知の方法により、マスクブランク20のパターン形成用薄膜12をエッチングによりパターニングして、転写パターンを形成する。このようにすることで、低複屈折の透光性基板上に転写パターンを有する薄膜を備える転写用マスク30を適切に製造できる。
また、これらの製造された転写用マスク30は、半導体デバイスの製造に用いられる。半導体デバイスの製造工程においては、例えば公知の方法により、転写用マスク30を用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成する。低複屈折の透光性基板上に転写パターンを有する薄膜を備える転写用マスク30を用いることにより、半導体ウェハ上に回路パターンを高い精度で形成できる。特に、露光光に偏光照明が適用される半導体デバイスの製造工程の場合、露光光が転写用マスク30の透光性基板を透過するときに、その露光光の偏光状態に影響を与えにくいため、半導体ウェハ上に回路パターンをより高い精度で形成できる。また、これにより、動作不良欠陥のない高品質の半導体デバイスを適切に製造できる。
本発明は、例えば、露光転写において偏光照明が適用され、基板の複屈折の影響が比較的大きい転写用マスクを作製するためのマスクブランク用基板の製造方法(検査方法)、この基板を用いたマスクブランクの製造方法、このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法、及びこの転写用を用いたマスク半導体デバイスの製造方法、に好適に適用できる。本発明は、例えば、上記以外のマスクブランク用基板(偏光していない露光光が適用される転写用マスクや、基板の複屈折の影響が比較的小さい偏光照明が適用される転写用マスクに用いられる基板)に対しても、適用できる。
また、複屈折の影響は、マスク検査装置での検査時以外にも問題になる場合がある。例えば、偏光照明が適用されない場合であっても、複屈折値の大きな領域がマスクブランク用基板の内部に存在すると、転写への影響が生じる可能性がある。また、複屈折は、例えば熱履歴による残留熱応力が原因で生じることもある。この場合、複屈折値が大きいことは、残留熱応力が大きく、割れやすいことを意味する。そのため、これらの点でも、低コストの方法で検査ができるのであれば、偏光照明が適用されない転写用マスクに使用されるマスクブランク用基板についても、複屈折の影響の検査を行うことが好ましいと言える。
本発明によれば、簡便で低コストの方法で、複屈折の影響の検査を行うことができる。
[実験例]
本発明に係る複屈折の測定方法によって、透光性基板10内の複屈折の影響を検出できることを確認した実験結果について説明を行う。図3〜図9は、実験結果を説明する図である。なお、本実験例では、測定の便宜上、1枚の透光性基板10を用い、この透光性基板10内の複数箇所に対して、各種の測定を行った。しかし、複屈折の性質上、このようにして得られる実験結果は、複数枚の透光性基板10を用いた場合に得られる実験結果と同等のものであると考えることができる。
この実験例では、複屈折が低く高品質な透光性基板10において、公知の複屈折測定装置(HINDS社製 HINDS Exicor(R) 193 DUV)で測定した複屈折値が1.5nm/cmである箇所(測定箇所)に対して、本発明の測定装置を用い、上記の本発明の第3の実施形態の測定方法を実際に行った。図3は、その結果のうち、1/2波長板104の回転角θ[deg]と、光量比率R10[%]との対応関係である第1対応関係、光量比率R190[%]との対応関係である第2対応関係、光量比率R1a[%]との対応関係である基準対応関係をグラフ化したものである。上記のとおり、光量比率R190は、光量比率R10を取得したときの測定条件に対し、検査光と透光性基板10とを相対的に90度回転させた状態で取得した光量比率であり、光量比率R1aは、空気中のみを通過した検査光から取得した光量比率である。
基準光量比率は、理論上では1/2波長板104の回転角θの数値に関わらず50%の一定値となるはずである。しかし、図3から明らかであるが、基準光量比率R1aは、54%台〜47%台の間を振動している。そして、透光性基板10を透過した検査光から取得した光量比率R10,R190は、回転角θの数値に対して、ともに基準光量比率R1aと同じ傾向で振動している。これは、光量比率R10、R190は、基準光量比率R1aの理論値からのずれの影響を大きく受けていることを表している。
図4は、1/2波長板104の回転角θ[deg]と、相対光量比率R10s[%]との対応関係である第1対応関係と、相対光量比率R190s[%]との対応関係である第2対応関係と、2つの相対光量比率の平均値R1av[%]=(R10s[%]+R190s[%])/2との対応関係をグラフ化したものである。同じ回転角θに対応する光量比率R10,R190から基準光量比率R1aを差し引いた数値が、相対光量比率R10s、R190sである。図4から明らかであるが、相対光量比率R10s,R190sは、ともに回転角θの数値に対して+0.3%台〜−0.3%台の間を振動している。
