JP6195278B2 - レーダ装置における相互干渉を回避する方法及びこの方法を用いた監視装置。 - Google Patents

レーダ装置における相互干渉を回避する方法及びこの方法を用いた監視装置。 Download PDF

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この発明は、レーダ装置における相互干渉を回避する方法及びこの方法を用いた監視装置に関し、特に、複数のアンテナから送受信されるレーダ信号の相互干渉を回避するとともに、各アンテナの覆域内の障害物を監視する監視装置に関するものである。
空港の滑走路面上や広いグランド面上の障害物などの異物は、これらを走行する航空機等の移動体に損害を与え、事故等の危険な状態を引き起こす可能性がある。そのため、これら滑走路面上やグランド面上の異物を探知して事故を未然に防ぐシステムが求められている。その一環として、例えば、滑走路面上の異物を探知するために、可視・赤外カメラやレーダ等の様々な装置を組み合わせた滑走路の監視システム等の研究開発が行われている。
このような滑走路の監視システムでは、異物探知性能として、直径1[inch]×高さ1[inch]の円筒状の金属物体を60[m]の距離で探知することが最低性能として求められている。上記のような異物探知性能を有する装置としては、全天候下で、24時間動作可能なミリ波レーダが用いられている。従って、ミリ波レーダとしては、高感度及び高分解能が要求されている。
一方、1台のアンテナを備えたレーダ装置により、監視エリアを走査して、異物を探知するシステムでは、監視エリアが広い場合、高出力のレーダ装置が必要となる。そのため、レーダ装置は高価となる。その上、1台のアンテナの覆域では、広い監視エリアの場合、どうしても死角が発生するという問題がある。
そこで、複数のアンテナを備えたレーダ装置を用いて、広い監視エリアを複数のセルに分割するとともに、この複数のセルに対応する複数のアンテナをそれぞれ各セルに設置して、各アンテナの覆域で広い監視エリアをカバーしようとするものもある。
このように、複数のアンテナの各覆域で各セルを監視するように構成すると、レーダ装置の送信電力を低下させることが出来るので、レーダ装置の価格を低減することが出来るという効果がある。しかしながら、広い監視エリア内の死角をなくすためには、各アンテナの監視エリアや覆域を互いに一部分オーバーラップさせる必要がある。また、各アンテナの覆域が重なっていなくても、他のアンテナ装置からの信号が干渉波として受信可能な信号強度となってしまうこともある。これらの理由から、レーダ信号の相互干渉という問題が発生する。そこで、従来、アンテナの相互干渉の問題を解決するためには、特許文献1〜特許文献5に記載のものがある。
特許文献1(特開2007−187632号公報)に記載のものは、FMCWレーダ装置に関し、図9に示すように、共通の時刻に関する無線信号を受信する受信部130を設け、制御部120において、同期信号122により時分割駆動126され、時分割で割付けられたレーダセンサ110とこのレーダセンサ110以外の電磁波を送信する他のレーダセンサ112、114、116との送信期間の内、受信した時刻に関する無線信号に応じて割り当てられた送信期間に、レーダセンサから電磁波を送信する。このため、移動体搭載レーダであっても時分割制御で電波干渉を防止することが出来、正確なレーダ探知が可能となるように構成されている。
特許文献2(特開2002−14159号公報)に記載のものは、FMCWレーダ装置に関し、図10に示すように、FMCW信号301はカプラ202で送信キャリア信号306とローカル信号303とに分配される。この分配された送信キャリア信号306は、位相変調器209で符号発生器211からの位相変調符号307により、0度と180度の2位相に位相変調され、送信信号302として送信アンテナ203から空間に放射される。空間に放射された送信信号302は目標で反射され、受信アンテナ204で受信され、受信信号304としてミキサ205へ出力される。ミキサ205では、受信信号304をローカル信号303とミキシングして位相復調器210へ出力する。位相復調器210では、ミキシングされた受信信号304を、符号発生器211からの位相変調符号307を遅延回路212で時間遅延した位相復調符号308により、0度と180度の2位相に位相復調するようにして、電波干渉を受けにくいように構成されている。
特許文献3(特開2006−242818号公報)に記載のものは、連続波を周波数変調したFMCW信号を送信信号として用い、受信信号と送信信号との差信号であるビート信号に基づいて目標物の相対距離、相対速度及び方位の1つ以上を出力するFMCWレーダにおいて、ビート信号をディジタル変換したディジタルビート信号に含まれるスパイク状のノイズ成分を抑制するためのスパイクノイズ制御手段が具備されている。このスパイクノイズ制御手段によってディジタルビート信号の時系列データ上の一つのデータと当該一つのデータの直前データとの差分出力データに基づいてディジタルビート信号にスパイク状のノイズ成分が含まれているか否かが判定されて、複数の装置間の電波干渉によって発生するスパイク状のノイズ成分を効果的に抑止するように構成されている。