相対光量比率R10s,R190sは、sinカーブやcosカーブに近い変動をしており、相対光量比率R10s,R190sは、各振動の複数のピーク間に若干の誤差はあるが、最大でも0.04%程度と比較的小さい。このため、相対光量比率と透光性基板の複屈折値との相関を予め取得しておき、取得した相対光量比率R10s,R190sから透光性基板10の測定箇所の複屈折量を算出することは可能である。
図5は、相対光量比率R10s,R190sの実数値に対して、sin関数を含む関数からなる近似曲線F10s,F190sをフィッティングした結果である。相対光量比率R10s,R190sの実数値は、各振動の複数のピーク間に誤差が存在するため、相対光量比率R10s,R190sの各近似曲線F10s,F190sはともに高い精度でフィッティングできているとはいえない。光量比率から複屈折量をより高い精度で算出するには、この近似曲線F10s,F190sがより高い精度でフィッティングできている必要がある。相対光量比率R10sとR190sとは、透光性基板10に入射する検査光における透光性基板10と検査光との位置関係を90度回転させた以外は同じ条件で取得している。透光性基板10を出射した検査光は1/2波長板を透過するため、偏光ビームスプリッター108に入射する段階での相対光量比率R10sを取得時の検査光とR190sを取得時の検査光とは、理論上、2θ=180度回転した関係にある。このため、理論上は、1/2波長板104の回転角θに対する相対光量比率R10sの実数値の振動と,R190sの実数値の振動とは、相対光量比率の数値の符号(正負)が正反対になる以外は同じとなるはずである。しかし、図5に示されているように、正反対の関係からずれている。
図6は、同じ回転角θ[rad]における相対光量比率R10s[%]から2つの相対光量比率の平均値R1av[%]を差し引く補正を行って算出された補正相対光量比率R10sc[%]と1/2波長板104の回転角θ[rad]との対応関係をグラフ化したものである。図6では、同様にして算出された補正相対光量比率R190sc[%]と1/2波長板104の回転角θ[rad]との対応関係もプロットされている。さらに、図6には、補正相対光量比率R10sc,R190scの実数値に対して、sin関数を含む関数からなる近似曲線F10sc,F190scをフィッティングした結果も示した。この図6の結果から、1/2波長板104の回転角θに対する補正相対光量比率R10scの実数値の振動と,補正R190scの実数値の振動とは、相対光量比率の数値の符号(正負)が正反対になる以外は同じ関係にほぼなっていることがわかる。また、相対光量比率R10s,R190sの各近似曲線F10sc,F190scはともに非常に高い精度でフィッティングできていることもわかる。
図7は、透光性基板10と検査光との位置関係を90度回転させる前の状態(図7でいう0度配置)で取得した相対光量比率R10sまたは補正相対光量比率R10scの絶対値での最大値と、透光性基板10と検査光との位置関係を90度回転させた後の状態(図7でいう90度配置)で取得した相対光量比率R190sまたは補正相対光量比率R190scの絶対値での最大値を、種々の条件で取得し、比較したものである。グラフ横軸の「実測算出値(10度刻み)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=10[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した各回転角度θの相対光量比率R10sまたはR190sの群から、絶対値で最大値のものである。グラフ横軸の「実測算出値(2度刻み)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=2[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した各回転角度θの相対光量比率R10sまたはR190sの群から、絶対値で最大値のものである。グラフ横軸の「実測算出値(1度刻み)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=1[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した各回転角度θの相対光量比率R10sまたはR190sの群から、絶対値で最大値のものである。