特許文献4(特開2007−155551号公報)に記載のものは、周波数変調する電波を、第1変調幅で発するレーダ領域と、第1変調幅よりも小さい第2変調幅で発する第2領域とを交互に所定時間周期で出現させて送信信号として出力させる。又、その送信信号と受信信号との周波数差を変動周波数とするビート信号を生成させる。さらに、送信信号の出力状態が第2領域にあるときに生成されるビート信号の変調幅が所定の閾値より大きい場合、自車両の送信信号と他車両の送信信号との電波干渉が生じていると判定させ、その両信号の位相差が解消されるように自車両の送信タイミングを変更させる。そして、その送信タイミング変更がなされた後、送信信号と受信信号との位相差に基づいて自車両と他車両との相対距離を検出させるように構成することにより、他車両の発する送信信号である電波との相互干渉が生じるときにも、確実に自車両と他車両との相対関係を検知することが出来る。
特許文献5(特開2010−107225号公報)に記載のものは、図11に示すように、レーダ装置501は、レーダ511、512、制御装置509を備え、制御装置509はレーダ511、512の波形パターンを制御する。信号処理装置523は、制御装置509の指示を受けて波形メモリ524からFMCWモード503、CWモード504のVCO525の周波数変調パターンを選択してモード切換630を行い、送信アンテナ521から電波を出力する。その時、レーダ511、512で出力する連続波の信号の周波数が互いに同じ周波数になる時間が連続しないように制御装置509は、それぞれのレーダの周波数変調パターン又は当該パターンの出力タイミングの信号処理装置523に指示するように構成することにより、複数個のレーダの電波干渉を抑えることが出来る。
一方で、ミリ波等のような高周波数帯の信号を伝送する際に問題となるのが、伝送に係る損失である。同軸ケーブルで伝送した際の同軸ケーブルによる伝送損失を解決するための従来技術として、光ファイバ無線(RoF:Radio over Fiber)がある。この光ファイバ無線(RoF:Radio over Fiber)は、電気信号で光を変調することにより電気信号を光アナログ信号に変換して光ファイバ線路を伝搬するようにしたもので、大きく分けて2つの方式がある。第1の方式は、電気信号により光に強弱をつけて変調し、光アナログ信号とする方式であり、第2の方式は、光を搬送波とした光アナログ信号を伝送する方式である。
このRoFを利用した光ファイバレーダとしては、特許文献6(特開2002−162465号公報)がある。これは、図12に示すように、送信する信号をサブキャリア光源603によって光に重畳し、このサブキャリア光源603の出力光を光ファイバで伝送した後、光分波器604で2分し、その一方を受光器605aによって光電変換した後、送信アンテナ606を介して空間へ放射するとともに、目標物体610で反射された信号を受信アンテナ607で受信し、光分波器604の他方の出力光が入力されている光変調器608によって光に重畳するとともに、受光器605bで電気信号に変換し、この電気信号をフィルタ609によって適切な低周波成分のみ抽出するようにしたものである。
しかしながら、この特許文献6に記載のもののように、光ファイバ無線(RoF:Radio over Fiber)の技術を利用した光ファイバによる伝送であっても、あまりに長距離の伝送を行う場合には、光ファイバの郡遅延の影響で、搬送波のサイドバンド反転が起こり、特性が劣化するという問題がある。
上記問題を解決するものとして、特許文献7(特開2012−98679号公報)がある。これは、2トーン信号による光検出器を用いたもので、ネスト型のMZM(DPMZM)を用いた2トーン光を生成している。即ち、2つのサブMZMに高周波信号(f及びf)を印加し、メインMZMのバイアス電圧を調整して、2つのサブMZMから出力されるDSB−SC変調信号の位相差をπ/2とする。そして、高速光検出器で二乗検波すると、クロスターム成分(f−f及びf+f)が抑圧された高周波信号の2倍周波数成分(2f及び2f)からなる2トーン信号を生成する搬送波抑圧方式の伝送機器が用いられている。
特開2007−187632号公報 特開2002−14159号公報 特開2006−242818号公報 特開2007−155551号公報 特開2010−107225号公報 特開2002−162465号公報 特開2012−98679号公報
上記特許文献1〜特許文献5に記載のものは、いずれも一長一短があり、障害物の監視装置として用いるレーダ装置としては、いずれも構造が複雑でありコストが高くなるという問題がある。その上、上記のような異物探知性能を満足するような高感度及び高分解能が得られないという問題もある。特に、レーダ信号を時分割で送信する構造のものは、レーダ信号が送信出来ない無送信時間があり、この時間帯に障害物による事故が発生する可能性もある等の問題がある。
又、空港等のような広い監視エリア内では、電気信号であるレーダ信号を、同軸ケーブルで長距離伝送することになるため、同軸ケーブルの伝送損失により送信電力の損失が大きくなり過ぎるという問題がある。そのため、レーダ装置としては、高出力の装置が必要になるとともに、コストが高くなるという問題がある。
一方、特許文献6に記載のものは、信号発生器とアンテナを離れた場所に設置できると記載されているが、離れた場所といっても「発振器を車内に設置することが出来る」と記載されているように、Rofを利用しているために送信電力の損失こそ少ないものの、そのRoFの利用は同一機器や装置内での伝送に用いられる程度で、伝送距離も数m〜数十m程度である。従って、前記したように伝送距離があまりに長距離の場合には、光ファイバの郡遅延の影響で搬送波のサイドバンド反転が起こり、伝送特性が劣化するという問題がある。
本願発明は、上記のような問題点を鑑みなされたもので、同一のレーダ信号を複数のアンテナから送信した場合のレーダ装置における相互干渉を回避する方法を提供するとともに、この方法を用いた監視装置を提供することを主たる目的とし、さらに高周波数帯のレーダ信号を長距離伝送する必要がある場合にも利用可能であることを更なる目的としている。また、構造を出来るだけ単純化するとともに、装置全体のコスト低減を図ることを目的としている。
請求項1に係る発明は、高周波数帯のレーダ信号を生成する送信器と、このレーダ信号を放射するとともに、覆域内の目標物からの反射波を受信する複数のアンテナ部とを有するレーダ装置において、レーダ信号は、10GHz以上の高周波数帯のレーダ信号であるとともに、連続波を周波数変調したFMCW信号であり、送信器と複数のアンテナ部との間は、電気信号から光アナログ信号にEO変換する第1のEO変換器と、光アナログ信号から電気信号にOE変換する第1のOE変換器とを介してそれぞれ第1の光ファイバ線路で接続し、送信器から複数のアンテナ部へとレーダ信号をそれぞれ伝送する第1の光ファイバ線路の経路長に差を設けるとともに、この経路長の差を遅延線路とし、この遅延線路により、複数のアンテナ部から送信される各レーダ信号によるビート周波数がIF帯域外となるように、複数のアンテナ部からそれぞれ送信される各レーダ信号の送信時間に時間差を設け、この送信時間の時間差に基づいて、複数のアンテナからそれぞれ送信される各レーダ信号の相互干渉を回避するために、遅延線路の長さを調整することを特徴とするレーダ装置における相互干渉を回避する方法である。
請求項2に係る発明は、高周波数帯のレーダ信号を生成する送信器と、このレーダ信号を放射するとともに、覆域内の目標物からの反射波を受信する複数のアンテナ部とを有するレーダ装置を用いた監視装置において、レーダ信号は、10GHz以上の高周波数帯のレーダ信号であるとともに、連続波を周波数変調したFMCW信号であり、送信器で生成したレーダ信号を電気信号から光アナログ信号にEO変換する第1のEO変換器と、光アナログ信号に変換されたレーダ信号を、送信器からアンテナ部へ伝送する第1の光ファイバ線路と、この第1の光ファイバ線路で伝送されたレーダ信号を光アナログ信号から電気信号にOE変換する第1のOE変換器とを有し、送信器から複数のアンテナ部へとレーダ信号をそれぞれ伝送する第1の光ファイバ線路の経路長に差を設けるとともに、この経路長の差を遅延線路とし、この遅延線路により、複数のアンテナ部から送信される各レーダ信号によるビート周波数がIF帯域外となるように、複数のアンテナ部からそれぞれ送信される各レーダ信号の送信時間に時間差を設け、この送信時間の時間差に基づいて、複数のアンテナからそれぞれ送信される各レーダ信号の相互干渉を回避するために、遅延線路の長さを調整することを特徴とするレーダ装置における相互干渉を回避する方法を用いた監視装置である。
請求項1及び請求項に係る発明は、上記のように構成したので、同一のレーダ信号を複数のアンテナから送信した場合のレーダ装置における相互干渉を回避する方法を提供することが出来るとともに、この方法を用いた監視装置を提供することが可能である。さらに、高周波数帯のレーダ信号を長距離伝送する必要がある場合にも利用可能である。また、構造を単純化出来るので、装置全体のコスト低減を図ることが出来る。
この発明の実施例を示すもので、レーダ装置における相互干渉を回避する方法を用いた監視システムの概要を示すブロック図である。 この発明の実施例を示すもので、レーダ装置における相互干渉を回避する方法の概要を示す要部ブロック図である。 この発明の実施例を示すもので、覆域が隣り合ったアンテナ部から同一の信号を送信した際の相関を示す波形図である。 この発明の実施例を示すもので、アンテナ部が1つのみで干渉が発生していない場合の受信ビート信号の周波数スペクトルである。 この発明の実施例を示すもので、IF帯域内に他のアンテナ部による干渉波が存在することで干渉が発生している場合の受信ビート信号の周波数スペクトルである。 この発明の実施例を示すもので、この発明により相互干渉を回避している場合の受信ビート信号の周波数スペクトルである。 従来の方法における相互干渉の問題の概要を説明するためのブロック図である。 従来例を示すもので、覆域が隣り合ったアンテナ部から同一の信号を送信した際の相関を示す波形図である。 従来例を示すもので、車両のレーダ制御装置のブロック図である。 従来例を示すもので、FM−CWレーダ装置のブロック図である。 従来例を示すもので、レーダ装置の構成図である。 従来例を示すもので、レーダ装置のブロック図である。
高周波数帯のレーダ信号を生成する送信器と、このレーダ信号を放射するとともに、覆域内の目標物からの反射波を受信する複数のアンテナ部とを有するレーダ装置において、送信器と複数のアンテナ部との間は、電気信号から光アナログ信号にEO変換する第1のEO変換器と、光アナログ信号から電気信号にOE変換する第1のOE変換器とを介してそれぞれ第1の光ファイバ線路で接続し、送信器から複数のアンテナ部へとレーダ信号をそれぞれ伝送する第1の光ファイバ線路の経路長に差を設けるとともに、この経路長の差を遅延線路とし、この遅延線路により、複数のアンテナ部からそれぞれ送信される各レーダ信号の送信時間に時間差を設け、この送信時間の時間差に基づいて、複数のアンテナからそれぞれ送信される各レーダ信号の相互干渉を回避するために、遅延線路の長さを調整することを特徴とするレーダ装置における相互干渉を回避する方法である。
この発明の実施例を、図1〜図2に基づいて詳細に説明する。この実施例は、レーダ装置における相互干渉を回避する方法と、この方法を用いた監視システムを空港における滑走路監視システムに適用した場合について説明したものである。
図1は、この発明の実施例を示すもので、レーダ装置における相互干渉を回避する方法を用いた監視システムの概要を示すブロック図、図2は、レーダ装置における相互干渉を回避する方法の概要を示す要部ブロック図である。