グラフ横軸の「簡易近似関数算出値(補正無)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=1[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した回転角度θと相対光量比率R10sまたはR190sとの対応関係から簡易的な近似関数「R10s(またはR190s)=bsin[4θ−d](b,dは定数。また、θの単位は[rad]。)」でフィッティング関数を導出し、そのフィッティング関数で算出した相対光量比率R10sf,R190sfの最大値である。なお、この場合において、相対光量比率R10sのフィッティング関数の係数は、b=0.316816,d=0.99383であり、相対光量比率R190sのフィッティング関数の係数は、b=−0.336485,d=1.14642であった。
グラフ横軸の「通常近似関数算出値(補正無)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=1[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した回転角度θと相対光量比率R10sまたはR190sとの対応関係から通常のサインカーブの近似関数「R10s(またはR190s)=a+bsin[cθ−d](a,b,c,dは定数。また、θの単位は[rad]。)」でフィッティング関数を導出し、そのフィッティング関数で算出した相対光量比率R10sf,R190sfの最大値である。なお、この場合において、相対光量比率R10sのフィッティング関数の係数は、a=0.0204372,b=0.307949,c=4.01438,d=1.07544であり、相対光量比率R190sのフィッティング関数の係数は、a=0.0150264,b=0.343755,c=−3.94074,d=−1.07621であった。
グラフ横軸の「簡易近似関数算出値(補正有)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=1[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した回転角度θと補正相対光量比率R10scまたはR190scとの対応関係から簡易的な近似関数「R10sc(またはR190sc)=bsin[4θ−d](b,dは定数。また、θの単位は[rad]。)」でフィッティング関数を導出し、そのフィッティング関数で算出した補正相対光量比率R10scf,R190scfの最大値である。なお、この場合において、補正相対光量比率R10scのフィッティング関数の係数は、b=0.325701,d=1.07243であり、補正相対光量比率R190scのフィッティング関数の係数は、b=−0.325701,d=1.07243であった。
グラフ横軸の「通常近似関数算出値(補正有)」に対応するプロットは、1/2波長板104をΔθ=1[deg]ずつ回転させ、それぞれ算出した回転角度θと補正相対光量比率R10scまたはR190scとの対応関係から通常のサインカーブの近似関数「R10sc(またはR190sc)=a+bsin[cθ−d](a,b,c,dは定数。また、θの単位は[rad]。)」でフィッティング関数を導出し、そのフィッティング関数で算出した補正相対光量比率R10scf,R190scfの最大値である。なお、この場合において、補正相対光量比率R10scのフィッティング関数の係数は、a=0.00264909,b=0.325806,c=3.97584,d=1.07576であり、補正相対光量比率R190scのフィッティング関数の係数は、a=0.00264909,b=0.325806,c=−3.97584,d=−1.07576であった。
実測値から補正を行っていない相対光量比率R10s,R190sの絶対値での最大値の場合、相対光量比率R10s,R190sのデータ取得間隔(1/2波長板104を回転刻みΔθ)の大小にかかわらず、透光性基板が0度配置の場合と90度配置の場合で、若干の差(0.014[%]〜0.016[%]の差)が生じている。また、実測値から補正を行っていない相対光量比率R10s,R190sから導出したフィッティング関数で最大の相対光量比率R10sf,R190sfを算出した場合では、透光性基板が0度配置の場合と90度配置の場合での差が大きくなっている(0.020[%]〜0.036[%]の差)。
これに対して、また、実測値から補正を行った補正相対光量比率R10sc,R190scから導出したフィッティング関数で最大の相対光量比率R10scf,R190scfを算出した場合では、透光性基板10が0度配置の場合と90度配置の場合で差がない。これらの結果から、透光性基板が0度配置の状態で取得した相対光量比率R10sと透光性基板が90度配置の状態で取得した相対光量比率R190sとの平均値であるR1avを算出し、相対光量比率R10s,R190sからそれぞれ平均値R1avを差し引いて算出した補正相対光量比率R10sc,R190scは、非常に高い精度であることがわかった。