図1において、監視システム1は、中央装置2と、複数の路面装置3(3a、3b・・・)とからなり、路面装置3(3a、3b・・・)と中央装置2との間は光ファイバネットワーク4により接続されている。
中央装置2は、路面装置3(3a、3b・・・)のアンテナ部5(5a、5b・・・)から送信するためのレーダ信号を生成する送信器6と、この送信器6で生成したレーダ信号をEO変換により電気信号から光アナログ信号に変換するための第1のEO変換器7と、第2の光ファイバ線路13(13a、13b・・・)で伝送されてきた受信信号をOE変換により光アナログ信号から電気信号に変換するための第2のOE変換器14(14a、14b・・・)と、第2のOE変換器14(14a、14b・・・)で電気信号に戻した受信信号を受信する受信器15と、受信信号の信号処理を行う信号処理部16と、表示部17と、これらの中央装置2の構成品の制御を行う制御部18とから構成されている。
光ファイバネットワーク4は、第1のEO変換器7で光アナログ信号に変換されたレーダ信号を伝送するための第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)と、それぞれの路面装置3(3a、3b・・・)へ光アナログ信号に変換されたレーダ信号を分配するための分光器9と、第2のEO変換器12(12a、12b・・・)で光アナログ信号に変換された受信信号を伝送するための第2の光ファイバ線路13(13a、13b・・・)とから構成されている。
なお、この実施例では、アンテナ部5(5a、5b・・・)から送信するレーダ信号の伝送には第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)を用い、受信信号の伝送には第2の光ファイバ線路13(13a、13b・・・)を用いているが、光サーキュレータを用いることにより、別々の光ファイバ線路でそれぞれ伝送するのではなく、同じ光ファイバ線路でレーダ信号と受信信号の伝送の両方を行うようにしても良い。また、アンテナ部5(5a、5b・・・)の受信信号の伝送は、この実施例では、第2の光ファイバ線路13(13a、13b・・・)により、それぞれの光ファイバ線路で伝送しているが、光スイッチを用いる等して1本の光ファイバ線路で伝送するようにしても良い。
路面装置3(3a、3b・・・)は、第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)で伝送されてきた光アナログ信号に変換されたレーダ信号をOE変換により電気信号に変換するための第1のOE変換器10(10a、10b・・・)と、レーダのフロントエンドとしてのアンテナ部5(5a、5b・・・)と、アンテナ部5(5a、5b・・・)で送受信した送信信号と受信信号とを分離するためのサーキュレータ11(11a、11b・・・)と、アンテナ部5(5a、5b・・・)の覆域19(19a、19b・・・)内の目標物による反射波の受信信号をEO変換により電気信号に変換するための第2のEO変換器12(12a、12b・・・)とから構成されている。
アンテナ部5(5a、5b・・・)は、送受信アンテナであり、覆域19(19a、19b・・・)へレーダ信号を送信するとともに、覆域19(19a、19b・・・)内に存在する異物からのレーダ信号の反射波等を受信する。このアンテナ部5(5a、5b・・・)で送受信した信号の分離にはサーキュレータ11(11a、11b・・・)が用いられる。なお、アンテナ部5(5a、5b)は、この実施例では送受信アンテナを使用しているが、送信アンテナと受信アンテナとを別々に用いても良い。
送信器6は、この実施例では任意波形発生器(AWG)を使用しており、レーダ信号として、連続波を三角波状に周波数変調したFMCW信号を生成している。この送信信号であるレーダ信号により、受信器15は、アンテナ部5(5a、5b・・・)で受信した受信信号を増幅し、デジタル信号等に変換して復調している。なお、送信器6からアンテナ部5(5a、5b・・・)までの伝送路に逓倍器を用いることにより、レーダ信号の周波数を低くしたレーダ信号のローカル信号を送信器6で生成するようにしても良い。
第1のEO変換器7及び第2のEO変換器12(12a、12b・・・)は、光ファイバ無線(RoF:Radio over Fiber)の技術において、EO変換の際に用いられる光変調器であり、電気信号を光アナログ信号に変換する。また、第1のOE変換器10(10a、10b・・・)及び第2のOE変換器14(14a、14b・・・)は、光ファイバ無線(RoF:Radio over Fiber)の技術において、OE変換の際に用いられる受光器で、光アナログ信号を電気信号に変換する。
なお、第1のEO変換器7及び第2のEO変換器12(12a、12b・・・)は、この実施例では、光を搬送波とした光アナログ信号を伝送する方式で用いられる光変調器を使用しているが、これに限定されるものではない。例えば、MZM型の光変調器(マッハツェンダー光変調器)の直流バイアスを調整して、光搬送波を抑圧した両側波の2トーンの光アナログ信号に変換可能なものを使用しても良い。また、伝送する信号の周波数が低い場合(10GHz以下)若しくは周波数が高くても伝送距離が数km以下と、そんなに長くない場合は、位相反転による郡遅延の影響が少ないので、光振幅変調を使った単純な光アナログ信号の伝送としても良い。