また、この補正相対光量比率R10scf,R190scfを用いれば、取得していない補正相対光量比率のデータ(1/2波長板104の回転角度θと回転角度θ+Δθの間の補正相対光量比率)を近似関数で精度よく補完できるといえる。また、簡易的な近似関数「R10s(またはR190s)=bsin[4θ−d]」、通常の近似関数「R10s(またはR190s)=a+bsin[cθ−d]」のどちらを用いても、高い精度で補正相対光量比率のデータを近似関数で精度よく補完できるといえる。
図8は、1/2波長板104の回転角度θの範囲を1[deg]〜40[deg]とし、種々の測定角度の数(方位数)で透光性基板を0度配置の状態で取得した1/2波長板104の回転角度θと相対光量比率R10sまたは補正相対光量比率R10scとの各対応関係からフッティングで取得した各近似関数からそれぞれ算出した相対光量比率R10sfまたは補正相対光量比率R10scfの最大値を比較したものである。また、同様に、透光性基板を90度配置の状態で取得した1/2波長板104の回転角度θと相対光量比率R190sまたは補正相対光量比率R190scとの各対応関係からフッティングで取得した各近似関数からそれぞれ算出した相対光量比率R190sfまたは補正相対光量比率R190scfの最大値を比較したものである。
図8のグラフ横軸の光量の測定方位数において、「40方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1[deg]〜40[deg]の範囲でΔθを1[deg]ずつ回転させて光量値M1,M2を取得したことを意味する。「9方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1,5,10,15,20,25,30,35,40[deg]のそれぞれで光量値M1,M2を取得したことを意味する。「7方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1,10,15,20,30,35,40[deg]のそれぞれで光量値M1,M2を取得したことを意味する。「5方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1,10,20,30,40[deg]のそれぞれで光量値M1,M2を取得したことを意味する。「4方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1,15,25,40[deg]のそれぞれで光量値M1,M2を取得したことを意味する。「3方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1,20,40[deg]のそれぞれで光量値M1,M2を取得したことを意味する。「2方位」とは、1/2波長板104の回転角度θを1,40[deg]のそれぞれで光量値M1,M2を取得したことを意味する。
また、図8において、「0度配置」、「90度配置」は、図7の場合と同様、透光性基板10と検査光との位置関係のことをいう。また、図8において、「簡易近似関数」、「通常近似関数」は、図7で適用したものと同じモデルの関数をそれぞれ適用して、各定数a,b,c,dを算出している。そして、導出された各近似関数で、相対光量比率R10sf,R190sfまたは補正光量比率R10scf,R190scfを算出した結果を、図8上にプロットしている。なお、通常近似関数は、定数が4つあるため、最小でも4方位の相対光量比率R10s,R190sまたは補正相対光量比率R10sc,R190scが必要である。このため、通常近似関数については、3方位以下の結果はない。
図8の結果から、相対光量比率R10s,R190sから導出された簡易近似関数および通常近似関数は、ともに、0度配置と90度配置との間でそれぞれ算出された相対光量比率R10sf,R190sfの最大値の差がどの方位数でも大きく、非常に高い精度で算出されているとは言い難い。これに対し、補正相対光量比率R10sc,R190scから導出された通常近似関数は、ともに測定方位数を最小の4方位まで減らしても、0度配置と90度配置との間でそれぞれ算出された相対光量比率R10scf,R190scfの最大値の差が非常に小さく(図8上で「通常近似関数0度配置、補正有」のプロットと「通常近似関数90度配置、補正有」のプロットがほとんど重なっている。)、非常に高い精度で算出されているといえる。
また、補正相対光量比率から導出された簡易近似関数は、ともに測定方位数を3方位まで減らしても、0度配置と90度配置との間でそれぞれ算出された相対光量比率R10scf,R190scfの最大値の差が非常に小さく(図8上で「簡易近似関数0度配置、補正有」のプロットと「簡易近似関数90度配置、補正有」のプロットがほとんど重なっている。)、非常に高い精度で算出されているといえる。以上のように、補正相対光量比率R10scf,R190scfを適用することで、光量値M1,M2の測定方位数を大幅に削減しても、高い精度で補正相対光量比率の最大値を算出することができることがわかる。