一方で、第1のOE変換器10(10a、10b・・・)及び第2のOE変換器14(14a、14b・・・)は、この実施例では、光を搬送波とした光アナログ信号を伝送する方式で用いられる受光器を使用しているが、これに限定されるものではない。例えば、光搬送波を抑圧した両側波の2トーンの光アナログ信号を電気信号に変換可能なものを使用しても良い。また、伝送される信号の周波数が低い場合(10GHz以下)若しくは周波数が高くても伝送距離が数km以下の場合には、同様に位相反転による郡遅延の影響が少ないので、光振幅変調を使った単純な光アナログ信号の伝送としても良い。
この実施例では、監視装置1の監視領域は空港における滑走路である。この監視領域は、路面装置3(3a、3b・・・)のアンテナ部5(5a、5b・・・)の探知範囲に合わせて、複数の監視セル領域に分割されている。この分割された複数の監視セル領域が、それぞれアンテナ部5(5a、5b・・・)の探知範囲に包含されるように、覆域19(19a、19b・・・)が設定される。
それぞれの覆域19(19a、19b・・・)は、監視領域全体として死角が発生しないように、隣り合った監視セル領域をその探知範囲とするアンテナ部5(5a、5b・・・)の覆域19(19a、19b・・・)と、一部オーバーラップするように設定されている。また、覆域19の範囲が略扇状となるのが一般的であるため、出来るだけ効率よく覆域を設定可能とするために、滑走路を挟んで向かい合わせた状態で交互に、路面装置3(3a、3b・・・)が配置されている。
このように覆域19(19a、19b・・・)が設定されているので、路面装置3(3a、3b・・・)は、滑走路脇に設置されている。一方で、中央装置2は、表示部17に表示された内容を空港面の管制に即座に反映可能とするように、空港の管制施設(管制塔の建屋内若しくは管制塔に隣接した建屋内など)に設置されている。
また、空港内における光ファイバ敷設にも制約があり、滑走路など航空機の運用に重要な箇所では光ファイバを埋設できない場合がある。その場合、航空機の運用に重要な箇所を迂回して敷設する必要がある。大型の国際空港を想定した場合、管制施設に設置されている中央装置2と、この中央装置2から滑走路脇の最も遠い場所に設置されている路面装置3(3a、3b・・・)との間の光ファイバ長は20km程度を見込む必要がある。したがって、中央装置2と路面装置3(3a、3b・・・)との間を接続している光ファイバ無線ネットワーク4で伝送される距離は、数kmオーダから20km程度となり、長距離伝送が必要となっている。
次に、作用動作について、図1〜図2に基づいて詳細に説明する。
まず、送信器6で各アンテナ部5(5a、5b・・・)から送信する共通のレーダ信号を生成する。このレーダ信号は、この実施例では、三角波で周波数変調したFMCW信号で、周波数96[GHz]、帯域幅1[GHz]の信号である。
送信器6で生成されたレーダ信号は、第1のEO変換器7によりEO変換されて、光アナログ信号に変換される。第1のEO変換器7により光アナログ信号に変換されたレーダ信号は、第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)により路面装置3(3a、3b・・・)に伝送されるとともに、分光器9により各路面装置3に分配される。
第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)で伝送されたレーダ信号は、それぞれの路面装置3(3a、3b・・・)の第1のOE変換器10(10a、10b・・・)によりOE変換され、光アナログ信号から再び電気信号に直して、アンテナ部5(5a、5b・・・)から覆域19(19a、19b・・・)に向けて放射される。
一方で、アンテナ部5(5a、5b・・・)は、覆域19(19a、19b・・・)内に存在する目標物である異物によるレーダ信号の反射波等を受信する。この受信信号は、サーキュレータ11(11a、11b・・・)により送信信号から分離されるとともに、周波数ミキサ(図示せず)により中間周波数(IF)に周波数変換され、第2のEO変換器12(12a、12b・・・)によりEO変換されて、光アナログ信号に変換される。
第2のEO変換器12(12a、12b・・・)により光アナログ信号に変換された受信信号は、第2の光ファイバ線路13(13a、13b・・・)により中央装置2に伝送される。
なお、この実施例では、路面装置3(3a、3b・・・)においてIFに変換された受信信号をEO変換して、光アナログ信号に変換されたIFの受信信号を中央装置2に伝送しているが、これに限定されるものではない。例えば、路面装置3(3a、3b・・・)においてIFに変換された受信信号を、そのまま同軸ケーブルで中央装置2に伝送しても良いし、若しくはIFに変換せずに受信信号をそのままEO変換して、光アナログ信号に変換された受信信号を中央装置2に伝送しても良い。また、路面装置3(3a、3b・・・)において、受信信号を検波し、さらにAD変換して光デジタル信号として中央装置2に伝送するように構成しても良い。
第2の光ファイバ線路13(13a、13b・・・)で伝送された受信信号は、第2のOE変換器14(14a、14b・・・)によりOE変換され、光アナログ信号から再び電気信号に直して、受信器15に伝送される。
受信器15は、この受信信号を増幅し、ADコンバータ(図示せず)によりデジタル信号に変換して信号処理部16に送っている。
信号処理部16は、デジタル信号に変換した受信信号の周波数成分をフーリエ変換により求め、覆域19(19a、19b・・・)内の異物までの距離を算出し、この結果を表示部17に表示している。
ここで、監視装置1で用いられているこの発明のレーダ装置における相互干渉を回避する方法について、図2、図3及び図7、図8に基づいて詳細に説明する。図2は、この発明の実施例を示すもので、この発明によるレーダ装置における相互干渉を回避する方法の概要を示す要部ブロック図であり、図7は、従来の方法における相互干渉の問題の概要を説明するためのブロック図である。図3は、この発明の実施例を示すもので、覆域が隣り合ったアンテナ部から同一の信号を送信した際の相関を示す波形図であり、図8は、従来例を示すもので、覆域が隣り合ったアンテナ部から同一の信号を送信した際の相関を示す波形図である。