図9は、相対光量比率[%]または補正相対光量比率[%]と複屈折値[nm/cm]との相関を示す図である。これは、公知の複屈折測定装置(HINDS社製 HINDS Exicor(R) 193 DUV)で予め複屈折値を測定した複屈折値が既知である測定箇所に対し、測定装置100を用い、透光性基板10と検査光との位置関係を90度回転させる前の状態(0度配置)で取得した相対光量比率R10sまたは補正相対光量比率R10scの絶対値での最大値と、透光性基板10と検査光との位置関係を90度回転させた後の状態(90度配置)で取得した相対光量比率R190sまたは補正相対光量比率R190scの絶対値での最大値をそれぞれプロットしたものである。なお、複屈折値が既知である測定箇所の複屈折値は、それぞれ2.76,4.904,6.078[nm/cm]である。なお、図9中の複屈折値が0[nm/cm]のプロットは、空気のみの測定で取得した相対光量比率または補正相対光量比率である。
0度配置での相対光量比率R10sと複屈折量との対応関係のプロット(図9中の「0度配置 補正無」)に対して、近似関数を算出したところ、近似関数y=5.1307x−0.0622が得られた。この近似関数とプロットの相関性は、決定係数R2が、0.9987であり、高い相関性を有していることがわかった。また、0度配置での補正相対光量比率R10scと複屈折量との対応関係のプロット(図9中の「0度配置 補正有」)に対して、近似関数を算出したところ、近似関数y=5.1939x−0.1528が得られた。この近似関数とプロットの相関性は、決定係数R2が、0.999であり、非常に高い相関性を有していることがわかった。
本発明では、検査光としてレーザー光を用いており、レーザー光の強度は強く、強度を安定させる技術が発達している(ばらつきが小さい)。光量を測定するアナログデジタルコンバーターの周波数を10KHzに選定したことで、1秒で1万回、0.1秒で1000回の測定を行うことができる。例えば、基板の1つの箇所について、1000回測定し、そのうちの中央の500回分のデータ使う(両端のばらつきの大きいデータを使用しない)ことで、再現性、測定精度が良い。
これに対し、例えば、公知の複屈折測定装置の場合、光源が重水素ランプであり光源のゆらぎがあり、光源の強度が弱く、ショットノイズ(光子のばらつき)がある。測定に時間がかかり、光源のドリフト(光量の経時シフト)の問題がある。測定データのばらつき範囲が本発明装置に比べ大きい。これらのことから精度を上げることが難しい。
上記において説明をしたような複屈折測定装置による基板の複屈折量の測定は、正確な複屈折量と角度を算出するため、測定に要する時間は長く、この工程を入れると、スループットが大幅に低下することとなる。また、この装置自体も構造が複雑かつ高価である。そのため、このような検査光に偏光した光を適用したマスク検査装置に対応することを目的とした基板の複屈折の影響を検査する方法について、より簡便で低コストの方法が望まれている。本発明によれば、簡便で低コストの方法で、基板全面の複屈折量を極めて正確に保証できる。
以上、本発明に関して実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明は、例えばマスクブランク用基板の製造方法に好適に利用できる。
10・・・透光性物品(透光性基板)、12・・・パターン形成用薄膜、20・・・マスクブランク、30・・・転写用マスク、100・・・測定装置、101・・・光源ユニット、102・・・レーザー光源、103・・・1/4波長板、104・・・1/2波長板、106a,106b・・・パワーメーター(光量測定器)、108・・・偏光ビームスプリッター(光分離器)

Claims (16)

  1. 対向する1組の表面を有する透光性物品における複屈折の測定方法であって、
    光源ユニットから出射される円偏光の検査光を一方の前記表面の測定箇所から前記透光性物品の内部に入射し、他方の前記表面から出射した検査光を1/2波長板を透過させてから、光分離器によって波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、2つの光量測定器で前記2つの直線偏光をそれぞれ受光して光量を測定し、前記2つの直線偏光の光量測定値のうち、いずれか一方の光量測定値を、前記2つの直線偏光の光量測定値の和で除して光量比率を算出する工程を、同じ前記測定箇所で、前記1/2波長板を回転させることにより前記光分離器に入射する検査光の偏光面の角度の条件を変えて複数回行い、前記1/2波長板の回転角度と前記光量比率との対応関係である第1対応関係を取得する工程と、
    前記光源ユニットと前記1/2波長板の間に前記透光性物品を配置しない状態とすることを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である基準対応関係を取得する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第1対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
    前記第1対応関係の相対光量比率を用い、予め取得して置いた相対光量比率と複屈折値との対応関係から前記測定箇所の複屈折値を取得する工程と
    を有することを特徴とする複屈折の測定方法。
  2. 対向する1組の表面を有する透光性物品における複屈折の測定方法であって、
    光源ユニットから出射される円偏光の検査光を一方の前記表面の測定箇所から前記透光性物品の内部に入射し、他方の前記表面から出射した検査光を1/2波長板を透過させてから、光分離器によって波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、2つの光量測定器で前記2つの直線偏光をそれぞれ受光して光量を測定し、前記2つの直線偏光の光量測定値のうち、いずれか一方の光量測定値を、前記2つの直線偏光の光量測定値の和で除して光量比率を算出する工程を、同じ前記測定箇所で、前記1/2波長板を回転させることにより前記光分離器に入射する検査光の偏光面の角度を変えて複数回行い、前記1/2波長板の回転角度と前記光量比率との対応関係である第1対応関係を取得する工程と、
    前記光源ユニットと前記1/2波長板の間に前記透光性物品を配置しない状態とすることを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である基準対応関係を取得する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第1対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
    前記透光性物品と検査光とを、前記検査光の進行方向を回転軸として相対的に90度回転させたことを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である第2対応関係を取得する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第2対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である第2対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の相対光量比率と前記第2対応関係の相対光量比率で平均値を算出する工程と、
    前記第1対応関係の相対光量比率と前記平均値との差から、または前記第2対応関係の相対光量比率と前記平均値との差から補正相対光量比率を算出する工程と、
    前記補正相対光量比率を用い、予め取得して置いた補正相対光量比率と複屈折値との対応関係から前記測定箇所の複屈折値を取得する工程と
    を有することを特徴とする複屈折の測定方法。
  3. 前記第1対応関係の相対光量比率または前記第2対応関係の相対光量比率から算出された補正相対光量比率と前記1/2波長板の回転角度の対応関係からフィッティング関数を取得する工程をさらに有し、
    前記複屈折値を取得する工程は、前記フィッティング関数から算出される補正相対光量比率を用いて前記測定箇所の複屈折値を取得する工程であることを特徴とする請求項2記載の複屈折の測定方法。
  4. 前記フッティング関数は、三角関数の項を含む関数であることを特徴とする請求項3記載の複屈折の測定方法。
  5. 前記第1対応関係、第2対応関係および基準対応関係は、同じ前記1/2波長板の回転角度に対応する光量比率を3方位以上の角度でともに取得していることを特徴とする請求項3または4に記載の複屈折の測定方法。
  6. 前記フィッティング関数の取得は、最小2乗法を用いて行われることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の複屈折の測定方法。
  7. 対向する1組の表面を有する透光性物品における複屈折の測定方法であって、
    光源ユニットから出射される円偏光の検査光を一方の前記表面の測定箇所から前記透光性物品の内部に入射し、他方の前記表面から出射した検査光を1/2波長板を透過させてから、光分離器によって波面が互いに直交する2つの直線偏光に分離し、2つの光量測定器で前記2つの直線偏光をそれぞれ受光して光量を測定し、前記2つの直線偏光の光量測定値のうち、いずれか一方の光量測定値を、前記2つの直線偏光の光量測定値の和で除して光量比率を算出する工程を、同じ前記測定箇所で、前記1/2波長板を回転させることにより前記光分離器に入射する検査光の偏光面の角度を変えて複数回行い、前記1/2波長板の回転角度と前記光量比率との対応関係である第1対応関係を取得する工程と、