まず、実施例1において、この発明によるレーダ装置における相互干渉を回避する方法を用いなかった場合に発生する相互干渉の問題について説明する。換言すれば、この発明によるレーダ装置における相互干渉を回避する方法を用いずに、送信器から路面装置へのレーダ信号の長距離伝送のみ光ファイバ無線の技術を用い、覆域が隣り合っているとともに、その覆域の一部がオーバーラップするように配置された路面装置のアンテナ部から同一のレーダ信号をそれぞれの覆域に放射した場合に発生する相互干渉の問題について説明する。
図7において、実施例1の場合と同様に、レーダのフロントエンドとしての路面装置503aと路面装置503bは、その覆域519aと覆域519bとが隣り合うように設置されているとともに、監視領域である滑走路の脇に設置されている。このとき、監視領域に死角が発生しないように、アンテナ部505aの覆域519aとアンテナ部505bの覆域519bとが一部オーバーラップするように設定されている。また、覆域519の範囲が略扇状となるのが一般的であるため、出来るだけ効率よく覆域を設定可能とするために、滑走路を挟んで向かい合わせた状態で交互に、路面装置503aと路面装置503bとが配置されている。同様に、図7では図示されていないが、路面装置503aや路面装置503bの覆域が隣り合う他の路面装置503も、滑走路を挟んで向かい合わせた状態で交互に配置されている。
送信器506は、アンテナ部505(505a、505b・・・)で覆域519(519a、519b・・・)に放射するためのレーダ信号を生成する。このレーダ信号は、三角波で周波数変調したFMCW信号であり、EO変換器(図示せず)により電気信号から光アナログ信号に変換されて、光ファイバ線路508(508a、508b・・・)及び分光器(図示せず)を介して路面装置503(503a、503b・・・)に伝送される。路面装置503a及び路面装置503bへ光アナログ信号により伝送されたレーダ信号は、OE変換器(図示せず)により再び電気信号に変換される。
このようにして伝送されたレーダ信号は、アンテナ部505a及びアンテナ部505bから送信時間にほぼ時間差のない状態で覆域へ放射される。図8は、このときのアンテナ部505a及びアンテナ部505bで放射される送信信号の相関を示す図である。
図8において、横軸は時間軸、縦軸は周波数であり、実線はアンテナ部505aの送信信号を示し、破線はアンテナ部505bの送信信号を示している。FMCW信号を用いたレーダでは、送信信号と、覆域内の目標物である異物からの反射波の受信信号との周波数差であるビート周波数が、目標物(異物)までの距離を表している。実線で示されているアンテナ部505aから放射された送信信号と、破線で示されているアンテナ部505bから放射された送信信号とは、上記したように送信器506で生成された同一のレーダ信号であり、また、図9に示されているように、ほぼ同一の時間に送信されている。従って、アンテナ部505aで受信した信号が、覆域519a内の目標物(異物)からの反射波の受信信号であるか、又は、アンテナ部505bや他のアンテナ部から放射された送信信号であるかを判別することが困難となり、相互干渉が発生することになる。また、上記したように覆域が重なっていなくても、他のアンテナ装置からの信号が干渉波として受信可能な信号強度となってしまうこともある。このような場合にも相互干渉が発生することとなる。
次に、この発明のレーダ装置における相互干渉を回避する方法について説明する。
図2において、実施例1で述べたように、レーダのフロントエンドとしての路面装置3aと路面装置3bは、その覆域19aと覆域19bとが隣り合うように設置されているとともに、監視領域である滑走路の脇に設置されている。このとき、監視領域に死角が発生しないように、アンテナ部5aの覆域19aとアンテナ部5bの覆域19bとが一部オーバーラップするように設定されている。また、覆域19の範囲が略扇状となるのが一般的であるため、出来るだけ効率よく覆域を設定可能とするために、滑走路を挟んで向かい合わせた状態で交互に、路面装置3aと路面装置3bとが配置されている。同様に、図2では図示されていないが、路面装置3aや路面装置3bの覆域が隣り合う他の路面装置3も、滑走路を挟んで向かい合わせた状態で交互に配置されている。
送信器6で生成したレーダ信号は、上記したように三角波で周波数変調したFMCW信号であり、第1のEO変換器7(図示せず)により電気信号から光アナログ信号に変換されて、第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)及び分光器9(図示せず)を介して路面装置3(3a、3b・・・)に伝送される。路面装置3a及び路面装置3bへ光アナログ信号により伝送されたレーダ信号は、第1のOE変換器10a及び10b(図示せず)により、それぞれ再び電気信号に変換される。
このとき、第1の光ファイバ線路8(8a、8b・・・)は、覆域が隣り合った他の路面装置3との間で意図的に経路長に差が設けられている。例えば、光アナログ信号に変換されたレーダ信号を路面装置3aへ伝送する第1の光ファイバ線路8aの経路長は、光アナログ信号に変換されたレーダ信号を路面装置3bへ伝送する第1の光ファイバ線路8bの経路長や、路面装置3aの覆域19aと覆域が隣り合う他の路面装置3へ伝送する第1の光ファイバ線路8の経路長との間で、意図的な経路長の差が設けられている。
このようにして伝送されたレーダ信号は、第1の光ファイバ線路8aの経路長と第1の光ファイバ線路8bの経路長との間に意図的に設けられた経路長の差を遅延線路とすることで、アンテナ部5aから送信されるレーダ信号の送信時間と、アンテナ部5bから送信されるレーダ信号の送信時間との間に意図的な時間差が設けられて覆域へ放射される。図3は、このときのアンテナ部5a、アンテナ部5bで放射される送信信号の相関を示す図である。
図3において、横軸は時間軸、縦軸は周波数であり、実線はアンテナ部5aの送信信号を示し、破線はアンテナ部5bの送信信号を示している。実線で示されているアンテナ部5aから放射された送信信号と、破線で示されているアンテナ部5bから放射された送信信号とは、上記したように送信器6で生成された同一のレーダ信号であるが、第1の光ファイバ線路8aと第1の光ファイバ線路8bとの経路長の差による遅延線路により、アンテナ部5aから送信されるレーダ信号の送信時間と、アンテナ部5bから送信されるレーダ信号の送信時間との間に意図的な時間差が設けられて、覆域にレーダ信号が放射されている。従って、図3に示すように、送信時間に十分な時間差があるので、アンテナ部5aで受信した信号が、覆域19a内の目標物(異物)からの反射波の受信信号であるか、又は、アンテナ部5bや他のアンテナ部から放射された送信信号であるかを判別することが可能であり、相互干渉を回避することが可能である。
ここで、相互干渉を回避するために、どの程度の送信時間の時間差が必要であるか、この送信時間の時間差を設けるために、遅延線路としてどの程度の光ファイバ線路の経路長の差を設ければ良いかについて説明する。
まず、相互干渉を回避するには、複数フロントエンドによるビート信号の周波数(ビート周波数)、即ち、相互干渉を引き起こし得る他のアンテナ部から放射される送信信号の周波数差がIF帯域以上であれば良い。換言すれば、複数フロントエンドによるビート周波数がIF帯域内であれば相互干渉が発生することとなる。以下に、FMCW信号をレーダ信号としたFMCWレーダの場合について、例を挙げて説明する。
(例1)
RF帯域:8[GHz]
IF帯域:100[MHz]
チャープ変化率:2[kHz](500us)
FMCWレーダの場合、対象物までの距離Rとビート周波数fの関係は下記の数式(1)で表されます。
ここで、BはRF帯域幅、cは光速、Tはチャープ変化時間である。
上記数式(1)により、(例1)の条件で、ビート周波数fをIF帯域である100[MHz]とした場合の対象物までの距離Rを計算すると、937.5[m]となる。この距離Rを時間差で換算すると、この時間差は対象物からの反射波を受信するまでの時間となるとともに、電磁波の伝搬速度は空気中ではほぼ光速と同一となるので、6.25[us]となる。この時間差が必要な遅延時間であり、(例1)の場合には、6.25[us]以上となる。したがって、相互干渉を引き起こし得る他のアンテナ部からの信号との時間差が、必要な遅延時間を満足すれば、干渉波としてIF帯域(100[MHz])内に入ることはないので、相互干渉を回避することが可能である。
この遅延時間を光ファイバ線路による遅延線路で達成する場合、必要な光ファイバ線路の(遅延線路としての)光ファイバの経路長は、光ファイバ内の光の伝搬速度はほぼ光速と同一となるので、概算で1,875[m]以上となる。
一方で、通常のFMCWレーダの場合、同一のFM変調(例えば三角波変調)が繰り返されているので、次の周期の信号との干渉を回避するため、遅延時間は最長でも500[us]−6.25[us]=493.75[us]以下とする必要がある。
(例2)
RF帯域:1[GHz]
IF帯域:100[MHz]
チャープ変化率:20[kHz](50us)
同様に、上記例2の場合には、対象物までの距離Rは750[m]となり、必要な遅延時間は5[us]以上、45[us]以下となる。したがって、必要な光ファイバ線路の(遅延線路としての)光ファイバの経路長は、概算で1,500[m]以上となる。
このような例からも分かるように、相互干渉を回避するために遅延線路を用いる場合、その長さは1[km]以上となるため、従来のような同軸ケーブルによる伝送では損失が大きすぎて実現不可能である。
次に、発明者らは、上記の(例1)の場合について、この発明の効果を検証すべくシミュレーションを行った。このシミュレーション結果について、図4〜図6に基づいて詳細に説明する。
図4〜図6は、受信ビート信号の周波数スペクトルであり、図4はアンテナ部が1つのみで干渉が発生していない場合、図5はIF帯域内に他のアンテナ部による干渉波が存在することで干渉が発生している場合、図6はこの発明により相互干渉を回避している場合の周波数スペクトルである。この図4〜図6に示す周波数スペクトルにおいて、対象物からの反射波や他のアンテナ部からの干渉波は、ビート周波数の周波数成分として表れる。また、図4〜図6において、縦軸はビート信号の振幅[dB]、横軸は周波数[MHz]である。
まず、図4において、対象物がアンテナ部から500[m]の距離に置かれ、アンテナ部が1つのみで干渉が発生していない場合について説明する。対象物の反射波のビート信号の周波数は、数式(1)を用いて計算すると、約53.3[MHz]となる。このビート周波数の周波数成分が、図4の周波数スペクトルにおいて、対象物からの反射波によるビート信号としてIF帯域内に表れている。
次に、図5において、IF帯域内に他のアンテナ部による干渉波が存在することで干渉が発生している場合について説明する。対象物は、図4において説明した場合と同様に、アンテナ部から500[m]の距離に置かれており、さらに、アンテナ部から700[m]の距離に他のアンテナ部を置いて、この他のアンテナ部からの干渉波により干渉が発生している場合である。