    前記光源ユニットと前記1/2波長板の間に前記透光性物品を配置しない状態とすることを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である基準対応関係を取得する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第1対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
    前記透光性物品と検査光とを、前記検査光の進行方向を回転軸として相対的に90度回転させたことを除いて、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である第2対応関係を取得する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第2対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である第2対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第1対応関係の相対光量比率と前記第2対応関係の相対光量比率で平均値を算出する工程と、
    前記透光性物品における別の測定箇所または別の透光性物品における測定箇所に対し、前記第1対応関係を取得する工程と同じ条件で、前記1/2波長板の回転角度と光量比率との対応関係である第3対応関係を取得する工程と、
    前記1/2波長板の回転角度が同一である前記第3対応関係の光量比率と前記基準対応関係の光量比率との差である前記第3対応関係の相対光量比率を算出する工程と、
    前記第3対応関係の相対光量比率と前記平均値との差から、前記第3対応関係の補正相対光量比率を算出する工程と、
    前記補正相対光量比率を用い、予め取得して置いた補正相対光量比率と複屈折値との対応関係から、前記透光性物品における別の測定箇所または前記別の透光性物品における測定箇所の複屈折値を取得する複屈折値取得工程と
    を有することを特徴とする複屈折の測定方法。
  8. 前記第3対応関係の相対光量比率から算出された補正相対光量比率と前記1/2波長板の回転角度の対応関係からフィッティング関数を取得する工程をさらに有し、
    前記複屈折値を取得する工程は、前記フィッティング関数から算出される補正相対光量比率を用いて前記測定箇所の複屈折値を取得する工程であることを特徴とする請求項7記載の複屈折の測定方法。
  9. 前記フッティング関数は、三角関数の項を含む関数であることを特徴とする請求項8記載の複屈折の測定方法。
  10. 前記第1対応関係、第2対応関係、第3対応関係および基準対応関係は、同じ前記1/2波長板の回転角度に対応する光量比率を3方位以上の角度でともに取得していることを特徴とする請求項8または9に記載の複屈折の測定方法。
  11. 前記フィッティング関数の取得は、最小2乗法を用いて行われることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の複屈折の測定方法。
  12. 前記光源ユニットは、レーザー光源と1/4波長板を備え、前記円偏光の検査光は、レーザー光源から射出された直線偏光を、1/4波長板を透過させて得られたものであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の複屈折の測定方法。
  13. 前記透光性物品は、透光性基板であり、
    前記透光性基板に対して、請求項1から12のいずれかに記載の複屈折の測定方法を適用して取得した複屈折値が所定値以下の透光性基板をマスクブランク用基板として選定する工程を有することを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
  14. 請求項13記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造されたマスクブランク用基板の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  15. 請求項14記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクのパターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  16. 請求項15記載の転写用マスクの製造方法で製造された転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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