対象物からの反射波によるビート信号は、図4において説明した場合と同様に、ビート周波数約53.3[MHz]として、図5の周波数スペクトルにおいて、IF帯域内に表れている。
一方で、700[m]先に置かれた他のアンテナ部からの干渉波によるビート信号の周波数は、同様に数式(1)を用いて計算すると、約74.7[MHz]となる。このビート周波数の周波数成分も、図5の周波数スペクトルにおいて、IF帯域内に表れてしまっている。
このように、図5の周波数スペクトルにおいて、対象物からの反射波によるビート信号と他のアンテナ部からの干渉波によるビート信号の周波数成分が、共にIF帯域内に表れていることにより、干渉が発生していることが分かる。
この図5に示した干渉が発生している状態において、この発明による相互干渉を回避する方法を用いた場合について、図6を用いて説明する。図5において説明した場合と同様に、対象物はアンテナ部から500[m]の距離に置かれており、他のアンテナ部は700[m]の距離に置かれている。
まず、上記(例1)で算出したように、アンテナ部と他のアンテナ部との送信時間の時間差を6.25[us]と設定し、この時間差をつけて他のアンテナ部からの送信時間を遅らせる。この時間差は、この発明による相互干渉を回避する方法により、光ファイバ線路による遅延線路で達成している。この遅らせる6.25[us]という時間差は、上記(例1)で説明したように、周波数に直すと100[MHz]に相当する。したがって、この発明を適用して送信時間の時間差をつけることで、他のアンテナ部からの信号によるビート信号の周波数は、約174.7[MHz]となる。このビート周波数の周波数成分は、図6の周波数スペクトルにおいて示されているように、IF帯域外に表れている。
このように、この発明による相互干渉を回避する方法を用いて意図的に送信時間の時間差を設けることにより、他のアンテナ部からの干渉波をIF帯域外に移動することが可能となり、IF帯域内には対象物からの信号のみとすることで干渉を回避することが可能である。この図6で示した例では、他のアンテナ部との距離は700[m]となっているが、6.25[us]という時間差は、他のアンテナ部との距離が0[m]であっても干渉を回避することが可能な最も厳しい値となっている。
この発明によるレーダ装置における相互干渉を回避する方法及びこの方法を用いた監視装置は、広範囲な領域の監視や、監視する領域が限定的な範囲である場合(道路や建物内の通路、航路など)の監視を行う技術分野で幅広く利用可能である。
1 監視装置
5(5a、5b・・・) アンテナ部
6 送信器
7 第1のEO変換器
8(8a、8b・・・) 第1の光ファイバ線路
10(10a、10b・・・) 第1のOE変換器

Claims (2)

  1. 高周波数帯のレーダ信号を生成する送信器と、
    このレーダ信号を放射するとともに、覆域内の目標物からの反射波を受信する複数のアンテナ部とを有するレーダ装置において、
    前記レーダ信号は、10GHz以上の高周波数帯のレーダ信号であるとともに、連続波を周波数変調したFMCW信号であり、
    前記送信器と前記複数のアンテナ部との間は、電気信号から光アナログ信号にEO変換する第1のEO変換器と、光アナログ信号から電気信号にOE変換する第1のOE変換器とを介してそれぞれ第1の光ファイバ線路で接続し、
    前記送信器から前記複数のアンテナ部へとレーダ信号をそれぞれ伝送する第1の光ファイバ線路の経路長に差を設けるとともに、この経路長の差を遅延線路とし、
    この遅延線路により、前記複数のアンテナ部から送信される各レーダ信号によるビート周波数がIF帯域外となるように、前記複数のアンテナ部からそれぞれ送信される各レーダ信号の送信時間に時間差を設け、
    この送信時間の時間差に基づいて、前記複数のアンテナ部からそれぞれ送信される各レーダ信号の相互干渉を回避するために、前記遅延線路の長さを調整すること
    を特徴とするレーダ装置における相互干渉を回避する方法。
  2. 高周波数帯のレーダ信号を生成する送信器と、
    このレーダ信号を放射するとともに、覆域内の目標物からの反射波を受信する複数のアンテナ部とを有するレーダ装置を用いた監視装置において、
    前記レーダ信号は、10GHz以上の高周波数帯のレーダ信号であるとともに、連続波を周波数変調したFMCW信号であり、
    前記送信器で生成したレーダ信号を電気信号から光アナログ信号にEO変換する第1のEO変換器と、
    光アナログ信号に変換されたレーダ信号を、前記送信器から前記アンテナ部へ伝送する第1の光ファイバ線路と、
    この第1の光ファイバ線路で伝送されたレーダ信号を光アナログ信号から電気信号にOE変換する第1のOE変換器とを有し、
    前記送信器から前記複数のアンテナ部へとレーダ信号をそれぞれ伝送する第1の光ファイバ線路の経路長に差を設けるとともに、この経路長の差を遅延線路とし、
    この遅延線路により、前記複数のアンテナ部から送信される各レーダ信号によるビート周波数がIF帯域外となるように、前記複数のアンテナ部からそれぞれ送信される各レーダ信号の送信時間に時間差を設け、
    この送信時間の時間差に基づいて、前記複数のアンテナからそれぞれ送信される各レーダ信号の相互干渉を回避するために、前記遅延線路の長さを調整すること
    を特徴とするレーダ装置における相互干渉を回避する方法を用いた監視装置。
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